遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn36 英雄の光 十代&紫苑VSカミューラ

カイザーが人形にされた翌日の夜。

 

―アカデミア海岸:カミューラの城―

 

 

「カミューラ!!俺が相手だ!!」

 

 

そう叫んだのは――昼間まで保健室のベットで横になっているほどのダメージを負っている十代だった。

 

 

 

―1時間前:保健室―

 

 

「十代…本当にするの?」

 

 

明日香が心配そうに十代に聞いた。その十代の首には自信の持つ闇のペンダントと吹雪の持っていたペンダントがぶら下がっていた。

 

そして十代の手には明日香の鍵が握られていた。

 

 

―さらに遡る事10分前―

 

「十代、本気なの!?」

 

「ああ。吹雪さんの言ってたように…カミューラの闇のゲームに対抗できるのは俺だけなんだ」

 

 

そう言って十代が握っていたのは吹雪が身に着けていたペンダントだ。

闇のゲームに対抗するには闇のアイテムが無いといけないと吹雪が言っていたのだ。

 

 

「…ん?明日香、俺の鍵は?」

 

「あ、そういえば知らなかったわね……」

 

 

そう言って明日香は紫苑の今の状況と鍵を持っている事と今現在精霊界にいる事、そしてシゲルとディラの勝負を説明した。

 

 

「俺の鍵ないのか…」

「…はぁ。いいわ。私の鍵を貸してあげる…けど、絶対に勝ちなさいよね」

 

 

―回想終了―

 

 

だが十代の体はボロボロで立つのがやっとといたような状況だ。それで闇のゲームを行うのは無理がある。

 

 

「おやおや、結城十代…ダークネスを倒した男か…いいだろう、貴様も知ってる様にこのデュエルに負けたらこの人形に魂を吸い込まれる!!」

 

 

そう言ってカミューラの取り出したのは先日のクロノスやカイザーが人形にされた時と同じ人形だった。

 

 

その光景を下から見ている他のメンバーは心配そうだった。

 

 

「たく…これじゃあ紫苑に鍵渡した意味無いだろうが…」

 

「え?ミスじゃなかったんっすか!?」

 

 

シゲルの言葉に翔が反応した。本当は確実に当分動けない十代が無茶をしない様に紫苑に持たせていたのだ。

 

その意図を知ってか知らずか紫苑が精霊界に行ったのだが十代が明日香の鍵を借りるとは思っていなかったのだ。

 

 

「「デュエル!!」」

 

―十代のターン―

 

「俺のターン!!ドロー!!闇のデュエルを操って仲間の命をもてあそぶ、俺はお前を許さない!!」

 

「どう許さないのか…楽しみね」

 

 

クロノス、そしてカイザーを人形にされた十代の頭に血が上っていた。

何よりも仲間を大切にする十代にとって闇のデュエル事態が嫌いなのだ。

 

「魔法カード融合発動!!」

 

 

そう宣言した瞬間十代の場に3体のモンスターが現れた。

十代のデッキの3体融合と言えば――

 

「手札のフェザーマン、バブルマン、スパークマンを融合!!E・HEROテンペスターを融合召喚!!」

 

テンペスター/ATK2800

 

 

十代の場に3体のモンスターを合わせたような青年のHEROが現れた。十代のデッキの最強カードと言っても過言でもないテンペスターを1ターンで召喚したのだ。

 

 

「兄貴いきなりすごい!!」

「テンペスターの攻撃力は2800…」

「初っ端から勝負に出たな…」

 

 

 

観客として見ていた各々はその勝負に驚いている。だが剱都だけは苛立っていたようだ。

 

「あのバカ…」

 

剱都の言葉に全員が剱都の顔を見た。若干勝負をあきらめている様な感じの雰囲気だった。

 

 

「頭に血が上ってやがる。負けんぞあいつ」

「ちょっと剱都君!」

 

 

剱都の言葉に明日香が反論しようとしたがやれやれと言わんばかりにため息をついて説明を始めた。

 

 

「テンペスターは融合を含め4枚のカードを消費する。初っ端から出せば確かに流れをつかめる可能性が高いがその分手札が無くなるぞ」

 

 

手札融合の弱点であるハンドアドバンテージ――その上テンペスターは通常と違い4枚も消費するのだ。

 

 

「確かにそうだが、テンペスターの攻撃力以上のモンスターを…」

 

「アホ、デュエルは攻撃だけじゃない。ライトニングボルテクスやブラックホール…それに例のカード…カード破壊も戦術だ。この状況…テンペスターを破壊されれば十代の負けだ」

 

 

今いる中で一番大会の出場経験のある剱都は様々な相手と戦った経験がある。その中には効果破壊に特化したデッキもあるのだ。

 

「一枚カードを伏せ、ターンエンド!!」

 

十代

LP4000 手札1枚

テンペスター/ATK2800

伏せカード1枚

 

 

「ふぅん…いいわ、元気があるのね」

 

 

―カミューラのターン―

 

「私のターン、カード…ドロー!!」

 

 

引いたカードを見たカミューラはにやりと笑った。その顔を見たツバキは直感で気付いた――あのカードだと。だがそのカードをカミューラは手札に加えた。

 

 

「永続魔法、ミイラの呼び声を発動!!」

 

「ミイラの呼び声…?」

 

「場にモンスターがいない時手札のアンデットを召喚する…アンデット版ヴァルハラみたいなカードだ」

 

 

聞き慣れないカード名にユウが首を傾げた。それに補足を入れるように三沢が説明を始めた。

 

 

「そうよ!!効果により闇より出し絶望を特殊召喚!!」

 

フィールドに最上級アンデットモンスターが召喚された。その攻撃力はテンペスターと同じだった。

 

 

闇より出し絶望/ATK2800

 

 

「最悪だな、向こうはわずか2枚のカードでテンペスターに並んだぞ」

 

 

シゲルの言葉通りハンドアドバンテージはカミューラが上だった。

 

 

「そしてヴァンパイア・バッツを通常召喚!!このモンスターの効果でフィールドのアンデットモンスターは200ポイント攻撃力が上がる!!」

 

フィールドに無数の蝙蝠が現れた。その効果により闇より出し絶望とバッツ自身の攻撃力が上がっていた。

 

 

闇より出し絶望/ATK2800→3000

バンパイア・バッツ/ATK800→1000

 

 

等々テンペスターを越えてしまった。しかし十代のフィールドのカードを墓地に送ることでテンペスターを守る事ができる効果がある。

 

 

「ふふふ…テンペスターは自身の場のカードを墓地に送ることで破壊をまぬがれる効果があるわね…」

 

「!?」

 

 

どうしてカミューラは知りもしないテンペスターの効果を知っているのか気付いた十代。思い返せばクロノスの時も知るはずの無い古代の機械(アンティークギア)の効果を知っていた。

 

 

「大嵐を発動!!フィールドの魔法・罠を全て破壊する!!」

 

「クロノス先生の時も気になったが…どうして俺のカード知っているのか気になっていたが…!!」

 

 

その言葉にカミューラはニヤリと笑うとその眼が赤くなった。だが世界の矛盾の時とは違い目全体が赤く輝いていた。

 

 

「私のこの紅い目を通して蝙蝠達が見せてくれたのよ。卑怯とか言わないわよね…戦いは始る前から既に始っているのだから!!」

 

 

そう言ってるうちに十代の伏せていたカードが破壊された。

 

 

 

「だが!!破壊されたフェイク・ミッションを発動!!伏せていたこのカードが相手のカード効果で破壊された時、手札のE・HEROを守備表示で特殊召喚する!!」

 

 

フェイク・ミッション

通常罠

相手の攻撃宣言時、発動することができる。

そのモンスターの攻撃を無効にして墓地の「E・HERO」と名のついた

融合モンスターをエクストラデッキに戻す。

伏せられているこのカードが相手のカード効果で破壊された時、

手札のレベル4以下の「E・HERO」と名のついたモンスターを

守備表示で特殊召喚する事が出来る。

 

 

バースト・レディ/DEF800

 

炎の女戦士が現れた。しかしただの壁だというのは一目瞭然だった。

 

 

「バトルフェイズ!!ヴァンパイア・バッツでバーストレディに攻撃!!ブラッティ・スパイラル!!」

「くぅ……!!」

 

 

無数の蝙蝠がバースト・レディに襲いかかった。

これでテンペスターの効果コストのカードが全て無くなってしまった。

 

 

「闇より出し絶望でテンペスターに攻撃!!ナイトメアシャドウズ!!」

 

「うっ…うわぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「「「十代!!」」」

 

 

十代/LP4000→3800

 

 

たった200のダメージを受けた十代。たった200なのに一気にライフを半分ダメージを受けたような激痛が十代を襲った。

 

 

「うっ…」

 

 

少ないダメージで片膝をついた十代。それは観戦していたメンバーの危惧していた事だった。

 

 

「やっぱり…」

「無茶だったんだ…!!」

 

 

ユウと万丈目の言葉の通り、無理にデュエルをしていたのだ。たったこれだけのダメージという事…そして手札が無い。

 

 

「アーハッハッハッハ!!!!おやおや…早くもそちらはもう限界の様ね!!」

 

「十代!!」

「兄貴!!」

 

 

立ち上がれない十代を心配そうにユウと翔が声を張り上げた。その時カミューラは面白そうな事を思いついたように呟いた。

 

 

「一人減ったら元気になるのかしらね」

 

「っ!!ユウ、翔、危ない!!」

 

 

その声が聞こえた十代はカミューラの目標(ターゲット)となっていた2人に叫んだ。

しかし――

 

 

「遅い!!行きなさい!!」

 

 

カミューラの放った蝙蝠が2人へ迫っていた。まさかこの様な手段に及ぶとは思っていなかった観戦メンバーは驚いていた。

 

 

「!!ルs(間に合わない!!)」

 

 

急いで聖霊魔ルシアを召喚し様としたユウだったが蝙蝠の攻撃の方が早い。

 

 

「ユウ!!」

「翔!!」

 

 

 

急いで2人の援護を行おうとしたツバキとシゲル。

 

 

瞬間氷結(Freezing at moment)

 

 

無数の蝙蝠が凍りつき、落下していった。この攻撃名は――

 

 

 

「紫苑!?」

 

 

 

天井からファントム・ブルースに乗った紫苑がゆっくりと滑空してきた。

 

 

 

「お姉ちゃん、ただいま」

「あ、おかえり…じゃない!!」

 

 

このツバキと紫苑のやり取りを見て明日香は、ツバキの性格が結構変わっている気がしていた。

 

 

「色々言いたい事はあるけど…その前に」

 

「何かしら?いきなり人の家に土足に入り込んで…っ!?」

 

 

カミューラは邪魔されたのにいら立っているようだった。しかし紫苑の首に十代の鍵がかかっているのを見つけて驚いた。

 

 

「貴女…なぜそのカギを…」

 

「このデュエルは私が引き継ぐ」

 

 

 

カミューラの言葉に重ねて紫苑がそう言った。その言葉に一番驚いていたのは十代だった。

 

 

「紫苑…!!これは俺の戦いだ…!!「そのボロボロの貴方に何ができるの?」うっ(グサッ)…「初ターンからハンドレスになって勝ち目が貴方にあると思ってる?」うぅっ(グサッ)…「邪魔です」…(ゴーン)」

 

 

 

ズバズバと十代に向けられた言葉に十代はorzとなっていた。というよりも――

 

 

「紫苑ってあんな性格だったか?」

 

 

シゲルの言葉に全員が首を横に振った。少なくとも相手の状態を確認して引き継ぐのを提案しているはずだった。しかも口調が結構変わってる気もする。

だが今は有無を言わさす引き継ぎを行おうとしていた。

 

 

「待ちなさい!!私はいいとは「ハンデとしてフィールドはこのまま、そしてあなたが勝てば十代と私の鍵をあなたに渡す」…いいわ」

 

「おい待て!!なんでお前が決めるんだ!!」

 

 

 

紫苑とそんなに面識がない万丈目が紫苑にそう言った。しかしそれに小声で答えたのは剱都だった。

 

 

「よく考えてみろ。もう十代は戦うのは難しい。ここで鍵を確実に失い、十代を見殺しにするのか鍵2本かけて紫苑が勝つのに賭けるのか…それに賭けるしかないだろ」

「だが、あの女、強いのか?」

 

 

十代と紫苑の戦いの後に学園に戻った万丈目は紫苑の腕前を知らない。

 

 

~確認~

 

紫苑

LP3800 手札5枚

モンスター無し

伏せカード無し

 

カミューラ

LP4000 手札2枚

闇より出し絶望/ATK3000 ヴァンパイア・バッツ/ATK1000

伏せカード無し

 

 

圧倒的不利な状況でのスタート。しかし紫苑にはそんな事関係なかった。

 

 

「私のターン!!」

 

 

そう、自分のデュエルを行う事が紫苑にとって大事だった。

先程の十代は焦り過ぎて自分のデュエルを見失っていた。

 

 

「手札から融合回収を発動、墓地のスパークマンと融合を手札に加え融合を発動!!」

 

「ほう…だが、私の(しもべ)を越えるモンスターなんて、出せるのかしら?」

 

 

カミューラの言うとおり融合モンスターで初手で3000を超えるモンスターはなかなかいない。

 

 

「手札のアイスエッジとフリーズレディを融合!!現れろ、E・HEROダイアモンド・ダスト!!」

 

 

ダイアモンド・ダスト/ATK2700

 

融合召喚されたのは氷の女性――ダイアモンド・ダストだった。すると突然ヴァンパイア・バッツの動きが止まった。

 

 

「なに!?」

 

「ダイアモンド・ダストは融合召喚成功時、相手のカード効果をこのターン無効する効果を持っている!!」

 

 

それによってヴァンパイア・バッツの効果が無効にされ、2体のモンスターの攻撃力が下がった。

 

 

ヴァンパイア・バッツ/ATK1000→800

闇より出し絶望/3000→2800

 

「バトルフェイズ!!ダイアモンド・ダストでヴァンパイア・バッツに攻撃!!ダイアモンドブリザード!!」

 

大気に潜む無数の水滴が氷の弾丸となって身動きの取れない蝙蝠に向かって飛ばされた。それによって蝙蝠が砕け散った。

 

カミューラ/LP4000→2100

 

 

「そうか!ヴァンパイア・バッツは戦闘破壊を無効にする効果…ダイアモンド・ダストで無効にされては発動できない!!」

 

 

三沢の言葉の通りリクルーターではないヴァンパイア・バッツはそのまま破壊された。しかも1900もの大ダメージを与える事が出来た。

 

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド!!」

 

紫苑

LP3800 手札2枚

ダイアモンド・ダスト/ATK2700

伏せカード2枚

 

 

―カミューラのターン―

 

「私のターン!!ふふふ…ただの女子生徒だと思っていたら…あなた、案外強いわね。所で一つ聞いても良いかしら?」

 

 

引いたカードを手札に加えながら紫苑を見た後、カミューラの動きを見ていたユウと翔を見た。

 

 

「さっきの私の僕を凍らせた…あの攻撃はなんなのかしら?」

「それは…私の希少能力(レアスキル)みたいなものと言っとくわ」

 

希少能力(レアスキル)――その言葉はユウ達も以前管理局の説明を紫苑から受けた時教えてもらった。

 

普通の人がごく稀に持っている特殊能力。その力は例えば異世界の魔物である龍や獣などと心を通わせる力、他人の思考を読む力、未来を見る力など様々だ。

 

 

 

 

「もう一つ。あなたは時空管理局を知ってるかしら?」

 

「!?なぜその名を…!!」

 

 

紫苑――だけでなく例の件に関わったメンバーは驚いていた。一方何も知らない万丈目達は一体何の事なのか気になっていた。

 

 

「なぜ…あなたがその名を知っているの?この世界でその名を知ってる者はいないはず…」

 

「…私に勝てたら教えてあげるわ。手札から魔法カード幻魔の扉を発動!!」

 

 

その言葉と共にカミューラの背後に巨大な扉が現れた。すると透明な腕の様なものが無数に現れ辺りを彷徨っている。

 

 

「このカードは使用者の魂と引き換えに相手のフィールド上のモンスターを全て破壊し相手の墓地のモンスターを1体、特殊召喚する!!」

 

「自分の魂を…!?」

 

 

幻魔の扉

通常魔法

相手フィールド上のモンスター全てを破壊し、相手の墓地のモンスター1体選択する。

選択したモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。

このカードに対して相手は魔法・罠・モンスター効果を発動する事が出来ない。

このカードを使用したプレイヤーは敗北した時、幻魔に魂を引き渡される。

 

 

そういているうちに透明な腕がダイアモンド・ダストに絡みつくと苦しそうに光となった。

 

 

「けどね…私が生け贄になるのは心苦しいわ。そこで別の誰かにその役目を与え闘と思うの」

 

「!?」

 

 

その言葉に紫苑は血の気が引いた。先日のカイザーの勝負での出来事を知らない紫苑、するとカミューラの中から透明なカミューラが飛び出して一人の元へと飛んだ。

 

それは――

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

「えっ…!?」

 

 

 

ツバキだった。カミューラは先日の翔と同じように家族で姉妹であるツバキを人質にすれば紫苑は手出しできなくなると思っていた。

 

 

「やめろ!!」

 

 

 

たった一つの予想外(イレギュラー)――十代の闇のアイテムさえなかったらの話だが。

 

 

「クッ!?」

 

 

十代の首からぶら下げた半円のペンダントが見事に合わさり、光り輝いた。するとその光に押されるように透明なカミューラが元に戻った。

 

 

 

「ッ…闇のアイテムを持つ者がいるなんて…!!」

 

「これでイカサマは無しだ!!紫苑、思いっきりやれ!!」

 

「十代…。さぁ…まだ、あなたのターンだよ!」

 

 

そう言われたカミューラは唇をかみしめた。だが、まだ自分が圧倒的有利なのに気付いて笑った。

 

 

「たとえ私が生け贄になろうとも勝てば問題無い!!幻魔の扉の効果でテンペスターを特殊召喚する!!」

 

 

先程の十代の時に召喚されたテンペスターがフィールドに現れた。十代の墓地はそのまま紫苑に引き継がれているのでルール上は問題ない。

 

テンペスター/ATK2800

 

 

「バトル!!テンペスターよ、哀れな女を攻撃せよ!!カオステンペスト!!」

 

「クゥ…!!!」

 

 

 

紫苑/LP3800→1000

 

「「紫苑!!」」

 

 

ダメージの受けた紫苑は紙の様に吹き飛ばされ、壁に激突した。

その衝撃で紫苑の肺の中の酸素が圧迫され一気に口から外に抜けだした。

 

 

「ゲホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!」

「苦しみはもう終わりよ、闇より出し絶望で――」

 

 

 

カミューラが攻撃宣言を行おうとした手を止めた。それは――

 

 

 

「リバース罠…交差する(クロス)(ハート)…!!」

 

 

 

紫苑の場に現れたテンペスターだった。

 

 

「なぜテンペスターが!?」

 

交差する心(クロス・ハート)は元々の持ち主が私のカードが私に直接攻撃した時、そのコントロールを元々の持ち主に返すカード…!!」

 

 

何とか息を整えた紫苑はそう言って頼りそうにテンペスターを見ていた。十代のデッキで上級エースのモンスターを取り返せたのだ。

 

 

「クッ…裏切り者め…!!ピラミッド・タートルを守備表示で召喚してターンエンド!!」

 

フィールドにピラミッドの様な錐体を背負った亀が現れた。

 

ピラミッド・タートル/DEF1400

 

 

カミューラ

LP2100 手札1枚

闇より出し絶望/ATK2800 ピラミッド・タートル/DEF1400

伏せカード無し

 

―紫苑のターン―

 

「私のターン!!(手札に2800を超えるモンスターを出す術はない…そして、ピラミット・タートルはリクルーター…ここは、守りを固めるべき……いや)」

 

 

場の状況と手札と場のカードで一番確実な手を考えていた紫苑。

 

「(十代のこのモンスターを信じないわけにはいかない!!)バトルフェイズ!!テンペスターで闇より出し絶望へ攻撃!!カオステンペスト!!」

 

「クッ…迎え撃て、ナイトメアシャドウズ!!」

 

 

テンペスターの発射した青い光線と闇より出し絶望の紅い光線がぶつかり合った。

 

 

「テンペスターの効果発動!!セットされているヒーローシグナルを墓地に送り、戦闘破壊を無効!!」

 

 

テンペスターの周囲に薄い膜が出ると差し違いに2体のモンスターの光線が交差した。しかし、テンペスターは膜のおかげで破壊を免れた。

 

 

「カードを伏せ、ターンエンド!!」

 

紫苑

LP1000 手札2枚

テンペスター/ATK2800

伏せカード1枚

 

―カミューラのターン―

 

「私のターン!!っ!!」

 

 

引いたカードを見てカミューラがにやりと笑った。しかし幻魔の扉は既に使っており場には2800のテンペスターがいる。そんな時余裕が出来る展開と言えば――

 

「私はピラミッド・タートルをリリースし、ヴァンパイア・ロードをアドバンス召喚!!」

 

ヴァンパイア・ロード/ATK2000

 

 

フィールドに吸血鬼の美青年が現れた。ヴァンパイア・ロードは出るや否や、何故かものすごい形相で紫苑を睨んでいた。しかしそのモンスターは――

 

 

「ヴァンパイア・ロードを除外しヴァンパイア・ジェネシスを特殊召喚!!」

 

 

ヴァンパイア・ジェネシス/ATK3000

 

フィールドの美青年が消えると何処からともなく巨大なヴァンパイアの主が現れた。その姿はまさしく――

 

 

「狂気…!!」

 

 

「バトルフェイズ!!ヴァンパイア・ジェネシスでテンペスターに攻撃!!ヘルヴィシャスブラスト!!」

 

 

 

ヴァンパイア・ジェネシスが血のような液体になると無数のトゲとなってテンペスターへ襲いかかった。

 

 

「くっ…!!」

 

紫苑/LP1000→800

 

テンペスターがヴァンパイア・ジェネシスの血に呑みこまれ消滅した。紫苑は伏せていたカードをコストにテンペスターを残す事も出来た。

 

 

「あいつ…テンペスターを手放してどうするつもりだ!?」

 

「紫苑なりに考えがあるのよ」

 

 

どう見てもプレミスに万丈目は悪態をついた。しかし、明日香の言うとおり考えがあるのだ。

 

 

カミューラ

LP2100 手札0枚

ヴァンパイア・ジェネシス/ATK3000

伏せカード無し

 

―紫苑のターン―

 

「私のターン!!(手札のスパークマンと融合解除だけで逆転するのは不可能…場のカードは使えない…このドローにかかってる…!!)ドロー!!」

 

 

勢い良く引いたカードを見た紫苑。

 

 

しかし――

 

「っ…!!(テイクオーバー・ファイブ…次のターン発動する効果のカード…けどモンスター1体なら融合解除も使えないし、伏せカードも…)…手札からテイクオーバー・ファイブを発動!!デッキの一番上から5枚墓地に送り、発動する!!」

 

 

これで次のターンから好きなタイミングで一度だけ、カードを1枚ドローできる。

しかしそれでは遅いのだ。いまどうにかできる手は残されていないかどうか考えていた。

 

「スパークマンを守備表示で召喚してターンエンド!!」

 

スパークマン/DEF1400

 

 

紫苑

LP800 手札1枚

スパークマン/DEF1400

伏せカード1枚

 

 

―カミューラのターン―

 

「ふふふ…どうやら打つ手なしの様ね、私のターン!!私は手札のレベル10のヴァンパイア・クロイズを墓地に送ってヴァンパイア・ジェネシスの効果発動!!墓地に存在する闇より出し絶望をフィールドに特殊召喚する!!」

 

 

ヴァンパイア・ジェネシスは手札のアンデットを捨てることで墓地に眠るそのレベル以下のヴァンパイアを呼び出す効果がある。

 

闇より出し絶望/ATK2800

 

 

「バトル!!闇より出し絶望でスパークマンにヴァンパイア・ジェネシスで直接攻撃!!」

 

 

 

カミュ―の宣言通り闇より出し絶望がスパークマンに、ヴァンパイア・ジェネシスが紫苑へ向かっていった。

 

 

「「「「紫苑!!!」」」」

 

「終わりだ!!」

 

 

 

大量の血になったヴァンパイア・ジェネシスが紫苑を包み込み、彼女は姿を消した。

 

 

 

「墓地の――――発動!!」

 

 

 

その声が響くと同時に液状になっていたヴァンパイア・ジェネシスがはじけ飛んだ。

 

 

「なんだと!なぜ生きている!?お前はモンスターを失い、直接攻撃を受けたはずだ!!」

 

「まだ、私の希望は潰えた訳じゃない。私が手に入れた『心』は――」

 

 

そう言った時、紫苑の墓地から1体の野球ボール並の大きさの青い毛玉が飛び出した。

 

 

「墓地のウルクリボーの効果発動!!このカードをゲームから除外することで私のモンスターは破壊されない!!」

 

『クリクリ~!』

 

 

ウルクリボー

星1/水属性/海竜族/ATK300/DEF200

墓地に存在するこのモンスターをゲームから除外することで、

このターン自分フィールド上のモンスター1体はこのターンのバトルフェイズ中

破壊されない。

ウルクリボーの効果はデュエル中に1度しか発動できない。

 

 

そう宣言すると十代のハネクリボーやデュエルキングの武藤遊戯のクリボーの様なモンスターが紫苑周りを飛び回っていた。

 

「……!!そうか、テイク・オーバー・ファイブの効果の時に墓地に送られていたのか!!」

 

 

そう、一か八かの賭けに紫苑は勝ったのだ。効果でスパークマンは最強の壁としてフィールドに残り続けていたのだ。

 

「無駄なあがきを…!!ターンエンド!!」

 

 

カミューラ

LP2100 手札0枚

ヴァンパイア・ジェネシス 闇より出し絶望

伏せカード無し

 

―紫苑のターン―

 

 

「だが、私の場にはヴァンパイア・ジェネシスがいる!!次のターンで全てを消し去ってやるわ!!」

 

「……………」

 

 

カミューラの言葉の通り、紫苑の劣勢は変わらない。テイク・オーバー・ファイブの効果でドローしようともそれで勝てなければ紫苑は間違いなく終わる。

 

 

「…次のターンなんて――」

 

 

目を閉じた紫苑は静かに言葉を紡ぎだした。そしてデッキの一番上に指を置いた。

 

 

「――回って来ない。私のターン、ドロー!!!」

 

 

引いたカードを見た紫苑――その眼は赤かった。

 

 

「墓地のテイクオーバー・ファイブの効果発動!!このカードを除外し、カードをドロー!!十代、あなたのカード、借りるよ!!」

 

「………!!おう!!」

 

 

何が言いたいのか分かった十代。紫苑のエクストラデッキには十代のカードも入っているのだ。そして今の現状を――紫苑のデッキで勝てる十代のカードはただ一つだった。

 

 

「ミラクルフュージョンを発動!!墓地のフェザーマンとバーストレディを融合!!融合召喚、E・HEROフレイムウィングマン融合召喚!!」

 

 

フレイムウィングマン/ATK2100

 

十代のフェイバリットカードであるフレイムウィングマンがフィールドに現れた。しかし、それでも攻撃力が――

 

 

「E・HEROボルテックを召喚!!」

 

 

ボルテック/ATK1000

 

雷のHEROが現れたが、明らか紫苑には別の狙いがあった。

手札から新たなカードを引きぬいた。

 

 

「リバースカード、英雄変化(ヒーローチェンジ)を発動!!フィールドのボルテックをデッキに戻し、シンクロンを特殊召喚する!!」

 

 

英雄変化(ヒーローチェンジ)

速攻魔法

自分フィールド上の「E・HERO」と名のついたモンスター1体を選択する。

選択したモンスターをデッキに戻し、戻したカード以外の「E・HERO」と名のついたレベル4以下のモンスターを特殊召喚することができる。

 

シンクロン/ATK0

 

「レベル6のフレイムウィングマンにレベル1のシンクロンをチューニング!!

闇を切り裂く光の心…その全てを具現化せよ!!シンクロ召喚!!」

 

 

☆6 + ☆1 = ☆7

 

「光と共に舞え!!ファントム・ブルース・ドラゴン!!」

 

『ピュアァァァァアアァッァ!!!!!』

 

 

ファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800

 

 

紫苑のフィールドに青い体の龍が現れた。紫苑のエースとも言えるモンスターの登場に紫苑の動きにリズムが現れてきた。

 

 

「ファントム・ブルースの効果!!手札の融合解除を墓地に送り、墓地の魔法カードを1枚手札に加える!!そして今加えたミラクルフュージョンを発動!!フィールドのスパークマンと墓地のフレイムウィングマンを除外する!!」

 

「スパークマンとフレイムウィングマン…シャイニング?」

 

 

ツバキの呟き。しかしそれなら別にフレイムウィングマンを召喚せずともよかったのだ。それならば――

 

 

「これが新たなヒーロー…十代の光!!融合召喚、シャイニング・フレア・ウィングマン!!」

 

「シャイニング・フレア・ウィングマンだと…!?」

 

 

シャイニング・フレア・ウィングマン/ATK2500

 

 

フィールドに光り輝くフレイムウィングマンが現れた。この戦いは紫苑だけじゃない、十代も戦っている。そしてこのモンスターが十代の希望だった。

 

だが、攻撃力はどのモンスターよりも低い。

 

 

「シャイニング・フレア・ウィングマンは墓地のE・HERO1体につき、300ポイントアップする!!墓地には7体のヒーローが存在する――よって攻撃力は!!」

 

 

シャイニング・フレア・ウィングマン/ATK2500→4600

 

「攻撃力4600だと!!!??」

 

「バトルフェイズ!!シャイニング・フレア・ウィングマンでヴァンパイア・ジェネシスへ攻撃!!シャイニング・シュート!!」

 

 

シャイニング・フレア・ウィングマンがヴァンパイアジェネシスに炎の特攻を喰らわせた。

 

 

「キャァァァァアァァ!!!」

 

 

カミューラ/LP2100→500

 

 

カミューラのライフが一気に削れた。さらにシャイニング・フレア・ウィングマンの右腕がカミューラに向けられた。

 

 

「シャイニング・フレア・ウィングマンの効果発動!!戦闘で相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」

 

「なっ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!」

 

 

カミューラ/LP500→0

 

カミューラに向けられた右腕から炎が噴き出し、カミューラのライフを削りきった。

 

 

「紫苑が勝ったんだな!!」

 

「流石だニャ。ん?」

 

 

勝った事に喜んでいるアカデミアサイドの面々だったが、カミューラの背後に幻魔の扉が再び現れた。

 

 

「ふ、ふふ…ヴァンパイア一族の血もこれで終わり…あの『管理局』に復讐も…」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

管理局に復讐――確かにそう言った。すると幻魔の扉が再び開き、あの透明な腕が飛び出した。その腕がカミューラをからめ捕ると扉へ引きずり込もうとする。

 

 

 

 

「ファン、ミラージュ・バースト!!」

 

『ピュアアアアアア!!!』

 

 

紫苑の声と共に、フィールドにいたファントム・ブルース・ドラゴンが幻魔の扉に攻撃した。

 

しかし、ファントム・ブルース・ドラゴン1体だけじゃ足りない――

 

 

「戦乱の審判!!」

 

「風神烈火!!」

 

「ライトニング・エクスプロージョン!!」

 

「バーサークラッシュ!!」

 

ファントム・ブルース・ドラゴンの援護するように戦いの精霊が(ヴァルキリー)、オクタビウスが、エクスプローシブ・マジシャンが、マシンナーズ・バーサーカーがその幻魔の扉を攻撃した

 

 

「な!?」

 

「お前達!?なにを――」

 

 

万丈目が突然の行動をしている5人に驚いていると城が揺れ始めた。

それと同時に攻撃を受けた幻魔の扉が再び閉まり、扉が砂となって消えた。

 

 

「…やばくない?」

 

 

ユウの言葉通り、地震とは違う―――

 

 

「!!ファン!!」

『ピュアァァァ!!』

 

紫苑が瞬時にフィールドにいたファントム・ブルースに指示を出した。その場所に巨大ながれきが落ちてきていたのだが、その下に隼人と三沢がいた。

 

 

「チッ…皆、外に出ろ!!紫苑、十代に手を貸せ!!シゲル、行くぞ!!」

 

 

剱都の指示を聞いた各々が動き出した。

 

 

―海岸―

 

 

「なんとかだな」

 

 

そう言ったシゲルの目線の先には崩れ落ちるカミューラの城があった。ギリギリで剱都と共にカミューラを救出できたのだ。ちなみに脱出途中でクロノスとカイザーが元に戻っていた。

 

 

「ところーで、なんでシニョールカミューラを助けたノーネ?」

 

「そうだ!!こいつの所為でお兄さんも…!!」

 

 

クロノスと翔はそう言うがそれを宥めたのはユウだった。

 

 

「この人も同じなんだ…多分ボク達と同じ様に管理局に酷い事されたんだと思う」

 

「……………」

 

 

だがユウの弁解にカミューラは何も言わなかった。崩れ落ちていく自分の城を何も言わず眺めているだけだった。

 

 

「まあ、これでセブンスターズは残り5人だろ。お前達――特に十代はしっかり体休めろよ。またフラフラで来るんならぶん殴って寝かせるぞ」

 

「お、おう」

 

 

剱都の言葉に何処か納得しないが其々寮へ戻って行った。残ったのは5人にカミューラ、クロノスだけだった。

 

 

「それで?シニョールカミューラをこれからどうする気なノーネ?」

「まあ、その前に事情を聞きたい。なぜ管理局がお前の復讐の対象なんだ?」

 

 

シゲルの言葉にポツポツとカミューラが話し始めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

かつてカミューラの生まれる少し前、フランスやイギリスなどのヨーロッパ諸国では魔女狩りと呼ばれる行為が行われていた。

 

魔女、それと魔女とおもわしき人物を次々に処刑していく聖戦――だが、殺される側としてはただの虐殺だった。そして吸血鬼も魔女として処刑されていく。

 

少なからずその行為に危惧したまだ無事だった吸血鬼は人知れず山奥の森――さらに奥の樹海とも言える場所に里を作った。

 

その場所でひっそりと、幸せに暮らしていたのだが現代より百年ほど前事件が起こった。

 

 

『時空管理局』と名乗る集団がその里へ訪れたのだ。

初めはただの警察組織だと思っていた里の者達はそれほど危惧していなかった。

 

 

だが管理局は吸血鬼、そして魔女のこの里を『時空犯罪者』という指名手配の集団が拠点を置く危険な場所だと言い張り、里の人たちを襲い始めたのだ。しかも数千年前の方法とは違い謎の力を使って。

 

そして里を逃げ出したヴァンパイアは捕えられ、姿を消していった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「それで…私だけが生き残った。私の家族も、友人も、里の人も…全員死んだわ。それから世界を転々として管理局の復讐…それとヴァンパイアの一族が差別を受けない世界を作りたかった…そんな時、セブンスターズを名乗る集団が声をかけてきたのは」

 

 

カミューラの言葉に全員が耳を傾けて聞いていた。そんなカミューラの手から一枚のカード――ヴァンパイア・ロードが滑り落ちた。

 

 

「このカードはね…私の弟なのよ。セブンスターズのアムナエルが弟の魂をカードと融合させたの」

 

「そうか…だから…」

 

 

紫苑に思い当たる節があった。ヴァンパイア・ジェネシス召喚前に何故かヴァンパイア・ロードが紫苑を睨んでいたのだ。

 

恐らく精霊に近い存在がヴァンパイア・ロードに憑依しているのだろうだ。

 

 

「けど…これで終わりね。戦いは私の負け。もう――」

 

「諦めるの?」

 

 

カミューラの言葉に紫苑がそう言った。その眼は先程までの敵意ではなく、包み込むような優しそうな眼だった。

 

 

「たった一度の敗北…失敗…それであなたは諦めて、終わりにする気?」

 

「…けど、私にはどうする事も出来ないのよ。幻魔を失った私には管理局と戦う力なんて…」

 

 

先程5人が幻魔の扉へ攻撃したためか、幻魔の扉のカードが消失したのだ。

しかし、大事なのはそこではないというように剱都がカミューラの横に腰を下ろした。

 

 

「俺達も戦ってんだよ、管理局とな。それに紫苑は少なからず因縁もある」

 

 

剱都の言葉にカミューラは見上げるように紫苑を見た。紫苑はカミューラの目をしっかりと見て頷いた。

 

 

「つ・ま・り。僕達とあなたのやろうとしている事は同じなんだ。管理局を倒す。管理局さえいなければヴァンパイアだって普通の社会で生きていけるんだよ」

 

「無理よ…第一どうやって奴らと戦うのかしら?ヴァンパイアの力が効かないのに一般のあなた達にどうして…」

 

「これだ」

 

 

そう言ってシゲルが取り出したのは『アナト』のカードと『剣闘獣ベストロウリィ』だ。そしてウリィをディスクにセットした。

 

「来い、ウリィ」

 

『なんか久々じゃの』

 

 

「モンスターが…実体化した…!?」

 

 

カミューラが――いや、モンスターの実体化を初めて見たクロノスもウリィの姿を見て驚いていた。

 

「そして奴らの狙いは僕達の持つこのカード」

 

「それだけの材料があれば十分戦えるよ」

 

「現に何度か奴らと殺りあったからな」

 

「あ、ついでに俺はAW社を動かす事もできるからいざとなったら奴らと戦争を起こせるぜ」

 

「あ、私はある程度管理局の情報持ってる」

 

 

予想外の展開にカミューラもクロノスもあんぐりと口を開けていた。

 

 

「まあ、今すぐにとは言わない。しばらくうちの会社に身を置いて考えろ」

 

 

―ツバキの部屋―

 

その後カミューラは明日の定期便が来るまでレッド寮の剱都の部屋にいる事となった。今現在剱都はイエローにいるためちょうど空いていたのだ。

 

 

「それで…一体どうしたの?」

 

明らかに二日前に精霊界に行く前と後では紫苑はなにかが変わっていた。しかし外見的なモノではなく、内面の何かだった。

 

 

「…お姉ちゃん、今日は一緒に寝てくれない?」

「え?」

 

 

まさか紫苑がそんな事を言うなんて思いもしなかった。気丈にふるまっていた紫苑が誰かに甘えるなんて今まで(ほんの数週間だが)一度もなかったのだ。

 

 

「少し…怖いの…」

 

「怖い…?(紫苑が恐怖を覚える…?確か紫苑は感情を持っていなかったはず…それなのに…)…いいよ。けど明日、精霊界で何があったのかちゃんと説明してね」

 

 

ツバキの言葉にパアァと顔が笑顔になった紫苑。その笑顔が綺麗で少しツバキは呆然としてしまった。




ツバキ「あれ…十代と紫苑がタッグじゃなかったんだ」
違うね、十代から紫苑に引き継いだ感じ。
フィールド・墓地・それとエクストラ引き継ぎで。
ユウ「エクストラ?」
前に紫苑のエクストラを表示したと思う。
剱都「ああ…あの説明になってない説明な」
空いてる部分にシャイニング・フレアとフレイムウィングマンなどを入れてる感じ。
一応ミラクルを使うことで召喚が可能だから。
紫苑「ほかにもスチームヒーラーやセイラーマンもありました」

で、ファンを召喚した理由は特にないんだよね
ツバキ「改定前だと落下する瓦礫を受け止めるしかなかったんですよね」
ふと思った。幻魔の扉破壊ファンにやらせればいいじゃん。

先にデュエルの解説になったな。次は作中の補足。
まず紫苑に起こった変化は次回説明されるね。
ユウ「笑ったり怖がったりとか…なんだろう?」
まあ、わかる人はすぐにわかるだろうね。

剱都「カミューラ生存ストーリーか?」
そう。吸血鬼だから管理局に狙われたという過去、その復讐にセブンスターズが関わってるね。
シゲル「戦力がまた増えたな…管理局が危険視して過剰戦力で攻めてきそうだな…」
剱都「やめろ…」

次回予告

カミューラを連れて管理局との戦いのデータが保管されているAWへ戻った剱都。
しかしそこにある意味最強の障害が――

一方アカデミアでは紫苑が自分の身に起こったことを説明していた。
彼女が手に入れたモノ――それは、彼女の心が欲していたものだった。

その頃、アースラでは新たな戦力が投入され、その影が剱都に迫っていた――

次回turn37 感情と青眼と廃棄品?
最強カードは「スクラップ・ドラゴン」
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