遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn4 出会う魔導師と決別する獣

―レッド寮前―

 

 

「「…異世界?」」

 

 

なのはが2人に聞いた質問、それは『異世界を信じるかどうか』だ。その質問にユウは「精霊世界があるなら異世界もある」と思ってそう応えようと「すまねぇが…」その前にシゲルが答えた。

 

「いきなり異世界なんて言われてもピンと来ねえよ…どういうことかしっかり説明してくれ」

 

「シゲル、どうしt(むぐ)」

 

 

ユウの言葉にシゲルは口を手を塞いで止めた。上手い具合に3人から見えないようにして塞いで3人には聞こえないように小さな声でユウに話しかけた。

 

 

「あいつらが普通の人間とは思えないのは分かるだろ?」

 

「……………(コクコク)」

 

 

まだ口が塞がれているのでユウは首を動かして返事することにした。

 

 

「だが俺達と同じ様に精霊が見えるとも限らない。他にもお前のスピリットを狙っているかもしれない…確実にロクなことじゃないが……此処はできるだけ情報を引き出す。分かったか?」

 

「…(コク)」

 

「俺達にいきなりそんな事を言った理由も含めて説明してくれないか?」

 

 

何事も無かったかのようにシゲルが3人に言った。3人はシゲルとユウのやり取りに気付かなかったのか、説明を始めた。

 

 

「私達は『時空管理局』です。あなたたちにロストロギア反応があるので一緒に来てもらえませんか?」

 

「時空管理局?ロストロギア?一体――」

 

 

「なんのことだ?」その言葉を言う前に足元に巨大な円(サークル)が現れると強力な光が辺りを包み込んだ。

 

 

―???―

 

 

「っ…!?此処は…一体…!?」

 

「…明らかに…アカデミアではないな」

 

「そうだ」

 

 

見知らぬ機械的な場所に飛ばされたユウとシゲルは辺りを見回してそう言った。何処かのコンテナの中みたいな感じで出入り口が一か所ある。するとそこから緑の髪の女性と黒髪の少年が現れた。それに気付いたユウは少しオドオドしているがシゲルは右足を半歩前に出して少し警戒している。

 

 

「あんた等はいったい何者だ?」

 

「私はこの『艦』の艦長のリンディ・ハラオウン。こっちは息子のクロノよ」

 

「……俺は「獣斬君と聖牙君ね、話は聞いてるわ」…そりゃどうも」

 

「ねえ、艦ってどういうこと?」

 

 

ユウがシゲルの後ろから疑問になった事を聞いた。確かにこの場所が船内だと言われても違和感が無い。だがそれにしては静かすぎる。船なら多少の波の揺れと、小波が聞こえるはずだ。それか飛行船なら気圧の関係で耳が痛くなるか、耳鳴りがするはずだ。

 

 

「ここは巡行艦『アースラ』の訓練室……まあ平たく言えば宇宙船の中だ」

 

「「宇宙船!?」」

 

 

ユウとシゲルは予想外だと言わんばかりに驚きの声を上げてしまった。そのはずだろう、いきなり現在地が「宇宙船」と言われるのだからだ。その時船内アナウンスが流れた。

 

 

『提督、なのはちゃん達が『あの子』を連れてきましたよ』

 

「分かったわ。私の部屋に通して。あなたたちもこちらへ」

 

 

リンディはユウとシゲルにそういうと訓練室を出た。クロノは2人を出るのを待っているがユウはシゲルの服を少し掴んで小声で聞いた。

 

 

「どうするつもり?」

 

「一先ず行くしかないだろう…それに『あの子』って言うのが気になる。まあ、心配するな。喧嘩ならだれにも負けねえよ」

 

 

シゲルはそう言ってユウの頭に手をポンと乗せて撫でた。2人は一応同い年だが何処かシゲルは大人びており、そしてユウは子供の様に無邪気だから兄弟のようにも見える。

 

 

―リンディの部屋―

 

「「………………」」

 

 

部屋に入った途端2人は言葉を失った。機械的な部屋なのは同じだが置いてあるモノが――ししおどし、畳と和風で部屋の景観と全く合って無い。と、そこにはリンディの他になのは、フェイト、はやて、クロノと――

 

 

「ツバキ!?」

 

「ユウ…」

 

 

ツバキが少し怯えと疲れの表情で座っていた。どうやら寝る寸前だったらしく真っ白のパジャマを着ている。ユウとシゲルは寮に着く寸前で連れてこられたから制服のままだ。

 

するとリンディはお茶を出した。それを受け取った3人だがリンディは横に置いていた砂糖を大匙で…

 

 

「「「…………………」」」

 

 

ドン引きするほど入れている。それにクロノは呆れているのでいつもの事なんだろう。流石にのどが渇いたのかユウとツバキはそのまま飲んでいるが、シゲルはお茶を置いたまま腕を組んでいる。

 

 

「あなたはいる?」

 

「結構だ…それよりも早く説明を願いたい。明日は授業もあるし…ユウとツバキも疲れている」

 

「そうね…では説明します。まずは…」

 

 

そこからリンディは時空管理局、そしてロストロギアの説明を始めた。見たことも聞いたことも無い世界に3人は静かに聞いてい。

 

 

「つまり大規模な警察と軍隊を合わせたモノが正義の組織が時空管理局で…ロストロギアは滅んだ世界の遺産…という感じか」

 

「そうだな…大雑把にいえばそれで合ってる」

 

「ロストロギアは危険なモノなの…」

 

「そうね…ある世界ではロストロギアの暴走で消滅した事もあるのよ…」

 

 

なのはの言葉に続くようにリンディが悲しそうにそう言った。ちなみに話が理解できないのかユウは少しオーバーヒートして頭から湯気が出ている。

 

話が長かったのかツバキはウトウトしている、というかユウに寄り掛かって半分寝ている。それを見たリンディは眠たいのなら寝るように伝えるとツバキは静かに寝た。

 

そして本題に――

 

 

「そのロストロギアとはどのようなものだ?」

 

「分からないわ。判明してるのは特殊な力が宿っていることしかね…」

 

 

特殊な力――シゲルは初め精霊のカードかと思った。イナ、ダーク、ウリィは確かに特殊な力ともいえる、が十代もハネクリボーを持っている。それならば十代もこの場にいるはずだ。

 

 

「………カードは渡せない…と言ったらどうします?」

 

 

突然ユウが口を開いた。それに初めは全員言ってる意味が分からなかった、がすぐにクロノは理解した。ロストロギアとは――

 

 

「カードがロストロギアなのか!?」

 

「…昔不思議な力が宿ってるって…」

 

 

そう言った時ユウの体がわずかに震えていた。だがそれに気付かなかったクロノのは興奮しながらユウに詰め寄った。

 

 

「ならばそのカードを渡してもらおうか!そのカードは僕達が管理しな「黙れ」え?」

 

「やっぱりと言うべきか…予想通りと言うべきか……ロクなことじゃないな…」

 

「なんだと!!」

 

「クロノ!」

 

 

シゲルの言葉にクロノがカチンと来たのかシゲルに言い寄るが、リンディがそれを制する。リンディはどういうことなのか説明を求めた。

 

 

「簡単なことだ、俺達には関係ない。管理局?ロストロギア?そんなもんは知らない。俺達は勝手に此処に連れて来られ、訳のわからん話をされ、その上自分のカードを奪われるのが嫌なだけだ」

 

 

そう言うとシゲルなぜか融合デッキから一枚のカードを取り出した。

 

 

「!!あなたも…!?」

 

「ああ、同じかどうか知らないが似たようなもんを持ってる。が、悪いがこれも渡すわけには行かない…俺達は帰らしてもらう。明日から授業が始るし、ユウももう疲れきっている」

 

「ふざけるな!ロストロギアをこちらに渡してもらうぞ!」

 

 

そう言ってクロノは杖の様な物を構えた。それにシゲルは何もせずにクロノを睨んでいた。それもはっきりと分かるぐらいの殺気を込めて。

 

 

「一つ聞きたい…貴様等はいったい何様だ?無理やりここに連れて来て、その上無関係のツバキを叩き起こして、挙句の果てにはユウのカードを渡すまで帰さないだと?テメェらのそんな偽善行為に付き合うつもりはない」

 

そう言ってシゲルはカードを片付けると寝ているツバキを起こそうと体を揺らした。

 

 

「デュランダル!!」

 

《Duel mode on》

 

 

クロノがそう叫ぶと彼が持っていた杖がデュエルディスクへと変化した。

 

 

「クロノ君!」

 

「ロストロギアを目の前に、引き下がることなんてできない!!」

 

 

それを聞いたシゲルはひとつため息をつくと、ユウが持っていたディスクを起動させて自分のデッキをセットした。

 

「いいだろう、完膚無きまでにボコボコにしてやる」

 

「やめなさい、クロノ!!」

 

「「デュエル!!」」

 

 

―シゲルのターン―

 

 

「俺のターン、剣闘獣ラニスタを召喚!!」

 

 

ラニスタ/ATK1800

 

ベストロウリィとは違う鳥人がフィールドに現れた。その手には長い槍があり、油断せずそれを構えていた。

 

 

「カードを伏せてターンエンド」

 

 

シゲル

LP4000 手札4枚

ラニスタ/ATK1800

伏せカード1枚

 

―クロノターン―

 

「僕のターン!!永続魔法、ウォーターハザードを発動!!効果で手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚する、来い!氷結界の軍師!!」

 

 

フィールドに笠を被った昔の軍人が現れた。すると彼が何かを指差すとそこには一体のモンスターがいた。

 

「(氷結界…聞いたことがないシリーズだな)」

 

「軍師の効果!手札の氷結界と名のつくモンスターを墓地に送ってカードをドロー!!そして氷結界の伝道師を召喚!!」

 

 

氷結界の伝道師/ATK1000

 

今度は魔導師のような格好をした老人が現れた。すると、何かを唱えてその姿が地面に消えた。

 

 

「このモンスターは生贄にすることで、墓地の氷結界と名のつくモンスターを特殊召喚することができる!!氷結界の虎将ガンターラ!!」

 

 

ガンターラ/ATK2700

 

 

今度はスキンヘッドの武人が現れた。だが驚くべきなのはクロノのその戦術(タクティクス)だ。わずか1ターンでここまで展開したのだ。

 

 

「(なるほど、口だけじゃないってわけか。だが…)」

 

「バトルフェイズ!!ガンターラでラニスタに攻撃!!」

 

ガンターラが拳を振り上げ、ラニスタへ殴りかかった。それを槍で受け止めるが槍は真っ二つに砕けラニスタは潰された。

 

 

「っ…!!」

 

シゲル/LP4000→3100

 

 

「さらに軍師で直接攻撃!!」

 

「うああああ!!」

 

 

シゲル/LP3100→1300

 

 

一気に半分以上のライフを持って行かれた。だがシゲルはすぐさま伏せカードを使った。

 

「ダメージコンデンサーを発動!!手札を捨て、受けたダメージ以下の攻撃力のモンスターを呼び出す、剣闘獣ダリウス!!」

 

 

ダリウス/ATK1700

 

 

「モンスターを残したか…エンドフェイズ、ガンターラの効果!!墓地の氷結界を特殊召喚することができる!!」

 

 

氷結界の伝道師/DEF400

 

 

クロノ

LP4000 手札3枚

軍師/ATK1800 ガンターラ/ATK2700 伝道師/DEF400

ウォーター・ハザード

 

―シゲルのターン―

 

「俺のターン、スレイブタイガーを特殊召喚!!こいつはフィールドに剣闘獣がいる場合特殊召喚することができる!!さらにベストロウリィを召喚!!」

 

 

スレイブタイガー/ATK600

 

ベストロウリィ/ATK1500

 

フィールドに虎と鳥人が現れた。だが全てクロノのガンターラの攻撃力を超えていない。

 

「魔法カード、烏合の行進を発動!!フィールドに鳥獣族、獣族、獣戦士族が1種類以上いればその数だけカードをドローする!!3枚ドローだ!!」

 

「なに!?(禁止カードの強欲な壺級以上のカードだと!?)」

 

「ただし、このカードを使ったターン俺は魔法・罠カードを使うことができないが、十分だ!!スレイブタイガーの効果発動!!このモンスターを生贄に、ダリウスをデッキに戻してデッキから剣闘獣を特殊召喚することができる!!再びダリウスを特殊召喚してこいつの効果発動!!」

 

 

するとダリウスの横に一体の鳥人が構えていた。

 

 

「このモンスターは剣闘獣の効果で特殊召喚に成功したとき墓地の剣闘獣を特殊召喚することができる、ラニスタ!!」

 

 

ラニスタ/ATK1800

 

 

「そして、ラニスタとベストロウリィをデッキに戻して剣闘獣ガイザレスを融合召喚!!」

 

『うむ、一発やるかの』

 

 

そう言うと、ガイザレスはガンターラと軍師に対して翼で鎌鼬を起こした。

 

 

「ガイザレスの効果でガンターラと軍師を破壊する!!」

 

「しまっ」

 

「バトル!!ダリウスで伝道師に攻撃!!」

 

 

ダリウスの突進によって伝道師は吹き飛ばされてしまった。そして残ったのは守る手段がないクロノだけ。

 

 

「ガイザレス、直接攻撃だ!!」

 

『凱陣旋風!!』

 

 

「うあああああああああああ!!!」

 

 

先ほどと同じように鎌鼬でクロノを攻撃した。あまりに強力な攻撃だったのか、クロノは片膝を付いた。

 

 

クロノ/LP4000→1600

 

 

「バトルフェイズ終了、フィールドの剣闘獣の効果発動!!ダリウスをデッキに戻してベストロウリィ、ガイザレスを戻してホプロムス、ディカエリィを特殊召喚!!」

 

ベストロウリィ/ATK1500

 

ホプロムス/DEF2100→2400

 

ディカエリィ/ATK1600

 

 

「そしてベストロウリィの効果発動、ウォーター・ハザードを破壊!!」

 

「そんな…たった1ターンで逆転されるなんて…」

 

 

あまりな展開にクロノは信じられそうにない顔をしていた。

 

「カードを伏せてターンエンド」

 

 

シゲル

LP1300 手札2枚

ベストロウリィ/ATK1500 ホプロムス/DEF/2400 ディカエリィ/ATK1600

伏せカード2枚

 

―クロノのターン―

 

「っ…負けてたまるか!!ドロー!!手札から手札断札を発動!!お互いに手札を2枚捨ててカードを2枚ドローする!!」

 

「(…ムルミロとセクトル…まあ、惜しくないカードだったが、少しまずいかもな)」

 

 

先ほどのターンの行動からするとクロノのデッキは墓地のモンスターを再利用することで強力なモンスターに展開するデッキのようだった。

 

そうなれば、任意のカードを墓地に送られると非常にまずかった。

 

 

「魔法カード浮上を発動!!墓地の氷結界の伝道師を特殊召喚する!!」

 

 

伝道師/DEF400

 

 

フィールドに再び老人が現れた。するとクロノはニヤリと笑うと手札の速攻魔法を発動させた。

 

 

「地獄の暴走召喚を発動!!効果で僕はデッキから伝道師を2体特殊召喚する!!」

 

「チッ…俺のデッキに同名モンスターはいない(ハイランダーはこういうのがきついんだよ…)」

 

 

シゲルのデッキは基本的にはモンスターは一枚ずつしか入っておらず、こういう展開は苦手だった。

 

 

「伝道師3体の効果発動!!僕は墓地からガンターラ、グルナード、そしてライホウを特殊召喚!!」

 

ガンターラ/ATK2700

グルナード/ATK2800

ライホウ/ATK2100

 

フィールドには氷結界の三虎将が現れた。

そしてこの流れは非常にまずことはユウでもわかっている。

 

 

「そんな…一気に上級モンスターを3体も…!!」

 

「バトル!!グルナードでベストロウリィに攻撃だ!!」

 

 

「させっかよ!!リバース罠、ディフェンシブ・タクティクスを発動!!このターン俺の受ける戦闘ダメージを0にしてモンスターは戦闘で破壊されない!!」

 

 

ホプロムスとディカエリィはカードに書かれているようにベストロウリィを守るように防御体制を取った。

 

 

「ッ…バトルフェイズは終了だ」

 

「ベストロウィの効果発動、デッキに」

 

「ライホウの効果!!相手の効果を発動する場合、手札を一枚捨てないとその効果は無効だ!!」

 

 

そう言うと、ライホウはベストロウリィに手をかざした。だが――

 

 

「罠カード、剣闘休憩(グラディアル・インターバル)を発動!!このターンのエンドフェイズまで剣闘獣の『デッキに戻す効果』と『特殊召喚時発動する効果』以外を無効にする!!」

 

 

剣闘休憩(グラディアル・インターバル)

通常罠

自分フィールドに剣闘獣と名のつくモンスターが2体以上

存在する場合発動することができる。

「「剣闘獣」と名のついたモンスターの効果によって特殊召喚に成功した効果」

と「戦闘を行ったバトルフェイズ終了時にこのカードをデッキに戻す効果」

以外のフィールド上のモンスターの効果を発動ターンのエンドフェイズまで

無効にする。

 

 

ライホウのかざしていた手を避けてベストロウリィはデッキへと戻った。

そして一体の炎の獣人が現れた。

 

ラクエル/ATK1800→2100

 

 

「っ…カードを伏せてターンエンド!!」

 

 

クロノ

LP1600 手札0枚

ガンターラ/ATK2700 グルナード/ATK2800 ライホウ/ATK2100

伏せカード1枚

 

 

―シゲルのターン―

 

「俺のターン、ドロー。魔法カード休息する剣闘獣を発動!!手札の剣闘獣と名のついたカードを2枚デッキに戻してカードを3枚ドロー!!(来た)」

 

「(手札交換…何をするつもりだ)」

 

「ヘラクレイノスの効果発動!!フィールドのラクエルを含む3体の剣闘獣をデッキに戻して特殊召喚する!!」

 

 

ヘレクレイノス/ATK3000

 

ラクエル、ホプロムス、ディカエリィの3体のモンスターが消えるとそこには巨大な装備と灼熱の炎を身に纏った巨大な獣人が現れた。

 

 

「さらに手札から速攻魔法、剣闘獣の底力を発動!!フィールドの剣闘獣1体の攻撃力を500ポイントアップさせる!!」

 

 

ヘラクレイノス/ATK3000→3500

 

 

「さらに墓地に存在する剣闘獣と名のつくカードを2枚デッキに戻すことでこのカードを手札に戻すことができる、墓地のムルミロとセクトルをデッキに…そして再び発動!!」

 

 

ヘラクレイノス/ATK3500→4000

 

 

「攻撃力4000…!!?」

 

「さらに墓地の休息する剣闘獣と剣闘獣スパルディクスをデッキに戻して再び底力を手札に加える」

 

「スパルディクス…!?いつの間にそんなモンスターを墓地に!?」

 

 

 

クロノも、戦いを見守っていたなのはやフェイト、はやてもそのカードがいつ墓地に送られていたのかわからない。

 

だが、ただひとりリンディだけは気づいていた。

 

 

「ダメージ・コンデンサーのコスト…墓地に送られた謎のカードがそれですね」

 

「ご名答。バトルフェイズ!!ヘラクレイノスでライホウに攻撃だ、バーストブレイカー!!」

 

 

ヘラクレイノスは持っていた剣に炎を纏わせるとそれを呆然と見ていたライホウに向かって振り下げた。

 

 

「り、リバース罠ポセイドn」

 

「ヘラクレイノスの効果!!手札のカードを一枚捨てることで相手の魔法・罠の効果を無効にする!!」

 

 

さらにライホウのコストとしてもう一枚手札を捨てて完全にクロノの伏せカードを無効化した。

 

 

「うわああああああああああ!!!!」

 

 

クロノ/LP1600→0

 

 

「クロノ君!!」

 

「クロノ!!」

 

 

吹き飛ばされて壁に頭を強打したクロノになのはとフェイトは駆け寄った。

だがそれに興味がないのかシゲルはディスクを片付けると戦いを見守っていたリンディを見た。

 

 

「で?次はどんなパフォーマンスだ?2on1か?それとも全員で戦うか?」

 

 

クロノは三人娘の修行を行ったりなど、この艦だと自分についでの実力者だった。それを息切れ一つせずに倒したシゲルにリンディは何も言えなかった。

 

 

「…はやてさん、3人を送ってください」

 

「…りょーかいや」

 

 

はやては渋々といった感じでそれに従った。だが魔法陣をリンディの部屋で展開するわけにもいかないので、先ほどの訓練所で転送するようだった。

 

 

「…行くぞユウ」

 

「…………うん」

 

 

ユウはツバキを背負って元気があまりないような声で頷いた。

この学園で友達となったフェイト達がこんな真似をしたのだ、無理もなかった。

 

 

 

「獣斬君……それと聖牙君も」

 

「………なんだ?」

 

 

部屋を出ようとしたシゲルはリンディが呼びとめた。だがただ単に引きとめるのではなく、少しうつむき加減で恐る恐るという感じだった。

 

 

「あなた達に一つ聞きたいことが…後でツバキさんにも聞いといてください。『世界の矛盾』という言葉に…聞き覚えはありませんか?」

 

「世界の…矛盾…?」

 

「…聞いたことが無いです」

 

 

その言葉にリンディは「そうですか…」と納得するともう何も言わなかった。はやても黙って2人を先導した。

 

 

―ユウとシゲルの部屋―

 

 

「『世界の矛盾』…ね…」

 

「ねえシゲル。ツバキどうする?寮に送るのは…」

 

 

ユウは壁に寄りかかって寝ているツバキの方を見た。

 

このまま外に寝かせるわけにはいかない。かと言って女子寮に送るにしては時間(現在1時半)と恰好(パジャマ)で明らかに変な目で見られる。

 

 

「仕方が無い…オレのベットに寝かせろ。明日の朝早くに寮に送って何とかごまかすしかないだろ」

 

 

そう言ってシゲルは毛布を取り出すと壁に寄り掛かって寝た。

ユウは何か言いたそうだったがシゲルが寝るのを見てツバキをベットに寝かせると自分のベットに入って寝た。

 

 

―アースラ―

 

「母さん!あの3人を返してもよかったんですか!?」

 

「クロノ、彼の言う通りよ。それにクロノが獣斬君に詰め寄ったのも褒められる行為ではないわ」

 

「っ……!!」

 

 

リンディはそういうとシゲルが残したお茶を見た。クロノぐらいの年の割にしっかりして周りをよく見ていた。その上相手に言い分を言わせない話術を持っている。

 

 

「…母さん…なぜ『あの事』を…ユウ達に…?」

 

「恐らく彼らが関わるのはもっと先…でも……もしもの時があるかもしれないからね…」

 

 

フェイトの質問にリンディはそう言うと残っていたお茶を飲み干した。

 

 

―アースラ:通信室―

 

大小様々なモニターが展開しているその部屋になのはとはやて、エイミィと言う少女がいた。モニターには長いブロンドの髪の少年が映っており、背後には巨大な本棚があった。

 

 

「ユーノ君。ユウ君達の事何か分かった?」

 

『ううん…データベースには変わった事は無かったよ。シゲルって人も特には…けど』

 

「けど?」

 

 

ユーノの言葉にはやてが聞き返した。ユーノが歯切れが悪い時は大概何かがある、それが今までの経験だった。

 

 

『ツバキのデータが少しおかしいんだよね…彼女の戸籍は確かに存在するんだけど…戸籍を作った記録がないんだ』

 

「確かに…それはおかしいね。戸籍を作った記録がないなんて…もしかしたら『次元漂流者』かもしれないね」

 

 

次元漂流者――それはこの世界の人間ではないことを意味する。そうなれば時空管理局が保護するのが普通なのだが、それはまだ可能性(もしかしたら)でしかないから強行はできない。

 

 

「でも…ツバキはなんであってもツバキだよ!」

 

「…そうやな。ツバキは私達の友達や」

 

 

―翌朝―5:00―

 

「ツバキ、起きて」

 

「ぅ…ん…?あれ?ユウ…?どうして私の部屋に?」

 

 

シゲルの言葉で起きたツバキはユウの顔を見て首を傾げた。

まだ寝ぼけているのか此処が自分の部屋だと思っていた。

 

 

「…ここは俺とユウの部屋だ。昨日の寝る寸前の事覚えてるか?」

 

「昨日の…?あ、そういえばなのはに呼ばれて…宇宙船に…夢じゃなかったんだ」

 

 

思い出したのかツバキの目はハッキリとしていた。そりゃ昨日「宇宙船に乗った」という事実があるのだから無理も無い。

 

 

「…………」

 

「あ…ユウ…どうしたの?」

 

「シゲル…どうしてボクのカードのことを聞かないの?」

 

 

『カード』と言う単語にツバキは首を傾げている。途中で寝てしまったツバキは事情を知らないためシゲルが簡単に説明をした。

 

 

「まあ…聞く必要も無いからな。別に話したくないなら話さなくてもいい」

 

「…そのカードってのは何か知らないけど…一応私もあるよ」

 

「え…ツバキ…も!?」

 

 

ユウは自分と同じ様なカードがあるのを聞いて驚いた。シゲルもデッキケースから一枚のカードを取り出してそれをため息をつきながら見た。

 

 

 

「まあ…ユウ。カードを持っている俺が言うのもなんだが…」

 

 

シゲルはそういうとカードをケースに戻し、真っ直ぐとユウ、そしてツバキの目を見た。

 

 

 

「それがなんだって言うんだ?それがお前がユウだと、ツバキだという証明か?そんなのが無くたってお前らはお前ら、俺は俺だ。」

 

 

そいうとシゲルは時計を見た。もう朝日が出てくる時間だった。

 

 

「そろそろツバキを寮に送った方がいいな」

 

「あ、その前に…ツバキって『世界の矛盾』って知ってる?」

 

「っ!?」

 

 

ユウの質問にツバキの体が一瞬だけ震えた。ユウもシゲルもそのことに気付いていた。

 

 

「ツバキ…?」

 

「………知ってるわ。けど………」

 

 

そう言ってツバキは俯いてしまった。おそらく何か言いたくない事があるのだろう。それに気付いたユウは少しあたふたしてしまった。

 

 

「ご、ごめん。言いたくないならいいけど」

 

「…うん。いつか…話す」

 

 

こうして『時空管理局』との初めての対面は終わった。

 

 

ちなみにこの日、3人は授業中に寝てしまって大徳寺先生に怒られたのは言うまでもない。




ユウ「あれ?中盤のクロノのデュエル…あったっけ?」
にじファン及びこの作品と同じものを投稿している『すぴばる小説部』では無かった。いわゆるハーメルンオリジナルの展開だね。
シゲル「なんでそんなもんを入れたんだ?」
理由としては2つ。
一つは文字数や展開の関係。それとこの作品を初めて投稿したとき想像力の無さに会話だけで終わってたんだ。今だと後後の展開も十分わかるから思い切ったこともできるし。
二つ目はクロノのデッキ。
ツバキ「えっと…氷結界?」
ネタバレになるかもしれないけど、この作品でシンクロを導入するのはだいぶ後、だからシンクロ前のデッキとしてクロノの『墓地氷結界』を入れておこうと思ったらここしかなかった。

ツバキ「ハイランダーって?」
ユウ「同名カードを1枚ずつしか投入しないデッキのことだよ」
ちなみに3人とも魔法・罠は複数枚、ユウはハイランダー構成。
ツバキのデッキだけ見習い魔術師が複数枚入ってる。シゲルはデッキを組み直す時に同じカードを入れることもあるけど基本的にはハイランダー。

次回予告
学園に入学して数日。その間に3人は時空管理局の動きを警戒していた。
そんな時、十代がユウとデュエルを始めた。

次回turn5 精霊VS英雄

ちなみに番外編を明日までに投稿します。
内容はキャラの紹介とにじファン時代の記念話を順次投稿する予定です。
ただし、未登場キャラなどがいる場合その話は登場するまで投稿しません。
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