「…よりにもよってお前か…」
「あ、あはは…」
釼都が手頃な岩に座って思いっきり頭を抱える理由。彼にも戦う相手で苦手な人物はいる。例えば自分に勝ったことがあり、実力を認めている――ユウとか。
自分の勝てる可能性はシゲルに比べると高いがユウも実力者の一人なのは変わりない。それにいまの状況で何度も言ってることだが味方の同士討ちは一番避けたい。
「…で、そっちはどうだった?」
「翔と剣山だ、両方共違う…まあ、楽しめたけどな」
剣山はともかく、長い付き合いになる翔の新たな一面を見れて満足な釼都。一方のユウはというと1回戦はなぜかももえだった。彼女のバーンデッキのダメージが痛かったがそれでも撃破して勝ち進んだ。
2回戦の相手は通信でもあった雪乃だった。先ほど倒して来て彼女から『お守り』を受け取って進んできたのだ。だが、ユウとしても釼都は戦いにくい相手だった。名実ともにチームリーダーである釼都にはユウの手の内はすべて分かっている。
過去に一度勝ったとはいえ、それもシンクロという未知だった力の影響も大きく、釼都もシンクロモンスターを持ち、戦術を全て知っている。
「…なんだろう、釼都がクリアやアイリスよりも手ごわい気がするよ」
「偶然だな、俺もだ」
お互いにため息をつきながらもディスクを構えた。
ちなみに、そのアイリスこと響はというと――
「…………(泣きたいよ…)」
エドを倒して、その消費した精神力を回復させて次の対戦相手にも勝つ気で意気揚々と進んでいたが、なんとも言えない「いやな予感」を感じてこそりと通路から広場を覗いて納得していた。
「…………出てこい、響」
「…はい」
少しばかり、何故か薄汚れているシゲルが自らのデッキの中を見ていた。簡単に言うと、次の対戦相手が自ら敬愛し、そして自らが越えられない相手だと思っていた兄のシゲルだったからだ。
「正直、驚いたな。お前がここまで出来るなんて」
「あ、あはは…けど、お兄ちゃんには勝てないかな? だってニズにいた時よりも強いんでしょ?」
苦笑いをする響に対してシゲルはため息をつくと見ていたデッキをセットして黒いデュエルディスクを起動させた。
「ニズにいた頃よりも強かったら、お前は勝負を諦めるのか?」
「…えっ…?」
「『実力は強さと戦術と運で成り立つ。それを最高のものとするために日々努力すべし』」
シゲルが言った言葉は彼の師匠でもあるウリィの言葉だ。剣闘獣は召喚するモンスターを戦術に合わせて変えなければならない。そのため、剣闘獣は使い続けてこそその強さを増す。
「……『そのための、強敵に感謝し、勝利を目指せ』」
響がその続きの言葉、もう一人の師匠である2人の父親の霧矢の言葉を発した。昔、大きな戦いに身を投じたことがある父はその中で強敵と出会い、戦い、時には負けて強くなったと言っていた。
「それに、お前が戦わなかったらそのBFも、デッキを託してくれたペガサスにも申し訳ないだろ?お前が戦う意思を持っていたから託してくれたんだ。なら、それに応えてみろ」
「…うん!」
「「デュエル!!」」
―シゲルのターン―
「俺のターン!!剣闘獣ホプロムスを守備表示で召喚!!」
ホプロムス/DEF2100
フィールドに岩石の体をした剣闘獣が守備で登場した。どこかしら、その姿を見て響は嬉しそうだった。思い返せば響はよくシゲルや霧矢のデュエルを見ていた。そのため、剣闘獣の効果もほぼ全て知っているのだ。
「カードを伏せてターンエンド」
シゲル
LP4000 手札4枚
ホプロムス/DEF2100
伏せカード1枚
―響のターン―
「私のターン! 相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このモンスターはリリースなしで召喚できる、暁のシロッコを召喚!!」
シロッコ/ATK2000
「さらに自分のフィールドにBFが存在する場合、このモンスターを特殊召喚することができる、ブラスト!!」
ブラスト/ATK1700
フィールドに大柄の天狗と巨大な槍を持った天狗が並んだ。しかし両方共攻撃力がホプロムスの守備力に届かずシンクロを行うこともできない。
「シロッコの効果発動!!フィールドのBF1体を選択してそのモンスター以外の攻撃を放棄してBFの攻撃力を集約する!!ブラストを選択!!」
ブラスト/ATK1700→3700
「そしてブラストには貫通能力がある、バトルフェイズ!!ブラストでホプロムスに攻撃、ブラック・スパイラル!!」
「ディフェンシブ・タクティクスを発動、ダメージ及び破壊を無効にしデッキの一番下へ、さらにホプロムスの効果発動!!」
かつて響も『遊び』としてベーシックの剣闘獣を使用していたことがある。そのためか、この一連の流れにも特に驚いていない。
「デッキに戻して剣闘獣ダーツを特殊召喚!!さらに、ダーツの効果、デッキからチューナーを特殊召喚する、来いフォース・リゾネーター!!」
ダーツ/ATK1500
フォース・リゾネーター/ATK0
念力を生み出す音叉を持った悪魔が出現し、これで次のターンシンクロを行う準備が出来つつあった。唯一の問題は、ダーツがシンクロの素材に使用することができないというところだった。
「…メインフェイズ2で魔法カード、フェザー・ウィンド・アタックを発動!!フィールドのBFをデッキに戻してBFを手札に加える、ブラストを戻してそよ風のブリーズを手札に、その後この子の効果で特殊召喚!!」
ブリーズ/ATK1100
フィールドに暖かそうな羽に覆われた小さい烏が出現した。
「そして、レベル5のブラストにレベル3のブリーズをチューニング!!
黒き旋風よ、願いと共にその翼を心に抱け!!」
☆5 + ☆3 =☆8
「シンクロ召喚!!BF-先陣のランス・ウィング!!」
フィールドに十字槍を持ってシルバー・ウィンドに似た天狗が出現した。それはエドとの戦いで墓地にありながらも勝利に貢献したモンスターだ。
ランス・ウィング/ATK2600
だが、このプレイングで一つシゲルはミスに気づいていた。
「ターンエンド!」
響
LP4000 手札3枚
ランス・ウィング/ATK2600
伏せカード無し
―シゲルのターン―
「俺のターン。響、どうしてさっき攻撃前フェザー・ウィンド・アタックを発動しなかった?」
「え?」
「その効果シロッコを戻し、疾風のゲイルを手札に加えて特殊召喚、その後俺のホプロムスを効果で攻守半分にすればダメージ量を増やせた、結果的には俺はディフェンシブ・タクティクスを発動させたがそれがあったと気づいてたのか?」
そう、より多くのダメージを与えることも可能だった。だが、それをしなかったのはなぜか。ただ単純な答えだ。
「あっ…」
響がそのプレイングに気づいてなかっただけだ。本戦出場しているとは言え、その大半はBFというカテゴリーの力のおかげでもあった。
様々な状況に対応できるシンクロモンスターに素材を瞬時に揃える展開力。偶然とは言え、彼女の相手は殆どはその風貌に油断したアカデミア生徒だ。
「…まあ、今回のブリーズはシンクロを行う上だと妥当な判断だ。ゲイルの効果は強力だが、今の状況だとそれで正解だ。俺は永続魔法、剣闘集会を発動!!そして剣闘獣ティゲルを召喚し、さらにフィールドのダーツとティゲルをデッキに戻して剣闘獣エセダリを特殊召喚する!!」
エセダリ/ATK2500
剣闘集会/C0→1
フィールドに強靭なゴリラが出現するがその攻撃力はランス・ウィングに届いてない。『ベーシック剣闘獣』だとここまでの流れだが、シゲルのシンクロ剣闘獣だとここからさらに動くことができるのだ。
「剣闘獣の特殊召喚成功時、手札の剣闘獣デコイを特殊召喚!!」
デコイ/ATK300
剣闘集会/C1→2
ぬいぐるみの剣闘獣が出現し、これでシゲルのフィールドの剣闘集会には2つのカウンターが乗った。彼はそれを墓地に送ってカードを2枚ドローした。
問題はここから先だ、レベル合計は3か7か8のシンクロモンスターが出現する。それは響には未知のカードばかりだ。エースモンスターであるソウル・ブラックやブラッディ・ソウルなどの効果は知ってるがそれ以外は全く分からないのだ。
「レベル5のエセダリ、レベル1のデコイにレベル2のフォース・リゾネーターをチューニング!!
獣の魂を受け継ぐものよ、仲間と共に新たな力となれ!!」
☆5 + ☆1 + ☆2 =☆8
「シンクロ召喚!!闇に染まれ、ダーク・ガブリアス・ドラグーン!!」
ダーク・ガブリアス・ドラグーン/ATK2700
フィールドにソウルにどこかしら似ている黒い竜が出現した。
「攻撃力2700!?」
「ダーク・ガブリアス・ドラグーンはシンクロ召喚成功時、カードをフィールドのドラゴン族の枚数までドローすることができる、1枚ドロー!!」
このターンだけで効果で3枚のカードをドローした。手札消費とつりあっており、さすがユウや釼都でも歯が立たなかったアイリスを倒しただけの実力がある。
「バトルフェイズ、ダーク・ガブリアス・ドラグーンでランス・ウィングへ攻撃、デリート・フィールド!!」
「きゃああ!!」
響/LP4000→3900
「(この調子だと、あのカードが出る幕もないな…)カードを伏せて、ターンエンドだ」
シゲル
LP4000 手札4枚
ダーク・ガブリアス・ドラグーン/ATK2700
伏せカード1枚
―響のターン―
「私のターン!私は、黒い旋風を発動!!BFが召喚されるとデッキからその攻撃力よりも低いBFを手札に加える!!シュラを召喚!!」
シュラ/ATK1800
1800と通常のアタッカーの中でもなかなかな攻撃力を持つモンスターだ、すると突風の中から1枚のカードが手札に加わった。
「ゲイルを手札に加えてそのまま特殊召喚!!」
ゲイル/ATK1300
「ゲイルの効果!!相手フィールドのモンスターの攻撃力と守備力をF半分にする!!」
「クッ…!!」
ダーク・ガブリアス・ドラグーン/ATK2700→1350
ゲイルの生み出したカマイタチのような風に傷を受けたダーク・ガブリアス・ドラグーン。やはりというべきか、ゲイルの効果は強力だ。
「バトルフェイズ、シュラでダーク・ガブリアス・ドラグーンへ攻撃!!」
「ッ…!!」
シゲル/LP4000→3550
「シュラの効果発動!!戦闘で相手モンスターを破壊した時攻撃力1500以下のBFを特殊召喚する、尖鋭のボーラ!!」
ボーラ/ATK1300
新たな烏天狗の出現だが、響が攻撃宣言をする前に状況が変わった。
「剣闘獣の結束発動!!俺のモンスターが戦闘で破壊され、墓地に送られたときデッキから剣闘獣を特殊召喚する、ダリウス、そしてその効果で墓地のエセダリを特殊召喚!!」
ダリウス/ATK1600
エセダリ/ATK2500
フィールドには馬とゴリラの戦士が出現した。両方ともボーラ、ゲイルの攻撃力を越えているためこれ以上の追撃は不可能だった。
「だったら、メインフェイズ2…レベル4のシュラ、レベル5のボーラにレベル3のゲイルをチューニング!!黒き旋風よ、全ての翼を纏い光を駆けよ!!」
☆5 + ☆4 + ☆3 =☆12
「シンクロ召喚!!統括せよ、BF-天魔のムラサメ!!」
ムラサメ/ATK3500
先ほどのエドとのデュエルでフィニッシャーとなったBF最強のモンスターが召喚された。ちなみにそのモンスターの目つきの悪さなど、シゲルは鏡を見てる気がしていた。
「カードを伏せてターンエンド!」
響
LP3900 手札1枚
ムラサメ/ATK3500
伏せカード1枚 黒い旋風
―シゲルのターン―
「俺のターン…(はぁ…そうかい、わかったよ)なあ、響、知ってるか?」
「え? なにを?」
ドローしたカードをみて少し微笑み、何とも複雑な表情のシゲルに響は首を傾げた。シゲルがそんな表情になるのは珍しいと思っていた。
「こっちの世界だと今日は秋第三季四夜らしい」
「…あっ…」
秋第三季四夜とはニズの日付の呼び方で、今日のことだった。そして響の特別な日でもあった。
「14歳の誕生日、おめでとう」
「…ありがとう」
響の14歳の誕生日。それは響が14年間生きていたということを示す時間だ。その14年のうち、彼女とシゲルが一緒に居られた時間は半分以上もない。そんなシゲルから微笑みから一転、真剣な表情になった。その理由はすぐに理解することができた。
「覚えてるよな、村の規律」
「…うん、一人前の儀式、だね」
その年の武闘大会優勝者は村で14歳になる子供と戦い、子どもが一人前になるのを見届ける習わしがある。
「…こんなことになって、それで村もない。だけど、あの習わしに従ってお前の儀式を俺が執り行う」
「分かった。けど、執り行うのにもアナト様の社じゃないと…」
それを聞いて少しシゲルは笑ったようだ。
「俺は、ソード・リゾネーターを召喚!!」
ソード・リゾネーター/ATK0
フィールドに白い悪魔が出現した。これで合計レベルは5か6か――
「…あ…えっ…お、お兄ちゃん…冗談だよね?」
「俺もそうだと思った、が…やってくれと頼まれてな…
レベル4のダリウス、レベル5のエセダリにレベル1のソード・リゾネーターをチューニング!!
全てを統一すべし神よ、争う者達を鎮め新たな力を導け!!」
☆4 + ☆5 + ☆1 =☆10
あからさまに、先ほどのダーク・ガブリアス・ドラグーンの召喚よりも強力な威圧感に少し響は震えた。
「シンクロ召喚、天現せよ、戦いの神――アナト!!」
フィールドに出現した巨大な狼――いや、それどころかフィールド魔法が発動されてもないのにあたりの殺風景な空間が2人の見覚えのある場所へと変わっていた。
かつてあったニズの『アナトの社』の前の広場だった。
『久しいの、響』
「ア、ナト…様…!!」
父親がアナトの守護者でもあり、面識があるとはいえ目の前に自分の村が祀っている神が出現したのだ。
そしてシゲルもまさか自分がその神を操るとは思ってないようで複雑そうだった。
アナト/ATK4000
「バトルフェイズ、アナトでムラサメに攻撃!!ゴッド・クロー・スラッシュ!!」
「くっ…きゃああああああああああ!!!!」
響/LP3900→3400
一撃で響のデッキの切り札が吹き飛んだ。だが、それだけではない。彼が精霊界で戦ったアナトの効果はまだひとつも発動されていないのだ。
「アナトの効果発動、戦闘で相手モンスターを破壊したときデッキからモンスターを特殊召喚する…ディカエリィ!!」
ディカエリィ/ATK1600
牛の剣闘獣が出現した。オクタビウスなどの高出力モンスターを出す手もあるのだが、今のシゲルのデッキはアナトを召喚するために低レベル特殊召喚特化型になってるため入っていないのだ。
そうなれば攻撃力が一番高いのはラクエル、だがダメージ量を考えるとディカエリィの二回攻撃だった。
「ディカエリィの直接攻撃!!(が、あの様子…)」
「手札の熱風のギブリの効果発動!!直接攻撃宣言時、手札から特殊召喚することができる!!」
ギブリ/DEF1600
如月との戦いの時でも出現した烏。だが、シゲルはそのまま攻撃を続行させた。攻守が同じで破壊もダメージも発生はしないが、これでディカエリィは効果発動条件を満たした。
「バトルフェイズ、終了。効果発動、ディカエリィをデッキに戻し、剣闘獣レティアリィを特殊召喚!!」
レティアリィ/DEF800
長い槍を持ったトカゲの剣闘士が出現するとその槍で響の墓地を突き刺した。
「レティアリィの効果、特殊召喚成功時相手の墓地のカードを除外する、尖鋭のボーラを除外!!」
「(やっぱり、ばれてる)」
ボーラの効果は対象を取る効果ではないため、相手のカードの対象にならないアナトも破壊することができた。
「俺はこれでターンエンドだ」
シゲル
LP3550 手札4枚
アナト/ATK4000 レティアリィ/DEF800
伏せカード無し
―響のターン―
「私のターン、手札から東雲のコチを召喚!!黒い旋風の効果で攻撃力100の蒼天のジェットを手札に加える!!」
コチ/ATK700
これで合計レベルは7。このレベルと状況で呼び出されるとしたら――
「レベル3のギブリにレベル4のコチをチューニング!!
黒き旋風よ、天空へ駆け上がる翼となれ!!」
☆3 + ☆4 = ☆7
「シンクロ召喚!!アーマード・ウィング!!」
アーマード・ウィング/ATK2500
一つ目の黒い光沢の鎧に身を纏った天狗が出現する。このモンスターの効果は対象を取らず、そしてたとえ攻撃力が10000だろうと0にすることができる強力な効果を持っている。
「バトルフェイズ、アーマード・ウィングでアナト様に攻撃!!ブラック・ハリケーン!!」
『ぐっ…』
アナトの綺麗な毛並みに突き刺さた楔。これで前準備が完了した。だが、問題はアーマード・ウィングが次のターンまで生き残っているかだ。
シゲルの手札は4枚、そしてドローで1枚増える。ベストロウリィなどがいたら一気に決着がつく。
「ターンエンド!」
響
LP3500 手札1枚
アーマード・ウィング
伏せカード1枚 黒い旋風
―シゲルのターン―
「俺のターン、ラクエルを召喚して魔法カード、セコンド・チェンジを発動。デッキの一番の上のカードとフィールドのモンスターをリリースして同じレベルのモンスターをデッキから特殊召喚!!」
「(や、やばいかも…)」
セコンド・チェンジ
通常魔法
デッキの一番上のカードを墓地に送り自分フィールドのモンスターをリリースして発動する。
リリースしたモンスターと同じレベルのモンスターをデッキから特殊召喚することができる。
「セコンド・チェンジ」が墓地に存在する場合、
同じレベルのモンスターを墓地よりゲームから除外することで
その破壊を無効にすることができる。
その後、このカードをゲームから除外する。
一番危惧してる流れに響は内心焦っていた。よりにもよってシゲルのフェイバリットモンスターの登場となれば一気に敗北の危機だ。だが、止める方法は一つもない。
「そしてガイザレスの効果、フィールドのベストロウリィとレティアリィをデッキに戻し、フィールドに特殊召喚!!」
『うむ』
ガイザレス/ATK2400
フィールドのあらゆるカードを2枚まで破壊することができるモンスター。ベーシック剣闘獣ではメインモンスターの1体でもある。
「ガイザレスの効果発動、フィールドのカードを2枚まで破壊する、アーマード・ウィングとその伏せカードだ!!」
「(よし!)選択された伏せカード、シンクロ・スピリッツを発動!!墓地のシンクロモンスター、ランス・ウィングを除外してその素材となったモンスターを特殊召喚する!!」
シロッコ/DEF900
ブリーズ/DEF300
「バトルフェイズ、アナトでブリーズに攻撃!!ゴッド・クロー・スラッシュ!!」
「ッ…手札のジェットの効果発動!!このモンスターを墓地に送って戦闘破壊を無効にする!!」
楔を打ち込まれたままのアナトは巨体の天狗を斜めに切り裂いた。が、その間に入り込んだカラスによってそれを邪魔された。戦闘破壊に成功しなかったため、アナトの効果は発動しない。
「なら、ガイザレスでブリーズに攻撃だ!!」
「っ…」
ブリーズを破壊されてガイザレスのデッキに戻る効果が発動される。それによって更なる展開がされると非常に厳しい戦いとなる。
「バトルフェイズ終了時、ガイザレスの効果発動!!ダーツ、バウンドを特殊召喚!!」
ダーツ/ATK1200
バウンド/ATK1000
「そしてダーツの効果でデッキからフレア・リゾネーターを特殊召喚、バウンドの効果で墓地のダリウスを除外、その後、レベル4のバウンドにレベル3のフレア・リゾネーターをチューニング!!
獣の命を喰らいし者よ、今ここに全ての魂を喰らい尽くせ!!」
☆4 + ☆3 =☆7
「シンクロ召喚!!ソウル・ブラック・ドラゴン!!」
『グァァァァァ!!!!』
シゲルのエースモンスターであるソウルが召喚され、さらにフレア・リゾネーターとバウンドの効果が発動した。その上、バウンドの効果でダリウスの効果も連鎖的に発動した。
ソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2400→2700
ダリウス/ATK1700
ラクエル/ATK1800
「そしてフィールドの剣闘獣を3対選択してデッキに戻す、進軍せよ、ヘラクレイノス!!」
ヘラクレイノス/ATK3000
これでフィールドには3体の最上級モンスター。それぞれ効果ダメージ、魔法・罠無効効果、モンスター特殊召喚効果と明らかに響が圧倒的に不利だった。
「ターンエンド」
シゲル
LP3550 手札3枚
アナト/ATK4000 ソウル・ブラック・ドラゴン/ATK2700 ヘラクレイノス/ATK3000
伏せカードなし
―響のターン―
「私のターン!!(このモンスターなら…)極北のブリザードを召喚!!」
ブリザード/ATK1300
白いカラスが出現して響の出したディスクの墓地をつつくとその中から1匹のカラスが現れた。
「ブリザードの効果、墓地のレベル4以下のBFを特殊召喚する、ジェット!!」
ジェット/ATK100
「そして黒い旋風の効果、デッキからBF-二の太刀のエテジアを手札に加える。レベル5のシロッコ、レベル1のジェットにレベル2のブリザードをチューニング!!
吹き荒べ嵐よ!鋼鉄の意志と光の速さを得て、その姿を昇華せよ!!」
☆5 + ☆1 +☆2 = ☆8
「シンクロ召喚!!BF-孤高のシルバー・ウィンド!!」
孤高のシルバー・ウィンド/DEF2000
3体のモンスターがひとつとなってシロッコによく似た烏天狗が降臨した。するとシルバー・ウィンドが生み出した
「シルバー・ウィンドの効果を発動!!シンクロ召喚成功時、バトルフェイズを放棄することでこのモンスターの攻撃力、つまり2800以下の守備力を持つモンスターを2体破壊することができる!!パーフェクト・ストーム!!」
「ッ……」
魔法・罠を使わないでソウル・ブラック・ドラゴンとヘラクレイノスを破壊されてしまったのは予想外だがそれでもシゲルのフィールドには神が存在している。圧倒的に響が不利なのは変わりなかった。
「ターンエンド!」
響
LP3500 手札1枚
シルバー・ウィンド/DEF2500
黒い旋風
―シゲルのターン―
「俺のターン、このままバトルフェイズ…とはいかねぇな」
「(やっぱりバレてる…)」
シルバー・ウィンドは一度だけ戦闘破壊を無効にする効果を持っている。そして手札に存在するエテジアはBFとの戦闘で相手モンスターを破壊できなかったとき捨てることで1000ポイントのダメージを与えることができるモンスターだ。
「魔法カード、貪欲で無欲な壺を発動!!墓地に存在する異なる3つの種族のモンスターをデッキに戻してカードを2枚ドローする、獣族のデコイ、ドラゴン族のダーク・ガブリアス・ドラグーン、悪魔族のソード・リゾネーターをデッキに戻してドロー!!」
「(バトルフェイズを放棄する魔法カード…バトルをしないこのタイミングだからこその発動か…)」
「…カードを伏せてターンエンドだ」
シゲル
LP3550 手札4枚
アナト/ATK4000
伏せカード1枚
―響のターン―
「私のターン、黒羽の宝札を発動!!手札のエテジアを除外してカードを2枚ドロー!!」
手札のエテジアが飛び上がると2枚の羽が舞った。それを掴んだ響の手に2枚のカードが出現した。先ほどのターン、シゲルがバトルを行わなかったのはシルバー・ウィンドが破壊耐性があるとは言え、攻撃力2500を超えるモンスターを出す手段がなかったからだ。
「(まだカードが…)魔法カード、貪欲な壺を発動!!墓地のアーマード・ウィング、ムラサメ、シロッコ、ブリザード、ジェットを戻してカードを2枚ドロー!!」
「(アーマード・ウィングが戻ったか…)」
フィールドから離れたとは言え、まだアナトには楔カウンターが載っているのだ。アーマード・ウィングが再び召喚されてカウンターを取り除かれたら攻撃力が0になってしまう。
「BF-隠れ蓑のスチームを守備表示で召喚!!」
隠れ蓑のスチーム/DEF1200
小さなカラスがまるで忍者のように煙玉で隠れながら出現した。しかしこのターン響は特殊召喚を行えない。
「黒い旋風の効果、デッキから攻撃力400の突風のオロシを手札に加える。カードを伏せてターンエンド!」
響
LP3500 手札2枚
シルバー・ウィンド/DEF2500 スチーム/DEF1200
黒い旋風 伏せカード1枚
―シゲルのターン―
「俺のターン、バリア・リゾネーターを召喚!!」
バリア・リゾネーター/ATK300
フィールドに念力の壁を放つ音叉を持った悪魔が出現した。だが、攻撃力が300だとスチームの守備力すら届いていない。
「さらに墓地の剣闘の威嚇を発動!!このカードを除外して手札の剣闘獣を特殊召喚する、剣闘獣ミラードを召喚!!」
ミラード/ATK0
それは先ほどセコンド・チェンジで墓地に送られていたカードだった。
今度は子犬のような剣闘獣が出現した。合計レベルは2――
「レベル1のミラードにレベル1のバリア・リゾネーターをチューニング!!
魂の決意が交わりし時、新たな扉の鍵が生まれる!!」
☆1 + ☆1 =☆2
「シンクロ召喚、ブラッディ・リゾネーター!!」
『フリ!』
ブラッディ・リゾネーターATK1300
今度は血が滴る音叉を持つ悪魔――フリが出現した。しかし、ソウル・ブラック・ドラゴンが墓地に存在してるため、召喚する意味はなさそうだが――
「バトルフェイズ、アナトで孤高のシルバー・ウィンドに攻撃!!ゴッド・クロー・スラッシュ!!」
「孤高のシルバー・ウィンドの効果発動!!BFの戦闘破壊を一度だけ無効にする!!」
攻撃に対してシルバー・ウィンドはパーフェクト・ストームと同じような竜巻を生み出すと自身の姿を隠した。しかし、この効果は強制効果のため先にブラッディ・リゾネーターでスチームを攻撃すれば通っているはずなのだ。
「珍しいね、お兄ちゃんが――」
「戦術ミスなんてしてねぇよ、墓地のミラードの効果発動!!」
「墓地!?」
そのモンスターはつい先ほど、ブラッディ・リゾネーターの素材となって墓地に送られたモンスターだ。すると、攻撃を終えたはずのアナトは再び振りかぶった。
「墓地に存在するミラードはデッキに戻すことで戦闘で相手モンスターを破壊できなかったシンクロモンスターにもう一度攻撃する権利を与える!!追撃のゴッド・クロー・スラッシュ!!」
「きゃああ!!」
シルバー・ウィンドが破壊され、さらにアナトの能力が発動した。デッキに存在するモンスター、ディカエリィが出現した。
ディカエリィ/ATK1600
「まだ行くぜ、ブラッディ・リゾネーターでスチームへ攻撃!!」
「ッ…スチームの効果発動!!フィールドから離れたときスチーム・トークンを特殊召喚する、さらにリバース罠、ブラック・リベンジを発動!!BF-ブラック・クレスト・トークンを2体特殊召喚する!!」
スチーム・トークン/DEF100
BF-ブラック・クレスト・トークン/DEF800
BF-ブラック・クレスト・トークン/DEF800
フィールドに出現した3体のトークン。これでまだ響のフィールドにモンスターが尽きてはない。
「ディカエリィは剣闘獣の効果で召喚された場合、2回の攻撃ができる、2体のブラック・クレスト・トークンへ攻撃!!」
「っ…けど、まだ私のフィールドにはトークンが……えっ…!?」
終わったはずのシゲルの猛攻。だが、そこにまだ攻撃権の残されている巨大なまるで烏天狗のような黒い翼と長い槍を持った鳥獣族モンスターが出現していた。
剣闘獣アンダバエス/ATK2700
「なん…で…! その伏せカードは…!!」
「そう、リバース罠、眠る魂の咆哮。コイツの効果で墓地のエセダリ、ヘラクレイノス、フィールドのディカエリィを除外して召喚した。まだ攻撃はできる、アダンバエスでスチーム・トークンへ攻撃!!」
この葉に隠れるかのようなトークンがアンダバエスの持っていた槍に貫かれられた。
「アンダバエスの効果発動!!貫通ダメージを受けろ!!」
「きゃああああああああああ!!」
響/LP3500→900
剣闘獣アンダバエス
融合モンスター・効果
星8/闇属性/鳥獣族/ATK2800/DEF2000
「剣闘獣」と名のついた融合モンスター+「剣闘獣」と名のついたモンスター2体
自分フィールドの上記のカードをデッキに戻した場合のみ、
エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」魔法カードは必要としない)。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
自分フィールドの「剣闘獣」と名のついた融合モンスターを選択して発動する。
このモンスターをリリースすることで選択したモンスターが守備モンスターを攻撃したとき
その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
一気にダメージを与えたシゲル。一方の響は再びフィールドのモンスターが壊滅してもうあとがない状況だった。
「カードを伏せて、ターンエンド」
シゲル
LP3550 手札1枚
アナト/ATK4000 アンダバエス/ATK2700 ブラッディ・リゾネーター/ATK1300
伏せカード2枚
―響のターン―
「私のターン!!(このモンスターなら…!!)魔法カード、闇の誘惑を発動!!カードを2枚ドローして闇属性モンスター、オロシを除外する!!BF-精鋭のゼピュロスを召喚!!」
ゼピュロス/ATK1600
「黒い旋風の効果発動!!効果でBF-月影のカルートを手札に!!そして墓地の隠れ蓑のスチームの効果発動!!フィールドのモンスター、ゼピュロスをリリースして特殊召喚!!」
スチーム/ATK800
フィールドに再び忍者烏が出現した。このモンスターはチューナーであり、そして墓地にはゼピュロス。シンクロが一気にできる。
「まだ…速攻魔法スロワーズ・ネストを発動!!スチームをリリースしてデッキから同じレベルのモンスター、BF-雛鳥のアトモスをデッキから特殊召喚!!さらにトークンを召喚!!」
アトモス/ATK700
スチーム・トークン/ATK100
黒い卵から羽化したばっかりの小さい雛が顔をのぞかせていた。
「そして墓地のゼピュロスの効果を発動!!黒い旋風を手札に戻して特殊召喚!!ッ…!!」
ゼピュロス/ATK1600
響/L900→500
もうすでに響のライフは一撃を食らうだけで終わってしまうほど減っている。今さら900も500も変わりがない。
「手札からブラストを特殊召喚!!」
ブラスト/ATK1700
最初のターンでフェザー・ウィンド・アタックで戻されたブラストが出現した。
「レベル1のスチーム・トークンとレベル4ゼピュロス、ブラストにレベル3のアトモスをチューニング!!黒き旋風よ、全ての翼を纏い再び光を駆けよ!!」
☆1 + ☆4 + ☆4 + ☆3 =☆12
「シンクロ召喚!!統括せよ、BF-天魔のムラサメ!!」
ムラサメ/ATK3500
フィールドに再び響の切り札が出現した。しかもこのモンスターは墓地のBFを除外してその効果を得るモンスターだ。序盤とは違い、墓地には潤沢にBFがそろっている。
「相手のモンスター特殊召喚成功時、速攻魔法剣闘同調を発動!!墓地のソウルを選択し、そのレベルと同じになるようにフレア・リゾネーターとバウンドを除外して特殊召喚!!」
ソウル・ブラック・ドラゴン/DEF1800
今度はフィールドにシゲルのエースが出現した。そして、ブラッディ・リゾネーターが存在するため一気にあのモンスターを召喚することが可能だった。
「シンクロ素材となったアトモスの効果発動!!このモンスターがBFのシンクロ召喚の素材となった時、カードをドローする!!」
BF-雛鳥のアトモス
効果モンスター・チューナー
☆3/闇属性/鳥獣族/ATK700/DEF500
このモンスターはカード効果でデッキから手札に加えることができず、
墓地から特殊召喚することができない。
このモンスターが「BF」と名の付いたシンクロモンスターのシンクロ召喚の素材として墓地に送られたとき、カードを1枚ドローする
「ムラサメの効果発動!!墓地のBFを除外することでその効果を得る、ゲイルを除外してその効果、アンダバエスの攻守を半分にする!!」
アンダバエス/ATK2700→1350
これでムラサメでアダンバエスを攻撃すれば――
「バトルフェイズ、ムラサメでアダンバエスへ攻撃!!ダメージ・ス――」
「まだ攻撃宣言時の処理が残ってるぜ、リバース罠次元退路を発動!!自分フィールドのシンクロモンスターを2ターンの間除外して、このターンのバトルフェイズを終了させる」
そのカードは響がアイリスを名乗っていたときにも使われたカードだ。しかし相手に効果対象にできない神でも手札のカードにまで影響を与えることができない。
手札にあるカルートは捨てることでフィールドのBFの攻撃力を1400ポイントアップさせる効果がある。これを使えば――
「除外するモンスターは、アナト!!」
「…えっ……!?」
シゲルがそうすることに気付いていたのか、アナトは自ら次元の穴へと飛び込んだ。だが、響はシゲルがなぜそうしたのかわからなかった。フィールドにはほかにもブラッディ・リゾネーターもソウル・ブラック・ドラゴンも存在してるのに。
「…アナトには悪いが、こっから先は俺の力でやらせてもらう。そもそも俺は神なんて扱う器じゃねーからな」
元々シゲルのデッキは展開してソウル・ブラックやブラッディ・ソウルで圧倒するタイプのデッキだ。アナトの効果で展開していたが身に合わないようで窮屈そうにしていたのだ。
「悪いな、お前の晴れの儀式になるのにな」
「…ううん、やっぱりお兄ちゃんらしいよ。それに…私も本気のお兄ちゃんと戦ってみたいと思ってたの、カードを伏せてターンエンド!!」
響
LP400 手札2枚
ムラサメ/ATK3500
伏せカード1枚
―シゲルのターン―
「俺のターン!!魔法カード、剣闘の宝器を発動!!カードを2枚ドロー!!そして――」
「(来る…あのモンスターが…!!)」
シゲルがエクストラデッキから取り出したカード、未だに夢に出てくる自分がアイリスだったという悪夢の中で光となってくれる姿。
「ブラッディ・リゾネーターの効果発動、フィールドのモンスターのレベルを一つ上げる!!ソウルのレベルを一つ上げ、そしてレベル8となったソウル・ブラック・ドラゴンにレベル2のシンクロチューナー、ブラッディ・リゾネーターをチューニング!!
漆黒の魂を持ちし小さき炎よ、我が魂を受け更なる業火へ誘え!!」
☆8 + ☆2 =☆10
「アクセルシンクロ!! ブラッディ・ソウル・ドラゴン!!」
『ガアァァァァァァァァ!!!』
ブラッディ・ソウル・ドラゴン/ATK2800
それぞれのフィールドに切り札が並び、手も尽きてきた。おそらく終が近い。
「ブラッディ・ソウル・ドラゴンの効果発動!!墓地のソウルを除外し攻撃力を吸収する、ドレイン・ソウル!!」
ブラッディ・ソウル・ドラゴン/ATK2800→5200
「さらにフィールドのモンスターをリリースしてその攻撃力分、相手モンスターの攻撃力をダウンさせる!!ブラッド・レディング!!」
ムラサメ/ATK3500→2150
アンダバエスの血でさらに攻撃力が下がったムラサメ。その差は既に3000ポイント。たとえ手札のカルートを発動したところで超過ダメージで響の敗北は決定する。
「これで最後だ、バトルフェイズ!!ブラッディ・ソウル・ドラゴンでムラサメに攻撃、ブラッディ・フレアァァ!!」
口に貯めた炎を吐き出してそれがムラサメに襲い掛かる。しかし、その攻撃に対して、ニヤリと笑ったのは響だった。
「お兄ちゃん、この勝負、私の勝ちだよ!!リバース罠、バアルの神風を発動!!」
「そいつは!?」
そのカードは見覚えがあった。彼らの故郷、ニズはアナトを祀っているが存在する神はアナトだけではない。他にも様々な分野の神が存在していた。
そのうちの一体、バアルはアナトの兄でもある。
「そう、バアル様の加護のカード。あのSinデッキに入ってたのを入れたんだ」
「(いつの間にデッキを改造してたんだ…)」
Sinデッキはシゲルが管理をしている。それなのにいつカードを抜いたのだろうか。
「発動コストに手札を1枚捨ててお互いのフィールドのモンスターを選択し、その攻撃力を入れ替える!!」
バアルの神風
通常罠
自分のライフが500以下の時、手札を1枚捨てて発動する。
お互いのフィールドのモンスターを選択して攻撃力を入れ替える。
この効果に選択されたモンスターは戦闘では破壊されない。
相手はこのカードの発動に対して魔法・罠・モンスター効果を発動することができない。
突然の暴風雨にシゲルが顔をかばうとブラッディ・ソウルの叫び声が聞こえた。
ブラッディ・ソウル・ドラゴン/ATK5200→2150
ムラサメ/ATK2150→5200
「さらにダメージステップ、手札のカルートの効果を発動!!このカードを墓地に送ってムラサメの攻撃力を1400ポイントアップする!!」
ムラサメ/ATK5200→6600
「…さすがだな、響」
シゲル/LP3550→0
―廃寮―
既に閉鎖され、以前明日香がセブンスターズの尖兵となったタイタンとの戦い以降、完全に閉鎖されており人が入れないようになっているはずだった。
『釼都って何者なのかな?』
しかし出入口に張り巡らされた有刺鉄線は完全に断ち切られており、釼都の予想が的中してることが確定した。
「ナタリア、周囲に敵の反応をサーチお願いね」
『うん』
ライトを片手に中を進むジュードは進んだ。入ったことはないが、本能的な気配が彼を地下の錬成場へと誘った。
『ジュード…ここ…』
「ああ、ここで吹雪さんはダークネスの世界に攫われた…」
ナタリアはこの部屋から驚異的な魔力が溢れ出してるのを感じていた。
そして部屋の中央に異様なものを発見した。
2つの星型を組み合されて作られた十芒星に呪文が書かれてる魔法陣だった。
「なんだ…これは…」
『これ…解呪の呪文、かな…』
解呪ということは、中央に鎮座する1枚のカードが封印されており、それを解くためのモノだということだろう。
そしてなぜか魔法陣の端にある10の球体のうち、5つに光が灯っていた。
「ナタリア、これは何を…」
『たぶん、何らかのフラグで球体がエネルギーを発するようになるんだと思う。5つの球体からは魔力を感じるけど5つからは何も…』
「ほう…精霊の魔法使いか」
『「!!」』
いつの間にそこにいたのだろうか、あの映像の仮面の男が魔法陣の中央に立っていた――
―その頃―
「…………」
『よかったのかの?』
兄に勝ててとびっきりに喜んだ響を見送って本部となっている休憩室に急ぐシゲルにウリィは聞いた。何を、と入ってないがそれが何なのかわかっていた。
「ウリィ、言っただろ。俺は俺の力で響と戦いたかったって。たとえ勝てたとしてもほかの力に頼るのだけは御免だ」
シゲルの手札、そこにはフィールドの融合モンスターをデッキに戻して互いに除外されているモンスターを特殊召喚する次元誘爆があった。
それでアンダバエスを戻し、アナトを召喚する方法があった。
だが、今回はアナト自身の頼みでデッキに入れたカードだ。大事な儀式というのもあるが、一人の兄として妹の響に対してはほかの誰でもないシゲル自身の力で戦いたかったのだ。
「まあ、反省会は後回しだ。とりあえず如月とジュードと合流…あと、ほかの脱落者との連絡もやらなくちゃならねぇな…」
『…そうじゃの』
「行くぜ、ジェノサイド・バースト!!」
「うわああああああああ!!!!」
ユウ/LP1400→0
そのころ、準々決勝3つ目の戦い、釼都とユウの戦いは奥の手であるエンシェント・クロック・ドラゴンでスピット・クロス・ドラゴンを破壊した釼都に軍配が上がった。
「あ~…まさかこんな手を残してたの…」
「ああ、この学園内で知ってるのは翔だけだからな」
まさかのカードにユウが放心してると少し得意げに釼都がそう言った。確かにこのモンスターを使うのは翔に見せた『本気』の時だけだった。
「もう…そんな手があるなら最初から言ってよ!」
「ハッ、敵を欺くならまず味方から、ってな。そういうお前こそ、俺たちに黙ってた手、あったじゃねぇか」
「…え?」
別にユウは釼都たちに隠してる奥の手などない。このデュエルで使ったカードも過去に使ったカードばかりだ。もしかするカードのコンボのことだろうかと思ったが、それにも心当たりがない。
「まあいい。ユウ、お前はすぐに廃寮に行け」
「廃寮? なんで?」
「説明する時間も惜しい、とにかく手短に言うと黒幕がそこにいる。予想だと既にジュードも向かってるはずだ」
それを聞いてユウは慌てて立ち上がった。聞きたいことが山ほどあるが確かに時間が残ってそうもない。必死に敗者出口を駆け抜けるユウを見送って釼都は次の対戦者が待つ通路を睨んだ。
「さて、残ってるのは俺とあと何人だろうな……それにしても――」
そう言いながら釼都も歩き出してボソリとつぶやいた。もし、その疑問をユウが耳にしてたら、ある未来が変わっていたかもしれない。
いや――それは巻き戻せないほどに進んでいたことに誰も気づくことができなかった。
「――ユウのやつ、
ユウ「どいうことなのぉ!?」
シゲル「お前、如月みたいになってるぞ」
ユウ「いやいやいや!!なんでシゲルも平然としてるの!?」
紫苑「そんなカードありました…?」
釼都「どういうことか説明してもらおうか」
げふぅ…←すでに瀕死
ツバキ「すでにボロボロだね」
ふ、復活…えぇっと…まあ、以前かあるように秘密ですけど…
ユウ「スピットで攻撃ィィィィ!!!」←半泣き
ちょ、ま!!ストップ!!ちゃんと理由があるから!!
シゲル「じゃ、その理由ってのはなんだ?」
えっと、2話前にあった「悪夢の国の惑星」の最後で如月たちが気づかなかったってのがあったけど、それがこれに関連してるからこれ以上無理!!
釼都「こいつは妙なところでこだわってるからな…これ以上は聞けねぇな」
我が命に変えてもこれだけは話せませぬぞぉぉぉぉぉ!!!
シゲル「じゃあ死ぬか?」
ごめんなさい!!
ツバキ「妙にハッスルしてるね…」
はっきり言ってこの章でこのフラグを立てるかどうか最後まで迷ってたからもう
後には引けない、つまりヤケクソ的なものです。
シゲル「最後のがインパクトありすぎて俺の方の衝撃が薄れてるな」
まあ、前回と同じで響も誰かと戦うことになるけど十代はレオンとやる予定で釼都・ユウ・シゲルとまあ勝てる見込みがほぼない面子ばかりだったのね。
ユウは最後のフラグのためにやるとしたら釼都かシゲル。ならシゲルかなって。
それでニズでの儀式や誕生日ということにしてアナトを使わせるのも面白いな~って
紫苑「ではなぜ最後、あんな手を」
シゲル自身、アナトの力を使いたくなかったんだよね。切羽詰ってたりとかって状況ならともかく、今はガチンコでぶつかり合う大会中。それで神の力を使いたくなかったの。けど、儀式は誕生日に行うからこの日しかないのでああなったと。
釼都「色々と無理矢理じゃねぇか?」
それで許してください。
さてデュエルの内容ですが、今回はあまりないかな…
釼都「そういえば、最初の響のフェザー・ウィンド・アタックに関しては?」
あれはなんとなくかな、ダメージや効率的に考えると先にシロッコを戻してやったほうがいいと思った感じ。
紫苑「バアルというのは神の名前ですよね」
そう。詳しいことは調べてもわからなかったけど、アナトの兄だということだけはわかったから出した。バアル本人が出てくるかどうかは不明です。
さて、次回は残る準々決勝、つまり十代VSレオンの予定です。
お楽しみに!
釼都「…ん??十代とレオン…なんだ?なにか大事なことを忘れてるような…」