―デュエルリング―
『昨日、港であった傷害問題については以上だ』
緊急集会で集まった生徒たちに通達された問題。キース・ハワードの暴行についてと彼の参加権の剥奪に生徒たちはホッとしていた。
各々自室に戻ったり対戦者を探したりと行動を開始していた。
―アカデミア屋上―
「…なるほど、そんなことが…」
昨日の戦い、そして今日の集会の意味を聞いたエドはそうポツリと零した。
エドの他にはユウ、剱都がおり、ほかのメンバーは情報収集に向かった。
「で、一応忠告だ。俺の予想だと相手はまず吹雪さんを襲ってメダルを奪った。そして次はキースが港で暴れていた。つまり――」
「――行動に一貫性がない?ってことか」
「ああ、おそらく目的…サターンが言っていた主の復活のみ決め、あとは各々やっているんだろう。そしてその目的のためにジェネックス本戦で何かするとしたらメダルを持ってる奴が襲われる」
それが剱都の立てた予想だった。頭が切れるやつや効率的に考えたらメダルを多く持ってるやつのが普通だった。だが、それにしてはひとつの問題があった。
「ところで本戦出場者の人数って何人なんだ?」
「………32人」
つまり、32人の中に残るプラネットシリーズを持つデュエリストがいるのだが、全員調べることもできない。
「とにかく、今現段階で起こりうる最悪の展開が本戦出場者を狙われるってことだ。俺たちは基本的に
「そうだな…カイザーには?」
島外の参加者で仲間となり得るのはエドとカイザーの2人だった。だが、先程からシゲルやツバキが探しているがカイザーが見つからないのだ。
『マスター、少しよろしいでしょうか』
「リオ、どうかしたのか?」
優雅に現れたダークエンジェルのリオに剱都が聞いた。するとリオはある一点を見つめていた。
『ただいまのお話にありました、プラネットシリーズらしき力を感じました』
「「「!!!!?」」」
―校舎:屋上―
「十代様~!!」
「ん?」
屋上で空を眺めていた十代と紫苑のもとにやって来たレイ。彼女は前日十代を探していたのだがキースの暴行でそれどころじゃなかったため会えなかったのだ。
「レイ!?なんでここに!?」
「えへへ、会いにきちゃいま……」
「?」
十代にそう笑っていたレイだったが、その横にいた紫苑を見て目を細めた。
乙女としての本能か、気づいたようだ。
「あ、そうだ。紫苑は初対面だったな。こいつはレイ、前にいろいろあって学園に少しだけいたことがあるんだ」
「そうなんですか。初めまして。私は姫野紫苑といいます」
年下相手にも礼儀正しく自己紹介をする紫苑だったが、それに対してレイは呆然としていた。
「デュエルだ!!」
「え!?」
「唐突ですね」
驚く十代だったが、紫苑は冷静にそう言った。が、すぐに普通の挑戦者と何か違う感じがすr――
「どっちが十代様にふさわしいか勝負だ!!」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
レイの言葉にその場の空気が固まった。
「あ~…その、レイ?まさか…前来たときのあれ、冗談じゃ…」
「十代、どういうことか懇切丁寧な説明を要求します」
いま、十代はまっすぐ紫苑の顔を見ることができない。なぜか「ドォゴゴゴゴゴ・・・」という謎のSEが聞こえてくる。
「い、いや、れれれれ冷静になれ!!」
「私は常に冷静ですが?」
「(紫苑さんって、すごく怖い!!)」
ニッコリと笑うその顔に初対面の感じから一気にイメージが変わったレイの中の紫苑の像。
十代が命の危機(?)に瀕しているが、紫苑はその掴んでいた肩をレイの方に押すようにして突き飛ばした。
「きゃあ!?、十代様///」
「うおぉ!?」
レイの上に押し倒すような体制になっている十代、おそらく更に紫苑が狂気乱舞をすると思っていたが、この状況を作り出したのは紫苑だった。
「…紫っ!?」
振り返った十代、そこにいた紫苑は左手をまっすぐ先程まで見ていた空に向けていた。手には紫色の光が集まっており、十代はそれが魔法だとすぐわかった。
「あなたは誰ですか」
「おぉ…なかなか活きのいい嬢ちゃんだな」
そして、その手の先にはひとりの青年が『浮かんで』いた。
「え、ひ、人が!?」
「魔導師…エネミーズ…とにかく、敵か」
驚いているレイをよそに十代がその青年が誰なのか思考を回していた。
「エネミーズのコンダクターの一人、グライム・ケルティックだ」
「ご丁寧にどうも(無関係の人がいるにも関わらず…もしかすると今回の一件と何か関係が…?)」
―校長室―
「むぅ…」
「どうしたノーネ?」
校長室で鮫島校長が資料に目を通して唸っていた。それにクロノスもその資料に目を通していた。
内容は今大会でアカデミアが招待したデュエリストだった。
「バンデットキースがなぜメダルを持っていたのか…彼と最初に戦ったブルー生徒の話だと確かにメダルを持っていたらしいので。生徒に調査をしましたが紛失したという報告もなければ島外の参加者から渡ったのが普通なのですが…」
「にょ?」
「早乙女レイ君やほかの参加者、調査したところキースに渡したデュエリストがいないのです」
―アジト―
「あうぅ~…思ったよりも情報がないですぅ…」
アジトのコンソールで情報収集していた如月だったが、斎王の時とは違い今回の相手は自分も持っているプラネットシリーズだ。
その存在は異世界のカードということで外部に情報が転がっているわけもなかった。
それに先ほど鮫島校長からの情報で敵のメンバーも探らなくちゃいけないのだ。
参加者は約500名、その中で複数人の敵を探すのは骨が折れる。
「あ、あの、如月さん!」
「ん?」
チーム寮のターミナルからやってきたのはこの学園の生徒ではないがこの島で生活をすることになった響だった。
一応彼女はノーバディ以外の転生者・十代達原作者とも顔合わせをしているがデュエルをしたことがある如月に一番懐いていた。
「お兄ちゃん達、何してるんですか…?」
「なに、とはぁ?」
「なんだか…昨日、港で暴行があった時からピリピリしてる感じがして…もしかして、管理局が……」
今回の一件、響には何も伝えてなかった。一応彼女は洗脳とは言え魔導師として行動していたおかげか紫苑以上の魔力で魔法を行使することができた。
だが、シゲルがもう危険な目に合わせたくないという気持ちを汲んで剱都がジュンコとももえに響に危害が加わらないようにしているはずだったのだ。
「大丈夫ですぅ。昨日の暴行は管理局とは関係のない人ですしぃ、ピリピリしているというかぁ、チームメンバーに遅れを取らないように頑張ってるだけですぅ」
一応の嘘を並べるが、情報屋としての彼女のカンが告げていた。おそらく彼女はこの戦いに気づいている。
―屋上―
グライム
LP4000 手札3枚
スカル・フレイム/ATK2600
グラビティ・バインド
「手札からバーニング・スカルヘッドを特殊召喚する!!」
「っ…!!」
グライムの特殊召喚した炎の骸骨から放たれた炎が紫苑に襲い掛かった。
「バーニング・スカルヘッドの効果だ、1000のバーンダメージを与える!!」
紫苑
LP1900→900 手札3枚
フリーズ・レディ/ATK2000 ブルーメ/ATK2500
伏せカード1枚
「紫苑!!」
先程からグライムが特殊召喚するモンスターがバーンモンスターで徐々に紫苑のライフが削られていた。
「…なによ、十代様と同じHEROなのに」
その光景を面白くなさそうに見ているレイ。どうやら憧れの十代が使うシリーズで押されているのが気に入らないようだ。
「魔法カード、増援を発動!デッキからファイアー・トルーパーを手札に加えてターンエンドだ」
グライム
LP4000 手札2枚
スカル・フレイム/ATK2600 バーニング・スカルヘッド/DEF800
グラビティ・バインド
―紫苑のターン―
「私のターン!!」
先程も召喚していたファイアー・トルーパーは相手に1000ダメージを与える効果を持つモンスターだ。つまり次のターンで紫苑が敗北するということだ。
「手札から融合を発動!!フィールドの2体のモンスターを融合、凍てつけ、アブソルートZero!!」
アブソルートZero/ATK2500
フィールドに氷のHEROが現れた。だがそれだけではグライムを倒すのは不可能だった。
「融合回収を発動、墓地の融合とクスノペを手札に戻す」
「(ガイアを召喚するのか…?でも、それでもグラビティ・バインドは…)」
「二重魔法を発動、手札の融合をコストにあなたの墓地の増援を発動!!E・HEROシンクロンを手札に加えて召喚!!」
シンクロン/ATK0
フィールドに現れた小さな勇者。それを見たとき、十代は紫苑が何を狙っているのか気づいた。
「シンクロンの効果、フィールドのアブソルートのレベルを2つ下げる!そしてレベル6となったアブソルートにレベル1のシンクロンをチューニング!!
闇を切り裂く光の心…その全てを具現化せよ!!」
☆6 + ☆1 =☆7
「シンクロ召喚!!舞え、ファントム・ブルース・ドラゴン!!」
『ピュアアアアアア!!!』
フィールドに現れたのは幻想のように美しい青いドラゴンだった。それを始めて見たレイはその姿に見とれていた。
「墓地に送られたアブソルートZeroの効果発動!!相手フィールドのモンスターをすべて破壊する!!」
「っ…!!だが、俺の手札にはファイアー・トルーパーがいる、次のターンで終わりだ!!」
確かにその通りだ。『このまま紫苑のターンが終われば――』
「手札のクスノペをコストにファントム・ブルース・ドラゴンの効果発動!!墓地のフレンドラゴンを手札に加える!!」
「(フレンドラゴン?最初のターンにテイク・オーバー・ファイブで墓地に送ったカードか…)」
十代でも聞き覚えのないカードだったが、既に召喚権を使用していたため召喚することができない。
「ターンエンドです」
紫苑
LP900 手札2枚
ファントム・ブルース・ドラゴン/ATK2800
伏せカード1枚
―グライムのターン―
「俺のターン、これで幕引きだ。手札からファイアー・トルーパーを召喚!!」
フィールドに炎をまとった騎兵が現れ、さらにその炎が一層燃え上がった。
「ファイアー・トルーパーの効果発動!!召喚されたこのカードをリリースして1000ポイントのダメージを与える!!」
ファイアー・トルーパーが爆発するように炎が紫苑、十代、レイに襲い掛かった。
「きゃあ!!」
「レイ!!」
「2人には手出しさせませんよ、手札のフレンドラゴンの効果発動!!相手がダメージを与える効果を発動したとき、このモンスターを特殊召喚することができます」
レイに襲いかかっていた炎を守るようにフレンドッグに似たドラゴンが盾となって出現した。
フレンドラゴン/DEF1200
「このモンスターが召喚されたとき、発動したモンスターの効果を無効にして墓地に存在する融合を手札に加えることができる!!」
フレンドラゴン
効果モンスター
星4/風属性/機械族/ATK800/DEF1200
「ダメージを与える」効果が発動した場合、
その効果を無効にしてこのモンスターを手札から特殊召喚することができる。
「フレンドラゴン」のこの効果はデュエル中に1度しか発動できない。
このモンスターが特殊召喚した場合
「融合」を墓地から1枚手札に加えることができる。
この効果は1ターンに1度しか発動することができない。
「生意気な…墓地のスカル・フレイムを除外することでスピード・キング☆スカル・フレイムを特殊召喚することができる!!」
先ほどアブソルートZeroが破壊したモンスターが墓地から消えると、ケンタロウスのようなアンデットが現れた。
スピード・キング☆スカル・フレイム/ATK2600
「スピード・キング☆スカル・フレイムの効果だ、墓地に存在するバーニング・スカルヘッドの数×400ポイントのダメージを与える!!」
そして再び、スピード・キング☆スカル・フレイムが放った炎が紫苑と、十代、レイに襲い掛かった。
「っ…ファン!!」
『ピュア!!』
十代とレイを守るようにファンがその体を盾にした。そしてファンと紫苑に火球が直撃した。
「きゃああああァァァァァァ!!!」
『ピュアアアアアアァァァァァァァ!!!!』
紫苑/LP900→100
「紫苑!!」
「紫苑さん!!」
ファンと紫苑が火球をくらって倒れた。だがそれでもグライムは攻撃の手を緩めなかった。
「グラビティ・バインドをコストにマジックプランターを発動!!カードを2枚ドローする!!」
重力の網が消えるとファンとスカル・フレイムが自由に動けるようになった。
「永続魔法、純血継族を発動!!除外されているモンスターを墓地に戻すことで同じ種族と属性のモンスターはそのモンスターのレベル×200ポイント攻撃力がアップする!!」
純血継族
永続魔法
除外されているモンスターを1体選択して墓地に戻す。
この効果で墓地に戻されたモンスターと同じ属性・種族のモンスターの攻撃力は
この効果で戻したモンスターのレベル×200ポイントアップする。
「純血継族」はフィールドに一枚しか存在できない。
スピード・キング☆スカル・フレイム/ATK2600→4200
「攻撃力4200だと!?」
「バトルだ、スカル・フレイムで貴様のドラゴンへ攻撃!!」
「紫苑さん!!」
アンデットのケンタロウスがファンと紫苑に向かって突っ込んできた――が、
「伏せカード、フレンガードを発動!!フィールドの『フレンド』と名のつくモンスターへ攻撃を移し替えることができる!!」
フレンガード
通常罠
自分フィールドに「フレンド」と名のつく機械族モンスターが存在し、
相手がほかのモンスターに攻撃した場合発動することができる。
攻撃対象を「フレンド」と名のついたモンスターに移し替えることができる。
ファンへ向かっていた攻撃が其れ、フレンドラゴンへと直撃した。
「糞…(だが手札は3体目のファイアー・トルーパーだ。次のターンで確実に終わりだ)ターンエンド」
グライム
LP4000 手札1枚
スピード・キング☆スカル・フレイム/ATK4200
純血継族
―紫苑のターン―
「私のターン、ファントム・ブルース・ドラゴンの効果で手札の融合をコストに墓地のミラクルフュージョンを手札に加えます。そして発動、墓地のフレンドラゴンとアブソルートZeroを融合!!轟け、Great Tornado!!」
Great Tornado/ATK2800
フィールドにマントのようなものに身にまとい、竜巻と共に現れた戦士の生み出したかぜがスカル・フレイムに纏っていた炎を吹き飛ばした。
「Great Tornadoの効果、相手モンスターの攻・守を半分にする!!タウン・バースト!!」
「なに…!?」
スピード・キング☆スカル・フレイム/ATK4200→2100
「バトルフェイズ、ファントム・ブルース・ドラゴンでスカル・フレイムへ攻撃、イリュージョン・ダスト!!」
「ぬおおおおおおおおおお!!!」
グライム/LP4000→3300
「クッ…?なんだ、この霧は…」
霧の中に消えていったスカル・フレイムとグライム。
姿が見えないが、グライムがいるであろう方向に紫苑が右腕を突き出した。
「ファントム・ブルース・ドラゴンの効果、戦闘で相手モンスターを破壊した場合、500ポイントのダメージを与える」
「なんだと!?」
そして紫苑が突き出した右手を握るとその霧が爆発したように離散した。
「ファントム・ガスト!!」
「ぐおおおおおおおおおお!!!」
グライム/LP3300→2800
そして残りライフは、2800――
「そしてGreatTornadoで直接攻撃!!スーパー・セル!!」
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
グライム/LP2800→0
巨大な竜巻に巻き込まれ、グライムが屋上の壁に激突してぐったりしている。
「ッ…!!」
「紫苑!!」
それを確認してか、ふらっと倒れそうになった紫苑を十代が受け止めた。流石に実際のダメージで残りライフ100までバーンダメージを喰らうのは精神的にも来たようだ。
「大丈夫です…それよりも、皆に…!!」
「その必要はないぜ」
グライムを拘束するために他のメンバーに連絡をと思っていた紫苑の前に現れたのはリオの先導でやってきた剱都たちだった。
「どうしてここに…?」
「リオが謎の力を感じてな、来てみたらこうなっていたというわけだ」
剱都の目線の先には目を回しているグライムにその体を縄でぐるぐる巻きにしているエドがいた。
だがそのデッキを調べていたリオはちらりと剱都の方を向くと首を振った。
「?」
「チッ…」
剱都は軽く舌打ちをするとPDAで何故か一緒に行動してないユウに連絡を取った。
「ユウ、そっちだ」
―砂浜―
「……一体何の真似だ?」
砂浜で佇むカイザー、だがその周囲には薄い膜状のドームが張られていた。
そして目の前には一人の少年がいた。
「かの有名なヘルカイザーこと、丸藤亮さんに僕のデュエルを見ていただきたいんです」
言葉だけだと、彼を崇拝するファンの一人のようにも聞こえる。だがカイザーはその姿がかつて紫苑と十代に襲い掛かったクロノに重なった。
「管理局か…エネミーズか…どちらにしろ、敵か」
「…ふふふ……!!」
「「デュエル!!」」
―少年VSカイザー―
「カイザー!!」
「む…シゲルと…神楽坂か」
シゲルは苦虫を噛んだように薄い膜を叩いた。警告する前に既に敵が接触してきたのだ。剱都の予想通りだったが一歩遅かったようだ。
「!! あいつ、昨日吹雪さんを襲ったやつだ!!」
「なに!?」
となると、例の『プラネットシリーズを持つ少年』ということになる。
「吹雪が…?」
「無駄話はここまでです。では僕のターン、ドロー!!」
少年はそう宣言してカードを1枚優しく引いた。
「僕はモンスターを伏せてターンエンドです」
少年
LP4000 手札5枚
セットモンスター
伏せカードなし
―カイザーのターン―
「俺のターン(吹雪がやられた…おそらくあいつは真紅眼を使ったはずだ。それで負けたとなると…)魔法カード、融合を発動!!」
そう宣言した瞬間、カイザーの手札のサイバー・ドラゴンが2体融合された。
「(こいつは…強い…!!)融合召喚、サイバー・ツイン・ドラゴン!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン/ATK2800
フィールドに双頭のサイバー・ドラゴンが出現した。あのセットモンスターがリクルーターか攻撃耐性がなければそのまま大ダメージを与えることができる。
「バトルフェイズ、サイバー・ツイン・ドラゴンで伏せモンスターに攻撃!!エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
一撃目で伏せられていたモンスターが破壊された、が、すると何故か2体のモンスターが出現した。
鉄のハンス/DEF1100
鉄の騎士/DEF300
「……(鉄のハンスと騎士…?)サイバー・ツイン・ドラゴンで鉄の騎士へ攻撃!!」
そのまま守備状態の騎士が粉砕された。しかしこれでカイザーが終わるわけもなかった。
「速攻魔法、融合解除!!」
サイバー・ツイン・ドラゴン→サイバー・ドラゴン/ATK2100
サイバー・ドラゴン/ATK2100
「追撃だ、エヴォリューション・バースト、ニレンダァァ!!」
「ッ……!!」
少年/LP4000→1900
一気に少年のライフが半分以上吹き飛んだ。だがなぜか少年はまだまだ余裕がある表情だった。
「…カードを伏せてターンエンドだ」
カイザー
LP4000 手札1枚
サイバー・ドラゴン/ATK2100 サイバー・ドラゴン/ATK2100
伏せカード1枚
―少年のターン―
「僕のターン、僕はモンスターとカードを2枚を伏せてターンエンドです」
少年
LP1900 手札3枚
伏せモンスター
伏せカード2枚
「(モンスターを伏せただけ…一体何を考えている…?)」
―カイザーのターン―
「俺のターン…魔法カードパワーボンドを発動!!手札のサイバードラゴンとフィールドに存在する2体のサイバードラゴンを融合!!」
手札とフィールドに存在する3体のサイバードラゴンを歪み、合わさって1体の三首龍が現れた。
サイバー・エンド・ドラゴン/ATK4000→8000
「攻撃力8000の貫通……この攻撃が通れば…!!」
「バトル、サイバー・エンド・ドラゴンで伏せモンスターに攻撃!!エターナル・エヴォリューション・バースト!!」
口に青白い光線を溜めて、それを放ったサイバー・エンド・ドラゴン。
「クッ…!!」
そして伏せモンスターに直撃した。
「やったぜ!!」
「………いや」
神楽坂がその光景に喜んでいるが、シゲルは何か腑に落ちない感じがしていた。
どうやらカイザーも同感のようだった。
『出来すぎている』
そうとしか思えなかった。
やがて土煙が晴れるとそこには先ほどと同じように微笑んでいる少年が立っていた。
だが、妙なことに少年のLose表示やカイザーのWin表示が出ない、ということはデュエルの決着はついていないということだ。
「残念ですが、お楽しみはお預けのようですね」
「なんだと…」
《ヴゥーーーーーーー!!!!》
少年がそう言うと同時に、島にブザーがなった。程なくしてマイクから通してナポレオン教頭の声が響き渡った。
『現時刻を持って第一回ジェネックス大会予選を終えるのでア~ル!!』
「なっ、予定だとまだ一週間近くあるだろ!?」
神楽坂がそう言っていた。確かに予定だと10日ということだった。しかしその声を予想してかナポレオン教頭の声が続いた。
『なお、終了の理由は大会参加者が32名になったからでア~ル!』
「残りの参加者400人あまりが脱落した!?」
「………テメェらの仕業か」
シゲルが気を抜くことがなく、少年を睨んでいた。
それに肯定することもなく、否定することもなく少年は微笑んでカイザーを見ていた。
「みんな、大丈夫!?」
「ああ、なんとかな。だがいろいろとめんどくさいことになってるみたいだ」
シゲルの言葉にユウは少年の顔を見た。すると少し驚いた顔をしていた。
「…レオン・ウィルソン?」
「!!」
「知ってるのか!?」
少年の名前を聞いて神楽坂が思い出したようにハッとした。
一方の少年もユウに気づいて同じように驚いた顔をしていた。
「前にアメリカであった海馬コーポレーション主催の大会の優勝者だよ…!!」
「……!!KCグランプリか!」
その大会ならシゲルも知っていた。後で聞いた話だがペガサスが作ったとある禁止カードがエキシビジョンで使用され、大変なことになったと。
「へぇ、もう気づいちゃったんだ…」
「…なるほど、お前はこの大会の『正式参加者』か…」
それなら鮫島校長が見つけれない理由も納得がいく。通常なら『招かざる客』が疑われるが、『招いた客』なら誰も疑いもしない。
「目的は何だ?」
「そうですね…僕の目的は唯一決着がつかなかったあの人を超える…ってことですかね」
決着がつかなかった――やはりKCグランプリのエキシビジョンのことだろう。
禁止カードが使用され、さらにそのデータが書き換えられて『勝負』とは言えない内容だったと聞く。
そしてその時の対戦相手は――
「…なあ、神楽坂。お前がデュエルキングのデッキを使って擬似的に武藤遊戯と戦うイベントでお前に勝ったのって何人いた?」
「え…?あ、ああ、あのイベントか。確か…カイザーと…十代だけだったが」
つまりレオンの目的は武藤遊戯のデッキに勝利した相手に勝つことだった。
「そこまでバレてるなら種明かししても問題ないですね。僕の目的は遊戯さんのデッキに勝ったカイザーさんと十代さん、そして…ユウさんとツバキさんです」
「「「!!!??」」」
ユウとツバキ――確かに2人も武藤遊戯のデッキに勝利していた。だがなぜそのことをレオンは知っているのか。ツバキならともかく、ユウに関しては戦ったことを知っているのはごくわずかの生徒だけだ。
「まて、だとなぜお前は吹雪を襲った?あいつはその頃ダークネスに囚われて戦ってはないはずだ」
「う~ん、それは答えれないですね。まあ、知りたかったら本戦で僕に勝つことですね」
そう言ってレオンは背を向けた。だが一歩歩くと足を止めて振り返ることもせずに思い出したように言った。
「勝てれば、ね」
―アジト―
「まさか400人の参加者がな…」
いつの間にかそこまでの参加者が倒されたのか、残ってるメンバーの内少なくとも7人近くがプラネットシリーズを持ってるということになる。
「で、俺たちで生き残ったのは…」
シゲルがそう言ってアジトを見回して数を数えた。
ユウ シゲル ツバキ 剱都 紫苑 荒木 エド カイザー 十代 雪乃
10人、数では上だが戦力差的には五分五分といったところだ。
そして問題はほかの一般参加者にまだ伏兵が潜んでいる可能性もあるのだ。
「これは…大変な戦いになりそうですね」
「ああ、今回は作戦や戦略なんてものはない。各個で頑張れとしか言い様がないな。ジュードと如月はとりあえず外で不審な動きがしてる奴がいるかどうか調べてくれ。あとは…まあ、各々で考えて行動だな」
「………ふふ」
頭を抱えた剱都に少しツバキが微笑んでいた。それに全員がそっちの方向を向くとツバキが少し呆れているように笑っていた。
「なんだかんだ言っても私たちがバラバラになることがないんだね。こうして話し合ってどうやって戦うか考えてる」
「そう…だね」
確かにその通りだ。ジェネックスが始まる前に剱都が言った『俺達が全員敵同士になる』
はじめはその通りだった。だがやはりというべきが全員がこうして作戦を考えて、役割を決めて動いていた。
「さて、今日は早めに休めよ。戦いの最後は体力がある奴が笑うことになるからな。待ち遠しくて徹夜なんかするなよ、特に十代」
「なんで俺なんだ!?」
「ありえるぞ。十代なら特に」
エドの言葉にその場は笑いに包まれた。
―チーム寮:ユウの部屋―
「ユウ、起きてる?」
まだそう遅くはない時間帯、一応ツバキはドアをノックして部屋の主が起きてるか確認する。すると鍵が開いて、扉の向こうからユウが顔を出した。
「どうかしたの、ツバキ」
「……ううん、なんかちょっとユウとしゃべりたくてね」
部屋に招き入れられたツバキ。座布団の上に座るとユウは備え付けの椅子に座った。ツバキは部屋に置いてあった因幡之白兎のぬいぐるみをギュッと抱えていた。
「けど急にしゃべりたいって…何かあったの?」
「…なぜだかわからないけど、明日…嫌な予感がするの。皆に何かあるんじゃないかと思うと…」
心なしか、少し震えているようだった。
「Et devoto animo concinentem, et mente laesus deae beneficium♪」
すると心地いい歌声が響いた。
ツバキが顔を上げるとユウが目を閉じて、まるで子供を寝かすようにして歌っていた。
「母さんがよく歌ってくれた子守唄なんだ。怖い夢を見たときとかよく歌ってもらってたんだ」
するとユウはどこからかホットミルクを持ってきた。
「正直言うと、僕も怖いんだ。またツバキと離れ離れになるんじゃないかなって。けど…だからかな、頑張れるんだ。また会いたいって」
そして翌朝――決戦
剱都「今回、どうして対決の最初の部分がないんだ?」
いや、実は最初あのデュエルが2ターン、簡単に言うと紫苑が一発ファンを召喚して決着って流れでメインを次のカイザーVSレオンにする予定だった。
だけど今カイザーとレオンのどっちかをリタイアにするのは早かったから紫苑の戦いに追加してたんだけど、そしたら最初の部分を考える時間がなくてね…
シゲル「で、次はそのレオンだが…」
アニメオリジナル、KCグランプリ編の登場人物。優勝者エキシビジョンとして遊戯との戦いを行ってたんだけどいろいろあって…まあ、その決着というか、『遊戯を超えるために遊戯のデッキに勝った相手に勝つ』みたいなことを目的としてるね。
ユウ「確かに僕とツバキは勝ったけど、なんで知ってるんだろう…」
まあ、それはこの章の謎、かな。
紫苑「それで、予選は終了ですか?」
本当はツバキVS荒木とかユウVSジュードとかやりたかったけどね。
どう頑張ってもこれ以上メンバーをリタイアさせるのは難しいから
ツバキ「え?どういうこと?」
まあ詳しくは次回かな。
さて、次回予告
始まったトーナメント本戦
各ブロックごとに分かれての姿の見えない対戦相手
そしてトーナメント外で出現する敵――
「少なくとも400人弱の中から探すのは骨が折れるね…」
《ジェネックスは我々が乗っ取った》
止まらない大会で一回戦の相手が――
「なんでって、勝ったからよ」
全てを破壊する存在を優しく包み込む羽――
「燃え盛る…『火星』…!!」
焼失するモンスターたち。だが、その中で見つけた『違和感』
「黄泉の国より甦れ、暴風龍よ!!」
turn85 思いの力 雷死龍VS暴風龍
最強カードは「剣闘龍ヴァジュラ・デッド・ドラグーン」