遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

125 / 125
Turn End ノーバディ・レコード

 

―ルーラーとの戦いから半年後―

 

『――で、十代君。まずはどこに?』

 

 

 

卒業後のパーティーの後――と言っても本人はそれよりも前にアカデミアを去った十代についてきた大徳寺とファラオ。十代の旅の最初の目的地だが、地図を片手にどこかへ向かってるようだった。

 

 

「この先の駅で、待ち合わせなんだ」

 

『待ち合わせ?――あ、なるほどにゃ』

 

 

十代は誰にも知らせずに旅に出たはず。だが、それで待ち合わせする人なんて――一人だけ思い当たる人がいた。

 

 

「――いた」

 

 

無人駅のホーム。アカデミアの制服のまま旅に出た十代と違い、彼女はすでにチーム寮女子の制服ではなかった。強い荒野の日光を遮る麦わら帽子に砂嵐を防ぐための白い上着、動きやすいベージュのズボンという出で立ちでボストンバッグを足元に置いて本を読んでいた。

 

 

「久しぶりだな、もしかして待ったか?」

 

「――ええ、また、置いて行かれたのかと思いました」

 

 

十代の方を見ずに彼女は本に栞を挟むとそれをバッグのサイドポケットへと入れた。

 

 

「う゛…あの時は悪かったって…」

 

「…ふふ、冗談。もう気にしてないです。今度は置いていかないって知ってますから」

 

 

そういって笑う――紫苑。

 

彼女は十代と違い仲間たちとアカデミアを卒業した。周りは十代と一緒に旅立つのかと思っていたが、本人は最後まで『チーム・ノーバディ』の一員として卒業後に行われる行事を過ごした。

 

初めてできた家族の剱都とツバキ、そしてユウとシゲル。旅に出るともう会えないかもしれない仲間たちとの時間を最後まで大切にしたかったからだ。

 

 

「それで十代、最初の目的地は?」

 

「そうだな…気の向くまま、風の向くまま…風任せはダメか?」

 

「いえ、偶にはいいでしょう。何も考えず流れに任せるのも」

 

 

そういって紫苑と十代は共に手をつないで駅を後にした。いずれで会うであろう人間と精霊をつなぐ架け橋を必要とする人たちを求めて。

 

 

 

十代

デュエルアカデミア卒業後の祝賀会で紫苑以外に何も告げず人知れずアカデミアを去る。

その後、精霊と人との架け橋となるために世界を放浪する。

そして義母の由香里との別れを済ませた紫苑と合流し、二人(+大徳寺とファラオ)で旅を始めた。

 

 

紫苑

デュエルアカデミア卒業前に十代から旅に出ることを告げられる。

しかし紫苑は残り、最後までアカデミアにいた。

その後は仲間と家族に見送られながら十代の待つ海外へと旅立った。

 

 

―ルーラーとの戦いから半年後―

 

「総帥、本当に…」

 

「…ふっ、もうそう呼ぶことはない。今のうちに名前を呼ぶように練習しておけ…いや、俺も東田さんと呼んだ方がいいか?」

 

 

童実野町屈指の大企業ArmyWorks社の社長室。そこにいるのは企業の幹部としては若い青年と中年の男性。

 

青年の言葉にこの会社の専務である東田という男性は「勘弁してくださいよ」と笑っていた。

 

 

「…ねえ、剱都…後悔はないの?」

 

「そうだな…親父の事を何にもわからなくて、分かってからこの会社でできたことが少ないのは後悔、かな…」

 

 

母親の由香里の問いかけに剱都はそう言ってすでに家にいるよりも長く見続けた社長室を見渡した。

 

 

「本当なら、残って親父の意志を引き継ぐべきなんだろうけどな…」

 

「いえ、総帥はもう自分を犠牲にしないでください。これからは自分の人生を歩んでください」

 

 

東田の言葉にその場にいた幹部達も頷いていた。

 

 

「…ふっ、なら俺のことはもう総帥って呼ばないべきだな」

 

「では、剱都さん。長年我々を導いていただき、感謝します!」

 

 

東田を筆頭にした感謝の言葉を受け、剱都は片手をあげて社長室を後にした。

部屋の外では山本の姿のアイオーンが待っていた。

 

 

「行くのですか」

 

「ああ…母さんたちを頼むな、山本…今までありがとう、アイオーン」

 

 

「…やれやれ、何時だったか君、神様を顎で使ってたの事にビビってなかったかい?」

 

 

 

姿が一瞬ぶれると山本はアイオーンに変わっていた。

剱都は自分が去ったあとのAWの相談役として山本を置くことを決めた。

 

以前の剱都の決断ならともかく、今の彼は山本の正体を知っているのだ。

 

 

「俺にとって山本は山本だ。今までも、今も、これからもな」

 

「まったく…竜也といい、君と言い……まあ、僕もその方が接しやすいからいいけどね」

 

 

過去に竜也に頼まれたことを思い出してアイオーンは苦笑いをした。すると、今度は山本の姿に戻った。

 

「では、行ってらっしゃいませ、剱都様」

 

「ああ、行ってくる」

 

 

剱都

デュエルアカデミア卒業後、自身がまとめていたAW社を母の由香里に任せ、退社する。

ちなみに十代の荷物にメッセージやファラオを入れたのは剱都で、

「あいつの行動なんぞ、ガラスケースのように見え見えだ」とのこと。

 

 

―ルーラーとの戦いから1年後―

 

「はい、では今後ともよろしくお願いいたします」

 

 

ジュードはとある会社のデスクで電話を切り、手帳にまた一つの予定を書き込んだ。

そこに予定がびっしりと詰まっている。だが、その予定は彼のモノではない。

 

 

「あら、またCM?」

 

「うん、今度は飲料水だって」

 

 

ジュードに声をかけたのは雪乃だった。そう、ジュードは雪乃のマネージャーとして仕事をしている。

アカデミア卒業後、雪乃は在学中から芸能界で声を掛けられていた。

ルックスも然ることながら一般常識もあり、女優としての原石があるとスカウトされた。

 

兄の優介を探し出してからの将来を考えていなかった彼女は、未知の世界へとチャレンジすることにしたのだ。

 

 

「雪乃、取材が来てるわよ」

 

「取材?」

 

「そんな予定はなかったはず…ところでどこの?」

 

 

所属事務所の社長にジュードは手帳に記入漏れがあったかと思った。

すると社長が廊下に待たせていた記者がデスクへと入って来た。

 

 

「はいはーいぃ!絶賛フリーで売り出し中の如月マキでーすぅ」

 

「社長、お帰りいただいて」

 

「ちょ、雪乃さぁん!」

 

 

明らかにアポなしの取材に雪乃はにっこりと笑いながらやって来た級友を拒絶した。

ジュードも明らかに予定の記入漏れではないことにホッとしていた。

 

 

「はぁ…で、いったい何の用なのよ」

 

「あうぅ…相変わらず雪乃さんにはジョークが通じませんねぇ…夕夜さんからのメールですぅ」

 

 

夕夜といえばユウのコピーである少年のことだ。最後の戦いとなったダークネスの眷属を抑え込む応援として世界で戦っていた仲間でもある。

 

今はAWの傭兵として所属し、紛争地域の介入をやってるはずだった。

 

 

「結婚…?あの人結婚するの?」

 

 

どうやら結婚の報告ということだった。とはいえ、式を挙げるわけではなく報告のようだった。

紛争地域で活動する仲間と「結婚式」と呼べなくもないことをやったようだが。

 

 

「けど、なんでわざわざ?」

 

 

夕夜とは光の結社とダークネスとの一件以外に接点は少ない。仲間ではあるが、彼はわざわざそれを報告をするような人柄でもないはずだった。

 

 

「あ、それとこれがその写真ですぅ」

 

「「………は?」」

 

 

疑問が解決し、疑問が生まれた――なぜ、夕夜と並んでいるのが荒木なのか。

 

 

「あ、そういえば荒木さんもAWに所属してるらしいですよぉ」

 

「「―――えええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????」」

 

 

 

雪乃

在学中、交流デュエルなどの外部のメディアに映ったのを見たスカウトの目に留まり、芸能界へと進出する。

素の彼女が女優に向いていたためか新人でありながらいろんな仕事が舞い込むようになる。

ちなみに所属する事務所の先輩には十代の姉、一葉がいる。

 

ジュード

雪乃が事務所に所属する際、どういうわけか彼女が「マネージャーはジュードにやってもらいたい」とのことでそのまま事務所所属で彼女専門のマネージャーとなる。

事務仕事はもともと得意だったため、すぐにやり手の新人マネージャーとして有名になる。

 

 

如月

卒業後はフリーの記者として政界、芸能界、プロデュエリストや紛争など分野を問わず活動する。もともとあった人脈や個人的にAWやI2、KCなどの大手企業とのコネもあるためより正確な情報を入手できるため注目されてる。

 

荒木

卒業と同時に人知れず行方不明となる。とある研究所に所属する親友の吉屋曰く「荒木さんは昔からそういう人でした」とのことで放浪してると思われていた。

実際はAW社に所属し、フリーの傭兵として紛争地域に介入している(本人の意向で剱都のみ知っていた)

そこで再会した夕夜とペアを組み、過ごすうちに惹かれて結婚する。(戸籍上はユウの親戚)

 

 

夕夜

光の結社との戦いの後、海外を放浪してこの世界の転生者をまとめ上げて組織を作り上げる。

ダークネスの戦いの際は各国のダークネスの眷属(ミスターT)を相手に民間人を守りユウ達を援護した。

その後、剱都の勧めでAW社に組織を傘下させて活動するようになる。

荒木とはAWの使いとして再会し、会社の意向でメッセンジャーとして組織の一員になった彼女を補佐官として置く。

その後、荒木と過ごすうちに惹かれて結婚する。

 

 

―ルーラーとの戦いから2年後―

 

 

この日、アカデミアで行われた卒業式。3年間の学生生活を終え、社会人になる者、進学する者と別れ、中にはもう会えない友人との別れを惜しむ生徒もいた。

 

 

「――そっか、響は旅をするんだ」

 

「うん、もっともっとこの世界のことを…知らないことを知りたいから」

 

 

卒業証書を持ち、そう悲しそうに笑うのはこの3年で明るい性格となった異世界の少女、獣斬響。他の友人たちのほとんどは就職や進学を選んだが響は世界を旅することにした。

 

10年間囚われた彼女は他の人と違い知らないことや幼い時に感じる感性を得ることができなかった。そのため、人一倍に物事を知りたい気持ちがあるのだ。

 

 

「もしかしたら旅先で十代様や紫苑お姉様に会えるかもね?」

 

「ふふ、たぶんあの二人が立ち寄ったのならすぐに話題になると思うよ」

 

 

先輩たちの中で消息が分からない二人。でも、あの二人なら聞けばすぐに探し出せるような気がするのだ。

 

 

「そういえば、今日はシゲル先輩もいるんだよね?」

 

「うん――あ、噂をしたら」

 

 

 

響が嬉しそうに言うように向いた先にはどこか着慣れたスーツを身にまとったシゲルと赤子を抱いたジュンコがいた。

 

 

「よお、久しぶりだなレイ」

 

「はい、結婚式以来ですね!ところで…その子が」

 

「息子よ」

 

 

そういってジュンコが見せてくれたのはすやすやと眠る二人の子供だった。

仲間内では一番に結婚したシゲルとジュンコ。そのためか、子供も一番早くできたのだ。

 

 

「まさか学生で叔母さんになるなんて思わなかったけどね…」

 

 

はは、と苦笑いをする響。とはいえ、彼女も遠縁とはいえ家族が増えたことに喜んでいたのだが。

 

 

「うわ~…かわいい~…!」

 

「初めましてね」

 

 

子供が生まれたという一報はあったが、ちょうど卒業後の進路相談などの大事な時期と被ったためこうして二人が顔を見るのは初めてだった。

 

 

「…さてと、じゃあ、ジュンコ。後は頼むな」

 

「ええ」

 

 

シゲルは改めて響とレイに卒業のお祝いの言葉を述べた後その場から去った。

父親がいなくなったことを感じたのか、ぐずり始めた子供をあやすジュンコにレイは首を傾げた。

 

 

「ジュンコさん、シゲル先輩何かあるんですか?」

 

「今日は仕事なのよ。最初は剱都とユウに全部投げるつもりだったけど対戦相手が今年の卒業生代表になった響のことをバカにしてね…」

 

 

シゲル譲りのデュエルセンスを持つ響は今世代最強の生徒と呼ばれていた。だが、ジェネックスで成績を残したとはいえ入学前の公式記録では無名だった彼女のことを軽く評価する部外者も少なくはない。

 

 

「…で、それでシゲル先輩がキレた、と」

 

「そう、わざわざ先鋒だった剱都と入れ替わって『叩きのめしてやる』って言ってたわ」

 

「あ、あはは…相変わらずだね、お兄ちゃん…」

 

 

この日、とある大記録が生まれたのだが、その結果で「ああ、やっぱり」と3人はどこか納得していたようだった。

 

 

シゲル

デュエルアカデミア卒業後、ユウと剱都とともに『チーム・ノーバディ』としてプロチームリーグに参戦する。

常に次鋒を務めており、先鋒の剱都を破った相手を必ず倒して大将のユウまで相手を通さないため『精霊の皇帝を守る獣(エンペラー・キーパー)』という二つ名を(本人は不本意ながら)持つことになる。

 

ジュンコ

アカデミア卒業後、ももえとともに進学、そして在学中にシゲルと結婚をした。

その後、子供を出産し、子育てをしながらもデュエルスクールの教師としての勉学に励む。

 

 

先輩らが卒業後のアカデミアでトップの成績を収めてアカデミア初の女性カイザーである『カイゼリン』の称号を手にする。

アカデミアで過ごすうちに明るい性格になり、人見知りは影を潜めた。

将来の目標は十代や紫苑と同じように旅をして世界を見ること

 

レイ

アカデミアで屈指の実力者になったことでプロやアカデミアなどからスカウトの声があったが、レイ本人はデュエリストで過ごす考えはないためすべて断り、卒業後は保母になるために進学した。

 

 

―戦いから5年後―

 

 

「ねーねー、それでどうなったの?」

 

 

此処は童実野町のとある一軒家。この家の家主である男性がとある大会で初めて手にした賞金で購入したのだ。

 

その家の2階にある子供部屋、そして男性の2人の子供が母親からお話を聞いていたのだ。既に時計は夜の8時を過ぎている。

 

 

「そうね。ここから先はまた今度」

「「えー」」

 

 

母親の優しい笑みに子供たちは不満の声を上げた。

 

 

家主の男性――父親は仲間たちとリーグ中で海外にいた。

その為母親と子供2人、そして仲間たちの家族で寄り添って寝ている。

 

もっとも他の子どもたちはそれぞれ親に宛がわれた寝室で既に寝ている。

 

 

「ふふ、本当に2人はお父さんのお話が好きね」

 

「うん!」

 

「だってパパだもん!」

 

 

母親の言葉に屈託のない笑みを浮かべて子供がそう笑った。仕事柄家にいないことが多いが父親の愛を子供たちは知っていたからだ。

 

 

「あ、そうだわ。ちょうどお義母さんから明日お父さんの戦うリーグ戦の観戦の誘いがあるのよ」

 

「「ほんと!?」」

 

「ええ、だから今日はもう寝て明日は早く起きましょう」

 

「「はーい!!」」

 

 

母親の言葉を聞いた子供はそのまま布団をかぶった。そして無理して話を聞いていたのかすぐに静かな寝息が聞こえてきた。

 

 

「ふふふ…本当、誰に似たのかな」

 

 

そう言って母親はすっと娘の顔を撫でると部屋を出て静かに扉を閉めた。

 

そんな彼女を待っていたのか、リビングには一人の男性が立っていた。

 

 

「あら?まだ起きてたんだ」

 

『ああ、君の話を聞いているとなんだか懐かしくてね』

 

 

若干赤みのかかった銀髪を揺らしながらその男性が言った。彼の言うとおり今まで彼女が子供に話してた話はほんの5年ほど前の話だった。

 

たった5年だけど、彼女の話していたのはそんな年数では風化しない大切な記憶だった。

 

 

「けど、そうだよね…あの時はこんな未来があるんだなんて思ってもみなかった。ずっと一人で悩んでたのも今となったらバカらしいよ」

 

『むぅ…あの時はみんな迷っていたからな…』

 

 

バツが悪そうに男性がそう言った。それに母親は軽く苦笑いをした。

そのままベランダに出ると夜空を眺めた。

 

初夏とはいえ、通り雨などで気温は夜になると少し肌寒いぐらい低くなる。

 

 

 

『冷えるぞ』

 

「ううん、大丈夫。それにしても…」

 

 

そう言って物悲しそうに母親はため息をついた。

 

 

「ちょうどこれぐらい寒い日だったわね」

 

『あの決戦の事か…確かに、こんな日だったな』

 

 

そして絶対に風化しない『戦い』を乗り越えた。やがて彼女は一人の母親として、妻として、自分と向き合ってくれた人と一緒にいる。

 

 

『子供に言ったように明日は早起きなんだろう?そろそろ寝なければな』

 

「…もうこんな時間」

 

 

そう言って母親は家に戻ると家の戸締りを確認してベットに潜り込むと意識を沈めた。

それを見届けて男性――ダークは彼女のベットサイドにあるデッキに音もなく吸い込まれるようにして消えた。

 

 

―翌朝―

 

本日行われるのは実質上の決勝戦と言うことで賑わっていた。スタジアムは人でごった返し、その観客相手に露店や売店ではそれぞれのチームやリーグのグッズを必死に売り込む声がしていた。

 

 

「2人とも、はぐれないようにね」

 

「「はーい!!」」

 

 

母親と2人の子供は用意されているVIP席に向かった。

途中、喉が渇いたらいけないとジュースを購入してたどり着いた特別席には先客である義母の由香里が待っていた。

 

 

「あら、久しぶりね」

 

「はい、お義母さん」

 

 

「おばあちゃんだ~!」

 

 

きゃーと楽しそうに子供たちは由香里に抱き着いた。子供たちにとって唯一の祖母という存在のためか、すごい懐いていた。

 

 

 

「あら、また背が伸びたかしら?子供の成長は早いのね」

 

「にへへ~」

 

「ちゃんとぎゅーにゅーのんでるもん!」

 

 

そんな会話をしてるうちにスタジアムの照明が落ちて、あたりが暗くなった。それを見て母親は由香里に抱き着いてる子供に「席に座りなさい」と優しく促した。

 

 

『さあ今日は今季リーグの事実上決勝だ!!』

 

 

MCの言葉に会場が沸いた。さらには入れなくてスタジアムの外で様子をうかがっている観客達、テレビで見ている観客も盛り上がっている。

 

 

『まずはハイエナの異名がある今期大会も射程距離に捕えている、大会荒らしの――チーム・ハウンドォォォォ!!!』

 

 

入ってきたのは世紀末にいそうなパンクの様な恰好をしている3人組だ。しかし見た目とは裏腹に彼らの実力は一目おかれている。

 

『相手をしたデッキは文字通りハチの巣にする先鋒キラービー!生き残ったデュエリストを狩りつくす次鋒グリム!!そして圧倒的な強さを持つ大将、マローダー!!』

 

 

チーム・ハウンドの選手の説明をするたびにファンなのだろうか、スタジアムで黄色い声が上がった。

 

 

『そして対戦チームの登場だ!!参戦して僅か4年、母校アカデミアの伝説と称され№1の注目度の――』

 

そしてそことは逆サイドに対戦者が現れた。若いながらも歴戦の風格をもつ3人。

 

 

『チーム・ノーバディィィィ!!』

 

 

 

登場した3人に負けず劣らずの歓声が上がった。

 

 

『まずは頼れるリーダー、突破困難な機甲部隊を操る羽黒剱都!!』

 

 

先陣切ったのはアカデミアの戦いでも頼れる司令官として戦いを指揮した剱都。

 

 

『リーグ最強の称号は伊達じゃない、精霊の皇帝を守る獣(エンペラー・キーパー)獣斬繁!!』

 

 

いつも最前線で仲間を守る盾となり仲間を支え続けたシゲル。

 

 

『そして彼にたどり着く人はいるのか――!!』

 

 

最後に登場したのは前の二人に比べてはやや小柄――だが、アカデミアを卒業して背も伸び、子供から大人に成長した『男性』

 

 

「パパー!!」

 

「がんばれー!!」

 

 

父親の姿を見た子供たちは大はしゃぎだ。子供たちの声は他の観客たちの声でかき消されたが父親のは届いたのだろう

 

 

「…………」

 

「頑張ってね――」

 

 

父親は子供、そして愛する妻に向かって手を振っていた。それを見た母親も手を振り返して祈るように手を合わせた。

 

 

 

『聖牙夕!!』

 

 

「――ユウ」

 

 

 

これが私――『聖牙椿』の記録した『本当の記録(ノーバディ・レコード)』。

 

 

けど2人に話したのはほんの一部。

 

その記録は終わらない。私の…私たちの人生(ノーバディ・レコード)はまだ1ページだから

 

 

 

ツバキ

卒業後、ユウと結婚して専業主婦の『聖牙椿』と祈祷の巫女の『アリエル・リーン・ストラトス』と二足の草鞋を履く人生を選ぶ。

ユウとシゲルの出資したお金で購入した家でジュンコと子供とともに帰りを待つ。

 

 

ユウ

アカデミア卒業後、シゲルと剱都と『チーム・ノーバディ』を旗揚げしてプロリーグへ参戦する。

リーグの通常ルールの『勝ち抜き戦』では剱都、シゲルでほとんどのデュエルは終わってしまうが決勝ルールなどの大将戦では普通に彼もデュエルする。

 

余談だが、初参戦したリーグの大将戦で勝利し、リーグ制覇した際のインタビューで改めてツバキに告白――というか結婚報告をしたのは後にも語り継がれる伝説になった。

 

 

 

 




というわけで『ノーバディ・レコード』の最終話でした。
ユウ「みんなのその後の話で終わりなんだね」
本当は5D'sやZEXALみたいに『ユウVSシゲル』で締めたかったんだけどいまからそこまでの話を構築する気力が…


剱都「一つずつ見ると、まず紫苑は十代と旅に出たのか」
色々とやった結果紫苑が十代に若干依存してる感じになってしまってね…
まあ、子供と一緒に旅をするというのもいいかもなと…

本当は5D's編でその子供が登場する予定だったんだけどね。
ツバキ「5D's編?」
前に特別話で出した双子が主人公の話。「E・HEROを使う謎の少年!?」みたいなので。

ちなみに原作ではユベルも一緒でしたが、このエンディングでは同行してません。
剱都「なんでだ?」
泣く泣くカットしたけど、ユベルが『Pay the tab編』で暗躍する予定だったのね。
ユウ「あ、第七章のタイトルが決まったんだ」
本当は『デスデュエル編』かそういうのにしたかったんだけど、作中でまったくやってなかったから…英語で『ツケ払い』という意味?になる単語で
シゲル「まあ、ジュードの行動からいろいろと変わってる話だからある意味ではそういう行動のツケが回って来たからな」
で、そこで十代と紫苑とユベルの話を作る予定だったんだけど…そこでどういう展開になるか、その場で考える予定だったの
紫苑「それは予定とは言えないのでは…」
まあ、ならいっそのこと、出さないでおくかと。ユベルに関してはご想像にお任せします…

ユウ「で、次は剱都…」
色々考えたんだけどAW総帥のままで終わらせるよりこうしたいなと。辞めずにプロに参戦なんてのも考えたけどさすがに無理かと。
剱都「それで俺の母さんがトップに…」
まあ竜也の補佐もやってたし、ある程度なら勝っても知ってるから…幹部連も剱都の推薦と古参達は由香里を知ってるから不満はあれど納得してる感じ。


ユウ「後輩組はいっぺんにまとめたんだね」
各々で設定を作るのが大変だからね。
まあ、雪乃に関しては元の設定もあるからジュードもそれに合わせて。如月は「5D's編」でも登場する予定だったんだけど。
シゲル「荒木はなんでAWに…?」
まあ、本人は仮にも人を殺してるし、異世界で罪に問えないとはいえその贖罪として、実は『5D's編』死亡する予定だった。
ツバキ「は?」
いや、荒木が『ジャンクデッキ』を使用してた理由だけどゼロ・リバースに巻き込まれて荒木が亡くなって、彼女の死後それを遊星が手にするって設定だったんだよね。
ツバキ「なんでそんな妙なことに…」
実をいうと響のBFもそんな感じにしようとしてた、あ、ちょ、シゲル。大丈夫、響は死なないから
シゲル「もしここで死ぬことになってたらお前を殺す」
だ、大丈夫!その設定を作るかどうかの前に5D's編はお蔵入りになったから
剱都「ならなかったら?」
…まあ、実際問題響は生きてると思う。

ツバキ「次はシゲルとジュンコさんだね」
先に出したけどシゲルとジュンコは結婚して子供もいる。上記の5D's編で双子を導く…まあ、初期のシゲルみたいなキャラにする予定だったんだけどね。
ユウ「なんか5D's編の設定多くない?」
そりゃそうだよ、だってこれ一年の時に「チーム・ノーバディ」出たあたりから5D'sもやりたいなって構想してたから。
だから吉屋が研究所に勤めたり三沢がライディングデュエルの生みの親みたいな描写があったりしたんだ。
剱都「吉屋って荒木の親友の?なんで研究所が関係してるんだ?」
この後の設定で吉屋はその研究所の職員と結婚して名前が『不動美弥』になる予定だった。
シゲル「おい、待て…まさか…」
そう、実をいうと吉屋を5D's主人公の遊星の母親にする予定だった。
さっき言ってた荒木のデッキを遊星が使うのもそれが理由、でシゲルか剱都あたりに「アイツとは違うんだな」みたいなことを言われる予定だった。
紫苑「すごい複雑ですね」


そして最後はユウとツバキなんだけど…これ実はハーメルンよりも前に「にじファン」っていうサイトに投稿してた時に、閉鎖するってことになって一時的な最終回を書いたのね。
紫苑「確か当時は十二日後の戦争編でしたね」
ユウ「あ…僕がいない間に閉鎖したんだっけ」
とはいってもほぼほぼ流れも内容も同じだけどね。
そして双子は記念話の「冥」と「桜」の幼少の話です。あとはツバキとジュンコは共に生活して子供も一緒にいます。
シゲル「なんでだ?」
まあ、お互いにスクール教師と祈祷の巫女と子供の面倒が見れない時があるから…ジュンコは実家に預けることもできるけどツバキはそうもいかないからね。
その結果二人とも一緒の家にいることにしたって感じ。ももえはこの家に入り浸ってますし、剱都の部屋もあります。


とまあ、本編はこれで終了です。
ユウ「本編はって?」
いくつか回収しきれてないフラグとかもあるから、いうなれば『EX Turn』でいくつか投稿する予定です。
ただ…ここまできての遊戯王OCGに対するモチベや執筆意欲でいつ投稿になるかは…
シゲル「この話もずいぶん遅れてるからな、デュエルなしなのに」
本当は一か月前に出来上がってたんだけど、その前に一話、デュエルの話を入れようと思ってたんだけど書き進まなくて…で、仕方なくという感じです。

剱都「まあ、駄作者だからいつかかるかわからんが気長に待っていてくれ」
紫苑「もしかしたら完全に失踪する可能性もあるので、そうなる前にキチッとお別れを述べておきましょうか」
俺の信頼感ゼロですね…

ツバキ「――まあ、本編としての『ノーバディ・レコード』はこれで終わりです!」
シゲル「長年見てくれていた皆、また終わった後でも作品を読んで笑ってくれてる奴ら、ありがとうな」
ユウ「またどこか、出会える時まで」

全員「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

では、みなさん。お元気で!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。