遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn13 プライドの戦い 飛び上がる聖霊 VS機甲部隊

―アースラ(なのはside)―

 

ブリッジの巨大モニターには先程シゲルが召喚したストーム・ウィングが映っていた。

 

「(私とフェイトちゃん、はやてちゃんはクロノ君からの頼みでシゲルさん(え?なんでさん付けなのって?だって友達というか…なんかお兄さん的な感じだから)の持ってるシンクロモンスターの事について聞いて来るように言われた)」

 

あの日、エピックはシンクロモンスターを使用していた。そして彼の持っていたレヴュアタンは特殊なものでロストロギアではないがロストロギアと同等の力があるらしい。

 

だがエピックはそのカードの事をあまり知らなかった。だがシゲルはシンクロモンスターを知っていた。だから管理局の知らない何かを知ってる可能性もある。

 

「…なのは」

「…なのはちゃん」

 

2人が心配そうになのはを見ていた。友達の事を裏切れないなのははロストロギアの確保のためにツバキを、ユウを、シゲルを裏切ったのだ。そのことで落ち込むのも無理は無い。

 

「うん…行こう」

 

 

―デュエルリング―

 

ここで金髪の少年――剱都が待っていた。約束の1時間まで残り2分――

 

 

「山本の足止めが効いているな。ふっふっふ…「よぉ…よく逃げなかったなぁ…」っ!?」

 

 

山本が邪魔をしてるはずなのユウが目の前にいた。しかも背後に黒い瘴気が見えた。先程よりもさらに極濃の真っ黒でユウの後ろの通路が見えないぐらいだ。

 

 

「山本さんに足止めを頼むなんてね~」

 

「う、うるさい!!だ、だが大会で優勝した俺が貴様の様な雑魚と勝負する義理なんて「デュエル、俺のターン!!」無視をするな!!」

 

 

最早処刑モードとなったユウの前には拒否権なんて無かった。

しかも物すごい笑顔で黒い瘴気を放っている。

 

―観客席―

 

ユウ、シゲル以外の6人は観客席にいた。ちなみに此処に来るまでにブルーのエリート意識の強い生徒がいたが、ユウの瘴気で気を失った。

 

 

「…なあ明日香」

 

「どうしたの、十代」

 

「いや…なんか…ユウがあの状態でスピリットを使うのって初めてだと思って…」

 

 

確かに今までならユウが処刑モードの時は異次元デッキで……殺して(オーバーキル)いたがスピリットデッキを使うのは初めてだった。

 

 

「魔法カード、スピリット・バーンを発動!!手札のスピリットモンスターを1体墓地に送り相手にそのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える!!手札の不死之炎鳥を墓地に送り800ポイントダメージ!!」

 

「なっうわあぁあああぁ!!!!」

 

 

スピリット・バーン

通常魔法

自分のフィールド上にモンスターが存在しない場合のみ発動可能。

手札のスピリットモンスター1体を墓地に捨て、

そのモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える。

 

剱都/LP4000→3200

 

フィールドに現れた不死之火鳥がものすごい勢いで剱都へ襲いかかった。

まさか1ターン目でダメージが喰らうと思って無かったのかものすごく驚いているがユウはそれを無視して続けた。

 

 

「手札からスピリットドローを発動!!不死之炎鳥をゲームから除外しカードを2枚ドロー!!裏守備モンスターを召喚しカードを2枚伏せてターン終了!!」

 

ユウ

LP4000 手札2枚

裏守備モンスター1体

伏せカード2枚

 

 

―剱都のターン―

 

「クッ…俺のターン!!俺はマシンナーズ・ソルジャーを召喚!!」

 

マシンナーズ・ソルジャー/ATK1600

 

「効果発動!!召喚成功時、手札のマシンナーズと名のついたモンスターを1体特殊召喚する事ができる!!そしてそれにチェーンして突進を発動!!さらにサモンチェーンを発動!!」

 

 

一気に3つの効果が発動された。

 

 

「まずはサモンチェーンの効果により俺はこのターン3回通常召喚を行うことができる!そして突進の効果でソルジャーの攻撃力を700アップする!!」

 

マシンナーズ・ソルジャー/ATK1600→2300

 

 

「そしてソルジャーの効果でマシンナーズ・スナイパーを特殊召喚!!サモンチェーンの効果で残り2回モンスターを召喚できる。マシンナーズ・ディフェンダーとマシンナーズ・ギアフレームを召喚!!」

 

マシンナーズ・スナイパー/ATK1800

 

マシンナーズ・ディフェンダー/ATK1200

 

マシンナーズ・ギアフレーム/ATK1800

 

 

なんとたった1ターンで4体ものモンスターがならんだ。兵士の横には狙撃手、防御兵器、兵士の4体。それを見るだけで剱都がすごい腕前だということがわかる。

 

 

「ギアフレームの効果発動!!デッキからマシンナーズ・フォートレスを手札に加える!!バトル!!マシンナーズ・ソルジャーで伏せモンスターに攻撃!!」

 

「伏せモンスターは竜宮之姫、効果によりマシンナーズ・スナイパーを守備表示に変更!!」

 

 

竜宮之姫が念力みたいなのでスナイパーの攻守を変更した。

 

マシンナーズ・スナイパー/ATK1800→DEF 800

 

 

「クッ…だがまだディフェンダーとギアフレームの攻撃が残ってる!!マシンナーズ・ディフェンダーの直接「手札のスピリット・ガードの効果発動!!」なっ!?」

 

 

ユウの手札からガラスの兵士がディフェンダーの攻撃を遮った。

 

 

「手札の偉大天狗を墓地に送ってスピリット・ガードを特殊召喚!!」

 

 

スピリット・ガード/DEF0

 

 

場に現れた半透明の大きな石像、だが体がガラスで出来ているためかものすごく脆そうだった。

 

 

「っ…無駄な壁を並べたか…ディフェンダーでその壁を破壊しろ!!」

「スピリット・ガードの効果発動!墓地の偉大天狗を除外し、破壊を無効にする!!」

 

一瞬偉大天狗がスピリット・ガードに映し出されるとディフェンダーの動きが止まった。

 

 

「雑魚が…ギアフレームで攻撃!!」

「リバース罠、くず鉄のかかし!!相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする、そしてこのカードは再びセットされる!!」

 

ギアフレームの攻撃をボロボロのかかしが受け止めた。これでユウのフィールドにモンスターが残った。

 

 

「クッ…ターン終了!!」

 

剱都

LP3200 手札1枚

ソルジャー/ATK1600 ディフェンダー/DEF1800 ギアフレーム/1800 スナイパー/DEF800

伏せカード無し

 

―ユウのターン―

 

先程スピリット・ガードを召喚したため、もうユウの手札が無くなって――

 

「ドロー!!魔法カードスピリット・ドロー、墓地の竜宮之姫を除外しカードを2枚ドロー!!」

 

このカードはもともと1枚しかなかったのだが、先日のシンクロモンスターが送られた時に一緒に入っていたのだ。

 

 

「ディストラクションドローを発動!!フィールドのモンスター、スピリット・ガードを破壊し、レベルの半分の枚数分カードを引く、2枚ドロー!!」

 

ディストラクションドロー

通常罠

自分フィールド上の攻撃力100以下のレベル4モンスターを破壊して発動する。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

一気に手札が4枚まで増えた。そして――処刑モードに不可能は無い。

 

 

「魔法カードテラ・フォーミングを発動!!デッキから死皇帝の陵墓を手札に加え、発動!!ライフを2000払いスピリットモンスター八岐大蛇を召喚!!」

 

 

ユウ/LP4000→2000

 

八岐大蛇/ATK2600

 

 

「馬鹿な!一気に2600のモンスターを召喚するだと!!」

「まだだ!!手札から装備魔法、八尺勾玉を装備!!装備モンスターが戦闘でモンスターを破壊した場合、そのモンスターの攻撃力分ライフを回復する!!」

 

死皇帝の陵墓で失ったライフをこのカードで回復する、その上八岐大蛇の効果で手札増強――恐ろしいコンボだ。だが――

 

 

「残念だが、マシンナーズ・スナイパーが存在する時、他のマシンナーズへは攻撃できない!!」

 

 

―観客席―

 

「そうだ。先程竜宮之姫の効果で守備表示になっているから効果は使えない…このミスは…」

 

「いや、三沢君…多分…」

「「「「ユウはミスをして無い」」」」

 

 

三沢がそう言っているが、全員は少し焦っていた。処刑モードのユウを知らないのは三沢だけだ。ミスなんて――

 

―デュエルリング―

 

「装備カード、草薙剣を発動!!装備モンスターは貫通効果を得る!!」

「はぁ!?」

 

火之迦具土の時は草薙剣を普通に持っていたが、八岐大蛇は手がない。どうするか考え、剣を呑みこんだ。

 

 

「バトル!!八岐大蛇でマシンナーズ・スナイパーに攻撃!!屍山血河!!」

 

「うわあぁあぁあぁ!!!!!!」

 

 

剱都/LP3200→1400

ユウ/LP2000→3800 手札/0枚→5枚

 

 

一気に戦況をひっくりかえした。しかも手札5枚になると――

 

 

「メインフェイズ2、手札からスピリット・フィールドを発動!!効果で八岐大蛇は手札に戻らなくてもよくなる。更にカードを2枚伏せてターン終了!!」

 

更なるプレーをする。

 

ユウ

LP3800 手札2枚

八岐大蛇/ATK2600

伏せカード3枚 草薙剣 八尺勾玉

スピリット・フィールド

 

―観客席―

 

「凄いな…一気に手札補充と場を整えた…」

「けど…ユウはまだあの『カード』を出してない」

「「「カード?」」」

 

 

十代の言葉に翔と隼人、明日香が首を傾げていた。デッキ調整を手伝っている十代はユウの切り札(ジョーカー)を知っていた。

 

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン!!魔法カード、機甲部隊の休憩所(マシンナーズ・サブレポート)を発動!!手札の機械族モンスターを墓地の送ってカードを2枚ドロー!!」

 

機甲部隊の休憩所(マシンナーズ・サブレポート)

通常魔法

手札のレベル5以上の機械族モンスターを墓地に送り発動する。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

 

「来たぜ!俺は場のマシンナーズ・ソルジャー、スナイパー、ギアフレームを生贄に捧げてマシンナーズ・バーサーカーを攻撃表示で召喚!!」

 

 

フィールドに様々な機械の残骸を合わせた機械の戦士が現れた。その体には生贄に捧げたマシンナーズの体の残骸があり、バーサーカーという名がなぜ付いているのか分かるほどおぞましい姿をしていた。

 

 

マシンナーズ・バーサーカー/ATK3500

 

 

「ッ…攻撃力…3500…!!それがお前の切り札か!」

 

 

「そうだ!!マシンナーズ・バーサーカーはフィールドのマシンナーズと名のついたモンスターを3体生贄に捧げることで手札から召喚することができる。さらに機甲部隊の生産(マシンナーズ・リサイクルライン)を発動!!相手フィールド上にセットされているカード1枚を選択し、そのカードが罠カードだった場合破壊し、墓地の機械族モンスターを1体特殊召喚する!!その伏せカード(くず鉄のかかし)を破壊!!」

 

「クッ……!!!」

 

機甲部隊の生産(マシンナーズ・リサイクルライン)

通常魔法

自分フィールド上に機械族・地属性モンスターが存在する場合のみ発動可能。

相手フィールド上にセットされた魔法・罠カードを1枚選択する。

そのカードを確認し罠カードなら破壊し、墓地の機械族・地属性モンスターを1体特殊召喚する。

外れた場合自分フィールド上の機械族・地属性モンスターを1体ゲームから除外する。

 

 

何処からともなく現れた整備士の様なマシーンが、ユウの伏せていたくず鉄のかかしを分解(バラ)して、その部品達を剱都の場まで持ってきた。

 

そしてその部品を組み立て始めた。

 

 

「そして墓地より甦れ!!マシンナーズ・フォートレス!!」

 

フィールドに下半身が戦車の機械兵が現れた。どうやら先ほどの機甲部隊の休憩所(マシンナーズ・サブレポート)で墓地に送っていたようだ。

やはりこの剱都と言う男は今までユウが戦ってきたどの相手よりも強い。

 

「マシンナーズ・バーサーカーの効果発動!!墓地のソルジャーとディフェンダーをゲームから除外してフィールド上のカードを一枚破壊する!!八岐大蛇を破壊!!」

 

マシンナーズ・バーサーカー

効果モンスター

星9/地属性/機械族/ATK3500/DEF3000

このカードは特殊召喚喚できない。

このカードは自分フィールド上の「マシンナーズ」と名のついたモンスターを

3体生贄に捧げた場合のみ、通常召喚することができる。

墓地の機械族・地属性・レベル4のモンスターを2体ゲームから除外することでフィールド上のカードを1枚破壊することができる。

この効果は1ターンに一度まで発動できる。

このカードが破壊された場合、墓地に存在する機械族モンスターを1体特殊召喚することができる。

 

 

―観客席―

 

「不味いぞ…!!もしも伏せカードで挽回できなければ…」

「大丈夫だ。ユウはこれしきの事で負けないぜ」

 

 

―デュエルリング―

 

バーサーカーの体からボロボロな、まるでゾンビのようなマシンナーズ・ソルジャーとディフェンダーが飛び出し、八岐大蛇にまとわりつくと爆散した。

 

 

「バトル!!マシンナーズ・バーサーカーで直接攻撃!!」

 

「リバースカード、スピリットの導きを発動!!相手の直接攻撃宣言時、デッキからスピリットと名のついたモンスターを1体特殊召喚することができる!因幡之白兎を特殊召喚!!」

 

 

スピリットの導き

通常罠

「魂の聖地―スピリット・フィールド―」が存在する場合、

相手の攻撃宣言時発動することができる。

自分のデッキからレベル4以下のスピリットモンスター1体を

攻撃表示で特殊召喚することができる。

 

因幡之白兎/ATK700

 

 

場に現れた因幡之白兎は――なぜか恨めしそうにユウを見ていた。

 

『…いいよ…どうせ出番なんてほとんど無いんだ~…壁にしかされないんだよ~』

「……なんかごめん、イナ」

 

 

どうやら今まで出番が無かったのがショックなのか処刑モードのユウよりも瘴気が広がっていた。普通の人には見えないのか、観客席のツバキと十代しか驚いていなかった。

 

 

「構わん!!バーサーカー、その壁モンスターを破壊しろ!!」

 

 

バーサーカーの放ったミサイルや何やらで因幡之白兎が破壊された。

 

ユウ/LP3800→1000

 

「クッ…だけどリバース罠発動!!スピリットの反逆!!スピリットモンスターが戦闘で破壊された時デッキからスピリットモンスターを1体特殊召喚する!!

火炎車を守備表示で召喚!!」

「チッ…フォートレス!!そいつも片付けろ!!」

 

フォートレスが発射したミサイルは、火炎車に着弾し爆発した。

 

「火炎車はフィールドから離れた時、カードを1枚引く!!」

「フン…貴様のデッキは見たところスピリットだ。最大攻撃力は火之迦具土の2800……攻撃力3500を超えるマシンナーズ・バーサーカーを倒す手は無い。ターン終了!!」

 

 

剱都

LP1400 手札0枚

バーサーカー/ATK3500 フォートレス/ATK2500

伏せカード無し

 

 

 

「確かに…このままでは、ユウが勝てる確率は低いな」

「ユウをなめんなよ、三沢」

 

 

三沢の言葉にシゲルと山本がやってきた。全員が2人が一緒に来た事に驚いていたが、よく考えると山本は足止めの為に残っていたから正直に言うと通したんだったらシゲルと戦う意味は無かった。

 

 

「それで…君はユウがこの状況をひっくりかえせると思うのか?」

「ああ、あいつのデッキには――」

 

―ユウのターン―

 

「俺のターン!!スピリット・フィールドの効果発動!!墓地に存在する火炎車を除外し、因幡之白兎を特殊召喚!!」

 

因幡之白兎/ATK700

 

『ただいま~……ねぇ、もしかして『あれ』を使うの?』

「使うよ。そして手札からチューナーモンスター、スピリット・バードを攻撃表示で召喚!!」

 

 

フィールドにスピリット・ガードの様なガラスの様な透明な鳥が現れた。

 

スピリット・バード/ATK 0

 

 

「攻撃力…0を攻撃表示だと…?一体何を考えてる!!」

 

「スピリット・バードが召喚に成功した時、デッキのスピリットモンスターもしくは、スピリットと名のついたモンスターを1体手札に加えることができる!雷帝神を手札に加える!!」

 

 

スピリット・バード

チューナー(効果モンスター)

星3/風属性/鳥獣族/ATK 0/DEF 0

召喚成功時デッキから「スピリット」と名のついたモンスターか、

スピリットモンスターを1体手札に加えることができる。

 

 

―観客席―

 

「一体彼は何がしたいんだ…?」

「これがユウの切り札だ」

 

三沢の呆れ半分の声にシゲルがそう言った。十代も頷いている。

そう――チューナーとモンスター――そしてレベル合計6

 

―デュエルリング―

 

 

「そんな雑魚を並べてどうするつもりだ!?」

 

「ボクのデッキに雑魚なんていない。デッキにいるのはみんな必要なカードなんだ。たとえ一つ欠けたら代用できるのもいない。レベル3、因幡之白兎にレベル3、スピリット・バードをチューニング!!」

 

 

ガラスの鳥は緑の輪になり、ウサギの精霊は3つの星となった。

 

 

「精霊と魂に一つにし、古の魂よ飛び上がれ!!」

 

☆3 + ☆3 = ☆6

 

「シンクロ召喚!!聖霊鳥 シルフィ!!」

 

 

シルフィ/ATK2500

 

フィールドに巨大な光で出来た鳥が現れた。その翼がはためくとから光の羽が落ちて神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 

 

「な、なんだ…なんだよ!!シンクロモンスターって何だよ!?」

「シンクロモンスターはチューナーモンスターと、チューナー以外のモンスターを墓地に送ってシンクロ召喚ができる!!」

 

 

簡単にシンクロ召喚の説明をしたユウは手札の雷帝神を墓地に送った。

 

「シルフィの効果発動!!手札のスピリットモンスターを墓地に送ることでフィールド上のカードを1枚持ち主の手札に戻す!!マシンナーズ・バーサーカーを手札に戻す!!」

「なんだと!?」

 

聖霊鳥(せいれいちょう)シルフィ

効果・シンクロモンスター

星6/光属性/鳥獣族/ATK2500/DEF1800

チューナー+チューナー以外のモンスター

このカードはシンクロ召喚でのみ特殊召喚することができる。

手札のスピリットモンスターを墓地に送ることで

フィールド上のカード1枚を持ち主を手札に戻す。

この効果は1ターンに1度しか発動できない。

このカードが他のカードの効果でフィールドから離れる時、

墓地のスピリットモンスターまたは「スピリット」と名のついた

レベル4以下のモンスターを特殊召喚することができる。

 

 

 

シルフィの巻き起こした突風でマシンナーズ・バーサーカーが剱都の手札へと戻った。だが、フォートレスとシルフィの攻撃力は同じ2500だ。

 

 

「カードを3枚伏せてターン終了!!」

 

ユウ

LP1000 手札0枚

シルフィ/ATK2500

伏せカード3枚

スピリット・フィールド

 

―剱都のターン―

 

 

「俺のターン!!(……手札にはさっき戻されたバーサーカーと機甲部隊の休憩所(マシンナーズ・サブレポート)だけ…フォートレスだけじゃ心許ないな…)…ん?」

 

どうするのか考えているとユウが笑っていた。初めは何かユウの伏せカードに罠があるのかと思っていた――が、違った。

 

 

「どうする?どうやってボクのモンスターを倒す?」

 

 

この状況を楽しんでいた。純粋に、相手を打ちのめす為ではなく、今の自分の状況を楽しんでいた。

それにさっきユウが言ってた『代用がいない』という言葉――

 

もしもバーサーカーがいなければこのカードは使えない。

 

 

「……おい、ユウって言ったか?」

 

「ん?なに?」

 

 

 

どうやらユウは処刑モードから通常モードになっているため、普段の穏やかな状態に戻っている。

 

 

「一つ聞きたい。お前はツバキの事が好きなのか?」

「……うん。好きだよ」

 

 

ユウは頬を赤めらせながら応えた。昨日の様にオーバーヒートすることも無かった。ちなみに観客席のツバキは頭から湯気を出していた。

 

「そうか……そのシンクロモンスターがお前の全力なら、俺も全力で応えなくちゃいけないな!!魔法カード機甲部隊の休息所を発動!!手札のマシンナーズ・バーサーカーを墓地に送って2枚…!?」

 

「え…!?」

 

 

カードを2枚ドローしようとして、剱都がデッキの一番上のカードに指を掛けた時、そのカードが光り出した。それと同時に剱都のデッキホルダーも光っている。

 

 

―観客席―

 

「おい!あのカード!」

 

「光ってるわ!」

 

「なんすか、あれ!」

 

「お、驚きなんだな!」

 

十代、明日香、翔、隼人が驚いた声を上げている。シゲルと山本は先程行った自身のデュエルで召喚されたストーム・ウィングと、今のデュエルで召喚されたシルフィと光が似てる気がした。

 

ん?ツバキと三沢?ツバキはまだオーバーヒートしているし、三沢は保健室に氷を貰いに行ってる。

 

「まさか…俺達以外にシンクロ召喚を…!?」

 

―デュエルリング―

 

 

一方いきなりデッキの一番上のカードが光り出してきたので剱都は驚いているが――同時に何処か安心できる気持ちになった。

 

 

「(なんだろう…この懐かしい気持ちは…)」

 

「剱都、そのカード…多分君の気持に反応したんだと思う」

 

「気持ちに反応…?…なるほど…カードを2枚ドロー!!………!!!」

 

引いたカードを見て剱都は驚いていたが、だがそのカードが自分の手に来た意味をなんとなく理解した。

 

「俺はチューナーモンスター、マシンナーズ・リサイクラーを召喚!!」

 

マシンナーズ・リサイクラー/ATK500/星2

 

 

巨大な籠の様な物を背負ったマシンナーズが現れた、すると剱都の腰のデッキホルダーから更に強い光が現れた。

 

 

「行くぜ、場のレベル7マシンナーズ・フォートレスにレベル1、マシンナーズ・リサイクラーをチューニング!!」

 

 

機械の整備士が生み出したリングに、巨大な機械の星が合わさった。

 

「機械の音が止まる時、全てを残骸(スクラップ)にする悪魔が降臨する!!シンクロ召喚!!」

 

☆7+☆1=☆8

 

 

「刻みつけ、マシンナーズ・デストロイヤー!!」

 

フィールドに体が機械で出来た巨大な悪魔が現れた。

しかし、見た目は悪魔なのに何故か長いスナイパーライフルを背負っていた。

 

マシンナーズ・デストロイヤー/ATK2500

 

 

その姿にユウも、シゲルも、十代も――観客席にいた人物全員がその姿に見とれていた。

ちなみに氷を取ってきた三沢と、復活したツバキもだ。

 

と、ユウは剱都の目の色が緑色から赤になっているのに気が付いた。

 

 

「剱都…どうしたの、目」

「…目?目がどかしたのか?」

 

どうやら本人は気付いていない。というか、ユウもシゲルもツバキもそんな事が今まででもあったのだが、本人は気付いていない。

 

 

「…?まあいい。マシンナーズ・デストロイヤーは召喚成功時、墓地のマシンナーズを手札に加えることができる。マシンナーズ・フォートレスを手札に加える!!そしてマシンナーズ・リサイクラーの効果発動!!」

 

マシンナーズ・デストロイヤー

効果・シンクロモンスター

星8/機械族/闇属性/ATK2500/DEF2300

チューナーモンスター+「マシンナーズ」と名のついたモンスター1体以上

このモンスターが特殊召喚に成功した時、墓地に存在する

機械属性モンスターを1体手札に加える。

このモンスターが罠カードの効果で墓地に送られた時、

デッキからレベル6以下の機械族モンスターを特殊召喚することができる。

 

 

剱都は初めてシンクロ召喚を行ったはずなのにシンクロモンスターも、チューナーの効果も使い慣れていた。

 

 

「マシンナーズ・リサイクラーはシンクロ素材として墓地に送られた時、墓地の地属性・機械族モンスターをゲームから除外し、カードを2枚ドローする!!」

 

 

マシンナーズ・リサイクラー

効果モンスター(チューナー)

星2/機械族/光属性/ATK500/DEF400

このモンスターが機械族・地属性モンスターのシンクロ素材として墓地に送られた時、このカード以外の墓地の地属性・機械族モンスターを

2体ゲームから除外してカードを2枚ドローする事ができる。

 

 

「ギアフレームとスナイパーをゲームから除外してカードを2枚ドロー!!そして手札のマシンナーズ・フォートレスとカーネルを墓地に送って、墓地のフォートレスを特殊召喚する!!」

 

フォートレス/ATK2500

 

一気に剱都の場にモンスターが現れた。しかも2体とも攻撃力2500だ。

流石のユウも驚いているが、それ以上に楽しんでいた。いや、ユウだけじゃなくて剱都も楽しんでいた。

 

 

「バトル!!マシンナーズ・フォートレスでシルフィに攻撃!!」

 

「伏せカード、シンクロン・スピリット・パワー!!墓地の八岐大蛇を除外してフィールド上のシルフィの攻撃力を500ポイントアップする!!」

 

 

シンクロン・スピリット・パワー

永続罠

自分フィールド上にシンクロモンスターが存在する時、墓地に存在するチューナー以外のモンスターを除外し発動する。

シンクロモンスターの攻撃力を500ポイントアップする。

フィールド上の「聖霊」と名のついたモンスターが破壊された時、墓地・デッキから「スピリット」と名のついたモンスターをフィールドに特殊召喚することができる。

 

シルフィ/ATK2500→3000

 

 

「なっ!?しまうわあぁ!!」

 

 

剱都/LP1400→900

 

伏せカードのカウンターによってフォートレスは破壊された。

だが、フォートレスの効果――フォートレスの残骸がスピリットバードに纏わりついた。

 

 

「っだが、効果発動!!フォートレスは戦闘破壊された時、フォールド上のカードを破壊することができる!!シルフィを破壊する!!」

 

纏わりついてた残骸がシルフィもろとも爆発した。

 

 

「っ…!!だけど、シルフィとシンクロン・スピリット・パワーの効果発動!!シルフィはカード効果で破壊された時、墓地のスピリットモンスターか『スピリット』と名のついたモンスターを特殊召喚する!!雷帝神を守備表示で特殊召喚!!」

 

 

雷帝神/DEF1600

 

 

「そしてシンクロン・スピリット・パワーは『聖霊』と名のついたモンスターが破壊された時、デッキ・墓地から『スピリット』と名のついたモンスターを特殊召喚することができる!!スピリット・フィッシュを特殊召喚!!」

 

スピリット・フィッシュ/DEF1000/レベル2

 

 

「おもしれぇ…!!おまえは強いな!!ユウ!!」

 

 

彼がデュエルを楽しむのはどれぐらい久しぶりなのだろう。そう、初めてツバキとデュエルをして…そして大会で強い相手と戦うたびに楽しくなる…だが、それも久しぶりだった。

 

 

「だったらマシンナーズ・デストロイヤーでスピリット・フィッシュに攻撃!!デストロイバースト!!」

「っ…!!」

 

 

機械で出来た悪魔は背負っていたスナイパーライフルが出たばかりのガラスの魚を消し―――スピリット・フィッシュは攻撃が当たる前に消えた。

しかも雷帝神がシンクロ召喚時みたいに星になっていた。

 

 

「リバース罠、緊急同調!!バトルフェイズ中にシンクロを行うことができる!!レベル4、雷帝神にレベル2、スピリット・フィッシュをチューニング!!」

 

 

先程と同じ様な光景がまた起こっていた。

 

「精霊よ、魂を一つにし大いなる世界(うみ)を優雅に泳げ!!」

 

☆4+☆2=☆6

 

「シンクロ召喚!!聖霊魚 アクエアス!!」

 

 

フィールドに巨大な鮮やかな青い色の魚が現れた。と、言うかでかすぎる。

いつか見たシゲルのマキロや隼人のビックコアラよりも大きい。

 

アクエアス/DEF2600

 

「…ギリギリでかわしたか…俺はカードを伏せターン終了!!」

 

 

剱都

手札0枚 LP900

マシンナーズ・デストロイヤー/ATK2500

伏せカード1枚

 

―ユウのターン―

 

「ボクのターン!!ボクはフィールドのアクエアスの効果発動!!墓地のスピリット・バードをゲームから除外し、カードを1枚ドロー!!」

 

 

聖霊魚(せいれいぎょ)アクエアス

効果・シンクロモンスター

星6/水属性/魚族/ATK1000/DEF2600

チューナー+チューナー以外のモンスター

このモンスターはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。

このモンスターが表側守備表示で存在する時、スタンバイフェイズ時に、

墓地の「スピリット」と名のついたモンスターをゲームから除外することでカードを

1枚ドローできる。

自分のエンドフェイズ時に墓地に「スピリット」と名のついたモンスターがいない場合、このカードを破壊する。

 

 

手札の2枚のカード、そして伏せてある最後のカード、アクエアス――その中の最高の手は――カードが一筋の光でつながった。

 

 

「墓地の因幡之白兎を除外し、雷帝神を特殊召喚!!」

 

フィールドに雷帝神が守備表示で現れた。残念だが入試試験の後で受け継がれる力は抜いた。だから今行える最高の手は――

 

「フィールドの2体のモンスターを生贄に、火之迦具土を召喚!!」

 

 

火之迦具土/ATK2800

 

 

火之迦具土――それはスピリットモンスター最強のカードだ。だが――

 

 

「それを待っていた!!伏せカードツイン・ボルテックスを発動!!自分フィールド上の機械族モンスターと相手フィールド上のモンスターを1体破壊する!!デストロイヤーと火之迦具土を破壊!!」

 

「!?自分のモンスターも!!?」

 

 

デストロイヤーが暴発し、その爆風に巻き込まれた火之迦具土が消滅した。だが、剱都の場になぜかモンスターが現れた。

 

 

「マシンナーズ・デストロイヤーが罠カードの効果で破壊された時、デッキからレベル6以下の機械属モンスターを特殊召喚することができる!!マシンナーズ・ブレードを特殊召喚!!」

 

マシンナーズ・ブレード

効果モンスター

星6/地属性/機械族/ATK2200/DEF1500

このモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、

破壊したモンスターのレベル×200ポイントダメージを与える。

 

 

フィールドに巨大な大剣を持った機械兵が現れた。しかもそのモンスターはフレイムウィングマンの様なバーンモンスターだ。

 

「戦闘で破壊したモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与える…が、モンスターがいないな。だがこのターンで何とかしないと俺の勝ちだ!!」

 

「…じゃあ、墓地のスピリット・フィッシュの効果発動!!墓地に存在するスピリットモンスターをゲームから除外して特殊召喚することができる!!火之迦具土を除外!!」

 

スピリット・フィッシュ

チューナーモンスター・効果

星2/水属性/魚族/ATK 0/DEF1000

墓地に存在するスピリットモンスターをゲームから除外することで

墓地からこのカードを特殊召喚することができる。

この効果はデュエル中に1回しか発動できない。

 

 

「そして伏せカード、マジック・プランターを発動!!自分のフィールドの永続罠を墓地に送ってカードを2枚ドローする!」

 

 

場のスピリット・フィッシュ、そして手札のあのカードを合わせれば自身のエースを出すことができる。だが、その為に必要なカードが無かった。おそらく今引けなかったら負ける――

 

 

「(皆…力を貸して…)ドロー!!来た…!!手札の伊弉波をゲームから除外し伊弉凪を特殊召喚!!」

 

伊弉凪/ATK2200

 

 

フィールドに現れた伊弉凪のレベルは6、そしてスピリット・フィッシュのレベルは2だ。

 

 

「これがこのデッキのエース!!レベル6、伊弉凪にレベル2、スピリット・フィッシュをチューニング!!」

「レベル…8!?」

 

 

シルフィもアクエアスもレベルは6だ。ユウはおそらく…いや、最上級シンクロモンスターの召喚を行おうとしている。

 

 

「大いなる魂よ!砕かれし魂と共に光の風を纏いその身を現わせ!!!!」

 

☆6+☆2=☆8

 

「甦れ…シンクロ召喚!!スピット・シルバー・ドラゴン!!」

『ガァアアァァアアァアァアア!!!!!!!!!!!!!』

 

 

フィールドに白銀の体に青いラインの入ったドラゴンが現れた。しかもその周りに魂の欠片――共言うべき光の破片が多く舞っていた。

 

スピット・シルバー・ドラゴン

効果・シンクロモンスター

星8/光属性/ドラゴン族/ATK2500/DEF2000

チューナーモンスター+チューナ以外のモンスター1体以上

自分フィールド上のモンスターがカード効果で破壊されるとき、

手札のチューナーモンスターを1対を墓地に送ることで破壊を無効にする。

フィールド上のカードが除外されるたびにカードを1枚ドローすることができる。

自分フィールド上のモンスターが手札に戻った時、

相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを1枚手札に戻す。

 

今まで見たシンクロモンスターの中でも一番美しい竜がユウの場にいる。

 

スピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500

 

 

「そして最後の切り札(カード)はこれ!!場のスピリットの復活をゲームから除外してスピリット・リベンジを発動!!墓地のスピリットと名のついたモンスター1体につき、場のシンクロモンスターの攻撃力を300ポイントアップする!!」

 

「墓地には…フィッシュとガードの2体だから600ポイント……はぁ、面白かったぜユウ」

 

 

スピリット・リベンジ

通常魔法

自分フィールド上の「スピリット」と名のついたカードを

1枚ゲームから除外して発動する。

自分フィールド上のシンクロモンスターの攻撃力は

自分の墓地の「スピリット」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。

 

 

スピット・シルバー・ドラゴン/ATK2500→3100

 

 

「さらにスピット・シルバー・ドラゴンの効果で1枚ドロー!!バトル!!スピット・シルバー・ドラゴンでマシンナーズ・ブレードに攻撃!!

スピリット・ブラスト!!!」

 

「うわぁあぁああああああああああああああああああぁあ!!!!!!!!!!!」

 

 

スピット・シルバー・ドラゴンの白銀の炎に剱都は包まれた。

 

 

剱都/LP900→0

 

剱都のライフが0になった瞬間ユウと剱都が仰向けに倒れてしまった。

ギリギリのバトルだったので思いのほか集中力を使ってしまい、緊張の糸が切れてしまったようだ。

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…勝った…!!」

「…はぁ…はぁ…ああ…俺の負けだ」

 

 

剱都は負けたのに清々しかった。久しぶりに思いっきり、本気で、全力に戦った。

途中からツバキを賭けてとか、そんなのはどうでもよくなっていた。

 

純粋に勝負に勝ちたくなっていた。悔しさもあるが、同時にユウが何を言いたかったのかも分かった。

 

 

「…ねぇ、剱都。どうしてそこまでツバキを『守ろう』としてたの?」

 

「…………何のことだ?」

 

「君は本当はツバキを守ろうとしてた、そうじゃないと色々辻褄が合わないんだ。わざわざこの島に来た事や、ツバキが怯えてるのを見た時の怒りとか…ね」

 

 

その言葉を聞いた剱都は寝ころんで何かを考えていたようだったが一つため息をつくと起きあがり、まだ寝ころんでいるユウのところへやってきた。

 

 

 

「全く、お前はなんなんだ。あのモンスターと言い、俺のことを見透かしてることと言い」

 

「えへへ」

 

「えへへじゃねぇよ。…はあ。知ってると思うが…ツバキの記憶喪失だ」

 

 

 

それは先程本人から聞いた。そして剱都の父親、竜也に引き取られたことや2人は兄妹同然だったということも。

 

 

「親父がある日連れて帰って来た一人の小さい子供、それがあいつだ。まるで何かに脅えててな…何故か俺や親父以外の人を見ると背中に隠れちまうんだ。山本も数年でやっと慣れた感じだ」

 

「…………それ、昔からなんだ」

 

 

ツバキが時折見せる人見知り。そして何かあると必ずと言っていいほどユウかシゲルの背後に隠れてしまう。

十代たちなど会って間もないのに仲良くなるのは彼女も大人になったからなのだろう。

 

 

 

「まあ、それで学校でも友達ができなくて虐められてたらしい」

 

「…」

 

「で…最終的には学校に行かなくなって部屋に篭っていた。ちょうどその頃の俺は親父の跡を継いで軍事介入やらなんやらで忙しかったからな。気づいたときには遅かった。ツバキは置き手紙一つせずに家を出ていった」

 

 

その罪滅しなのか、ツバキを守ろうとしていたようだった。

すると剱都はなぜか少し乾いた笑みを浮かべていた。

 

 

「ああ、多分あいつから俺がなんかしてたって聞いたと思うが、正直に言うと勘違いだ」

 

「え?」

 

「いや、俺の親父の元秘書が撒いた種が今になって厄介なことになってな…そいつが流した武器やらなんやらが今更戦場に出てきて、その尻拭いをしてたんだ」

 

 

ということは、ツバキの言っていたことはほとんど勘違いになる。

そう思うとユウも同じように乾いた笑みを浮かべた。

 

 

「それは…うん」

 

「あいつは昔から思い込みが激しいからな。俺が社長室のデスクに突っ伏して寝てると『剱都お兄ちゃんが死んだ!』って叫んd」

 

「も、もうそれはいいでしょ!!」

 

 

剱都の言葉を遮ったのは赤い顔をしていたツバキだった。

どうやら彼女にとっても思い出したくない記憶のようだった。

 

 

 

「たく、無茶ばっかりしやがって…!!」

 

 

観客席で見ていたメンバーも勝負が終わると同時にリングへ上がっていた。が、ツバキは剱都の昔話を止めるとどうしてかシゲルの背後に隠れていた。

 

 

どうやら――

 

 

―――――――

 

「一つ聞きたい。お前はツバキの事が好きなのか?」

 

「……うん。好きだよ」

 

―――――――

 

↑これが恥かしい様だ。と、もう逃げ場がないユウは意を決したようにツバキ(シゲルの前)まで歩いて行った。

 

 

「ツバキ」

「ひゃ、ひゃい!!!」

 

 

静かにユウがツバキを呼んだ時、ものすごくツバキが緊張してるような声で返事をした。

ちなみにシゲルはチラリと明日香とアイコンタクトをかわした後、リングから降りた。ちなみに十代達は2人に連れて行かれ、リング上にはユウとツバキしかいない。

 

 

 

 

「…ボクは、ツバキの事が好きです」

「ユ、ユウ…」

「…ボクと付き合ってください!!」

 

 

そう言ってユウは頭を下げた。ツバキはどうしようかと悩んでいた。

 

いや、そう思ったが悩むまでも無かったのか笑顔で答えた。

 

 

 

 

「私も…ユウの事が好きです!!よろしくお願いします!!」

 

―観客席―

 

 

『やっと2人とも素直になったな』

 

『そうですね~。マスターもツバキさんも互いの事を気にして素直じゃなかったからですからね~』

 

 

観客席のシゲル達の近くにデュエルを傍観していたダークと神楽が今現在の状況を見てそう言っていた。

 

精霊たちも2人の行く末が気になっていたようだった。

 

 

「まあ、この事は今ここにいるメンバーだけの秘密にしとけ。」

 

「そういえばお前はどうするんだ?」

 

嬉しそうに笑いあってるユウとツバキを見てそう忠告した剱都に十代が聞いた。

剱都はツバキを追いかけてきて諦めたみたいだが、このまま以前の生活に戻るのかと思った。

 

 

「ツバキがここでうまくやっていけるんなら俺が口を出すつもりはないからな。やることが終わったらここに転入して学業にでも専念するつもりだ」

 

「そうか…じゃあ、しばらくさよらなだな」

 

 

どうやらユウとのデュエルで何かを感じたのか、負けたのに満足した表情だった。

 

 

―レッド寮前―

 

一先ず気を失っていたブルー生徒が目が覚めるとうるさいので、三沢と明日香以外の7人(ユウ・シゲル・ツバキ・十代・翔・隼人)はレッド寮のユウとシゲルの部屋へ行くことになり、剱都と山本は寮の前に停めたヘリで帰るのだったのだが――

 

 

「ッ…テメェらか…!!」

 

 

なのは達3人が待っていた。3人の姿を見た瞬間シゲルから笑顔が消えた。

そしてユウも一気に敵意を向けた。

 

 

「ま、待ってください!!」

 

「話を聞いて!!」

 

 

必死になのはとはやてがシゲルを落ち着かせようとしていた。

ロストロギア狙いではないということを理解したシゲルは警戒を解いた。

 

 

「ツバキ、あいつらは誰なんだ?」

 

「………敵。私達を騙してカードを取ろうとしてたの」

 

 

剱都の言葉にツバキが答えた。と同時にはやてが悲しそうな表情をした。

分かっていたことだ。もう仲間に入ることができないのを――

 

 

「今さら何の用だ…!!」

 

「ユウ君と剱都さん、シゲルさんの使ったシンクロモンスターについて…教えて貰いたいんです」

 

 

3人の使ったシンクロモンスター――ストーム・ウィングにマシンナーズ・デストロイヤー、シルフィとアクエアス、そしてスピット・シルバー・ドラゴンの事だ。

 

 

「ふむ…いささかお行儀が悪いようですね。お嬢さん方」

 

 

そう言ったのは山本だった。そのことに全員が意味が分からないようだが、山本は続けた。

 

 

「デュエルのとき周囲に人の気配はありませんでした。それどころかあの場所は入る時に扉の音がどうしても鳴るようなのです。ではどうしてシゲルがシンクロモンスターを使ったのをお知りになっているんでしょうか?」

 

「そ、それは…」

 

 

山本の言葉にはやては声を詰まらせていた。無関係の人にアースラのブリッジで見てたなんて言えない。かと言って言い訳なんてできる訳も無い。

 

 

「そ、それは…前に2人がシンクロモンスターを使ってるのを見たから…」

 

 

フェイトが何とか言い訳を考え付いた。はやてとなのはも頷いているが、だがそれでは矛盾をしていた。『2人がシンクロモンスターを使っていたから』という理由では――

 

 

「はて…私は剱都様のデッキを熟知しているつもりです。ですが…シンクロモンスターというカードは入っていないはずです。ということは使う機会があったのは先程のデュエルだけです。お聞きしたいのですが…お嬢さん方はどこで見ていたのですか?」

 

「それに…ボク達は今日初めてシンクロモンスターを使った…そもそもボクのシンクロモンスターのデッキはさっき急いで仕上げて調整はシゲルとシートの上でやったよ。じゃあどうして知ってるの?」

 

 

完全に逃げ場を失った。なのは達は剱都と山本が見ているのにもかかわらず魔法で転移して行った。

 

 

「消えた…?」

 

「……あいつら…隠密行動って知ってるのか…?」

 

 

シゲルの言葉に隼人も呆れていた。

仕方が無いのでツバキが剱都と山本に事情を説明した。

 

 

―アースラ―

 

 

「君達は馬鹿か!!無関係の一般人がいる前で魔法を使うなんて!!」

 

「「「うぅ…ごめんなさい」」」

 

 

―海上:ヘリ―

 

 

「剱都様、よろしかったのですか?」

 

「んあ?ああ、あんな種無しのトリックを見たら信じるしかないだろ?」

 

ヘリを操縦する山本の言葉に剱都は疲れたようにそう言った。

彼はAW社全面バックアップで3人のサポートをするのを約束した。

 

 

「いえ、そうではなくツバキお嬢様のことです」

 

「…山本、俺はあいつを縛り付けるつもりはない。寂しくないって言ったら嘘になるがあいつはあいつで自分の居場所を作ったんだ。なら、俺たちにそれをとやかく言うことはできない」

 

 

そう言ったが、横目で見た剱都の顔はどこか嬉しそうだった。

 

 

「さあ、帰って仕事だ。さっさと切り上げるぞ」

 

「かしこまりました」

 

 

 

―数日後―

 

 

「あれ…?シゲルって新聞読むの?」

 

「ああ。ちょいとばかり気になることがあってな…お、あった」

 

 

そう言ってシゲルが指をさした先には3面で大きくこう書かれていた。

 

 

《ペガサス・J・クロフォード 新たなカードシリーズ『シンクロモンスター』を発表!!》

 

その下に小さく詳細が乗っていた。

 

≪デュエルモンスターズの生みの親、ペガサス氏は通常・効果・融合・儀式とは別のモンスターである『シンクロモンスター』を発表した。

ペガサス氏は会見で「新たな可能性としてこのカード達を制作しました。既にテストプレーヤーとして数人のデュエリストに渡し、その調整も終えた」と述べており、シンクロモンスターが新たなデュエルを作り上げるのは予想できる。また―――≫

 

 

と、ペガサスがシンクロモンスターの制作をしたこと、シンクロモンスターの召喚条件、新たなルール変更について書かれていた。

 

「へぇ…じゃあ、ボク達以外にもシンクロを使う人が出てくるってこと?」

「そうだな。俺とおまえと、ツバキ…そして」

 

 

と、シゲルそこまで言った時、ユウが見た畳まれた新聞の一面には大きく書いてあった。

 

 

《AW社 大きく会社方針変更か!?紛争地域の停戦に成功!!孤児34人を保護!!》

 

「剱都だな」

 

 

これが羽黒剱都という男だ。そして剱都が学園に来るのはそう遠くない気がした。




ユウ「…あ…、…」
ツバキ「…え…う、ん…」
(´∀`)
シゲル「その顔をぶん殴りてぇ…」

はい、というわけで剱都戦でした。
ユウ「えっと…すぴばるにある改定前だと『剣都』だけど…」
後に出てくる原作キャラの「ティラノ剣山」の表記を『剣山』にしてるからわかりにくいんだよね。名前を変えるつもりだったんだけど今更感があったから漢字を変えるだけにした。
ツバキ「えっと…この漢字『剱』ってなんて読むの?」
シゲル「普通に『剣』と同じで『けん』や『つるぎ』って読むな」
調べてもわからないけど旧漢字かそういうのだと思うから丁度いいやって

シゲル「で、デュエルの最中で起こった剱都のシンクロと目のあれはなんだ?」
これも後々でわかるね。この話を書いていた当時…もう2年ぐらい前かな?
その時はまだ考えてなかったけどもう80話ほど書いていたら磐石な設定が出来上がるよ…
ツバキ「なんで…遠い目を…」

さてさて、次回予告

剱都の襲来から数日後、アカデミアではある噂が流れていた。
『シンクロモンスターのテストデュエリストがアカデミアにいる』
その噂が流れると同時期にキング・オブ・デュエリスト『武藤遊戯』のデッキが公開されるということになった。

しかし、公開前夜にそのデッキが盗まれてしまいユウたちはその犯人を探すことに。
そんなツバキの前に一人の生徒が待ち受けていた。

次回turn14 怒るツバキ? 猛攻のシンクロモンスター
最強カードは「ライブラリー・マジシャン」
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