遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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Turn111 バタフライエフェクト

―アジト―

 

「…うん、翔君は問題ないようね、紫苑ちゃんの治療だけで十分だわ」

 

「鮎川先生、ありがとうございます」

 

 

以前響や夕夜が使用した医療用ベッドの上で横になっている翔。要請を受けて鮎川先生が確認したが、あらかじめ紫苑が応急処置を行っていたためそのまま帰っていった。

 

 

「アカデミアの地下にこんなところが…」

 

「と言っても知ってるのは俺らや一部の生徒、それと鮫島校長とクロノス教諭と鮎川先生ぐらいだけどな」

 

 

驚きながらも興味深そうに周りを見回してるリチャードにシゲルがそう言った。ちなみにこの場にノーバディの5人と転生者の3人、雪乃と十代、万丈目、オブライエンとリチャードにコブラがいる。

 

 

集めた情報を如月と紫苑が纏めており、今はそれを待ってる状態だ。

 

 

「剱都さぁん、終わりましたぁ」

 

「ん、分かった」

 

「やっと終わった…」

 

「誰が立っていいって言った?」

 

 

待ってる間に十代を叱っていた剱都。これから話し合いが始まるということで十代が立ち上がろうとするが剱都にまた正座させられていた。

 

 

「それで話してもらおうか、お前たちが何をしてるのか」

 

 

重々しく口を開いたコブラ。歴戦の戦士という風格はまるでアンゲロスと同じで雪乃たちは飲まれそうになるが相手のことを理解してる剱都はその真正面に座って背もたれに寄りかかった。

 

 

「俺たちはこの世界にとっての異物みたいなものだ。本当なら存在しない存在、『世界の矛盾』『転生者』『ノーバディ』とも呼ばれてる」

 

「ノーバディ…なるほど、奴が言ってたのがお前たちのことか」

 

「奴?」

 

 

そういえば、先ほど剱都とジュードが合流する前にそんなことを言っていたのをユウは思い出した。

 

 

「実際には存在するはずのない人間…何らかの理由で死ぬ運命を逃れた人間の戦いが存在し、その中でこの交換留学の裏で糸を引く存在がある。そう聞いた」

 

 

腕を組んで考え込むようにしてコブラがそういった。おそらくその戦いというのは転生者とエネミーズの戦いのことだろう。

 

しかし、いったい誰がそのことをコブラに伝えたのか。

 

 

「聞いたって、誰に?」

 

「名前は知らん…モノクルをつけ、杖をついた…白髪の女だった」

 

 

その姿に一同は反応した。その姿で当てはまる人物を一人だけ知ってるからだ。

 

 

「まさか、コスモス!?」

 

「おいおい、コスモスは眠りについた。特徴は一致するがそれは…」

 

 

「それを聞いたのいつなんだ?」

 

 

万丈目の言う通り、コスモスはいまだに眠りについている。コブラが出会ったのが本当にコスモスというのなら最近ではないはずだ。

 

 

「半年ほど前…交換留学の話が持ち上がる直前に私の枕元で。最初はただの夢かと思ったが間もなく今回の提案が上がったのに嫌な気配がしてな…戦場でそういう危機感を持ったら警戒して何度も危機を回避できた」

 

「半年…ジェネックスが開催される頃か。確かお前らが出会った異世界のデュエリストもコスモスが仕組んだんだよな?」

 

 

シゲルの言葉に万丈目はうなずいた。そのころコスモスはいろいろと暗躍していた、その中でコブラと出会っているのなら辻褄は合う。

 

それに鮫島校長の出張もジェネックス開催に関するプロ・アマの呼び込みと交換留学の設定をするためだったはずだ。

 

 

「じゃあオブライエンに指示をしたのも…」

 

「念のため、そして特別講師として私もやってきたというわけだ」

 

 

 

 

 

「じゃあ、釼都。次はこっちの話だが俺たちが根本的に間違えてたってどういうことだ?」

 

 

シゲルの言葉に如月は集めたデータを表示させた。リチャードはそれが何なのかわかってなかったがコブラはわかったようだ。

 

 

「それはっ!!」

 

「勝手ながら、あんたの経歴を調べさせてもらった。米陸軍後、SEALs、Delta Force、など、など…退役後は大学時代の友人を頼りアカデミアサウスの教師となる。親戚は父母と姉と弟が一人、両方とも結婚しており――」

 

 

バァン!!とテーブルにコブラが拳をたたきつけた。その音に釼都を除いて驚いてたじろいだ。

そして釼都を殺すような視線でにらみつけた。

 

 

「なんの理由があって私や家族を調べた…!!」

 

「…先にそっちの説明をするべきだったか。あんたが聞いた通り、俺たちはこの世界には本来いない存在。矛盾で生まれたやつもいれば、別世界というファンタジーなものからやってきたやつもいる。本当なら死んでるはずだが、そういった矛盾で生きてるのもいるな」

 

 

まあ、十代と万丈目と雪乃は違うけどなと釼都は自虐のように笑っていた。

 

 

「で、その別世界だとこの世界の本来の姿がフィクションとして作られている、一言でいえば漫画の中で存在していた」

 

「この世界が空想だと…!!」

 

「別世界の話では、ね。私たちは別世界で生まれたけどこの世界が故郷で、この世界で生きてる。それは空想じゃない」

 

 

ツバキのはっきりとした言葉にコブラは渋々ながらも納得したようだ。

 

 

「で、その物語が存在する世界の生まれ…ぶっちゃけるとそこにいる荒木がある程度の物語を覚えていた。本来の姿の世界、そこで…コブラ、あんたは悪役(ヴィランズ)だった」

 

「なにぃ――!?」

 

 

いきなりそういわれたら誰でも驚くだろう。だが釼都はコブラの宥めるように手を制した。

 

 

「現実的に今まで戦ってきた相手も荒木の助言で対策を打ってきた。だがそのせいで本来の話から大きく外れていたんだ…俺たちの存在で」

 

「どういうことだ?」

 

「本来なら最近行われていたジェネックスとは大きく違っていた。そして存在しないはずのプラネットモンスターが介入した。いつからが始まりになるのかは定かじゃないがそういったバタフライエフェクトが積み重なった結果がそれだ」

 

「ばたふらいえふぇくと?」

 

 

横文字に苦手な十代は正座しながら聞いた。といってもユウや如月もわかってはないようだったが。

 

 

「軽い行動がのちに大きな結果となるということです。例えば如月がカメラで適当に写真を撮って…何気ないその行動で大事な事件の証拠が見つかる、そういったものです」

 

「あぁ、この前のツバキのあれみたいなことか…」

 

 

万丈目がアンゲロスとの一件でツバキの写真が見つからなくてその存在を認められなくてユウが大きくダメージを受けたという。それももし、何らかの理由で集合写真でも撮っておけばなかったはずだ。

 

 

「今回も、あんたが悪役(ヴィランズ)になる結末がある行動で回避されたんだ」

 

「私が悪役…その理由は何だ?」

 

 

 

「…リックの死」

 

 

釼都の代わりに荒木はそうつぶやいた。それが原因、それにより精霊に唆されて凶行に走るのが本来の話だった。

 

 

「そう、そしてそれが俺たちの根本からの間違いだった」

 

 

そして釼都は立ち上がって映し出していた情報を指さした。

 

 

「探しても見つからないはずだった。俺たちが探していたのは『リックという少年の死亡』だったが…それが矛盾していたとしたら?」

 

「だから、どういうことなんだ?」

 

「荒木の知ってる世界はバタフライエフェクトがない世界。それを俺たちが…ジュードが行動したことによって矛盾していたんだ」

 

 

そういって釼都はジュードを見た。ジュードもうなずいて自分の、過去に行ったことの説明をした。

 

 

 

「あの日――」

 

 

 

―十年前―

 

 

「はぁ…またハズレか」

 

 

医者の義両親は忙しく、ジュードはよく一人で家にいた。このころはまだナタリアともジールとも出会ってはない。そのためデュエルモンスターズもデッキはあるが戦えるものではなかった。

 

少ないお小遣いでパックを買うもあまりいいカードではなかった。

 

 

「うん、ありがとうパパ!」

 

「ん?」

 

 

ふと声がしたほうを見ると、おそらく出張などから戻ってきた父親にご褒美としてカードもらった少年がいた。自分の義父は無関心というわけではないが、あまり自分と会話も最近してないことにジュードは少しさびしさを感じていた。

 

 

「リック!!」

 

 

少しナーバスに落ち込みながら通り過ぎると、声がした。

振り返ると飛ばされたカードを追いかけたのか、少年が車道へ――

 

 

「!!」

 

 

その向こう、トラックが見えた。ジュードはタックルをするように少年を歩道に叩き付けた。

 

 

「うっ…えっ…!!」

 

「リック!!」

 

 

「あ、大丈夫!?」

 

 

突然のことに呆然としたリックという少年、幸いにもトラックは二人のそばを通り過ぎただけでジュードにも怪我なかった。

 

 

 

 

―回想終了―

 

 

「まさか…」

 

「そう、本来ならリックはその時、トラックに撥ねられて死亡するはずだった。だが…存在しないはずのジュードがそれを止めた。如月の話は俺たちの存在しない『本来のアカシックレコード』そのものだった。だが、この世界はコスモスとルーラーの戦いで『ノーバディ・レコード』化し始めている…如月の情報も役に立たなくなっていた」

 

 

つまり、本来なら死ぬはずだったリックをジュードは助けてしまったのだ。その一つの行動が大きな結果となってコブラの『悪役』という役割を排除してしまったのだ。

 

 

「じゃあ何か…俺たちがコブラを張ってたのって…」

 

「…無駄?」

 

 

「ああ」

 

 

釼都の軽い返事に尾行メンバーはその場で脱力した。

 

尾行は予想以上に集中力を使う。それなのに無駄ということに一同は大きな溜息を吐いた。

あの頑張りは何だったのだろうかと。

 

 

「それが俺たちの根本的な間違いってことね…よぉく分かった」

 

 

皮肉のようにシゲルはドカッと椅子に座ってだらけてしまった。コブラ相手にどのように立ち回るのか最善かといろいろと計算してたのに全部無駄となったのだ。

 

 

「ああ、それもある」

 

「…も?」

 

 

ツバキはそう聞いた。まだ何か間違えているのかと思っていると雪乃はリチャードを見た。そう、彼女の存在、本来なら存在しないはずの5人目の留学生。

 

それも何らかのバタフライエフェクトの影響なのか。

 

 

「そこにいる貴女が根本的な間違いですか?」

 

「ああ…そもそも俺たちは大前提を一つ間違えていた。なあ、リチャード」

 

「ふぇ!?」

 

 

いきなり話を振られてリチャードは慌てていた。このメンバーの言ってることがちんぷんかんぷんで付いてきてないのだ。

 

 

「お前…どっちで呼ばれたい?リチャードか…チェルベックか…――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『リック』か」

 

 

 

 

 

 

その質問にジュードと如月、荒木を除いた一同は言葉を失った。釼都は何の質問をしているのか、

 

 

 

「えっと…釼都、どういうこと、なの?」

 

「なんで本来は来ない5人目がいるのか、簡単なことだった。本来ならその生徒は死亡しているはずだったからだ。そして…」

 

 

 

釼都が表示していた情報からもう一つ、指さしたもの。それは家系図だった。コブラを中心に彼の親戚夫婦の子供の名前――

 

 

 

「『リック』の正体が『リチャード・チェルベック』だったってわけだ」

 

 

 

―15年前―

 

 

「こちらα、現在リカバリーポイントへ移動中、どうぞ!」

 

『こちらHQ、反政府軍(ゲリラ)は空爆の準備を進めている模様。空からの攻撃に注意せよ、オーバー!』

 

 

内紛が続く国。そこで作戦行動をしてるのは若かりし日のコブラが所属する部隊だった。

彼らは役割を終えて撤収のために廃墟を走っていた。

 

 

「は、今日はずいぶんと走り回ったな…終わったら酒にしようぜ、酒!」

 

「そういうのはフラグというのだぞ」

 

 

比較的に若い隊員の軽口に衛生兵は苦笑いをしながら物陰に隠れた。

6人のチーム、隊長と3人の隊員、衛生兵と当時通信兵だったコブラ。

 

 

「にしても、よくそんな重いもの背負って動けるな…」

 

 

「鍛えているからな」

 

新人隊員の言葉にコブラはそう返して部隊は再び移動を開始した。

 

 

「もうすぐリカバリーポイントだ」

 

「やっと家に帰れるぜ…」

 

「……ん?」

 

 

移動をしていた一同だが、突然コブラが立ち止まった。それにほかの5人も振り返った。

 

 

「コブラ、どうした!」

 

「…今、声が…」

 

「声?」

 

 

コブラが瓦礫の陰へと向かい、ほかの5人も――

 

 

「伏せろ!!」

 

 

隊長の言葉に全員が物陰に隠れた。それと同時にこれから向かおうとした通路が絨毯爆撃されてしまった。

 

 

「あ、ぶねぇ…」

 

「ああ、コブラのおかげで助かった…ってあいつは?」

 

 

衛生兵の言葉に5人はコブラの向かった先に行くと――

 

 

「…赤子?」

 

「孤児か?」

 

 

コブラの目線の先には一人の赤子。近くに来れば大きな声で泣いていた。しかしこの子の親の姿はなかった。

 

 

「………」

 

「あ、おい、コブラ!」

 

 

コブラはその赤子を抱きかかえた。すると先ほどまでとは違って「キャッキャ」と笑い出した。

 

 

「はは、この戦場で笑ってやがるぜ…」

 

「けど、どうするんだ?」

 

「むう…」

 

 

これから帰還するとはいえ、戦場の孤児を拾ったとなれば上層部がいい顔をしないだろう。

 

 

「私たちはこの子に救われた。それに赤ん坊には自分の身を守るすべがない、それを守るのが大人の役目だ」

 

「でも隊長…」

 

「責任は私が持つ。コブラ、その子をしっかり持ってろ!!」

 

「ラジャー!!」

 

 

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

 

 

「――それが、リチャード?」

 

 

コブラが口にした過去。リチャードと呼ばれる少女が戦場で引き取られたという事実。それは如月が集めた情報の中にもあった。

 

 

「しかし、『リチャード』は本来男性の名前…女性の場合は『リチェンダ』では?」

 

「うむ…この子の名前の由来はその作戦中に別動隊で戦死した私の親友からとったのだが…その時はまだ性別が女性だということは知らなかった。作戦終了後に一番なついていた私に引き取られることになった際にそのことに気付いたのだが…なぜかリチェンダと呼べば泣いてしまって、リチャードと呼べば泣き止んだのだ」

 

 

紫苑の疑問にコブラはそう説明した。さすがに如月の情報でもそこまで詳しいことはわからなかったため、これで疑問が解消された。

 

「じゃあリックってのは…」

 

「あまりリチャードって名前のイメージができないって言われてあだ名で…リチャード・チェルベックの最初と最後からとってリックと呼ばれてたから…」

 

「あー…それにリチャードはリックという愛称で呼ばれることもあるしな」

 

 

名前の由来についてリチャードが説明すると海外暮らしの経験があるシゲルやジュードもその理由には納得した。

 

 

「…なんつーか、どっと疲れた」

 

「まだ僕たち、3年になって1日なんだよね…」

 

 

十代の言葉にユウは苦笑いをしながら同意した。たった一日でものこうな日だったのだから無理もない。

 

 

「逆によ、最近一日で事が終わったことってあるか?」

 

「ないな…いや、アンゲロスはそうかもな」

 

 

如月の言葉に釼都はそう言った。アンゲロスの一件も決戦は一日で終わったが始まりはジェネックスの終わり、つまり一週間かけていた。

 

 

「「「「「「………………はぁ…」」」」」」

 

 

「えっと、パパ。なんかみんな大変そうだね…」

 

「うむ…(森の中での立ち振る舞い、ただ者ではないとは思ったが相当な場数を踏んできたようだった…やつ…コスモスがリチャードを守るようにこの者達に言ったのはそれが理由か…)」

 

 

 

やはり平穏な日々のなさに一同は大きなため息をついた。幼いころに夢見た高校生活とはこういうものだったか…いや、違う。絶対に。

 

一同がそう思っているのを肌で感じたのかリチャードとコブラは言葉が詰まった。

 

 

そして緊迫した空気が離散した反動か、一同がだらけてしまった。

 

 

「あぁー…とりあえず一同解散…ジュードと雪乃、荒木は二人を案内してくれ…如月とオブライエンは俺と来い…」

 

「あいさぁー」

 

「えっと、じゃあ送ります。ここから出るのも入るのも承認が必要なので…」

 

「俺たちはどうするんだ?」

 

 

ジュードと雪乃の先導でコブラとリチャードがアジトを後にしてオブライエンと如月は釼都ともにアカデミアの校長室近くのターミナルへと向かった。

 

 

「鮫島校長とクロノス先生に事情説明…一応あの二人は俺らのバックアッパーだし今回の一件も全部じゃないが話してある」

 

「…(あの眼鏡の情報網もそうだが、こいつの協力者の幅もおかしい気がするのだが…)」

 

 

オブライエンは知らなかった。以前の釼都の協力者にはかの有名な武藤遊戯、海馬瀬戸、城之内克也もいることを。

 

そして残ったのはユウとシゲル、紫苑、ツバキ、十代、万丈目の6人。

 

 

「で、どうする?」

 

「寝る…」

 

「俺は翔を見てる」

 

 

真っ先にシゲルはアジトを出て十代は剣山の一件もあるのだろう、舎弟である翔のことが気になっているようだった。

 

 

「私も残ります、万が一があった場合近くにいたほうがいいでしょう」

 

「ん~…やることないし、響ちゃんの様子でも見に行こうかな」

 

「あ、僕も行くよ」

 

「俺も戻る。やり残してることもあるしな」

 

 

紫苑は十代と一緒に翔を見るようで、ユウとツバキは新入生となった響がなじめてるかどうか見に行くようだ。

万丈目は私情で戻るみたいだった。

 

 

―校長室―

 

「――なるほど、つまり以前の斎王君のような警戒はしなくていいと?」

 

「今現在の状況からは…ただ森にエネミーズが出現したのが気になります。もしかしたらリチャードを狙ってたのかもしれないです」

 

「なんのたメーニ?」

 

 

リチャードは実際のダメージの影響でその時の記憶が混乱してしまっており、翔が起きれば詳しい状況がわかるかもしれない。

 

 

「考えられるのはコブラへの脅迫か、もしくは転生者や世界の矛盾に分類される可能性があるリチャードを仲間に引き入れるか…」

 

 

死亡してるはずの人間が転生者、世界の矛盾に分類される――それは紫苑も例外ではないし荒木達もそうだ。

たとえ仲間にならないとしても以前に響を洗脳したのと同じように操り、こちらの情報をかく乱する可能性もあった。

 

 

「その対策はどうするつもりですか」

 

「ひとまず紫苑とツバキを護衛につけて…こいつも」

 

「………………」

 

 

ピシっとした態勢のまま動かないオブライエンを指さす釼都。

 

 

「さすがに女子寮は無理ですけどそれ以外でなら協力するでしょうし」

 

「…依頼だからな」

 

 

―購買―

 

「あ、いたいた」

 

 

「えぇっと…これ、かな?」

 

「はーい、トメさん!これください!」

 

 

響はレイとほかの新入生たちとドローパンを引いてるようだ。オドオドと引いてみたそれを開けてパクリと食べた。

 

 

「うっ…」

 

「ど、どう?」

 

「…にぃがぁいぃぃぃ…」

 

 

どうやら青汁パンを引いたようでしかめっ面の響。しかし、愛くるしいその表情に一同は和んでいた。

 

 

「ふふ、はい、牛乳」

 

「レイちゃんは?」

 

「あ、おいしい…『牛肉入りレタスパン』だ!」

 

「ってかそれ、ハンバーガー…」

 

 

 

「どうやらうまくやってるみたいだね」

 

 

 

遠目から見てもわかる仲の良さにユウとツバキは懸念してた事態が起こらずに済んでよかったと安堵していた。

 

 

「ねぇねぇ、響ってシゲルさんの妹さんなんだよね!」

 

「えっ…うん…」

 

「へぇ!苗字が同じだから気にはなったんだけどそうだったんだ!」

 

「シゲル先輩ってどんな人なの?」

 

「えっ」

 

「かっこいいよねぇ!!」

 

「あのっ」

 

「どんな料理が好きなのかな!」

 

「そのっ」

 

 

「…うまくやってるのかな?」

 

「あ、あはは…」

 

 

 

どうやら女子生徒のほとんどがシゲルのファンのようでその妹である響に少しでも情報をもらおうと躍起になってるようだった。

 

あまり人付き合いもない響が囲まれてあたふたしてる様子にユウとツバキは乾いた笑いを浮かべた。

 

「もう、みんな、響ちゃん困ってるよ!」

 

「あうあうあうあう……」

 

「あぁ、響さん!?」

 

 

赤毛の女子生徒の言葉の通り、響は質問攻めで目が回っていた。

しかしジェネックス中の響に比べると比較的明るく、友好的だった。

 

 

 

「昔は『ツバキ』もああだったよね」

 

 

懐かしむようなユウの言う通り、一年のころはまだツバキは人見知りで仲良くなれたユウやシゲルの陰に隠れてビクビクしてることが多かった。

 

 

「『ツバキ』は、だよ。今の私は『私』」

 

 

アンゲロスとの戦いの後、ツバキは変わった。以前の内気な性格から明るくなり、自主的になった。同年の友人たちからは「何かあったの?」「もしかしてユウと別れた、とか?」と別の意味で心配されるほどだった。

 

まあ、それも一週間もすれば全員が慣れてしまったが。

 

 

「ぼくたちも久しぶりにドローパン、引く?」

 

「そうだね」

 

 

ついでにその日の黄金の卵パンは朝、すでに十代の胃の中に納まっていたことを追記しておこう。

 

その結果、ユウは『照り焼きサンドパン』、ツバキは『チーズ入りレタスパン』を引いて後輩たちに「だからそれはバーガー!!」と突っ込まれていた。

 

 

―アジト―

 

「ぅ…」

 

「翔!」

 

 

もぞもぞと瞼を開けた翔に見守っていた十代と紫苑は駆け寄った。

 

 

「ここは…そうだ、て、敵が!!」

 

「もう撤退しましたよ。なかなか無茶をしましたね…」

 

 

慌てた翔に紫苑はそう宥めながらため息をついた。

 

 

「無茶…?」

 

「半分意識を飛んでる状態でデュエルをしようとしてたんだぜ。覚えてないのか?」

 

「………???」

 

 

どうやら無意識でチェルトに挑んでいたようだ。

彼もノーバディや十代達に感化されたのか本能的な戦闘意識が芽生えているようだった。

 

 

「起きたところいきなりで悪いんですが、チェルトがこの島にやってきた時の事、覚えてますか?」

 

「えっと…確か森の中で釼都君に連絡しようとして…いきなり通話が途切れて……で、気が付いたらあいつがいて……そっからは…」

 

「えっと、その。悪かったな翔。巻き込んじまって」

 

 

「……あぁ!!そうっすよ、兄貴なんで電話に出なかったんっすか!!」

 

 

言われて思い出したのかプンスカと怒る翔に十代は平謝りをしていた。不注意で連絡をスルーしてしまったのだ。おまけにその行為も無駄ということが判明したのだ。

 

 

「…まあ、兄貴のことだから剣山君とのデュエルに夢中で気づいてないんだと思ってたっす」

 

「うっ…」

 

 

図星のように十代が呻いた。それに翔は「はぁ」と大きなため息をついた。一年の時からの豪快で大らかかつ大雑把な感じ。それに惹かれたところもあるが今回のような一件はもうこりごりだった。

 

 

「まあ、いいっすよ。許すっす」

 

「本当か!」

 

「明日、兄貴のおごりでドローパンをくれたらっす」

 

 

ドローパンは一日一回しか購入できないのだ。それは人気のドローパンを狙ってまとめ買いをするとほかの生徒が買えなくなってしまうからだ。

 

そしてほぼ毎回十代はその一回で黄金の卵パンを引いており、そのせいで存在が軽く都市伝説となってしまっているレア度なのだ。

 

 

「俺の楽しみが…」

 

「自業自得です」

 

 

おごりということは十代は明日のドローパンを我慢しなければならない。たとえ黄金の卵パンではなくても好きなパンを引けていた十代はがっくりと肩を落とした。

 

 

―夜:レッド寮―

 

「あれ?ヨハン?」

 

 

食堂で新入生の歓迎会を行う準備をしている最中にそこにやってきたのはヨハンだった。しかし交換留学生はブルー寮に滞在するはずだ。

 

 

「いやぁ~、道に迷っちまった」

 

「またっすか」

 

 

苦笑いをするヨハンに翔は若干あきれていた。すると運ばれてくる料理にヨハンの目が輝いた。

 

 

「おぉ、和食!一回食ってみたかったんだぁ…」

 

「料理ならお代わり用に多くあるっすよ。剣山君もいないっすし」

 

「なら一緒に食おうぜ!」

 

 

十代の提案にヨハンは子供のように「いいのか!」と喜んでいた。その姿を見て翔は「兄貴が二人いるっす…」とつぶやいた。

 

 

―チーム寮―

 

 

「それじゃあみんな集まったところで監督生チームに挨拶してもらおうかしら」

 

「本人の同意なしに監督生にするんじゃねぇよ…」

 

 

カミューラの言葉にシゲルがそうボヤいた。というよりもレッド寮を含めた既存寮は監督生がいた。チーム寮は最上級生徒がいないうえにできたばかりで監督生がいなかったのだ。

 

 

「あら、唯一の最上級生チームなのだから監督生チームに選ばれるのは当たり前でしょ?」

 

「私たちが言ってるのは一言通達してくださいということです」

 

 

ノーバディに監督生となってほしいという依頼があったのは数分前、というよりも事後承諾という形で言い渡されたのだ。

 

 

「…まあ、紹介にあずかったチーム・ノーバディのリーダーの羽黒釼都だ。何か問題があったら気にせずに相談しろ」

 

「僕は聖牙夕、よろしくね」

 

「姫野椿、これから一年頑張ろうね」

 

「獣斬繁だ。…ついでに目つきが悪いのは寝不足と素だ、不機嫌とかじゃねぇから気にするな」

 

「私は姫野紫苑です」

 

 

そしてほかの在校生チームと新入生チームの自己紹介を終えて釼都は全員を見回した。

 

 

 

「最後に一つ、俺から言わせてもらう」

 

 

そういって釼都は自分のグラスを手にした。それを見て全員が飲み物を手にして釼都の言葉に耳を傾けた。

 

 

「アカデミアに入学したからゴールってことじゃない、むしろここからがスタートだ。これから先、困難や挫折を味わうことも多い。一人で乗り越えることは誇らしい、だけど仲間に頼るのは恥じゃない。そして仲間に頼られるようなデュエリストを目指してくれ、乾杯!!」

 

 

「「「「「乾杯!!」」」」」

 

 

釼都の最後の演説に心を打たれた新入生も多くいただろう。ノーバディも自分の席に座って食事を取り始めたようとするとそんな先輩たちに詰め寄る新入生が多くいた。

 

 

―翌日:教室―

 

「――ではここで、デスデュエルについてのルールを説明する」

 

 

交換留学生がやってきた翌日、デスベルトを用いたデュエルの数字化やサウスでの実績についての説明があった。

 

そしてそのデスベルトでの大規模なイベントが開催されるというのは生徒は聞いていた。

 

 

「一日のトータルスコアの上位者にはポイントを与え、そのポイントが直接成績に加えられる。またそのポイントと同じ点数が購買で配布される特別パックと交換される。ちなみにそのパックについては諸君らのPDAに情報が掲示されている」

 

 

そういわれて一斉にPDAの学園関連のページにいつの間にか追加されていたアドレスへとアクセスした。

 

 

「うおっ、3年前の大会上位者配布の限定カード…!!」

 

「こっちは去年のイベント配布カードだぞ」

 

「すげぇラインナップだな…」

 

 

「残念ながらこれらのカードはレプリカ仕様となっている。とはいえ、使用に関しては何の問題もない。より一層の躍進のために用意されたものだ。諸君らのデッキに合うものを手にし、さらなる改善を期待している」

 

 

コブラの説明に各々が自分のデッキに合うカードを探してもし手に入れたらトレードをする約束を友人らと結んでいた。

 

 

「さっそくデュエルをしたいと思うが、ひとつ言い忘れていたことがある。ポイントが加算されるのは夜の22時、その日のデュエル回数が3回以上の生徒のみとなる。十分に注意するように。また授業での実技の場合もデスベルトを装着していれば回数として加算される」

 

 

「美味い餌だな。それでかつ回数を踏ませる…」

 

「実戦あるのみ…まさにコブラの教育方針だな」

 

 

何事にも実際にやることで経験を積ませる。それが一番の練習となるのはわかってる。ノーバディも一年修行ではひたすら自分自身と戦って弱点を見つけ出して改善をしていた。

 

 

「…けどよ、パックのカードが必要がない場合はどうしたらいいんだ?」

 

 

5人のデッキはほぼ完成状態、そして合うカードはペガサスからたまに送られてくる試作の専用カードか新しい汎用カードしかない。記念パックを手にしたとしても合うカードはない。

 

 

「…ん?おい、ユウ」

 

「なに?」

 

「お前が持ってないスピリットモンスターがあるぞ」

 

 

シゲルが指さしたカードリストの中にはのは確かにユウは所持してないカードがあった。そのカードは数年前の日本大会の入賞記念としてのカードだ。

 

 

「へぇ…」

 

「ま、俺らは必要なカードはないし、そのカード狙いでポイント稼ぐか。もしかしたら今後ユウのデッキ強化に必要になるかもな」

 

 

これといってデスデュエルに参加する必要性はないがそれでも学業の一つ、参加せずに単位がもらえないとなれば笑えないし、管理局との戦いでもシゲルは怪我で実技点が足りなくて特別奉仕で加算するということがあった。

 

 

―放課後―

 

「いっけぇ!」

 

「なんの、リバースカード発動!!」

 

 

「ふっはっは、融合を発動!!」

 

 

「シンクロ召喚!!」

 

 

「ひゃっはー!!俺の勝ちだぁぁぁ!!」

 

「魔法の筒!!」

 

「あべし!!」

 

 

「なんかいつもと様子が違うね」

 

 

特別パックのカード目当てなのか普段はあまり見られないデュエルの頻度に上級生は違和感を覚えたそうだ。

 

 

「ん?十代と翔と…ヨハン?」

 

 

その中であまり接点がなさそうな2人とヨハンという組み合わせ。それを見つけたユウは首を傾けていた。

 

 

「よぉ、ユウ!」

 

「珍しい組み合わせだね」

 

 

「ああ…なんでか知らないっすけどヨハン君、レッド寮に来て唯一空いてた僕らの部屋のベッドで寝泊まりすることになって…そしたら意気投合したんっす…」

 

 

その意気投合したのに翔は含まれていないのだろう、そして夜遅くまで話し込んだせいなのか翔の目元には隈ができていた。

 

 

「おぉ、お前がユウか!話は聞いたぜ、なんでもすごく強いんだってな!」

 

「あ、そうなのかな…(……十代が二人いるみたいだ)」

 

 

なんとなく翔の言ってる意味が分かる気がした。おそらく波長が同じなのだろう、それと昨日のエキシビジョンマッチで精霊と会話してるから似た者同士として話もあったのだろう。

 

 

「そうだ、デュエルしようぜ!!」

 

「えっ、今から?」

 

「ああ、ちょうどデスベルトを使ったデュエルをやりたかったんだ。宝玉獣に合いそうなカードも何枚かあったし」

 

 

宝玉獣は主に獣族が主流のデッキだ。シゲルの剣闘獣は獣戦士や鳥獣、悪魔族のリゾネーターと複合デッキでもあるため獣族サポートカードが入れにくいという部分もあるため属性サポートカードをあまり欲していないのだ。

 

 

「う~ん…宝玉獣とは戦いたけど、僕のディスク、今は紫苑にメンテナンスしてもらってるからなぁ…」

 

 

デュエルディスクは精密機械の上にカードの実体化などを使う場合にデバイスとして使用することが多い。そのためメンテナンスをするにはディスクの調整をする技術とデバイスの知識がないとできないのだ。

 

 

「なら、僕のディスクを使うっすか?」

 

「いいの?」

 

 

病み上がりだが、またチェルトなどの襲撃に合うかもしれないからとディスクを持ってきていた翔。

 

 

「いいっすよ、ユウ君たちみたいな特別なやつじゃない…っす…けど…」

 

 

貸そうとしてディスクからデッキを抜いた翔からどんどん血の気が引いてきた。

 

 

「違う、違うっす!!」

 

「翔?」

 

「違うって…何が?」

 

 

ディスクから今度は腰のデッキホルダーに手を伸ばすが、そこもエクストラデッキのスペースを除いて空っぽだった。

 

 

「これ僕のデッキじゃないっすぅぅぅぅぅ!!」

 

 

「「「…ええええ!!!?」」」

 

 

 

―購買―

 

「…ドロー」

 

「まいど~」

 

「ねえ、なんだった?」

 

 

響が引いたドローパン、それに仲良くなっていたほかの女子生徒が集まってみていた。

 

 

「…おいしい…あ、黄金の卵パンだ…」

 

「うっそ!!」

 

「響ちゃんすごい!」

 

 

偶然にも十代はこの日黄金の卵パンを引けなかったが翔のお気に入りの伊勢海老パンを引いたため先日のことは許してもらった。そのためまだ黄金の卵パンが残っていたのだ。

 

 

「…あ、あの…はい…」

 

「え?」

 

「みんなで、食べよう…ね?」

 

 

響は自分の黄金の卵パンをその場にいた友人たちにちぎって渡した。

 

 

「響ちゃん…」

 

「大好き!」

 

「あ、わわわ!!」

 

 

黄金の卵パンのレア度を知ってる面々は響の行動に涙を流しながら抱き着いた。

 

 

 

―その頃―

 

「ない、ないっす!!」

 

「ないって、お前、どうして…」

 

 

あれから部屋に戻って探すも、デッキが見つからない。そもそもメインデッキとエクストラデッキを一緒にして持ち歩くのが普通だ。翔もデッキをディスクにセットするとき以外に別々にすることはない。

 

そして残されていたのは別のデッキだった。だが、エクストラデッキは自分のものだった。

 

 

「よく思い出してみようよ。最後にデッキを見たのと、デュエルをしたのは?」

 

「えっと…確か…そう、森の中で襲われたときっす!」

 

 

となると、翔が最後にデュエルをしたのはチェルトとの戦いのときだ。

 

 

「で、そのあとはアジトに担ぎ込まれたんだよな?」

 

「けど、昨日出るときにほかのデッキなんてなかったと思うよ。それにこのデッキ…見たことがない」

 

 

そう、翔のディスクはベッドサイドにあった。その近くにはデッキは置いてなかったはずだ。

 

 

「…あれ、そういえば…翔のディスクって…」

 

「確か…最後に持ってたのって…」

 

 

「「リチャードだ!!」」

 

 

―女子寮―

 

 

「え?デッキですか?」

 

「そう、知らない?」

 

 

部屋を訪ねてきたツバキにリチャードは「あっ」と思い出したようにして腰のホルダーに入れてたデッキを見た。

 

 

「そうだった、昨日ディスクを借りたとき、デッキを入れ替えてたんだ…」

 

「あはは…やっぱり」

 

 

 

―十分後:女子寮前―

 

「よ゛がっだっず、ぼんどに゛よ゛がっだっず!!」

 

「翔、泣きすぎだよ…」

 

 

号泣しながら自分のデッキを握りしめている翔にユウが若干あきれたように苦笑いをしていた。一方のリチャード改め、リックも翔が持っていた自分のデッキを見てほっとしていた。

 

 

「よかったぁ…」

 

「それにしても、幻竜族って初めて見る種族だな」

 

「あれ?」

 

 

ふと、リックの背後に影が見えた。人ではなく、鳥のような姿――その姿に親近感があった。

 

 

 

「精霊…?」

 

 

スピットやソウルのような精霊のドラゴンがデフォルメとなってる姿に似てるが――その数が多すぎる。なんと9体もいるのだ。

 

 

「へ?」

 

「本当だ」

 

「すげぇ、9体もいる」

 

 

精霊が見えてる十代、ヨハンとツバキも気づいたようで見られたことに精霊たちは一気に警戒した。

 

 

「精霊って何?」

 

「えっ…」

 

 

リックは翔と同じで精霊が見えてないようだ。しかし、精霊たちはそんなことを気にしてないようにリックにすり寄ってた。

 

 

「精霊が見えてないのにここまで懐かれてるのか…すげぇな」

 

『姿が見られない精霊はどちらかっていうと守護霊みたいにマスターを守ることはあるけどここまで懐くことは珍しいね』

 

 

神楽もその精霊たちの懐きぐらいに驚いてるようだった。

 

 

「これって、精霊のことを伝えたほうがいいのかな?」

 

『やめて置いたほうがいい。見えない存在というのは聞かされただけでは不安になる』

 

 

ダークの助言もあるし、翔とは違ってリックは数日前までは普通の学校生活を送っていたのだ。これ以上不安なことや信じられないことを言って余計なストレスを与える必要もない。

 

 

「そうだ、リック、デュエルしようぜ!」

 

「え?」

 

「代表生徒ってことはヨハンと同じぐらい強いんだろ?一度戦ってみたいぜ!!」

 

 

相変わらずな十代のマイペースっぷりにユウもツバキも翔も苦笑いしか出なかった。

 

 

「うん、いいよ。噂に聞くHERO使いの実力、気になってたんだ!!」

 

「俺たちもデュエルしようぜ、ユウ!!」

 

「へへっ、楽しみだぜ!!」

 

「はぁ…(本当に十代そっくり…)けど、デュエルは本気で行くよ!!」

 

 

「「「「デュエル!!!」」」」




ユウ「あれ、また説明回?」
ちょっとデュエルが書けない…ってか作品のはじめらへんでデュエルしまくったから戦う理由を作ったりそこまでに行く流れを作るのが大変なんだ…

シゲル「で、また大きく空いたな」
ぶっちゃけると次話でまた大きく話が動き出す予定だったのね。たださ、日常編を組み込みたくて試行錯誤してる最中だった。
剱都「最中だった?」
展開を考えてる間にアニメで剣闘獣が出て、シゲルのデッキに合いそうなものが出るかもとシゲルが戦う流れを考えてたんだけどあまりなくて…もう一度展開を考えてる間に新弾でスピリットが出るってなったからユウにしようかなって。まだ新章なのに主人公が戦ってないのもって

さて、作中説明と行きますか。

紫苑「まずはコブラが敵ではないと?」
敵になる理由がリックの死だとして、それをジュードが壊したとしたらという展開です。
そうなればユベルに唆される要因もなくなるし、きれいなコブラになると思う。

ツバキ「で、その問題のリックがリチャード・チェルベックだと」
上記の理由を出すとしたらその事実、つまりリックが生きてるということを証明することになった。ならもう出そうということにしました。
ただアニメでは息子として扱われて『リック』という名前もあるからそのまま出したらすぐにわかりそうだった。
そのため、性別を変えて名前も関連があるけど違うものにしてみた。

さて、もしかすると今年の更新は難しいかもしれないです…
ユウ「そうなの?」
一言でいうと今現在、すごいスランプ…
書く意欲が湧かないのと、書く時間ができないから…

というわけで次の投稿はできる限り早くしますが、しばらくお待ちください…
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