遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn51 科目転入 新入生VS剱都 and ツバキ

―港―

 

本日新入生の入学が行われるとあって、大変混雑していた。

其々のカラージャケットを着て、先導する教師について新入生たちは体育館へと向かった。

 

 

 

―体育館―

 

「にしても、今年度は曲者が多そうね」

 

観客席に座って新入生の顔ぶれを見ていたジュンコはそう呟いた。

 

 

「ああ、実際いろんな奴が多かったぞ。(…荒木は見当たらねぇな……当たり前だがあの2人はいなそうだし…)」

 

「そうだ、確かシゲルって補助員で試験見てたんだろ?どんな奴がいたんだ?」

 

 

興味がある様に十代が後ろにいたシゲルに聞いた。その言葉にユウや剱都、万丈目が耳を傾けていた。

 

 

「そうだな…まずは荒木だな。戦士ビートのシンクロデッキを使う。特殊な効果のシンクロモンスターを駆使してくるから楽しめるかもな」

 

「どのぐらい強いのかしら?」

 

 

明日香が興味本位で聞いた見た。だがそれがシゲルが試験員として戦ったは知らず――

 

 

「俺がブラッディ・ソウルを使うぐらい」

 

「「「「「「「「え!?」」」」」」」」

 

 

ブラッディ・ソウル=シゲルの本気の本気

 

つまり明日香や万丈目でも勝てる確率が低いと言う事だ。

 

 

「あとは…ジュード・ファインだな」

 

「ジュード?」

 

「どのぐらい強いんだ?」

 

 

どこかで聞いたことがあるような気がした剱都がそう聞いた。

次に十代がワクワクとした目で質問した。

 

 

「さあな。昔の顔なじみだ。俺の剣闘獣と同じぐらいの強さだったが…今はどれぐらいかはわからないな」

 

「シゲル君の剣闘獣と!?」

 

 

当時の構成を知っている翔はそう驚いていた。今も昔も変わらないほどの強さだったが、それと同じぐらいの強さとなると――

 

 

「他には儀式使いやシンクロ使いもいたな…まあ、今年は楽しめそうだ」

 

「「「そうだな」」」

 

「「「「「( ゜д゜)」」」」」

 

 

楽しめるのか?と思ってる面子と勝負馬鹿(十代・ユウ・剱都)は面白そうに笑った。

 

 

 

―放課後:ユウの部屋―

 

 

「これに記入すればいいのか?」

 

「ああ」

 

レッド寮で剱都から渡されたのは編入手続きだった。すでに新入生が入学したのだが、クロノスが普通科の生徒で上位ランカーであった5人がチーム科に編入するのに躊躇って期限がギリギリになっていたのだ。

 

 

「えっと…チーム名はやっぱり『ノーバディ』だよね」

 

「まあ、俺はアレはアレで気に入ってるからな」

 

 

その場のノリで剱都が決定してしまったがこうして「世界の矛盾」の5人のチームとなったため『存在しない人(ノーバディ)』もぴったりな名前となった。

 

 

「まあサッサと書いて出しに行けよ。俺は寝る…」

 

―――――ウルス!!―

 

「………」

「………」

 

 

――――――っすよ!!―

 

 

「………ウルせぇな…」

 

 

そう言いながら剱都はそばに置いていたデュエルディスクを持って部屋を出た。

剱都は寝るのを邪魔されるのが大嫌いだった。

 

 

 

騒いでいるうちの一人の翔ともう一人共々心の中で合掌しているシゲルとユウがいた。

 

 

―十代の部屋―

 

「僕が一番っすよ!!」

「い~や!!俺ザウルス!!」

 

 

先程から騒いでいるのは十代のルームメイトの翔、そして新入生のティラノ剣山だった。十代に負けた剣山はそのまま十代の部屋に居候して舎弟に入ろうと考えていた。

 

だが同じように十代を兄貴と慕う翔といがみ合ってるのだ。

 

 

「これじゃあ埒が明かないザウルス!!」

「そうっすよ!!デュエルで決着っすよ!!」

 

 

そう言って二人が立ち上がろうと

 

 

 

「ウォラァッ!!!」

 

 

するとドアが蹴破られた。突然の出来事に十代もさっきまでいがみ合っていた剣山と翔も固まった。

 

 

 

「おぉ~う…十代…テメェなにやかましくしてるんだ?」

 

「け、剱都。俺じゃない!!この二人が勝手に」

「「兄貴!?」」

 

 

 

剱都のヤクザの様な言葉使いに十代は思わず王様のような台詞で2人を売った。そのことに驚愕しながら2人が反応しているうちに剱都の照準が2人に向いた。

 

 

「ほぉう?確かにうるさかったのはその2人だったようだな…ちょっくら借りていくぞ」

「ご、ごゆっくり~」

 

「「兄貴ィ~~……」」

 

剱都は翔と剣山の首根っこを掴むとそのままズルズルと引きずって行った。

 

 

残された十代はため息を尽きながら蹴破られたドアを修繕していた。

 

 

―レッド寮前―

 

 

 

「な、なんザウルス…この人…」

「も、もうこうなったらやってやるっス!!剣山君、活躍した方が第一ってことっすよ!!」

 

「さてと、残す言葉はあるか?小便は済ませたか?御祈りを終わらせたか?ガタガタ震えて命乞いをする準備はOK?」

 

「「ひぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 

剣山は目の前の剱都に恐怖し、翔は自棄(ヤケ)になりながらディスクを展開させた。

それを見た剣山も腹を括った。

 

 

「「「デュエル!!」」」

 

 

剱都VS剣山VS翔

 

 

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン、マシンナーズ・リサイクラーを召喚しターンエンド」

 

リサイクラー/DEF400

 

 

剱都

LP4000 手札5枚

リサイクラー/DEF400

伏せカード無し

 

―剣山のターン―

 

「俺のターン!!(低レベルチューナー1体…恐らく次から…)手札から俊足のティラザウルスを特殊召喚!!さらにリリースして大進化薬!!

この効果で俺の恐竜さんは生け贄無しで召喚できるドン!!」

 

 

フィールドのラプトルが消えると全体的に鎧の様な物を身に纏った恐竜が召喚された。

 

 

超伝導恐竜/ATK3300

 

 

管理局のヴィータも使っていたコンボに剱都はそれほど驚く事も無かった。

 

「どうだドン!!これが恐竜さんの底力ザウルス!!」

 

 

剣山

LP4000 手札3枚

超伝導恐竜/ATK3300

大進化薬

 

 

―翔のターン―

 

「僕のターン!!(これはかなりいいっす!!)手札からビークロイド・コネクション・ゾーンを発動!!手札のスチームロイド、ドリルロイド、サブマリンロイドを融合し、スーパービークロイド‐ジャンボドリルを融合召喚!!」

 

 

ジャンボドリル/ATK3000

 

フィールドに現れたのは超巨大な掘削機が現れた。しかもビークロイド・コネクション・ゾーンで召喚したモンスターはカード効果で破壊されず、効果を無効化されることはない。

 

 

「ターンエンドっす!!」

 

LP4000 手札2枚

ジャンボドリル/ATK3000

伏せカード無し

 

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン」

 

剱都が引いたカードは『古の対価』だった。それを見た剱都の口が片方だけ釣り上がり、怪しく笑った。

 

 

 

「さぁ…惨劇(あそび)の時間だ…!!」

 

「「(こ、怖いザウルス/っす)」」

 

 

キラーンと擬音がなるような目で剱都はフィールドを見た。

 

 

「手札からマシンナーズ・フォートレスとマシンナーズ・ブルースを墓地に送って墓地からフォートレスを特殊召喚!!」

 

 

フォートレス/ATK2500

 

 

フィールドに突然巨大な戦車が出現した。

 

 

「こ、攻撃力2500ザウルスか!?」

 

「手札から魔法カード、並行時間(パラダイムタイム)を発動!!フィールドに存在するレベル6以上のモンスターをリリースし、レベル3のパラレルトークンを2体特殊召喚する!!」

 

 

そう宣言するとフォートレスが消え、フォートレスを一回り小さくしたようなモンスターが2体現れた。

 

 

パラレルトークン/ATK・DEF0/☆3

パラレルトークン/ATK・DEF0/☆3

 

 

「この効果で特殊召喚したモンスターはリリース及びシンクロ素材にする事が出来ない。また破壊された時俺に800ポイントのダメージを与える」

 

並行時間(パラダイムタイム)

通常魔法

自分フィールドのレベル6以上のモンスターをリリースして発動する。自分フィールドに「パラレルトークン(攻/守0/機械族/地属性/星3)」を2体特殊召喚する。

この効果で召喚したモンスターはアドバンス召喚の為のリリースにはできず、シンクロ素材にする事はできない。

この効果で召喚したモンスターは破壊された時、800ポイントのダメージを受ける。

 

 

「な、なんザウルスか!?なんで自分の強力なモンスターを」

 

 

 

 

 

「剣山は知らないんだよな…剱都の本気」

「そうだな」

 

 

先日の様に湯のみを持った3人がその光景を静かに眺めていた。もはやこの争いに介入する気はない3人は傍観する事を決め込んでいた。

 

 

「見せてやるよ…手札から時の対価を発動!!ライフを半分払い、フィールドのレベル2のリサイクラーをリリースして同レベルのモンスターをエクストラデッキからをシンクロ召喚扱いで召喚する!!

行くぞ、エンシェント・ルクス!!」

 

 

フィールドに現れたのは魅惑の女性とも言うべきモンスターが現れた。今ここに三沢がいたらそのモンスターに頬を染めるだろう。

 

剱都/LP4000→2000

エンシェント・ルクス/ATK?

 

 

「攻撃力が決まって無い…?」

「エンシェント・ルクスのモンスター効果!!召喚成功時、相手フィールドのモンスターを1体選択し、そのモンスターのコントロールを得る!!」

 

「えぇぇぇ!!!」

 

 

 

驚いている翔の目の前でジャンボドリルが剱都のフィールドに移動した。

 

 

「さらにコントロールを得たモンスターの攻撃力分攻撃力がアップする!!」

 

 

エンシェント・ルクス

シンクロモンスター・エンシェント

星2/光属性/魔法使い族/ATK?/DEF?

モンスター1体

このモンスターは「古の対価」の効果で特殊召喚する。

特殊召喚成功時、相手フィールドのモンスター1体を選択し発動する。

選択したモンスターのコントロールを得る事ができる。

このモンスターの攻撃力と守備力は

この効果で選択したモンスターの攻撃力と同じとなる。

 

エンシェント・ルクス/ATK?→3000/DEF?→3000

 

 

「攻撃力3000が2体も!?でもどうして俺の超伝導恐竜を奪わなかったドン!?」

 

 

確かに攻撃力ならジャンボドリルよりも超伝導恐竜の方が高い。だが剱都にはある考えがあった。

 

 

「それはこれから分かる。手札からタイム・バック・クロックを召喚!!」

 

 

タイム・バック・クロック/ATK100

 

フィールドに現れたのは巨大な時計を持った少年だった。見たところ魔法使いの様にも見えるが、どうやらメインは時計の方の様だ。

 

 

「こいつは召喚成功時、墓地の機械族モンスターを2体ゲームから除外することで墓地の魔法カードと同名カードを1枚手札に加える!!」

 

 

タイム・バック・クロック

効果モンスター

星2/闇属性/機械族/ATK100/DEF300

このモンスターを召喚した時、墓地に存在する

機械族モンスターを2体ゲームから除外して

墓地の魔法カードを1枚選択するして発動する事が出来る。

選択したカードと同名カードを1枚デッキから手札に加える事ができる。

 

 

「効果でデッキから2枚目の古の対価を手札に加え発動!!フィールドのパラレルトークン2体とタイム・バック・クロックをリリース、エクストラからレベル8のモンスターを召喚する。来いエンシェント・ベルゼ!!」

 

 

フィールドに灼熱の色を体に露わした巨大な悪魔が現れた。腕は4本あり目も黄色く光その背には無数の突起が存在する狂気の魔物だ。

 

 

エンシェント・ベルゼ/ATK1000

 

剱都/LP2000→1000

 

 

「今度は攻撃力1000ドン?」

 

「エンシェント・ベルゼの効果!!召喚成功時自分フィールドのモンスターと相手フィールドのモンスターを1体ずつ選択し破壊する!!カースド・バック!!」

 

 

そう宣言した時、なぜか剣山の超伝導恐竜だけが破壊された。

 

 

「な、どういう事だドン!?なんで俺のモンスターだけが…!?」

「それは俺よりもテメェの方が詳しいだろ…なあ?翔」

 

 

剱都の言葉に翔が泣きそうになりながらガタガタ震えながら頷いていた。剣山はいまだに分からず首を傾げている

 

 

「そいつの発動したビークロイド・コネクション・ゾーンは融合召喚したモンスターを効果破壊から守る付与効果がある。よって俺のベルゼでも破壊はできない」

 

「そ、なんなコンボが!?」

 

 

そう。剱都は初めからこれを狙っていた。ベルゼは破壊された攻撃力分攻撃力を上げる効果がある――

 

エンシェント・ベルゼ/ATK1000→4300

 

 

「こ、攻撃力4300!?こんな…相手の奪ったカード効果を使ってのコンボなんて普通考えないザウルス!!一体あんたは何者ザウルス!?」

 

 

「…レッド寮2年…チーム科『チーム・ノーバディ』の羽黒剱都だ。

それと……近所迷惑はほどほどにしやがれ。バトルだ!!

 

一斉攻撃、消え失せろ!!!」

 

 

「「うわあああああああああああぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!」」

 

 

剣山/LP4000→1000→0

翔/LP4000→0

 

 

 

―校長室―

 

「失礼しま~す」

 

「失礼します」

 

 

気だるそうな声を出しながらシゲルが扉を開け、その後ろからユウが入ってきた。それを待っていたかのように鮫島は備え付けのソファに2人を座らせ、持ってきた書類に目を通していた。

 

 

「すいませんね…クロノス先生の手違いで手間をかけまして」

 

「いえ、大丈夫ですよ…アレ以外は…」

 

 

ユウが最後の言葉をボソッと言ったのに鮫島は気付かなかった。だが2人と一緒に来るはずだった剱都がいない事が気になった。

 

 

「そういえば、羽黒君は?」

 

「バカ2人の説教中です」

 

「…?」

 

 

 

―レッド寮―

 

 

「「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」」

 

「け、剱都!!いい加減許してやっても「何か?」ナンデモナイデス」

 

 

 

今現在翔と剣山は正座に膝の上に大きな石がいくつも乗せられている。

しかしそれでも剱都の怒りが収まる訳ではなかった。

 

 

「さてと、俺も暇じゃない。だから金輪際近所迷惑を起こさないと言うなら許して「「起こしません!!」」よろしい」

 

 

剱都と十代は共に2人の膝の上に乗っていた石を退けた。

 

 

「さてと…俺は寝る。じゃあな」

 

 

さっさと剱都は自室へと戻っていた。それを見届けていた剣山と翔はぐったりとしていた。

 

 

「なんだろう…今日はもう争う気になれないっす…」

「俺も…今日は静かに寝たいザウルス…」

 

 

「………(これからこの2人が暴れたら剱都に頼もう)」

 

 

こうして新たな新入生の剣山との出会いだった。

 

 

―その少しあとの女子寮――

 

 

「では、皆さん。これからよろしくお願いね」

 

「「「「「「お願いします!!」」」」」」

 

 

鮎川の号令と共に新入生と在校生が一同に乾杯をした。それからはほぼ立食パーティの様にワイワイガヤガヤと騒いでいる。

 

 

 

「へー、じゃあ先輩は教師になるために…」

 

「ええ。尤もいまじゃあ覚える事も多くてね…けど、楽しくやってるわ」

 

 

明日香の周囲に新入生の大半が集まっていた。下心丸出しの彼女達の狙いは明らかに『女子寮トップ』という風格の持つ明日香に顔を覚えてもらい、少しでも学園生活を優位に立つ事だった。

 

 

「………はぁ」

 

 

しかし誰とも関わらず、孤立している女子が一人だけいた。

男勝りであのシゲルと互角に張り合った――荒木だ。

 

 

彼女は入学前から新入生にとっては有名だった。だがその性格などから受け入れてもらえず、一人さびしくご飯を食べていたのだ。

 

 

「あの…」

 

「あ?」

 

 

そんな荒木に声をかける人物が2人。ツバキと紫苑だった。

 

 

しかし持ち前の性格で反応してしまい、それでツバキはビクッと紫苑の背後に隠れてしまった。

 

 

「あ、ああ…悪い…で、なんだ?」

 

「隣よろしいでしょうか?」

 

 

荒木の言葉に淡々と紫苑が聞くと「どうぞ」と言わんばかりに端っこに座った。そして二人が長椅子に座ると簡潔に自己紹介を始めた。

 

 

「私はチーム・ノーバディの姫野紫苑です」

 

「あ…姉の…姫野椿…です…」

 

「荒木キリエ。まあ、よろしく」

 

 

荒木の言葉を聞いてツバキと紫苑が思い出したかのような反応をした。

それを見て「ああ、また離れていくのか」と思っていた。

 

実際さっきから彼女の隣に座った女子は「荒木キリエ」と言う名前を聞いてそそくさとどこか行ってしまう。

 

 

「あなたがシゲルの言ってた…」

「! あいつを知ってるのか?」

 

 

紫苑の言葉にキリエは逆に驚いてしまった。今まで荒木に対等に接した人数は少ない。しかも『彼女が死んでからは』初めてだった。

 

 

「え、ええ……私達と同じチーム……」

 

「チーム…(さっき言ってたノーバディってやつか…じゃあこいつ等も『転生者』なのか…?)」

 

 

荒木が何かを考えていたのだが、その間にツバキは自分の呑んでいたジュースが空になった事に気付いて飲み物を取って来ようと立ち上がった。

 

 

「ちょっと邪魔よ!」

「きゃあ!!」

 

 

そんなツバキを一人の新入生が突き飛ばした。ぼってりとした体格にニキビの多い顔。一言で言うと『ブス』がツバキを突き飛ばしたのだ。

 

 

「なにしやがる!?」

「っ、なによ。通るのに邪魔だったから退かしただけよ」

 

 

荒木の言葉にブスがそう応えた。一方のツバキは突き飛ばされた時に持っていたグラスを落としてしまい、足に破片が刺さっていた。

 

 

「お姉ちゃん、大丈夫!?」

「ちょっと、血が……」

 

 

そう言っているが刺さったところ以外にも沸々と赤い点が浮き上がっていた。

 

 

「一体何事?……これは……聖牙君が見たら酷い事になりそうね」

 

そう言いながら鮎川は手早くツバキの足の治療を始めた。その間に一人の新入生が近くにいた情報通の1年の女子に聞いた。

 

 

「ねえ、聖牙とは誰の事なの?」

「聖牙夕、レッド年で彼女と同じチームであり恋人ですぅよ」

 

簡潔に説明をしたのだが先程の『ブス』がその会話に聞き耳を立てていた。すると突然笑い出した。

 

 

「ギャハハハハ!!!なに?レッドの落ちこぼれの彼女!?」

 

「そんなのがエリート女子にいるの!?笑えるわね!!」

 

「アハハハハハ……ハハ……は?」

 

 

高笑いをしていたブスと同じような新入生だったが、周囲の反応に笑が徐々に渇いてきた。

「え?何言ってるのこいつ?」的な目をされて徐々におろおろし始めた。

 

 

 

 

 

 

「…構えろ」

 

「は?」

 

 

すると響いた真っ黒な声にブスと笑っていた女子が声の出所――

 

 

 

「叩きのめしてあげるわ」

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

 

ニヤリと言う擬音が合いそうな笑顔をしているツバキだった。それを見た明日香達は頭を抱え紫苑は荒木を連れて安全な場所まで避難した。

 

 

「お、おい。お前の姉貴どうしたんだ?」

 

「お姉ちゃんはユウを侮辱されるとキレて、手が付けられなくなるんですよ。こうなると完全に叩きのめさないと収まりません」

 

 

そう言ってる間に事情を知っている上級生達が一斉に逃げ惑っている。ただならない状況にブスが一瞬怯んだが、すぐにディスクを構えた。

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

―ツバキのターン―

 

「私のターン!!魔導獣(マジックビースト)ケルベロスを召喚!!」

 

フィールドに三つ首の魔導獣が現れた。するツバキのフィールドに4枚のカードが現れた。

 

 

「リバースカードを4枚伏せてターンエンド」

 

「一気に4枚も!?」

 

 

ツバキ

LP4000 手札1枚

魔導獣ケルベロス/ATK1400

伏せカード4枚

 

―ブスのターン―

 

「あたしのターン!!(4枚…ってことは確実にミラーフォースの様な攻撃反応系や神の宣告みたいなカウンターもあるって。けどね、あたしには勝てないのさ!!)手札から大嵐を発動!!」

 

「1ターン目から全体除去魔法…運がいい奴だ…!!」

 

 

荒木がそう言って苦虫を噛んだような顔になっている。だがツバキは慌てることはなかった。

 

 

「カウンター罠、魔力痕の消滅を発動!!相手の魔法カードの発動を無効にする、そして自分フィールドのカード1枚に魔力カウンターを一つ乗せる!!」

 

魔力痕の消滅

カウンター罠

相手の発動した魔法カードの発動を無効にし、

自分フィールドの魔力カウンターが乗せれるカードに

カウンターを一つ乗せる。

 

 

ケルベロス/ATK1400→1900/M0→1

 

 

「攻撃力が…?」

「ケルベロスは魔力カウンターの数だけ攻撃力は500ポイント上がる」

 

 

つまり魔法を使えば使うほどケルベロスの攻撃力が上がって行くと言う事だ。しかしブスは少しも焦らず手札のカード3枚を引きぬいた。

 

 

「手札からサイクロンを3枚発動!!」

「サイクロン3枚!?」

 

 

その光景に周囲の生徒は驚いていた。それに紫苑は何か違和感を感じた。さきほどチラリと見えたアレだと――

 

 

「魔力供給装置―αを発動!!手札一枚をコストにこのターン発動された速攻魔法カードを『魔力カウンターを乗せる』と言う効果に変える!!」

「は、はぁ!?」

 

 

そうこうしてるうちに3枚のサイクロンの生み出された竜巻がケルベロスへと吸い込まれていった。

 

 

ケルベロス/ATK1900→3400→4900/M1→4→7

 

 

「だ、だったら手札からプチテンシを守備表示で召喚!!」

「ぷ、プチテンシだぁ?」

 

 

プチテンシ/ATK600

 

召喚されたのはシナジーなど全くない低レベル天使だった。

 

 

「そして魔法カード、強制転移!!あたしの天使ちゃんとあんたのペットのコントロールを入れ替える!!」

 

「!!(やはり…あれは…)鮎川先生」

「どうしたの?」

 

 

紫苑が何かに気付いて鮎川に何かを小声で伝えていた。

 

 

ケルベロス/ATK4900→5400/M7→8

 

 

そうこうしてるうちに2人のモンスターのコントロールが入れ替わった。

 

 

「バトルフェイズ!!」

 

「リバース罠、威嚇する咆哮。攻撃宣言を行う事ができませんよ」

 

 

巨大な遠吠えにケルベロスが驚いていた。

 

 

「貧弱な犬っころめ…!!だけど攻撃力5000を超えるモンスターに勝てるわけはない!!ターンエンド!!

 

落ちこぼれが成績トップ4に入るあたしに勝てると思うなよ!!」

 

そしてブスが豪語していたトップ4という言葉に荒木が思い出していた。

 

 

 

「思い出した、あいつ…確か試験官員をワンキルした…!!か、勝てるのか!?お前の姉貴って強いのか!?」

 

 

 

荒木が焦った様に紫苑に聞いた。だが紫苑はフフフと微笑みながら悪戯を思いついた子供の様にあるカードを指さした。

 

 

「強いかどうかと言うよりも…この勝負はもうお姉ちゃんの勝ちですよ」

 

 

「っ!!あんたふざけてるのか!?私の場には5400のモンスター、そこの落ちこぼれは手札はない上にフィールドには雑魚(・・)モンスターだけ、それであたしの負けだって!?」

 

 

紫苑の言葉が聞こえていたブスだったが、どう考えてもツバキが不利な状況だった。

 

 

「私の発動した魔力供給αの効果。エンドフェイズに魔力カウンターの乗ってるカードから魔力カウンターを全て取り除く。

その効果にチェーンしてリバースカード魔力暴発。

魔力カウンターが取り除かれる効果が発動した時、相手に500倍のダメージを与える!!」

 

「ご、500倍!?」

 

 

魔力供給装置―α

通常罠

手札一枚を墓地に送りに発動する。

このターン発動された速攻魔法は「フィールドの魔力カウンターを置く事ができるカードに魔力カウンターを一つ乗せる」効果として扱う。

発動ターンのエンドフェイズ時、フィールドの魔力カウンターを全て取り除く

 

 

魔力暴発

通常罠

フィールドの魔力カウンターが取り除かれる効果が発動した時、

このカードを発動できる。

そのコントローラーにに取り除いたカウンター×500ポイントの

ダメージを与える。

 

 

「つ、つまりあたしのフィールドには8つのカウンターが存在するから…合計…」

 

「4000バーン、喰らいなさい」

 

 

「ぎ、ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ブス/LP4000→0

 

 

―翌日:屋上―

 

 

「へー、そっちでもそんな事あったのか」

 

 

ユウ以外のチーム・ノーバディの4人と十代達いつものメンバー5人+剣山がシゲルの作った重箱の昼ごはんをつつきながら前日の出来事を話していた。

 

 

「それでその人はどうしたの?」

 

「入試の不正発覚で退学処分です」

 

 

そう、あのブスは入試で手札のカードを入れ替える不正を行っていたのだ。紫苑が気になったのは初期手札の6枚の中で魔法カードの枚数がチラリと3枚あるのに気付いていた。

 

だが手札交換や補充して無いはずなのに1ターン目で5枚の魔法カードを使ったのだ。

 

 

そして試験の防犯カメラの映像を解析した結果、不正が発覚した。

 

 

 

「にしてもわざわざディスクを改造するなんてな…それとユウをバカにしてツバキにぼこられるなんて哀れだな…」

 

「そういうな。実際レッドは落ちこぼれって思い込みする奴も多いが…まあ、俺はその方が変に狙われなくて気が楽だがな」

 

 

シゲルの言葉に剱都がそう応えた。実は以前、『AWの総帥がこの学園にいる』というタレこみがあり、ブルー生徒がマスコミに一斉捜査された事があった。

 

しかしレッドまでは調べられる事はなかった。

 

 

「でよ、気になったんだけど…」

 

 

そう言いながらウィンナーを掴んでひょいと口に入れた十代はある人物を見た。

 

 

「誰?」

 

「…………」

 

 

 

なぜかブルー女子の荒木がいた。荒木は終始無言で話しに入らずにシゲルの料理ではなく、購買で買ったドローパン(あんぱん)を食べている。

 

 

「ブルー女子の一年、荒木キリエさん。覚えてるでしょ?昨日シゲルが言ってた」

「っ!!」

 

 

ツバキの言葉に荒木はピクッと反応した。自分を受け入れてくれたと思っている人物が他人に話した内容――気になって仕方が無かった。

 

すると「う~ん」って唸っている十代の横で覚えていた明日香が驚いていた。

 

 

「本気のシゲルと張り合ったって子?」

 

「ああ!そうそう、そういえばそんなこと言ってたっす!!シゲル君がブラッディ使うのって全くと言っていいほどないから驚いたっすよ!」

 

「シゲル先輩って、そんなに強いんですか?」

 

 

ふと剣山がそう聞いた。それに荒木も昨夜のツバキの勝負以外のアカデミア生のデュエルを見た事が無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいは~い!!そう言う疑問は私にお任せですぅ~!!」

「「「「「「「「「「「誰だ!?」」」」」」」」」」」

 

 

 

何処からともなくきゃぴきゃぴした属に言う瓶底眼鏡をかけて首から一眼レフカメラをかけた女子生徒が現れた。

 

 

それに全員が突っ込みを入れるも、その生徒は懐から手帳を取り出すとぺらぺらとページをめくった。

 

 

「ん~と、獣斬繁。つい先日普通科からチーム科へ転属した2年で、デッキエースは『ソウル・ブラック・ドラゴン』。使うデッキは『剣闘獣』と『リゾネーター』を組み合わせた『同調剣闘獣』。月一試験では今のところ負け無しでルームメイトの聖牙夕と共に交流試合タッグ代表に――」

「おい待て、誰だテメェ」

 

 

シゲルが鬱陶しそうにその女子生徒にそう言ったら気付いたように女子生徒が何かを取り出した。

 

 

「ブルー女子1年の如月マキですぅ!!将来の夢はプロリーグの記者ですぅ!!」

 

 

渡してきたのは質素な名刺だった。

 

 

「で、なんでテメェは俺の事知ってやがる。俺がチーム科に入ったのを知ってる奴はごく僅かだ」

 

「記者に不可能はないんですぅ!!」

 

 

「…じゃあその記者さんに聞くが、今日聖牙夕が島を出てどこかに行ったが、知ってるのか?」

 

 

「おぉ!?島外に行ったんですかぁ!?これはスクープの匂いですぅぅ!!」

 

こいつと関われは疲れる――そう思った一同だった。

 

 

―童実野港―

 

 

「バトル!!」

「っ…!!」

 

 

片方の青年のフィールドに存在した5体のモンスター――サイバー・エンド・ドラゴン、サイバー・ツイン・ドラゴン、サイバードラゴン3体が――

 

 

 

 

 

亮/LP2300→0

 

破壊された。




ツバキ「亮さんが負けた!?」
シゲル「しかも…サイバー・ドラゴンとエンド、ツインが一斉に破壊されてか…」
そして早めに言うと、次回はそのカイザーの戦いです。

剱都「同じ日にあった2つの戦いか」
初めのバトルロイヤルはまあ…瞬殺☆
そして、後半の不正馬鹿との戦いは…まあ…瞬殺☆
ユウ「剱都の方は4ターン、ツバキの方は2ターンで終わってるからね」

そして如月マキ
シゲル「なんだろう、すげー疲れる」
改定前だと『牧野カホ』だった。一応名前を変更するのはこれで最後かな。


やることが特になくデュエル解説~
といっても、言うとしたらエンシェント・ベルゼの効果でジャンボドリルを破壊できなかった件かな。
剱都「昔間違えて使ったスクラップデッキのスクラップ・ドラゴンを元に考えたコンボだ」
自分の破壊対象を破壊されないモンスターなどを選べばアドバンテージは稼げる。
だけどそれを相手のモンスターから奪ってするってね…さすが、ツバキの兄貴
ツバキ「ドウイウコトナノ?」

次回予告
プロリーグが開催され、その開幕戦になんとカイザー亮とユウの親友のエドが戦うことになった。
その観戦を行っていたホールに静かに渦巻く混乱——
さらには決定されたはずの未来——
しかし

「ば、バカな…未来が…変わるだと…!?」

「いや、『未来を操る』つもりか…!!」

「俺は……もう戻れないだろうな」

次回turn52 命運を分けた戦い カイザーVSエド
最強カード「サイバー・エンド・ドラゴン」
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