遊戯王GX~ノーバディ・レコード~   作:銀猫

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遅れて申し訳ない…もう前回の投稿から5ヶ月も…


turn86 翔の心 古代の罪龍VS超機械戦士

 

 

ほんの数十分前に乗っ取られたジェネックス本戦トーナメント。

シゲルがジュンコに勝利した時とほぼ同時刻――

 

 

 

「ブラッディ・フィアーズ!!」

 

「セレスティアル・ブラック・バーニング!!」

 

「スクラップ・フィスト!!」

 

 

 

他のメンバーも勝ち進んでいた。だがその相手は普通の生徒、もしくはアマリーグの参加者だった。

どうやら運がいいのか悪いのか、プラネットシリーズもつデュエリストとは当たらなかったようだ。

 

だが、そんなことをほかの参加者は知らなかった。

 

 

 

「何?乗っ取られてるだと?」

 

 

第一回戦、まだ見ぬ対戦相手を待つ剱都に入った如月の通信が入った。

 

 

『そうですぅ!こっちからの通信も途切れてもうどうすることもできないんですぅ!』

 

「チッ…先手を打たれたか…他のメンバーは?」

 

『報告はユウさんとカイザーさん以外全員に届いて、二人を除いて一回戦突破しましたぁ。あ、それとシゲルさんが火星のプラネット(The blazing MARS)を回収したらしいですぅ』

 

 

それを聞いて少し考えていた。おそらく相手の狙いはトーナメントメンバーと外にいるメンバーの連絡の遮断だ。ということは――

 

 

「如月、ジュードに外にいるやつを調べさせろ。おそらく一人か二人いる。それとその仮面の男についてできる限り調べろ」

 

『もうやってますぅ、でも全く手がかりがないんでぇ…』

 

「いや、手がかりならひとつだけある。今から言う男について、何について研究していたのか全部だ」

 

 

―アカデミア:購買―

 

『――といわけでぇ、捜索はお願いしますぅ』

 

「わかった。ついさっきの映像のおかげでいくつか怪しい人には目をつけたから」

 

 

そう言ってジュードは通信を切った。先ほどジャックされた映像を見て大半の生徒は呆然としたり驚いたりした反応をしていた。だが、その中で全く違う反応をした生徒が数人いた。

 

 

「さて、始めようか」

 

『りょ~か~い』

 

 

―戻って地下―

 

 

「…遅い」

 

 

そうイライラしながら待っていたのは剱都だった。彼は先ほどの如月からの通信から10分ほど待っているが、対戦相手が一向に来ないのだ。

 

出入り口はどちらかのライフが0になったときに開く仕掛けのため、先に行ったという可能性は無い。

となると、ここに来るのに手間取ってるというわけだが―――

 

 

「お、遅れたっす!!」

 

「んあ?」

 

 

 

慌ててやってきた水色の髪の少年には見覚えがある。というよりも、仲間の一人だった。

 

 

「あ、あれ…剱都君…」

 

「翔…か」

 

 

丸藤翔――

カイザーの弟で十代の舎弟を名乗る少年だった。過去に何度か手合わせ程度で戦ったりもしていたが、翔は一度も勝てなかった。だがまあ、いいと剱都は立ち上がるとディスクを構えた。

 

 

 

「時間がないから早く始めるぞ」

 

「はいっす!!」

 

 

―剱都VS翔―

 

「俺のターン、カードを伏せてマシンナーズ・シールダーを召喚!!」

 

 

マシンナーズ・シールダー/DEF2100

 

 

フィールドに巨大な盾をもつ機械の兵士が現れた。防御力を持つこのカードはそう簡単には突破されないだろう。

 

 

「ターンエンドだ」

 

 

剱都

手札4枚 LP4000

マシンナーズ・シールダー/DEF2100

伏せカード1枚

 

―翔のターン―

 

「僕のターン!!ドリルロイドを召喚!!」

 

 

ドリルロイド/ATK1600

 

 

顔や腕がドリル状になっている機械が現れた。ドリルロイドは比較的有名なカードのため、剱都もその効果を知っている。

 

 

 

「バトル、ドリルロイドでマシンナーズ・シールダーを攻撃!!」

 

「リバース罠、時の退路!!手札の古の対価をコストに相手の攻撃を無効にする!!」

 

 

時の退路

永続罠

相手の攻撃宣言時、手札の「古の対価」を墓地に送ることでその攻撃を無効にすることができる。

フィールドに表側で存在するこのカードを墓地に送ることで

墓地に存在する「古の対価」を手札に加えることができる。

 

 

 

ドリルロイドが攻撃に向かっていたはずだが、まるで時間が戻ったかのようにいつの間にか元の場所に戻っていた。

 

 

「ッ…僕はこれでターンエンド」

 

 

手札5枚 LP4000

ドリルロイド/ATK1600

伏せカード無し

 

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン、俺は手札からマシンナーズ・エアレイドを通常召喚!!」

 

 

今度は機械のステルス機みたいなモンスターが現れた。その後ろにある時の退路にヒビが入ると、その中からひび割れた時計が剱都の手の中に収まった。

 

 

「時の退路の効果、このカードを墓地に送り古の対価を手札に加える。そして俺のライフを半分にして発動!!」

 

 

剱都のフィールドにいた2体のモンスターが消えると、魔法陣が現れ、中央に怒りの形相の石像が現れた。

 

剱都/LP4000→2000

 

 

「フィールドのモンスターをレベルが7になるようにリリース!!

業火に包まれし怒りの意思、彼のものを滅ぼす呪へと染まれ!!」

 

 

 

石像が砕け散ると、その中からかつてユウが召喚した聖霊魔ルシファーに似たモンスターが現れた。

 

「蹂躙せよ、エンシェント・サタン!!」

 

エンシェント・サタン/ATK2800

 

「ッ…!!」

 

「バトルだ、エンシェント・サタンでドリルロイドへ攻撃!!」

 

 

 

二つの上腕に炎を纏わせ、下腕でドリルロイドを掴むと、そのまま上腕で握りつぶしてしまった。

 

 

「ッ…!!」

 

 

翔/LP4000→2800

 

 

「さらに、破壊したモンスターの攻撃力の半分の数値を吸収する」

 

 

エンシェント・サタン/ATK2800→3600

 

 

握りつぶして腕の中に残っていたドリルロイドの残骸をサタンは飲み込んだ。

すると、背中に生えていた翼が一対増えた。

 

 

「カードを伏せてターンエンドだ」

 

 

剱都

手札2枚 LP2000

エンシェント・サタン/ATK3600

伏せカード1枚

 

 

―翔のターン―

 

 

「僕のターン!! ッ…」

 

 

引いたカードを見ると、顔を顰めた。どうやら望んでいるカードではないようだ。

 

 

「僕はジャイロイドを守備表示で召喚!!」

 

 

ジャイロイド/DEF1000

 

 

 

フィールドに小型の飛行機のモンスターが出現した。ロイドの中では比較的壁として優秀なモンスターだ。

 

 

 

「僕はカードを伏せる、これでターンエンド…!」

 

 

LP2800 手札4枚

ジャイロイド/DEF1000

伏せカード1枚

 

 

―剱都のターン―

 

 

「俺のターン、魔法カード憤怒の傀儡を発動!!自分フィールドにエンシェントモンスターが存在する場合、前のターンに破壊されたモンスターを特殊召喚することができる!!」

 

 

憤怒の傀儡

通常魔法

自分のライフが相手より少なく、自分フィールドにエンシェントモンスターが存在する場合発動することができる。

前の自分のターンに戦闘破壊した相手モンスターを特殊召喚することができる。

この効果で召喚したモンスターはエンドフェイズ、相手フィールドに特殊召喚される。

 

 

すると、フィールドにエンシェント・サタンが出現した時の石像に似た像がドリルロイドに変わった。

 

 

 

ドリルロイド/ATK1600

 

 

 

「バトル、ドリルロイドでジャイロイドに攻撃!!」

 

「(ジャイロイドは戦闘破壊を無効にする…ドリルロイドの効果破壊は無効化できない…けど)罠カード、スーパーチャージを発動!!カードを2枚ドローする!!」

 

 

ジャイロイドのエンジン部分から2枚のカードが飛び出し、そのままドリルロイドがジャイロイドを破壊してしまった。

 

 

 

「幕を引け、エンシェント・サタンで直接攻撃!!」

 

 

「まだだ!!手札のカイトロイドの効果発動!!このカードを捨てて、ダメージを0にする!!」

 

 

 

攻撃を遮られてしまったが、まだ剱都の優勢には変わりがない。

しかしその中でも剱都は油断をすることなく、最善の手を考えていた。

 

 

「俺はマシンナーズ・レディを召喚してターンエンドだ」

 

 

マシンナーズ・レディ/DEF1200

 

 

フィールドに機械の体の女性型ロボットが現れた。

だが、エンドフェイズに入ったため憤怒の傀儡の効果で召喚されたドリルロイドが戻った。

 

 

剱都

手札1枚 LP2000

エンシェント・サタン/ATK3600 マシンナーズ・レディ/DEF1200

伏せカード1枚

 

 

―翔のターン―

 

「僕のターン…!!よし、リバース罠チェーンマテリアルを発動!!」

 

「(確か、デッキからでも融合の素材指定できるカードか…が、バトルを行えず、エンドフェイズに破壊されるな)」

 

 

「魔法カード、ビークロイド・コネクション・ゾーンを発動!!」

 

 

そのカードに剱都は見覚えがあった。あの時、剱都と翔、そして剣山のバトルロワイヤルの際に発動されたカードだ。

 

ビークロイド専用の魔法カードでこの効果で召喚されたモンスターは効果破壊されなくなるというものだ。

 

 

「(なるほど、いいコンボだ…)」

 

「僕はデッキに存在するステルスロイド、ジェットロイドとフィールドのドリルロイドを除外!!融合召喚、スーパービークロイド-トマホークウィング!!」

 

 

トマホークウィング/ATK2700

 

フィールドにはデフォルメされた戦闘機が現れた。だがステルスロイドやジェットロイドよりも武装が多く、それなりの攻撃力があるのがわかる。

 

 

「トマホークウィングの効果発動!!1ターンに1度、相手のカードを破壊する!!」

 

 

スーパービークロイド-トマホークウィング

融合モンスター

星9/闇属性/機械族/ATK2700/DEF2500

「ステルスロイド」+「ジェットロイド」+「ドリルロイド」

このカードの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚することができない。

1ターンに1度、相手フィールドのカードを破壊することができる。

 

「(ッ…サタンがこうもあっさりな…!!)」

 

 

 

爆撃されたエンシェント・サタン。だがこのターン翔は攻撃を行うことができない。

ならばいま危惧することは剱都のカウンターだ。

 

 

「カードを2枚伏せて、ターンエンドっす!!」

 

手札3枚 LP2800

トマホークウィング/ATK2700

伏せカード2枚

 

 

カードの効果のデメリットとメリットをうまく組み合わせたコンボにさすがの剱都も舌を巻いた。

だが、それでもまだ『一般のデュエリストの中で』の話だが。

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン、墓地の古の対価の効果発動だ! エンシェント・サタンを除外し、手札に加える!」

 

 

だが、今現在手札のカードでエンシェントモンスターを出す組み合わせがなかった。

 

 

「カードを伏せ、マシンナーズ・レディの効果発動!!このモンスターを除外し、デッキの中からレディ以外のマシンナーズと名のついたモンスターを手札に加える、加えたジェットを召喚!」

 

 

マシンナーズ・レディ

効果モンスター

星3/地属性/機械族/ATK800/DEF1200

自分のターンのメインフェイズ、このカードを除外することでデッキから「マシンナーズ・レディ」以外のマシンナーズと名のついたモンスターを手札に加えることができる。

「マシンナーズ・レディ」の効果は1ターンに1度しか発動できない。

このモンスターはデッキから特殊召喚することができない。

 

 

マシンナーズ・ジェット/DEF1200

 

 

「ターンエンドだ」

 

 

剱都

手札2枚 LP2000

マシンナーズ・ジェット/DEF1200

伏せカード2枚

 

 

―翔のターン―

 

「僕のターン!!トマホークウィングの効果でさっき伏せられたカードを破壊するっす!!」

 

「ッ…(…強くなったな)」

 

 

おそらく、今までの彼ならモンスターを破壊して無策に飛び込んでいただろう。

だが相手の動きを見て、しっかりと判断する、それは彼が成長した証だろう。

 

 

「が、それでもまだ俺には追いつけねぇよ!!破壊された信管の抜かれた爆弾(ミスファイア・ボム)の効果発動!!このカードが破壊されたとき、フィールドの機械族モンスター1体につきお前に800ポイントのダメージを与える!!トマホークウィングとジェットで1600のダメージだ!!」

 

「うわあああああああああ!!!」

 

 

翔/LP2800→1200

 

信管の抜かれた爆弾(ミスファイア・ボム)

通常罠

セットされたこのカードが相手のカード効果によって破壊されたとき

フィールドに存在する機械族モンスターの数×800ポイントのダメージを相手に与える。

 

 

文字通りの不発爆弾がトマホークウィングのミサイルで誘爆した。

 

 

「ッ…追いつけないなら、さらに追うまでっす!!手札から魔法カード、チェンジ・ボックスを発動!!フィールドのビークロイドを墓地に送ることでデッキから同じレベルのビークロイドを特殊召喚するっす!!」

 

 

チェンジ・ボックス

通常魔法

自分のライフが相手よりも低い場合発動することができる。

フィールドに存在する「ロイド」と名のついたモンスターを墓地に送ることで

デッキから同じレベルの「ロイド」と名のついたモンスターを特殊召喚する。

 

 

「効果でフィールドのレベル9のトマホークウィングを墓地に送ってデッキからビークロイド・ホームコンボイを特殊召喚!!」

 

 

ビークロイド・ホームコンボイ/DEF2400

 

今度は『指令部』的な大きさと機材を装備したコンボイが出現した。その名から考えるとビークロイドの司令塔のようなものだろう。

 

 

「そしてホームコンボイの効果発動!!ライフを800ポイント払うことで手札・フィールドのビークロイドを融合することができるっす!!効果でフィールドのレベル7以上のビークロイド・ホームコンボイと手札のビークロイドを2体融合!!」

 

「ビークロイドの3体融合…?」

 

 

ビークロイド・ホームコンボイ

効果モンスター

星9/地属性/機械族/ATK0/DEF2400

このモンスターは通常召喚することができない。

1ターンに1度、ライフを800ポイント払うことでエクストラデッキに存在する「ロイド」と名のついた融合モンスターを選択して発動することができる。

選択したモンスターの融合素材を手札・フィールドから墓地に送ることでそのモンスターを特殊召喚することができる。(この召喚は融合召喚扱いとする)

 

 

翔/LP1200→400

 

翔の発言からすると素材はレベル7以上のビークロイドと2体のビークロイド。だがそんなモンスターは十代を含めて誰も知らなかった。

 

 

「見せるっす…これが僕の本気、兄貴を超えるためのカード!!スーパービークロイド・ファイター!!」

 

 

フィールドにいつか十代と翔がタッグを組んだ時に召喚したユーフォロイド・ファイターに似たモンスターが現れた。だがテンペスターよりもメカメカしく、乗ってる機械もさらに巨大になり戦士の下半身とつながっていた。

 

 

スーパービークロイド・ファイター/ATK???

 

 

「このモンスターの攻撃力は素材としたビークロイドのレベル×300ポイントとなるっす!!素材としたのはレベル7のホームコンボイ、レベル5のユーフォロイド、レベル3のサイクロイド、合計レベル15!!」

 

 

 

つまり――

 

 

スーパービークロイド・ファイター/ATK???→4500

 

 

攻撃力4500。かつてアイリスとなっていた響が5000のトゥルースを召喚したことがあるが、それと同等の驚異となりうるモンスター。

 

 

「なかなか楽しめるんじゃねーか…!!」

 

「まだっす!!スーパービークロイド・ファイターは墓地のビークロイドを装備してその攻撃力と効果を得るっす!!トマホークウィングを装備して攻撃力2700と効果を得るっす!!」

 

 

スーパービークロイド・ファイター

融合モンスター

星10/地属性/機械族/ATK?/DEF2800

「ロイド」と名のついたレベル7以上の機械族モンスター+機械族モンスター×2

このモンスターの攻撃力は融合素材にした

「ロイド」と名のつくモンスターのレベル×300ポイントとなる。

1ターンに1度、自分の墓地に存在する「ロイド」と名のついた融合モンスターを

装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備する事ができる。

この効果で装備したモンスターの攻撃力分このモンスターの攻撃力はアップし、

装備したモンスターの効果をこのモンスターの効果として発動することができる。

このカードが戦闘によって破壊される場合、

代わりにこの効果で装備したモンスターを破壊する事ができる。

 

 

すると、下半身の機械が円盤からトマフォークウィングへと変わった。

 

 

スーパービークロイド・ファイター/ATK4500→7200

 

 

「ッ…攻撃力…7200…!!」

 

「そしてトマフォークウィングの効果発動!!効果で……」

 

 

残されているカードは壁となっているマシンナーズ・ジェットと最初から伏せられているカード。だが、既に翔の手札にはモンスターが無いためジェットを破壊しないとダメージを与えることができない。

 

だが、あの伏せカードも気になるところだった。

 

 

「………僕は、マシンナーズ・ジェットを破壊するっす!!」

 

「ッ!!」

 

 

スーパービークロイド・ファイターの下半身となったトマホークウィングの一斉掃射でジェットが爆散した。

 

 

「バトルフェイズ!! スーパービークロイド・ファイターの直接攻撃!! メテオ・テンペスト!!」

 

 

両腕が巨大なエネルギーの発射口となったファイターの攻撃。だが、それに剱都は慌てることなく伏せてあったカードを発動させた。

 

 

「ガード・ブロックを発動!!戦闘ダメージを0にしてカードを1枚ドローする!!」

 

「ッ…」

 

 

そう、まだ剱都は戦闘ダメージを一度も受けてなかったのだ。ガード・ブロックがあったとしても発動するタイミングがなかったのだ。

 

 

 

「…僕は、カードを伏せてターンエンドっす」

 

 

LP400 手札0枚

スーパービークロイド・ファイター/ATK7200

トマホークウィング 伏せカード1枚

 

 

―剱都のターン―

 

「俺のターン…翔、確かにお前は強くなった。剣山と組んで戦った時よりもな。けど…どうしてそこまで強くなろうとしてるんだ?それじゃあ、まるで…」

 

 

翔に見える『強さ』への焦り。それはまるで斎王のもとへと落ちた万丈目のようだった。

強さを求めたらその分、自分へ降りかかる重圧も大きくなる。

 

 

「…確かに僕は万丈目君と同じことをしてるかもしれないっす。剱都君と戦い合うことも、この大会で勝ち抜くことも」

 

「…そこまで分かってるのならなんでだ?自分の幅で行こうとしない」

 

 

自分での限界を理解してるのなら落ちることもない。だが、それと翔の言ってることとやってることはまるで逆だった。『無理だから挑む』『できないからこそやる』

 

そのことも理解してるのなら、なぜ立ち止まろうとしないのか。

 

 

「けど嫌なんっすよ、もう…十代の兄貴の背中に隠れるのは!」

 

 

翔はそう叫んだ。幼い頃はサイバー流の師範である兄、そしてアカデミアからは十代に。

いままで翔は誰かの後ろに立っていた。

 

 

「僕はただの十代の兄貴の取り巻きなんかじゃないんっすよ!!」

 

 

だから憧れているのだ。自分で立てる世界に。自分を一人と数えてもらえることに。

そのために焦って、そして足掻いているのだ。

 

 

 

「……(似てる…な)」

 

―父さんの子供だからじゃない! 俺は一人の男だから!!―

 

 

 

剱都はその姿が、かつて父の姿を追っていた自分と重なった。父である竜也が死去し、AWは混乱を極めた。その中で、剱都はそれを収めていた父の存在に憧れ、そして同時に嫉妬していた。

 

今もなお、AWの総帥となっているのは竜也を追っているから、超えたいからだ。

 

 

 

「…悪かったな、変なこと言って。代わりと言ってはなんだが…俺の本気を見せてやる…!!」

 

 

瞬間――翔は、空気が変わったのを肌で感じた。

 

 

 

「手札のマシンナーズ・ソルジャー、そして効果でマシンナーズ・マジシャンを特殊召喚する!!」

 

 

ソルジャー/ATK1600

マジシャン/ATK800

 

 

フィールドに兵士と魔法使いという2体の機械兵が現れた。マジシャンはレベル4のチューナー、これだと合計レベル8のモンスターが召喚できるが、手札には古の対価もある。

 

 

「墓地のジェットの効果発動!!このカードを除外して手札のマシンナーズを召喚することができる!!俺は、マシンナーズ・スライムボールを特殊召喚する!!」

 

 

マシンナーズ・スライムボール/ATK200

 

 

フィールドに機械でありながら液体のようにぐにゅぐにゅしたモンスターが現れた。

その姿に少し翔は不快感を覚えた。

 

「スライムボールの効果発動、こいつをリリースしてデッキから同名モンスターを2体特殊召喚する」

 

 

 

マシンナーズ・スライムボール

効果モンスター

星1/地属性/機械族/ATK200/DEF100

このモンスターをリリースることでデッキから「マシンナーズ・スライムボール」を

2体特殊召喚することができる。

 

マシンナーズ・スライムボール/ATK200

マシンナーズ・スライムボール/ATK200

 

 

フィールドにスライムボールが分裂したかのように現れた。これで一気に4体のモンスターが並んだ。

 

 

「レベル4のソルジャーにレベル4のマジシャンをチューニング!!

   機械の魂を持つ翼竜よ、その鋼鉄の翼で仲間を敵の脅威から守りたまえ!!」

 

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「シンクロ召喚!!焼き払え、クロック・ゴールド・ドラゴン!!」

 

『グルゥゥゥゥ!!!』

 

 

フィールドに鋼鉄の機械竜が降り立った。剱都同様、クロックも翔に本気で挑むためか気合十分だった。

 

 

「クロックの効果だ、表側の魔法・罠を全て破壊する!!オートスフィア!!」

 

「あっ!!」

 

 

装備魔法として扱われるトマホークウィングが破壊されてしまった。それによってスーパービークロイド・ファイターの攻撃力上昇と破壊効果が無効になった。

 

 

スーパービークロイド・ファイター/ATK7200→4500

 

 

しかしそれでも攻撃力が4000オーバーのモンスターが残っているのだ。

そこまでの火力を出せるモンスターを翔は知らなかった。

 

 

「手札から魔法カード、古の対価を発動!!フィールドに存在するレベル1のマシンナーズ・スライムボールを2体生け贄に!!」

 

「レベル…2?」

 

 

今までだと高レベルかつ複数体の組み合わせばかりだった。だがレベル2といえば、剱都が剣山と翔を相手にした時に使ったルクスぐらいしかない。しかし、彼は「本気で行く」と言っていた。

それなのにルクスでコントロールを奪うなんて真似はしないだろう。

 

 

「その強欲な力に溺れし哀れな愚者よ、さらなる力を求める受け皿となれ!!」

 

 

フィールドの2体のスライムが合わさるとボコボコと歪な球体へと変わった。まるでそれは求めすぎて無駄に膨張した力のようだった。

 

 

「来い、エンシェント・グリー!!」

 

 

エンシェント・グリー/ATK50

 

剱都/LP2000→1000

 

「攻撃力…たったの50!?」

 

 

今までなら攻撃力0や100なら見たことがあった。だが攻撃力50というのは全く聞いたことのない微妙なものだった。

 

だが、それよりも注意するのは効果の方だった。エンシェント・サタンなどの膨大な攻撃力を秘めてないとするとルクスなどの強力な効果を持っているに違いなかった。

 

 

「グリーの効果、お互いに墓地の一番上のカードか、カードを一枚ドローすることができる」

 

「……?」

 

 

エンシェント・グリー

シンクロモンスター・エンシェント

星2/闇属性/アンデット族/ATK50/DEF50

モンスター×2体以上

このモンスターは「古の対価」の効果でエクストラデッキから特殊召喚することができる。

このモンスターの特殊召喚成功時、お互いに以下の効果から一つ選んで発動することができる。

●墓地の一番上のカードを手札に加える。

●カードを一枚ドローする。

このカードを墓地から除外することで、自分フィールドのエンシェントモンスターの攻撃力は

除外されているエンシェントモンスター一体につき500ポイントアップする。

 

 

今までの効果に比べると比較的普通な効果に翔はキョトンとしてしまった。だが、剱都が墓地のカードを回収するのを見てどうするか考え様としてすぐに決めた。

 

 

「(一番上のカードはさっき破壊されたトマホークウィング…)ドローするっす!」

 

 

融合モンスターのトマホークウィングは手札に加わることなくデッキに戻る。それならドローしたほうがまだアド差を埋めれないはずだった。

 

だが、やはり気になるのはグリーを出した意味だ。本気と言っときながらこれで終わるはずがない。だが何のためにライフを――

 

 

「……あっ」

 

 

翔は気づいてしまった。グリーを出した本当の意味を。墓地に存在した古の対価を手札に加えるためだと。だが、それならなぜクロックを出したのか。

 

新たな疑問を解決しては新たな疑問が生まれる。それを見た剱都は少し笑った。

 

 

 

「翔、よく見ておけよ。まだ誰にも見せてない、『修行の成果』だ!!」

 

 

『一年修行』 かつてアイリスに敗北し、後のチーム・ノーバディとなる世界の矛盾の5人が個々の力を高めるために『時間の流れが遅い部屋』で行った修行のことだ。

 

そして剱都はエンシェントモンスターを修行に手にした――と思われている。

 

 

 

「修行の成果…?(どういうことっす…?ほかにも…?)」

 

「魔法カード、古の対価を発動!!フィールドに存在するレベル8のクロック・ゴールド・ドラゴンとレベル2のエンシェントモンスター、グリーをリリース!!」

 

「!?」

 

 

 

そう、彼の手にしたのは『エンシェントモンスターの力を得たクロック』だった。

 

 

 

「その身を纏は嘗ての罪(ざい)、時を越え、その狂気を解放せよ!!」

 

『グルゥゥゥゥゥゥゥゥァァァァァァァァ!!!!!』

 

「クロックの鎧に…罅…!?」

 

 

徐々にエンシェント・グリーと一体化したクロックの外装とも言える鉄の体に亀裂が走った。そしてまるで中にある体が膨張するかのように鎧が弾け飛んだ。

 

 

「出現せよ、古代の罪龍、エンシェント・クロック・ドラゴン!!」

 

『グルゥゥゥゥ!!!!』

 

 

 

そこに現れたのは、近代的な武装を全て破壊し、本来の姿である龍の姿のクロックだった。もともとのイメージカラーである黄金色の肌に狂気に満ちた赤い目、そして何もかもを破壊するような鋭い爪と牙。

 

 

エンシェント・クロック・ドラゴン/ATK2900

 

剱都/LP1000→500

 

 

 

「これが…クロックの本当の姿…!!」

 

「驚くのはまだ早いぜ、古の対価の効果発動!!墓地に存在するグリーを除外して手札に加える、そしてエンシェント・クロック・ドラゴンの効果発動!!手札のカードを一枚墓地に送ることで、除外されているモンスターの数だけこのモンスターの攻撃力を400ポイントアップする!!」

 

「なっ!?」

 

 

除外されているモンスターは2体のエンシェントモンスターに翔のチェーン・マテリアルで除外された素材モンスター3体がいる。

 

 

エンシェント・クロック・ドラゴン/ATK2900→4900

 

 

「攻撃力が…上回ったっす…!?」

 

「幕引きだ、エンシェント・クロック・ドラゴンでスーパービークロイド・ファイターへ攻撃!!ジェノサイド・バースト!!」

 

 

 

白金ブレスを吐き出した光線を食らったスーパービークロイド・ファイターが爆散した。そして超過ダメージで丁度――

 

 

「まだっす、墓地のカイトロイドの効果発動!!このモンスターを除外して僕の戦闘ダメージを0にする!!そしてリバース罠、タイムロイドの実験を発動するっす!!」

 

フィールドに時計のような姿のビークロイドが現れた。その時計が一回り逆に動くと鐘がなった。

 

 

「このカードはフィールドのビークロイドが破壊されたとき、手札を一枚捨てて発動するっす!手札のモンスターと破壊されたモンスターを除外することでそのレベルの差の分と同じレベルのモンスターを特殊召喚するっす!!手札のネイビィロイドとスーパービークロイド・ファイターを除外して、墓地からユーフォロイドを特殊召喚!!」

 

 

ユーフォロイド/DEF1200

 

運が良く、先ほどのドローでレベル4モンスターを引けたためまだ戦える。そう思っていた翔。

 

 

 

「ユーフォロイドか…ロイドのリクルートモンスター…破壊されても後につないでまだ戦い続けるモンスター。まるで今のお前みたいだな、翔」

 

「…え?」

 

「エンシェント・クロック・ドラゴンは除外されているモンスターをデッキに戻すことでもう一度攻撃できる!!そしてコイツは守備モンスターを破壊したとき、その守備力の半分のダメージを与える!!」

 

「…そん…な…」

 

 

エンシェント・クロック・ドラゴン

シンクロモンスター・エンシェント

星10/地属性/ドラゴン族/ATK2900/DEF2400

「クロック・ゴールド・ドラゴン」+エンシェントモンスター

このモンスターは「古の対価」の効果でエクストラデッキから特殊召喚することができる。

1ターンに1度、手札のカードを墓地に送って発動することができる。

除外されているモンスター1体につきこのモンスターの攻撃力を500ポイントアップする。

戦闘で相手モンスターを破壊したとき、

除外されているモンスターをデッキに戻すことでもう一度だけ攻撃をすることができる。

相手フィールドの守備表示モンスターを戦闘で破壊したとき、その守備力の半分のダメージを相手に与える。

 

除外されていたサタンがデッキに戻ると、再びエンシェント・クロック・ドラゴンの口に白金の光が集まった。

 

 

「翔、確かにまだお前は弱い。だがこれだけは…一企業の総帥として、ノーバディのリーダーとして言える」

 

 

そう言うと、面白そうに少し剱都は笑った。それはまるで、今後が楽しみな生徒を見る教師のようだった。

 

 

 

「人の強さは心で決まる。かつて俺が見てきたやつの中で強いと言える奴は譲れない心をもっていた…ユウみたいにな」

 

「………あ…」

 

 

ユウはツバキやシゲルよりも強い意志を持っていると言っても過言ではない。それこそあのカイザーと渡り合ったり、三幻魔に操られたなのはを倒したりするほどの。

 

 

エンシェント・クロック・ドラゴンの光線が放たれ、ユーフォロイドが破壊された。そのエフェクトの光が翔へと降りかかった。

 

 

「だから、今は焦るな。自分の行ける範囲で頑張って強くなれ」

 

 

翔/LP400→0

 

 

 

―地上―

 

 

「いけ、ジェスターアニマ!!」

 

「いてて!!なんだよジュード!!」

 

「あはは、ごめん。ちょっと暇だったから(またハズレか…)」

 

 

あれからジュードは目星い相手に挑んでは探っていたが、なかなかアタリがない。

が、すぐに気づいた。先程から自分の背後に立っている存在に。

 

 

「…なるほど、あなたが外にいるプラネットを持っているデュエリストってことですか」

 

「よく気づいたな」

 

 

振り返ると、そこにはイエローの制服を着た生徒――

 

 

 

 

「ええ、さっきの映像を流せるとしたら映像管理をしてる制御室に入れる…生徒手帳を持った生徒しかいない。そうですよね?三沢大地先輩」

 

イエロー主席、三沢大地が立っていた。

 

 

 

 





遅くなってしまって申し訳ない
ツバキ「5ヶ月も前なんですね…前回」
剱都「あと一発殴らせろ」
なんで!?
シゲル「なんでほかの小説始めてるんだよ」
息抜きが本命になってしまった…あ、ちょ、シゲル、右手、右手が、アッ――


―しばらくお待ちください―


うぅ…ひどい目にあった…
紫苑「それで、エンシェント・クロック・ドラゴンとは?」
俺のキャラがドライすぎて泣ける…
『一年修行』の中で剱都が手にした本当の力だね。正確に言えば『エンシェント・クロック・ドラゴン』の副産物が『エンシェントモンスター』という感じだね。
ちなみに前に言ったかもしれないけどシグナーの竜をイメージしてユウたちの龍を作ったんだ。
で、クロックのイメージはパワーツール、そしてエンシェントはライフストリームのイメージ。
ユウ「僕たちも知らないみたいだけど…」
理由としては2つだね。一つは召喚方法
シゲル「方法?」
召喚条件は古の対価を用いたシンクロ召喚、だけどまあ、見てわかると思うけどエンシェントモンスターは七つの大罪をもとにしたモンスターなのね。
ユ・ツ「「????」」
シゲル「あとで教えてやるよ」
で、レベル2のモンスターはルクスとグリーのみの予定。つまり召喚するにはその2体のうちどちらかがいなければならない。で、クロックも必要になるからアイリス&ユウF(夕夜)戦も揃わなかったから。

二つ目の理由は剱都だから、かな
剱都「どういうことだ?」
ユウやシゲルは仕方がなかったとは言え、あんまり『切り札』をボンボン出すという戦術を取らないからね、剱都は。やるとしても切羽詰った状況かこう言う時にしかやらないということで。

シゲル「にしても翔も思いつめてたんだろうな…」
カイザーや十代の後ろにいるだけで『12日後の戦争』でも残ってたからね。遠まわしに『戦力外』と言われてる感じだからね。それで若干ヤケクソになってる感じ。
まあ、今回の戦いで軟化すると思うけど。

ユウ「あとは最後に出て来た…三沢君…」
如月、キース、ジュンコ(強奪)と続いて4人目の所持者。まあ、次回もいつぐらいになるかわからない…少なくとも今月中は無理かな、来月も難しい…かな
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