偽エミヤの英雄譚   作:妄想男

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1話

 

一人の時、沢山練習したり動画でみた赤い弓兵の呪文が終わると

画面の中で見た沢山の剣が突き刺さっている荒野が出現して目が覚め、

いつもの自室の天井が俺の視界に映る。

まさか夢にまで出てくるとは……動画の見すぎかな?

 

ん?

 

ベットから起き上がるといつもよりも視点が低い事に気が付いた。

 

んん?

 

ベットから降りようと布団から脚をだしたらかなり短くなっていることに

気づいた。

 

んんん?

 

ベットを降りて、体を確認する。

小学校の頃に愛用していたパジャマに包まれる小さな手足。

もちろん、小学校のパジャマを未だに使用している事はないし寝るときは

いつもジャージな俺はパジャマに着替える事はない。

そして俺の身長は百七十以上あったはずだ……。

それなのになんでこんなに低いんだ?

疑問がいくつも頭を駆け巡り、頭が混乱する。

……とりあえず顔を洗おう。

考えるのはそれからだ。

 

とてとてと見知った我が家の洗面所まで辿り着き、顔を洗う。

そして近くにかけてあるタオルを掴み、濡れた顔を拭く。

さっぱりした所で自分を見る。

髪は脱色した白い髪、どこか見覚えのある褐色肌をした幼い顔。

 

………。

 

「おはよう士郎、今日は珍しく早く起きたんだな。

どうした鏡をじっと見たりして……ニキビでも出来たか?」

 

鏡をじっと見る俺の後ろからかけられるとても身近で聞き覚えのある声が耳に

入ったので恐る恐る後ろを振り返ると……。

 

「なんだ?父さんの顔をじっと見て……。何かついているのか?」

 

いつも見ている老けた父ではなく、もうアルバムでしか

見ることが出来ないはずの若々しい父の姿があった。

 

 

☆☆☆

 

 

 

結論から言おう。

どうやら俺は小学生まで時を逆行したようだ……英霊エミヤのそっくりさんと

なって……。

 

考えられるのは御神木が俺の願いをかなえたって事だけど……。

なんで小学生にまでもどってんのさ。

しかもここは、魔法やファンタジーにダンジョンなんて欠片も見せない

コンクリートジャングルな現代日本。

俺が望んでいたファンタジーな世界とは正反対の世界である。

 

おい、願い事のファンタジーどこいった?

 

ドラゴンは?ダンジョンは?ビキニアーマーにエルフの美少女はどこだ?

中途半端に願いを叶えやがって……。

 

まあ、ファンタジーがないことに目を瞑れば一応願いは叶ってるし?

精神は大学生で知能もそこそこある小学生だからこれからの人生かなり楽に

なりそうだ。

 

それに一人でエミヤごっこ出来そうだし……。

 

そんなことを考えながらこの異常事態になれようと再び通うことになった

小学校へと朝食を食べた後、ランドセルを背負って一人で向かった。

 

学校に辿り着くと、ランドセルにの中にある教科書に記入してある学年とクラスを確認して

クラス別にある下駄箱から衛宮 士郎と書かれた上靴を取り出し、履いていた

スニーカーと履き替えて、教室に向かう。

3-2と書かれた教室に入ると子供達が仲良く雑談していたり、バトル鉛筆で

遊んでいたりと懐かしい光景が広がっている。

 

「おっ、士郎!」

 

懐かしい光景を眺めていると一人の少年が駆け寄ってきた。

どうする?小学生のクラスメイトの事なんて覚えていないぞ……。

とりあえず話をあわせるしかないか……。

 

「今日の魔力検診楽しみだよな!!もしかしたら英雄クラスの魔力が俺の中に

あったらと思うとたまらないぜ!!」

 

「ま……魔力検診?」

 

とてつもない爆弾を俺に投下する少年。

おかげで俺の頭の中は火の海だ。

 

「おい、大事な事なのに忘れてたのかよ?この検診で俺達の人生が決まるかも

知れないんだぞ」

 

抜けてるなぁ…と言ってくる少年。

しかし俺に目の前に居る少年を相手にする余裕はない。

魔力検診とはなんだ?ここは日本だろ?

ファンタジーの欠片もない現代に魔力なんて……。

だが、これは嬉しい情報だ。

もっと詳しく聞いてみよう。

 

「すまない。どうやら私はうっかり忘れてしまっていたらしい。

くわしく教えてくれないかね?」

 

「……どうしたんだよ士郎。変な喋り方をして…」

 

俺の口調にドン引きする友人だと思われる少年。

俺も正直、とても驚いてる。

まさか口調まで変わっているとは……。

 

「なに。だた、テレビに影響されただけの事。

気にしないでくれるとありがたい」

 

「お…おう。わかったよ」

 

俺の口調に戸惑いつつも理解を示してくれる少年。

かなり心の懐が深い少年のようだ。

 

「それで?魔力検査について聞きたいのだが……」

 

「おいおい……。本当に魔力検査のことを忘れたのか?

昨日先生が話したばっかりだぞ?」

 

「頼む」

 

「しょうがないなぁ……」

 

しぶしぶだが、説明を始める少年。

 

魔力検査とは伐刀者《ブレイザー》としての能力を測るための検査。

魔力、オーラとも呼ばれる人類が人知を超える力を行使する為に必要な

力のことであるらしい。

そしてブレイザーとしての能力値が高ければ、能力の使用を許される魔導騎士という

社会的地位を与えられるらしい。

警察みたいなものだろうか?

 

なるほど……どうやらダンジョンはないがこの世界の人間は魔法が使えるらしい。

そうなると俺の魔法は……固有結界《無限の剣製》になるのか?

 

「能力検査もそうだが検査の時、使用許可が許される固有霊装《デバイス》も楽しみ

だよな!

顕現するのは、伝説の聖剣や魔剣に魔弓。呪具は嫌だけど俺は

カッコイイ聖剣か魔剣がいいぜ、士郎は何がいいんだ?」

 

デバイス?また新しい単語だ。

サーヴァントの宝具みたいな物だろうか?

だったら俺は……。

 

「私も君と同じで剣がいいな」

 

「だよな!男だったらやっぱり剣だよな!!」

 

自分と趣味が合うことを知り、無邪気に喜ぶ少年。

しかし、今だ理解できない部分がある。

さらに質問しようと喜んでいる少年に声を掛けようとすると……。

 

「衛宮、加藤。教室の前に立って居ないで席に着きなさい」

 

先生が俺の後ろから声を掛けて来た。

どうやら朝のホームルームの時間が来たらしい。

先生の存在に気づいたクラスメート達も自分の席に座り始める。

クラスメート達が席に着き始めた頃、一つだけ空いている席があったので

底に座りランドセルを机の横に引っ掛ける。

 

「さて、みんな席に着いたな?それじゃあホームルームを始めるぞ」

 

☆☆☆

 

朝の挨拶と軽い連絡事項が終わると、担任の先生は今日の日程について

話し始めた。

 

魔力検査の前に、ブレイザーに関する知識と法律。

顕現するデバイズの危険性などを再確認する為の授業を行ってから。

検査をするようだ。

 

ブレイザーなるものを知らない俺にとっては、ありがたい授業だ。

俺はこれから行われる授業を真剣に聞いた。

 

――《ブレイザー》――

 

古い時代には『魔法使い』や『魔女』とも呼ばれてきた彼等は

科学では計り知れない特別な力を持っており最高クラスならば

時の流れを意のままに操り、最低クラスでも身体能力を超人の

領域に底上げすることが出来る。

人でありながら人を超える奇跡の力。

武道や兵器などでは太刀打ちすることすら叶わない超常の力。

現代では警察も軍隊も……戦争ですら、ブレイザーの力がなくては

成り立つ事はない。

そして大きな力には責任が伴う。

そのひとつが魔導騎士制度である。

魔導騎士制度とは国家機関の認可を受けたブレイザーの専門学校を

卒業した者にのみ『免許』と『魔導騎士』という社会的地位を与え、能力

の使用を認めるというもの。

そして、魔導騎士の卵になるかも知れない少年少女たちはある一定の年齢を

こえると毎年全国で魔導騎士と絶対の資質である総魔力量を検査する為の

魔力検査が行われるらしい。

 

ブレイザーの歴史を見てみたら、正直とても驚いた。

なんと第二次世界大戦に一人のブレイザーが出現した事で日本が勝利したと言うのだ。

とんでもない歴史改変だと思う。

 

それにしてもたった一人で、戦況を変えるとは……。

なるほど。

少なくとも俺が普通ではあり得ない力を持っていても不思議ではない

環境ではあるようだ。

 

ブレイザーについて学んだ俺たちは担任の先生に連れられ

学校のグラウンドにやって来た。

グラウンドには白衣をきた大人たちが見たことのない機械を弄っている。

あの機械で魔力を計測するのだろうか?

 

「それじゃあ、みなさんの魔力量を計測しますので順番に前に出てください。」

 

名簿番号一番の男子生徒が一番前に出ると白衣を着た男性にヘッドホンのような

機械を頭に取り付けられる。

あの機械で魔力を計測するのだろうか?

 

「では、始めてください」

 

白衣の男性の言葉をきっかけに少年に取り付けられた機械が点滅する。

どうやら、計測が始まったようだ。

 

「魔力ランクは…Dですね。では次にデバイスを顕現してもらいます。

顕現は機械が誘導しますので機械の指示に従ってください」

 

男性の言葉に従い機械の誘導にしたがっているのか目を瞑り集中する

少年。

1分ほど時間がたったのだろうか?

彼の閉じた瞳が開き、少年は右手を伸ばす。

 

「こい!『夜叉丸』!!」

 

伸ばした右手の掌に一振りの日本刀が出現する。

おお!すげぇ!!

ドラゴンやダンジョンはないが魔法が使えるのは本当に凄い。

かなりワクワクするぞ!!

まわりのクラスメート達も目を輝かせ、自分達もカッコイイのを呼び出すと

気合を入れている。

 

一人……又一人と順番に魔力値の目安となっているランクを告げられた後は

一番初めにデバイスを顕現した少年のように己の魂となる武器や呪具を

顕現していく…。

 

そして…俺の番がやって来た。

 

「はい。じゃあそのヘッドギアをつけてね。

後は、機械の言うとおりにすれば直ぐ終わるから」

 

他のクラスメートたちと同じ言葉をかけてヘッドギアを渡してくる男性。

俺は「はい」と一言、返事をしてからヘッドギアを受け取り頭に取り付ける。

ウィイインという機械音がなり測定がはじまった。

もし、俺が理想のエミヤになっているのなら……。

 

 

 

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