遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

119 / 125
Turn110 幻影の守護竜

―アジト―

 

「翔?おい、翔!?」

 

「どうした?」

 

「翔からの通信が切れた…」

 

 

剱都はそういうと如月の前にあるコンソールを操作してPDAのGPS機能を確認した。

 

 

「駄目だ、完全に機能してねぇ…」

 

「けど、この島で圏外になることってないんじゃないの?」

 

 

ユウの言う通り、十代が以前島を彷徨っていたということもあり、密かに島に通信用の中継地点を増設している。圏外になるとしたらその電波も届かない地下かもしくは――PDAが壊れたか。

 

 

「嫌な予感がするな…」

 

「ああ、シゲル、ユウ、お前たちは捜索に行け。ジュードと荒木も――」

 

 

≪ピッー!!≫

 

 

指示を出し始めた瞬間、アジトに警報が響いた。その音が何を意味してるのかユウ達は初めて聞いたためわからなかったが剱都だけは驚いてコンソールを操作した。

 

 

「やべぇ…!!」

 

「け、剱都、この音なに?」

 

 

ディスプレイにチーム寮からさほど離れてない森の場所がポイントされた。

 

 

「KCのデュエルディスクサーバーに認証されてないディスクとのデュエルが開始したときに通達されるアラームだ…!!」

 

 

デュエルディスクの認証データは不正や裏デュエルの取り締まりのために別の電波が使用され、それはPDAよりも強力のため紫苑の推測では魔導師の結界も通り抜けることが可能だということだった。

 

「認証されてない…?」

 

「それってぇ…」

 

 

シゲルと如月はもしかして、と外れてほしい予想がついた。剱都はさらにコンソールを操作すると何かのデータを出した。

 

 

「間違いねぇ…翔が侵入者と戦ってる…!!」

 

「あ、相手は!?」

 

 

ユウがそう聞くとそのデータが何かを照合して一致したのだろう、つらつらと文字を表示した。

 

 

「以前にデュエルした形跡がある…相手は…エド!?」

 

「…おい、この日って十代が戻ってきた日じゃねぇか?」

 

 

シゲルの言う通り、そのデータを記録した日は十代が帰還して紫苑の中にいた星光とデュエルした日――つまり――

 

 

 

「相手はチェルトか!」

 

「知ってる奴なのか?」

 

「やばいレベルの相手だ。敵幹部の一人、エド・フェニックスを追い詰める実力者でもある」

 

 

オブライエンも事の大きさを理解したようだ。ユウとシゲルは急いでアジトからチーム寮のターミナルへと向かい、オブライエンもそれを追った。一方の剱都はPDAから十代へと連絡を入れようとコールした。

 

 

「僕たちも…」

 

「いや、二人は待機してくれ。相手が複数いる可能性もある。如月、情報を集めろ!!」

 

「了解ですぅ!!」

 

 

ジュードと荒木が待機するように言われたアジトは慌ただしくなった。

 

―森の中―

 

「紫苑…」

 

「ええ、これは…」

 

 

尾行を続けていたツバキと紫苑は突然リチャードの気配が消えたことに渋い顔をした。それと同時に展開された結界、そしてそれに干渉しようと手を伸ばせばまるで電撃のような痺れが掌に走った。

 

 

「強力な結界…並大抵の魔導師ではないですね」

 

「もしかしてリチャード?」

 

「いえ、彼女からは魔力は感じられませんでした。仮に魔力を抑える装具を使ってあらかじめ用意していた結界を展開させたとしてもこれを設置する時間も展開する時間もないはずです。第三者の誰かがここに――」

 

 

そこまで言うと紫苑とツバキ、2人のPDAから同時にアラートが鳴った。

 

 

「この音は…」

 

「エネミーズか管理局のディスク反応です…おそらく…――!!」

 

 

 

そう言って紫苑は結界を見つめた。その先にいるであろう、敵を睨むようにして。

 

 

 

―一方―

 

 

「十代!」

 

「ユウ!シゲル!オブライエン!?」

 

 

釼都からの連絡を受けて森の端までやってきた十代。そこで近くのターミナルからやってきた3人と合流して、オブライエンと行動してる事に驚いていた。

 

 

「お前は指示されたこともできねぇのかよ…」

 

「うっ…そ、それよりなんでオブライエンが…」

 

 

「利害が一致したからだ」

 

 

 

シゲルの言葉に十代は青い顔をしながら話を逸らそうとしてオブライエンのことを聞いた。

 

 

 

「とにかく行こう、翔が心配だよ」

 

 

―その頃―

 

 

「(ど、どうしよう…)」

 

 

リチャードは待ち合わせに向かっていた。その最中に非常にまずい状況に遭遇してしまった。

 

 

「っ…ゲホッ…!!」

 

 

 

見覚えがないが、アカデミアの制服を着た生徒がデュエルをしてる。文面だけを見ればおかしいところがないが、その相手はまず教師でもない不審者、そして生徒の方は満身創痍というようにボロボロだった。

 

 

 

「しぶといな…だが、これで終わりだ。アマリリスの効果、ダメージを受けろ!!」

 

「うわあああああああああ!!!」

 

 

生徒は吹き飛ばされ、そして背後にあった木に激突してぐったりしている。とはいえ、完全に意識を失ってはいないようで顔を上げて虚ろな目でチェルトを見ていた。

 

 

 

「っ…ぁ…」

 

「(な、何あの人…ううん、それより助けないと…!!)」

 

「そこで見てる奴、いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

好きを見て不意打ちをしようとリチャードが潜もうとしたが、チェルトはまっすぐとリチャードを見ていた。

 

 

「ば、バレてる…!!」

 

「ん?…ああ、なんだ、探す手間が省けた」

 

 

リチャードの顔を見てチェルトが心底めんどくさいような顔をしていた。

それと同時にリチャードは理解した、彼の狙いは自分なのだと。

 

 

「私が狙い…何が目的!?」

 

「知るか、ゴスペルの野郎が欲してただけだからな」

 

 

誰かからの指示なのだろう。かといってこのまま大人しく捕まるのが得策ではないのは分かっている。

 

 

「っ…!!」

 

「手荒な真似はしたくねぇ…一瞬でケリをつけてやる」

 

 

そう言うとチェルトはディスクを構えた。リチャードも腰のデッキケースからデッキを取り出すと意識を失ってる翔のディスクを外して自分の腕につけた。

 

残念ながら普段からディスクを持ち歩いているオブライエンとエキシビジョンを行ったヨハン以外の3人はディスクを荷物とともに置いてきたのだ。

 

 

 

「どなたか知らないけど、借りるね…!!(けど、なんでデュエルでこんな…)」

 

 

翔の【ロイド】を自分のデッキケースに入れて改めて自分のデッキをセットしながらリチャードはなぜ彼が意識を失ってるのか理解できなかった。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

―リチャードのターン―

 

 

「私のターン!!私は劫火の舟守ゴースト・カロンを守備表示で召喚!!」

 

 

 

ゴースト・カロン/DEF0

 

 

リチャードのフィールドに黄泉の川で舟を漕ぐアンデットが出現した。このモンスターは墓地の融合モンスターと組み合わせてシンクロ召喚をするという特殊な効果を持つモンスターだ。

 

しかし、まだ1ターン目。モンスターところかカードすらない。

 

 

「(最初はこれで様子を見よう…)ターンエンド」

 

 

リチャード

LP4000 手札4枚

ゴースト・カロン/DEF0

伏せカード無し

 

 

―チェルトのターン―

 

 

「俺のターン、ローンファイア・ブロッサムを召喚!!」

 

 

ローンファイア・ブロッサム/DEF1400

 

 

リチャードは知らないが以前のエドとの戦いで使われたカードはスキルドレインとフェニキシアン・クラスター・アマリリスを用いたメタバーンデッキだった。

 

 

「ローンファイア・ブロッサムの効果発動、自身をリリースしてギガ・プラントを召喚する」

 

 

ギガ・プラント/ATK2400

 

 

今度は巨大な蔦をもつ花の怪物が出現した。その効果は有名かつ、強力なモンスターだ。しかしそのためには――

 

「スーペルヴィスを装備、これによりギガプラントをデュアル状態にする」

 

「デュアルモンスター…!!」

 

 

普通なら召喚権を行使する効果だがこの装備カードでそのロスをなくすことができる。

 

「効果でローンファイア・ブロッサムを蘇生させ、そして再びリリースしてデッキから森羅の仙樹レギアを特殊召喚する」

 

レギア/ATK2700

 

 

今度は見上げるほどの大木が生えてきた。このカードはエドとの戦いでは出てきてなかった。

 

 

「レギア効果発動、デッキトップを確認を確認し、それが植物族モンスターなら墓地に送ることができる。カードは…森羅の新芽スプラウトだ、そのまま墓地に」

 

「(モンスターを…ただの墓地肥やし…?)」

 

 

 

「スプラウトの効果、デッキの上からめくられたこのカードが墓地に送られた場合デッキからレベル1の植物族モンスターを召喚する、グローアップ・バルブを特殊召喚!!」

 

 

グローアップ・バルブ/ATK100

 

 

今度は球根に目玉が生えた花が出現した。そしてそれはチューナーモンスターでもある。

 

「レベル7のレギアにレベル1のグローアップ・バルブをチューニング、太古より咲き誇る花よ、その花弁を靡かせろ」

 

 

☆7 + ☆1 =☆8

 

 

「シンクロ召喚、森羅の天華フラリッシ」

 

 

森羅の天華フラリッシュ/ATK2800

 

 

赤い花弁のスカートとボウガンのような火器を持つ女性が出現した。

 

「フラリッシュの効果、1ターンに1度、デッキの上からカードを2枚めくり植物族モンスターを墓地へ、魔法・罠を1枚まで手札に加える」

 

 

森羅の天華フラリッシュ

シンクロモンスター

星8/地属性/植物族/ATK2800/DEF1900

チューナー以外の植物族モンスター1体以上+チューナーモンスター

「森羅の天華フラリッシュ」の(1)(2)の効果はどちらか1ターンに1度、自分のメインフェイズしか使えない。

(1)デッキの一番上からカードを2枚めくり、植物族モンスターを墓地へ送り、魔法・罠を1枚まで手札に加える。

残りのカードはデッキの一番下に戻す。

(2)手札を一枚捨て、墓地に存在する「森羅」モンスターをデッキの一番上に戻す。

 

 

「森羅の葉心棒ブレイドを墓地に、フレグランス・ストームを手札に。さらにブレイドの効果でこのカードがデッキの上から墓地に送られた場合、手札に加えることができる」

 

 

「(そうか、デッキの上からモンスターを墓地に送る効果と、送られたときに発動するカードカテゴリー…なら、盤面を整えられたら不利になる!!)

 

 

「バトルフェイズ、ギガプラントでゴースト・カロンへ攻撃だ」

 

「やばっ…!!」

 

 

手札には攻撃に反応するカードはない。そのため、ゴースト・カロンが破壊されてしまいリチャードのフィールドががら空きになってしまった。

 

 

「フラリッシュの直接攻撃、ペタル・クロスボウ!!」

 

「くっ…きぃ、きゃあああああああああああああ!!!!!!????」

 

 

リチャード/LP4000→1200

 

一気にライフを削られただけではなく、リチャードは激痛に悲鳴を上げた。攻撃がやんで自分の左腕を見ると青ざめた。

 

 

「な、なんで…!?」

 

 

左腕から血が流れている、いや、よく見れば左腕が一番ひどいだけで体中に擦り傷や切り傷が多く出ていた。

 

 

「い、いたっ!ど、どうして怪我が…!!」

 

「残念だが、すでにドームを張っている…逃げ場はもうない」

 

 

チェルトの言葉にリチャードはさらに訳が分からなかった。

 

 

ドーム?逃げ場がない?なぜ?どうして?

 

 

そんな言葉が頭の中を駆け巡ったが気づいた、どうして翔がこんなにボロボロなのか。

このフィールドではダメージが現実のものとなるのだと。

 

 

「いや、いやぁ…!!」

 

 

しかし、彼女はただの少女――そんな場面に出くわして心が折られないわけがない。

その場で蹲ってガタガタと震えてしまった。

 

 

 

「…はぁ…で、どうする?続けるか?それとも――」

 

 

チェルトが気だるそうに聞いた。戦意喪失してる相手を嬲る趣味はない、このままサレンダーでもすれば手間が省けるのだが――

 

 

「やだぁ…もうやだぁ…!!」

 

 

「――なら、サレンダーか…それとも」

 

 

 

そういうとチェルトは若干面白そうにリチャードから目を離して――見た。

 

 

 

 

「そいつに代わるか?」

 

「……えっ…?」

 

 

 

「まだっ…す…!!」

 

そいつ――それは立ち上がろうと、まだ戦おうとしてる翔だった。

 

 

彼は目が覚めてディスクがないことと目の前に今日来た少女がチェルトと戦っているのを見て誰かが巻き込まれているのだと理解した。

 

そしてそのリチャードがこの実体化するダメージに恐怖して戦意を喪失したとなれば自分ができることがただ一つだと考えていた。

 

 

「僕が…引き継ぐっす…!!」

 

「ま、まだ動いちゃ――!!」

 

 

「必ず…まも…」

 

 

やはり限界だったのか、リチャードに寄りかかるように再び翔は意識を失った。そのときリチャードは翔を抱えて気づいた、彼の怪我を。

 

遠目からはわからなかったが今のリチャードと同じぐらいにボロボロだった、制服は所々切れ、見えないところでは内出血をし、そして相当な量の血を流していた。

 

 

「ふん…で、どうする?続けるか…やめるか」

 

 

「……」

 

 

翔を抱えてリチャードは彼のぬくもりを感じていた。血を流し、ボロボロになりながらも自分を守ろうとしてくれていた。そんな気持ちを踏みにじってサレンダーをする…

 

 

「私は…まだ…」

 

 

翔を近くに木に寄りかかせて、リチャードは震えながらも構えた。まだ戦えると意思表示をした。

 

 

「いいだろう、望みどおりに続けてやる…カードを伏せてターンエンド」

 

 

リチャード

LP4000 手札5枚

ギガプラント/ATK2400 フラリッシュ/ATK2800

伏せカード1枚

 

―リチャードのターン―

 

「私のターン!!(ダメージを受けるのは怖い…けど、このカードがあれば…!!)闇竜生‐ジョクトを召喚!!」

 

 

ジョクト/ATK0/幻竜族

 

 

フィールドに全体が黒い体をしたドラゴンが出現した――しかし、気になるのはその種族。

 

 

「幻竜族…?まさか、木田(パント)のサイキックと同じ未知の種族か?」

 

「ジョクトの効果、他にモンスターが存在しない場合、手札の風竜星‐ホロウと地竜星‐ヘイカンを墓地に送り魔竜星‐トウテツと光竜星‐リフンを特殊召喚する!!」

 

トウテツ/ATK2200

 

リフン/ATK0

 

 

今度は光の子竜とジョクトと同じ闇の大竜が出現した。攻撃力は2000を超えてるとはいえギガプラントにすら勝ててない。そうなれば残るのは――

 

 

「レベル5のトウテツにレベル2のジョクトをチューニング!!」

 

「やはり、シンクロか」

 

「清廉なる花園に芽吹き孤高の薔薇よ、蒼き月の雫を得てここに開花せよ!」

 

 

☆5 + ☆2 =☆7

 

 

フィールドに、まるでチェルトが森羅を召喚したときのように花吹雪が吹き荒れた。その中心から赤黒い薔薇の体を持つドラゴンが咲いた。

 

「シンクロ召喚、月華竜ブラック・ローズ!!」

 

 

月華竜ブラック・ローズ/ATK2400

 

 

「(この威圧感…)なかなか楽しめそうだな」

 

 

ただの女子生徒の捕獲の任務のはずでチェルトは乗り気ではなかったがブラック・ローズの放つ威圧感にゾクゾクしながらにやりと笑った。

 

 

「ブラック・ローズ効果発動!!このモンスターの特殊召喚成功時、もしくはレベル5以上のモンスターの特殊召喚に成功したときフィールドのモンスターを手札に戻す、ギガプラントをバウンス!!」

 

 

赤黒の花吹雪に包まれたギガプラントはそのままチェルトの手札へと吹き飛ばされてしまった。しかし、攻撃力が劣るギガプラントを戻したのはなぜか。

 

 

「スーペルヴィスは墓地から通常モンスターを呼び出す、けど手札に戻せば蘇生はできない!!」

 

 

そう、たとえ破壊してもその瞬間スーペルヴィスの効果で再びギガプラントはフィールドに戻る。しかし、今はギガプラントは手札、墓地には通常モンスターがいないため不発となったのだ。

 

 

「だがその攻撃力ならフラリッシュを超えれないぞ」

 

「まだまだ、レベル7のブラック・ローズにレベル1のリフンをチューニング!!」

 

 

「連続シンクロか!」

 

 

ブラック・ローズの体にリフンの光のリングが包み込んだ。

 

 

「黒の闇を裂き天地を焼き尽くす孤高の絶対なる王者よ!!万物を睥睨しその猛威を振るえ!!」

 

 

☆7 + ☆1 =☆8

 

 

 

「(この力…まさか、あいつは…!!)」

 

「シンクロ召喚、閻魔竜レッド・デーモン!!」

 

 

閻魔竜レッド・デーモン/ATK3000

 

 

今度はすべてを破壊するような獰猛ともいえる殺意の炎をもつドラゴンが出現した。

 

 

「レッド・デーモンの効果発動、1ターンに1度このカード以外の攻撃表示モンスターをすべて破壊する、アブソリュート・ヘル・バーン!!」

 

「クッ…!!」

 

これでフラリッシュも破壊できてチェルトのフィールドががら空きとなった。

 

 

「今度はこっちの番だよ、バトルフェイズ、レッド・デーモンで直接攻撃!!アブソリュート・ヘル・ドグマ!!」

 

「グッ…うわああああああああああ!!!!」

 

 

チェルト/LP4000→1000

 

 

炎をまとったレッド・デーモンの攻撃にチェルトは押し込まれた。しかし、膝を折ることなくその体をふらつかせながらも立っていた。

 

 

 

「いいぜ…ここまで強力な精霊はエド・フェニックス以来だ…もっと楽しませろ…!!」

 

「っ…カードを伏せてターンエンド!!」

 

リチャード

LP1200 手札0枚

閻魔竜レッド・デーモン/ATK3000

伏せカード1枚

 

 

―チェルトのターン―

 

「俺のターン、ドロー!!リバース罠、森羅の恵みを発動。手札を1枚一番上に置き墓地のフラリッシュを蘇生させる」

 

 

フラリッシュ/ATK2800

 

 

再び墓地にいたフラリッシュがフィールドに戻った。先ほどの攻撃の時にこのカードを使えば大ダメージは免れることはできたはずだ。しかし、壁にしなかったということはこのターンでさらに仕掛けてくるということだ。

 

 

「効果でデッキの上からカードを2枚めくり植物族なら墓地へと送る、カードは戻したブレイドと森羅の蜜柑子シトラだ、両方とも墓地に送る。さらにブレイドを回収しシトラの効果でフラリッシュの攻撃力を300ポイント上昇させる」

 

 

フラリッシュ/ATK2800→3100

 

「攻撃力が…!!」

 

「そしてブレイドを通常召喚」

 

 

ブレイド/ATK1900

 

 

これでレッド・デーモンの攻撃力を超え、リチャードのライフを削り切るモンスターが並んだ。

 

 

「バトルフェイズ、フラリッシュでレッド・デーモンに攻撃だ。ペタル・クロスボウ!!」

 

「クッ…きゃっぁぁ!!」

 

 

リチャード/LP1200→1100

 

 

「これで終わりか?ブレイドで直接攻撃だ」

 

「っ…まだ…リバース罠、死霊ゾーマを発動!!発動後、このカードはトラップモンスターとしてフィールドに特殊召喚する!!」

 

 

ゾーマ/DEF500

 

 

「ゾーマは戦闘で破壊されたとき、バトルをしたモンスターの攻撃力のダメージを与えるモンスター…なら、メインフェイズ2、フレグランス・ストームを発動、ブレイドを破壊してカードをドローする」

 

「っ…」

 

「カードを伏せてターンエンドだ」

 

チェルト

LP1000 手札4枚

フラリッシュ/ATK3100

伏せカード2枚

 

 

―リチャードのターン―

 

 

「私のターン!!(死霊ゾーマでブレイドを攻撃したら勝ててた…けど、それを見越してフレグランス・ストームを…フラリッシュに攻撃したら効果が発動する前に反射ダメージでやられる…壁に…ううん。相手の戦術は私よりも上…なら)リバースカード発動!!」

 

 

リチャードの宣言と同時にフィールドからまるで間欠泉のように水が吹き上がった。

 

 

「竜魂の源泉、このカードは墓地のモンスターを幻竜族として特殊召喚する、ブラック・ローズを蘇生!!そして効果でフラリッシュを手札に戻す!」

 

「ふん…カウンター罠、天罰、手札を1枚捨てて無効にして破壊する」

 

 

再び花弁の竜巻を生み出そうとしたブラック・ローズだが天から降り注いだ雷が貫いてしまった。

 

「っ…竜星の輝跡を発動!!墓地のトウテツとヘイカンとホロウをデッキに戻してカードを2枚ドローする!!(これを使えば…けど、もう手がない…)ライフを1000ポイント払い簡易融合、ナイトメアを駆る死霊を特殊召喚!!」

 

 

ナイトメアを駆る死霊/ATK800

 

 

今度はダイレクトアタッカーとハンデスの効果を持つアンデットの融合モンスターだ。しかしゴースト・カロンといい、ゾーマといい。なぜ彼女のデッキにアンデット族がいるのか。

 

 

「置換融合を発動!!フィールドのナイトメアを駆る死霊とゾーマを融合…二体の亡者の魂が冥界の主を呼びさます!!冥界の扉を破り現れよ!!ドラゴネクロ!!」

 

 

冥界龍ドラゴネクロ/ATK3000

 

 

今度は亡霊でできたドラゴンがリチャードのフィールドに登場した。

おそらくゴースト・カロンやゾーマなどのアンデットが入ってるのはドラゴネクロの素材にするためなのだろう。

 

 

「バトルフェイズ、ドラゴネクロでフラリッシュへ攻撃!!ドラゴネクロは戦闘を行うモンスターを戦闘破壊せず、攻撃力を0にして奪った攻撃力を持つソウルトークンを生み出す!!」

 

 

「なるほど、つまり俺に直接攻撃並みのダメージを与えるつもりか…が、残念だな。茨の壁を発動、植物族モンスターが攻撃対象になったとき、相手の攻撃表示モンスターを破壊するぜ」

 

 

ドラゴネクロはフラリッシュに攻撃を仕掛けるがその間に突然バラの茎のような茨が壁のようにして割り込んできて、それが増大するとドラゴネクロを飲み込んでしまった。

 

 

「っ…メインフェイズ2。(ドラゴネクロも…手札は全部使いきっちゃった…もうこれに頼るしか…)墓地のドラゴネクロをデッキに戻して置換融合の効果…カードを1枚ドロー!!(おねがい!)」

 

願いながら引いたカード。モンスターでも、逆転の魔法でもない。

 

「カードを伏せてターンエンド」

 

 

リチャード

LP100 手札0枚

モンスター無し

伏せカード1枚

 

―チェルトのターン―

 

「ドロー、フラリッシュの効果でデッキトップを確認する…ふむ、両方ともモンスターではない…か。なら魔法カード、狂植物の反乱を手札に加えて超栄養太陽をデッキの一番下へ。森羅の実張りピースを召喚」

 

ピース/ATK400

 

今度は大きな葉っぱに隠れるようにしていくつもの植物の実の体を持つモンスターが出てきた。攻撃力は低いがそれでもリチャードのライフを削るのには十分だった。

 

「ピースの効果だ、デッキの一番上を確認して植物族なら墓地へと送る。カードは…森羅の渡し守ロータス。こいつは墓地に遅れら他場合、墓地の森羅を5枚まで選びデッキの一番下に戻すことができる」

 

「デッキ回復のカード…」

 

 

おそらくチェルトのデッキは特性上消費が激しい。そうなればデッキ切れを起こす可能性もある。

 

それをリカバリーするためのカードがあってもおかしくなない。

 

 

「俺は森羅の恵みをデッキに戻す、そしてバトルフェイズだ。フラリッシュで直接攻撃。ペタル・クロスボウ!!」

 

「まだ終わらない、リバース罠、ピンポイント・ガード!!墓地のゴースト・カロンを守備表示で蘇生、さらにこのターン効果・戦闘で破壊されない!!」

 

 

フラリッシュの放った弾丸がゴースト・カロンの船に当たり、リチャードから逸れた。

 

「ほう…カードを伏せてターンエンドだ」

 

 

 

チェルト

LP1000 手札3枚

フラリッシュ/ATK3100 ピース/ATK400

伏せカード1枚

 

 

―リチャードのターン―

 

「私のターン!!ゴースト・カロンの効果発動、墓地の魂を刈り取るナイトメアと自身を除外してレベル7のドラゴン族シンクロモンスターを特殊召喚する!!

 

牙をむく妖の闇、今輝いて永久の生命となる!!」

 

 

☆5 + ☆2 =☆7

 

 

「特殊召喚、妖精竜エンシェント!!」

 

 

妖精エンシェント/ATK2100

 

 

今度は青い妖精の名を持つドラゴンがアンデットの力でフィールドに出現した。

 

「手札からダークゾーンを発動!!闇属性モンスターの攻撃力を500ポイントアップし、さらにエンシェントの効果でカードをドロー!!」

 

 

エンシェント/ATK2100→2600

 

 

「さらにフィールド魔法が存在するとき、エンシェントの効果でフラリッシュを破壊する!!」

 

「(これで4体目の精霊のドラゴン…なるほど、つまりそういうことか)」

 

 

破壊されたフラリッシュを横目にチェルトは何かを確信したように口元に笑みを浮かべた。

 

「バトルフェイズ、エンシェントでピースへ攻撃!!フェアリー・テイル・ウィップ!!」

 

「リバースカード、狂植物の反乱を発動!!墓地に存在する植物族の数×300ポイントアップさせる!!墓地には7体、よって2100ポイントアップさせる!!」

 

 

スナッフ/ATK400→2500

 

 

わずかながら攻撃力はエンシェントのほうが上だった。

しかし、これで決めれると思ったリチャードは苦虫を噛んだかのように渋い顔をした。

 

 

チェルト/LP1000→900

 

 

「なら…カードを伏せてターンエンド」

 

リチャード

LP100 手札0枚

エンシェント/ATK2600

伏せカード1枚

ダークゾーン

 

―チェルトのターン―

 

 

「ドロー、死者蘇生を発動だ。墓地のフラリッシュを蘇生させる」

 

フラリッシュ/ATK2800

 

 

再び出現したフラリッシュ。攻撃力はエンシェントよりも上で効果も強力だった。

 

しかし、リチャードはチェルトのデッキは特殊召喚特化型の植物族デッキだということである防衛策を講じていた。

 

 

「速攻魔法、終焉の地を発動!!相手がモンスターを特殊召喚したとき、デッキからフィールド魔法を発動することができる、光の護封陣を発動!!」

 

 

フィールドに蔓延っていた闇が晴れるとリチャードを守るかのように足元に魔法陣が表れて壁が出来上がった。

 

 

「このカードは発動時に選択した種族のモンスターは召喚したターンは攻撃できない、植物族を選択!!さらにフィールド魔法の発動でカードをドロー!!」

 

「めんどいな…手札を1枚捨てフラリッシュの効果、墓地のスプラウトをデッキの一番上へ置く、そして森羅の花卉士 ナルサスを召喚!」

 

 

ナルサス/ATK1800

 

今度は草花でできた剣と盾を持つ若い騎士が出てきた。

 

 

「効果で発動、デッキの一番上を確認し、植物増なら墓地へ。カードは…森羅の姫芽君スプラウトだ、墓地に送りデッキからコピー・プラントを特殊召喚する」

 

 

コピー・プラント/ATK0

 

 

今度は森羅のモンスターではないが根でできたチューナーが出現した。こうなればさらなるシンクロモンスターを呼び出されるのが目に見えていた。

 

「コピー・プラント効果発動、ナルサスと同じレベルになる」

 

 

コピー・プラント/☆1→4

 

 

「レベル4のナルサスにレベル4のコピー・プラントをチューニング

その聖なる森に祀られし獣よ、聖域を犯す者に断罪の爪を与えろ!!」

 

 

☆4 + ☆4 =☆8

 

「森羅の聖獣セフィロト!!」

 

 

セフィロト/ATK3000

 

 

今度は巨大なライオンのような植物でできた獣が出現した。

 

「ターンエンドだ」

 

チェルト

LP900 手札1枚

セフィロト/ATK3000 フラリッシュ/ATK2800

伏せカード無し

 

 

―リチャードのターン―

 

「ドロー!!エンシェントの効果を発動、セフィロトを破壊する!!」

 

「セフィロトの効果だ、破壊されるとき代わりに手札、またはフィールドの森羅を破壊することができる。フラリッシュを破壊する」

 

 

セフィロトに迫った魔力がフラリッシュを養分に生み出された蔦の壁に阻まれてしまった。

 

 

「スケープ・ゴーストを召喚!!(本当はレッド・デーモンを出したいけど…)レベル7のエンシェントにレベル1のスケープ・ゴーストをチューニング!!地獄と天国の間、煉獄よりその姿を現せ!!」

 

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

「シンクロ召喚、煉獄龍オーガ・ドラグーン!!」

 

 

オーガ・ドラグーン/ATK3000

 

 

今度は以前にシゲルが召喚したソウル・オーガに似たモンスターが召喚された。残念ながらこの二人はその場に居合わせていないので全く知らないのだが。

 

 

「カードを伏せてターンエンド!!」

 

 

リチャード

LP100 手札0枚

オーガ・ドラグーン/ATK3000

伏せカード1枚

光の護封陣(植物族)

 

―チェルトのターン―

 

 

「俺のターンドロー、バトルフェイズ、セフィロトでオーガ・ドラグーンに攻撃だ」

 

「同じ攻撃力…だけど…」

 

「セフィロトの効果で手札の森羅の仙寿レギアをコストに破壊を無効だ」

 

 

同じ攻撃力とはいえ、これでは一方的にオーガ・ドラグーンが破壊されてしまう。

 

 

「リバース罠、シャドー・インパルスを発動!!破壊されたシンクロモンスターと同じ種族、レベルのモンスターの閃光竜スターダストを特殊召喚する!!」

 

 

スターダスト/ATK2500

 

「次から次へと…まるでびっくり箱だな。ターンエンド」

 

チェルト

LP900 手札1枚

セフィロト/ATK3000

伏せカード無し

 

 

―リチャードのターン―

 

 

「私のターン!!手札から進化する人類をセフィロトへ装備!!このカードの効果で私のライフが相手よりも低いため、セフィロトの攻撃力を2400に変更する!!」

 

セフィロト/ATK3000→2400

 

 

本来なら見方モンスターの攻撃力を上げるために入れてるカードだが、この場合は相手の攻撃力を下げる手になる。

 

 

「バトルフェイズ、スターダストでセフィロトに攻撃!!シューティング・ブラスト!!」

 

「っ…だが、セフィロトの効果の発動が確定した。このモンスターが破壊された場合、エンドフェイズにデッキの上から5枚のカードを確認してその中から3枚のカードを墓地に送ることができる」

 

森羅の聖獣 セフィロト

シンクロモンスター

星8/光属性/植物族/ATK3000/DEF2600

チューナー以外の植物族モンスター1体以上+チューナーモンスター1体

(1)このモンスターが破壊される場合、代わりに自分フィールド・手札の「森羅」モンスターを墓地に送り破壊を無効にすることができる。

(2)このモンスターが破壊された場合、そのターンのエンドフェイズに発動することができる。デッキの上から5枚のカードをめくり、その中から3枚まで選び、墓地に送る。

その後、残りのカードをデッキの一番上か一番下に好きな順番で置く。

 

 

「っ…手札もない、このままエンドフェイズにはいる」

 

「ならセフィロトの効果だ。5枚の中から…この3枚を墓地に送る」

 

drop

 

・森羅の影胞子ストール

 

・森羅の水先リーフ

 

・森羅の番人オーク

 

 

「ストールでフィールドの魔法・罠を1枚破壊する、光の護封陣を破壊だ。次にリーフでスターダストを対象に破壊効果を発動する。オークの効果は発動しない」

 

「スターダストの効果を自身を対象に発動!!1ターンに1度だけ破壊されない!!」

 

 

 

バラのような蔓をスターダストの光りが降り注ぐと一気に枯れた。

 

 

「もうちょっと…ターンエンド!!」

 

リチャード

L100 手札0枚

スターダスト/ATK2500

伏せカードなし

 

 

―チェルトのターン―

 

「俺のターン」

 

「(大丈夫、手札はギガプラントだけ。フィールドにモンスターはいないからアドバンス召喚もできないし攻撃力はスターダストよりも下…ドローも――)」

 

 

先ほどのセフィロトの効果でめくられたカードは二重召喚か貪欲な壺。墓地にモンスターを落とす効果が多いなら貪欲な壺を使われて展開されたらもう止めることも――

 

 

「…なかなか楽しめた。礼を言うぞリチャード・チェルベック」

 

「!」

 

 

「が、打ち止めだ。魔法カード、二重召喚を発動!!このターン、俺は2度の召喚を行うことができる!!」

 

「……え…?」

 

 

なぜ、貪欲な壺ではないのか。どうして召喚できるモンスターがいないはずなのにそのカードを手札に加えていたのか。

 

 

「墓地に存在するグローアップ・バルブの効果を発動!!デッキの一番上のカードを墓地へ送り特殊召喚する!!」

 

「墓地発動効果…!!」

 

 

グローアップ・バルブ/ATK100

 

失念していた。森羅はデッキトップからモンスターを落とすカテゴリーだが、本来の植物族は蘇生などの展開力に長けている種族だ。

 

そうなれば墓地蘇生系の効果があっても不思議ではない。

 

 

 

「グローアップ・バルブをリリース、ギガプラントをアドバンス召喚!!」

 

 

ギガプラント/ATK2400

 

 

「さらに二重召喚で増えた召喚権を放棄…これによりギガプラントをデュアル!!墓地より蘇れ…セフィロト!!」

 

 

セフィロト/ATK3000

 

 

「いや…いや…!!」

 

 

リチャードを守るかのように立ちふさがるスターダスト。しかし、それよりも巨大な獣という恐怖に震えるリチャードはずるずると後ずさりをした。またあのダメージを食らうのかと顔面から血の気が引いた。

 

 

「そしてバトル――」

 

「やめるっす!!」

 

 

 

セフィロトの攻撃宣言をしようしたチェルトと彼女の間に翔が割って入った。まだボロボロで息も絶え絶えだが、はっきりとした目つきで睨んでいた。

 

 

「あなた…!!」

 

「逃げるっす…早く…!!」

 

 

「かっこいいねぇ~…でも、残念だ。このドームは俺の庭だ。逃げることはできねぇ。セフィロトでスターダストへ攻撃!!邪魔者共々吹き飛ばせ!!」

 

 

 

花弁の爪が刃となって向かってきた。それに翔とスターダストは体を広げてリチャードを守るかのように立ちふさがっていた。

 

 

「だめぇ!!」

 

 

翔に手を伸ばすリチャード、しかし、届かない。震えていた脚では一歩を踏み出すのも恐ろしかった。

 

 

 

 

 

「ディストラクションフォース!!」

 

 

翔へと向かっていた攻撃から守るかのように間に割って入った赤い竜。そしてディスクを構えたツバキが滑り込んできた。

 

 

 

「そこまでだよ、エネミーズ…!!」

 

「ツバキちゃん…!?」

 

「えっ、えっ?」

 

「安心してください、味方です」

 

 

混乱するリチャードに紫苑が落ち着かせるようにして声をかけた。二人がやって来たことに安心したのか、また翔は倒れこみそうになるが紫苑がそれを支えた。

 

 

「(意識を失ってるだけ…強い衝撃で脳震盪を起こしたようですね。けど、この様子だと大丈夫でしょう…)」

 

 

「二人…ちょいと骨が折れるな――」

 

 

 

殺気に反応してチェルトがその場から離れると同時にシゲルのゲオルディアスの一撃で地面がクレーターとなった。

 

 

 

「ちっ、外したか…フレイム・ファング、やれ!!」

 

 

その声とともに炎の獣がセフィロトに食らいつき、そして引きちぎった。

 

 

「………」

 

「シゲル、ユウ、十代…それとなんで?」

 

 

完全に殺る気だったシゲルの言葉にオブライエンが言葉を失っているとツバキがなぜこの組み合わせでやってきたのか驚いていた。

 

 

「話は後だ。紫苑、オブライエン、翔とそいつを頼む」

 

「俺は――」

 

 

「クライアントからの依頼だろ?」

 

 

 

オブライエンも加勢しようとするが、シゲルの言葉に押し黙ってしまった。

 

 

 

「ノーバディが4人…いや、3人か…多勢に無勢だな。またゴスペルの小言を聞く羽目になりそうだな」

 

「と言って逃がすと思ってるのか?」

 

 

撤退も視野に入れ始めてるチェルトにシゲルが逃すまいと睨んでいた。しかし、チェルトはそれどこ吹く風と涼しい顔をしていた。

 

その間にもカオスとゲオルディアスだけでなくユウやシゲルのモンスターがチェルトを囲んでいた。

 

 

「まあ、この包囲網から逃げるのは至難の技だな…ここにいれば、の話だがな」

 

「へっ?」

 

「…! レティアリィ!!」

 

 

シゲルがハッとして呼び出したレティアリィでチェルトに攻撃するが、その攻撃はチェルトに当たらなかった。いや、正確には直撃した――チェルトの形をした植物に。

 

 

「なっ!?」

 

「蔦…!?」

 

「逃げられたか…」

 

 

荒木たちが病院でセリアとの戦いのあとでゴスペルの妨害にあったとき、謎の植物に体を拘束されたと言っていた。

 

チェルトが植物を操る力があるのなら、自分の姿に擬態で来ても不思議ではない。

 

 

 

「なに…今の…えっ、夢…いや、なんなの…あなたたち…!?」

 

 

完全に混乱してるリチャードは若干錯乱してるようだ。怯えた表情で震えていた。

 

 

「安心しろ、危害を加える気はない」

 

「ひっ」

 

 

先ほどのゲオルディアスの攻撃でシゲルは完全に警戒されているようだった。そして次々とモンスターを召喚していたユウとツバキも同様だった。

 

オブライエンも近寄りがたい雰囲気があり、その一行と肩を並べている十代も同様での中で実質落ち着いて会話できるのは翔の介抱をしていた紫苑ぐらいしかいないのだ。

 

どうするか途方に暮れていたせいもあるのか、彼の接近に気づいていなかった。

 

 

 

 

「お前たち、何をしている」

 

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

ちょうど全員の死角になる木の陰から現れた大柄の男性――そう、コブラだ。

 

そもそも翔は彼の尾行をしてこの森にやってきた、つまりコブラが付近にいてもおかしくはなかった。

 

 

「ちっ…(どうする、傍から見たら俺たちが彼女に危害を加えようとしてるように見えなくもない…)」

 

 

敵の可能性がある以上、あまり怪しまれるような行動は控えるべきだった。翔の救助とはいえノーバディの4人と十代、オブライエンが集まってるところを見られてしまった。

 

 

「シゲル、どうする…?」

 

「(仕方ねぇ…!!)それはこっちのセリフだ…お前の目的は何だ、プロフェッサー・コブラ!!」

 

 

 

駆け引きが苦手なユウ達に翔やリチャードの護衛のために動けないツバキと紫苑、そして下手に行動できないオブライエン。

 

その中で考えられる手の中で最善だったのは――真っ向勝負。

下手に誤魔化そうにも今のリチャードが余計なことを口走って状況が悪化する可能性もあるし、黙秘を貫こうにもオブライエンがこの場に同行してる時点でそれも難しい。

 

 

「オブライエンに指令を出して、人気のない森にやって来た…そもそもあのデスベルトも何かの目的のために持ってきた、違うか?」

 

となれば正面から行くしかない。幸いなことに通話は紫苑が追加したディスクの録音機能で記録されてアジトのコンピューターに保存される。この場にいるメンバーに万が一があってもそれがあれば少なくともコブラの目的を阻害することはできる。

 

 

「…いったい何のことだ」

 

「とぼけるな!貴方は死んだ子供のために精霊と手を組んだ!!」

 

 

その時、シゲルはある違和感を持った。

 

 

ユウの言葉にコブラが全く動じていないのだ。

 

 

以前ペガサスに世渡りの方法を学んだとき、相手との駆け引きは目線を追えと言われていた。それはどんな人間も動じないようにしても目が小刻みに動くといわれたからだ。

 

しかし、コブラの目線はしっかりとユウを見ていた。

 

 

「死んだ…?まさか、お前たちが奴の言っていた…!!」

 

 

「そこまでだ、全員おとなしくしろ」

 

 

 

 

コブラが何かを確信した――のと同時にそこに乱入者が来た。

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

 

「間に合った…」

 

 

全力疾走してきたのか、肩で息をしている剱都とジュードだった。

 

 

 

「剱都、なんで来たんだ?」

 

 

ノーバディの存在をあまり公にすることは得策ではない上にジュードも戸籍上は一般人、それなのにわざわざ繋がりがあることを教えるようなものだった。

 

 

「調べがついたんだ…俺たちは最初から間違ってたんだよ…」

 

 




シゲル「個人的にだが…今のアニメであるARC-V…」
ユウ「どうかしたの?」
ああ、そういえば剣闘獣が出てくるね。まさかの展開だけど、もしかしたら強化があるかもしれないし…
シゲル「それを敵が使ってるのが不本意だ…」

ツバキ「それにしても、今回は大分と時間がかかったね」
次話までは作ってるんだけど、やっぱり展開が思いつかなくなって…
今更ながらエネミーズの戦う理由的なものを漠然としすぎたから大儀がなくて…
紫苑「言われてみれば、なんのために戦ってるとか出てませんでしたね」

それと個人的に執筆する時間が取れない…
剱都「なんでまた」
仕事が忙しいのと、実をいうと遊戯王に復帰したから。
シゲル「復帰したのか?」
いやぁ、真紅眼強化がきたからさ…ブラック・デーモンズの時は強化したとはいえあまり強くなくて復帰しかけてた状態だけど、メテオ・ブラックは強くてねぇ。
カードを集めるうちに新弾で【堕天使】を作ってノリに乗ってる状態。
ショップ大会にもちょくちょく参加してる。

さてと、それじゃあ作中説明へ

紫苑「あれがチェルトの本来のデッキ…」
そう、デッキの上を確認して墓地に送ることで真価を発揮する【森羅】
ただ今回のギガプラントみたいに混ざりものをしてる植物族の色も強い。
ツバキ「だから【アマリリス・バーン】に改造されたの?」
そういうこと。

剱都「で、リチャードのほうは…なんだ、あの種族」
幻竜族という、遊戯王の中では一番新しい種族です。
ほぼすべてのモンスターがリクルート効果を持ち、シンクロに特化した【竜星】と…【決闘竜】を組み合わせたデッキです。
ユウ「決闘竜?」
知る人ぞ知る漫画版【遊戯王5D's】の中枢を担うシンクロモンスター、ネオスやスピット達みたいなものだね。
シゲル「また…曰くつきか?」
曰くつき

ついでにリチャードVSチェルトは実は一度書き直した。
紫苑「なぜ?」
当初、リチャードのデッキは【ディフォーマー】だった。設定・性格上、戦隊ものみたいな男の子の遊びを好むような感じにしたかったのね。
ユウ「確か、ディフォーマーって攻守で形が変わるんだっけ?」
剱都「なるほど…トランスフォームは男のロマン」
シゲル「変形は美学だな」
ツバキ「(なんで男の人ってそういうのにあこがれるんだろう…)」
けど、オーガ・ドラグーンとかドラゴ・ネクロの素材の問題で出来上がったのはいいけどこれじゃないなと思って…
ユウ「けど幻竜族は闇属性チューナーはいてもアンデット族じゃないよ」
だからゴースト・カロンやゾーマで補うことにした。
他にもスケープ・ゴーストなどの特殊召喚効果があるモンスターも入ってる。
いうなれば【竜星アンデ】のようなものだね。

一応次話まで作ったけど…また更新がしばらく止まると思います。
次回もお楽しみに!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。