「人間界が…崩壊する…!?」
ユウが口にした言葉。男性から言われた言葉。
その衝撃が9人に襲い掛かった。
「そう、そしてそのことを姫野椿は知っていた。それをお前たちに告げることもなく、ここにやってきた」
「う、嘘だ!!そんなことをツバキがやろうとするはずはない!!」
「ならそのままそこにいるんだな。あと数時間もすれば、それがわかる」
つまり残り時間は数時間しかない。人間界の崩落までの制限時間内にツバキの祈祷を止めるしか方法がない。そう考えた万丈目が一歩前に出てディスクを構えた。
「万丈目?」
「ほう…?」
「俺が相手をする、お前たちは先に行け」
そう勇んでいる万丈目だが、手が震えていた。無理もない、セブンスターズや光の結社とは違う『殺意』に慣れている釼都でさえ緊張感を持っているほどだ。
「小僧、お前が相手をするのか?」
「小僧じゃない、俺は万丈目準、未来の人間界のデュエルキングだ!!」
勇むようにディスクを起動させる万丈目に男性は楽しそうに笑った。
「万丈目準、なるほどいい名前だ…そうだな、俺も名乗るか。改めて――
ザフキエル・モラクス、仲間内からはザフキと呼ばれてる。この塔の番人だ」
そういうとパチンっと指を鳴らしたザフキ。それと同時に万丈目とユウ達の間に琥珀のような膜が生み出された。
「なんだこれは!?」
「クッ、固いぞ!!」
万丈目と釼都がその壁を叩くが、まるで宝石のような硬さにビクともしない。
「相手を抑え込んで、進むってのはいい判断だが俺の面子としてよろしくないからな。足止めさせてもらおう」
「ッ……!!」
それなら危険な戦いに真っ先に万丈目が飛び込む必要もなかった。それは完全に判断ミスでもあり非常に危険な状態だった。
「そして、もう一つ…アンゲロスの天属は試練の力を持っている。これは貴様も受けることとなる」
「試練だと…そんなものにビビる万丈目サンダーではない!!」
その答えに満足したのかザフキも構えた。
それと同時に囲い込むように更に琥珀が広がり、闘技場の様に様変わりした。
「さあ、試練の時間だ――」
「くっ…!!」
「「デュエル!!」」
―ザフキのターン―
「俺のターン、モンスターを伏せてターンエンドだ」
ザフキ
手札5枚 LP4000
伏せモンスター1体
伏せカード無し
―万丈目のターン―
「俺のターン!!(伏せモンスターのみ…攻撃を誘っているのか…?)その程度の威嚇で揺さぶられるこの万丈目サンダーではない!!Y-ドラゴン・ヘッドを召喚!!」
Y-ドラゴン・ヘッド/ATK1500
フィールドに万丈目の強力モンスターVWXYZの一体であるユニオンモンスターが召喚された。
だが攻撃力は中の下といったあたりでアタッカーとしては難しいカードだ。
「バトルだ、Y-ドラゴン・ヘッドでセットモンスターに攻撃!!ドラゴン・キャノン!!」
「…ふっ…」
だが、予想に反して伏せられていたモンスターが破壊された。つまり、守備力が1400以下ということになる。するとザフキの墓地が光った。
「セットモンスター、魔導雑貨商人の効果を発動!!このモンスターはリバースしたとき、デッキの上から魔法・罠が出るまでめくりそのカードを手札に加えて残りを墓地に送る……決闘融合-バトル・フュージョンを手札に加えて残りの9枚のカードを墓地に送らしてもらおう」
「(墓地肥やし…それにバトル・フュージョン、卒業デュエルでカイザーと十代の使ったカード…融合モンスターの攻撃力を戦闘を行うモンスターの攻撃力分アップさせる速攻魔法だ。十代のミラクル・フュージョンみたいなカードを使うつもりか…?なら)カードを2枚伏せてターンエンドだ!!」
万丈目
手札3枚 LP4000
Y-ドラゴン・ヘッド
伏せカード2枚
―ザフキのターン―
「俺のターン、魔法カードジェムナイト・フュージョンを発動!!このカードは手札・フィールドに存在するジェムナイトを素材として融合する融合だ、手札のルマリンとジェムナイト・サニクスを墓地に送り、ジェムナイト・パーズを融合召喚!!」
フィールドに黄色い鎧を身にまとって変わった形の双剣を持つ戦士が出現した
ジェムナイト・パーズ/ATK1800
「この瞬間、リバース罠ヘル・ポリマーを発動!!相手が融合召喚をしたとき、自分フィールドのモンスターをリリースしてそのコントロールを奪うカードだ!!」
Y-ドラゴン・ヘッドが生贄に捧げられると炎のロープにパーズが捕獲されて万丈目のフィールドに移された。過去に十代のフレイム・ウィングマンを奪ったカードでもある。
「よし!これであいつの融合モンスターを――」
「…いや、まだなにか来るぞ!!」
「それで俺の手を奪ったと思ったら大間違いだ、墓地のジェムナイト・フュージョンの効果を発動!!墓地のジェムナイトモンスターを除外することでこのカードを手札へ戻す、墓地のルマリンを除外して手札に戻す!!」
「なにっ!?」
融合デッキの一番のネックは融合召喚に必要な魔法が存在しなくなった時に展開ができなくなることだ。だから十代も紫苑も融合サーチ・回収系のカードを多く入れている。だがあの魔法カードは墓地からモンスターを除外するだけで手札に戻せるというのだ。
「再びジェムナイト・フュージョンを発動!!ジェムナイト・オブシディアとジェムタートルを融合、豪打せよ、ジェムナイト・ジルコニア!!」
ジェムナイト・ジルコニア/ATK2900
今度はパーズによく似ているがふたまわり以上に胴体が大きい岩石の鎧のモンスターが出現した。
万丈目が奪ったパーズよりも攻撃力が高く、相手を殴り倒すことが目的のモンスター。つまり――
「俺の伏せカードを読んでいたのか!?」
「【人間】…その種族が考えることなぞお見通しだ。略奪、破壊、制圧、支配――その負の感情を持つ生き物がそれだからな。素材となったオブシディアの効果を発動!!墓地のレベル4の通常モンスターを特殊召喚する、ジェムナイト・サニクスを特殊召喚!!」
ジェムナイト・サニクス/ATK1800
ジルコニアの横に刺付きの鉄球を持った騎士が出現した。どうやらデュアルモンスターのようで、効果は今のところないようだが十分なアタッカーでもあった。
「まずい、バトル・フュージョンでパーズの攻撃力をジルコニアに加算されてサニクスの直接攻撃をくらったら万丈目のライフが尽きるぞ!!」
「バトルだ、ジェムナイト・ジルコニアでジェムナイト・パーズに攻撃!!そしてその瞬間、バトル・フュージョンを発動だ、ジェムナイト・パーズの攻撃力を吸収する!!」
ジェムナイト・ジルコニア/ATK2800→4600
「ま、まだだ!!ダメージを受ける前に罠カード、体力増強剤スーパーZを発動!!2000ポイント以上のダメージを受けるとき、4000ポイントライフを回復する!!」
ジルコニアがその巨椀でパーズを殴り飛ばした。粉々になった鎧が万丈目に降り注ぐが、彼にはライフゲインの方が大きくダメージが少なかった。
万丈目/LP4000→5200
「うまく避けたか…だが、本当の試練はここからだ、サニクスで直接攻撃!!」
「クッ…うおおおおおおおおおおおおお!!!」
万丈目/LP5200→3400
なんとかダメージを最小限に抑えたが、それでも闇のゲームのようにダメージが大きい。かつて戦ったセブンスターズの時のような――いや、それ以上の恐怖があった。
「っ…なっ…なんだ…これは――!?」
「お、おい、万丈目の体が…!!」
万丈目の左足、それが宝石に変わっていた。
ガラスのような半透明で地面と完全に接合しており、彼が動かそうとしても全くビクともしなかった。
「それが試練――貴様のライフが削られるたびに、その身は我が力に犯されていく。そして最後のライフが亡くなった時、完全な宝石となり永遠に魂は囚われる」
「なっ…」
「待て、俺が引き継ぐ!!万丈目はただの人間だ、そんな試練受けさすな!!」
釼都が焦りながら壁を叩いて声を荒げた。だが、それを止めたのは万丈目だった。
彼は自分の命が危ないというのにそれでいて冷静――いや、体は震えているが、それでもそれを断った。
「釼都、俺を誰だと思っている…何度も言ってるがいずれはプロリーグの王者になる万丈目サンダーだ!!こんな試練、どうってこない!!」
「ほう…いささか骨がある言葉だな。だが、その虚言がいつまで持つか楽しみだ。サニクスはデュアルモンスター、その効果により召喚権を放棄し、デュアル召喚、ターンエンド」
ザフキ
手札2枚 LP4000
ジルコニア/ATK2900 サニクス/ATK1800
伏せカード無し
―万丈目のターン―
「俺のターン!!魔法カード、死者蘇生を発動!!墓地のY-ドラゴン・ヘッドを特殊召喚する!!」
Y-ドラゴン・ヘッド/ATK1500
「さらに、チューナーモンスター、ゲリラカイトを召喚!!」
ゲリラカイト/ATK1600
ドラゴン・ヘッドの横に悪魔のような顔をした凧が出てきた。これが彼が考えた新しい戦い方だった。
「レベル4・光属性のY-ドラゴン・ヘッドにレベル4のチューナーモンスター、ゲリラカイトをチューニング!!
終幕を告げる光よ、神龍となりて我が手より敵を撃ち滅ぼせ!!」
☆4+☆4=☆8
「シンクロ召喚、ライトエンド・ドラゴン!!」
フィールドに万丈目の新しいモンスターの片割れ、すべてを制圧する力を持った光のドラゴンが出現した。
ライトエンド・ドラゴン/ATK2600
そのライトロードに似た美しさにレイが息をのんでいるとザフキの頭上にいつの間にかゲリラカイトが浮遊していた。
「ゲリラカイトの効果だ、墓地に送られたとき相手に500のダメージを与える!!」
「…ふん」
ザフキ/LP4000→3500
500ダメージと、微量な威力にあまりダメージを受けていないようだった。
なら、さらにダメージを与えてやると万丈目が意気込んでジルコニアへ向かって指をさした。
「ライトエンド・ドラゴンでジェムナイト・ジルコニアに攻撃!!」
「えっ!?」
効果を知らないレイと響は驚いているが、同じように効果を知らないユウやシゲルはあまり驚いていない。それは万丈目の腕を買っているため、彼がなにも意味がないことをしないと理解しているからだ
「ライトエンド・ドラゴンは戦闘を行う時、500の攻撃力をダウンさせることで相手の攻撃力を1500ポイントダウンさせる!!ライト・イクスパンション!!」
「なにっ…!?」
ジルコニアATK2900→1400
ライトエンド・ドラゴン/ATK2600→2100
はじめて驚いたような声を上げたザフキ。どうやら先ほどのヘルポリマーの時から万丈目の腕を低く見ていたようだ。
「行け、シャイニングサブリメイション!!」
「クッ…!!」
ザフキLP3500→2800
ダメージを負った影響なのか、ザフキの鎧にひびが入っていた。
万丈目は自分の優位に少し安心しながらカードを伏せた。
「1枚伏せ、ターンエンド!!」
万丈目
LP3400 手札1枚
ライトエンド・ドラゴン/ATK2100
伏せカード1枚
―ザフキのターン―
ザフキのターンになったがそれでもカードを引こうとしない。鎧の首筋にあたるところにできた傷を指でなぞって確かめているようだった。
「……ふむ、失礼を詫びよう。人間」
「なに…?」
先ほどまでの余裕がある顔ではなく、戦士という言葉がふさわしい笑みの無い顔に万丈目が構えた。
「ザフキエル・モラクスの名において、貴様には天属の戦士として相手をしてやろう」
「あいつ…まだ本気じゃなかったのか…!!」
十代がげんなりとしたように呟いた。言われてみれば、ジェムナイト・ジルコニアは効果を持たない融合モンスターだ。もし他に効果のあるジェムナイトを出されていたら万丈目がやられていた可能性は大いにある。
「俺のターン!!墓地のジェムナイト・アンバー除外し、ジェムナイト・フュージョンを再び俺の手札に加える、そして発動!!」
「ッ…!!」
万丈目がライバルと認めている十代でさえもここまで高速かつ大量に融合で展開することはなかった。それは融合に限りがあったからだ。
「手札のオブシディアとフィールドのサニクスを融合、その灼熱の剣で敵を灼斬せよ、ジェムナイト・マディラ!!」
ジェムナイト・マディラ/ATK2500
今度は溶岩のような赤い大剣を持った宝石騎士が登場した――と、同時にその横に青い鎧の宝石騎士が出現した。
ジェムナイト・アイオーラ/ATK1300
「ジェムナイト・オブシディアは手札から墓地に行ったとき、墓地の通常レベル4モンスターを蘇生することができる。アイオーラはデュアルモンスター、よって蘇生が可能!!」
「デュアルモンスター…?」
あまりカードを知らない響とレイはその名前に首をかしげていた。
「効果モンスターだが、フィールドと墓地にあるときは通常モンスターとして扱うモンスターのことだ。癖があって使いこなすのが大変だが、効果は強力だ」
「その通り、俺は召喚権を放棄しアイオーラをデュアル!!その効果で墓地のジェムと名の付くモンスター、ジェムタートルを除外し墓地のジェムナイトと名の付くカードを手札に加える、ジェムナイト・ラズリーを手札に!!」
墓地のカードのみで行った回収のため、単純に手札が1枚増える計算になる。それは後々で響くのが明白だった。
「バトルフェイズ、ジェムナイト・マディラで貴様のライトエンド・ドラゴンへ攻撃する」
「なにっ…ライトエンド・ドラゴンの効果を――!?」
発動しようと口を開き、光を放ったそれはマディラの溶岩の剣に阻まれてしまった。
「ジェムナイト・マディラは戦闘を行う場合、攻撃宣言から相手はモンスター効果を発動することができない」
「ッ…!!」
胴体を一閃され、苦しそうなうめき声をあげてライトエンド・ドラゴンが破壊されてしまった。戦闘では圧倒的な破壊力を誇るライトエンド・ドラゴンでこれなのだ。
万丈目/LP3400→3000
「さらに、ジェムナイト・アイオーラの攻撃!!」
「うわあああああああああああ!!!」
万丈目/3000→1700
今度は右脚が宝石に覆われ始めた。だが万丈目は、その光景に恐怖しながらも戦う姿勢を崩そうとはしなかった。
「リバース罠、ダメージコンデンサー!!手札を1枚捨て、受けたダメージ以下の攻撃力を持つモンスターを特殊召喚する!!攻撃力1300のアームド・ドラゴンLv3を召喚、さらに墓地に送ったカードはおじゃマジック!!その効果でデッキから雑魚を3体手札に加える!!」
アームド・ドラゴンLv3/ATK1300
おじゃマジックをコストにするのは確かにいいコンボかもしれない。
だが、それによって万丈目の手札はおジャマ三兄弟しかいないのが分かってしまっている。
「カードセット、エンドだ」
ザフキ
LP2800 手札1枚
マディラ/ATK2500 アイオーラ/ATK1300
伏せカード1枚
―万丈目のターン―
「俺のターン、このスタンバイフェイズに俺のフィールドのアームド・ドラゴンはレベルを上げる!!」
アームド・ドラゴンLv5/ATK2400
だが、攻撃力はわずかながらマディラに届いていない。しかしその横には攻撃力が圧倒的に低いアイオーラがいる。
「バトルフェイズ、アームド・ドラゴンLv5でジェムナイト・アイオーラへ攻撃!!アームド・パニッシャー!!」
「ぬるい!!リバース罠、輝石融合を発動!!このカードはフィールド、および手札のジェムナイトを融合させる罠カードだ!!」
「ジェムナイト専用の罠融合!?」
するとフィールドの2体のジェムナイト――だけではなくて、手札に戻したラズリーも融合素材として墓地へと送られた。
「フィールドのアイオーラとマディラ、手札のラズリーを素材に括目せよ、その七色に光る玉を携える騎士の主の姿を!!ジェムナイトマスター・ダイヤ!!」
フィールドにダイヤモンドの鎧を身にまとった、どことなくザフキの鎧に似た宝石騎士が登場した。
するとザフキの墓地から7色の光がいくつかダイヤの剣に集まりだした。
「ジェムナイトマスター・ダイヤは墓地に存在するジェムナイトの数だけ攻撃力を100上げる、今墓地には14体のジェムナイトが眠っている。
「14だと…!?」
ジェムナイトマスター・ダイヤ/ATK2900→4300
まさか、最初の魔導雑貨商人で墓地を肥やしたのはジェムナイト・フュージョンではなくてこの効果のためだったのか。
「最後にジェムナイト・ラズリーの効果、墓地のジェムナイトを回収する――オブシディアを手札へ」
いろいろと行動をしているが、まだ今は万丈目のバトルフェイズだった。しかし、アイオーラがいなくなってしまいLv5が勝てるモンスターがいなくなってしまった。
「ッ…俺は、バトル終了させる。カードセットでターンエンドだ!」
万丈目
LP1700 手札3枚
アームド・ドラゴンLv5/ATK2400
伏せカード1枚
―ザフキのターン―
「俺のターン」
「(ダイヤの攻撃力は丁度アームド・ドラゴンを破壊して万丈目のライフを削りきることができる。手札の片方はオブシディア…)」
もしここで融合素材がそろっているのなら万丈目が勝てる可能性がガクッと下がってしまう。
「ジェムナイトマスター・ダイヤの効果を発動!!このモンスターは墓地のジェムナイトと名の付く融合モンスターを除外することでその効果を得る!!」
「墓地のジェムナイト…ジルコニアは効果を持ってない(なら、攻撃反応系を警戒してマディラか…? けど、そしたら万丈目のライフを削りきるのは不可能だ)」
釼都がそう思っていたが、一つだけ失念していた。ザフキの墓地にはもう一体融合体が眠っているのを。
「墓地のジェムナイト・パーズを除外!!」
「あれは、万丈目がヘル・ポリマーで奪ったカードだ!」
そう、もう一体いたジェムナイトの融合モンスター。だが、出現して早々にジルコニアに破壊されて効果が分からない。
ダイヤ/ATK4300→4200
「バトルフェイズ、マスター・ダイヤでアームド・ドラゴンLv5へ攻撃!!パーズ・ジェムソウル!!」
「まだだ!!ドレインシールドを発動、攻撃を無効にしてその分ライフを回復する!!」
アームド・ドラゴンを守るかのようにバリアーが張られるとそこに攻撃したダイヤの衝撃が万丈目に光の雨となって降り注いだ。
万丈目/LP1700→5900
「やった! これでライフは初期値より多くなった!!」
「甘いな、ダイヤが吸収したパーズの効果を発動!!このモンスターは1度のバトルフェイズで2度の攻撃ができる!!追撃せよ、ダイヤ!!」
ダイヤの持っていた剣がまるで双剣のように分裂するとその連続攻撃によってアームド・ドラゴンが破壊されてしまった。
「クッ…!!」
万丈目/LP5900→4100
回復寮のほうが多いおかげだからなのか、それ以上万丈目の体に琥珀がまとわりつくことはなかった。
「だが、耐えきったぞ…!」
「――だと思ったか?」
苦しそうに呟く万丈目にザフキは冷酷に告げた。それと同時にダイヤは持っていた双剣を万丈目の腹部へと突き刺した。
「がっ…はっ…!?」
万丈目/LP4100→1700
「パーズにはもう一つの効果がある、戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手へと与える」
「実質的に、ドレインシールドの回復量が消えるってことか…」
「(いや、攻撃力2400のアームド・ドラゴンが倒されて万丈目の手札にはおジャマモンスターしかいない…次のターンで何も出来なかったらオブシディアを召喚されて負ける…!!)」
ユウの思っている通り、次のターンが山場だった。だが、それよりもなぜザフキはオブシディアを召喚しなかったのだろうか。
万丈目の伏せカードがミラーフォースのようなカードだと思っていたのか、それとも――
「カードを伏せ、ターンエンド」
ザフキ
LP2800 手札1枚
ジェムナイトマスター・ダイヤ/ATK4300
伏せカード1枚
―万条目のターン―
「ぐっ…俺の…ターン!!」
息も絶え絶え、既に腹部から下は琥珀に覆われているため身動きもできなくなってきたがそれでも万丈目の闘志が尽きることがなかった。
その熱意にデッキが答えたのか、望んでいたカードが手札へと舞い込んできた。
「魔法カード、打ち出の小槌を発動!!手札を任意の枚数戻してその枚数分ドローする、俺は3枚全部戻して戻して3枚ドロー!!」
「よし、おじゃマジックでの情報アドバンテージがなくなって純粋なアドバンテージになった」
これで手札3枚、前までのデッキならここからの逆転は難しかっただろうが、今のデッキでは十分な可能性が残されていた。
「貪欲な壺を発動!!ライトエンド・ドラゴン、ゲリラカイト、Y-ドラゴン・ヘッド、アームド・ドラゴンLv3、アームド・ドラゴンLv5をデッキに戻してカードを2枚ドローする!!」
これで手札4枚。その中でこの盤面をひっくり返す手段はすでに手札にあった。
「手札の予想GUYを発動!!俺のフィールドにモンスターが存在しない場合、デッキのレベル4以下の通常モンスターを呼び出す、来い雑魚!!」
おジャマブラック/DEF1000
『あにき~、雑魚ってひどいぞ~!』
「はぁっ…、はぁっ…無駄口をたたくな!!手札のアノーサイトドラゴンはフィールドにレベル2以下のチューナー以外の通常モンスターが存在する場合、そいつを対象にして特殊召喚できる!!そして対象になったモンスターをチューナーとする!!」
アノーサイトドラゴン/ATK1600
これでおジャマブラックをチューナー化してアノーサイトドラゴンを素材にすれば―――
「これでまたライトエンド・ドラゴンを呼び出すのね!」
「いや、ライトエンド・ドラゴンはチューナー以外の素材に光属性モンスターを指定してる。アノーサイトドラゴンは闇だからライトエンドを召喚するのはできない」
「じゃあ何を…?」
レイの言葉に釼都が否定すると、響が何を召喚するのかわからないように聴いていた。それにシゲルは自分のエクストラデッキのダーク・ガブリアス・ドラグーンとホーリー・ミラージュ・ドラグーンを取り出して眺めた。
「光あるときに、闇はある」
「レベル6の闇属性、アノーサイトドラゴンにレベル2のチューナーとして扱うおジャマブラックをチューニング!!
終わりに訪れる闇よ、神龍となりて漆黒に敵を引き摺り込め!!」
☆6 + ☆2 =☆8
「シンクロ召喚、ダークエンド・ドラゴン!!」
ダークエンド・ドラゴン/ATK2600
今度はライトエンド・ドラゴンと対をなす闇のドラゴンが出現した。光と闇、対極にあるそのモンスターは共に手を取り合うことで強力な力となるのだ。
「ダークエンド・ドラゴンの効果を発動!!攻守を500下げて相手フィールドのモンスターを墓地へ送る!!」
「墓地に送るだと!?」
「消えろ、ダーク・イヴァポレイション!!」
ダークエンド・ドラゴン/ATK2600→2100
ダイヤの足元に虚構の闇が広がると吸い込まれるかのようにバランスを崩して落ちていった。
「バトルだ、ダークエンド・ドラゴンの直接攻撃、ダーク・フォッグ!!」
「ぬおおおおおおおおおお!!!!!」
ザフキ/LP2800→700
攻撃を食らって吹き飛ばされたザフキ。これでやっとライフを逆転することに成功した。
しかし相手は何度でも回収できる融合を使う特殊召喚特化デッキ。2100のダークエンド・ドラゴンを破壊するのはたやすいだろう。
「メインフェイズ2…墓地埋葬の呪文を発動!!墓地の魔法カードを3枚除外してカードを2枚ドロー、そして2枚伏せてターンエンドだ!!」
万丈目
LP1700 手札1枚
ダークエンド・ドラゴン/ATK2100
伏せカード2枚
―ザフキのターン―
「まさか…ここまでやるとは…!!」
「これが万丈目サンダーの力だ…!!」
驚き、既にボロボロとなった鎧をはぎ取るように捨て、立ち上がったザフキ。
しかしその目には闘争の光が消えてはいない。
「俺のターン、ジェムナイト・フュージョンの効果を発動!!ジルコニアを除外して手札に回収、さらに凡人の施しを発動!!」
「凡人の施し…?」
凡骨の意地なら知ってるレイは首を傾げた。
「このカードの効果により、カードを2枚ドロー、その後手札の通常モンスターを1体除外する!!ジェムナイト・クリスタを除外!!」
「闇の誘惑の通常モンスター版ってところか」
だが、これでジェムナイト・フュージョンを除いて手札は3枚。
このターンでさらに攻めてくるだろう。
「ジェムナイト・フュージョンを発動、オブシディア、エメラル、ラピスを素材とする!!」
「また3体融合だと!?」
素材が多い融合体はそうはいない。しかも先ほどのダイヤで壊滅的なダメージを負ったのだ。伏せカードだけで防げるかどうかが問題だった。
「3体のモンスターを素材に、その高貴な光に導かれ、宝石を纏いし騎士を降臨せよ!!ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ!!」
ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ/ATK3400
マントをはためかせ、細長い剣を持ち出現した【ダイヤ】の名を持つジェムナイト。
ジェムナイトレディ・ブリリアント・ダイヤ/ATK3400
「さらに、オブシディアの効果、墓地のアイオーラを蘇生させる!!」
ジェムナイト・アイオーラ/ATK1300
ザフキのジェムナイトデッキは同じモンスターを素材にしながらも別のモンスターを呼び出すというE・HEROデッキに似ている。
つまり、単純かつ何度も行えるコンボほど強いというわけだ。
「アイオーラをデュアルし、その効果を発動!!ラピスを除外し、オブシディアを手札に!!更にブリリアント・ダイヤの効果を発動!!自分フィールドのジェムナイトモンスターをリリースし、エクストラデッキからジェムナイトモンスターを召喚制限を無視して特殊召喚できる!!」
「おいおい…」
ジェムナイトレディ・ラピスラズリ/ATK2400
今度は鎧というよりも巫女をモチーフにした格好の宝石騎士が登場した。これではオブシディアとのコンボでさらに展開されるのが目に見えていた。
「ラピスラズリの効果を発動、デッキ・エクストラデッキからジェムナイトモンスターを墓地へ送り、フィールドに存在する特殊召喚されたモンスター1体につき500のダメージを相手に与える!!」
「500…ダークエンドと2体のジェムナイトで1500のバーンダメージ…!!」
星光の言う通り、エクストラデッキの光をモチーフにした鎧のジェムナイトが墓地へ送られるとラピスラズリやダイヤ、ダークエンドから漏れ出した光が万丈目へと襲い掛かった。
「ぐぅああああああああああああああ!!!!!」
万丈目/LP1700→200
とうとう腕と顔以外すべてが琥珀に包まれてしまった。
「これで終わりではない、ブリリアント・ダイヤでダークエンド・ドラゴンに攻撃だ!!」
「これが通ったら、万丈目は…!!」
訪れるかもしれない展開に、十代はゾッとしていた。
『あにきぃ~!! ……ってあれ!?』
だが、誰も予想だにしない光景が目に飛び込んできた。
「…なんで、おジャマイエローが…?」
おジャマイエロー/DEF1000
響の言う通り、ブリリアント・ダイヤの攻撃が迫る中、なぜかおジャマイエローが万丈目のフィールドに出現していた。ヒーロー見参のようなカードでも使ったのだろうか?
「…何をしたのかわからんが、そんな雑魚を並べたところで攻撃がやむことがない」
「なら、試してみろ!!」
やけくそのように叫んだ万丈目。それにまるで失望したかのようにブリリアント・ダイヤの攻撃を続行させた。
「消えろ、ダークエンド・ドラゴン!!」
「クッ…!!」
切り刻まれて破壊されたダークエンド・ドラゴン。その超過ダメージ1300が万丈目に襲い掛かった。
万丈目/LP200
「なにっ!?」
「確かに、おジャマイエローは雑魚だ…こいつ単体では何もできない。だが、俺の命をつなぐことぐらいできる…!!」
「なにを…――そうか、魂のリレーか!!」
『ふぇ!?』
いまいち理解してないおジャマイエロー。ついでにザフキの言葉に釼都たちは理解できたが十代やレイなどカードを知らないメンバーは首をかしげていた。
「そう、このカードは手札のモンスターを特殊召喚し、そのモンスターがフィールドに存在する限り俺の受けるダメージはすべて0になり、召喚したモンスターがフィールドから離れると俺は敗北する!!」
「あいつ…なんてリスキーなカードを…」
つまり、万丈目のライフはおジャマイエローそのものと言える。だが、おジャマイエローは何の効果も持たない、攻撃力0、守備力が1000という通常モンスターだ。
「確かにリスクが高い…けど、お前にノーリスクで勝てないことぐらいわかっている…!!それに、コイツは俺のデッキのエースだ……かならず、コイツでお前に勝ってやる…!!」
「…だが、俺のフィールドにはまだ攻撃のできるモンスターがいるぞ、ラピスラズリでおジャマイエローに攻撃!!」
「速攻魔法、ドロー・マッスルを発動!!守備力が1000以下のモンスターを選択して、このターンそのモンスターは戦闘では破壊されない!そしてカードを1枚ドローする!!」
「そっか…そのために…」
おジャマイエローはこの効果でこのターン破壊されることはない。そう、通常モンスターだからできるコンボだ。
「生意気な…ターンエンドだ」
ザフキ
LP700 手札1枚
ブリリアント・ダイヤ/ATK3400 ラピスラズリ/ATK2400
伏せカード0枚
―万丈目のターン―
「俺のターン…!!流天の宝札を発動!!カードを2枚ドローし、エンドフェイズに手札を1枚捨てなければ3000ポイントのダメージを受ける…!!」
「さ、3000って…!!」
「いや、魂のリレーの効果でダメージはすべて無効になる。問題はそれでモンスターを一掃できるかどうかだが…」
ドロー・マッスルのような防御札が何枚もデッキに投入しているわけがない。責めに転じなければならないが、手札3枚でどこまで巻き返せるのか。
「星屑の煌きを発動!!墓地のおジャマブラックとアノーサイト・ドラゴンを除外し、再びダークエンド・ドラゴンを召喚する!!」
ダークエンド・ドラゴン/ATK2600
また破壊の効果を持つ闇の龍が出現した。
それにザフキが苦虫を噛んだかのように顔を歪めた。
「バトルだ、ダークエンド・ドラゴンでラピスラズリに攻撃!!ダーク・フォッグ!!」
「このぉっ…!!」
ザフキ/LP700→500
「さらにメインフェイズ2、効果を発動!!攻撃力を500ポイント下げてブリリアント・ダイヤを墓地に送る!!」
ダークエンド・ドラゴン/LP2600→2100
闇に消えたジェムナイト。そしてザフキの手札はオブシディア1枚。フュージョンは何度でも使えるため、問題はドローで何を引くかになる。
「俺は手札を2枚ともセット、エンドフェイズに流転の宝札のダメージが発生するが魂のリレーの効果で無効になる…ターンエンド」
万丈目
LP200 手札0枚
おジャマイエロー/DEF1000 ダークエンド・ドラゴン/ATK2100
伏せカード2枚
―ザフキのターン―
「俺のターン!!これで終わりにしてやる、墓地のブリリアント・ダイヤ除外、ジェムナイト・フュージョン回収、そして発動!!手札のガネット、オブシディアを素材に、戦場を制圧するその赤き槍を奮え、ジェムナイト・ルビーズ!!」
ジェムナイト・ルビーズ/ATK2500
赤い鎧に長い槍を持ったジェムナイトが出現した。
「リバースカード発動、終焉の地!!相手がモンスターを特殊召喚に成功したとき、デッキのフィールド魔法を選択してそれを発動することができる!!おジャマカントリーをデッキから発動!!」
フィールドが琥珀の闘技場からどこかの隠れ里のような場所に変わり――その洞穴から顔をのぞかせる姿に全員言葉を失った。
『おぉ!ここオイラ達の故郷よ~!』
嬉しそうに言うおジャマイエロー。そう、顔を覗かせるのは様々な色のオジャマだった。そして、気持ち悪かった。
見たことのない青や赤のおジャマもいた。そして気持ち悪い。
「このフィールド魔法の効果で、俺のフィールドにおジャマが存在する場合、フィールドのモンスターすべての攻守を入れ替える!!」
おジャマイエロー/DEF1000→0
ダークエンド・ドラゴン/ATK2100→1600
ジェムナイト・ルビーズ/ATK1300
「…ならば、オブシディアの効果、特殊召喚するモンスターはジェムナイト・サフィア!!」
ジェムナイト・サフィア/ATK0→2100
防御に特化したはずの宝石騎士だが、今はそれを武器にして構えている。
「バトルフェイズ、ジェムナイト・サフィアでおジャマイエローに攻撃!!」
「リバース罠、立ちはだかる強敵!!攻撃対象をダークエンド・ドラゴンに変更する!!」
だが攻撃力では劣っているダークエンドで攻撃を受けたところで破壊は免れない。そして次にルビーズでおジャマイエローに攻撃をされたら――
「………なかなか強かな戦法だ」
「えっ…攻撃しないの…?」
レイが驚いたように呟いた。ルビーズはまだ攻撃をしてないから権利は残っているはずだった。
「いや…立ちはだかる強敵は対象にしたモンスターを破壊されたらそれ以降はモンスターの攻撃はできなくなる。すべての攻撃をモンスター1体に集約するからな」
「そうか! ダークエンドを囮にしておジャマイエローを守ったのか!」
十代が納得したが、それによって万丈目のフィールドにはおジャマイエロー1体のみ。伏せカードも墓地で発動するカードもない。
「…ジェムナイト・フュージョンの効果を発動、墓地のオブシディアを除外し、手札に加える。そして発動!ルビーズとサフィアを融合、激流の水を纏いて、驚異を消しされ…ジェムナイト・アクアマリナ!!」
ジェムナイト・アクアマリナ/ATK1400→2600
今度は守りに特化した水のような鎧に身をがっしりと守ったジェムナイトが出現した。しかし、フィールド魔法の効果でその強力な守備力が攻撃力へと変換されてしまっている。
「次の貴様のターン、それが最後となる。アクアマリナは如何なる効果、戦闘で墓地にときフィールドのカードを手札に戻す効果を持つ」
「じゃあ…!!」
「ドローしたカードがジェムナイトとかだったら融合素材にされておジャマイエローをバウンスするってのか…!!」
しかしアクアマリナの攻撃力は2600。ライフは残り500とは言え攻撃力がそこまで高いのなら3000オーバーの攻撃力を持つモンスターで墓地に送られる前に倒すしかないのだ。
「さあ、貴様のラストターンだ、万丈目準!!」
ザフキ
LP500 手札0枚
ジェムナイト・アクアマリナ/ATK2600
伏せカード無し
―万丈目のターン―
「………ユウ!!」
体の7割が琥珀によって包まれているため振り向くことができない万丈目。だが、その彼の顔がどんな顔をしてるのか呼びかけられたユウは分かっていた。同じだからだ、自分の身を犠牲に道を切り拓くシゲルに、策を講じてすべてを託す釼都に。
「お前が全てを片付けろ!!俺のターン!!おジャマイエローを攻撃表示に変更!!」
「なにっ…!?」
おジャマイエロー/DEF0→ATK1000
たった攻撃力1000の通常モンスターであるはずのおジャマイエローに何ができるのか。そう、たった――
「まさか…!!」
「ああ…俺はフィールドの、攻撃力1000以下のモンスター、おジャマイエローを対象に財宝への隠し通路を発動!!このターン、選択したモンスターは直接攻撃できる!!」
『ああん!!見える、見えるわ!!あいつの懐までの道が!!』
おジャマイエローの視界にはジェムナイト・アクアマリナの死角が見えていた。そう、勝利という名の財宝までの道が見えているのだ。
「バトルフェイズ、おジャマイエローで直接攻撃!!」
『いくわぁ~、必殺、おジャマパンチ!!』
ヘニャヘニャなパンチだが、切れかけていたザフキの集中力を切らすには十分だった。
ザフキ/LP700→0
ザフキが膝から崩れ落ちると同時に、万丈目の体を拘束していた琥珀とユウ達の目の前を覆っていた宝石が砕けた。
突然の出来事に万丈目は力が抜けたのか、あおむけに倒れてしまった。
「万丈目!!」
「…さんだ…とにかく…俺の出番は終えたぞ…」
確かに万丈目が戦ったおかげでユウ達が力を温存することができた。だが、おそらく万丈目はしばらくはデュエルは不可能なほどのダメージを受けている。
彼はアカデミアでも屈指の実力者である、それほどの腕を持つ万丈目でも門前で十代が支えないと立てないのだ。
「く…ククク…なるほど…貴様の覚悟とやらは…俺の鋼鉄の意志をも破るか…面白い…」
「ザフキ…?」
倒れていたザフキもダメージがあるようでボロボロになった鎧から露出した腕を押さえていた。だが、その顔はまるで熱狂する試合を見る観客のような表情だった。
「一つ、教えてやろう。闘いとは、一人でやるものではない。たとえ一人がその場で野垂れ死になろうが、全体でつかむのが勝利だ」
「…何が言いたい?」
釼都が怪訝な表情で聞いた。これがザフキの最後の時間稼ぎなのはわかっているが、彼の雰囲気はそれだけではないというのが分かった。
「つまり…俺がこんな手を使うってことも予測すべきだったな」
そう言ってザフキは地面に手を当てた。その時、釼都は気づいた。今2人が戦っていたこの地面も琥珀のような地面だということに。
そして、彼の持つ能力は――
「――みんな、前へ飛べ!!」
「えっ!?」
釼都の言葉に反応できたのはシゲルと星光だけだった。全員の足元に及ぶほどの大きさを持つ落とし穴が今できたかのような穴が開いた。
「お兄ちゃんっ!?」
「星光!?」
「十代!!」
そして、反応ができた2人はすぐ近くにいたユウと響を突き飛ばした。万丈目は十代が投げる様にして穴の外へと押しやった。庇った3人と反応できなかったルキとレイが落ちていく――
「釼都、必ず追いつく――!!」
「おい、シゲル!!」
5人が落ちていった穴はそのまま塞がってしまった。薄らと落ちていく姿が影となって見えるだけでそれもほどなくなくなってしまった。
「ッ…」
「4人…いや、3人か…思いの外残ってしまった…さあ、行くがいい。仲間を見捨てる覚悟があるのならな」
「お前ぇぇぇぇ!!!」
ユウがザフキを突き飛ばすように胸ぐらをつかんだ。地面に押し倒して、ギリギリと奥歯をかみしめるユウ、だがその肩を釼都が押さえた。
「落ち着け!!」
「釼都は心配じゃないの!? みんなが消え――!ぶっ!?」
ユウの世界が回った。それは釼都が手のひらで彼の顔をぶったからだ。
それに頭に上っていた血が一気に下がった。
「心配じゃないかって?心配に決まってるだろうがバカ野郎が…だが、これがこいつの最後のすかしっぺってのに気付けなかった俺の責任だ。お前が熱くなってどうするんだ…!!」
「……」
「それに…信じるんだ、シゲルの言葉を」
必ず追いつく――つまり、絶対に生き残るということだ。
そして気づいた。釼都の右の手のひらに爪が食い込むほど強く握り締められていたことに。彼も怒りたかった、悲しみたかった、叫びたかった。だが、できないのだ。彼がリーダーだから、ユウと響を導かなければならないからだ。
「万丈目、動けるか?」
「…俺のことはどうでもいい…行け…」
そう言って気を失うように目を閉じた万丈目。それに心配そうながらも『あたいたちにまかせて~』とおジャマ3兄弟がユウ達を見送っていた。
シゲル「また随分期間が空いたな…」
スランプ怖い…デュエル部分が書けない…
紫苑「ですが、前話では8割できたと」
うん、次の話Turn100がとある展開にしようとやってたらいろいろと手間取って、やっとできたと思ったらあるOCGカードの効果を間違えてるのに気づいて修正に手間取ってた…
まあ、プロットができそうだからこの話を上げたの。
釼都「プロット?お前行き当たりばったりに書いてるんじゃなかったのか?」
今まではデュエル展開と描写を同時に書いてたけど、時間がかかりすぎてたから先に何のカードを使ったのかとかどう攻撃したのか箇条書きに書いてあとから描写を書くようにしてみた、この話から。
ユウ「とりあえず、この話の説明をしようね」
星光「まずは万丈目のデュエル」
とりあえずデッキだけど、チューナーとして名称を持たないカードをいくつか出していこうと思います。
GXでほぼ唯一テーマデッキとは言えないレギュラーメンバーでもあるから新たに作るよりは既存OCGカードを使っていこうと思います。
釼都「そして魂のリレーか…」
エクシーズが無いこの世界ではなかなか重いデメリットカードだけど、やっぱり万丈目=おジャマイエローという感じで使ってみた。
星光「おジャマカントリーが出たということはほかのカードも?」
うーん…ブルーとレッドを使うなら精霊化させたほうがいいかもしれないけど、これ以上増やすのもかなって感じで未定です。
紫苑「そして相手のデッキはジェムナイト…」
連続融合を得意としてるテーマです。ARC-Vで使用者が出たけどこの設定、アラエルって単語が出た時から決まってたから変更できないんだよね…
ユウ「?」
まあ、いずれ判明すると思うけど
シゲル「で、オジャマでフィニッシュか」
ここら辺は万丈目VSエドを踏襲してますね。本当はあの時使われたカードを出したかったけど手札枚数的な問題で無理でした。
次はデュエル後の話ですけど…
ユウ「みんな落ちちゃったんだ…」
まあ描写的にわかりにくいかもしれないので説明をすると
ユウ・釼都・響は先に進む
シゲル・星光・ルキ・十代・レイが落下
万丈目はリタイアです。
釼都「この分け方に何か意味があるのか?」
まあいろいろとあるけど一番大きな理由が今回、万丈目がザフキの相手をして先に行かせようとしたよね、失敗したけど
紫苑「それが?」
このあとも同じように誰かが相手をしようとして失敗するみたいな感じにしてたらキリがないし、かと言って先に行かせるのもおかしな話みたいな感じがするからそれぞれ別の場所で戦うことにした。
シゲル「大きな理由ってことはほかにも何かあるのか?」
んー、まあ強いて言うなら情報収集をするのに別行動をさせる理由が欲しかったからかな、この章でいろいろと判明させる予定だし。
というわけで、まあ一応次回予告ではないけど簡単な予告はある。
紫苑「?」
というわけで次回予告、あ、初代遊戯王のBGMを脳内再生しながらどうぞ
―予告―
落下して分裂させられた一行、その身を案じながらユウ達は先へと進んだ。
一方落下したシゲルはただひとり、レイを守りながら3人の後を追っていた。しかし、それを阻む新たなる天属の襲来に立ち向かう。
だが、彼の試練は想像を絶するものだった。
お願い、死なないでシゲル!あんたがここで倒れたらユウや響との約束はどうなっちゃうの!ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、まだ希望があるんだから!
次回Turn100 シゲル死す デュエルスタンバイ!
シゲル「ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!!」
ふぇ?
釼都「ふぇ?じゃねぇ!!なにギャグに走ってるんだ!?」
事実だもん
ユウ「えっ!?事実!?事実って何!?」
お楽しみに!!
紫苑「閉めないでください!!」