東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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どうも。ラギアです。
えーと、ですね・・・。
昨日投稿できなかったのは、一応話は完成していたのですが低スペックpcが如何無くその性能を発揮しまして・・・。
はい。書き終えた瞬間ネットとの接続が切れました。
親がWi-Fi弄ってたのもありますが・・。
ご迷惑をお掛けし、本当にすみませんでした。
お詫びと言っては何ですが、今日はこれを含めての二本投稿とさせて頂きます。
以後気を付けるので、これからもよろしくお願いします。

では、どうぞ!


第九章第二話「夢」

「・・・はあ、そんでまた体壊したと。」

「うん・・・。で、多分今死にかけてる・・・。」

白い世界。

俺は正面に胡坐をかいている幻夢に対し、今まで会った事を全て伝えた。

半ば呆れた様に、それでも時々感心するように頷きながらしっかり最後まで聞いてくれた幻夢は、大きくため息をつき、次にチョップを振り下ろした。

 

「馬鹿かいあんたは!何回言わせんのよ少しは自分の事も気遣えって!」

「ふごおおっ!!!」

 

ドゴッ!!と鈍い音が鳴り、ジンジンと鈍痛が脳天を襲う。

あれ?霊力使って無いよね?ねえ!?何でこんなに痛いの!?

 

少しパニックになった俺は、次いで幻夢の口から放たれた言葉に動きを止める。

 

「・・・頑張ったね。お疲れさん。」

 

今までとは一変し、宥める様な、労うような優しい口調。

包み込むような笑みを浮かべたまま、幻夢は言葉を続けた。

 

「真がやったことは責められる事じゃ無い。寧ろ称えられ、褒められるべき行動だよ。私が言ってるのは、自分の事を気にしなさすぎって事さ。誰かを助ける。それはつまり誰かに関わる事であり、責任を伴うものだ。もし傷が深くて、動けなくなったら?守るべき人は、どうなってしまうんだい?自分の事は置いて逃げろって言うのか?無責任すぎないか?守ってくれるって思っている人の思いを裏切るような行為をしてしまう事になるんだ。」

 

段々と厳しくなる表情、口調。

何も言えないまま、俺は固まっていた。

俺は今、どこに居るんだろう。

暁は、どこに居るのだろうか。

妖夢は。咲夜は。霊夢は。魔理沙は。

 

「まあ、私も人の事は言えないけどね。幻想郷は、私の命と引き換えに創ったんだから。」

「・・・え?」

 

暗い思考が脳内で渦巻く中、幻夢の一言でそれらが吹き飛ばされた。

 

「あれ?言ってなかったけ?」

「言ってないよ!?」

 

首を傾げた幻夢に突っ込みを入れ、そのまま言葉の続きを待つ。

 

「・・・結構前の話だね。私はまだ幼くて、いつも友達と居たんだ。その中でも、特に仲の良い奴が居てさ。まあ小さい頃はそいつと一緒だったんだけど・・・4歳くらいかなあ。半人半鬼の男の子と出会ってね。弱虫で、角は一本だけで、良く虐められてたんだけど、本当に良い奴でさ。いっつも三人で居たんだ。」

 

懐かしむ様に呟いた幻夢は、儚い笑みを浮かべながら言葉をつづけた。

 

「そいつらと私で考えたんだ。”皆仲良く、皆楽しく、全てが平等で一緒に暮らせる世界を創りたい”って。最初は土に木の棒で書くような幻の夢だった。・・・叶わないと分かっていた。それでも、幾つになっても、その夢を消し去る事は出来なかったんだ。そして、私はある時に使ったんだ。」

 

そこで一回切り、短く言い切った。

 

「夢幻魂歌、を。」

 

簡潔に言われた言葉は、静かな空間に溶けて行った。

俺が何も言えないまま、幻夢が何も言えないまま、少しの静寂が場を支配する。

夢幻魂歌。八雲紫が使おうとしている最大の禁忌が、幻想郷を創った物だと。

 

幻想郷を壊すために、幻想郷を創ったものを使う。

 

何とも皮肉な物で、矛盾した考え。

それを突きとおしてしまうほど強力な物だと言う事を再確認させられた俺は、静かに拳を握りしめた。

 

「幻の夢はいつか現の夢に・・・。なあ、真。」

 

謡う様に締めくくった幻夢は自身の膝に手を置き、その上で頬杖えを付く。

そして、口を開いた。

 

「今のあんたに、叶えたい夢はあるかい?」

 

叶えたい、夢。

数々の思いがシャボン玉のように浮かんでは消え、それでも浮かび上がってくる。

全て、俺自身の夢だと。

 

無数の夢の中。

それらの全てに、俺以外の人が映っていた。

一つ一つが世界で。

俺は、無意識の内に逃げ出していたんだと、今改めて思う。

だから。歩み寄ろう。

 

「・・・あるよ。沢山。」

「小さいかい?大きいかい?」

「どっちも。・・・それに、夢に大きさ何て無いよ。」

 

俺は幻夢の言葉に首を振る。

すると、幻夢が呆気にとられたような顔になりーーーー

 

「夢を見た時点で。叶えたいと、思った時には、もうそれが夢なんだ。一つの世界なんだ。幻なんかじゃない、しっかりとそこに在る物。・・・俺たちは、それに向かって歩き続けるんだ。逃げてたら、ダメなんだ。」

 

直ぐに、笑みを浮かべた。

これに、答えなんてつまらない物は存在しない。

一人一人に考えがあり、全てが答え。

それでも俺は信じよう。

 

いつか、この夢が叶う事を。

 

 

「・・・良く言った。さて、じゃあ真には少し頑張って貰おうか。」

「何を?」

 

幻夢はそう言ったが早いが立ち上がり、体を伸ばした。

俺もつられるように立ち上がり、幻夢に尋ねる。

 

「そろそろ、自分の殻を破って貰おうと思ってね。・・・さあ、覚悟は良いかい?」

 

自分自身の殻を破る。

逃げて来た俺に、立ち向かう。

俺は立ち上がり、口を開く。

もう答えは決まっていた。

 

 

「うん。・・・いつでも大丈夫。」

「・・・・そうか。じゃあ、目を閉じて。」

 

俺は言われた通りに目を閉じ、静かに集中する。

 

「自分自身の中に入っていくように、ゆっくり、ゆっくり、右手を上げて・・・。そう。それで、扉を創るんだ。世界と自分を繋げる、扉を。」

 

右手を一回握り、段々と開いていく。

突如なり始める風切り音。

右手のすぐ先で何かが渦巻き、瞼の上から眩い光が目に焼き付く。

 

 

「・・・よし、目を開けて。」

 

その言葉を聞き、俺は目を開けた。

目の前には白い2m程の渦があり、中から白い光が溢れ出している。

 

「その中に飛び込めば、自分自身の世界だ。・・・さて、じゃあ行く前におまじないを懸けておこうかな。」

「おまじないーーー?」

 

俺が呟き、幻夢に振り返った瞬間。

 

赤と金の服が視界に入り、俺は幻夢に抱きしめられていた。

優しく、暖かく、安心する。

どこか懐かしい温もりは、焦り始めていた俺をゆっくりと落ち着かせてくれた。

 

すっと離れた幻夢は腰に手をあて、太陽の様に満面の笑みで告げる。

 

「真なら絶対に自分自身を乗り越えられる!・・・さあ、行っておいで!!」

「・・・行って、きます!」

 

俺は幻夢に背を向け、一歩踏み出した。

優しく背中が押される。幻夢の手の温もりが背中から体の芯まで伝わる。

 

 

・・・母さんって、こんな感じなのかな。

 

 

幼い頃に親を失った俺にとって、その思いを感じられたことは嬉しかった。

涙が滲んだ目元を服の端で拭い、更に一歩、踏み出す。

白い渦に片足を入れた瞬間、吸い込まれるようにして世界が回り始めた。

 

 

幻夢はいつまでも、笑って見送ってくれていた。

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