遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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チームの『力』

「ふぁ~…」

 

 

最高学年かつチーム寮のトップチーム・ノーバディのひとりであるシゲルは大きな欠伸をかきながら森の中を進んでいた。

 

 

『眠そうじゃな』

 

「サリエルの炎受けてから眠れねぇんだよ…」

 

 

聖和の塔からの決戦で一度死亡したはずのシゲル。しかし復活してからなぜか体の違和感があり、寝れない日が続いてるのだ。

 

この日は授業はなく来週行う新学期の集会の準備のために校舎で作業をやっていたのだが切り上げると自室で寝ることにしたのだ。

 

 

「イヤって言ってるでしょ!」

 

「んぁ?」

 

 

寝ぼけ眼で聞こえた悲鳴のほうを向くと赤毛で可愛らしい女子生徒が5人の男子生徒に付きまとわれているようだった。

 

しかし6人全員シゲルは見覚えがない、それに入学式がある日に台風が接近する可能性があるため新入生があらかじめ島に滞在する許可も出たからそれなのかもしれなかった。

 

 

「い~じゃねぇか~」

 

「そうでやんす!」

 

「だから、私は友達と約束が!」

 

「な、なんでってんだよ。兄貴の誘いを断るんってのかよ」

 

 

どう見てもナンパというより容姿が整っている女子生徒にちょっかいをかけている舞い上がった新入生にしか見えない。

 

 

「はぁ」

 

『眠るのは少しおあずけじゃの』

 

「後輩の指導をするのも先輩の仕事だからな…」

 

 

ぼやきながらシゲルはその女子生徒を過去っている集団の一番外に居たやつの肩を叩いた。

 

 

「んあ?」

 

「お前らここで何してるんだ?」

 

 

 

この場に急に現れた存在の言葉にほかの5人もシゲルの方を振り向いた。

 

 

「はっ、なんですかねぇ~」

 

「お前には関係のない話でやんす!」

 

 

「……おい、お前。どこに行こうとしてたんだ?」

 

「は、はい。チーム寮の友達のところに…」

 

 

見た目が怖いシゲルに問いかけられたのか少し怯えたように答えた女子生徒。一方ほかの生徒はシカトしたことに腹を立てたのか2人の間に割って入った。

 

 

 

「てめぇ、何無視してるんだ?あぁ?」

 

「ついでにこの木偶の棒は知り合いか?」

 

「でッ――!?」

 

 

「し、知りません。急に声をかけてきて…」

 

 

 

木偶の棒と言われたことに言葉を失う生徒をよそに会話を続ける2人。

 

 

 

「入学する前に早々に問題起こすんじゃねぇよ馬鹿が」

 

「ッ…!!てめぇ、黙って聞いてりゃいい気になりやが――!!」

 

 

シゲルは殴りかかろうとする生徒の拳を受けがなして足払いでバランスを崩した。

一方目の前の急展開についていけない女子生徒は呆然としていた。

 

 

「こ、この人を誰だと思ってるんね!!」

 

「そ、そうでやんす!!この人は未来のデュエルキングになられる――」

 

 

「妙な語尾で喚くんじゃねぇよ、第一口先だけの三下キングなんて興味がねぇ。それともやるって言うのなら相手になるが?」

 

 

ギロリという擬音が聞こえる睨みに怯えたのか5人は「覚えてろぉ!!」という捨て台詞とともに散った。

 

 

「はぁ…で、怪我はねぇか?」

 

「あ、は、はい。あ、ありがとうございます」

 

 

赤毛の女子生徒は慌てたようにペコリと頭を下げた。シゲルは頭をポリポリ掻きながら欠伸を吐き出した。

 

 

「それで、友達に会いにいくってこの先はチーム寮だ。おまけに鋪装されてない道だぞ、道も途中で別れて迷いやすいって聞いたはずだ、事前に説明受けたルートを使え」

 

「う、うぅ…ごめんなさい…」

 

 

しゅんと小さくなる生徒にシゲルは改めてため息をついた。

 

 

「…俺は今からチーム寮に戻るとこだ、一緒に来るか?」

 

「ふ、ふぇ、いいんですか?」

 

「ここで見捨てて遭難しても目覚めが悪い」

 

『そもそも今から寝るがの』

 

 

ウリィのボケだが残念ながら女子生徒は精霊が見えないのか聞こえてないようだ。

 

 

 

「遭難って…そんなことはないですよね?」

 

「………………」

 

 

「えっ、あるんですか…?」

 

 

乾いた笑みを浮かべる女子生徒だがシゲルの無言の否定に顔を青くして今後はちゃんとした道を使うことを心に決めたのだった。

 

 

―翌日―

 

 

「は?」

 

 

「いや、だから…新入生からのリクエストで総決戦がしたいって」

 

 

休日のため好きな時間で朝食を取る一同、その中で比較的早く目が覚めるユウと釼都はそんな会話をしていた。

 

 

「総決戦ってどういうことだ?」

 

「今年入ったチーム寮の生徒が『自分たちが一番強い』って証明したいとクロノス先生に掛け合ったらしいんだ」

 

「アホだろ」

 

 

そう言ってあのコーヒーを飲む釼都は興味なさげに新聞に目を通していた。ユウも軽めの食事を終えて手を合わせると食器を横にずらして両手で顔を支えるように頬杖をついてため息を付いた。

 

 

「そうなんだけどね、ただクロノス先生から『叩きのめして欲しい』って言われたんだ」

 

「それこそどういうことだ?」

 

 

あの教師はある意味では実力主義なところがある。しかし今更チーム・ノーバディの実力を疑うようなことはないだろうし、かと言ってわざわざそんな指示をするのもわからなかった。

 

 

「そのチーム、リーダーがいいところの生まれなんだけど合格してから問題ごとを多くやってるみたいでね。廃寮に肝試しと言って侵入したり、新入生にちょっかいかけたり、購買で屯ってトメさんに迷惑かけたり」

 

「で、その尻拭いをしろってわけか?そんなの『騎士団』や『ドロップ』に任せたらいいだろ」

 

 

今年二年になる中でノーバディほどではないが実力があるチームの名前を挙げる釼都だが、ユウはお手上げのように肩をすくめた。

 

 

「それがね、ほら、プロリーグで勝敗戦のある特殊ルールがあるでしょ?」

 

「ああ、総当りでのか」

 

 

勝敗戦とはチーム全員が1VS1で戦い、そして勝利した回数で勝利チームを決める通常の引き継ぎでのチームデュエルとは違うルールだ。

 

そしてその特殊ルールというのは――

 

 

「――うん、デッキシャッフル。チーム内でデッキを交換する選択ルール」

 

「だから俺らなのか?」

 

 

チームのリーグ戦のファイナルステージ、つまり上位16チームでの決勝トーナメントがリーグの集大成となるのだが最終的な順位によって上位になるチームが特殊ルールを選択することができる。

 

『タッグデュエル』『総当り』『チームリレー』そして『デッキ交換』というルールがある。

 

 

 

「うん、僕らもだけどほかのチームでデッキを統一してるチームはない。デッキ交換となったらまず勝ち目がない。後輩指導で勝てなかったら目も当てられないからって」

 

「…まあ、いいか。で、それっていつからなんだ?」

 

 

 

―同日:デュエルホール―

 

 

「では、これよりチーム・キングとチーム・ノーバディの総当り戦を始めるノーネ」

 

 

まさかのその日にそのデュエルを行うということに釼都は舐めきった後輩だと相手を認識した。紫苑も眠そうに目を擦り、ツバキに至っては未だに寝てるのかフラフラしていた。

 

 

「お、お前は!」

 

「んあ?」

 

 

首をゴキゴキ鳴らしながら反応したシゲル。目の前にいたのは昨日女子生徒に絡んでいた新入生なのだが――

 

 

「誰だ?」

 

 

完全に記憶の片隅――というよりも記憶から消し去っていたシゲルは覚えていないかった。

 

 

「き、きひひ…昨日の暴力先輩じゃないっすか~」

 

「昨日…?ああ、入学したってだけで最強になったと思っていい気になって女子にちょっかいかけて見知らぬ先輩の睨みにビビって退散した馬鹿5人組」

 

 

喧嘩を売ってるような言葉に興味がないようにツラツラと言葉を述べたシゲルにカチンときた5人だが事実であるため歯軋りをしてるだけだった。

 

 

「なんだ、顔見知りか?」

 

「お前とケビン程度の仲、ついでにお前側から見てな」

 

 

そう言われたが釼都は逆にケビンというのが誰か忘れているようだ(Turn50参照)

 

 

 

「なんだか知らないけど、始めるノーネ。あらかじめデッキに番号を振っておいたので、引いた番号が今回使うデッキになるノーネ」

 

 

「1か」

 

「3だ」

 

「2だね」

 

「4です」

 

「……5?」

 

 

 

デッキの内容を確認することができないため、最初のドローでなんのデッキか初めて分かるのだ。

 

 

まだ眠って何が起こってるのかわかってないツバキも含めてデッキをセットした。一方新入生たちもデッキをセットした。

 

 

「「「「「「「「「「デュエル!!」」」」」」」」」」

 

 

ユウの相手となったのは生意気そうな小柄な少年。ちなみにこの選択ルールの場合先攻後攻は各々ランダムで決定する、こっちはユウが先攻のようだ。

 

 

「僕のターン、(これは…なるほど)カードを2枚伏せ、そして幻影の魔術士を召喚」

 

 

幻影の魔術士/DEF700

 

 

ユウが引いたのは紫苑のデッキのようだ。十代のデッキに似て融合を主体としているそれは自分の持つスピリットや異次元デッキには似ておらず、過去に使ったことのあるデッキでも融合が主体というのは少なかった。

 

 

「ターンエンド」

 

 

しかし、一年修行を通して一緒に過ごした仲間のデッキの回し方ぐらいなら熟知していた。

 

 

ユウ

LP4000 手札3枚

幻影の魔術士/DEF700

伏せカード2枚

 

―生徒Aのターン―

 

「オレッチのターン!魔法カード、トラップ・ブースターを発動!手札を1枚捨てて手札の罠を発動するっす、手札から王宮のお触れを発動っす!」

 

 

トラップ・ブースターによって発動された永続罠はフィールドに残り続ける。そして王宮のお触れはお互いの罠を封じるカードだ。

 

「さらにコストダウン!手札を1枚捨てることで手札のモンスターのレベルを全て二つ下げる、そしてマジック・キャンセラーを召喚!」

 

 

マジック・キャンセラー/ATK1800

 

 

本来ならレベル5のモンスターだが、コストダウンでレベルが3となっていた。

そしてこのモンスターの効果は魔法カードの発動を封じるというものだ、ユウが今現在使用してるHEROデッキの中枢である融合、それだけではない、王宮のお触れによって魔法・罠両方封じられたのだ。

 

 

「バトルフェイズ、マジック・キャンセラーで攻撃っす!!」

 

「幻影の魔術士の効果、戦闘で破壊されたときデッキから攻撃力1000以下のHEROを1体特殊召喚する、E・HEROボルテックを召喚」

 

 

ボルテック/DEF1500

 

 

 

「だけど魔法と罠を封じられて手も足も出ないっすね、これで俺の勝ちっす」

 

 

生徒A

LP4000 手札0枚

マジック・キャンセラー/ATK1800

王宮のお触れ

 

―ユウのターン―

 

 

「う~ん…キミ、本当に入試に受かったの?」

 

「…は?いやいや、チーム科トップっすよ!」

 

 

どうもユウにはこの少年が入試に受かったとは思えない。そもそも『見覚えがない』のだ

あの時実際にデュエルはしてないとは言え、会場に補助員としていたのだ。

 

 

「…まあ、いいや。僕のターン。E・HEROエアーマンを召喚」

 

 

エアーマン/ATK1800

 

 

ユウのフィールドに風の戦士が現れた。観客席で見ていたクロノスはそれだけでユウが何をしようとしてるのか大体の見当がついた。

 

 

「攻撃力が同じ…自爆する気っすか」

 

「別にそうしてもいいんだけど紫苑のカードだからね、なんか可愛そうだし別の手段を使わせてもらうよ。エアーマンの効果発動、自分フィールドの他のHEROの数だけ相手の魔法・罠を破壊する!!」

 

「んな!?」

 

 

エアーマンの翼から放たれた風が王宮のお触れを破壊した。これでユウは罠を使うことができるようになった。

 

 

「リバース罠、アナザー・フュージョンを発動!!自分フィールドの2体以上の素材を使って融合を行う、風属性のエアーマンとHEROのボルテックを融合!!」

 

「い、一気に融合を…!!」

 

 

2体のモンスターが合わさるととてつもない突風が吹き荒れた。

 

 

「来て、Great TORNADO!!」

 

 

Great TORNADO/ATK2800

 

 

「こ、攻撃力2800!?」

 

マントをはためかせ竜巻を纏って登場したHEROの攻撃力を見て生徒Aは顔が青ざめていた。

 

 

 

「Great TORNADOの効果、融合召喚成功時相手フィールドのモンスターの攻撃力と守備力を半分にする!!タウン・バースト!!」

 

「なっ!?」

 

 

マジック・キャンセラー/ATK1800→900

 

 

「バトルフェイズ、Great TORNADOでマジック・キャンセラーに攻撃、スーパーセル!!」

 

「うわあああああ!!!!」

 

 

生徒A/LP4000→2100

 

 

「くっ、けどまだライフは…」

 

「手札から速攻魔法、融合解除!!Great TORNADOの融合を解除、戻ってきて、ボルテック、エアーマン!!」

 

ボルテック/ATK1000

 

エアーマン/ATK1800

 

 

 

 

―一方―

 

紫苑の相手は彼女の同期であった隼人よりも一回り大きい太った少年だ。快適な室内だが汗を滝のように流して暑そうだった。

 

 

「ぼ、ぼくのターン。カードを2枚伏せて永続魔法波動キャノンを発動、です」

 

 

波動キャノンは1ターンに1度にカウンターを載せ、そして墓地に送ることでカウンターの数だけ1000のバーンダメージを与えるカードだ。

 

 

「そ、そしてアステカの石像を守備表示、で出す」

 

 

アステカの石像/DEF2000

 

 

守備力の高い壁、伏せカード、そして波動キャノン。この組み合わせから考えられるのは――

 

 

「(ロックバーン…波動キャノン系ですね)」

 

「た、ターンエンド」

 

 

生徒B

LP4000 手札2枚

アステカの石像/DEF2000

伏せカード2枚 波動キャノン

 

 

―紫苑のターン―

 

「私のターン(このデッキ…相性はいい、問題はあの伏せカードがスキルドレインの場合…)手札のマシンナーズ・メガフォームを墓地に送り、マシンナーズ・フォートレスを特殊召喚します」

 

 

マシンナーズ・フォートレス/ATK2500

 

 

紫苑の使用デッキは義兄であり、チームのリーダーでもある釼都のマシンナーズだった。確かにロック系のデッキとは相性がよく、以前もロックを含めたオールバーンのシャマルを打ち破ったこともある。

 

しかし問題はそのデッキの特性が5人の中では1番癖があることだ。

 

 

「(古の対価…お兄ちゃんのエンシェントモンスターを出すためのカードだけど、素材が揃わない…といいますか、どうやってあんなに古の対価を使いまわしてるのでしょうか)」

 

 

下手にエンシェントモンスターを出すのを狙わないほうがいいと判断して紫苑はほかの戦術を組み上げることにした。

 

 

「マシンナーズ・レディを通常召喚」

 

 

マシンナーズ・レディ/ATK800

 

 

「バトルフェイズ、マシンナーズ・フォートレスでアステカの石像へ攻撃」

 

「うわっ!」

 

 

ダメージはないがフォートレスの砲撃にビビっているようだった。

 

 

「レディの直接攻撃です」

 

「リ、リバースカード、メタル・リフレクト・スライムを発動!」

 

 

生徒Bのフィールドに水銀でできた聖杯が出現するとそれがスライムのようにグニグニと動いて巨大な壁になった。

 

 

メタル・リフレクト・スライム/DEF3000

 

 

「守備力3000、ならバトルは終了。レディの効果で自信を除外してマシンナーズ・ブルースを手札に。手札を1枚伏せてターンエンド」

 

 

紫苑

LP4000 手札4枚

マシンナーズ・フォートレス

伏せカード1枚

 

―生徒B―

 

「ぼ、ぼくのターン。波動キャノンにカウンターが乗るよ」

 

波動キャノン/C0→1

 

 

「そ、そしてダイナソーイングを守備表示で召喚!」

 

 

今度はぬいぐるみのようだがどこか奇妙なモンスターが現れた。

 

ダイナソーイング/DEF0

 

 

「(守備力0…おそらく戦闘破壊耐性がある。ふむ…どう崩しますか…)」

 

「ま、魔法カード運命の火時計を発動!これで波動キャノンにカウンターをさらにひとつ乗せるよ」

 

波動キャノン/C1→2

 

「タ、ターンエンド」

 

 

生徒B

LP4000 手札2枚

ダイナソーイング/DEF0 メタル・リフレクト・スライム/DEF3000

伏せカード1枚 メタル・リフレクト・スライム 波動キャノン

 

 

―紫苑のターン―

 

「私のターン、マシンナーズ・ブルースを召喚」

 

『推してまいろうぞ』

 

 

マシンナーズ・ブルース/ATK100

 

 

「レベル7のマシンナーズ・フォートレスにレベル1のマシンナーズ・ブルースをチューニング、機械の魂を持つ翼竜よ、その鋼鉄の翼で仲間を敵の脅威から守りたまえ」

 

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

 

「シンクロ召喚、クロック・ゴールド・ドラゴン」

 

『グルァ』

 

 

呼び出されたクロック――とはいえ、いつもなら釼都が呼び出しているためどこか調子が狂ってるようでただそこに佇むだけになっていた。

 

 

「クロックの効果、シンクロ召喚成功時相手の表側表示の魔法・罠を全て破壊する」

 

「グヒッ、ざ、残念だけどスキルドレインを発動!ライフを1000払ってフィールドのすべての効果を無効にするよ!こ、これでぼ、ぼくの勝ちだ!」

 

 

ただ効果を無効にするだけで勝てると思ってるのか気持ち悪い笑いを浮かべる生徒に紫苑はただ淡々と伏せていたカードを使った。

 

 

「チェーンして罠カード、トラップ・スタンこのターンだけ罠の効果を無効にします」

 

「ギィヒッ!?で、でもモンスター効果は…!」

 

 

そういてるうちにクロックの砲撃で魔法・罠がすべて破壊された。

 

 

「チェーンは最後に発動した効果から順に処理されます。先にトラップ・スタンでスキルドレインが無効になり、モンスター効果を封じる効果が発動されないのでクロックの効果で破壊されます」

 

「え、え、え、え!?」

 

 

紫苑の分かりやすい解説だが全く理解できてないようだった。十代でも理解しているチェーンの処理をわからないと、どうやって受かったのか逆に疑問に思った紫苑だが知りたくもないと興味がないように慌てふためく生徒Bを見た。

 

 

「で、でもボクの場には戦闘で破壊されない壁がいるよ。ま、まだ負けたわけじゃ――」

 

「墓地に送られたフォートレスを除外することでマシンナーズ・メガフォームを特殊召喚します」

 

 

マシンナーズ・メガフォーム/ATK2600

 

 

「そして魔法カード、シンクロ・クラッカーを発動します」

 

 

突然クロックが吼えるとその声に驚いたダイナソーイングが風船のように破裂した。

 

 

「な、なにが…」

 

「このカードは私のフィールドのシンクロモンスターをデッキに戻すことでその攻撃力、2300以下のモンスターをすべて破壊する効果です」

 

 

これで生徒Bのフィールドは文字通り丸裸。紫苑の予想だと手札のカードも無駄な低レベル高守備力の壁モンスターだった。

 

 

「バトルフェイズ…ついでにリミッター解除」

 

 

マシンナーズ・メガフォーム/ATK2600→5200

 

―その頃―

 

ユウがロックを打ち破り、紫苑が展開を一変してる頃、釼都は手札と相手のフィールドを見て口元を緩ませていた。そして先攻は釼都を示していた。

 

 

「俺のターン、剣闘獣ラクエルを召喚!!(これは運がいいデッキだ…)」

 

 

このデッキシャッフルは自分のデッキが来ないように調整されている。釼都がマシンナーズを除いてほかの4人の中で一番扱いやすそうだと思ってたのはシゲルの剣闘獣だった。

 

デメリットのあるスピリット、融合を起点に動くHERO、魔力カウンターを使う魔法使い

 

使い方は間近で何度も見ていたが自分に合わないのはわかっていた。そんな彼が引いたのは一番相性が良さそうな剣闘獣だった。

 

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

釼都

LP4000 手札3枚

ラクエル/ATK1800

伏せカード2枚

 

 

―生徒Dのターン―

 

「わいのターン、永続魔法暗黒の扉を発動!さらにビッグ・シールド・ガードナーを召喚!!」

 

 

ビッグ・シールド・ガードナー/DEF2600

 

 

守備力の高いモンスターに攻撃制限を付ける暗黒の扉。そして伏せられてるカードを考えるとスキルドレインのようなカードだろう。

 

 

「どうや、これで攻撃できないやろ、ターンエンド!!(おまけにわいの手札は3枚がエクゾディア、すぐにケリが付くで!!)」

 

 

生徒C

LP4000 手札4枚

ビッグ・シールド・ガードナー/DEF2600

暗黒の扉

 

 

―釼都のターン―

 

 

「俺のターン(ロック…)」

 

 

チラリと横を見るとユウと紫苑の相手もロックを主軸としたデッキのようだ。この盤面からすると主要なカードが来るまで攻撃を制限して守備を固める気なのだろう。

 

もしかしたら手札にエクゾディアを揃えるデッキなのかもしれない。

 

 

 

「(が、運が悪いな。あいつら…)俺は手札を1枚捨てて剣闘獣バウンドを特殊召喚する。そしていま墓地に送ったデコイはフィールドに剣闘獣が特殊召喚されたとき、1度だけ特殊召喚することができる」

 

 

バウンド/ATK1000

 

デコイ/ATK300

 

 

 

「さらにフレア・リゾネーターを召喚」

 

 

フレア・リゾネーター/ATK300

 

 

フィールドに揃ったのは合計レベルが7の組み合わせ――

 

 

「レベル4のバウンドにレベル3のフレア・リゾネーターをチューニング、獣の魂が牙を研ぎ澄ます、その鋭い眼光で敵を穿て」

 

☆4 + ☆3 =☆7

 

 

「シンクロ召喚、ソウル・ブラック・ドラゴン!!」

 

『グルゥ!』

 

 

フィールドに佇むソウルはどことなく釼都と似合ってるようだった。というよりももともとシゲルと釼都は性格的には似た者同士なのだ。

 

 

「フレア・リゾネーターの効果でソウルの攻撃力300ポイントアップだ」

 

 

ソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2400→2700

 

 

 

手札にはシンクロ召喚に成功した時に特殊召喚できるレベル1のマグネット・リゾネーターがいる。

 

この流れでシゲルならブラッディ・リゾネーターからブラッディ・ソウル・ドラゴンにまで繋げることができる。しかしブラッディ・リゾネーターとスピリット・シンクロンは2人の決意の証。

 

命をかけた戦いなどならともかく、こんな下らない戦いでは釼都も気合が入らないのだろう。

 

 

「リバース罠、スカーレット・カーペットを発動。俺のフィールドにドラゴン族シンクロモンスターがいる場合、墓地のリゾネーターを呼び出す。戻れ、フレア・リゾネーター」

 

フレア・リゾネーター/ATK300

 

 

「そしてレベル4のラクエルにレベル3のフレア・リゾネーターをチューニング、獣の魂を受け継ぐものよ、立ち塞がる敵を破壊せよ」

 

 

☆4 + ☆3 =☆7

 

 

 

「シンクロ召喚、吼えな、フレイム・ファング」

 

 

フレイム・ファング/ATK2400→2700

 

 

この流れを見たことがあるものなら「ああ、終わったな」というのが分かる。

 

 

「フレイム・ファングの効果、墓地の剣闘獣ラクエルを選択してその攻撃力1800ポイントアップする」

 

 

フレイム・ファング/ATK2700→4500

 

 

「攻撃力4500…だけどワイのフィールドは守備表示のモンスター、おまけに暗黒の扉で1体しか攻撃できないわ!!」

 

「安心しろ、一撃で沈めてやるからな。ソウルの効果だ、フレイム・ファングをリリースしてその攻撃力を吸収する」

 

 

ソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2700→7200

 

 

「そしてバトルフェイズ、ソウル・ブラック・ドラゴンでビッグ・シールド・ガードナーに攻撃宣言時、ストライク・ショットを発動!!攻撃力を700ポイント上げてソウルに貫通能力を付与する!!」

 

「なっ!?」

 

 

ソウル・ブラック・ドラゴン/ATK7200→7900

 

 

シゲルでもここまでの高攻撃力をたたき出すことはあまりない。その上の貫通能力までも持っているということはない。

 

 

 

 

―その頃―

 

シゲルの相手は昨日女子生徒をナンパしていた自称「未来のデュエルキング」だった。

 

 

「せんぱ~い、無様な姿を見せる前にサレンダーしたらどうですか~?」

 

 

馬鹿にしたような言葉だがシゲルの耳には入ってこなかった。というよりも彼は今現在自分の手札を見て呆然としていた。

 

 

「なんでこのデッキなんだ…」

 

「あり、ビビってるんですか~?」

 

 

ゲラゲラと笑いながら生徒Dは先攻を取り、カードを引いた。

 

 

「永続魔法レベル制限B地区を発動!これでレベル4以上のモンスターはすべて守備になる!さらにボーガニアンを召喚!!」

 

ボーガニアン/DEF1000

 

 

「あーあ、これで俺が勝ったも同然だな、ターンエンド!」

 

 

生徒D

LP4000 手札3枚

ボーガニアン/DEF1000

レベル制限B地区

 

 

―シゲルのターン―

 

「…俺のターン(この手札、このカード…そしてこのドロー…)」

 

 

とりあえずターンが来たためカードをドローしたシゲルはこう思った。

 

 

 

 

「(おいおい、これじゃMeの勝ちじゃないか)」

 

 

なにかの魂が取り付いたような気がしたが気のせいだとスルーした。

 

 

 

「永続魔法神の居城―ヴァルハラを発動、俺のフィールドにモンスターがいない場合手札の天使族モンスターを特殊召喚することができる」

 

観客席にいたクロノスやいつの間にかやってきていた鮫島は疑問に思った。ノーバディの5人のデッキはサブデッキの場合を除いていつも同じものを使用していた。

 

 

しかし5人の中にユウのスピリットを除いて天使族を使うデッキはないはずだった。

 

 

「手札のアンゲロス・マジシャン-ハリエルを特殊召喚!!」

 

 

ハリエル/DEF2200

 

なんと登場したのはツバキことアリエルの父親である精霊ダークだった。そう、なぜかシゲルのセットされているデッキがエルの【アンゲロス】となっていたのだ。

 

 

「…ダーク、どういうことだ?」

 

『ツバキが自分なりの答えとしていままでのツバキともアリエルとも違う道を選ぶことにしてそのデッキを選んだのだ』

 

 

最近抱えていたツバキの悩み。たしかにあの日からツバキは変わった。今までの仮の人格である人見知りなツバキとも、冷静で静かな性格のアリエルとも違う。

 

一言で言うなら年相応な子供っぽい性格になった。記憶の鎖で縛り上げたツバキが消え、使命という呪縛で固めていたアリエルが崩れて本来の人格になったとも言える。

 

 

「…まあ、ツバキが決めたことなら俺は何も言わねぇよ。ハリエルの効果を発動!!特殊召喚成功時、自分フィールドのアンゲロスの数まで相手の手札か魔法・罠を破壊する!!レベル制限B地区を破壊」

 

「なっ、そんな、鉄壁のロックが!!」

 

 

喚いているがその程度のロックなんて屁でもない。自分の行動が阻害されないと思っている三下よりも下手なデュエリストにシゲルが次のターンを与える気なんてなかった。

 

 

「通常召喚、アンゲロス・キッズ-ガギエルを召喚!!」

 

 

ガギエル/ATK800

 

 

「な、なんだよ。驚かせやがって。たったの攻撃力800――」

 

「手札のカードを墓地に送りワン・フォー・ワンを発動、デッキからアンゲロス・プリースト-アリエルを特殊召喚!!」

 

 

アリエル/ATK0

 

今度はツバキによく似た天使が舞い降りた。ちなみに目の前にいるのは立体映像でツバキ本人はフラフラしながらデュエルしていた。

 

 

「アリエルの効果、召喚に成功したとき墓地のアンゲロスをレベル7にして特殊召喚することができる」

 

「は、はは!墓地にモンスターもいないのになんでそんなヤツを――」

 

「墓地より甦れ、アンゲロス・ソルジャー-ルヒエル!!」

 

 

今度は翡翠の翼を持つ天使が墓地より出現するが、その光景に生徒Dは目を見開いて喚いていた。

 

 

「な、なんでだよ!!いつの間に墓地に送ったんだ、い、イカサマか、イカサマしたんだろ!!」

 

「アホ、直前の行動も覚えてないのか?俺がワン・フォー・ワンで墓地に送ったカードだ」

 

 

その言葉に生徒Dは何も言えなかった。それと同時に理解できなかった。

 

なんで自分が負ける、どうして勝てない、デュエルキングになる自分がなんで

 

 

 

「教えてやるよ、お前はデュエルキングでもなんにもない。ただのワガママなガキ大将だ。それを認めないうち、お前は誰にも勝てないだろうな」

 

「う、嘘だ!嘘つくんじゃねぇ、お、俺はデュエルキングなんだ!!」

 

 

「…はあ、ルヒエルの効果、自身の攻撃力を600ポイントアップさせる」

 

 

ルヒエル/ATK1800→2600

 

 

「そしてレベル6のハリエルとレベル1のガギエルにレベル1のアリエルをチューニング。天使の祈りの元に、全てを破壊する赤き力よ、その拳を震え」

 

☆6 + ☆1 + ☆1 =☆8

 

 

「シンクロ召喚、やるぜ。カオス・レッド・ドラゴン」

 

『キュア!』

 

 

カオスは楽しそうに登場した、というのもカオスはツバキのことが好きだが同じぐらいにほかのメンバーのことも好きだった。何度かユウに呼び出されることがあったがシゲルから呼び出されるのは初めてで嬉しいようだった。

 

 

カオス・レッド・ドラゴン/ATK3000

 

 

「カオスは相手の守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、

その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える貫通能力がある」

 

「だ、だからなんだよ…それで…」

 

「計算もできねぇのか?守備力1000のボーガニアンに3000の貫通と2600の直接攻撃を喰らえば4000のライフがどうなるのかも」

 

 

認めたくないように喚く生徒Dをシゲルは冷めた目で見ていた。こんな奴が後輩だなんて思いたくないのだろう。

 

 

 

 

 

 

「「「「攻撃!!」」」」

 

 

「「「「うわあああああああ!!!!」」」」

 

 

生徒A/LP2100→300→0

 

生徒B/LP3000→0

 

生徒C/LP4000→0

 

生徒DLP4000→2000→0

 

 

 

一気に4人やられた。この時点で下級生チームには勝利することはありえないがそれでも一矢報いろうとする残りの生徒E――なのだが

 

 

「いつまで眠ってるやんす!!」

 

「ふぇ…」

 

 

相手であるツバキだが、彼女は『昨夜もお楽しみでしたね』ということで寝不足だった。ちなみにユウはその後気持ちよく寝ていたため目覚めが良かったのだ。

 

本人はまだ寝ていたのだが紫苑に着替えさせられて連れてこられたのだ。

 

 

 

「もー、いいでやんす!!オイラのターン!!」

 

 

まだ眠りこけているツバキに怒り心頭という生徒Eはカードを引いた。

 

 

「永続魔法レベル制限B地区を発動!!さらに二重召喚を発動して伝説の柔術家と幻影の壁を守備表示で召喚!!」

 

 

伝説の柔術家/DEF1800

 

幻影の壁/DEF1850

 

 

守備力としては下級モンスターの中では上の方でしかもその効果が厄介な壁モンスターを並べた。その光景にクロノスは似たデッキばかりだなと思っていた。

 

 

「さらに終焉のカウントダウンを発動するでやんす!!」

 

 

 

「ロックで固めたデッキ…全員似たデッキなノーネ」

 

「うむ、考え方は間違いではないがこの程度ならプロではやっていけませんね」

 

 

クロノスと鮫島は彼らの将来に不安を覚えたそうだ。というのも同じ系統で統一するというのはチーム戦では間違った考えではない。

しかし、おそらくだが5人のデッキの内容は8割以上で同じなのだろう。

 

 

わざわざデッキシャッフルという特殊ルールを出したのも同じ系統なら混ざっても問題はないのと思ってたのだろう。

 

 

「相手が本来のデッキではないのなら勝てると思ってたのかもしれないノーネ」

 

「彼らは甘くはない。おそらくチーム外の友人のデッキだろうとも十分に回せるでしょうね」

 

 

 

「さあ、この鉄壁の守りを見てどうするやんすか!!」

 

 

生徒E

LP2000 手札1枚

伝説の柔術家/DEF1800 幻影の壁/DEF1850

レベル制限B地区

 

 

―ツバキのターン―

 

「あぁ……うん、わたしのたーん…いなばの…しろうさぎ…」

 

『ツバキ、いい加減起きて…』

 

因幡之白兎/ATK700

 

出てきたイナは眠りながらデュエルをするという器用な真似をしてるツバキに言葉を失っていた。

 

 

 

「ばとるぅ…こうげき…」

 

「壁があるのにこゲフッ!?」

 

 

※因幡之白兎は相手モンスターを無視して直接攻撃をする。

 

 

生徒E/LP2000→1300

 

 

「くっ…でも、これでバトルは終りでやんす!!」

 

「そっこーまほー…ばーさーかーそーるー…」

 

「ひょ?」

 

 

ツバキが発動したカード、手札をすべて捨てて発動されたそれに素っ頓狂な反応をしてしまった。

 

 

「どろー…もんすたーかーど…」

 

「ぎゃああああ!!!」

 

 

生徒E/LP1300→800

 

 

なぜか因幡之白兎の杵での攻撃が続行された。といっても実際は効果による500ダメージなのだが。

 

 

「どろー…もんすたーかーどぉ…」

 

 

「ひぃやああああああ!!!!」

 

 

生徒E/LP800→300

 

 

「どろー…もんすたーかーどぉー…」

 

「ぎゃあああああ!!」

 

 

生徒E/LP300→0

 

 

「どろー…もんすたーかぁーどぉー…」

 

「うわあああああ!!!」

 

 

「どろー…もんすたー―」

 

 

「もうやめて、ツバキ!!」

 

 

カードをドローしたツバキを涙目で止めるユウ。というのもイナが既に決着がついてるのに攻撃をやめないことに関して止めたいのに止めれないから血の涙を流し始めているからだ。

 

 

 

「HA☆NA☆SE」

 

「とっくに相手のライフ0だよ!!もう勝負は付いたよ!!」

 

「……すぅ…」

 

 

それにツバキは一瞬動きを止めると寝息を立ててユウに寄りかかって寝てしまった。

 

 

「寝ながらデュエルするなんて器用なことするな、おい」

 

「ってかお前、なんで狂戦士の魂入れてたんだ?」

 

「デッキの調整で仮で入れてたのを変えるの忘れてたんだ…」

 

 

ユウのデッキには狂戦士の魂は余りあってはいない。なぜ入っていたのかというとユウはデッキ調整の際にカードを仮で入れてそのデッキが回るかどうか判断しているのだ。

今回はその時に入れたカードを抜き忘れていたため妙なコンボが出来上がったのだろう。

 

 

『うぅ~ユウ~おいら死人に鞭打つのなんてやだよぉ~!』

 

「ごめんね」

 

 

流石にもう決まってるのに無駄に攻撃することに抵抗があったのか、恨めしそうにイナがユウを見ていた。今後一切狂戦士の魂を入れないことをユウは静かに誓った。

 

 

 

「な、なんで勝てないんだ…自分のデッキじゃないのに…」

 

「なんでってなぁ…」

 

「そんなの、お互いの事をよく知ってるからな」

 

 

このカードの使い方、この効果でのコンボ、この手札での役割。

 

お互いに一年修行から見てきたチームメイトの姿。何を思って、何を考えているのかは以心伝心と言えるぐらいまでわかっているのだ。

 

 

「どーせ、お前ら相手が本来のデッキじゃないと戦えない、ロックでもすれば動きを止めれるとでも思ったんだろ?」

 

「うぐ…」

 

 

図星のようでシゲルの言葉に言葉を詰まらせた。それぞれにもちゃんとした『自分のデッキ』があった。だが強さを証明するという目的でこのロックデッキで挑んだのだ。

 

 

「なんだよ…説教か?そんなに先輩様は偉いのかよ!!」

 

「アホ、誰がお前らに説教なんてことするんだ?」

 

「説教の意味すらも理解してない人にかける言葉はないです」

 

「そもそもお前ら、本当に後輩なのか?それならチーム科の入試基準低くないか?」

 

 

「残念ながらチーム科は定員割れで全員合格なノーネ」

 

 

クロノスの言葉が聞こえた釼都は大きなため息をついた。

 

 

「定員割れ、ねぇ。補欠合格していい気になってるんじゃねぇよ。正直に言うとお前らは上にいるんじゃね、下だ。底辺にいるんだ。それを自覚して這い上がらない限りお前らはその程度だ」

 

「っ…言わせておけば…!!」

 

「悔しかったは這い上がれ。それと無駄なことして人に迷惑かけるんじゃねぇ」

 

 

興味がないように釼都が吐き捨てるとツバキを運ぶようにして4人ともその場を立ち去った。

 

寮に戻るより保健室のほうが近いためそっちに運んでいる最中、ユウが釼都を見て困ったように笑っていた。

 

 

「なんだよ」

 

「いや、やっぱり釼都は優しいなって」

 

 

本当にあいつらを見捨てるのならアドバイスなんてするはずがない。それなのに釼都は「這い上がれ」と言ったのだ。本心では見守ろうとしているのだろう。

 

 

「ふん…誰にもチャンスは平等にだ。それで掴み取れないのならそこまでだ」

 

「さすが、企業の総帥は違うね」

 

「茶化すな…それともう一つ」

 

 

ツバキを見ながら釼都はユウの肩を掴んだ。そう、掴んだ――握りつぶすかのように

 

 

「え、えっと…釼都?」

 

「お前は節度を決めやがれ、在学中にしでかしたら…どうなるかわかってるな?」

 

 

「…ハイ」

 

 

紫苑はそんな義兄弟となる2人のやり取りを見ながら静かに笑っていた。




シゲル「なんだこれ」
前々から言ってた『チーム・ノーバディ』の活動です。
剱都「そうじゃねぇ」
紫苑「約二名使い物にならなくなってますが…」
ユウ「―――――――――――――――」
ツバキ「zzz…」
剱都「ってか↑寝すぎだ」

まあ、以前言ってたみたいにVS『チームGX』との話以降で『チーム・ノーバディ』が活動する話が全くなかったから。
と言っても全員通常デュエルぐらいの長さにするのは難しいし、かといって人数を減らすのもと思って相手を雑魚にして一瞬で終わることにしました。
シゲル「その結果がロックか」
デッキシャッフルはほかにも理由はあるけど全員同じデッキにしてということにしたら相手のバカチームが高度なデッキを使えるとは思えないので単調な動きのバーンかロックかですね。

シゲル「ちなみに他の理由は?」
何となく、本来のデッキじゃないデッキを使ったりその人のカードを使う話とか好きなんですね。十代がおジャマを使ったり翔がサイバーを使ったり、5D'sで遊星が囚人のカードでデッキを組んだりっていうのが。
前話の紫苑のデッキを使う一葉もそれですね。
本編で理由をつけてシャッフルさせることもできるけどこの際だから全員混ぜてみた。


デュエルの内容だけど個別に言うこともないしいくつかの部分だけしかないね。
ちなみにデッキは以下
・ユウ→紫苑
・紫苑→剱都
・剱都→シゲル
・シゲル→ツバキ(アンゲロス)
・ツバキ→ユウ

シゲル「そうだ、なんでツバキのデッキがアンゲロスなんだ?」
作中としてはアンゲロスのエルとしての決意でメインで使うということにしました。以前の魔力カウンターデッキはサブですね。
あ、でもダークとグリはアンゲロスのほうに入ってます。
紫苑「ダークも?」
一応ハリエル=ダークだけどもね。後々でアンゲロス関連のダーク専用カードも出すつもりです。
剱都「作中としてはってことは別の理由があるのか?」
個人的に魔力カウンターの操作が大変だったから。ユウのスピリットフィールドほどではないけどエンディミオンがないと動けないし、ほかにも魔法・罠カード破壊効果などで魔力カウンターのあるカードを狙わないプレイングもどうかと思って。
まあ、今後はユウの『異次元デッキ』のような立ち位置になるということで
シゲル「つまりもう出ることはないってことだな」

剱都「あとは…ツバキのあれは…」
実を言うと最初はアイスエッジでやろうとした。直接攻撃でロックを破壊してリビデとか除外融合とかで決めるっていう流れを。
だけど手札の枚数がどうしても合わなかったのとツバキのデュエルを考えてなかったのでイナにさせました。
ツバキ「zzz……」

紫苑「ついでにお姉ちゃん、ずっと寝てますけど…」
夜明けぐらいに寝たので。原因はそこでオーバーヒートしてる愚か者。
ユウ「―――――――――――――――――――――」
剱都「まあ、恋人同士でやってるのならな…度が過ぎた場合は殺すけどNA☆」

シゲル「で、そのことなんだがなんでこんなオチなんだよ…」
ネタがなかった
剱都「ユウの前にお前を殺すぞ」

さて次回は…んー…『デスデュエル編』かな
剱都「次章のタイトルか?」
もしかしたらユベルや精霊たちがあまり出ないかもしれないし、デスデュエルがジェネックスみたいにかかわると思う。

というわけで次回『5人目』お楽しみに!
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