Baby Princess ~クリスマス・イブの聖夜~ 作:明棲木親池
海春はショッピングモール内を、霙はそれ以外の駅前を探した。春風はもしヒカルが戻ってきた時の事も考え、クリスマスツリーの前で待機という形になった。
冷える冷気が、彼女たちの不安を加速させる。
どうしよう――どうしよう――――。
春風は、先ほどからずっと心の中でそう呟く。しかし、それは心の中だけ、決して表には出さない。
理由はただ一つ。自分がヒカルよりも――お姉さんだからだった。
もし、ヒカルが自分の場所に姿を現したら――多分、自分は泣いて抱きしめてしまうだろう。
けど、それは見つかったらの話。
だから――それまでは――――。
春風はぐっとこらえる。
涙も、不安も。
だいじょうぶ――ヒカルちゃんはきっとぶじだもの。
胸の前で手を組み、祈る様に目を閉じる。
*
一体どこに――。
ショッピングモールを抜け、駅前の切符売り場まで来た霙は、人混みの中、懸命にヒカルの姿を探していた。
今日のヒカルの服は、至って普通の小学生の服装だった。
なので、霙は服装がどんなだったか――とは、考えず、この辺りに小学生がいるか、と考えた。
道行く人々はほとんどが大人。
この時間帯ともなってくると、小学生が一人で歩いているのは逆に目立つ。
霙はそこを狙った。
しかし、作戦虚しくヒカルを見つける事は出来なかった。
「はぁ……はぁ……」
霙は運動があまり得意ではない。故に体力も人並み以下。
息を吸い込む空気は冷たく、体の芯まで凍りつきそうであった。
だが、霙は自分がそんな状況下に置かれながらも、
ヒカルは寒がってない、だろうか――。
と、考えていた。
*
あぁ~っもう! 一体、ヒカルはどこに行ったのよ!!
ショッピングモールの二階の婦人服売り場にて、海晴は地団駄を踏む。
一応、迷子センターにも連絡、及び捜索願いを出した。
そのため、この近辺にいれば多分、ヒカルが見つかるのは時間の問題だった。
しかし、海晴はそれに頼ってしまうことなく、こうして今も自分の足を使い、ヒカルを捜索している。
行き交うマダムの群れに、海晴は気圧される事無く突き進む。
大事な妹ですもの、長女の私が何とかしないと――。
海晴の顔つきは、先ほどとは別人の様な〝お姉さん〟の顔をしていた。
大丈夫。なんてったって天使家の娘だもの――きっと、今頃は私達の心配を差し置いて、のんきに寝ているに違いないわ!
そう思った瞬間、海晴は笑みをこぼす。
それは寒空の下、ヒカルがのんきによだれをたらし、寝ている姿を想像したからであった。