―ホール―
此処に生徒の大半が集まっていた。その理由は――
『レディ~スヌェンド!!ジェントルメェ~ン!!!待ちに待ったプロリーグ、第一試合を開始するぜぇぇぇ!!!』
プロリーグ第一試合――いわゆる開幕戦が始まろうとしていた。
しかもその相手が――
『本日の第一試合目はなんと!ともにプロ初勝負というチェリーボーイの登場だ!!まず1人目のカードはサイバー流の正位後継者!!デュエルアカデミア最強と言う称号を持った男…カイザァァ、リョウゥゥゥゥ!!』
アカデミアの卒業生――そしてユウ達とも少なからず関わりのある男、カイザー亮だった。
生徒のほとんどはカイザーのデュエルを大型テレビで見たくて来たのだ。
しかし、そんな彼らの最前線の中央に陣取っている人物――ユウはそれだけじゃなかった。
『そして2人目はその腕でアマチュアのリーグ制覇を若干17歳と言う若さで突破した男、エドォ・フェニックスゥゥ!!!』
MCの声に観客が湧いた。
現れたのはつい先日ユウの実家とも言えるカリーヌ教会で出会ったエドそのものだった。
―デュエルホール―
―ワァァァァァァァァァァァァァ!!!―
共に現れた期待の新人に観客達は湧きに沸いている。しかしそんな声も今の2人の耳には入っていない。
「初めまして、と言うべきかな?」
「そうだな」
互いにお互いを知らない。だがそれ以上に2人の内心では内なる闘志を燃え上がらせている。
『さぁ~て、2人は既に目の前の獲物に狙いを定めたようだ!!では、これよりエド・フェニックスVS丸藤亮を開始するぜ!!』
「「デュエル!!」」
―エドのターン―
「僕のターン、カードを2枚伏せて手札からE・HEROフェザーマンを召喚!!」
フェザーマン/ATK1000
エド
LP4000 手札3枚
フェザーマン/ATK1000
伏せカード2枚
―アカデミア―
「フェザーマンって…」
「兄貴と同じHEROだドン!!」
エドの召喚したモンスターにホールにいた生徒は驚いている。
今の学園のカイザーとも言える存在、その候補の十代とエドの使ってるモンスターが全く同じだったからだ。
「…なあ、どう思う?」
「エド…手を抜いてるね」
小声でシゲルとユウはそんな会話をしていた。エドの本気を知っている2人は別の意味でエドが「E・HERO」を使っているのに驚いていた。
―デュエルホール―
―亮のターン―
「俺のターン…相手フィールドにのみモンスターが存在する場合手札からサイバードラゴンを特殊召喚する!!」
サイバードラゴン/ATK2100
フィールドに現れたのは彼の代名詞とも言えるモンスターだった。
「バトル、サイバードラゴンでフェザーマンに攻撃、エヴォリューションバースト!!」
「リバース罠、ドレインシールド!!相手の攻撃を無効にし、その攻撃力分ライフを回復する!!」
そう宣言するとフェザーマンの目の前に薄い緑色の膜が発生した。だが瞬時に亮は手札からカードを発動させた。
「速攻魔法、トラップ・ブースター!!手札のカード1枚をコストに手札から罠カードを発動する、トラップ・ジャマーを発動!!」
バトルフェイズ中の罠カードの発動を無効にするカウンター罠だ。
薄い膜に徐々にひびが入り始めた――が、
「カウンタートラップ、トラップ・ジャマー!!」
「っ!!」
亮が手札から発動させたのとまったく同じカードが発動された。
「これで君のトラップ・ジャマーの効果が無効になり、僕のライフが回復する!!」
エド/LP4000→6100
「っ…ターンエンドだ」
亮
LP4000 手札2枚
サイバードラゴン/ATK2100
伏せカード無し
―エドのターン―
「僕のターン!!魔法カード融合を発動!!フィールドのフェザーマンと手札のバーストレディを融合!!」
「(普通ならフレイム…だが、ちがうな……ノヴァマスターか…GreatTORNADO…それか別の…)」
「融合召喚、E・HEROフェニックスガイ!!」
フェニックスガイ/ATK2100
フィールドに現れたのは全く見た事のない赤いE・HEROだった。
その姿は十代のフレイム・ウィングマンとも紫苑のGreatTORNADOやノヴァマスターとも違った。
―ホール―
「え?どういうことザウルス?フェザーマンとバーストレディで召喚できるのってフレイムウィングマンじゃないザウルス?」
「E・HEROは融合素材が同じでも全く違うモンスターを召喚する事が出来るんだ。現に紫苑の持ってる属性HEROなら今の素材でノヴァマスターかGreatTORNADOを召喚できる」
「「「「「「「「あ、三沢君いたんだ」」」」」」」」
「泣くぞお前ら!!」
リアルこの作品でも空気になりかけていた三沢がそう反応した。
「というか、紫苑先輩もHEROデッキだったんですね…」
「ええ、と言うか私はため口で構いませんよ。荒木さん」
紫苑の言葉に荒木は少し俯いて顔が赤く染まっていた。年上とはいえ女子にそう言われた事が無く、少し恥ずかしいようだ。
「へー、そうだったんだ」
「お前は知っとけよ、十代」
―デュエルホール―
「バトルフェイズ、フェニックスガイでサイバー・ドラゴンに攻撃!!フェニックス・シュート!!」
「攻撃力は同じ…(コンバットトリックか破壊耐性か…)」
カイザーはそう思いながら攻撃を通した。するとフェニックスガイはそのままサイバードラゴンを破壊し、エドのフィールドへ戻った。
「やはり破壊耐性か…!!」
「気付いていたみたいだな…その通り、フェニックスガイは戦闘破壊できないモンスター!!カードを伏せてターンエンド!!」
それなら効果破壊するしかできないが、亮のデッキでカードを効果破壊できるカードと言えば『エヴォリューションバースト』ぐらいしかない。
エド
LP6100 手札1枚
フェニックスガイ/ATK2100
伏せカード1枚
―亮のターン―
「俺のターン、手札から魔法カード壺の中の魔術書を発動!!互いにカードを3枚ドローする!!」
「(相手の手が増えると分かりながらの壺の中の魔術書…しかけて来るだろうね…)」
そう思いながらエドはある事を思い出していた。
―???―
「エド、今日のデュエルの運命は君の勝利に傾いている」
「そうか」
青い髪の長い男性がタロットカードを広げてそう言った。だが例え負けに傾いていろうともエドは勝つ気でいたためそれほど気にしていなかった。
―回想終了―
「(そうだ…これがお前の敗北の序章だ…カイザー亮!!)」
「死者蘇生を発動!!墓地のサイバー・ドラゴンを特殊召喚!!」
先程フェニックスガイによって破壊された機械竜が現れた。
すると力強く、亮は一枚のカードを発動させた。
「魔法カードパワーボンドを発動!!手札のサイバードラゴンとフィールドのサイバー・ドラゴンを融合し、サイバー・ツイン・ドラゴンを召喚!!」
フィールドに現れたのは双頭のサイバードラゴンだ。更にパワーボンドの効果で攻撃力が倍加する。
サイバー・ツイン・ドラゴン/ATK2800→5600
『攻撃力5600だぁぁぁぁ!!!さらにサイバー・ツイン・ドラゴンは2回攻撃効果を備えている!!これが決まれば丸藤亮の勝利だぁぁぁ!!!』
「バトルフェイズ!!サイバー・ツイン・ドラゴンでフェニックスガイに攻撃!!エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
「クッ…!!」
エド/LP6100→2600
破壊されないフェニックスガイは攻撃を受けて何とか立っていた。だがサイバー・ツインの口に再びエネルギーが溜まる
「第二打ァァァァァ!!!」
「っ!!」
サイバー・ツインの攻撃がフェニックスガイを包み込んだ。
それで観客は終わりだと思っていた――
エド/LP100
『!!な、なんとエドフェニックスのライフは100残っている!!だがダメージは3500、そしてエドフェニックスのライフは2600、一体何があったんだぁぁ!!?』
「リバース罠、エレメンタル・チャージ!!自分フィールドのE・HEROの数だけライフを1000回復する!!」
それによりエドのライフが首の皮一枚残っていたのだ。
「ならば俺はサイバー・ジラフを召喚!!」
リリースすることで効果ダメージをなくす機械の犬が現れ――消えた。
「リバース罠、愚かな落とし穴発動!相手がレベル3以下のモンスターを召喚したとき、そのモンスターを除外してお互いにカードを1枚ドローする!!」
愚かな落とし穴
通常罠
相手がレベル3以下のモンスターを召喚したとき発動することができる。
そのモンスターの召喚を無効にし、ゲームから除外する。
その後、お互いにカードを1枚ドローする。
「なん…だと…」
それによってエドと亮はカードをドローした。
だが今のプレイングははっきり言って痛かった以上に止められると思ってなかったので愕然としていた。
「っ…カードを伏せ、エンドフェイズ…パワーボンドの効果により、俺はサイバー・ツインの元々の攻撃力2800のダメージを受ける」
サイバー・ジラフとパワーボンドのコンボだったのだが、読まれていたようだ。
半分以上のダメージを受けた亮は少し顔を顰めていた。
亮
LP4000→1200 手札0枚
サイバー・ツイン・ドラゴン/ATK5600
伏せカード2枚
―エドのターン―
「僕のターン!!(流石にさっきは焦った…けど、この手札なら…)サイバー・ツイン・ドラゴンを対象に速攻魔法、ガードペナルティを発動!選択したモンスターが守備表示になった時、僕はカードを1枚ドローする!」
しかし今はエドのターン。カイザーがモンスターを守備にすることはできない。
「手札からE・HEROスパークマンを召喚!スパークガンを装備し効果発動!3回までフィールドのモンスターの表示形式を変更できる!効果でサイバー・ツイン・ドラゴンを3回表示形式を変更する!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン/ATK→DEF→ATK→DEF2100
それにより、エドはカードを2枚引いた。その光景はまるで調教師と猛獣のようにも見えた。
そんな笑い声を聞いてピクリと亮が反応した。
「手札から融合を発動!!フィールドのスパークマン、フェニックスガイを融合!!」
フィールドにいたボロボロなフェニックスガイと電気のHEROが飛び上がると一体化した。
「融合召喚、シャイニングフェニックスガイ!!」
「(名前からすると…十代や紫苑のモンスターと同じ…)」
シャイニングフェニックスガイ/ATK2500→3700
そう考えてるうちにシャイニングフェニックスガイの攻撃力が上がって行く。
「シャイニングフェニックスガイの効果発動!!墓地に存在するE・HEROの数だけ攻撃力が300ポイントアップする!!バトル、シャイニング・フェニックスガイでサイバー・ツイン・ドラゴンに攻撃!!シャイニング・フィニッシュ!!」
サイバー・ツインが苦しそうなうめき声を上げながら爆散した。
その間もカイザーはある事を考えていた。
それの踏ん切りをつけるかどうか――
「カードを伏せて、ターンエンド」
エド
LP100 手札1枚
シャイニングフェニックスガイ/ATK3700
伏せカード2枚
―カイザーのターン―
「俺のターン!リバースカード、無謀な欲張りを発動!!効果で更にカードを2枚ドロー!!(……やはり)」
引いたカードを見た亮は目をつぶった。そして思い出しているのはほんの数日前――この日の対戦が決まった日だ。
―数日前―
「…珍しいな、そっちから連絡があるとは」
カイザーは電話口の相手にそう話しかけていた。部屋の外では亮のマネージャーが一体何の会話をしているの聞き耳を立てていた。
学生上がりで社会にまだ尊い亮がプライベートで何か問題を起こすかどうか監視していたのだ。
「…そうなのか。だが俺は事前に調べ回るような真似は……なんだ?…っ…それは一体何を意味してるのか分かってるのか…!!」
微妙にだが怒りを含んだ亮の言葉にマネージャーは少し身の危険を感じた。あの冷静な亮が切れかけているのだ。
「なに…?そのだけの為に…………分かった。だが一度………ああ、そうだ。明日の正午、埠頭だ」
それから2日間、亮は人前に現れなかった。
―回想終了―
「……(どうやら、あいつの言ってた通りだな)手札から未来融合を発動!!」
―???―
この展開を見ていたある男性は慌てふためいていた。
「ば、バカな…未来が…変わるだと…!?」
―アカデミア:ホール―
未来融合を発動させたのを見た生徒は湧きあがっていた、こうなれば亮の逆転劇が始まるとだれもがそう思っていた。
そんな中驚いている人物がいた。そう――『自らの知ってる世界』と全く違うことを知っている生徒だ。
「(どうして…ここはサイバネティック・フュージョン・サポートを使って…)」
「(イレギュラーの存在…どうやら私達よりも前に誰かが接触してたようね)」
―デュエルホール―
「未来融合…だが、君のサイバードラゴンは2体とも墓地、最後の一体だけで何を呼び出す気だ?」
「俺が選択するのは――
『キメラテック・オーバー・ドラゴン!!』」
そう宣言した瞬間亮の背後に20体余りの機械族モンスターが墓地に送られていく光景だった。本来の融合素材で最大で4体融合のはず――それに観客も、ホールも、エドも驚いて声が出なかった。
「このモンスターはサイバードラゴンを含む機械族モンスター2体以上の融合で召喚される!!俺が墓地に送るのはデッキに存在するサイバードラゴンと19体の機械族モンスターを墓地に送る!!」
19体――その数に全員が何も言えなかった。しかしエドは気を取り直してしっかりと亮を見据えていた。未来融合の効果発動にはラグがある。
ならこれで終わるはずはないと――
「…!そうか、その融合モンスターを召喚するためにオーバーロード・フュージョンを使う気か…!!」
エドの言葉に観客達もなるほどと気付いた。それならありえないモンスターを墓地に送る事も納得できた。
「残念ながら手札にオーバーロード・フュージョンは無い。発動するのは…これだ、サイバー・ダーク・インパクト!!」
亮が発動したカードによって墓地にいた3体のモンスターがデッキに戻された。一瞬「グラディアル・リターン」の様な回収効果だと思われていた。
「墓地に存在するサイバー・ダーク・ホーン、サイバー・ダーク・キール、サイバー・ダーク・エッジの3体のモンスターをデッキに戻すことでこのモンスターを召喚するカードだ…現れろ、鎧黒竜―サイバー・ダーク・ドラゴン!!!」
フィールドに現れたのは――今まで亮が使っていた綺麗な機械ではなく、歪な胴体をした――デッキに戻した3体のモンスターが一体化している巨大な龍だった。
「な、なんだこのモンスターは…!?」
その姿にエドは少なからず怯えていた。それはまるで相手を還付気無きまでに叩き潰す為に生れたようなモンスターだ。
「サイバー・ダーク・ドラゴンのモンスター効果!!召喚成功時、自分の墓地のドラゴン族モンスターをこのカードに装備カードとして装備する!!」
「墓地にドラゴン…だが、墓地にドラゴンなんて…!!」
そう、一度だけ、ただの一度だけ墓地にドラゴンを送ることのできるタイミングがあった。
「トラップ・ブースター……のコスト…!!」
「そうだ、効果で墓地に送られていたドラゴン族…(吹雪、お前の魂借りるぞ)真紅眼の黒竜を装備する!!」
―ホール―
「兄さん、シゲルだけじゃなくて亮にも渡してたの…?」
「てへ☆」
明日香の目の前には妙にキモイ兄がいた。
―デュエルホール―
「クッ…真紅眼の黒竜…!!」
「装備されたモンスターの攻撃力、そして墓地に存在するモンスターの数×100ポイントアップする!!墓地には21体のモンスター、装備された真紅眼は2400、よって――」
サイバー・ダーク・ドラゴン/ATK1000→5500
「攻撃力5500だと!?」
「バトルフェイズ、サイバー・ダーク・ドラゴンでシャイニング・フェニックスガイに攻撃!!」
サイバードラゴンとは違い、赤黒い光線がサイバー・ダーク・ドラゴンの口に集まっていた。
「リバース罠、フューチャー・デストロイ!!デッキの一番上からカードを5枚捨て、その中の魔法カードの数だけ僕に1000のダメージを受ける!!」
フューチャー・デストロイ
通常罠
自分のデッキから5枚墓地に送る。
その中に魔法カードが存在した場合1枚に付き
1000ポイントのダメージを受ける。
このカードが発動した次の自分のターンのスタンバイフェイズ、
このカードを除外することでフィールドのカード全てを破壊する。
「…墓地にHEROを増やして、攻撃力を上げたとしても3700のシャイニング・フェニックスガイの最大攻撃力は5200…そして魔法を引いたら負け……一か八か……いや、『未来を操る』つもりか…!!」
そう言ってる間にもエドはデッキの上から五枚のカードをめくった。
・E・HEROクレイマン
・E・HEROワイルドマン
・E・HEROエッジマン
・ヒーローシグナル
・E・HEROバブルマン
シャイニング・フェニックスガイ/ATK3700→4900
「攻撃は続行だ…!!!」
「まだだ!!!更にリバースカード、ライジングエナジーを発動!!手札のE・HEROネクロダークマンを捨てて、シャイニング・フェニックスガイの攻撃力を1500…さらに自身の効果で300上げる!!!」
シャイニング・フェニックスガイ/ATK4900→6400→6700
『こ、攻撃力6700だぁぁぁぁ!!!!この攻撃を通ると、逆に丸藤亮のライフが0になってしまうぅぅ!!!!』
「これで終わりだ!!」
「手札から速攻魔法、リミッター解除!!」
「なっ……!!」
サイバー・ダーク・ドラゴン/ATK5500→11000
攻撃力が――10000を越えた。
その現実にエドは――観客は――観戦者は言葉を失った。特にアカデミア生徒達はリスペクトの欠片も残されてない亮の戦いに言葉が出なかった。
「フル・ダークネス・バーストォォォ!!!」
シャイニング・フェニックスガイが更に巨大になった赤黒い光線につつまれ、苦しそうにうめき小声を上げて爆散した。
エド/LP100→-4200
―エドの控室―
「どうして…斎王の未来が変わった…のか…!?」
先程のデュエルでの勝負――自分の勝ちで終わると言う未来が変わったのが信じられなかった。
コンコン
その時、ドアがノックする音が聞こえた。エドはハッと顔を上げると来客者に応答するためにドアを開けた。
「っ…お前は…!!」
「…少し良いか?」
そこには丸藤亮がいた。
―アカデミア:校長室―
そこで鮫島校長はなにか頭を抱えていた。目の前にあるのは――
『サイバー・エンド・ドラゴン』
新入生の入学から2日後、とある事情で『サイバー流道場』にいた鮫島の元に亮がやってきた。
そして彼は簡単にこう言った。
「裏サイバー流の力を受け継ぎたい」
裏サイバー――それは亮の目指す「リスペクト」とはかけ離れているモノだった。それをなぜ亮が欲するのか鮫島には分からなかった。
そしてそれを賭けたサイバー流師範の鮫島と亮との勝負は激戦を極め、鮫島は破れてしまった。そんな彼が残していったのは3枚持っていたサイバー・エンドのうちの一枚だった。
それは彼が幼少のころから使用している3枚の中では一番思い入れのあるカードだった。なぜ彼がそれを残していったのか、プロリーグ初戦のエド・フェニックス戦でそれを使ったのか、理由が鮫島には分からなかった。
―回想―
『…珍しいな、そっちから連絡があるとは』
「ううん、少し…いいですか?」
エドと亮が戦うと聞いた日、ユウはあの日の胸騒ぎがどうしても忘れられず、亮に電話してしまった。
「実は…僕とエドは昔からの友達なんです」
それを聞いた亮は電話の向こうで少し驚いた反応をしていた。しかしすぐに気を取り直していた。
『…そうなのか。だが俺は事前に調べ回るような真似は』
「分かってます、亮さんがそんなまねは絶対にしないって…けど一つ」
ユウの明るい声ではなく、少し重たい、何かに苦しむ様な声に亮もただことじゃないとしっかり聞いていた。
『なんだ?』
「……エドとの勝負…リスペクトを捨てて、貪欲に勝ちに行ってくれませんか…?」
『っ…それは一体何を意味してるのか分かってるのか…!!」
亮は怒りを含んだ声でそう返してきた。それはユウの予想通りだった。彼は相手のデュエルを見るリスペクト精神を大事にしている。その上で勝っており、『カイザー』という称号を手に入れた
だが貪欲に勝ちに行くとなれば話は別だ。相手の行動を封じ、反撃の芽を摘み、戦闘不能に追い込む。そこにリスペクトという言葉はない。
「分かっています、それが亮さんの目指す物と違うと…」
『なに…?』
「実は…先日エドに会った時から…妙に胸騒ぎをして…」
『そのだけの為に…』
「はい…それが何なのか分かりませんが……なんか10年前の…僕の家族が失った日と似てる感じがして…」
『分かった…』
渋々ながらも亮は承諾した。「だが」と前置きしてこう言い残した。
『明日の正午、埠頭だ』
そこからユウは童実野埠頭で亮と観客のいない戦いを行った。
序盤から攻めに徹するも、手が止まった瞬間ユウは一気に巻き返された。そしてサイバー・ドラゴンを筆頭に強力なモンスターを召喚してユウを追い詰めた亮。
だが――
『クロスロード、グォレンダァァァァ!!』
亮/LP2300→0
ユウの真の切り札――『スピット・クロス・ドラゴン』が亮のフィールドのモンスター全てを攻撃し、敗北した。
そのカードを使うほど、ユウは今のエドに纏わりつく何かが彼を呑みこもうとしてるのではないかと心配していたのだ。
―エドの控室―
「…それで、一体何の用だ?わざわざそんな話をするために来たのではないんだろう」
「ユウからだ」
そう言って亮が取り出したのは一通の手紙だった。真っ白な封筒でエド宛てだった。
「…俺は
「……?」
亮がなにを言いたかったのか分からなかった。別に負ける事がおかしい訳ではない、それをなぜ今吐露したのか分からなかった。
「俺が学園で忘れずに心がけたのは『リスペクト精神』だった。だが…『そんな甘い事では生きていけない』ってな、珍しく反発してきてな…」
「ユウが…?」
ユウが何かに反発、それが他人の志す物ならなおさらしなかった。しかし幼いころから厳格な父親を見ていたユウはリーグの戦いで自らの志す物を失う亮を想像したくなかった。
「生き残るためには
「……負けたのか」
エドの言葉に亮は静かに頷いた。
「それで俺に…サイバー流でもごく一部しか知らないはずの裏サイバー流とお前の本気のデッキ…『D-HERO』が『運命を操るカード』と言う事を教えて帰って行った。そして先程のデュエル…俺は直感した。ユウの不安が的中してると」
「だがボクがD-HEROを使わなかった…それだけでユウの不安的中とは言いにくいんじゃ「今回の勝負、お前は誰かに『D-HERO』は使う名とは言われなかったか?」!!」
エドは確かにその通りだ、『D-HEROは使わずE・HEROで挑め』と彼のマネージャーに言われたのだ。
だが――
「…ではな」
用件をすでに終えている亮は控室から立ち去った。残されたエドは取りあいずユウからの手紙を読むことにした。
『エドへ
この手紙を読んでるってことはちゃんと届いたって事だと思ってる。
それと多分だけど読んでるってことは亮さんに負けたんだね。
勝手な事をしてごめん。けど…どうしても嫌な感じがしたんだ。
ただの胸騒ぎだといいんだけど、まるで…父さん達が死んだ時みたいにもやもやが体の中をかき回す感じがするんだ。
エドがなにに狙われて、ボクがどんな事を危惧しているのか知らないけど…我儘だけど…もう大切な人たちを失いたくないんだ。
これを読んでまだボクの友達でいてくれるのなら…また会おう
聖牙夕』
「………僕達は友達じゃない……親友だろ、ユウ」
嬉しそうなエドの声が静かに控室に響いた。
―アカデミア:ユウの部屋―
「そうですか…ありがとうございます」
『気にするな、今回の戦い…裏サイバーの力が無ければ俺も負けていた。俺は……もう戻れないだろうな』
ユウは電話で亮と会話していた。ちなみにシゲルは食堂で料理の最中だ。
「…すいません」
『十代にも言ったが…
「ユウ~、飯だ~」
部屋の外で剱都の声が聞こえた。それに返事をしたユウは電話口の亮に最後に一言言った。
「プロリーグ…気をつけてくださいね」
『…ああ』
剱都「カイザーがリスペクトを捨てた…!?」
とどのつまり、ヘル化です。
ツバキ「原作だともっとあとだよね…」
ほかの作品だといろいろと不遇なことになるからこっちだと最強で。
そのきっかけとしてユウの不安だね。
ユウ「不安…」
エドに何か起こる。そのために力を抜いていたらダメだと思う。そう考えてカイザーにお願いして、その代償としてスピット・クロス・ドラゴンとのバトルだったって感じ。
これで斎王の未来から外れた。
剱都「なるほどな…これで本来の世界からずれていくってことか」
解説はほぼ原作と同じ戦いだからあんまりだけど2点あるね
まず一つ、吹雪は真紅眼を多く持っています。
シゲル「俺も持ってるからな」
なんとなくシゲルのソウル・ブラック・ドラゴンが似ていることに吹雪が気に入って、
カイザーには自分は出席数の問題で留年するから友情のカードとして渡した。
紫苑「もう一点は?」
途中、愚かな落とし穴ってあるでしょ?
ユウ「そういえば、あれって何?」
ある人のアイデアでサイバージラフのコンボを止めて自爆するっていうのがあった。
シゲル「…おい、まさか」
うん、採用しちゃった(´∀`)
剱都「うぉい」
次回予告
カイザーとエドのデュエルが明けて数日後。
レッド寮には未曽有の危機?が迫っていた。
寮廃止に燃えるナポレオン教頭とクロノス臨時校長の2人。
しかしそれを受け入れないレッド生に対して代表戦で決着をつける事を決定した。
決戦当日にノーバディの5人は宮野に呼び出されていた。
そこで聞かされたのは——
「「「「「まあ、嘘だけどね」」」」」
「私は……荒木さんの足かせになりたくありません」
「…俺は死ぬ」
「クルしんデ……死ネ」
turn53 荒木の背負うモノ 命を賭けたゲーム
最強カードは「D-HEROドレッドガイ」
ツバキ「あれ?タイトルが違う?」
宮野の名前を変えたからこっちのタイトルも変更するからね。