真「ね。あれ強いの?」
ラ「霊夢で言う夢想封印位の位置づけだから、それなりには。」
真「へー。爛漸苦とはいつ戦い始める?」
ラ「次回。」
真「早いな!」
ラ「スピード上げてくぜ!!では、どうぞ!」
「さあ、着きましたよ。」
「・・・ありがとうございます。」
「いえいえ。さ、行ってらっしゃい。頑張って下さいね!」
「はい。行ってきます。」
大きな門の前で、俺と文は互いに頭を下げた。
安心させるようにか、優しく文は微笑む。
もう一度頭を下げた俺は、重々しい鉄の扉を両手で押す。
鉄と鉄が擦れあう音、段々と見えて来る山頂までの道。
息を深く吐き、俺は目を閉じる。
そして、一歩踏み出した。
その一歩を踏み出しただけで、体に見えない重圧が圧し掛かる。
短くも長い山道を踏み締めながら、山頂に居る恩師に俺は声を掛けた。
「・・・こんにちは、幻夢。」
「ああ、来たかい真。」
赤と金が基調の服に、結んである長い黒髪。
女性の中でも高身長に入るであろう博麗幻夢は、赤い宝玉を背に立って居た。
「・・・その、話があるんだ。」
「よし、言ってみんしゃい。」
少しの沈黙の後、俺は切り出した。
幻夢は即答し、話を聞き始める。
「その・・・俺が何も出来なかったせいで、幻夢と陽炎があの箱に捕らわれる事になって、ごめんなさい。霊夢とかだったら、結果は違っていたと思う。・・・でも、もう一度だけで良い。幻夢の力を借りたい。もっと、皆の為に戦いたい。・・・霊夢達は、この無力な俺でもこの手を取ってくれたんだ。それに、応えたい。・・・人頼みしか出来ないけど、それでも俺は前に進みたい!・・・お願い、します。俺にもう一度チャンスを下さい!」
「ああ、良いよ。」
俺は拳を固く握りしめ、深く腰を曲げた。
理不尽で、自分勝手。蹴られても文句が言えないこの言動に、幻夢は直ぐに応じた。
「いや、弟子・・・というか、今まで一緒に歩んできた真の心からの頼みだ。断るという選択肢がまずないさ。それに、私と陽炎の魂が取られたのに付いて真が責任を感じる必要は無い。私たちが自分で選んで進んだ道さ。」
幻夢は軽く笑みを浮かべながら言い切る。
腰に手を当て自信満々に言う幻夢は、とても眩しかった。
雲と雲の切れ目から漏れ出る陽光をその身に浴びつつ、幻夢は続ける。
「それに、あんたは自分の信念だけでなく、”誰かの為に、誰かと手を繋ぐ”事を覚えたんだ。自分一人で戦うより、皆で共に歩んだ方が絶対に強い。支えあえる。隣を見れば、全てを打ち明けられる仲間が居る。・・・人は、それだけで自然と体が軽くなるもんさ。人頼み?上等だろう。それでしか前に進めない?何が恥ずかしいんだ?自分一人で完結できるほど、この世界は上手く出来ていない。全てが交差し、途切れてるんだ。」
山頂の真ん中に立って居た幻夢は、入り口に立っている俺へと手を伸ばした。
「それに、私があの程度で乗り掛かった舟を蹴るとでも?はは、泳いででも渡ってやるさ。・・・さあ真。皆と一緒に歩こうじゃないか。」
「・・・ありがとう。ありがとう、幻夢。」
「なあに、礼には及ばないさ。・・・さあ、一歩を踏み出すんだ。」
伸ばされた手を、俺は掴み取った。
風が、霊力が、命が。
全ての息吹が渦巻き、俺達を中心に回り始める。
暖かい力が、皆を守る為の力が光の奔流となって俺に流れ込んで来た。
胸の奥に熱い思いが燻り、解放される時を今か今かと待ち望んでいるのが手に取る様に分かる。
・・・やがて光は治まり、山頂を静寂が支配した。
『「さあ、行こう。」』
幻夢と、声が重なる。
静かに、でも強い思いを秘め。
俺は、口を開いた。
「バースト!!」
言葉は胸の奥に燻る思いを、一気に解放した。
青白い霊力が体を駆け抜けつつ、力を俺に与えていく。
懐かしくもありながら、頼もしい究極の力。
出力、8%。
俺は一歩で鉄の門まで辿り着き、片手で門を開けた。
「・・・凄い力です。成功したんですね?」
「はい。・・・もう大丈夫です。」
文は感心半分、驚き半分と言う表情で俺に語り掛けて来た。
そして、俺は気づく。
「・・・文、麓に妖力がいくつも見える。」
「なっ!?・・・まさか、百鬼夜行・・・!?」
「違うと思います。・・・多分、紫辺りが霊夢とかを潰そうとしたんでしょう。流石にあの数は霊夢達でもばてますし。」
「真さんは援軍を!私は直ぐに・・・!」
「いや、俺が行きます。」
「え?」
「・・・多分、あいつら心を持たない奴らにとって、俺の武器は最大限に性能を発揮します。」
文が飛び立とうとするのを止め、俺は膝を深く曲げた。
確信を持った言い方だったからか、文は一度神妙な顔をして。
「・・・分かりました、そこまで言うなら任せます!!」
「任せられました。」
直ぐに、里の方面に飛び立った。
それを確認し、俺は地面を蹴り砕く。
「心刀[天開・羅刹]!!」
地割れが起き、草木が網目状に散った。
それと同時に、虹色の光が右手に収束する。
金色の直刃を手にしながら、俺は全てを思い出した。
隔。霊夢。魔理沙。咲夜さん。レミリア様、フラン、パチュリー。美鈴さん、小悪魔。
妖夢、幽々子様。
爛漸苦、暁、紫。
幻夢、陽炎。
全ては繋がっている。交差している。
ーーー叶えたい夢はあるか?
ゴオオオ!!!!
胸の奥でその言葉を紡いだ瞬間、更に色を強くした虹色の光が羅刹に纏わりついた。
夢の結晶体、全ての心。
・・・全てを、夢幻のままで終わらすな。
全ては、いつかは現に。
全ては、いつかは夢に。
妖怪たちの群れ、それに相対している霊夢達。
「皆!伏せて!!」
俺の声を聴いた皆は、一斉に妖怪たちを吹き飛ばした後しゃがんだ。
そして、更に輝きを増す羅刹を、俺は全力で横に薙ぐ。
「---[現夢]!!!!」
新しいスペル。
神々しくも荒々しい斬撃は、太陽とも見間違えるほどに輝き。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
数十mの射程となった虹色の心の結晶体は、妖怪たちを全て灰に返した。