Baby Princess ~クリスマス・イブの聖夜~   作:明棲木親池

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第18話

よし――っ。

意気込むと共に、陽太郎は勢いよく階段を降る。

こんな時、ヒカルなら――。と、自分で答えを導き出したにも関わらず、未練がましい様に陽太郎は考えた。

しかし、直後。陽太郎は含み笑いをする。

それは自分の妄想の中で出したヒカルの答えが如何にも、ヒカルらしいからであった。

多分、ヒカルの事だ。どうせ――、

『考えるより、まず行動しろ!』

なんて言うに違いない。うん、間違いない。

それが陽太郎の想い描くヒカルが出した答え。

すっと心の荷が下りた気がした。

頼まれごとだとはいえ、陽太郎にとって氷柱にお願いをことすること自体大変だ。にもかかわらず、まさか「コスプレ」のお願いをするなんて、鬼門にもほどがあった。

けれど、それが少しは楽になった。

 

それは多分、答えを出したヒカルの表情が笑っていたから――だと、陽太郎は思った。

 

      *

 

再び廊下へと戻ってきた陽太郎は、とりあえず氷柱の部屋に向かおうとした。

注意事項に反しない様に、扉をノックし、部屋の外で話をしようと思ってのことだった。

向かう途中だった。何やら奥からカカッ、カカッ――と、音が聞こえる。

何の音だろうか……?

陽太郎はその音に、一瞬身構えたが、その音の正体がペンによる殴り書きだと分かり、ふぅぅと息を漏らした。

ゆっくりと忍び足の様に陽太郎は、その音のする元へと向かう。するとそこは、陽太郎が向かおうとしていた氷柱の部屋だった。

ノックの為に、手が伸びる。が、度重なる殴り書きの音のせいでその手を止めてしまう。

勉強の邪魔をすると――。

余計に交渉しにくい、と考えた陽太郎は一度手を引っ込める。

しかし、その直後、殴り書きの音が止んだ。

もしかして休憩?

かと思った陽太郎は慌てて、再度手を伸ばす――が、またもノックをする事は出来なかった。

しかしそれは、陽太郎の都合ではなく、扉の都合。

陽太郎はしっかりと中指を立て、手首をスナップした。けれど、それよりも、

扉が開く速度の方が上だったのだ。

 

そして――。

 

「…………なにやってんの? 下僕」

未だかつてないほどに向けられた眼光は鋭く、陽太郎は今まで考えてきた作戦が全て白紙になるほど、緊張が体全体に広がった。

「あ、いや――」

言葉が出なかった。

なんと言えばこの状況の説明が――。

そこで陽太郎は閃く。

「氷柱に帰りの事で謝ろうと――」

陽太郎が言葉を紡ぐと、途端。氷柱は一層、顔を険しくした。

「――――いいから。とりあえず、下僕。部屋に入って」

「……へ?」

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