遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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turn82 舞う黒羽 如月の願い

 

―如月のターン―

 

「私のターン!おっと、これはぁ…!」

 

 

如月はなにか逆転できるカードを引いたようだ。

口元を緩めると手札からほかのカードを抜き出した。

 

「私は手札からマシュマロンを召喚!」

 

マシュマロン/DEF500

 

フィールドに可愛らしいモンスターが現れた。だがマシュマロンは裏側守備表示で真価を発揮するモンスターだ。

 

「モンスター反転!幻想召喚師ぃ!効果でマシュマロンをリリースしてエクストラデッキから地天の騎士ガイアドレイクを特殊召喚ですぅ!!」

 

 

ガイアドレイク/ATK3500

 

 

フィールドに彼女の切り札の一枚、融合モンスターのガイアドレイクが現れた。

 

「バトルぅ!ガイアドレイクでアーマード・ウィングへ攻撃ぃ!!」

 

「攻撃しても意味がないのに…どうして…」

 

 

響がそう言っていたが、突然アーマード・ウィングの鎧の輝きが消えた。

 

 

「速攻魔法、禁じられた聖杯を発動ぅ!アーマード・ウィングの攻撃力を400ポイントアップして効果を無効ですぅ!」

 

 

アーマード・ウィング/ATK2500→2900

 

 

おそらく本来はバルバロスUrなどに使用する目的だったのだろうが、ちょうどよくアーマード・ウィングの効果が無効化された。

 

 

「きゃあああああああ!!!!」

 

 

響/LP3500→2900

 

 

一気に戦況が一変した。先程まではアーマード・ウィングで響が優勢だったが、これだと一撃でやられる可能性もあった。

 

 

「さらに幻想召喚師の攻撃!」

 

「っ…!!」

 

 

僧侶のようなモンスターが呼び出した幻が襲いかかった。だが微々たるものなのかそれほどのダメージはなかったようだ。

 

響/LP2900→2100

 

「ターンエンドですぅ!」

 

 

荒木

LP1500 手札2枚

ガイアドレイク/ATK3500 幻想召喚師/ATK800

伏せカード1枚

 

―響のターン―

 

「私のターン!っ…陽炎のカームを召喚、カードを伏せてターンエンド…」

 

 

陽炎のカーム/DEF1800

 

引いたカードが悪かったのか、一瞬顔をしかめるが手札の他のカードを伏せて響は終了宣言をした。

 

 

LP2100 手札2枚

カーム/DEF1800

伏せカード3枚

 

 

―如月のターン―

 

「私のターン!(サイクロン…か。さて、問題はこの先…先ほどの攻撃はアーマード・ウィングで守りきっていたからあの伏せカード…攻撃反応系の可能性がある…。今のはあまりいいカードではないから、ブラフの可能性もある)」

 

 

そう考えをまとめ、次に動く手を考え終わった。

 

 

「サイクロンを発動ぅ!ずっと伏せられていたカードを破壊しますぅ!」

 

 

竜巻がずっと伏せてあるカードに向かって飛んでいく――が

 

 

「きゃあ!?」

 

突然サイクロンのカードが爆発した。まるでカードに爆弾が仕掛けられていたように。

 

 

「リバース罠、BF-マイン!相手がこのカードを破壊したとき、フィールドにBFがいる場合1000ポイントのダメージを与えてカードを1枚ドローします!」

 

如月/LP1500→500

 

 

一気に如月のライフが安全地帯(セーフティライン)を突破した。

 

 

「いたたぁ…まさかそっちはブラフだったとはぁ…」

 

「お兄ちゃんが『ブラフを仕込むなら相手の意識を行かせないようにしろ。もう一枚の方をブラフと思わせろ』って」

 

 

確かにシゲルが何かブラフを仕込む時は大概二択だ、そしてその教えの通りに実行したのだ。それを見ていたユウは「流石兄妹」と思っていた。

 

 

「うぅ…じゃあ、バルバロスを妥協召喚!」

 

 

バルバロス/ATK3000→1900

 

 

フィールドに先ほどのバルバロスUrによく似たモンスターが現れた。

が、陽炎のカームを破壊され、残りのモンスターの攻撃を喰らえば響は敗北する。

 

 

「(ですが、あの伏せカードで守備力が2000以上になる場合もあるので…)バトル、地天の騎士ガイアドレイクで陽炎のカームに攻撃ぃ!!」

 

「っ…きゃあ!!」

 

 

守備だったため、ダメージはなかった。

だが残りのモンスターの合計は2600、響のライフは2100――

 

 

「続けてバルバロスで直接攻撃ぃ!!」

 

「リバース罠BF-バックフラッシュを発動!!墓地に存在するBFが5体以上の場合、相手のモンスター全て破壊します!!」

 

 

響の墓地から鴉が5体飛び出すと、攻撃をしようとしたバルバロス、そしてフィールドにいる2体のモンスターに襲い掛かった。

 

だがバルバロスに当たる寸前、鴉と幻想召喚師が消えた。

 

 

「永続罠、暴君の威圧ですぅ!フィールドの幻想召喚師をリリースして私の場のモンスターは罠カードの効果を受けなくなりますぅ!!」

 

その言葉の通り、ガイアドレイクに向かっていた鴉もあっけなく払われてしまった。そしてバルバロスの攻撃が止まらない――

 

 

「きゃう!」

 

響/LP2100→200

 

 

まさに紙一重、ギリギリだがライフが残った。

 

 

「私はカードを伏せてターンエンドぉ」

 

 

如月

LP500 手札1枚

ガイアドレイク/ATK3500 バルバロス/ATK1900

暴君の威圧 伏せカード1枚

 

―響のターン―

 

「…私のターン」

 

 

「おい、シゲル。響が勝てると思うか?」

 

罠・効果モンスターの効果で破壊不可能のガイアドレイク。それを突破するのは並大抵のことでは無理だ。

 

 

「さあな。デッキの内容が不明だが何とも言えないが…あいつは負けず嫌いだぞ」

 

 

「ドロー…!!」

 

 

引いたカードを見て響の顔が明るくなった。どうやらなにか逆転する方法があるようだ。

 

 

「私は手札からBF-極北のブリザードを召喚!!」

 

 

ブリザード/ATK1300

 

その名のとおり、雪のように白い鳥が現れた。すると響が差し出したディスクの墓地をコンコンとつついた。

 

 

「ブリザードの効果!召喚に成功したとき、墓地のレベル4以下のBFを特殊召喚します、戻ってきてゲイル!!」

 

 

ゲイル/DEF400

 

 

だが両方共チューナーモンスターだ。そしてゲイルの効果を発動してバルバロスの攻撃力を半分にしても如月のライフを削りきれない。

 

 

「手札のBF-黒槍のブラストはフィールドにBFがいる場合特殊召喚することができます!」

 

 

ブラスト/ATK1700

 

 

フィールドに3体のBFが並んだ。そしてゲイルの効果で――

 

 

「ゲイルの効果を発動します!バルバロスの攻撃力と守備力を半分にします!」

 

 

バルバロス/ATK1900→950

 

 

「バトル!黒槍のブラストでバルバロスに攻撃!!デス・スパイラル!!」

 

 

槍を持って竜巻のように突撃するブラスト――が

 

 

「罠カード、無力の証明を発動!!自分フィールドにレベル7以上のモンスターが存在する場合、相手フィールドのレベル5以下のモンスターをすべて破壊することができる!!」

 

 

バルバロスが吼えると地面が揺れた。妥協召喚といってもレベルが変更するわけではない。

 

 

「だったらリバース罠、ブラック・ブーストを発動!!フィールドのゲイルとブリザードを除外してカードを2枚ドローします!」

 

そしてブラストはバルバロスが吠えて生み出された衝撃波に巻き込まれて消えた。

 

 

「1:3交換…仮にも転生者ってわけですね」

 

「いや、まだ響は諦めちゃいないぜ!」

 

 

十代の言うとおり、響はまだ諦めた表情をしていなかった。

 

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!!」

 

 

LP200 手札2枚

モンスターなし

伏せカード2枚

 

 

―如月のターン―

 

「私のターン!(お、相棒…)」

 

 

引いたカードは彼女の精霊『ネプチューン』だった。だが今の状況で出すようなモンスターでもない。

 

 

「このままバトルに入りますぅ!ガイアドレイクで直接攻撃!!」

 

 

ガイアドレイクが馬を走らせ、持っていた槍で響を突き刺そうと振り上げた。

 

だが、そのあいだに一体の鳥人が立ちふさがった。

 

 

「墓地に存在する陽炎のカームの効果発動!!相手のバトルフェイズ中にこのカードを墓地から除外することで墓地のシンクロモンスターを特殊召喚することができます!」

 

 

アーマード・ウィング/ATK2500

 

 

彼女を守っていたのはアーマード・ウィングだった。効果で戦闘破壊もされず、ダメージも0だ。

 

 

「ありゃりゃ…なら、バトルは終わります」

 

「バトルフェイズ終了時、アーマード・ウィングは除外されます」

 

「魔法カード、マジック・プランターを発動!暴君の威圧を墓地に送ってカードを2枚ドロー!カードを伏せてバルバロスを守備にしてターンエンドですぅ!」

 

 

如月

LP500 手札2枚

ガイアドレイク/ATK3500 バルバロス/ATK950→DEF600

伏せカード1枚

 

―響のターン―

 

 

「私のターン!リバース罠、闇次元の開放を発動!!除外されてる追い風のアリゼを特殊召喚!」

 

 

追い風のアリゼ/ATK1200

 

 

フィールドに黒羽の方札で除外されていたモンスターが現れた。だがこの状況でなぜアリゼを召喚したのか、普通に考えればアーマード・ウィングの方が強力だ。

 

 

「BF-空風のジンを召喚!!」

 

 

空風のジン/ATK600

 

 

「レベル5の追い風のアリゼにレベル1の空風のジンをチューニング!!」

 

「レベル…6…!」

 

 

おそらく召喚するのはこの戦いで勝負を決めに来るモンスターだ。

 

 

「漆黒の力よ!大いなる翼に宿りて、神風(しんぷう)を巻きおこして!」

 

 

☆5 + ☆1 = ☆6

 

 

「シンクロ召喚!吹きすさべ、BF-アームズ・ウィング!!」

 

 

アームズ・ウィング/ATK2300

 

フィールドに銃剣のようなモノが装備されたライフルを持ってバイザーをつけた鳥人が現れた。

 

「アリゼの効果!シンクロ素材になったとき、ライフを600ポイント回復します!」

 

「あやや…ここで回復は痛いですぅ…」

 

 

響/LP200→800

 

「バトルフェイズ、アームズ・ウィングでバルバロスに攻撃します!!その時効果発動!!守備モンスターに攻撃する場合、攻撃力が500ポイントアップし、貫通します!!」

 

「なぁ!?」

 

 

2800の貫通――そうとなれば厄介にも程がある。ゲイルで半分にされたり、エルフェンで守備にされたら大ダメージは必至だ。

 

 

「リバース罠、強者の風格!!レベル8以上のモンスターを除外することで、そのモンスターのレベルより下のモンスターを破壊しますぅ!」

 

 

強者の風格

通常罠

自分フィールドのレベル8以上のモンスターを選択する。

選択したモンスターのレベルよりも下のモンスターを1体選択し、破壊する。

その後、自分の選択したモンスターを除外し、互いにカードを1枚ドローする。

 

 

バルバロスが銃剣で襲いかかってきたアームズ・ウィングを持っていた槍で突き刺した。だが槍が根元で折れ、バルバロスにそのかけらが突き刺さった。

 

 

「っ…ターンエンド」

 

 

LP900 手札3枚

モンスターなし

伏せカード1枚 闇次元の開放(対象なし)

 

 

―如月のターン―

 

 

「私のターン!さてと…」

 

 

一つおいて如月の目が鋭くなった。それに響が息を飲んだ。

戦いの経験が少ない彼女でもわかる、この威圧感が――

 

 

「色々と面白いネタを見せてもらった礼です、私も最大の力を見せますよ」

 

「(如月さんの…本気…!!)」

 

 

凛と響いた言葉、雪乃はその雰囲気を知っていた。すると何故か彼女は墓地のモンスターを取り出した。

 

 

「墓地のヴァイクとアンノウン・シンクロンを除外!!手札からバルバロスUrを召喚!!」

 

 

バルバロスUr/ATK3800

 

 

「来る…彼女の本気が…!!」

 

「え?」

 

 

一度如月の戦いを見たことある吹雪はこの次に何をするのか、わかっていた。だがおそらくその対処を講じるのが遅れたら、一瞬で負ける。

 

 

「フィールドのガイアドレイクとバルバロスUrをリリース!!2体の強者の力を得た冷たき暴君よ、降臨せよ!!」

 

 

フィールドの2体から抜け出した光が如月の中央のモンスターゾーンでひとつになり、巨大なワニのような胴体に人形の上半身、そして巨大な鎌を持ったモンスターとなった。

 

 

「The tyrant NEPTUNE!!」

 

 

Neptune/ ATK0→7300 / DEF0→4000

 

 

 

「こ、攻撃力7300!!!?」

 

「Neptuneはリリースしたモンスターの攻守の数値となり、そしてリリースしたモンスター1体の効果、ガイアドレイクのモンスター効果の影響を受けない効果を得る!」

 

『うむ、久々の強敵だ』

 

 

響を強者と認めたNeptuneは鎌をまっすぐ響に向けた。その声が聞こえたのか、彼女は驚いていた。

 

 

「あら、やっぱりシゲルさんの妹ね。精霊の声が聞こえるとは…」

 

「精霊…なんだ。道理で普通の人じゃないと思ってた…」

 

 

納得したようにつぶやいた響に如月はクスっと笑ってまっすぐ響を指差した。

 

 

「バトル!The tyrant NEPTUNEで直接攻撃!!Sic――」

 

「手札の熱風のギブリの効果発動!!直接攻撃を受けるときにこのモンスターを特殊召喚することができる!!」

 

 

熱風のギブリ/DEF1600

 

 

現れたモンスターにNeptuneは振り下げていた鎌を止めた。

ルール上起こる攻撃の巻き戻しだ。

 

 

「ならギブリの攻撃!Sickle(シクル) of(オブ) ruin(ルーイン)!!」

 

 

無慈悲なまでにNeptuneは鎌を使ってギブリを真っ二つに切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

と思いきや、その間に小さな鳥が挟まって、ギブリを守っていた。

 

 

「手札の蒼天のジェットの効果!!このカードを墓地に送ってギブリの戦闘破壊を無効にする!!」

 

 

手札2枚消費、だがそれでもギブリをフィールドに残していた。だがあのデッキの特性を今までの流れから予想するとモンスターを残すのは得策ではなかった。

 

 

「手札から速攻魔法、クイック・スイッチを発動!!手札のモンスターを捨てることでそのモンスターと同じレベルのモンスターは再び攻撃を行うことができるわ!手札の重装獣人クレイタウルスを墓地に送る!!」

 

 

 

クイック・スイッチ

速攻魔法

自分フィールドのモンスターが攻撃を行ったダメージステップ終了時発動することができる。

そのモンスターと同じレベルのモンスターを手札から捨てることで

もう一度攻撃することができる。

この効果で発生する戦闘ダメージは半分になる。

 

重装人獣クレイタウルスはレベル10の妥協召喚モンスターだ。つまり、もう一度Neptuneは攻撃することができる。

 

 

「追撃のSickle(シクル) of(オブ) ruin(ルーイン)!!」

 

「ギブリ…!!」

 

 

真っ二つに切られた鳥を見て響はギリッっと奥歯を噛み締めた。

 

 

「ターンエンド、さあ見せて見なさい。あなたの本気を」

 

 

如月

LP500 手札0枚

Neptune/ATK7300

伏せカードなし

 

―響のターン―

 

 

「私のターン…(残されてるカードで勝つ手段、それはあのカードが鍵を握っている)ドロー…!!」

 

 

引いたカード、それは――響の望んでいるカードではなかった。

 

 

「魔法カード、マジックプランターを発動!闇次元の開放を墓地に送ってカードを2枚ドロー…お願い…来て…!!」

 

 

一枚目、BF-蒼炎のシュラ このカードでもない。

 

そして再びデッキの上に指をおいて目をつぶった。その時彼女の頭の中である言葉が反復した。

 

 

『デッキを信じていればな』

 

 

シゲルはただそう言った。

 

 

「…信じてるよ、皆」

 

「…!」

 

 

引いたカードが光の軌跡を生み出した。ユウやツバキがたまに起こすディステニードローだ。

 

そしてそれは、『デッキが応える』ことを意味している。

 

 

「…ありがとう!永続魔法、黒い疾風を発動!このカードはBFが通常召喚されるたびにデッキからそのBFよりも攻撃力の低いモンスターを手札に加えることができる!そして蒼炎のシュラを召喚!!」

 

 

蒼炎のシュラ/ATK1800

 

 

フィールドに現れたのは攻撃力1800のBFだ。ということは1750ポイント以下のBFが手札に加えることができる。

 

 

「黒い旋風の効果!攻撃力1100のBF-そよ風のブリーズを手札に加えてさらにこの子の効果発動!」

 

 

フィールドに先ほど手札に加えた鮮やかなオレンジ色の鳥が現れた。

 

 

「ブリーズはカード効果で手札に来たとき特殊召喚することができます!」

 

「レベル7…またアーマード・ウィングを?」

 

 

というがペガサスは気づいていた。響の使っているBFはモンスターはハイランダー構成、2体目のアーマード・ウィングはいないのだ。

 

 

「墓地の精鋭のゼピュロスの効果!!フィールドに表で存在する黒い旋風を手札に戻すことで特殊召喚します!その際私は400ポイントのダメージを受けます!」

 

 

響/LP900→500

 

ゼピュロス/ATK1600

 

 

こうして響のフィールドに3体のモンスターが並んだ。だがこのままでは彼女が勝つことはできない。

 

 

「レベル4の蒼炎のシュラと精鋭のゼピュロスにレベル3のそよ風のブリーズをチューニング!!

大いなる風よ!黒き羽を携え、不屈の闘志とともに空を駆けて!!」

 

 

☆4 + ☆4 + ☆3 =☆11

 

 

「シンクロ召喚!!BF-神風(しんぷう)のハーブレード・ウィング!!」

 

 

フィールドに他の2体のシンクロモンスターと同じように薙刀を持った鳥人が現れた。その周囲には複数の小さいカラスが飛び交っていた。

 

 

ハーブレード・ウィング/ATK3200

 

 

「ハーブレード・ウィングの効果発動!!手札のカードを1枚コストに、デッキからBFを1体手札に加えます!!」

 

 

BF-神風のハーブレード・ウィング

シンクロモンスター

星11/闇属性/鳥獣族/ATK3200/DEF2400

「BF」と名のついたチューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

1ターンに1度手札に存在する「BF」と名のついたモンスターを墓地に送ることで発動する。

そのモンスターの攻撃力より低い攻撃力を持つ

「BF」と名のついたモンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。

このモンスターが破壊されたとき、墓地に存在する「BF」と名のついたカードを1枚選択して手札に加えることができる。

「BF-神風のハーブレード・ウィング」はフィールドに1体しか存在できない。

 

 

そう宣言すると手札にいたフクロウの鳥人が墓地に送られた。だが既に通常召喚を行っているため、この行動に意味があるのかと明日香は考えていた。

 

 

「何をしようとしてるのかわからないけど、そのモンスターで攻撃力7000オーバーのモンスターを倒せるのかしらね」

 

「いいえ、ハーブレード・ウィングは攻撃するためのモンスターではありません。そして…あなたはこのターンで終わりです!!」

 

 

そう宣言したとき、響は先ほどハーブレード・ウィングで手札に加えたモンスターを墓地に送った。

 

 

「手札のBFをコストに罠カード、フェイク・フェザーを発動!!相手の墓地の通常罠を1枚選択してこのカードとして扱います!」

 

「通常罠…!!ま、さか…!!」

 

 

先ほど言っていたハーブレード・ウィングは攻撃しないという意味、そして如月の墓地の罠カードといえば『アレ』しかない。

 

 

「あなたの墓地に存在する強者の風格の効果発動!!フィールドのレベル11、BF-神風のハーブレード・ウィングを選択して、それよりも低いNeptuneを破壊します!!」

 

 

持っていた薙刀を構えて一直線にNeptuneに投擲した。だがNeptuneも薙刀を体が貫きながらも鎌を構えてハーブレード・ウィングに斬りかかった。

 

 

「っ…!!やってくれるわね。けど通常召喚は行った、手札は黒い旋風と強者の風格でドローしたカードのみ。それで本当に勝てるのかしら?」

 

「ええ、そもそもこのドローは関係ありませんよ」

 

 

手札にあったのはフェザー・ウィンド・アタック。フィールドにBFが存在しないと発動できない魔法カードだ。

 

 

「墓地に存在する大旆のヴァーユの効果発動!!このカードとBFを1対除外することで合計レベルが同じBFをエクストラデッキから特殊召喚します!!」

 

「なっ…!!そうか、わざわざフェイク・フェザーの前にハーブレード・ウィングでBFを入れ替えたのはそのモンスターを墓地に…!!」

 

「ええ、墓地に存在するレベル7の激震のアブロオロスとこのモンスターを除外してレベル8シンクロ!!

吹き荒べ嵐よ!!鋼鉄の意志と光の速さを得て、その姿を昇華して!!」

 

☆7 + ☆1 = ☆8

 

「特殊召喚!!BF-孤高のシルバー・ウィンド!!」

 

フィールドに鳥の被り物をして長刀を構えた鳥人が飛び上がった。

 

 

「あやや…まさか全部計算された流れだったとはぁ…」

 

 

いつの間にか口調が元に戻っていた。それは彼女が敗北を覚悟したからだ。

 

 

「バトル、孤高のシルバー・ウィンドで直接攻撃!!パーフェクト・ストーム!!」

 

 

「きゃああああああああ!!!」

 

 

如月/LP500→0

 

 

「そこまで!勝者、獣斬響!」

 

「…か、勝った…!!勝てた…!!」

 

 

初めてのソリッドビジョンに精神的に疲労がたまっていたが、嬉しそうに響は喜んでいた。

 

 

「良かったな、響」

 

「うん!お兄ちゃんの言うとおりデッキを信じたら勝てた!」

 

 

 

 

―通路―

 

「本当は勝てたんでしょ?」

 

 

そそくさとリングから退却した如月を待っていたかのように雪乃とジュードがいた。

 

 

「はてぇ?全力で行ったんですがぁ?」

 

「嘘はよくないよ、君は暴君の威圧を発動する時にリリース対象を幻想召喚師にしたけど、あれをガイアドレイクにしておけばあの子はカームの効果を使わなければならなかった。それにわざわざガイアドレイクでカームを攻撃する必要もなかった」

 

「明らかにあなたはもっといいフィールドで終えることができた。クレイタウルスの効果を使えばあなたには攻撃力6700のNeptuneとガイアドレイクの2体のモンスターが残っていた」

 

 

重装獣人クレイタウルス

効果モンスター

星10/地属性/獣戦士族/ATK3200/DEF2500

このモンスターが特殊召喚に成功した場合、攻撃力は1800となる。

このモンスターは手札を一枚捨てることで

手札から特殊召喚することができる。

この効果で召喚したターンのエンドフェイズにこのモンスターは除外される。

「重装獣人クレイタウルス」はフィールドに1体しか存在できない。

 

 

「……」

 

『マキよ、話しておくべきではないのか?』

 

 

精霊化したネプチューンがそう言っていた。如月はメガネの奥で悲しそうに頷いていた。

 

「といっても、私がこのゲームに参加している理由ですけどね」

 

 

―回想:如月視点―

 

私は異世界で暮らしていた。その世界は荒木さんが言ってたような世界ではなく、どちらかというとこっちの世界に近い。

 

デュエルディスクもあり、大会などもあったがアカデミアのようなデュエリスト養成所みたいな場所はなかった。

 

 

「星態龍の攻撃!」

 

「ぎゃあああああああ!!!」

 

 

男子生徒/LP2200→0

 

 

そして当時中学生だった私は男子に負けず劣らずの腕前だった。

 

 

「おねーちゃん!」

 

そんな私の弟、佳祐(けいすけ)はまだデュエルディスクやデッキも持っていない小学5年生だけど、よくほかの人の戦いを見ていた。

 

 

「佳ちゃん、帰ろうか」

 

 

「じゃーねー!おねーちゃーん!」

 

 

私は両親と佳ちゃんの4人家族だった。よく近所の子供にデュエルを教えていたから「デュエルのお姉ちゃん」と呼ばれていたわ。

 

 

「ただいま」

 

「ただいまー!」

 

「あら、お帰り」

 

 

父は新聞記者、母はコンビニでパートをしている普通の家族よ。

たまに父が取材で長期に家を離れることを除けば幸せ家だった。

 

 

「佳ちゃん、あとでお姉ちゃんの部屋に来てね」

 

「? うん!」

 

 

―その夜―

 

食後に私が言ったことを守って佳ちゃんが部屋にやってきた。

 

 

「おねーちゃん、どうかしたの?」

 

「ねえ、佳ちゃんは明日でもう6年生だよね?」

 

 

明日小学生の最高学年になる佳ちゃん、そんな大事な弟に私は机の引き出しから綺麗にラッピングされた包を渡した。

 

 

「一日早いけど、おめでとう」

 

「え…?」

 

 

佳ちゃんはそれに興味を出しながら綺麗に包を開いた

 

 

「!!」

 

 

そこにあったのは「デッキ」、私が佳ちゃん用に組み上げた小学6年になったらプレゼントしようとしていたものだった。

 

 

「お姉ちゃん…!ありがとう!」

 

「ふふ、今日はもう遅いから明日学校から帰ったら隣の涼介お兄ちゃんからディスク借りて勝負しようね」

 

 

それを聞いて佳ちゃんは嬉しそうに頷いて部屋に戻った。

 

 

 

―深夜―

 

 

「…?」

 

『――せ――』

 

 

何かの声が聞こえて私は目を覚ました。2階の部屋で寝ていて隣の部屋から聞こえたが、となりは佳ちゃんの部屋だった。

 

 

「…」

 

『――を――ま――』

 

「気のせいじゃないね…何してるんだろう?」

 

 

私は部屋から出て見るとそこには驚きの光景が広がっていた。

 

 

「煙…!?」

 

 

廊下いっぱいに広がっている煙に私は呆然としていたけど、すぐにパジャマで口を塞いで佳ちゃんの部屋へ急いだ。

 

 

「佳ちゃん!!」

 

「…お姉ちゃん……もう…朝…?」

 

 

寝ぼけているのか、佳ちゃんはポケーっとしながら起き上がった。

 

 

「寝ぼけてないで!すぐに家を出て、火事よ!」

 

「かじ…家事…火事…火事!?」

 

 

その言葉を変換終わってようやく意識が覚醒したようだ。

 

 

「いい、すぐに家を出て隣の雨水さんのところに行って、消防呼んで!」

 

「う、うん!」

 

 

私はすぐに部屋を出ると1階の母の寝室に向かった。父は長期休暇でロシアにいるため、母しかいない。

 

 

「お母さん!」

 

「マ…キ…?」

 

 

そして既に火の手が回っていたのか、箪笥の一部が燃えて、バランスが崩れていたのか母の体の上に乗っていた。

 

 

「っ…お母さん、大丈夫!?」

 

「あ…足が……それより…佳祐は…」

 

「雨水さんの家に避難させた!すぐにお母さんも…!!」

 

 

そう言って箪笥をあげようとしたけど、なかなか動かない。

 

 

「マキ…逃げなさい…!早く…!!」

 

「嫌!(どうしよう、全く動かない…!)」

 

 

すると徐々に燃えていた扉が誰かに蹴破られた。

 

 

「大丈夫か!?」

 

「涼介さん!」

 

 

佳ちゃんが呼んだのか、隣の家の雨水涼介がやってきた。状況を察するとすぐに箪笥の端っこを持った。

 

 

「せーので上げるぞ!」

 

「う、うん!いっせーの!!」

 

 

2人掛りでタンスをどけることができた。涼介さんは母を担ぐとすぐに私の方を見た。

 

 

「行くぞ!」

 

 

そしてすぐに家から飛び出た。これで大丈夫、そう思って家を出るとそこには呆然と立ち尽くしていた圭ちゃんがいた。

 

 

「お…お姉ちゃん…町が…!!」

 

「え…?」

 

 

私は言われたように町を見た。ニュータウンの端っこの家が私の家だったが、街は見るも無残なものになっていた。

 

ほとんどの家が燃えており、目の前の公園はクレーターのように跡形もなかった。遠くの方に建設中だったビルは3分の1ほど崩れていた。

 

 

「な…なに…これ…?」

 

「気がつくとこれだ。まるで空襲みたいにどこもかしこも火の手が上がって街が壊れてる」

 

 

涼介さんはそう言いながら母の足を見ていた。だがその顔を見る限り芳しくない状態のようだった。

 

 

「お袋たちは第二小学校に避難してる。すぐに行こう!」

 

 

そう言って涼介さんは母を再び担いだ。私は顔が真っ青になっている佳ちゃんの手を握った。っと、佳ちゃんの左手に何かが握らていた。

 

 

「佳ちゃん?何持ってるの?」

 

「え…おねえちゃんがくれたデッキ…」

 

 

確かにそのデッキケースの色は圭ちゃんが好きな藍色だった。

 

「っ…仕方ない、しっかり持ってなさい」

 

 

―第二小学校近く交番―

 

 

「やっぱり誰もいないか…」

 

涼介さんが交番の中を覗いたけど誰もいなかった。おまわりさんは急いで出たのか、椅子が倒れたままだった。

 

今となっては珍しい黒電話の受話器を上げるも何も鳴らなかった。

 

「…っ…切れてる。とにかくみんなのところに急ごうよ」

 

 

私の言葉に全員が交番を出た。そこには見たことのない女性が立っていた。

 

 

「? あなたも避難しに?」

 

 

涼介さんが女性にそう呼びかけた。だけど女性はにやっと笑うとどこかに消えてしまった。

 

 

「「「「??」」」」

 

 

私たちは顔を合わせるも、すぐに避難しようと歩きだそうとした。

涼介さんが母に肩を貸して、私はすぐ横に立っていたはずの佳ちゃんの手を握ろうとしていた。

 

 

「…佳ちゃん…?」

 

 

だけど、私と手をつなぐはずの佳ちゃんがうつ伏せで倒れていた。

 

 

 

 

―回想終了―

 

 

「それから佳ちゃんは植物人間状態。医者の言葉だと原因が分からず、1分1秒ごとに心臓の鼓動が徐々に小さくなってる。おそらく後5年もすれば死亡すると…」

 

「じゃあ…あなたの願いは…」

 

「ええ、佳ちゃん…たった一人の弟の治療。そのためにゲームに参加したわ」

 

 

そう笑った如月はどこか寂しそうだった。その話を聞いていたジュードはここに雪乃と自分がいる理由を思い出した。

 

 

「じゃあ、さっきのデュエルで手を抜いていたのは…」

 

「ただの自己満足。あの子とのささやかな約束ができなかったから、ただそれだけ」

 

 

「んなことだと思った」

 

 

その言葉に如月はギクッと顔を強ばらせた。そしてギギギと振り返ると先ほど戦った響の兄、シゲルがいた。

 

 

「あ~いやぁ~どこから聞いてたんですかぁ~?」

 

「雪乃が『本当は勝てたんでしょ?』って言ったあたりから」

 

『ほぼ最初じゃの』

 

 

シゲルの言葉にネプチューンはそう苦笑いを上げていた。だがすぐにそれは消えて真っ青になっていた。如月も顔面蒼白という言葉が合うような感じで震えていた。

 

 

「で?テメェの自己満足のために手を抜いて勝たせてやった?」

 

「あ…そ、それはですねぇ…」

 

 

 

 

 

「…如月、デュエルだ」

 

 

数分後、ボロ雑巾の如くボロボロになった如月がデュエルリングに転がっていた。それを見下している鬼が一人。

 

 

「二度と手を抜くな。手を抜いて勝負するのは相手に対しての礼儀じゃねぇよ。ハンデとは違う、そこを履き違えるな」

 

「は、はいぃぃぃぃぃ……」

 

 

如月:ジェネックスリタイア

 

―チーム寮:ノーバディの大部屋―

 

 

「今日からこの部屋を使ってね」

 

 

ツバキが響を案内したのは使用されていなかったノーバディの空き部屋だった。

先ほど掲示板に響は『家庭の事情でアカデミアで過ごすことになった』という張り紙が張り出されていた。

 

 

「そうそう、忘れていたわ」

 

 

そう言ってチーム寮の寮長カミューラ(寮長らしくワンレッドのスーツ姿)はポケットからひとつのメダルを取り出した。

 

「鮫島校長からの通達であなたにもジェネックスの参加資格が与えられるわ」

 

「ジェネックス?」

 

 

大会のことを知らない響はコテンと首を傾けてそう聞いた。

全員参加のバトルロイヤルトーナメントという説明を受けて理解したようだ。

 

 

「一応教師にも参加資格があるけど、中には参加しない人もいる。貴女は生徒じゃないから参加は自由だけど、どうするのかしら?」

 

「…参加します!」

 

 

 

何か叶えたいことがあるのか、響はそういった。

 

その日から学園の生徒ではない少女がオッズの上位に食い込んでいた。

 

 




これが響のデッキですね。
紫苑「BFですか…展開力は後の作品でも猛威を振るっていますね…」

剱都「如月の願いは…」
弟の佳祐の回復。そこら辺含めて『アザー・レコード』の『主要人物紹介』に載せました。
シゲル「俺たちだけじゃなくて転生者もか…エネミーズは?」
ネタバレが多すぎるから見送った。未だにエネミーズの目的すら出てないから
ユウ「え?転生者の邪魔じゃないの?」
問題は『なぜ邪魔をするのか』ってこと。その点、少し無理やりな設定があるんだけどね…

デュエル解説~
と言ってもお互いのデッキ内容についてぐらいかな。
紫苑「如月さんは妥協ハイビートですか」
剱都「てか、そんなカテゴリーがあるのか?」
シャマルのオールバーン同様、オリジナルです。というか妥協モンスターを使ったカテゴリーがわからなかった。

ユウ「で、響のBFだけど…」
原作のシンクロのみだと流石に難しいからいろいろ増やした。
あ、それと少し募集しようかな
ツバキ「募集?」
響の次のデュエルがいつになるかわからないけど、オリジナルカードを作るときにBFの名前が思いつかないんだよね。シンクロはともかく
だから名前募集しようかなって。BF以外でスピリットや剣闘獣といったやつでも


そして、仕事と展開の行き詰まりで次回投稿は来月になりそうです。

次回予告
新たにジェネックスに参戦した響。
そして続々と参戦する参加者たち。その中には見覚えのある顔もいた。

しかしその中で蠢く新たなる敵の影――

「バトル!真紅眼の闇龍で直接攻撃!!ダークネス・ギガ・フレイム!!」

「僕はッ…!!」


新たなデッキ

「できない計算をすると、痛い目にあうぞ…」


そして、疑われる転生者。

次回turn83 波乱の予選
最強カードは『シンクロ・イーター』
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