遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn81 神VS神 そして羽ばたく黒羽

―アジト―

 

「……ぅ…」

 

 

幼い少女の声、それが誰もいないアジトに響いた。やがてあまりに場違いのように置かれているベットからひとりの少女が起き上がった。

 

 

「……ここは…どこ…?」

 

 

―校長室―

 

 

「隼人が来てるって!!」

 

「十代!元気そうだな!」

 

 

十代が校長室に行くとそこにはコアラのような体格の少年が立っていた。

彼は十代に気づくと嬉しそうに抱きついた。

 

 

「oh~、youが遊城十代。いつも隼人boyから話は聞いていマース!」

 

「ペガサスさん!こっちもシゲルから話は聞いていますよ!ところで、なんで二人はここに?」

 

 

―レッド寮外れの森―

 

 

《ジェネックス参加者に告げる、一時的に大会を中止し外出禁止とする。なお、島外からの参加者は港に停泊しているフェリーもしくは購買横の休憩所にお越し下さい》

 

 

「外出禁止…じゃあ、直ぐに戻らないとね」

 

 

レッド寮近くでデュエルをしていた紫苑とツバキはそう言いながら森の中を歩いていた。

 

 

―同時刻:森―

 

「兄貴~外出禁止だってよ」

 

「ああ?別に構わねぇだろ。そんなことよりも今のうちによ、ここに罠を仕掛けておくぞ」

 

 

そういったのはブルー生徒で光の結社のときに真っ先にやられた生徒だ。彼は光の結社で関わった生徒とともにこの大会で不正を行おうとしていた。

そんな彼の子分は約20人の様々なカラーの生徒。

 

 

「ひっひっひ。ここにこうして…んぁ?」

 

「ヒッ!」

 

 

そんな中イエローの生徒がブービートラップを仕掛けようと草むらを除くとそこには病人のような服を着た少女が座り込んでいた。

 

その子は生徒を見ると怯えたように声を上げて逃げ出そうとした。

 

 

「おっと、待て!」

 

「キャァッ!」

 

 

逃げようとする少女の腕を掴んだ生徒はその少女を引っ張ってきた。

 

 

「ん?どうした?」

 

「いやぁ、こんなところに迷子の女の子だとよ」

 

 

そう言った生徒は口元をにやりと歪ませていた。それにほかの生徒たちもどういうことなのか理解して歪ました。

 

 

「目の色が違うなんて変わった色物だな」

 

「じゃあ、楽しむとしますかな」

 

「ヒッ!た、助けて!!だれか!!」

 

「ざんねん~今は誰も来ないゲブラ!?」

 

 

 

そう言って腕を更に握り締めた生徒が吹き飛んだ。どうなったのか理解できない生徒は混乱していたが、その隙に少女は立ち上がると助けてくれた生徒元へやってきた。

 

 

「こんな女の子に手を出すなんて、男の風上にもおけないわね」

 

 

そういったのは――久々の処刑モードのツバキだった。その後ろにいた紫苑は、逃げてきた少女を慰めるように頭を撫でた。

 

 

「んぁ?誰だてめぇ」

 

「構うものか、やっちまえ!」

 

「いいわ、めんどくさいから纏めて来なさい」

 

 

ツバキVSチンピラ生徒約20人

 

 

―一方その頃、近くの森―

 

「ラーが盗まれた!?」

 

 

チーム寮へ戻ろうとしていたシゲル、ユウが出会ったのはI2社のデザイナーだったフランツという神のカードを盗んだデュエリストを探すペガサスと彼から昔の話を聞いていた十代だった。

 

 

「youにも依頼しようか迷いましたが、危険な目に合わせるわけには…」

 

「けど、ペガサスさん。闇雲に探すよりも僕たちも探したほうが見つけやすいんじゃないんですか?」

 

 

ユウの言葉にペガサスはバツが悪そうに顔をしかめた。確かにその通りなのだが関係のない少年を巻き込むわけにもいかないのだ。

 

 

「まあ、心配することはないぞ。俺たちも自分の身は自分で守れる。それに…カードを盗む馬鹿を許す気もない」

 

「馬鹿とはひどい言い草だな」

 

 

その声が聞こえると同時にシゲルとユウは戦闘態勢を取った。そこにいたのはコートを着たツンツン頭の男性。

 

 

「Mr.フランツ!!」

 

「お久しぶりですね、ペガサス会長」

 

「神のカードを返すのデース!取り返しがつかなくなりマース!!」

 

 

ペガサスの必死の訴えだったがフランツは聞く耳を持っていない。

 

 

「ったく。一発ぶっ飛ばして…」

 

「待って、シゲル。ボクにやらせて」

 

 

そう言ってデッキをセットしたのはユウだった。その目は怒りに染まっていた。

 

 

「ほう、そちらの少年が相手か」

 

「神様を粗末になんて、許さないよ」

 

 

――一方ツバキ―

 

 

「セレスティアル・ブラック・バーニング!!」

 

「「「「「「「「「「うあああああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

チンピラ生徒

LP1000→0 LP2100→0 LP300→0 LP1500→0 LP2150→0 LP4000→200

LP2500→0 LP2400→300 LP500→0 LP3800→1400 LP50→0

 

チンピラ生徒たちのライフが一気に0になっていた。理由はわざと手札が悪いようにみせて攻撃表示モンスターを増やさしたところに黒の魔法神官と拡散する波動を組み合わせたコンボで一気に狩っているからだ。

 

 

「メインフェイズ2!リバース罠マジカル・エクスプロージョン!!墓地の魔法カードは12枚、合計2400ポイントのダメージ!!」

 

 

「「「「「「「ぎゃああああああああああ!!!!!!」」」」」」」

 

 

生き残っていた生徒もこれで終わった。

 

 

「お疲れ様です」

 

「うん、まあちょうどメダルも確保できたし…」

 

 

追いはぎの如く、倒れている生徒からメダルを回収したツバキ。

すると少しうつむいてオロオロしている少女が目に入った。

 

 

「響ちゃん」

 

「!!」

 

 

名前を呼ばれた少女は驚いていた。どうして自分の名前を知っているのか、そう言う感じの顔だった。

 

 

「安心して、私たちはあなたのお兄さんの味方よ」

 

「おにーちゃん…の?」

 

「紫苑、シゲルの場所わかる?」

 

 

紫苑は持っていたPDAのGPS機能でノーバディのメンバーの場所を検索した。剱都はアジト、ユウとシゲルは森の中だがなぜか通信ができなかった。

 

 

「じゃあ、剱都に連絡入れてユウたちのところに合流しましょ」

 

「けど、今は外出禁止令が…」

 

「…」

 

 

紫苑の言葉にツバキは押し黙った。それは『ルールを破ってユウたちのところに行く』のではなく――

 

 

「…紫苑、どうしてユウたちが外出禁止令を破ってそこにいるの?」

 

「!!」

 

 

2人に何かあって、それで外出禁止令が出ているのだとしたら――

 

 

―ユウのターン―

 

 

「僕のターン、モンスターを伏せてターンエンド!!」

 

 

ユウ

LP4000 手札5枚

セットモンスター

伏せカードなし

 

 

―フランツのターン―

 

「私のターン!そんな壁モンスター、すぐに破壊してやる!!私はグリーン・ガジェットを召喚!!」

 

 

グリーン・ガジェット/ATK1400

 

フィールドにみどりの歯車でできた機械が現れた。するとデッキから同じような赤い歯車のモンスターが出てきた。

 

 

「グリーン・ガジェットは召喚成功時、デッキからレッド・ガジェットを手札に加える!!さらに手札から魔法カード、トラップ・ブースターを発動!!手札のカードを1枚コストに血の代償を発動する!!血の代償の効果でライフを払うことでモンスターを通常召喚できる!!」

 

 

フランツ/LP4000→3500

 

レッド・ガジェット/ATK1300

 

 

「さらにレッド・ガジェットの効果でデッキからイエロー・ガジェットを手札に加える、同じ流れで召喚!!」

 

 

フランツ/LP3500→3000

 

イエロー・ガジェット/ATK1200

 

 

「効果でグリーン・ガジェットを手札に、そして、再び血の代償の効果発動!!私はフィールドの3体のモンスターをリリース!!」

 

「3体の生贄…!!」

 

「来るぞ!!」

 

 

ユウはこの時、三幻魔と対峙した時のような威圧感に呑み込まれた。

コピーといっても、カードに宿る力は本物だった。

 

 

「現れろ!!ラーの翼神竜!!」

 

 

ラーの翼神竜/ATK???

 

 

現れた太陽神――そしてそれが悲しそうに吠えた。

それと同時に、青空だった空に暗雲が立ち込めた。

 

 

「No!神を従えるなんてできるはずないのデース!!」

 

「会長、それができるんですよ。フィールド魔法!!神縛りの塚を発動!!」

 

 

突然地面から鎖が飛び出すとそれがラーに巻き付いた。

 

 

「モンスターに…鎖…!!」

 

「これで神は私の下僕となる!!ラーの翼神竜はリリースしたモンスターの攻撃力の合計となる!!」

 

 

ラーの翼神竜/ATK???→3900

 

 

「攻撃力3900!?ユウのスピット・クロスよりも高い!!」

 

「バトルだ、ラーの翼神竜の攻撃!!ゴッド・ブレイズ・キャノン!!」

 

 

伏せられていたモンスターに向かってラーの翼神竜の攻撃が飛んできた。

 

 

「っ…!!(結界が張られてないのにここまでの衝撃…!!)」

 

「(流石神だな、精霊界での戦い並みの威圧感だ…!!)」

 

「さらに神縛りの塚の効果発動!!レベル10のモンスターが相手モンスターを破壊したとき、400ポイントのダメージを与える!!」

 

「うあああああああああ!!!!」

 

 

ユウ/LP4000→3600

 

 

ユウの周囲に血のように赤いダメージ痕が光った。それをみてフランツは鼻で笑った。

 

 

「これが私の従えた神の力!!おまえの雑魚モンスターで立ち射ち出来ることなんで無理なんだよ!!」

 

フランツ

LP2500 手札2枚

ラーの翼神竜/ATK3900

血の代償

神縛りの塚

 

「あいつ…!!」

 

 

十代はユウのモンスターを雑魚呼ばわりされたことにカチンときたようだが、その横でシゲルが頭を抱えていた。

 

 

「ん?どうかしましたか?」

 

「あ~…うん、どうなることやら」

 

 

―ユウのターン―

 

「『俺』のターン!!」

 

 

そのセリフを聞いて十代が思い出したように顔を引き吊った。

ユウが一人称を『俺』というとすでに手遅れだ。

 

 

「手札からスピリット・ドローを発動!!火炎車を捨ててカードを2枚ドロー!!手札抹殺を発動!!お互いに手札をすべて捨てる!!」

 

「ふん…手札交換か」

 

 

すべての手札が墓地に送られたとき、ユウのフィールドで一匹の狼が吠えた。

 

 

「犬神の効果発動!!手札から捨てられたとき、墓地のレベル4モンスターを特殊召喚することができる!!墓地からスピリット・ワイバーンを召喚!!」

 

スピリット・ワイバーン/ATK1700

 

「墓地のスピリット・フィッシュの効果発動!!火炎車を除外することで特殊召喚!!」

 

 

スピリット・フィッシュ/DEF0

 

 

「さらに手札から金華猫を召喚!!効果で墓地のレベル1モンスター、スピリット・アーミーを特殊召喚!!」

 

 

金華猫/ATK400

 

スピリット・アーミー/ATK0

 

 

フィールドの翼竜とガラスの魚の横に猫と、ガラスの兵隊が現れた。

 

 

「wonderful!たった1ターンでモンスターをここまで揃えるとは…」

 

「いや、あいつまだ止まらない」

 

 

シゲルの言うとおりユウはまだ止まりそうになかった。

 

 

「スピリット・アーミーは1ターンに1度、フィールドのチューナーと同じレベルになることができる、スピリット・フィッシュと同じレベル2へ!!」

 

 

スピリット・アーミー/☆1→2

 

 

「レベル2となったアーミーとレベル4のワイバーンにレベル2のフィッシュをチューニング!!大いなる魂よ!砕かれし魂と共に光の風を纏いその身を現わせ!!」

 

☆2 + ☆4 + ☆2 = ☆8

 

 

「シンクロ召喚!!舞い上がれ、スピット・シルバー・ドラゴン!!」

 

『ガアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』

 

 

 

フィールドに現れた星屑のような光を放つ魂と共に飛び立った銀翼のドラゴン。それを見てペガサスは目を輝かせた。

 

 

「Oh!それはMeが贈ったスピット!」

 

「さらに、墓地のスピリット・マターはレベル6以上のモンスターの特殊召喚に成功したとき、墓地から召喚することができる!!」

 

 

「つっても…クロス召喚してもどうすることもできないだろ…どうするんだ?」

 

「魔法カード、サイクロン!!血の代償を破壊!!」

 

 

これでフランツは何もできなくなった。

 

 

「俺は、フィールドのレベル8のスピット・シルバー・ドラゴンとレベル1の金華猫にレベル1のスピリット・マターをチューニング!!

全ての魂を司る神よ!彷徨う魂を救い、新たな命を授けたまえ!!」

 

「!!」

 

 

このシンクロ口上にシゲルは聞き覚えがあった。

 

そしてそのモンスターを召喚する条件も揃って、この戦いでこそ召喚する意味があった。

 

 

 

 

 

 

 

「断罪せよ!!生命の神、カルマ!!」

 

 

カルマ/ATK4000

 

 

出現したドラゴンに十代もペガサスも、ラーを従えて不気味な笑みを浮かべていたフランツも引き吊った。

 

 

「ば、馬鹿な…ラーの翼神竜以外の…幻神獣だと…!!」

 

「カルマの効果、シンクロ召喚成功時、デッキからフィールド魔法、魂の聖地を手札に加える!!そして発動!!」

 

 

鎖がちぎれ、そしてラーは自由の身となった。その光景をフランツは信じられないよう眺めていた。

 

 

「墓地に存在するスピリットモンスターを選択し、その効果を得る。墓地に存在する輝夜を選択する!!輝夜は戦闘で相手モンスターを破壊したとき、そのコントロールを得る!!」

 

 

輝夜

スピリットモンスター

星4/地属性/魔法使い族/ATK1000/DEF500

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊した場合、

破壊したモンスターを墓地から特殊召喚することができる。

この効果で召喚したモンスターはエンドフェイズ、

相手にコントロールを移す。

 

 

墓地にいた黒髪の浴衣を着た女性。おそらく昔話『竹取物語』のかぐや姫をモチーフにしたモンスターなんだろう。

 

 

「バトルフェイズ、カルマでラーの翼神竜に攻撃!!ゴッド・ストライク・ブレス!!」

 

「うあああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

フランツ/LP2500→2400

 

 

これでに囚われていた神はいなくなった。

そしてそのことにまだフランツは信じられなかったようだ。

 

 

「輝夜の効果を得たカルマの効果発動!!戦闘で破壊したモンスターを特殊召喚する!!」

 

「クッ…手札抹殺でそこまでのコンボを…!!」

 

 

フランツはそう言うが、違う。手札抹殺で墓地へ送られたカードは『犬神』『スピリット・フィッシュ』『スピリット・ワイバーン』『スピリット・マター』『スピリット・アーミー』だけだ。

 

 

「輝夜はお前が破壊した…『雑魚』と罵ったカードだ」

 

「!!」

 

 

そう、伏せられていたモンスターが輝夜だった。

 

 

「お前が雑魚と言った…俺の仲間のカード効果でやられるのはどんな気分だ?ラーの翼神竜を俺のフィールドに特殊召喚する!!」

 

 

ユウのフィールドに現れた太陽神。そしてラーがユウに従うように構えているのにも驚いていた。

 

 

「oh…神が…2体も…!」

 

「どうして…神縛りの塚も無しで…!!」

 

「言うことが聞かないから縛る、そんな考えに誰も賛同してくれるはずもない。モンスターは戦うための道具じゃない!ともに相手を倒す仲間、ボクがラーを信じてる、だからラーもボクを信じてくれるんだ!!」

 

 

同意するかのようにラーの翼神竜が攻撃態勢を取った。

 

その言葉を聞いてフランツは過去のことを思い出した。

 

どうしてペガサスが自分ではなく新人である隼人のカードを採用したのか。

ペガサスが追い求めていたのは共に戦うモンスターだった、だが自分が作ったのは相容れることのないモンスターばかり。

 

 

「ラーの効果を発動!!カルマとボクのライフを生贄に、その力を得よ!!」

 

 

ユウ/LP3600→1

 

ラー/ATK0→4000→7599

 

 

「バトル、ラーの翼神竜の攻撃!ゴッド・ブレイズ・キャノン!!」

 

「うわあああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

フランツ/LP2400→0

 

太陽神の攻撃を食らったフランツ。それと同時に空を覆っていた雲が晴れた。

 

 

「いい天気だな」

 

「ああ、眩しいぐらいにな」

 

 

十代とシゲルが空を見上げてそう言っていた。

 

 

「ペガサスさん、これ」

 

「Thank you ユウboy」

 

 

ラーのコピーカードを受け取ったペガサスは簡潔に礼を言った。

 

 

 

晴れた空から差し込む光にシゲルがまぶしそうにしていると突然、何かに抱きつかれた。

 

 

「んぁ?一体だ…れ…」

 

「お兄ちゃん…!!」

 

 

眩しそうにしながらそれを見ると、そこには震えている小さな体があった。

見間違いでなければ、それは彼の大切な存在だった。

 

 

「響…なのか?体は大丈夫なのか?」

 

「うん…!うん!」

 

 

―アジト―

 

 

「ごめんなさい!」

 

 

響がアジトに連れられて真っ先に剱都と紫苑に謝っていた。理由はアイリスの時に2人をSinでダメージを負わせた記憶があるからだ。

 

聞くと響はアイリスとして特別執務官になった日からの記憶があるらしい。だがなぜかところどころ記憶が抜け落ちてるのだ。

 

 

「気にしないでください」

 

「でも…」

 

 

宥める紫苑に響は申し訳ない気持ちがいっぱいだったようだ。すると響きの前のテーブルにココアを入れた剱都がため息をついていた。

 

 

「お前が悪いわけじゃない。自分(テメェ)の身を守れなかった俺たちの問題だ。俺たちがお前よりも強かったら問題はなかったんだ」

 

「…………」

 

「まあ、大事なのは反省する心構えだ。けどあんまり気にするなよ。ストレスでブッ倒れたりしたら…な」

 

「なぜそこで俺を見る」

 

 

剱都の言葉にシゲルはそうため息をついた。すると校舎からのターミナルが開いて、そこからペガサスと鮫島校長、十代がやってきた。

 

 

「bravo!ここは宛ら秘密基地、meの冒険心がそそられマース!」

 

「うむ、私も小さい時に夢ました。このような秘密の場所を」

 

 

初めてここにやってきたペガサスと鮫島はアジトの『秘密基地』という感じに心躍らせていた。

 

 

「あ、あの…えっと…」

 

「youがシゲルboyの妹だと聞いています。Meの名前はペガサス・J・クロフォードデース」

 

「私はこの学園の校長、鮫島だ」

 

 

子供の扱いに慣れているのか、ペガサスは今にも泣きそうだった響に優しく自己紹介をした。それに合わせて鮫島も名前を名乗った。

 

 

「獣斬…響です」

 

「you達の事情は知っています」

 

「我々も彼にお世話になってるのでね。身の振り方が決まるまで我が学園にいてもいいですよ」

 

 

鮫島校長の申し出ははっきり言うとシゲルたちにとって嬉しいものだった。

『カリーヌ教会』の徹と澪に任せることも考えたが、響はそれを頑として受け入れなかった。

 

 

「ときに、響君。君はデッキ持っているか?」

 

「え?…え、と…」

 

 

響きはチラチラとシゲルを見た。するとシゲルは思い出したように口にした。

 

 

「ある…というか、あったと言ったほうがいいかもな。元々のデッキ…俺と同じベーシック剣闘獣だったんだが、ニズの消滅で消えて…」

 

「…あれはね」

 

 

ジュードの言うあれとは『Sinデッキ』のことだ。確かにあのデッキを一般で使うと死人が出てもおかしくない。

 

 

「それならnice timing!実を言うと、Meがここに来た理由はMr.フランツが持っていったラーのカード取り戻すのと、このデッキをテストプレイさせるためにきたのデース。テストプレイヤーとして響girlに渡しマース」

 

 

そう言って取り出したデッキを響に渡した。

 

 

―デュエルホール―

 

「あぅ~…どうしてぇ~…」

 

 

泣きながら対戦の準備をしているのは如月だった。

その背後には鬼の形相の雪乃が立っていた。

 

 

「貴女がこそこそとあの子の写真を撮るのがいけないのよ」

 

 

響の写真を盗撮してそれを牧々新聞:号外として売り出そうとしていたのだ。だがそれを見抜いた雪乃が如月を捕獲して、実験台としたのだ。

 

 

「なんで私がぁ…」

 

「あの…えっと…」

 

「(いや、待てよぉ。この結果でテストデッキとやらを号外にぃ…)」

 

「如月?」

 

「ナンデモアリマセン」

 

 

おどおどとしている響に対して如月が皮算用をしていたがまたもや雪乃に見破られてしまった。

 

一方響の方はシゲルにディスクを借り、それで操作のレクチャーを受けていた。

 

 

「あとはフィールド魔法だが…そのデッキに入ってなかったから今はいいか」

 

「うん、ねえ、お兄ちゃん…私、勝てるかな…」

 

 

響は違う目の色でシゲルを見ていた。シゲルはそれに頭2つ分ほど小さい少女の頭をガシガシと撫でた。

 

 

「デッキを信じてやればな」

 

 

ただそう言うとシゲルはリングサイドのベンチに座った。

 

 

「ではこれより、如月マキVS獣斬響の勝負をはじめる!」

 

 

鮫島校長の合図とおもにソリッドビジョンシステムが起動した。

 

 

「デュエル!!」

「デュ、エル!」

 

―如月VS響―

 

「では先行は私のターンですぅ!ドロォー!」

 

 

カードを引いた如月を観客席で見たいた吹雪はふと気になった。以前雪乃と戦ったときは『終末へのカウントダウン』でリミット制限しての特殊勝利と、ガイアドレイクやNeptuneでのビート勝利を狙う特殊なデッキだった。

 

 

「私は手札からガンナードラゴンをリリースなしで召喚ですぅ!」

 

 

ガンナードラゴン/ATK2800→1400/☆7

 

 

「レベル7!?」

 

「あの子のデッキは終焉のカウントダウンと妥協召喚できるモンスターを組み合わせた特殊なデッキなんだ」

 

「妥協召喚?」

 

 

聞いたことがないように翔が聞いた。といってもアカデミアで妥協召喚をするモンスターを入れてる人はあまりいないので無理もない。

 

 

「ガンナードラゴンみたいに生贄なしで上級モンスターを召喚する方法よ」

 

「けど、召喚には何かの制約がかかってしまいますわ」

 

 

ジュンコとももえのブルー女子コンビがわかりやすくそう言った。するとそれが聞こえていたのかリングの如月が観客席のメンバーを見ていた。

 

 

「あ、カウントダウンは抜きましたぁ~。チマチマやってたら雪乃さんに…」

 

「なにかしら」

 

 

如月は後ろにいる閻魔の言葉に苦笑いを浮かべながら、カードを発動した。

 

 

「強欲なかけらを発動してカードをセットぉ!ターンエンドぉ!」

 

 

如月

LP4000 手札3枚

ガンナードラゴン/ATK1400

伏せカード1枚 強欲なかけら/C0

 

―響のターン―

 

 

「え、えっと。私のターン!」

 

 

少し遠慮がちに響はカードを引いた。その様子に観客席最前列にいた剱都はすぐしたのベンチにいるシゲルに聞こえるように手すりから身を乗り出した。

 

 

「おい、お前の妹って戦ったことあるのか?」

 

「ん?あるけどシートの上だけだ。ニズだとディスクは一定の年齢…しかも女子だと体力の関係で今の年ぐらいじゃないと装着できないからな」

 

 

つまりある意味響のデュエルディスクを使用してのデュエルは初めてなのだ。

 

 

「私は…手札からBF-精鋭のゼピュロスを召喚します!」

 

 

ゼピュロス/ATK1600

 

フィールドに鴉のような姿の鳥人が現れた。どうやら「BF」というシリーズのカードのようだった。

 

 

「はわわわ…これが…」

 

 

そして初めてのモンスター召喚に響は少し戸惑っていた。すぐに気を取り直すと手札のカードのテキストをよく見ながらカードを出した。

 

 

「手札のBF-疾風のゲイルはフィールドにBFがいるとき特殊召喚できます!」

 

 

ゲイル/ATK1300

 

 

今度はより鴉に近い少年みたいなモンスターが現れた。するとゲイルが刃のような突風でガンナードラゴンを切り刻んだ。

 

 

「ゲイルの効果!相手モンスターの攻守を半分にします!」

 

「半分!!?」

 

 

ガンナードラゴン/ATK1400→700

 

 

レベル7のモンスターがたったの700に。剱都は横目で特等席にいる鮫島とその横のペガサスを見た。

どうやらペガサスも響の使い方に感心しているようだった。

 

 

「インチキ効果もいいかげんにしろ、ってか」

 

 

小声でつぶやいた言葉は誰にも聞こえなかった。

 

 

「バトルフェイズに入ります!ゲイルでガンナードラゴンに攻撃!デス・スクラッチ!」

 

「流石にそれはまずいですぅ!リバースカード、攻撃の無力化!!」

 

 

ゲイルの攻撃が渦に吸い込まれていった。

だがすぐに響は次の手を考えていた。

 

 

「レベル4の精鋭のゼピュロスにレベル3の疾風のゲイルをチューニング!

黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となって!!」

 

☆4 + ☆3 = ☆7

 

「シンクロ召喚!舞って、BF-アーマード・ウィング!!」

 

アーマード・ウィング/ATK2500

 

 

フィールドには一つ目の鎧を着た鳥人が現れた。その姿はその名のとおり『鎧の翼』のようだった。

 

 

「カードを伏せて、ターンエンドです」

 

 

LP4000 手札3枚

アーマード・ウィング/ATK2500

伏せカード1枚

 

―如月のターン―

 

「私のターン!(あらら、初心者だと思ってたらなんのその…確かテストデッキと言ってましたから初めて使うはずなのに……そういえば、シゲルさんの妹さんでしたね…)」

 

強欲なかけら/C0→1

 

引いたカードと手札を見ながらどうするか考えていた。が、すぐに考えがまとまったようだ。

 

 

「手札のバルバロスをコストにワンフォーワンを発動ですぅ!デッキからアンノウン・シンクロンを特殊召喚!!」

 

 

フィールドに目玉のような小さい機械が現れた。

 

 

アンノウン・シンクロン/ATK100

 

 

「レベル7のガンナードラゴンにレベル1のアンノウン・シンクロンをチューニング!大地を駆ける雷鳴よ、狼の力を受け戦場を吼えよ!!」

 

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

 

「シンクロ召喚!銀狼騎士ヴァイク!!」

 

 

どこからともなく狼の遠吠えが聞こえたかと思うと、黒い狼の皮で出来た鎧を着た騎士が現れた。

 

 

銀狼騎士ヴァイク/ATK2700

 

 

「さらに墓地のガンナードラゴンとバルバロスを除外で手札からバルバロスUrを特殊召喚!!」

 

バルバロスUr/ATK3800

 

突如として出現したモンスターに響が完全にビビっていた。

涙目になりながら一歩下がった。

 

 

「さ、3800!?」

 

「あぁ、大丈夫ですぅ~この子は戦闘ダメージが与えられないのでぇ~」

 

 

如月の少し悪い笑みに「は、はい…」と響は言いながら、それでもバルバロスUrにビビっていた。

 

 

「バトル!バルバロスUrでアーマード・ウィングへ攻撃ぃ!!閃光烈破弾(クラッグ・ショット)ぉ!!」

 

 

バルバロスの攻撃に響は少しも慌ててなかった、というよりも攻撃を喰らうことに少し戸惑っていた。

 

 

 

「アーマード・ウィングは戦闘で破壊されず、受けるダメージも0です!」

 

 

その言葉とともにピカピカの鎧のアーマードが現れた。

 

 

「あぅ~…ターンエンドですぅ」

 

 

如月

LP4000 手札1枚

銀狼騎士ヴァイク/ATK2700 バルバロスUr/ATK3800

強欲なかけら/C1

 

―響のターン―

 

「わ、私のターン!私は手札のBF-追い風のアリゼを除外して黒羽の宝札を発動します!カードを2枚ドロー!自分フィールドにBFがいる場合、手札の漆黒のエルフェンはリリースなしで召喚できます!」

 

エルフェン/ATK2200

 

 

黒い鳥人が現れるとバルバロスUrが守備体制になった。

 

 

「エルフェンは召喚に成功したとき、相手モンスターを守備表示にします!」

 

 

バルバロスUr/ATK3800→DEF1200

 

 

「バトルフェイズ!エルフェンでバルバロスUrへ攻撃します!」

 

「くっ…バルバロスがこうも簡単に…!!」

 

 

破壊されたバルバロスを見て如月は気を引き締め直した。どうやらBFは並大抵の手段だとすぐに破壊されてしまうようだ。

 

 

「さらにアーマード・ウィングでヴァイクに攻撃します!」

 

「え?」

 

 

竜巻のような風をまとってアーマード・ウィングがヴァイクに攻撃した。だが攻撃力が超えていないため、戦闘破壊されていない。

 

ヴァイク/C0→1

 

 

「どういうつもりですぅ?攻撃して意味がないとわかってるのに」

 

「すぐにわかりますよ、ターンエンド!」

 

 

LP4000 手札3枚

アーマード・ウィング/ATK2500 エルフェン/ATK2200

伏せカード1枚

 

―如月のターン―

 

 

「私のターンですぅ!そして強欲なかけらを破壊してカードをさらにドローです!!」

 

 

引いたカードの中にアーマード・ウィングを除去するカードはなかった。

だとしたら、今やるべきなのは――

 

「(エルフェンを攻撃してダメージを与える!)バトルフェイズ、ヴァイクでエルフェンに攻撃します!!」

 

 

吠えたヴァイクは持っていた黒い大剣を振りかぶり、エルフェンを真っ二つに切り裂いた。

 

 

「きゃあああああああ!!!!」

 

 

響/LP4000→3500

 

 

すると大剣中心にある赤い宝石が光った。

 

 

「ヴァイクの効果発動!戦闘で破壊したモンスターの守備力分のダメージを与えます!!ハウリング・レイジ!!」

 

「えっ!きゃああああああああああああ!!!!」

 

 

 

銀狼騎士ヴァイク

シンクロモンスター

星8/闇属性/獣戦士族/ATK2700/DEF1500

チューナーモンスター+チューナー以外のモンスター1体以上

戦闘で相手モンスターを破壊し、墓地に送った場合

そのモンスターの守備力分のダメージをを相手に与える。

自分フィールドに「銀狼戦士ヴァイク」以外の獣戦士族モンスターが

表側攻撃表示で存在する場合、このモンスターは攻撃対象にすることができない。

 

響/LP3500→2300

 

 

赤い宝石からの衝撃で若干響が涙目になっていた。

 

 

「うぅ~…こわい……」

 

「あやや、これしきで驚いてたらデュエルなんてできませんよぉ」

 

 

如月の言葉に泣きそうだが、響は再び構えた。

どうやら彼女は『泣き虫だが負けず嫌い』という性格のようだった。

 

 

「私はカードとモンスターを伏せてターンエンドですぅ」

 

 

如月

LP4000 手札2枚

ヴァイク/ATK2700 伏せモンスター1体

伏せカード1枚

 

―響のターン―

 

「私のターン!よし…!」

 

「それでぇ、私のヴァイクはどうやって倒すんですかぁ?」

 

「アーマード・ウィングの効果発動です!相手モンスターに乗っている楔カウンターを取り除いて、そのモンスターの攻撃力を0にします!」

 

ヴァイク/ATK2500→0/C1→0

 

 

突然ヴァイクの来ていた鎧にヒビが入った。まるで杭のようなもので叩かれたかのように蜘蛛の巣上に入った日々に明らかに戦力が落ちたというのがわかる。

 

「なぁ!?いつの間にぃ!?」

 

「アーマード・ウィングの攻撃で楔カウンターが乗るんですよ」

 

 

そう、先ほどの無意味と思われていた攻撃はこのカウンターを載せるためのものだった。

 

 

「バトルに入ります!アーマード・ウィングでヴァイクに攻撃!ブラック・ハリケーン!」

 

今度は吹き飛ばされたヴァイク。そして襲いかかった風が如月へも続いていた。

 

 

「きゃあああああああ!!!!」

 

 

如月/LP4000→1500

 

 

「おいおい…えげつねぇ効果だな」

 

「1ターンの猶予がある代わりに攻撃力を0にする効果、決まれば直接攻撃と同等以上のダメージが入るわね…」

 

 

十代と明日香がアーマード・ウィングのスペックに驚いていた。

すると響はそのままターンエンドを宣言した。

 

 

LP3500 手札4枚

アーマード・ウィング/ATK2500

伏せカード1枚




ふう…三ヶ月ぶりの最新話…
ユウ「こっちだと常に最新話だったけどね」

残念ながら今日はあまり時間がないのでサクっと行きます。

ツバキ「まずはユウのデュエルからだね」
一応ユウとシゲルは神を使用することができます。ただそれにはある程度の条件があって、今回は偶然にもフランツが使用した神縛りの塚がそれを補っていた。
ユウ「そういえば、結局カルマと父さんの関係教えてもらってない・・・」
改訂でそこらへん、『turn75 嘘の中に隠された真実 シゲルVSアイリス 後編』の最後の部分変更したからね。

シゲル「響・・・」
メインメンバーで最年少デュエリスト
以前のアンケートの結果『BF』が響のデッキとなりました。もちろん、オリカ多数。

さて、今回はここら辺で・・・
紫苑「結構今回のことについて短かったですね」
いや・・・俺、社会人になって仕事してるからね・・・
剱都「仕事?」
うん、3日間12時間勤務で働いて3日休み。明日仕事だから早めに寝ないと辛い。
その関係で投稿スピードは1ヶ月に良くて3本かな。ダメダメになったら2ヶ月1話とかあり得るから。
剱都「・・・まあ、その。頑張れ」

次回予告
響と如月の戦いは徐々に傾きを見せた。
トリッキーな動きをするBFとパワーで押し込むThe tyrant NEPTUNE

だが、その中で見え始める『妙な動き』

「本当は勝てたんでしょ?」


そして明かされる『姉』の思い

「佳ちゃん、帰ろうか」

「…参加します!」


次回turn82 舞う黒羽 如月の願い
最強カードは『BF-神風のハーブレード・ウィング』
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