遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn69 執事と家族 水面下の戦い

修学旅行から10日後。

 

 

―ホワイト寮:地下ホール―

 

とうとうイエロー筆頭ともいえる三沢まで引き入れた光の結社。

 

だが斎王のお付きの人の様な立場の万丈目さえ入ることの許されない場所――

 

 

そこには巨大な女神が天秤を掲げている像がある。その像を見上げる様にして佇む男――斎王琢磨。

 

 

「斎王様、支度ができました」

 

 

そこに現れたのは如月の写真に写っていた小柄な人物と深くフードを被った人物だった。その報告を聞いた斎王は満足そうに頷いた。

 

 

「では始めなさい」

 

 

―アジト―

 

 

「…そろそろ限界か」

 

 

如月の情報網を駆使してあれこれ調べていたシゲル。しかし斎王の過去死か判明せず、目ぼしい成果も無かった。

 

 

ちなみにジュンコと剱都は十代が勝手に島を出た反省レポートの手伝いをしており、紫苑とツバキは修学旅行中の襲撃の検査のため本島の病院へ、その付き添いに荒木が付いている。

 

 

「…ん?」

 

 

シゲルの視界の隅にあるランプが点灯していた。

 

 

「な…っ…!!一体……」

 

 

それは『ブルー寮地下のターミナルが稼働した』事を示すランプだった。

 

 

 

―その頃―

 

 

「はぁ〜…なんで私まで…」

「仕方ないよ。そうじゃないと飯抜きだし」

 

 

シゲルからレッド寮の足りない食料をトメさんに発注してもらったから受け取りに行ってもらいたいと言う頼みを聞いて雪乃とジュードが米と調味料が入った袋を重そうに持って歩いていた。

 

 

「それにしてもシゲルさんの食事っておいしいわね。私の家のシェフよりも腕がいいかも…」

「ハハ…そうだね(…………)」

 

 

雪乃と会話しながらジュードは何か気になっていた。横目で隣を歩いていたナタリアに合図すると彼女は頷いてその場から消えた。

 

 

「あら?ナタリアは?」

「ん?またどっかに遊びに行ったんじゃないの?(どう?)」

『(ジュードの思ってる通り後ろ30mの木の影。スーツのヤク○が見てるよ)』

 

 

 

紫苑から教えてもらった『念話』と言うモノでナタリアと会話しているジュードはやっぱりと心の中でため息をついた。

 

 

先程から誰かに見られている気がしていた。そしてそれがこそこそと動いているとなれば碌なことではない。

 

 

「雪乃、走るぞ」

「え?ちょ、待ちなさい!!」

 

 

ジュードは開いていた手で雪乃の腕を掴むとレッド寮まで走り「とまれ!!!」抜けれなかった。

 

 

 

2人の周囲にはナタリアの見た○クザが10人ほど取り囲んでいてとてもじゃないが突破は無理だった。

 

 

「チッ…囲まれたか」

「な、なんなのこいつ等!!」

 

 

「おやおや、私の部下をこいつ呼ばわりとはひどいね…雪乃」

「なっ…!?」

 

 

 

雪乃の言葉にそう返したのは初老の男性だった。白い口髭を生やし、真っ白な髪だけなら優しそうなご老人だが、その眼は全てを見極めることに洗礼されている目をしていた。

 

 

 

「雪乃、誰だあれ」

「………私のお義父様よ」

 

 

「…えっ…!?」

 

―回想:side雪乃―

 

 

私――藤原雪乃と兄の藤原優介は普通の家庭で育っていたわ。ワンマン商社に勤め海外出張も多い父に、家庭的で常に私達の事を考えていた母。

 

そして私と(優介)の4人家族。

 

その日は珍しく父が日本に帰ってきて数週間の休みを与えられたわ。

 

 

父は私と兄とどこかでかけたい場所に行こうと提案した。私も兄も父に甘える事が出来ると大はしゃぎ…

 

 

けど、それが私達の運命を変えた。

 

 

私の父が運転する車が暴走車と正面衝突した。

 

 

幸い後部座席にいた私達はかすり傷程度の軽いけがで済んだ…そう『私達』は

 

 

 

車を運転していた父、そして助手席にいた母は帰らぬ人となったわ。

 

 

それ以来私は兄の泣く姿を見なくなったわ。幸い父は多額の資産を残したから生活には不自由ではなかった。

 

 

けどそんなある日、母方の祖父の息子――つまり、私の伯父に当たる人が訪ねてきたわ。私と兄を引き取りたいと。

 

 

弁護士は『子供に発言権は無い』と言わんばかりに勝手に私と兄をその伯父の養子にしてしまった。

 

―回想終了―

 

 

「…何か用ですか?私達は忙しいのです」

 

 

 

 

「雪乃、今すぐこの学校を止めなさい」

 

 

突然の言葉に雪乃の眼つきが厳しくなる。しかし雪乃の義父――赤井一朗はそんなこと関係無しに言葉を綴った。

 

 

 

「いつまでいなくなった亡霊を探す気だ?あの男は死んだ。現実を受け入れなさい」

 

「兄は死んでなんかいないわ!!帰って!!」

 

 

 

そう雪乃は激昂するも、そんなことどこ吹く風、赤井は軽いため息を付くと眼鏡ふきを取り出しそれで眼鏡を吹きながら続けた。

 

 

「お前に見合いの話が来ている。相手は――」

「そんな事を言いに来たの?だったらさっさと帰って!!」

 

 

クールビューティーと言う名がふさわしい彼女は此処にいない。兄を見捨て、自分の進む道を邪魔する男に対して牙を立てる雪乃にジュードは何も言えなかった。

 

 

「…ふむ、だがお前の探す『藤原優介』の手掛かりはあったのか?所詮死んだ男だ。なにも出てきてないのだろう?」

「っ……!!!」

 

 

確かにその通りだった。吹雪から何か聞く事が出来ると思っていた雪乃だが、当の本人はその記憶を失っている。他に兄に関する情報は何もない。

 

 

「一人でそんな男探すのは時間の無駄だ。分かったら」

「一人じゃない!!」

 

 

 

 

「…なにを言ってるのかね?君は」

 

 

 

ジュードの言葉に赤井は眉をひそめた。先程から2人の会話を聞いているだけの少年はトンと自分を指さしながら赤井を見た。

 

 

「僕も一緒に探してる…!!それに羽黒先輩やシゲ兄、姫野先輩たちだって探してくれてる!!」

 

「…はぁ」

 

 

 

その言葉に赤井は「やれやれ」と言ってる様にため息をついた。

 

 

「私が言ってるのはね、そんな事をしても無駄だというのだよ。仮に生きてるとしよう、どうして誰も彼を見ない?どうして彼を探してる君達の前に現れない?それは彼が会えない状況だと言うことだ。それも4年間もだ。常識的に考えてそんな状況は無い。分かるだろ?」

 

 

「クッ…」

 

 

正論過ぎる。この男は既に藤原優介と言う人物が確実に言ないと言う理屈を並べた。

 

それを突破するのはほぼ不可能だった。

 

 

「…私は言ったはずだ。もしも藤原優介の手掛かりが無いのならこの学園を去り、私の元に戻ると「何だこの状況」…」

 

 

 

赤井の言葉にかぶせる様にして現れたのは――

 

 

「「羽黒先輩!!」」

 

 

 

気だるそうな剱都だった。ちなみにじゃんけんで負け3人分のジュースを買いに購買へ向かってる最中だった。

 

 

「ジュード、雪乃。なにしてるんだ?」

 

「…悪いが君には関係の無いことだ」

 

 

剱都を見た赤井はただ一言そう言った。しかし剱都は一つ大きなため息をついた。昔から外見の問題か「関係ない」と言われ、除者にされる事が多いのだ。

 

 

「おい、関係ないって何基準でだ?この2人は俺の後輩で仲間だ。それが良く分からない野郎に絡まれて『関係ねぇ』ってのはおかしいだろ、オッサン」

 

「オッ…貴様!!言葉には「そして」っ」

 

 

 

剱都はそう言って、普段見せる様な目ではなく相手を射殺すような目で赤井を睨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「仲間に手を出すのなら、()る」

 

「っ…!!(な、なんなんだ。赤井一朗50年の人生の中で此処までの気迫を…!!)き、貴様は何者だ!!」

 

 

「羽黒剱都、『チーム・ノーバディ』のリーダーだ」

 

 

ちなみに剱都がリーダーと決まったのはクジだとは内緒だ。

 

 

「ならばこうしよう。こちらの代表のデュエリストと君が戦い、勝利した方の要件を呑むってのは」

「…いいだろう」

 

 

 

―20分後:リングサイド―

 

 

「先輩…すいません、私の所為で」

「気にすんな(…そういえば昔、俺は向こうサイドだったな)」

 

 

一年前のユウVS剱都の戦いをしみじみと思い出している。一方剱都が登ったリングとは逆サイドにはビリヤードのハスラーの様な男性が立っていた。

 

 

「…プロのクロンツ・ウィリーか」

「ご名答。まさか君みたいなboyまでも私の名を知っていてくれるとは光栄だね」

 

 

クロンツはそう優雅に礼をした。しかし剱都は目の前のクロンツに危機感を覚えている。彼の使うデッキは――

 

 

―クロンツのターン―

 

 

「私のターン!!カードを2枚伏せ、モンスターを伏せターンエンド!!」

 

 

クロンツ

LP4000 手札3枚

モンスター1体

伏せカード2枚

 

―剱都のターン―

 

 

「俺のターン!!俺はマシンナーズ・ギアフレームを召喚!!効果でデッキからマシンナーズ・フォートレスを手札に加える!!」

 

 

マシンナーズ・ギアフレーム/ATK1800

 

 

「ほう…マシンナーズとは…!!」

 

「カードを一枚伏せて手札のマシンナーズ・フォートレスの効果発動!!自身とマシンナーズ・ブルースを墓地に送り特殊召喚!!」

 

 

マシンナーズ・フォートレス/ATK2500

 

「バトルだ!!マシンナーズ・ギアフレームでセットモンスターに攻撃!!」

 

「攻撃宣言時、リバース罠マクロコスモスを発動!!お互いに墓地に送られるカードは除外される!!そしてセットモンスターは魔導雑貨商人、リバース効果(Reverse Effect)発動!!デッキの上から魔法・罠が出るまでカードをめくり、それ以外のカードを全て捨てる!!」

 

 

すると一気に15枚のカードがゲームから除外された。

 

 

「効果でダーク・バーストを手札に加える!!」

「まだフォートレスの攻撃が残っている!!直接攻撃だ!!」

 

クロンツ/LP4000→1500

 

「っ…これは流石に効いたね。リバース罠ダメージ・コンデンサーを発動!!手札のネクロフェイスを捨て、デッキからD・D・Mを守備表示で召喚!!」

 

 

D・D・M/DEF1500

 

 

「更にネクロフェイスのEffectでお互いにデッキの上から5枚除外する!」

「チッ…カードを伏せてターンエンドだ!!」

 

剱都

LP4000 手札3枚

マシンナーズ・ギアフレーム/ATK1800 マシンナーズ・フォートレス/ATK2500

伏せカード1枚

 

―クロンツのターン―

 

 

「私のターン!!D・D・Mの効果発動!!手札のダーク・バーストをコストに紅蓮魔獣ダ・イーザを特殊召喚!!」

 

 

フィールドに赤い魔獣が出現した。以前ユウの『異次元デッキ』で見た事あるモンスター。そう、クロンツのデッキは――

 

 

 

「『ディメンション・クロンツ』の通り名通りだな」

 

 

赤井の言った言葉、簡単に言うとユウの本気『異次元デッキ』と同じ系統のデッキだ。

 

 

「ダ・イーザの攻撃力は除外されてるカードにつき400…!!」

その通り(That's Wright)!除外されているのは24枚、よって9600ポイントだ!!」

 

 

ダ・イーザ/ATK?→9600

 

 

「バトルフェイズ!!ダ・イーザでマシンナーズ・フォートレスに攻撃!!」

 

「リバース罠、進入禁止!No Entry!を発動!!攻撃表示モンスターを守備表示に変更する!!」

 

 

ダ・イーザ/ATK6900→DEF6900

マシンナーズ・ギアフレーム/ATK1800→DEF0

マシンナーズ・フォートレス/ATK2500→DEF1600

 

 

「なるほど、ある程度このデッキのコンセプトの様なモノは見抜いてるみたいだね」

「お生憎様、友達(ダチ)に除外デッキ持ってるのがいるからな。ある程度対策もとれるんだよ」

 

 

それを聞いたクロンツは面白そうに笑った。

 

 

「案外プロでもこのデッキ相手にするのは苦手なのが多くてね…『本来の姿』になる事もないんだよ」

 

「………なに?」

 

 

本来の姿と言うことは彼のデッキはユウの異次元デッキと同じ訳ではない。おそらく剱都も予想外の事が――

 

 

「メインフェイズ2!!手札のチューナーモンスター異次元の精霊の効果(Effect)発動!!」

「ん?(あれって…精霊か?)」

 

 

クロンツが発動したモンスターはこの前の長期休暇で黒崎と三島から奪われた精霊のカードと大樹を取り戻した時に見たあのモンスターだった。

 

 

「フィールドの紅蓮魔獣ダ・イーザを除外して特殊召喚!!

レベル5のD・D・Mにレベル1の異次元の精霊をチューニング!!

Cleft of the king from a different dimension, a different world that governs the soul of the advent

(異次元の裂け目より、異世界の魂をつかさどる王が降臨する)!!」

 

 

☆5+☆1=☆6

 

 

「シンクロ召喚!!紅蓮魔皇デ・ヴァード!!」

 

 

デ・ヴァード/ATK?

 

フィールドにダ・イーザの様な赤い衣服に身を包んだ厳格な王が出現した。

 

 

「デ・ヴァードのEffect発動、このモンスターの攻撃力と守備力はゲームから除外されている自分のカード1枚につき600ポイントアップする!!」

 

 

デ・ヴァード/ATK?→16200

 

 

「16000だと!?」

「更にデ・ヴァードは1ターンに1度手札のモンスターを除外することで相手フィールドのモンスターをゲームから除外する!!このEffectを使用するターン攻撃を行うことができないけどね。フォートレスを除外!!」

 

 

紅蓮魔皇デ・ヴァード

シンクロモンスター

☆6/炎属性/戦士族/ATK?/DEF?

チューナーモンスター+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードの攻撃力・守備力はゲームから除外されているモンスター1体につき600ポイントアップする。

1ターンに1度自分の手札に存在するモンスターを除外することで

相手フィールドのモンスター1体をゲームから除外することができる。

この効果を発動したターン、このモンスターは攻撃を行うことができない。

 

 

「フォートレスの効果発動!!このカードが相手モンスターの対象になった時、相手の手札を確認して1枚捨てる!!」

「手札はカオス・エンドとグランドクロスだ」

 

 

両方とも発動条件を満たし、フィールドのモンスター破壊系の魔法カードだ。

しかし速攻魔法という点から考えると――

 

 

「グランドクロスを墓地に」

 

デ・ヴァード/ATK16200→16800

 

「むぅ…ならばこのままターンエンド!!」

 

クロンツ

LP1500 手札1枚

デ・ヴァード/ATK16200

マクロコスモス

 

―剱都のターン―

 

 

「俺のターン!!(異次元の精霊で除外したモンスターは次の自分のスタンバイフェイズに戻ってくる。流石に10000オーバーのモンスター2体を相手にするのは無理だな…)」

 

 

「…どうやらお前達の慕う『先輩』でもこの程度か」

 

 

赤井がそう悪態をついていた。実を言うと彼もかつてプロリーグで名の通ったデュエリストだった。そして自身の育成所でクロンツを育て上げると言う技術もある。

 

 

「おいおい、経過だけ見て判断するのは(ボス)としてどうなんだよ」

「ふん、そんなことはクロンツに勝ってから言うのだな」

 

 

赤井の言葉に剱都は面白そうに「なら」と笑った。

 

 

「勝たせてもらう、手札から魔法カードマシンナーズ・ガレージを発動!!デッキから『マシンナーズ』と名の付くモンスターを手札に加える!!」

 

 

マシンナーズ・ガレージ

通常魔法

デッキからレベル4以下の「マシンナーズ」と名の付くモンスターを手札に加える。

 

「そして今手札に加えたマシンナーズ・ウルフを召喚!!」

 

 

マシンナーズ・ウルフ/ATK800

 

フィールドに機械仕掛けの獣が出現した。

するとすぐさまギアフレームに光が吸収され、ウルフは光の輪へと変わった。

 

 

「ウルフはシンクロ素材にする時、他のモンスター1体のレベルを上げる!!レベル5となったマシンナーズ・ギアフレームにレベル3のマシンナーズ・ウルフをチューニング!!

機械の魂を持つ翼竜よ、その鋼鉄の翼で仲間を敵の脅威から守りたまえ!!」

 

 

☆5+☆3=☆8

 

 

「シンクロ召喚!!クロック・ゴールド・ドラゴン!!」

『グルァァァァァァ!!!』

 

クロック・ゴールド・ドラゴン/ATK2300

 

剱都のフィールドに1体のドラゴンが出現した、それと同時にクロンツの場のマクロコスモスを打ち抜いた。

 

 

「シンクロ召喚成功時、相手フィールドの表側表示のカードを全て破壊する!!オートファイア!!」

「クッ…だが除外カードは十分だ!!」

 

 

マクロコスモスを破壊されたが確かにクロンツはこれ以上カードを除外する必要は無かった。

 

「ウルフの第2の効果!!このカードがシンクロ召喚の素材となった時、デッキの上からカードを3枚除外することで除外されているマシンナーズ・カーネルとマシンナーズ・キッズを特殊召喚!!」

 

 

マシンナーズ・ウルフ

効果モンスター・チューナー

星3/地属性/機械族/ATK800/DEF1400

このモンスターがシンクロ召喚の素材となる時、他の素材のモンスター1体のレベルを一つ上げる事が出来る。

このモンスターがシンクロ召喚の素材となった時、デッキの上からカードを3枚除外することで除外されているレベル3以下の「マシンナーズ」と名の付くモンスターを2体まで特殊召喚する事が出来る。

「マシンナーズ・ウルフ」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

このカードをシンクロ召喚の素材とする場合、他のモンスターは機械族・地属性でなければならない。

 

 

「さてと…Mrクロンツ、貴方はなぜ手を抜いたのですか?」

「……Why?何の事かな?」

 

 

剱都の言葉に赤井はポカーンとし、ジュードと雪乃は驚いていた。しかし剱都は確信していた。

 

 

「先程のターン、ダ・イーザと元々攻撃を行うつもりの無かったDDM…そして手札の除外されたコストモンスター、異次元の精霊。これが貴方の持っていたモンスターですよね?」

「その通り。元々デ・ヴァードの召喚はあまりしてないんでね」

 

 

「じゃあどうしてわざわざ異次元の精霊を特殊召喚したんですか?」

「!」

 

 

剱都の言葉にクロンツは目を見開いた。間違いない、剱都の言葉が彼の核心をついたのだ。

 

 

「そのモンスターは通常召喚も可能。わざわざダ・イーザを除外する必要は無かった」

「…デ・ヴァードを破壊されてもダ・イーザを除外しておけば一安心という2段構え。それのどこがおかしい」

 

 

確かに仮に剱都がブラックホールの様な全体破壊カードを使用してもダ・イーザは破壊されていないためフィールドに戻ってくる。

 

 

「後もう一つ、どうしてデ・ヴァードの効果でフォートレスを除外した?」

「強いモンスターを除去する、そこに何の間違いがある?偶然フォートレスに効果(Effect)があっただけだ」

 

 

確かにフォートレスは破壊された時の効果ぐらいしか知られていないはず。だが剱都はクロンツの言葉がひっかかかっていた。

 

 

「Mrクロンツ、貴方…そのデッキ以外に俺とほぼ同じの『マシンナーズ』もしくは機械族デッキを持ってますね?」

「「「「!!!」」」」

 

 

その言葉にその場にいた全員が驚いた。彼はデビュー当時からこのスタンスでデュエルしていた。その男が別のデッキを持っていると言い当てたのだ。

 

 

「どうして分かった?」

「疑問に思ったのは初めにマシンナーズ・ギアフレームを召喚した時、口ずさんだ『ほう、マシンナーズか』って言葉だ。それとフォートレス効果にスムーズにプレイを続けていた。まるで初めからその効果を使用させるみたいにな。だが2枚とも魔法カード、手札に残してまで効果を使わせる意味は無い」

 

 

それを聞いたクロンツは一つため息をつくと軽い苦笑いを浮かべた。

その口からは乾いた笑い声が漏れている。

 

 

「雪乃お嬢さん覚えてないみたいですが、私の幼い時からよくいたのですよ。その関係で兄上である優介とも仲が良かったんですが…旦那さまはお二人を家に縛り付けた」

 

 

「まさか…あなたあの……私にデュエルモンスターズを教えた…見習い執事さん…!?」

 

 

雪乃は思い出したようだ。それにクロンツは驚いたように目を見開いたがすぐにほほ笑んだ。

 

「今はしがないただの『ディメンション・クロンツ』ですよ」

 

「大方、お前がプロデュエルになることで2人を自由にするとでも言ったんだろ?あのおっさん」

 

 

 

「……ええ。私がデュエルキングになれば、と」

 

「クロンツ!!貴様ァァ!!」

 

 

観客席で赤井が騒ぎ出すが距離が遠い。クロンツを黙らせることもできず、全てを打ち明けた。

 

 

 

 

 

「実は…赤井一郎は藤原家とは何も関係ないんです」

 

「「!!!?」」

 

 

クロンツの告白にジュードと雪乃は眼を見開いた。赤井は顔を真っ青にしてへたり込んでいた。

 

 

「『藤原家』という大きな遺産を目当てに2人を養子にしたということですよ。血のつながりもなければ接点すらもない。偶然にも私はそれを聞いてしまい、母を人質に……まあ、2か月前、癌で無くなってしまいましたので、何も失うこともありませんけどね」

 

「そん…な…!!」

 

「…Mrクロンツ、礼をいいます。あなたのおかげで2人を救うことができると思います」

 

 

そう言った剱都はフィールドの2体のモンスターをリリースし、その残骸をクロックが飲み込んだ。

 

 

「クロックの効果発動、フィールドのモンスター2体をリリースして直接攻撃することができる」

 

 

「………なるほど、お嬢さんを頼みますよ」

 

「…それは俺じゃなくてあいつ(ジュード)に。バトルフェイズ!!クロック・ゴールド・ドラゴンで直接攻撃!!ジェノサイド・イグニッション!!」

 

 

 

クロンツ/LP1500→0

 

 

―観客席―

 

 

「ひ、ひいぃぃぃぃぃ…!!!」

 

「あんたが…私と兄をだましていたのは許せないわ」

 

 

怒り心頭で今でも殴りかかりそうな雪乃の前に赤井は怯えきってしまった。初めは彼のSPが10人近くいて、赤井はふんぞり返っていたのだが全員剱都が伸してしまったのだ。

 

 

「そういやおっさん。勝負に勝ったら俺たちの言うことを聞くって言ってたな」

 

「な、何の事≪ドゴッ!!≫ヒィィ!!」

 

「あ?なんか足が滑ってな。もう一度言ってくれないか?それとも何か?お前の全て破滅にしてもいいんだぜ」

 

赤井には今目の前で楽しそうに笑っている男が死神に見えて仕方がなかった。

 

 

「俺からの要請は3つだ。まず一つ、クロンツとの契約を打ち切れ」

 

「な、なんだと!?」

 

 

彼の会社の収益の半分近くがクロンツのファイトマネーなどで成り立っていた。それを失うとなれば――

 

 

「2つ目、藤原兄妹と縁を切れ。ご両親が残した遺産もそっくり返還して」

 

「なっ……!?」

 

「断ってもいいんだぜ。だがその場合お前を詐欺で立件する事だって容易い。無理矢理遺産を奪ったとして窃盗との方がいいか?」

 

 

つまり『今まで』の分も戻すと言うことだ。彼が藤原兄妹からだまし取った金は今の彼の会社の主益金の2倍以上だった。

そうなれば本当に『破滅』してしまう。

 

 

「む、無理だ!!そんな要請は受け入れれるわけがない!!」

 

「あ、そう。じゃあいいわ」

 

 

そう軽く言って剱都はPDAを取り出すとどこかに連絡した。

程なく赤井の携帯が鳴った。

 

「なんだ!?私は今忙しいんだ!!」

 

『た、大変です!!会社が買収されました!!』

 

「な、なんだとぉぉぉ!!?」

 

 

電話の相手は赤井の秘書だった。彼が言うには数分前に会社の株を買い占められ、会社の経営を持っていかれたというのだ。なぜこのタイミングで、すると一つだけ思い当たる節があった。つい先ほどの剱都の電話――

 

 

「さてと、これで2つだ」

 

「ま、待て!!おまえはいったい何者なんだ!?」

 

 

 

「ん?さっき言っただろ?AW社総帥羽黒剱都だってな」

 

 

この時、赤井は初めて目の前にいる男が神よりも恐ろしい人物だと理解した。

 

 

「さ・て・と…3つ目だっ!!」

「ウァッ!?」

 

そう言って剱都はアッパーカットで赤井を殴った。突然のことで他にいた3人はポカーンとしてる。

 

 

「これで全部だ。さっさと島を出て行きな!!」

 

 

顎を殴られ赤井は放心したかの様にとぼとぼと歩きだした。

 

 

 

「クロンツ…」

 

「お久しぶりとでもいうべきですかね、お嬢様」

 

「…ふふ。私の事は雪乃でいいわ。お嬢様ってのはなんかね…くすぐったい」

 

 

 

するとジュードは一つ気になったことを剱都に聞いた。

 

 

「羽黒先輩。クロンツさんの契約を切らしてどうするつもりだったんですか?」

 

「ああ、うちで契約させようとな。不平等な契約は俺は嫌いなんでね、よければどうだ?」

 

「……いえ、もう一度ゼロからやり直します。こいつらをもう一度…」

 

 

そう言ってクロンツは腰のデッキケースから一つのデッキを取り出した。それは紛れもなく――

 

 

「けど、その時再び契約する機会があれば…その時は頼みますよ、羽黒総帥」

 

「ああ。いつでも待ってるぜ」

 

 

こうして一人の少女は長年の鎖から解放され、一人の青年は自らの道へと戻ることができた。

 

しかし、剱都はまだ知らなかった。修学旅行で彼の定めた『12日後の戦争』が間違いだということに――

 

 

 

―アジト―

 

 

普段は無機質な箱庭のはずのこの場所だったがいつもと様子が違う。

 

          壁は抉れ

 

                 床は捲れ上がり

 

     ディスプレイは割れて

 

 

              コンソールはバラバラになっていた。

 

 

 

さまざまなものが乱れている中心、ある人物が倒れていた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シゲル/LP0




シゲル「うぉい!!最後いったいどうゆうことだ!?」
見ての通り、シゲルのライフが0なんだ
剱都「その説明をしろ……なんで0なのか、どうしてアジトが壊滅状態なのか、シゲルはいったい誰にやられたのか」
最初は次回わかるかな?残り二つは後でこのときの回想的な話をすると思うからそのときにだね

ツバキ「クロンツさん…今度は自分の道を進めたらいいね」
裏設定だと旅をして、いろんなことをするね。もしかしたら再登場するかもしれないけど
紫苑「それよりもあの赤井という人…許せませんね…!!」
まあ、剱都の逆鱗に触れて破滅されたからね。所有物はすべて差し押さえ、所持金もすべて押収、会社はAWに吸収されてそのままだけどクビになったからね。
それと24時間体制でAWからの監視がついているから変な真似もできない
シゲル「どっちが不憫なんだろうな」


次回予告

壊滅したアジトで発見された瀕死状態のシゲル。それを見た剱都は苦悩する。
孤高の司令官はある選択に迫られる。

「そもそもそれが間違いだったみたいだな…」

そして判明する『裏切り者』

「いつからだ」

やがて11日目にして開幕する『12日後の戦争』

一方エドはとある豪邸の前にいた。与えられた情報をもとにたどり着いた答えは———

「父さんを殺したのは…貴方なんですね。」

「ああ、そうさ。俺だ…俺がお前の父親を殺したんだよ!!」

始まる復讐劇——出現した『最強のD-HERO』と新たな手がかり。

次回turn70 復讐者
最強カードは『D-HEROデストロイガイ』
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