偽エミヤの英雄譚   作:妄想男

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5話

最近は教員達の様子がおかしい。

別に困っているわけではないのだが……。

 

何故か生暖かい視線を向けてくるのだ。

例えるなら、ひな鳥の成長を見守る親鳥のような……。

そんな優しい眼を俺に向けてくる。

もしかしてエミヤごっこしてる所を見られたのだろうか?

 

態度も緊張したものから柔らかいものにも変わった気がする。

実技の授業でもわざわざ、もう少し何所を鍛えたらいいとか

技の中にフェイントである虚実を混ぜた方がいいなどとアドバイスを

くれるようになった。

 

しかし、クラスメートたちの俺に対する態度は様々だ。

俺のAランクという能力にすがり付いてくるもの、俺を利用しようと

するもの、妬むものと結構酷い状態だ。

……おかげで俺の生活の中で仲がよいのは親族と最近話すようになった教師達のおかげで

ボッチ状態が少しだけ改善された。

 

そして、そんな優しい眼を俺に向けるようになった一人である担任の教員が

国際交流を含めた模擬戦を勧めてきた。

 

場所はイギリスにあるヴァーミリオン皇国の闘技場。

対戦相手は、その騎士専門に通う第二皇女ステラ・ヴァーミリオン。

俺と同じAランクの魔力を持つ、将来有望と言われているブレイザー。

 

炎を操る『紅蓮の皇女』。

 

年齢は確か……俺とそう変わらなかった気がする。

自分とほぼ同年代のAランクのブレイザーとの対戦。

投影のみで自分と同じランクの魔力を持つ人間と戦うのは初めての事で

自分が正直、何所まで相手に通用するのか分からない。

でも……勝負には絶対に勝ちたい。

 

『イメージするのは常に最強の自分』

 

理想の自分を追いかける為。

なにやら、投影のみで勝てれば高校進学の推薦に必要な単位をくれるらしいが関係ない。

関係ないったら関係ない!!

 

 

☆☆☆

 

 

国際交流を含めた模擬戦の為、護衛と外交官と一緒と、

生まれて初めて海外へと飛行機に乗って出発した。

観光旅行ではないのだが、ワクワクした気持ちでヴァーミリオン皇国

の空港に着くと、現地の新聞記者と思われる集団がパシャパシャと

俺の写真を撮影してくる。

 

まるでオリンピック選手の凱旋みたいだ。

眩しいカメラのフラッシュを浴びながら、護衛の人たちと共に

黒いリムジンに誘導される。

 

俺達が車に乗り込むのを確認した運転手はゆっくりと車を発進させる。

なんか思っていたの状況とは違うな……。

俺が想像していたのはこんなVIP待遇ではなくて、二階があるバス

に乗ったりして、ゆっくりとイギリスを堪能しつつ、交流試合するのだと

考えていたのだが……。

どうやらそれは甘い考えだったようだ。

 

Aランクは特別な存在だとこれまでの生活で実感していたが

ここまでの対応をされるとは……。

正直庶民派な俺はむずがゆくてしょうがない。

 

むずがゆい感覚から逃れるように、目的地に着くまで外の景色を見たり。

投影のイメージ訓練をしたりなどをして時間を潰す。

 

「では、そろそろ闘技場に着くと思うのですが……衛宮君。

君は口調はともかく人柄は大丈夫だと思うのですが、相手は皇族ですので……」

 

「了解した。貴方の言う通りに失礼のないよう心がけるとしよう」

 

「本当にお願いしますよ?」

 

イメージトレーニングをしているとリムジンの中で心配そうに話しかけてくる

外交官のおじさん。

どうやら俺の口調で国際問題にならないか心配しているらしい。

まあ、俺自身もこの口調で問題が起こる可能性があるかもしれないと

不安がある。

ならないよね?

 

 

到着したのはコロッセオのような闘技場。

入り口には、俺と同じように天才として新聞に載った少女とSP

と思われる黒いスーツを着た男達が居た。

新聞で見たときから思っていたが、天才でお姫様。

さらには美少女と恵まれに恵まれた俺と同じ夢か妄想のような存在だ。

 

「模擬戦は、私とヴァーミリオンの外交官との会談が終了しだい行いますので

控え室で準備をしていてください。

もちろん衛宮君が『紅蓮の皇女』様に勝てた場合は好きな高校への推薦権

が与えられますのでがんばってください」

 

「……まあ、ほどほどに頑張るとしよう」

 

リムジンから降りた外交官のおじさんに続いて、俺も車から降りる。

 

「ようこそいらっしゃいました。ミスタ斉藤とミスタ衛宮。

ヴァーミリオン皇国第二皇女、ステラ・ヴァーミリオンと申します」

 

胸に手をあて、騎士のように頭を下げて俺達に挨拶をする少女。

彼女が美少女のせいだろうか?その姿は凄く絵になっている。

 

「これはステラ殿下。丁寧な挨拶をありがとうございます

それでは……」

 

先に挨拶を返したのは俺の隣にいる外交官のおじさん。

斉藤さんだった。

俺も斉藤さんに合わせて、彼女達に頭を下げる。

 

これが俺とステラ・ヴァーミリオンとの出会いだった。

 

 

 

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