「あれ…」
目が覚めたユウ。起き上がるとそこは見慣れた自分の部屋だった。一瞬、あのジェネックス大会が夢かと思った。だが、テーブルの上に残されていたツバキのもつ神のカード『コスモス』が現実を見せつけた。
「…そっか、寝ちゃったんだ」
だが、今までのように悪夢にうなされることはなかった。それは連斗という異世界のデュエリストのおかげだろう。彼がツバキの情報を教えて、そして背中を押してくれた人。
ユウは1週間ぶりにまともに寝ることが出来たのだ。
だから、また彼が嘆くことはなかった。
「よし、行こう」
「どこに行くって?」
立ち上がったユウに少し呆れ気味に声をかけたのはシゲルだった。大部屋の扉を静かに開けた彼の後ろには釼都と紫苑、十代に万丈目もいた。
「…言っても、信用しないんでしょ?僕の方の記憶がおかしいって」
「…聞いてたのか」
部屋の前で釼都とシゲルはそう会話をしていた。あの時ユウは疲弊しながらもそのせいか、周囲の音が敏感に聞こえていた。
「僕ひとりでツバキを―」
「どうやって探すんだ?」
若干呆れている様子で言うシゲル。次に釼都がずいっと部屋に入ってきた。
「確かに俺たちはお前のことを疑った。姫野椿という人物の痕跡が何一つなかったからな。だが、調べてみるとそれが不自然だということがわかった」
「どういうこと?」
「一人分の空白、それがあった」
そう言うと釼都はユウを部屋から連れ出して大部屋の中央へと配置した。大部屋は両側に3部屋ずつの合計6部屋と出入口、それと大きな窓が見える。
「俺の記憶、いや…俺とシゲルと紫苑の記憶にはノーバディは4人。左側が俺たちの部屋、右は紫苑と響の部屋」
左奥がユウ、そして手前の方にシゲル、釼都。右は奥が響、真ん中がツバキで手前が紫苑の部屋だ。
だが今は右の真ん中、つまりツバキの部屋は完全な空き部屋となっている。家具も布団もなにもない。
「けど、それが…?」
「俺たちは響の部屋を決めるとき、自然と奥の部屋に家具を運んだ覚えがある。いや、そもそもなんで響の部屋を奥にしたのか。わざわざ物置として使っていた部屋から荷物を出して、だ」
ユウの記憶ではそれは、部屋が物置部屋として使ってる一つしかなかったからだ。6部屋のうち5部屋が埋まっていたため必然的に誰も使ってない、奥の部屋となった。
「で、気になって色々と調べてみたら…どこかしこに誰か一人分、まるでごっそりとその形跡を抜いてほかの誰かが代わりに詰め込まれたような矛盾があった。それにシゲルに調べてもらったんだが、細かい情報や記入についてなかったんだ。違和感がないようにな」
「そして一番の違和感が、その違和感を誰も感じてないってことよ」
「……あれ、星光が表のまま?」
口調が紫苑ではなく、星光というのにユウが不思議そうに聞いた。以前言っていたのは星光が表にいるのは精神的に疲弊しやすく、さらに紫苑が眠りについてる場合のみのはずであまり出てこないという話だった。
「あたしが表に出るのにちょっと無理したからね、まあ紫苑は寝込んでると思ってたらいいわ」
そう言って星光がPDAで表示したのはジェネックスの参加名簿のようだった。
「そいつはジェネックス本戦の最終メダル所持数だ。上からレオン、俺、エド、十代…これはわかるだろ?」
「うん」
釼都の言うとおり、大会本線に進んだメンバーだ。本来ならメダル所持数でツバキが10番目だったが――問題はそこではなく、32番目――つまり、本戦出場ギリギリの名前だった。
「えっ…神谷龍…!?」
その名前はユウ達の同期で、実力は中の上。翔のようにレッドからブルーになった叩き上げの実力者でもあり、十分本線大会に出れるが今回は予選でプロデュエリストのゲルゴに敗れていた。
「神谷に聞いたら本線に出てたような気がするけど、よく覚えてないってよ。本線で明日香と当たってるはずだが、明日香もおぼろけらしい」
「それだけじゃない、それなら普通残るはずのデュエルディスクの記録も残ってない。それどころか明日香と他数人のディスクの記録が不鮮明になっていた。誰かとのデュエルがな」
釼都とシゲルの言ってる誰か、それはおそらく一人しか思い当たらない。
「…で、話はここからだ。鮫島校長に事情説明して俺たちの一時休学申請をしてきた、その引換に必ず姫野椿を探すことが条件だ。そのためにお前が例の異世界のデュエリストから聞いて、思い当たることをすべて話せ」
「…あ、あはは…」
あまりにも手廻りが早い釼都にユウは乾いた笑いしか浮かばなかった。そう、これだからこそ釼都は頼れるリーダーなのだ。
一度疑ったとしても、仲間を信じることにしたらどこまでも手を貸して、どんな責任もかぶるつもりなのだろう。
「シゲルと紫苑…は聞いたことがあるんだけど、ツバキは多分アンゲロスと一緒にいるんだと思う」
「アンゲロス?」
十代が聞き覚えがないように聞いた。確かにアンゲロスの話を聞いたのはその日カミューラをAW社に連れて行った釼都を除く世界の矛盾の4人しかいない。だが――
「俺たちも聞いた…??」
「覚えがないのか?」
「紫苑の中にいたとは言え、あたしも聞き覚えがない」
「で、そのアンゲロスってのはなんだ?」
万丈目の言葉にユウはダークから聞いた昔話を口にした。
「昔、精霊界に存在していた聖域。天界っていうその場所には塔が建っていてそれに寄り添うように栄えていたらしいんだ。けど、ある日その聖域は悪の意志によって滅んだ。その生き残りがアンゲロス」
「塔…」
連斗が言っていた『塔』、確かに可能性があるがそれは精霊界の話だ。なぜツバキがそこに行く必要があるのか、どうして自分たちがそれを忘れてしまっているのか。
そして、どうしてユウがそれに行き着いたのか。
「確証は?」
「アンゲロスの一人のアラエルが精霊界でツバキにこんな忠告をしたんだ――」
【貴女は仲間と共にいられなくなる時が来る…やがて、全ての人を裏切ることになるわ】
ツバキに対しての【善意】として伝えられた忠告。アラエルが口にした、記憶を持たないツバキへの助言。そう、アラエル――アンゲロスのだ。
そしてユウは連斗との戦いの後で聞いたあの言葉でそれを思い出した。
「それって…」
「うん…連斗も、何かを知ってるんだと思う」
闘いの後、連斗がユウに言った言葉
【たとえ何があってもツバキを信じろ、たとえお前以外が敵になってもな】
まるで、ツバキが裏切った可能性があるという言葉。それとアラエルの言葉。
意味や使い方は違うが、両方とも本質的には同じだ。
「ま、そっちは置いておく。全部はそのツバキを探してから決めればいい。問題はその天界ってのだな。精霊界にあるなら俺たちに行く手がないぞ」
釼都の言う通り、精霊界へは神の力でしか行ったことがない。だが今現在カルマは消息不明、シゲルの言う話ではアナトも響の儀式で呼び出したためしばらくは無理。
時の神であるアイオーンも一年修行から接触してない。
「ううん、完全に無理とは言い切れないと思うよ。精霊界について詳しい人に聞いてみようと思ってたんだ」
「詳しい人?」
「…あ、そうだ! 大徳寺先生だ!」
今現在ファラオの体内で生活してる大徳寺は過去に十代達をネクロバレーへと誘い込んだことがある。もしかしたら何か力になることがあるのかもしれない。
―レッド寮―
『なるほど、姫野椿さんですかにゃ…残念ながら私にも覚えはないにゃ』
「だから、精霊界への生き方について何か知ってることはないですか?」
ユウの言葉に大徳寺の魂は明滅していた。どうやら考えているようで、時折ふよふよとまるで歩きながら考える様にしていた。
『精霊界への行き方はいくつかある。ただし、その大半はランダム的に飛ばされることが多いのにゃ。目的の塔の場所が分からないと、無暗に行くのは危険だにゃ』
「…じゃあ、エンディミオンっていう魔法都市に行くのは?」
「エンディミオン?」
「アンゲロスについて調べてる人がいるのを聞いたことがある。そこに行けば何かわかるはず」
『魔法都市…それだったらこの部屋で行くことができるにゃ』
大徳寺先生が言うには、主に精霊界に行くには人間界の同調する箇所で精霊界への門を開くことができる。以前、ここで偶発的にエンディミオンへと飛ばされたことがある。
つまり、レッド寮とエンディミオンは同調してるということになる。
「どうすれば門が開くんだ?」
『主には莫大なエネルギーが必要にゃ。話から聞くと、アクセルシンクロというのは私が追い求める究極の錬金術と同等なエネルギーを秘めているようだにゃ』
「じゃあ…来い、ソウル!フリ!」
話を聞いていたシゲルがエクストラデッキのソウルとフリを精神力を消費して実体化させた。とはいえ、ソウルは部屋の外にいるが。
『あ、ちょっと待――』
「漆黒の魂を持ちし小さき炎よ、我が魂を受け更なる業火へ誘え!!」
☆7+1 + ☆2 =☆10
「アクセルシンクロ!! ブラッディ・ソウル・ドラゴン!!」
その刹那、部屋の空気が変わった。
「ぐっ、がっ!?」
「シゲル!?」
胸を握り締めるようにしてシゲルが苦しみだした。まるで以前Sinトゥルースドラゴンを召喚したような時のものだ。だが、それ以上に脂汗をかいている。
『だから待てと言ったにゃ! 精霊界へのゲートを一人で開くなんて無謀すぎる、下手をしたら命を落とすにゃ!!』
「なっ、シゲル、ゲートを開くのやめろ!!」
釼都がシゲルにそう叫ぶが既に遅かった。部屋が徐々に振動してシゲルを中心に穴があいた。ユウ達はとっさに部屋の端へと避難した。流石にそこまで穴が広がっておらず、十分に逃げれるスペースがあった。
「うっあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!!!!!」
「シゲル!!」
「ちっ!!」
だが、シゲルだけは苦しみのせいか、動けないでいた。落下したシゲルを追うようにユウが飛び降り、それに続くようにして釼都、星光と続々と落下していく。唯一残っていたのは浮遊できる大徳寺だけだった。
『あ~、もうどうなっても知らないにゃ!!』
「あ、あの!」
―精霊界:エンディミオン―
「うおっ!!」
最後に落下した万丈目が尻餅を付きながら地面に落下した。
「ここは…」
「…魔法都市エンディミオンで間違いないね」
夜なのか、空が暗く星が見えるがそこには人間界では見られない奇妙な形の惑星がいくつも浮かんでいた。
全員が精霊界へ来たということに少し驚いて何も言えず呆然としていたが、すぐにそれはなくなった。
「うっ――ごほっ、げほっ!!」
「シゲル!?」
彼は地面に左手をついて、右手で胸を握り締めるようにして血を吐いた。どうやら予想以上に負荷がかかったのだろう。まるで息をするように血を吐くシゲル。その血の量は明らかに危険なレベルだった。
「ユウ、エンディミオンで協力してくれる精霊とかいないのか!?」
「あ、ルキ! マジシャンス・ヴァルキュリアのルキがいるよ!」
万丈目がシゲルの背中をさすりながら聞くが、問題なのはいま現在ここがどこかなのかわからないことだ。どこかの路地のようだが、まず人気がいない。移動するにしてもシゲルに無茶をさせることもできない。
「だいじょ、げほっ!うぶっ!!」
「大丈夫、じゃねーよ、ドアホ!!」
釼都がそう言いつつも、シゲルの吐血が止まらない。すると、足音と共に精霊がひとりやってきた。どうやら万丈目たちの声を聞いたようだ。
「遊城十代?」
「えっ」
呼びかけてきた精霊――とはいえ、十代のことを知る精霊でなおかつエンディミオンにいる数はほぼいない。そう、一体だけ除いて――
「ブラック・マジシャン・ガール!?」
学園祭で十代とデュエルをしたかの有名なブラック・マジシャン・ガールの精霊だ。とはいえ、万丈目を含めてほとんどの人はただのコスプレだとしか思ってなかったが。
「え、な、どうしたの!?」
「訳は後で話す、医者を早く呼べ!!」
―ルキの家―
「なんとか落ち着いて、今は眠ってるよ」
ルキの言葉に全員がほっとした。驚きなことだったがルキは医者でもあったらしい。
ブラック・マジシャン・ガールの精霊のマナの妹でもあるルキのもとへ搬送されるは半ば確定的だった。
「一体何があったの?人間があそこまでの吐血をするなんて…」
「人間界と精霊界のゲートを開いたんだ、シゲル一人で」
それを聞いてマナはものすごく驚いている顔をしていた。彼女は一度人間界へと訪れているが、その時の負担は人が抱えるとはとても思えないのだ。
「彼、よく生きてられたね…普通なら絶対死ぬよ、そんなことしたら」
「……(まさか、シゲル、わかっていた…?)」
『特異的な体質』それは死にかけると驚異的な生命力を発揮するものだ。そのため、過去にも仲間の盾になり死にかけることも多々あった。
「それで、どうしてエンディミオンに?また巻き込まれた…わけでもないし」
「あ、うん…実は…」
過去にあった偶発的な転移かと思ったルキだったがそれならシゲルの吐血の理由がない。ユウと十代は一週間前の戦いの顛末から話を始めた。消えたツバキに異世界のデュエリスト連斗の後押し。
そして行き着いた組織『アンゲロス』の暗躍。それのために精霊界へと訪れるためにシゲルが無理をしたこと。
「だからアンゲロスの探索員教えてくれって言ったのね」
マナが言うとおり、シゲルが治療を受けている間に釼都と星光が情報収集ということでエンディミオンの中枢である魔法図書館へと向かった。
―魔法図書館―
「どうしても、か?」
「いかにも、たとえ恩義ある者の頼みであろうとも奴らの情報は最極秘事項。姫野椿のためとは言え、おいそれと教えるわけにはいかぬ」
その名が街の名前にもなっているエンディミオンの言葉に釼都は大きなため息をついた。その横で釼都と同じように座って話を聞いている星光もやれやれと肩をすくめていた。
すべての決定権があるエンディミオンにはアンゲロスの情報も全て入っている。
だが、彼が言うにはそれは絶対に教えられないという。
「別に機密事項を教えて欲しいんじゃねぇ、奴らの拠点か居場所、それを聞きたい」
「それが機密事項なのだよ。アンゲロスの拠点なんぞ、奴らの正体を知った時から判明している」
「天界の出身、それのどこが機密に当たるの?」
「天界をただの聖域だと思うのなら、この答えを話す必要は――!?」
エンディミオンが言葉に詰まった理由。それは星光の纏う殺気だった。
彼女としてはエンディミオンの事情も知らないが、それどころではない。
「なら、話さなくていい。お前を潰したあとにこの図書館を捜索するだけだ」
「……ふっ、なにを戯言を。第一この図書館に所蔵されている本書の数を想像できぬわけではなかろう」
「へぇ、やっぱりここに情報があるのね」
エンディミオンの言葉に星光は座っていた椅子を蹴飛ばしながら立ち上がるとディスクを構えた。釼都は彼女の様子にやれやれと肩をすくめて壁際へと歩いた。
「なら奪うまでよ」
「……お主は賊かなにかか?」
ディスクを構えた星光にエンディミオンは冷や汗をかきながら腕を突き出すように伸ばし、魔法でディスクを出現させた。
「「デュエル!!」」
―エンディミオンのターン―
「我のターン、ドロー。マジカルフィシアリストを守備表示で召喚!!」
マジカルフィシアリスト/DEF400/M0→1
フィールドに超音波のようなモノを発する魔法使いが出現すると、そのモンスターに魔力カウンターが乗った。やはりというべきか、エンディミオンのデッキは魔力カウンターデッキのようだ。
「カードを4枚伏せ、ターンを終える」
エンディミオン
LP4000 手札1枚
マジカルフィシアリスト/DEF400
伏せカード4枚
―星光のターン―
「あたしのターン(伏せカードが4枚…)あたしは――」
「この瞬間、永続罠バベルタワーを発動!!お互いに魔法カードが発動されるたびにこのカードに魔力カウンターを置き、4つ目のカウンターが乗った瞬間このカードを破壊し、そのプレイヤーに3000ポイントのダメージを与える」
エンディミオンの背後に天へと延びる巨大で歪な塔が聳え立った。そのふもとには4つの灯台がある。
「なら、4つになるまでに使うまで。E-エマージェンシー・コールを発動してE・HEROエアーマンをサーチ、召喚!!効果でデッキからアイスエッジを手札に!!」
エアーマン/ATK1800
バベルタワー/0→1
フィールドに登場したのは星光のフォーチュン・レディ――ではなく、紫苑のE・HEROだった。そしてデッキから加わったのもE・HEROだった。
「星光、お前自分のデッキはどうしたんだ?」
「今紫苑が寝てる状態だけど、目が覚めたらあたしが表にいるのが難しくなるの。普通ならいいんだけど、デュエル中ならフォーチュンレディをあたしから引き継いで使うことになる」
紫苑はデュエルの腕は上がっているとはいえ、それは見慣れたデッキなどならの話だ。フォーチュンレディは癖が強い上に内容も完全にはわからないのだ。
「あたしはいつも紫苑のデュエルを見てるから、このデッキを使いこなせる。なら、紫苑が起きるまであたしは、このデッキを使うしかない。融合を発動!!手札のアイスエッジとフリーズレディを融合!!凍てつけ、アブソルートZero!!」
アブソルートZero/ATK2500
バベルタワー/M1→2
「バトルフェイズ、エアーマンで守備表示のマジカルフィシアリストへ攻撃、エアーショット!!」
「速攻魔法、ドローマッスルを発動!!守備力が1000以下のモンスター、マジカルフィシアリストはこのターン破壊されない、そしてカードを1枚ドローする!!」
バベルタワー/M2→3
マジカルフィシアリストはエアーマンの空気の弾丸を何と素手で弾き飛ばした。魔法使いなのに肉体的な行動をするギャップに星光と釼都は茫然としてしまった。
「さあ、どうする。貴様のターンだ」
「…(すでにバベルタワーに3つのカウンター…これ以上は…)カードを伏せ、ターンエンド」
星光
LP4000 手札3枚
エアーマン/ATK1800 アブソルートZero/ATK2500
伏せカード1枚
―エンディミオンのターン―
「我のターン、貴様はこう思っている。『バベルタワーのダメージを恐れて我が魔法カードを発動するはずがない』と」
「…………!」
確かにその通りだ。エンディミオンのデッキは魔法使いと仮定すると魔法カードが多く存在するはずだ。
バベルタワーのダメージ量を考えると展開するのは難しいはずだ。
「確かにこのデッキは魔法カードによる展開型のデッキ、バベルタワーは我にとっても不都合な存在――なら、その脅威を取り除くまで。リバース罠、魔力昇華を発動!!フィールドのバベルタワーとマジカルフィシアリストのカウンターを取り除いてカードを2枚ドローする!!」
バベルタワー/M3→0
マジカルフィシアリスト/M1→0
「(…そうか、バベルタワーの本来の目的は魔力カウンターを貯めつつ、あたしが魔法カードを使う制限をして、自分のターンだとそのカウンターを使って展開するつもりなんだ…!!)」
エンディミオンのデッキの本来の目的が分かった星光だが、残念なことにこのデッキの速攻魔法は少ない。エンディミオンのターンに魔法カードを使って妨害することは難しかった。
「さらに装備魔法、ワンダー・ワンドをマジカルフィシアリストに装備し、このカードとマジカルフィシアリストを墓地に送りカードを2枚ドローする」
バベルタワー/M0→1
引いたカードがよかったのかエンディミオンは静かに笑っている。だが、エンディミオンのフィールドにモンスターは存在しない。
「我は古のルールを発動!!手札のレベル5以上の通常モンスター、ブラック・マジシャンを特殊召喚する!!」
ブラック・マジシャン/ATK2500
バベルタワー/M1→2
エンディミオンのフィールドに黒魔術師が出現した。その姿は星光や釼都でも知ってる有名なものだった。デュエルモンスターズの地盤を築き、その伝説ともなっているモンスターの1体。
「ブラック・マジシャン…武藤遊戯のエースモンスター…!!」
だが、アブソルートZeroはフィールドを離れると相手モンスターをすべて破壊する効果を備えている。
攻撃力を強化したところでそう簡単に突破は――
「魔法カード黒・魔・導を発動!!相手のフィールドの魔法・罠をすべて破壊する!!」
ブラック・マジシャンが持っていた杖を星光の伏せカードに向けるとそこから黒い雷のような魔法が飛び、伏せカードを粉々に破壊した。
「だが、破壊されたのはダミー・マーカー!!このカード破壊されたとき、カードを1枚ドローする!!」
「ふん…魔法カードの発動により、バベルタワーに魔力が灯る」
バベルタワー/M2→3
「魔導騎士ディフェンダーを守備表示で召喚」
ディフェンダー/DEF2000/M0→1
フィールドにかつて星光は紫苑の目線で見ていた魔導騎士が出現した。そう、ツバキも魔力カウンターデッキだった。その内容は違う軸は同じデッキ。
そのことに星光は覚えている。
「もう一枚の魔力昇華を発動!!」
「!」
はっとしたときにはもう事態は動いていた。先ほどと同じようにディフェンダーとバベルタワーの魔力カウンターが消えるとそれがエンディミオンの手札へと変わった。
ディフェンダー/M1→0
バベルタワー/M3→0
「ふっ…」
手札が4枚と再び増えてその中に意中のカードを引けたのか口元を緩ませていた。
「我は、フィールドのブラック・マジシャンをリリース、黒魔導の執行官(ブラック・エクスキューショナー)を特殊召喚!!」
「黒魔導の執行官!?」
黒魔道の執行官/ATK2500
ブラック・マジシャンが魔法神官のローブを着ている姿へと変貌した。その姿は黒の魔法神官と似ており威圧感も上がっていた。
「このモンスターがフィールドに存在する限り、お互いに通常魔法が発動されるたびにお前に1000のダメージを与える。さらに装備魔法ワンショット・ワンドを黒魔導の執行官に装備! 効果で攻撃力が800ポイントアップする!!」
黒魔導の執行官/ATK2500→3300
バベルタワー/0→1
「そして、我は1000のライフを払い拡散する波動を発動!!黒魔導の執行官はモンスターすべてに攻撃し、さらに戦闘で破壊したモンスターの効果を無効にする!!」
「! (それなら、アブソルートZeroの効果が…!!)」
エンディミオン/LP4000→3000
アブソルートZeroの効果はフィールドを離れるとき、つまり破壊されたときに発動する。破壊されたときの効果を無効にされては効果を発動することができない。
「忘れておるまいな、黒魔導の執行官の効果発動!!相手に1000のダメージを与える!!」
「ッ…!!」
星光/LP4000→3000
ダメージを受けた星光。さらに魔法カードの発動ということでバベルタワーに魔力カウンターが灯る。
バベルタワー/M1→2
「バトルフェイズ、黒魔導の執行官で貴様のすべてのモンスターへ攻撃!!」
「ッ…あああああああああああ!!!!!」
星光/LP3000→2000→1700
ライフが削られた上にフィールドのカードが一掃されてしまった。さらにライフポイント的にもアドバンテージを取られている。
「(バベルタワーには2つ目の魔力カウンターが乗った…あと2つ乗った瞬間、星光は敗北する)」
だが、それは難しい状況だった。E・HEROデッキは融合による展開が主流だった。しかし、融合召喚関連のカードは魔法カードだ。発動したら星光は敗北してしまう。
「ワンショット・ワンドの効果により、このカードを破壊しカードをドローする、手札を全て伏せてターンを終える」
エンディミオン
LP3000 手札0枚
黒魔道の執行官/ATK3300→2500 ディフェンダー/DEF1600
バベルタワー/M2 伏せカード2枚
―星光のターン―
「あたしのターン(おまけに、ディフェンダーで一度の破壊を無効にされる。カウンターはバベルタワーで十分…部が悪すぎる)」
「(シゲルならなんとか出来たかもしれないが…)」
使える通常魔法はたったの1枚。手札には融合をサーチするカードが存在しているが、発動後、ダメージを受けたとしても決着をつけるのは不可能だった。返しのターンでバーンダメージで敗北するのも目に見えている。
「…手札のフージョン・サポーターの効果を発動、このカードを捨てることでデッキから融合召喚する魔法カードを手札に加えることができる、ミラクル・フュージョンを手札に加えてプリズマーを守備表示で召喚!!」
プリズマー/DEF1200
「プリズマーの効果、エクストラデッキのプロテクト・ウォールを選択してウィンド・シールドを墓地に送り、同じ名前を得る。カードを伏せてターンエンド!」
星光
LP1700 手札3枚
プリズマー/DEF1200
伏せカード1枚
―エンディミオンのターン―
「我のターン、(あのモンスターはおそらくウィンド・シールドとやらを落とすためのモンスター…なら、考えられるのは墓地からの発動。しかし、残念だったな、小娘)リバース罠、異次元への隙間を発動!!属性を一つ宣言し、お互いの墓地よりその属性のモンスターを2体除外する」
「(やっぱり、ばれるか…)」
「選択するのは風属性、お主の墓地に存在するエアーマンとウィンド・シールドを除外する」
墓地にいた2体の翼をもつHEROが除外されてしまった。問題は残る手札と伏せの2枚が通常魔法だった場合、星光のライフが尽きるということだ。
「…安心せい、これは通常魔法ではない。カードを伏せる」
「(伏せカードが2枚…両方とも罠…いえ、おそらく…速攻魔法…!!)」
バベルタワーの魔力カウンターは魔法カードの発動処理を終えた時点で貯まる。つまり星光が発動した魔法カードに対して速攻魔法をチェーンで使用すれば3000のダメージが星光へと与えられることになる。
裏を返せばエンディミオンの魔法に対して逆に星光が速攻魔法を使えば3000のバーンダメージを与えれた。
「ディフェンダーを攻撃表示に変更し、バトルフェイズ」
「メインフェイズ終了時、速攻魔法英雄変化を発動!!フィールドのE・HEROをデッキに戻し、別のHEROを特殊召喚する!!」
プリズマーがまるで吸い込まれるかのようにして星光のデッキへと戻る―――が、何かに気づいたのか、振り返った。
そこにはエンディミオンの発動したカードがあった。
「速攻魔法、禁じられた聖槍を発動!!これにより、貴様のプリズマーは魔法・罠の効果を受けず、更にバベルタワーへカウンターが乗る!!」
バベルタワー/M2→3
カードから飛び出した聖槍がプリズマーを貫くと、そのまま本棚へと突き刺さり、身動きができなくなった。
攻撃力は下がるものの、守備表示のため意味はない。
「っ…(ここに来てそんなカードを―!!)」
だがこれにより、英雄変化の効果を受けれなくなりバベルタワーのカウンターも乗る。まさに最善の一手となる。
「そして、効果が不発となった英雄変化の処理後――バベルタワーの効果を発動!!3000ポイントのダメージを受けるがいい!!」
バベルタワーが消滅し、それが一つの巨大な魔力弾へと変わる。隕石のように音を立てて星光へと向かうそれにフィールドから対処できるカードはない――
「―――なに!?」
それを体を盾にして一体の龍が守った。だがフィールドにも墓地にもそのカードは存在しない――そう、手札から発動するカードだった。
「手札のフレンドラゴンの効果を発動!!効果ダメージが発生したとき、それを0にして特殊召喚する!!」
フレンドラゴン/DEF1200
「クッ…なら、このままバトルだ!!ディフェンダーでフレンドラゴンへ攻撃!!」
「ありがとう、フレンドラゴン…」
二度目の盾となり、そして破壊されたモンスターに星光は礼を述べた。だが、その余韻もなく黒魔導の執行官の攻撃がプリズマーへと迫った。
「プリズマー…!!」
「これで貴様のフィールドはがら空き。通常魔法も1枚しか使えぬ。ターンエンド」
エンディミオン
LP3000 手札0枚
黒魔導の執務官/ATK2500 ディフェンダー/ATK1600
伏せカード1枚
―星光のターン―
「あたしのターン!!E・HEROシンクロンを召喚!!」
E・HEROシンクロン/ATK0
フィールドに小さな勇者が召喚された。だが、彼の役目は力の持つHEROをさらに進化させるものだ。
「貴方は通常魔法が1度しか使えないと言ったよね?突破は1枚使えれば十分、ミラクル・フュージョンを発動!!墓地のフリーズ・レディとアイスエッジを除外し、E・HEROダイヤモンド・ダストを融合召喚する!!」
ダイヤモンド・ダスト/ATK2700
フィールドに氷でできた女性が出現した。すると一気に図書館内が凍り付くような冷気が広がった。
「ダイヤモンド・ダストの効果を発動!!融合召喚成功時、相手フィールドのモンスターの効果をすべて無効にする!!」
「(攻撃力も申し分ないが、問題はあの伏せカードだ。あいつはそれをわかってるのか?)」
「………ふっ」
ダイヤモンド・ダストの冷気に黒魔道の執務官とディフェンダーは凍りつく――が、その冷気の一部が謎の棺に吸い込まれていく。
「リバース罠、黒魔族復活の棺を発動!!相手の召喚、特殊召喚成功時そのモンスターと自分のフィールドのモンスターをリリースし、デッキ・墓地より魔法使い族モンスターを特殊召喚する、我はディフェンダーと貴様の召喚したダイヤモンド・ダストをリリース!!」
吸い込まれるようにしてダイヤモンド・ダストがその棺の中に消えた。だ
「我は墓地のブラック――!?」
突然、棺が爆散するようにしてその中から蒼いシルクの衣を身に纏い、杖のようなものを構えた少女が出現した。
「なに!?」
ミラージュガール/ATK100
なぜエンディミオンのブラック・マジシャンではなく成功のミラージュガールが出現したのか。
「瞬間融合を黒魔族復活の棺の発動に対して発動した。このカードは自分のフィールドの決められた素材を墓地に送って融合モンスターを融合召喚する速攻魔法」
「クッ…フィールドに残っていたシンクロンと融合してそのモンスターの召喚、そして片方でも対象がいなくなった黒魔族復活の棺は効果が不発となり、ブラック・マジシャンの蘇生を封じた――」
先ほどの禁じられた聖槍と同じように、逆に一枚のカードでエンディミオンの行動を封じた。
そしてダイヤモンド・ダストの効果で黒魔道の執務官の効果は無効となった。
「更に、すべての効果処理後、新たにミラージュガールの効果を発動!!墓地に融合とミラクルフュージョンが存在するためカードを2枚ドローする!!」
「(フレンドラゴンで融合を回収しなかったのはこれが目的か…)」
だが、それでも星光の手札は2枚。フィールドはミラージュガールのみ。召喚権も使用して逆転できる可能性は少ない。
「魔法カード、HEROの遺産を発動!!墓地に存在するレベル5以上のHEROを2体除外してカードを2枚ドローする、アブソルートZeroとダイヤモンド・ダストを除外!!」
融合HEROはすべてレベル5以上のため、このカードの発動は終盤では容易だった。
「魔法カード、HERO'Sボンドを発動!!自分フィールドにHEROが存在する場合、手札のE・HEROを2体特殊召喚することができる、フォレストマンを召喚!!」
フォレストマン/ATK1000
フィールドに守備に長けたHEROが構えた。そしてよくよく考えてみればミラージュガールは融合モンスターでありながらレベル3のチューナーでもあるのだ。
「レベル4のフォレストマンにレベル3のミラージュガールをチューニング!!
我を受け入れし純粋なる心よ、その力を具現化し勝利を導け!!」
☆4 + ☆3 =☆7
「シンクロ召喚!! 紫苑、力を借りるよ…ファントム・ブルース・ドラゴン!!」
『キュルァァァァァァァ!!!』
ファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800
フィールドには紫苑のエースであり精霊の竜であるドラゴンが出現した。
「ファントム・ブルース・ドラゴンの効果を発動!!手札のカードを1枚捨てることで、同じ種類のカードを手札に加えることができる!!手札の融合解除をコストに、墓地のミラクル・フュージョンを加える!!」
「なっ!?」
「発動、墓地のミラージュガールとシンクロンを除外融合!!煌めけ、Theシャイニング!!」
シャイニング/ATK2600
「シャイニングの効果を発動!!除外されているE・HEROの数だけ攻撃力が300ポイントアップする!!除外されているのは6体、よって1800ポイントアップ!!」
シャイニング/ATK2600→4400
「バトルの前にはいてもらうよ。アンゲロスはどこ?」
「……………話せぬ」
エンディミオンは頑なに情報を口にするのを拒んでいた。それに星光は一つため息をついた。
「シャイニング、ディフェンダーを滅殺しろ――オプティカル・ストーム!!」
「ぐおおおおおおおおおおおお!!!!?」
エンディミオン/LP3000→200
星光の魔力が込めたシャイニングの光のビームがディフェンダーを焼き尽くし、そしてエンディミオンに通常以上のダメージを与えた。
「あたしも魔法使い、ダメージを実際のモノに変えることなんて造作もない。ねぇ、この魔法都市の頭脳のあなたなら知ってるんでしょ?精霊としての力を持つモンスターの攻撃はより一層激しいって」
「っ…」
星光の言う通り、ダメージ量的にはシャイニングのほうが多いが、実際のダメージに換算すると精霊のファンのほうが激痛が走るのだ。
「最後の警告、喰らいたくないなら話しなさい」
「……いわ、ぬ…」
若干恐怖があるのか、声が震えながらもエンディミオンは拒否をした。
それに残念そうながらも星光はニカッと笑った。
「そう、ならいい」
その笑顔に隠された意図にエンディミオンは気づいた。
「ま、まさか……」
「ええ、紫苑のカードでやりたくなかったから聞いただけ。貴女を吹き飛ばしてその机の中の情報をもらう」
エンディミオンの背後にある彼が先ほどまで腰かけていたテーブル。その中に情報があるのだ。しかし、なぜ星光が気付いたのか。
「先ほどからちらちらと情報の話になるとその机に手をかけてたね。心ってのは案外もろいもので、心配なことになるとその原因のほうへ見たり、気にする仕草をする」
「ま…まてっ――!!」
「ファン、ファントム・ガスト!!」
『キュルアァァァァァァァァ!!!』
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
エンディミオン/LP200→0
霧に呑み込まれて破壊された黒魔導の執務官とその超過ダメージ、そして効果ダメージにエンディミオンはそのまま本棚へと吹き飛ばされて失神したようだ。
「お、おいおい…やりすぎじゃね?」
「気づいてないの?あのエンディミオン、アンゲロスと繋がってるよ」
釼都と星光はただ、仲間の捜索のためにアンゲロスの情報を教えて欲しいと言っていたのだ。だが、エンディミオンはそれが「姫野椿」だということを知っていたのだ。
「なら情報を引き出せば良かったんじゃねぇか」
「シャイニングの攻撃で口を割らないなら引き出すのは無理だよ。それ以上やったら本当に…ね?」
最期の「ね?」を可愛く言う星光だがその背後に見えた死神にただただ釼都は引き吊った笑みを浮かべるしかできなかった。
「っと、あった」
星光は机の引き出しから目的のものを取り出した。エンディミオンの文字は外国で使われている文字の組み合わせのようなものだが、かろうじて【アンゲロス】という文字がわかる書類を見つけた。
―図書館外―
「ん?」
目的のものを持って外に出た釼都と星光を待つようにユウ達、待機組がいた。
だがそこにはルキとマナの姿がなかった。
「お前ら、なんでいるんだ?」
「逃げてきたんだ、街のやつらが襲ってきた」
―十分前―
「釼都達、大丈夫かな」
「神聖魔導様は融通が利かないところがあるからね…」
情報を得に行った2人のことを身にあんじているユウにルキは少し苦笑いしながら答えた。すると、ドアがノックする音が聞こえた。
「ルキ、マナ!! いるか!」
「ん? あの声はブラッドかな?」
マナはそう言いながら玄関へと向かった。
ブラッドは声が大きいのか、会話がリビングにいたユウ達にまで聞こえていた。
「マナ!! 緊急事態だ!!」
「どうしたの、それと声が大きい」
シゲルが寝ているからか、声を小さくするように注意するマナだが、ブラッドはそんなことは関係ないというようにまくし立てていた。
「例の捕縛対象の人間が紛れ込んでいるのがわかったんだ!!」
「えっ!」
「「「「!!!!???」」」」
ブラッドの言葉にマナもルキも、ユウ達も驚いた。ルキの表情を見る限りただ事ではないということがわかるが、一体なぜ自分たちを捕まえる指示が出たのか。
「ほ、捕縛対象って…」
「あの子供…姫野椿を追ってきた子供のことだよ!忘れたのか?儀式が終わるまで塔に近寄らせるなって言ってただろ?」
「え、でも儀式をやるなら塔は閉鎖されるんじゃ…」
その言葉にユウは気づいた。この街の住人はツバキのことを知っていると。
そして、ルキもマナもそのことを黙っていた。さらには自分たちの捕縛指令も出ていたと。
「騙してたの…ルキ…」
「え、あ、ち、違う!」
「ん?誰かいるのか?」
ルキの言葉が聞こえたのかブラッドがそう言った。
「逃げるぞ!!」
「…ルキ…!!」
万丈目の言葉に従うようにユウは信じられないようという風にルキを見て、窓から外へと逃げた。
残されたルキは立ち去った4人をただ茫然と見るしかできなかった。
―回想終了―
「…というわけだ」
万丈目の説明を聞いて釼都は大きなため息をついた。まさか協力してくれるであろう精霊たちが敵側の存在だったのだ。
「はぁ……ひとまず、安全な場所を探すぞ」
「…それなら心当たりがある。紫苑が捕まっていたあの研究所ならセキュリティがあるはずだから外にいるよりはましなはずだ」
釼都の言葉に同意するようにシゲルが進言した。そうシゲルが――
「ってか、なんでお前起きていれるんだ??」
明らかに致死量の吐血をしたはずなのに何事もなく立っているシゲルに先ほどとは別の理由に引き攣った笑みを浮かべる釼都であった。
ユウ「エンディミオンの皆が敵なんて…」
シゲル「ツバキがいたらすごい落ち込みそうだな…」
釼都「さて、まずは最初のところの話からするか」
えーっと、まずは2人の合流からね
シゲル「俺と釼都といないジュンコが調べてたってやつか」
調べてたのはツバキがいた痕跡なんだけど、いろんな妙なところがあったって感じです。
星光「妙なところ?」
例えば名簿を見たら出席番号がずれていたり、ブルー寮の当時の部屋割りを見たら妙な空き部屋があったり、今回のチーム寮でもあったけど。
そしてそのことに誰も不自然に思ってないことに疑問を持ったという感じです。
ユウ「そういえば、ジュンコさんは来てないの?」
シゲルの説得で留守番です。
紫苑「そういえば、私も出番がない感じでしたよね?」
うん、まあそのうち出てくるはずだと思うので
星光「なんではっきりしてないの…」
そして見えてきた敵の存在
釼都「アンゲロス…か」
紫苑の救出の時にアラエルがユウと勝負し、そして後に管理局との戦いでツバキのデッキを使用して妨害してくるという出番だった。
シゲル「それが今回の相手…か」
ユウ「ちょっと飛ばして最後らへんだけど…」
うん、シゲルが人間やめ始めてるね
シゲル「そこじゃねぇ!!いや、それもあるけど!!」
紫苑「シゲルは人間じゃなかったりして…」
星光「茶番は置いておいて、最初も言ってたけどエンディミオンの人も敵なのね…」
そこらへんは次回に話すことにします。あ、ちなみに次回はデュエルなしです。
釼都「珍しいな」
逆にデュエル無しの回がなさすぎるから、一回間を置く感じで入れてみることにします。(ネタがあまりないから消費したくないって言えないし)
そして今回のデュエル
ユウ「星光は紫苑のHEROデッキで戦ってたね」
その理由は紫苑が目が覚めた時、つまり意識が戻ったら主導権は紫苑に戻ってしまうから。十代との戦いは精神的にボロボロだったからそうでもなかったんだけど、本来は紫苑の体だからね。
釼都「ミラージュ・ガールが出たらファントム・ミラージュ・ドラゴンが出るかと思ってたぞ」
実を言うとアニメでもフォーミュラ・シンクロンが出たとき、それでスターダストとかシューティング・スター以外のシンクロモンスターを出さないのかなと思っていた結果がこれです。
シゲル「確かにほかの召喚とかできそうでもあるけどな」
まあ、アニメの方は基本的にアクセルシンクロ時、ほかにモンスターがいないのでやってないんですけど。
ユウ「エンディミオンのデッキは魔力カウンターデッキ?」
そうだね、ただこのデッキ実は、ベースは『魔法使いの裁き』にしてるの
シゲル「ああ…今回のキーカードの黒魔導の執務官が収録されてるストラクチャーデッキか」
最初に召喚されたマジカルフィシアリストも当初、ハンニバルネクロマンサーだったんだけどライフポイントとエアーマンの攻撃力の関係で変更した。意外にアイツ、守備力が1800もあるから。
さて、次回はデュエルなしです。