遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn32 スカウトという名の強奪

「へぇ…カルマがね…」

 

 

レッド寮の食堂で明日香から朝の事を聞いたユウとシゲルは驚いたようにそう言った。

 

 

カルマの要請で紫苑は研究所に残されたデータの解析へと向かった。

そして明日香はその伝号を頼まれてツバキに言い、それをツバキはユウとシゲルに言いに明日香とともに食堂へやってきたというわけだ。

 

 

「うん。けど大丈夫かな…一人であそこに…」

 

 

心配そうにツバキがそう言ったが無理もない。あの研究所は紫苑にとってはトラウマしかなく、一人だと管理局との戦闘になれば無茶もするだろう。

 

 

「まあ、ダークやルキが何とかするだろ」

 

 

ダークはいま精霊界に戻って例の研究所の事について調べている。それにルキや魔法都市の住人達も手を貸してくれるはずだ。ちなみにダークやルキが誰なのか知らない明日香は首を傾げている。

 

 

「…ねぇ…ところで…」

 

 

何かを思い出したように先程まで首を傾げていた明日香が3人に聞いた。

 

 

 

 

「十代の七星門の鍵…持ってるのシゲルのはずだったわよね?」

 

「「え…?」」

 

「…」

 

 

―ダークネス戦後:夜―

 

「十代が眠っている間に…誰かがこの鍵を持っていた方がいいんじゃないか?」

 

 

そう言ったのは同じく鍵を持つ者――三沢(エアーマン)だ。

 

 

「誰がエアーマンだ」

 

「三沢君、どうかしたの?」

 

 

地の文を読まないでください。

 

 

「確かにな…十代がこう戦えない状態で襲われたらどうなる事か…」

 

 

剱都の言うとおり、戦えない状態でも奴らが十代を攻めてくればただでは済まない。

しかし鍵を1人で2つ持つのはそれはそれで危険だった。

 

 

 

 

「私が持ちます」

 

 

そう立候補したのは紫苑だった。しかし正直言うと女子の紫苑より、荒事に慣れていた剱都やシゲルの方が安全の気もした。

 

 

「紫苑、それは流石にきけn「いいのか?お前が十代みたいに…いや、それ以上の事になるのかもしれないぞ」シゲル?」

 

 

三沢がそれを止めようとしたが、シゲルがそう紫苑に聞いた。紫苑はシゲルの問いになにも言わなかった。

 

その後、結局シゲルが鍵を持ち帰ったのだが――

 

 

 

―回想終了―

 

 

返事をしないシゲルをじーっと明日香、ユウ、ツバキは見ていた。

それに居心地が悪くなったのか、シゲルは目をそらした。

 

 

 

「……渡しちまったよ」

 

 

 

―ブルー女子寮―

 

 

「ここで次元震が起こったみてーだな」

 

 

紅いゴスロリの服を着た幼jゴフっ!!?「余計なことは言うんじゃね!」…もとい、赤髪の少女となのはがいた。てか、地の文に突っ込まないでください……

 

 

「此処は…ちょうど明日香さんの部屋の前だね」

 

 

そう言ったなのは、ちなみになのはの部屋は今現在紫苑が使用している。

 

 

 

「ちょうど目の前はツバキちゃんだし…何か知ってるかも」

 

「……よし!そのツバキってのに会いに行くぞ!」

 

 

そう紅い少女が言うとドカドカと歩きだしてしまった。

 

 

「にゃ!?ちょ、ヴィータちゃん!!」

 

 

 

―湖―

 

 

以前十代VS明日香があった湖の近くをジュンコとももえが並んで歩いていた。

ちなみにどこかしらジュンコの顔が赤くなっているようにも見えた。

 

 

「それにしても…ジュンコさんにも春が来ましたね~」

「う、うっさいわね!///」

 

 

そう言ったジュンコの手には風呂敷に包まれた弁当があった。そう、ジュンコの手作りの弁当だ。まだ昼には早いが皆で昼を食べようと作ったのだ。

 

 

「それにしても…最近変じゃない?」

「変…とは?」

 

 

唐突にジュンコがももえにそう聞いた。

 

実を言うとジュンコは人の顔と名前を覚えるのが得意で新入生の殆どの名前を覚えていたのだ。

 

 

「なんか最近学園の人がいなくなって無い?」

 

「…というとなのはさん達の事ですか?」

 

 

ももえがジュンコの問いにそう言った。明日香、そしてツバキとよく行動していた3人組の事だ。だがその姿を最近全く見ないのだ。

 

 

「確かにそうですわね…他にもシグナム先生やシャマル女医も急に転勤ですわね…」

 

 

同時に赴任して、そして同時に去って行った教師。

周りの生徒は気に留めていなかったがよくよく考えるとおかしいものだった。

 

普通なら離任・退任式を行うのだがそれも無く、急な用事ということだった。

 

そもそも女医なら鮎川とミーネという臨時の女医がいる。それに教員も人数が足りておりわざわざシグナムを着任させる事も無かったはずだ。

 

 

「それに…ね、前にシゲルが車椅子に乗るほどの大けがしたじゃん」

「確か…立ち入り禁止寮に十代様達が忍び込んでその時誰かに襲われた時ですわね」

 

 

ちょうど制裁デュエルの1週間前の出来事だ。そもそも制裁デュエルはその禁止寮への無断侵入が原因だ。明日香とツバキもそのことに関わっていたので2人も知っていた。

 

だが、ジュンコが言いたいのはそこではない。その後の事だった。

 

 

 

「デュエルキングのデッキが盗まれたのは知ってるわよね?」

「ええ。確か…イエローの神楽坂様がデッキを盗んだところを誰かが奪って、その相手とユウ様が戦ったと聞きましたが…」

 

「どうやら、それも何か違うらしいよ。あの後明日香様から聞いたんだけど戦ってユウは怪我したらしいの。あり得ると思う?」

 

 

そう聞いてももえは考え込んでしまった。確かに普通のデュエルなら精神的な負荷がかかる事はあってもおかしくない。しかし肉体的にダメージを負う事は絶対にありえなかった。

 

そう言ってるうちにレッド寮の前まで歩いていた。

 

 

 

「誰かと争うことになったとしたら…」

 

「だったらユウじゃなくてシゲルは喧嘩してるわ。ツバキも多分…私達に何か隠してるはずよ……っ…!?」

 

 

そう言ったジュンコは来た道を振り返った。そこに特にこれと言って変わった事はなかった。

 

 

「ジュンコさん?」

 

「(気のせいかな…いま誰か…)なんでも――」

 

 

『なんでも無い』と言えなかった。ももえの後ろに見知らぬ男性が立っていた――

明らか生徒でもない、そして教師だったら手にナイフなんて持ってない。

 

 

「ももえ!!」

「え?きゃぁっ!!」

 

 

 

なにが起こったのか、ももえは分かって無い。ナイフで切りつけられると思ったら首元に何かを打ちつけられた。

 

「ももえ!!あんた、何者よ!!」

「俺はディラ執務官。お前から強力な魔力反応があるから付いてきてもらうぞ」

 

 

そう言ってディラと名乗った男性は右手をジュンコに伸ばしてきた。

 

逃げ出そうとしたのだが、右腕を掴まれた彼女はそれすら叶わなかった。

 

 

 

「触らないで!!ももえ!!」

 

 

倒れているももえに呼び掛けるもももえはピクリとも動かない。

 

 

「騒ぐな!抵抗すれば公務執行妨害で逮捕するぞ!」

「なにが公務よ!!あんたこそ傷害罪じゃない!!」

 

 

ジュンコの言葉に苛立ったのかディラは握る手にさらに力を込めた。

 

 

「っ…!」

「俺の言う事を聞け!」

 

 

そう言われたジュンコ唇を噛みしめた。何とかしてこの状況を打開したかったが女子のジュンコよりも男性のディラの方が力が強かった。

 

それになぜか生徒が全く見えないのだ。助けを呼ぼうにも呼ぶ相手がいなかった。

すると突然ジュンコの意識が遠くなった――

 

 

―レッド寮・食堂―

 

「まあ、十代の鍵は紫苑が戻ってくるまでどうしようもないな…」

 

 

シゲルが纏めるように言うが他の3人は何処か遠い目でシゲルを見ていた。その視線を要約すると「あんたの所為だろ」というものだ。

 

まあ、そうだろう。相談もせず勝手に鍵を紫苑に預けて、紫苑本人もそれを黙って受け取ってしまったのだ。

 

 

「………悪い」

 

 

 

もう居心地が悪くなったのかシゲルが3人に頭を下げた。

 

 

「…シゲル、今度はちゃんと相談してよね」

 

 

ツバキの言葉に救われたシゲルだった。

 

――――――――――――ぉ――

 

――ぁ――――――――――――

 

 

「ん?なんか騒がしいな」

 

 

 

―レッド寮前―

 

 

「だからヴィータちゃん待って!!」

 

「そいつが世界の矛盾だったとしたら叩きのめしたらすぐに分かるだろ!!」

 

 

言葉で分かる通り、今現在なのはとヴィータの2人は言い争いながらレッド寮へ向かっていた。

 

途中ツバキが世界の矛盾だと聞いたヴィータは更に止まらなくなっていた。

 

 

 

「だからヴィータちゃん!!今私達が……」

「…ん?なんだよなのは」

 

 

 

急になのはが黙ったのだ。あのうるさいなのはが黙るとなると普通ではなく、確実に不気味だったヴィータは振り返った。

なのははある場所を見て固まっていた。

 

 

「ももえ…さん…!?」

「?」

 

 

何か言ったなのはの目線の先を負う様に見ると――誰かがレッド寮の前で倒れていた。

 

 

「ももえさん!!」

「なのは!!」

 

 

なのはは倒れているももえの元へ駆け寄ろうとしていた。が――

 

 

 

 

 

「セレスティアル・ブラック・バーニング!!」

 

 

「え…!?」

「なのは!!」

 

 

その前に現れた|黒の魔法神官《マジック・ハイエロファント・オブ・ブラック》とツバキが立ち塞がった。

 

間一髪ヴィータはなのはを突き飛ばして炎の攻撃を避ける事が出来た。

 

 

「ぅ……ツバキ…ちゃん…!!」

 

「……………………」

 

 

なのはは倒れながら、攻撃を終えた魔法神官の横に立っていたツバキを悲しそうな目で見た。一方のなのはを見ていたツバキの目の色は光を失くし、少なくとも友達や仲間を見るような雰囲気ではなかった。

 

 

 

「一体何の用?もう二度と私達の前に現れないでって言ったよね?」

 

「お前がツバキか!!教えろ、星光の殲滅者はどこだ!!」

 

 

ツバキの質問に割ってヴィータが入ってきた。が、ツバキは無表情でデッキから一枚のカードを引き、それを見ずにディスクにセットした。

 

 

 

「来て、エンディミオン!!」

 

 

 

今度は神聖魔導王がフィールドに現れると、持っていた杖の先から魔力の球弾が2人に向かって飛んで行った。

 

 

「クッ…アイゼン!!」

《protection》

 

 

その攻撃を避けれないと直感的に感じたヴィータはどこからともなくハンマーを取り出すと魔力の壁を作って攻撃を耐えた。

 

が、すぐに何か危険な感じを身で感じたヴィータはツバキを見た。

 

 

「星光の殲滅者?そんな人はいない…!!私の妹を侮辱するのは…許さない!!」

 

 

その言葉に応える様に2体の魔法使いが杖を構えた。

すると背後から急いでユウがやってきた。

 

 

「ツバキ!!大丈夫!?」

 

「大丈夫、けど……頭の中が怒りでぐちゃぐちゃになりそう…!!」

 

 

初めて見るツバキの怒りの――それも濃厚な殺意のこもった顔を見たユウは一瞬たじろいでしまったが、気を取り直してディスクを構えて2人を睨んだ。

 

 

「一体此処に何をしに来たの」

 

「わ、私達は今朝起こった次元震を調べに来たの!そしたらももえさんが倒れていて――」

 

 

「どうやら、テメェーらの同業者にやられたらしいぜ」

 

 

ももえの介抱をしていたシゲルがそう言って来た。シゲルが何の事を言っているのか理解できなかったなのはとヴィータだったが、それを無視してシゲルがさらに続けた。

 

 

「ももえが言ってたぜ?ディラ『執務官』っていうのに襲われったてな…あんた等の同業者だろ?」

 

「そんな…」

 

 

あまりにも驚愕する――執務官の誘拐事件と傷害事件の事実に2人とも言葉を失った。しかしそれどころじゃない3人はその2人を放っていた。

 

 

「行くぞ、ももえが言うには火山の方にジュンコが連れて行かれたらしい」

 

 

3人と今は誰も使っていない剱都の部屋にももえを寝かしてきた明日香と共に火山へと急いだ。

 

 

「なのは…」

「………………」

 

 

「あらあら、お困りの様ね?」

 

 

呆然となっている2人の背後から声をかけた人物――アラエルだった。

 

―火山―

 

「……ぅ……こ……こは……っ!?」

 

 

目が覚めたジュンコは動かない体を必死に起こしながら頭の中の記憶の糸を手繰り寄せていた。

 

 

 

「え…私…確かももえとレッド寮に…そうだ…ももえは…!!?」

 

 

その声が聞こえたのか、ジュンコを連れ去ったディラは何かの準備をしていたのだが、少し慌てた様子でやってきた。

 

 

「チッ、目が覚めたか…まあいい、もう一度寝てもらうぞ小娘」

 

 

そう言ってディラはジュンコの前まで来た。ジュンコは立ち上がって、逃げようとしたがまだ頭が混乱しており、逃げる事が出来なかった。

 

 

助けを呼ぼうに周りに誰もらず、助けてくれる人も――

 

 

 

 

 

「待てよオッサン、なにしてんだ?こんな真昼間から」

 

 

いた。目の前に――物すごい瘴気を放っている人物が。

その人物の後ろで3人の少年少女もいる。

 

 

「シゲル…!!」

 

「なんだ貴様?邪魔するなら「来な、ダリウス!!」っ!?」

 

 

シゲルの召喚した馬の獣人のモンスター――ダリウスが真っ直ぐディラへと突っ込んでいった。

 

シゲルの奇襲にディラはジュンコを突き飛ばして回避行動を取った。

突然の事にジュンコも自分を守るように立っているダリウスを丸い目で見ていた。

 

 

「え?ええ?モンスターが?え?なにこれ?ええ?夢?」

「下がってろ、ジュンコ」

 

 

混乱するジュンコに冷徹な声が響いた。その声がする方を向くといままでではありえないほど凄い殺気を込めた目でディラを睨んでいたシゲルがいた。

 

 

「クッ…なんだそのモンスターは…!!」

「テメェがディラか…管理局ってのは無関係の奴を巻き込む気か?あぁ!?」

 

 

そう言ってディスクを起動させたシゲルは思いっきりディラを睨んだ。

ディラは怯みながらも持っていたナイフからのデバイスをディスクを変形させた。

 

 

「クッ…管理外世界に俺達の事を知ってる奴がいるなんて…!!」

「ゴタゴタ言ってるんじゃねぇ…目障りだ…!!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

―シゲルのターン―

 

最早お約束となった現実のダメージのドームが2人を包み込んだ。

 

シゲルの恐ろしい所はキレていても冷静にいる事だった。ドローしたカードを見てその中から最善の手を考えていた。

 

 

「スレイブ・エイプを守備表示で召喚!!カードを2枚伏せてターンエンドだ!!」

 

 

シゲル

LP4000 手札3枚

スレイブ・エイプ/DEF300

伏せカード2枚

 

機械を装備したサルが現れると防御体勢をとった。

 

キレたシゲルを止めれるのなんて誰にも無理だった。

それを知らないディラはカードを引くとシゲルを睨みつけた。

 

―ディラのターン―

 

ディラ執務官は世界で多くの魔力保持者をスカウトするので有名だ。

 

だが、実際は攫って来た魔力保持者を洗脳や暴力で無理やり管理局に協力させていたのだ。しかしそのことを知ってるのはごくわずかで、彼に逆らった人は時空犯罪者に罪を擦り付けて殺しているのだ。

 

 

「俺のターン!!A・O・Jブラインド・サッカーを攻撃表示で召喚!!」

 

 

ブラインド・サッカー/ATK1600

 

フィールドに6本足の巨大な機械が現れた。だが問題はその見た目はステータスではない。そのカテゴリーである――

 

 

「A・O・J…やっぱテメェ…管理局か…!!」

 

 

『A・O・J』――精霊界で管理局の使っていたシリーズだ。

 

まだ可能性が高かっただけだがこれで確実だった。人間界、そして精霊界にA・O・Jというカテゴリーが存在しない以上管理局しか持たないカテゴリーだろう。

 

 

「バトル!!ブラインド・サッカーでその雑魚に攻撃!!」

 

 

 

ディラの宣言で巨大なロボットの背にあった装置から光線が伸びてそれがスレイブエイプに命中した。

 

 

「っ…だが、スレイブエイプは戦闘破壊された時デッキからレベル4以下の剣闘獣を特殊召喚する。来い、剣闘獣ベストロウリィ!!剣闘獣リーダー!!」

 

 

スレイブエイプが雄たけびを上げると何処からともなく鳥の獣人が現れた。

それと同時に竹刀を持った獣人が現れたが――スレイブエイプが出せるのは1体までだ。

 

 

 

「なぜ二体もいる!そのサルの効果で出せるのは一体のみだろ!!」

 

「リバース罠、ハンディキャップマッチ!だ。剣闘獣が特殊召喚に成功した時剣闘獣と名のついたレベル4以下のモンスターを場に出す事が出来る!」

 

ベストロウリィ/ATK1500

 

リーダー/ATK1100

 

 

「クソが…舐めた真似を…カードを二枚伏せターンエンド!!」

 

 

ディラ

LP4000 手札3枚

ブラインド・サッカー/ATK1600

伏せカード2枚

 

 

―シゲルのターン―

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

「……っ!ねえ、ユウ」

「どうかしたの?」

 

 

デュエルの行方を見守っていた4人だが、ツバキが何かに気付いた。ツバキが指差した先――シゲルの顔――シゲルの…『紅い』目を指さした。

 

 

「紅い目…!!じゃあ…」

「アナトの言ってた…世界の矛盾の証…」

 

 

2人の言葉に明日香とジュンコは首を傾げていた。何の事なのか分からず、またシゲルの目が赤くなってる理由も原因も分からなかった。

 

 

「場のベストロウリィ、リーダーをデッキに戻しエクストラデッキから剣闘獣ガイザレスを特殊召喚!!」

 

『力がみなぎるの~!!』

 

 

フィールドの鳥人はどこからともなく出現した鎧をまとい、そして強力な風の刃を生みだした。

 

「ガイザレスの効果だ、伏せカードを2枚とも破壊させてもらうぞ!!」

 

その刃に切り刻まれたディラの伏せカードが消滅した。

 

 

「だが、リミッター解除を発動した!!このターンでブラインド・サッカーは破壊されるが、攻撃力が2倍となる!!」

 

 

ブラインド・サッカー/ATK1600→3200

 

 

このターンのみとは言え、攻撃力が2倍となってしまいガイザレスではブラインド・サッカーを倒せなくなってしまった。

 

しかし、そんな事などシゲルにとってはどうでもよかった。

 

 

「手札からバリア・リゾネーターを通常召喚!!」

 

 

シゲルの場にいつものリゾネーターと同じ姿の背に電極の様な物を背負った悪魔が現れた。

 

 

「レベル6のガイザレスにレベル1のバリア・リゾネーターをチューニング!!獣の魂を受け継ぐものよ、雷鳴とともにその怒れる尾を振り上げろ!!」

 

☆6 + ☆1 = ☆7

 

 

「シンクロ召喚!!いでよ、剣闘獣ヴォルテック・テール!!」

 

 

フィールドに黄色い立て髪と尻尾を持ったライオンが現れた。

ちなみに大きさは、さほど大きくなく普通のライオンと同じだった。

 

 

ヴォルテック・テール/ATK2200

 

 

「はっ!なぁ~にがシンクロだ!!ただの弱体化じゃねぇか!!」

 

 

ディラの言うとおりガイザレスよりもヴォルテック・テールの攻撃力は低かった。

だが、シゲルいまの状態で無駄な事なんてしなかった。

 

 

「バトルフェイズ!!」

 

「っ!?」

 

 

 

シゲルのバトルフェイズ宣言にディラは驚いていた。このままヴォルテック・テールでブラインド・サッカーに攻撃すれば逆に破壊され、ダメージを負うこととなる。

 

 

 

「ヴォルテック・テールで攻撃!!」

「バカな!?ブラインド・サッカーの方が攻撃力が上だ!!」

 

 

確かにこのままだとヴォルテック・テールが戦闘破壊され、シゲルに1000のダメージを負うことになってしまう。

 

 

「ヴォルテック・テールは手札のカード一枚を墓地に送ることで攻撃力を半分にして直接攻撃ができる!!」

「なんだと!?」

 

 

ヴォルテック・テール/ATK2200→1100

 

 

突如としてヴォルテック・テールの雷の尾から電磁波が発生するとブラインド・サッカーは動かなくなった。

 

その横を素通りしてヴォルテック・テールは爪をディラに振り下ろした。

 

 

「クッ…!!嘗めた真似を…!!」

 

 

ディラ/LP4000→2900

 

ダメージを負ったディラはそう悪態をつきながらシゲルを睨んだ。だがシゲルは冷ややかな目でディラを見ていた。

 

 

「聞かせろ、なんでジュンコとももえを襲った?」

 

「っ…それはあの女が高い魔力を持っていたからだ。管理局にはいくらあっても人手が足りない。全ての管理世界を統一っ!?」

 

 

 

そこまで言った時ディラにすざましい圧力がかかった。

その発生源は言うまでもない――

 

 

 

「もういい…喋るな、雑魚が…!!」

 

 

シゲルだ。世界の矛盾であるシゲルから風の様な何かがディラにのしかかっていた。

その力はまるで台風の様に荒々しく、針の様に鋭い。

 

 

 

「この感じ…あの時と…!!」

 

 

ユウの脳裏に2人の姿が浮かんだ――

 

名前の知らない女(アラエル)がガジャルクという名のシンクロモンスターを出した時に感じた『恐怖』――

 

生命の神(カルマ)が試練の時、自身を出現させた時に自らに向けられた『本気』――

 

 

それと同じ『殺気』を放つシゲル

 

 

「カードを伏せてターンエンドだ!!」

 

ヴォルテック・テール/ATK1100→2200

 

 

シゲル

LP4000 手札1枚

ヴォルテック・テール/ATK2200

伏せカード2枚

 

 

シゲルがターンエンドを宣言した瞬間ブラインド・サッカーが爆散した。

リミッター解除のデメリット効果でそのターンのエンドフェイズに破壊される効果だ。

 

だが、ディラはそれどころじゃなかった。目の前にいるただの少年の放つ殺気に震えていた。




剱都「すげーキレてるな」
シゲルは誰かを失うことが怖がってるからね。ユウやツバキを体張って守ったりしてるのもそれが理由。
紫苑「その内瘴気で攻撃とかしそうですね」
シゲル「真顔で変なこと言うな…」

ユウ「ところでジュンコさんやももえさんが管理局のことに薄々感づいてるね」
あの2人は立場的には戦いに関係してる人を見てるからね。ある程度そういうことに気づいている。
で、作中にはないけどジュンコの魔道士的な魔力は常人よりも少し多いんだ。
ツバキ「え?もしかして…それがさらわれた理由?」
そうだね。人不足の管理局からしたら多少なりとも戦力が欲しいだろうし。
ツバキ「そんな理由で…!!」
この作品の管理局はとことん堕ちてるよ。逆に言えばなのはみたいな人よりもそういう『正義』を掲げて犯罪を犯す人の方が多い
剱都「…何か理由があるのか?そこまでの設定にするってことは」
そうだね。この作品は今現在5章まであるけど、3章以降管理局という名前はあまり出てこないと思う。
けど、管理局はこの作品全体的に『敵』として現れる
ユウ「……???どういうこと?」
今のところ言えるのはここまで。まあ、もう少し踏み出しても本当の『敵』は影も形もないからわからないだろうし
ツバキ「?????」

紫苑「それではデュエルの内容ですが…」
管理局は「A・O・Jシリーズ」をメインで使うね。なのは達みたいなオリジナルもあるけど、殆どはこっち。
シゲル「何か理由があるのか?」
得にはないけど、組織だから同じシリーズを使ってることと、魔法という名の科学みたいなところがあるから機械的な、それで「A・O・J」
ちなみにヴォルテック・テールの効果が表示されてないのはまだ全部の効果を使ってないからです。
剱都「そういえば、お前って常にそういうふうにやってるな」
まあ、効果がわかったら面白くないかなって。カウンター食らわせるのに「ああ、これだな」ってわかったら。

次回予告
ディラ執務官との戦い。優勢に働いていた流れは突如として変わった。
その戦いで感じたシゲルの「限界」

一方精霊界での調査を開始した紫苑はルキと合流していた。
同時刻にダークのもとにある結果が舞い込んできた。

組織名『アンゲロス』

その名前がある少女の運命を左右することを――

次回turn33 デス・ライフ
最強カードは「剣闘龍ホーリー・ミラージュ・ドラグーン」


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