Baby Princess ~クリスマス・イブの聖夜~   作:明棲木親池

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第15話

 

自宅へと戻った陽太郎とヒカルを待っていたのは――、

「あ――っ! オニーチャン!」

冬の寒さにも負けず、ひらひらと面積の狭い部屋着を着ている立夏と、

「「お兄ちゃん!」」

声をそろえて玄関で叫ぶのは、いつも仲良しの星花と夕凪。

「むぅー星花が先だよ、夕凪ちゃん!」

「えーずるいよ星花ちゃん!」

互いに一歩も譲らず、お兄ちゃんの取り合い。

その光景は、外から帰ってきた陽太郎とヒカルに暖かさをくれた。

「相変わらず人気者だな、お前は――」

笑みを浮かべながらヒカルは、言った。

すると、ヒカルは繋いでいた手の温もりがまだ消えないうちに、先に自室へと向かっていってしまった。

陽太郎はその背中をただ呆然と見ていた。

 

      *

 

「オニーチャン! 見て見て! リッカチョーすごくナイ!?」

徐々に人口密度を増すリビングにて、立夏は陽太郎の顔の前に一枚の紙を突きつける。

そこには、サンタさんのお願いという題名と共に、その願い事が書かれていた。

「へぇー」

陽太郎の口から声が漏れる。

それは立夏にしては意外にも、まともな事が書かれてあったからだった。

普段なら可愛いアクセサリーやお洋服だったりと言っている。別にそれ自体は年相応なため問題はない。

けれど、なんというか――陽太郎はそれを見て立夏が少し大人になったように感じた。

そこには――家族みんなでクリスマスを迎えられますよーに! と書かれていたのだ。

うっすらと目尻に浮かべる涙。そんな自分に少し年寄臭さを感じる陽太郎。

立夏にはバレないよう、さっと指で拭うと、言葉を返す。

「――うん。良いと思うよ」

「でしょ! リッカめっちゃ良いアイデアだと思ったんダー!!」

ご機嫌な立夏はその場で立ち上がると、くるりと一回転する。

すると、

「あー立夏ちゃんばっかりお兄ちゃんと、ずるい!」

「そうだよ!」

声を揃えて、立夏に言うのは、仲良しの星花と夕凪。

「私のも見てください。兄上さま――」

好きな三国志の言葉が自然と星花の口から飛び出す。

それに対抗するように夕凪は、

「あ、ずるいよ星花ちゃん! 夕凪もお兄ちゃんにマホウをかけてあげる!」

得意のマホウをかけてあげる事にした。

「じ、順番に、さ――」

諭す陽太郎の声も虚しく、二人は互いを睨み合う。

「もう! 夕凪ちゃん! マホウなんて無いでしょ!」

「そんなことないもん! 星花ちゃんこそ、いくらさんごくしが好きだからって――」

もはやその争いに陽太郎のつけ入る隙はなかった。

でも――一応は優柔不断な自分が招いてしまった、のか……?

僅かながらの自分の非を認めた陽太郎は、ただただその光景を微笑ましく見守っていたのだった。

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