―女子部屋の前―
「…俺だ、紫苑」
部屋の中にいた少女の声、それに十代はホッとした一面に同時に此処から逃げ出したかった。部屋の中に吹雪がいるのに気付いていたがそれどころではない。
『…十代、一体何の用ですか』
「紫苑…頼む、顔を見せてくれ」
部屋の向こうで――初めて会った時と同じ様な無情な台詞に十代の胸が締め付けられそうだった。
だが、実際に顔を見て話をすれば分かってくれると思っていた。
『――――――――――ぃ』
『紫苑ちゃん!!』
「紫苑…なんて?」
紫苑の聞き取れなかった言葉に吹雪が何か驚いている感じがした。しかし聞き取れなかった
『もう私の前に現れないでください』
「……え…?」
『私がどれほど心配したのか…分かってるんですか?』
紫苑の言葉が十代の胸に突き刺さる
『私がどんな気持ちでいたのか…知ってるんですか?』
紫苑の問いが十代の心を締め付ける
『私の気持ちを踏みにじって出て行った気持ちはさぞ楽しかったでしょうね』
「違う、俺はおまえの気持を…」
その先の言葉を言う事が出来なかった。否定したかった、ハッキリとNOと言いたかった。
だが言えなかった。
十代本人も理解し分かっていた。紫苑が十代をどう思っていたのか、そして十代の行動でどれほど傷付いたのか。
『今さら戻ってきて…それでなんですか?あなたに勝手に恋をして、勝手にボロボロになった私を嘲笑いに来たんですか?』
「違う!!俺はお前を嘲笑いに来たんじゃない!!」
そう言った、そしてしばらくの静寂がその場を包み込んだ。
やがて部屋のドアがガチャリと開いた。そこにいた紫苑は昔の様な無表情で――それでいてハッキリと十代を虚ろな目で見つめていた
光の無いその目がまるで十代を呑みこもうとしている蛇に見えた。
「十代、私と勝負してください」
「紫苑…っ!」
すると紫苑は一枚のカードを十代に投げた。それは――
『クリクリ~』
「相棒…!!」
十代のハネクリボーだ。十代が置いてきてそのまま――ではない。若干だがそのカードが濡れた跡ちらほらある。
「紫苑ちゃん、君は――!!」
「大丈夫です」
吹雪の止める声も聞かず、手すりから飛び降りて一階に下りた紫苑、そしてそれに対峙するように十代はデッキにハネクリボーのカードを入れてデッキをシャッフルしながら対峙した。
「さあ…勝負を楽しみましょうか…十代」
笑った紫苑の顔が――道化師の様に哀しそうだった。
―デュエルリング:観客席―
「な、なんでア~ルか…」
「クロノス教頭、今回の代表戦は教頭自身でやるとおっしゃってましたノ~ネ?」
そう、前回の十代の影響と紫苑の出来事でクロノスは外部の人間に代表を任せるのを反対していたのだ。
だがナポレオンは独断でエド、そしてチェルトに依頼したのだ。
「そ、それがなんでア~ルか?落ちこぼれのレッドを叩くためには必要な…」
「…教頭、彼らは落ちこぼれではないノーネ。そしてそもそも寮廃止なんて馬鹿げてるノーネ」
そう言ってクロノスはその場を立ち去り、レッド寮へ向かった。チェルトの言ってた通りなら十代は紫苑の元へ向かってるはずだったからだ。
―レッド寮―
「俺のターン…クレイマンを守備表示で召喚…」
クレイマン/DEF2000
フィールドに粘土状のHEROが現れた。本当は十代の手札には融合もスパークマンもいたためサンダージャイアントを呼びだす事が出来た。
だがそれをしなかった――
「…ターンエンド」
否、出来なかったのだ。
今の十代は紫苑と戦うと言う闘志が無かった。ただ話を聞いて、分かってもらいたかっただけだった。
十代
LP4000 手札5枚
クレイマン/DEF2000
伏せカード無し
―紫苑のターン―
「私のターン…!私は手札のフォーチュンレディ・ダルキーをコストにワン・フォー・ワンを発動!デッキからフォーチュンレディ・ライティーを召喚します!」
「なに!?」
フォーチュンレディ・ライティー/DEF200
フィールドに現れたのはE・HEROではなかった。
そこにいたのは金のショートカットの髪をした黄色い魔法使いだった。
「紫苑…!お前、HEROデッキはどうしたんだ!!」
「…貴方には関係ない事ですよ。私の事なんてどうでも良いんですから。召喚僧サモンプリースト召喚!」
サモンプリースト/DEF1600
十代の言葉に冷たく返した紫苑は僧人を召喚して手札のカードを一枚抜いた。
「手札の魔法カード、ディメンション・マジックをコストにデッキからレベル4のモンスターを1体特殊召喚します。フォーチュンレディ・ウォーテリーを特殊召喚!」
フォーチュンレディ・ウォーテリー/ATK1200
今度は全体的に青いロングヘアーの魔女が出現した。するとウォーテリーの右手から一滴の水滴が紫苑のデッキに落ちた。
「ウォーテリーのモンスター効果発動!特殊召喚成功時、ウォーテリー以外のフォーチュンレディがいる場合カードを2枚ドローする!そしてカードを2枚伏せてターンエンド!」
紫苑
LP4000 手札2枚
ライティー/DEF200 ウォーテリー/ATK1200 サモンプリースト/DEF1600
伏せカード2枚
―十代のターン―
「俺のターン…紫苑…どうして…HEROデッキを使わないんだ!!」
「十代君、彼女はHEROを『使わない』じゃない、『使えない』んだ!!」
「…え…?」
十代は吹雪の説明の言葉を失った。
十代は知らなかった―紫苑がHEROを使うことに拒絶反応が出ている事を。
モンスターを召喚すれば目眩が生じ、破壊されれば過呼吸、そして融合召喚しようとすれば震えが止まらくなる。
その為、彼女は持っていたサブデッキをメインデッキとして使用しているはずだったのだ。しかし常に十代と同じHEROを使う事を望んでいた彼女がそのデッキをアカデミアで使った事はない。
「そ、そんな…俺が…」
「……あなたのターンですよ。なにもしないのならすぐに私のターンに移行しますが」
ユウ達も知らない――彼女が
その光景が――チーム戦で彼女と戦った時はもっと生き生きしていた彼女の表情が失われている事実が、十代に重くのしかかった。
「………(だったら……『楽しむ心』を呼び醒ましてやる…!!)手札から魔法カード融合を発動!!フィールドのクレイマン、手札のスパークマンを融合しサンダージャイアントを融合召喚!!」
フィールドに巨大化したスパークマンが現れた。しかしそのモンスターを冷たく紫苑が視殺した。
「リバースカード、亜空間転送装置を発動。自分フィールドのモンスター1体をこのターンのエンドフェイズまで除外します。ライティーを除外!」
「自分のモンスターを…?」
どうしてそんな事をしたのか分からなかった十代、だがフォーチュンレディの恐ろしさは此処からだった――
「除外されたライティーはカード効果でフィールドを離れる時、デッキからフォーチュンレディを特殊召喚する効果があります、ファイリーを特殊召喚!」
フォーチュンレディ・ファイリー/ATK400
今度はフィールドに勝気な赤い魔女が出現した。それと同時に十代のサンダージャイアントの周囲に火球が舞い始めた。
「ファイリーのモンスター効果、特殊召喚成功時相手のモンスターを破壊し、その攻撃力分ダメージを与えます。サンダージャイアントを破壊!!」
「な、っ、ああああああああああああああああああ!!!!!????」
十代/LP4000→1600
サンダージャイアントが破壊され、十代にダメージが襲いかかった。しかし――それはまるで――
「「「「十代!!」」」」
「「兄貴!!」」
するとデュエルリングで観戦していたメンバーとエドが戻ってきた。そのはるか後方からはクロノスの姿も見える。
「っ…ぁ……み…みんな……!!」
「っ!!お、おい、あれ…!!」
荒木が指差した先には管理局が使用しているものとほぼ同じ魔法陣があった。
しかしそれを扱えるのは今現在戦っているのは十代は無理だから――
「紫苑!!お前、十代を殺す気か!!」
紫苑――元魔導師の彼女しか今の状況を生み出すことはできなかった。
しかし彼女はそんな事を気にしていない様子だった。
「私は…!!相手を倒す…ただそれだけ…!!」
「…あいつ、まさか……錯乱してるんじゃないのか…!?」
情緒不安定となった紫苑は魔法の力で十代と闇のゲームをしていたのだ。
しかし魔法陣が張られている今、他の誰かがこの戦いに介入することはできない。つまり――
「っぁ……!!俺は…魔法カード、コンバートコンタクトを発動!!」
紫苑を変えてしまった十代自身で何とかしなければいけない。
「手札のN・ブラック・パンサーとデッキのN・エア・ハミングバードを墓地に送りカードを2枚ドローする!!」
「N…アレが十代の新たなカードか…」
剱都がそう冷静に分析していた。だが、それ以上に気になってるのは紫苑のフィールドにいるモンスターだった。
「…なあ、ツバキ。お前…あの魔法使い知ってるか?」
『フォーチュンレディ』という魔法使い。それはいくつもの大会に参加した剱都は見たことがない。
だが、ツバキも同じように知らないようだった。
「けど、それがどうかしたんっすか?」
「…あいつの使ってるはずのサブデッキは……ツバキのサブデッキ、一言で言うと魔力カウンターエンディミオンのはずなんだ」
そう、ツバキのデッキなら知ってるはずなのに紫苑のデッキは誰も知らないのだ。
「手札から魔法カード融合回収を発動!!墓地のスパークマンと融合を手札に加える!!そして融合を発動!!手札のスパークマンとN・フレア・スカラベを融合!!来い、ノヴァマスター!!」
ノヴァマスター/ATK2600
フィールドに灼熱のE・HEROが出現した。他の皆は知らないが十代のNと紫苑から受け取ったHEROとの相性は最高だった。
「バトルフェイズ!!ノヴァマスターでファイリーに攻撃!!エクストリームフレイム!!」
「リバース罠、フォーチュン・トリップを発動。ゲームから除外されているフォーチュンレディを1体墓地に送ることで相手の攻撃は無効です!」
フォーチュン・トリップ
通常罠
相手の攻撃宣言時発動する事が出来る。
自分のゲームから除外されている「フォーチュン」と名のつく
モンスターを1体墓地に送り、攻撃を無効にする事が出来る。
その後お互いにデッキからカードを1枚ドローする。
「さらにお互いにカードをドロー」
「クッ…俺はカードを2枚伏せてターンエンド!!」
十代
LP1600 手札2枚
ノヴァマスター/ATK2600
伏せカード2枚
―紫苑のターン―
「私のターン、スタンバイフェイズフィールドのフォーチュンレディは其々レベルが1つずつ上がり、更に攻撃力がアップします!」
フォーチュンレディ・ファイリー/ATK400→600/☆2→3
フォーチュンレディ・ウォーテリー/ATK1200→1500/☆4→5
「更にフィールドに存在するサモンプリーストを対象にフューチャーサモンを発動!自分フィールドのモンスターをデッキに戻し、デッキのフォーチュンレディを1体特殊召喚します!来なさい、アーシー!!」
フォーチュンサモン
通常魔法
自分フィールドの「フォーチュンレディ」と名のつくモンスター以外の魔法使い族モンスターをデッキに戻し発動する。
デッキから「フォーチュンレディ」と名のつくモンスターを1体特殊召喚する。
フィールドに現れたのは大地を彷彿とさせる茶色い格好に丸眼鏡の様な物をかけた女性だった。
フォーチュンレディ・アーシー/ATK2400
「手札から魔法カード、バインド・ワンドをアーシーに装備します」
アーシーの手に赤い宝石のついたワンドが装備された。するとその赤い宝石が輝きだした。
「このカードは装備モンスターのレベル分だけ攻撃力が上がります!」
フォーチュンレディ・アーシー/ATK2400→3000
「攻撃力3000!?」
「バトルフェイズ、アーシーでノヴァマスターに攻撃カースド・スキュアー!!」
アーシーが持っていた杖を大地に突き立てると巨大な無数の棘がノヴァマスターに向かって伸びて行った。
「うわああああああああああああ!!!!!!」
十代/LP1600→1200
「十代!!」
「まずい、ウォーテリーの攻撃を喰らったら負けだ!!」
「……ファイリーで攻撃」
「…え?」
何故か紫苑は止めの刺せるウォーテリーではなく、ファイリーで攻撃をしかけた。
「っ…!!」
十代/LP1200→600
等々十代のライフが1000を切ってしまった。すると十代の伏せていたカードが開いた。
「リバースカード発動!!ヒーロー強襲!!このカードは自分が直接攻撃を受けた時、E・HEROを特殊召喚する!!」
ヒーロー強襲
通常罠
自分が直接攻撃を受けた時発動する事ができる。
デッキからレベル4以下の「E・HERO」と名のついたモンスターを1体特殊召喚する。
その後相手フィールドのモンスター1体を破壊することができる。
「俺はデッキからE・HEROプリズマーを特殊召喚!!さらにヒーロー強襲の効果でウォーテリーを破壊する!!」
「くっ…!!」
「どうしてアーシーを残したんザウルス?」
水の魔女が破壊された。しかしウォーテリーでどの道破壊できないのにどうして攻撃力の高いアーシーを残したのか
「バウンドワンドは相手によって装備モンスター破壊された時、そのモンスターを特殊召喚する効果があるわ。だからもし破壊していたら再びアーシーの攻撃からの直接攻撃で十代の負けだったよ」
この中で一番魔法使いの事に精通しているツバキがそう説明した。しかし最後の一言で全員が気になってる事があった。
「…紫苑、どうして止めを刺さなかった」
「……………私はカードを伏せてターンエンド」
十代の問いに紫苑は何も言わずターンエンドを宣言した。
紫苑
LP4000 手札1枚
アーシー/ATK3000 ファイリー/ATK600
バインドワンド 伏せカード1枚
―十代のターン―
「俺のターン!!壺の中の魔術書を発動!!お互いのカードをドローする!!さらにリバースカード、リミット・リバースを発動!!墓地に存在する攻撃力1000以下のモンスターを特殊召喚する!!来い、エア・ハミングバード!!」
フィールドに赤い体の鳥人が現れた。コンバードコンタクトで墓地に送っていたモンスターだ。
「効果発動!!相手の手札の枚数分ライフを500ポイント回復する!!」
「うまい、これで2000ポイント回復する!!」
十代/LP600→2600
先程の壺の中の魔術書は相手にデメリットを与えるが、こうすれば1500のライフを稼ぐ事も可能だ。
しかし十代は先程壺の中の魔術書でこのカードを引いていたのだ。
「
N・フェザー・ハミングバード/ATK1200
フィールドに更に進化したエア・ハミングバードが召喚された。しかしエア・ハミングバードと同名ではないはず――
「このモンスターはエア・ハミングバードとしても扱う!!そしてこのモンスターは自分の手札のカードの枚数×500ポイントライフを回復する!!2000回復!!」
N・フェザー・ハミングバード
星4/風属性/鳥獣族/攻1200/守1000
このカード名はルール上「N・エア・ハミングバード」としても扱う。
このカードは「NEX」の効果でのみ特殊召喚できる。
自分の手札1枚につき、自分は500ライフポイント回復する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
十代/LP2600→4600
「すごい回復量だな…僅か600から7倍のライフだぞ」
「プリズマーの効果発動!!ネオスをデッキから捨て、このターンネオスとして扱う!!
これが俺の新たな力だ!!フィールドのフェザー・ハミングバードとネオスをデッキに戻して融合を行う!!コンタクト融合!!」
すると空高く跳び上がったフェザー・ハミングバード、ネオスとなったプリズマーが宇宙の彼方で融合を行った。
「出でよ!!E・HEROフェザー・ネオス!!」
フィールドに出現したのはハチドリと一体化したネオスだった。
フェザー・ネオス/ATK2700
「バトル!!フェザー・ネオスでアーシーに攻撃!!」
「攻撃力は私よりも下…コンバットトリックですか」
そう言ってる間にも飛び上がったフェザー・ネオスがフォーチュンレディ・アーシーに向かって滑空した。
「フェザー・ネオスが攻撃する時俺のライフが相手よりも上の場合その数値分攻撃力をアップする!!」
E・HEROフェザー・ネオス
星7/風属性/戦士族/攻2700/守2400
「E・HERO ネオス」+「N・フェザー・ハミングバード」
自分フィールド上に存在する上記のカードをデッキに戻した場合のみ、
融合デッキから特殊召喚が可能(「融合」魔法カードは必要としない)。
このモンスターの攻撃宣言時、自分のライフが相手よりも上の場合
その数値だけこのカードの攻撃力がアップする。
このカードが攻撃対象にされた時、相手のライフが自分よりも上の場合
その数値分だけ相手のモンスターの攻撃力をダウンする。
フェザー・ネオス/ATK2700→3300
「ハイパー・スカイリップ・ウィング!!」
「クッ…!!」
紫苑/LP4000→3700
「バウンドワンドの効果発動!!装備モンスターが相手によって破壊されこのカードが墓地に送られた場合そのモンスターを特殊召喚する!!」
アーシー/ATK2400
地面から再びアーシーが現れた。
「カードを伏せてターンエンド!!」
十代
LP4600 手札3枚
フェザー・ネオス/ATK2700
リミット・リバース(対象なし) 伏せカード1枚
―紫苑のターン―
「私のターン、スタンバイフェイズフィールドにフォーチュンレディはレベルが上がります!」
アーシー/ATK2400→2800/☆6→7
ファイリー/ATK600→800/☆3→4
「更にアーシーの効果発動、このモンスターのレベルが上がった時、相手に400ポイントのダメージを与える!」
「なっ!!ぐぁ!!」
十代/LP4600→4200
地面から飛び出した刺が、十代に襲いかかった。
「手札から魔法カード、スター・チェンジャーを発動!」
見覚えのあるそのカード。そしてそのカードを紫苑は持っていなかったはず。
「……どうやらお前ら姉妹は俺のカードを盗むのが趣味みたいだな」
「ぁぅぁぅ…///」
スター・チェンジャーはシゲルのカードだ。
それに少し黒い笑みでツバキの頭を掴んで万力をして、彼女はその恥ずかしさと痛さで顔が真っ赤になっている。
「効果でアーシーのレベルをこのターンまで1つアップ!」
アーシー/ATK2800→3200/☆8
「更にアーシーの効果、400ダメージ!」
「っ…あああああああ!!!!!」
十代/LP4200→3800
再び刺に襲われた十代。たしかにレベル変更を行うスター・チェンジャーとはアーシーは相性が良かった。
「手札から手札断殺を発動!!互いに手札を2枚捨て、2枚ドロー。そしてフォーチュンレディ・ウィンディーを召喚。効果発動!」
ウィンディー/ATK900
フィールドに現れたのは風をモチーフにした魔女が出現した。
「ウィンディーは召喚に成功した時、フォーチュンレディの数だけ相手の魔法・罠を破壊する事が出来る!」
「ッ…!!破壊されたヒーローメダルの効果発動!!セットされたこのカードが相手によって破壊された時、デッキに戻してカードをドローする!!」
しかし、ブラフとは言え十代の伏せカードが無くなってしまった。
これでシオンは心おきなく十代に攻撃をすることができる。
「バトル、フォーチュンレディ・アーシーでフェザー・ネオスに攻撃!!カースド・スキュアー!!」
アーシーの生み出した大地の棘がフェザー・ネオスに襲いかかった。空に逃げようと翼を広げたフェザー・ネオスの翼に棘が突き刺さり、成すすべなく破壊されてしまった。
「うわあああああああ!!!!」
十代/LP3800→3300
「ファイリー、ウィンディーで直接攻撃!!」
「っあああああああああああああああああああああ!!!」
十代/LP3300→1600
再び十代のライフが半分以上削られてしまった。本来のデッキではないフォーチュンレディを此処まで使いこなすのは紫苑のセンスがやはりすごいのだ。
「カードを1枚伏せ、ターンエンド!!」
アーシー/ATK3200→2800/☆8→7
紫苑
LP3700 手札1枚
アーシー/ATK2800 ウィンディー/ATK900 ファイリー/ATK800
伏せカード2枚
―十代のターン―
「俺のターン!!魔法カードミラクル・コンタクトを発動!!墓地のネオスとN・ブラック・パンサーをデッキに戻してエクストラデッキからブラック・ネオスを特殊召喚!!」
墓地にいた黒豹、そしてネオスが飛び上がり一体化した。
ブラック・ネオス/ATK2500
「ブラック・ネオスの効果発動!!相手フィールドのモンスター1体の効果を無効にする!!アーシーの効果を無効に!!」
「っ…!!」
アーシー/ATK2800→0
「攻撃力が0になったっス!?」
「あのモンスターはレベルの分だけ攻撃力が上がるって効果だったみたいだ。それが永続効果なら…無効になれば0になる」
驚いている翔にエドがそう補足した。いい例がグリード・クエーサーという破壊したモンスターのレベルを捕食し、そして攻撃力を上げるモンスターだ。
「バトル!!ブラック・ネオスでアーシーに攻撃!!ラス・オブ・ブラック・ネオス!!」
「クッ……きゃあああああああああああああ!!!!!!」
紫苑/LP3700→1200
直接攻撃と同等の衝撃が紫苑に襲いかかった。十代の読み通りならおそらく――
「……っ…………なかなかやりますね」
「っ……」
紫苑の反応は変わらなかった。それに十代は恨めしそうにモンスターを伏せた。
「モンスターを伏せ、ターンエンド!?」
十代がエンド宣言した瞬間ブラック・ネオスがフィールドから霧の様に消えてしまった。しかし紫苑は何もしてない。
すると十代はエクストラデッキにあったブラック・ネオスを改めて確認した。
「……ブラック・ネオスはエンドフェイズにデッキに戻る」
良く見るとフレア・ネオスやグロー・ネオスも同じ効果があった。
しかし何故かゴスペルと戦ってる時2体のモンスターの効果が発動しなかった。
「………(あ、ネオスペースの最後の効果…)」
そういえばと思いだしたのはネオスペースの最後の効果の『「E・HERO ネオス」を融合素材とする融合モンスターは、エンドフェイズ時にデッキに戻る効果を発動しなくてもよい。』という効果だ。
意味が理解できなかったがやっと分かった。
十代
LP1600 手札3枚
伏せモンスター1体
伏せカード無し
―紫苑のターン―
「あたしのターン、ドロー!!…遊城十代」
カードを引いた紫苑はおもむろに十代の名前を呼び掛けた。しかしその言葉が余所余所しく、さらに彼女が彼の名をフルネームで言う事が初めてだった。
「もう気付いているんでしょう?
「…やっぱりお前…!!」
この勝負で紫苑がフォーチュンレディを使った時から――いや、紫苑が十代にハネクリボーのカードを返した時から感じていた『違和感』
「なによ…一体何に気付いているの…!?」
「恐らく十代だけが気付いた何かがあるんだろう」
外野のメンバーは一体何の事なのか分からなかった。
だが、剱都やツバキは紫苑の一人称が何か違う気がした。
「…お前……誰だ…!!」
「やはり分かりましたか…私が『紫苑』ではないと」
当てられて面白そうに紫苑の顔の『彼女』は口元を緩めた。しかし目が変わらず、戦う前の道化師の笑いの様だった。
「どういうことかしら…?」
「さあ…十代さんは分かってるみたいだけど…」
雪乃とジュードがそう言っていた。だが外野の殆ど――いや、全員が雪乃の様に理解して無かった。
「一体お前は誰なんだ!?」
「あたしですか…そうですね。『元々のあたし』の名前は『彼女』が使ってますから…どうせなら『使われなくなったあたし』の名前を使わせてもらいますか…」
警戒している十代に向かって『彼女』は優雅に一礼をした。
「初めまして」
『彼女』は『紫苑』の心を壊れない様に入れ替わった。
「…そして久しぶり」
『紫苑』は元々『彼女』だった。
「あたしは…『
『青い色』の目をして、彼女は名乗った。
紫苑「ドウイウコトナノ・・・」
平たく言えば2重人格の様なもの。彼女のことは次回説明する。
一応差別化するために紫苑は「私」星光は「あたし」と言うね。
剱都「わかりにくいな…」
他の案としては「僕」や「星光」といった一人称があったが、そっちのほうが色々とややこしいからやめた。
ツバキ「フォーチュンレディ使い…」
それだけじゃない。次の話では新しいオリジナルシリーズを使用する。
シゲル「オリジナルと言えば…気になる派生モンスターがいたな」
フェザー・ハミングとフェザー・ネオスだな。
NEXで召喚するモンスターがティンクルとマリンだけなのは物足りなくてフェザーを作ってみた。
名前の由来は「マリン」が「海」ということだから。
剣賭「安易すぎねぇか?」
そんなものだ。
次回予告
十代が紫苑と話をするためには『星光』を倒さなければならない。
しかし召喚される新たなモンスターに十代のHEROは押されていく。
残された手段は——
「HEROにはHEROの戦う舞台があるんだ!!」
「私の勝ちです」
最後に笑うのは
英雄か——
「ネオスを召喚!!」
魔女か——
「出でよ、ワルプルギス!!」
次回turn62 星光の望み ネオスVS魔女 後編
最強カードは『フォーチュンクイーン・ワルプルギス』