東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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ラ「覚醒きたあああ!!」
真「ふおっ!?まじで!?」
ラ「うん!詳しい描写は次回だね!」
真「ちくせうめ!」
ラ「では、どうぞ!」


第九章二十一話「オーバーレイ」

とある、人里の一角。

対して広くも無い道路では、黒い炎が無数の火柱となって飛び盛っていた。

ある時は静かに、ある時は荒々しく。

そして、数秒に一回聞こえる何かが打ち付けられ、斬られる音。

其の場に近づこうとするものは一人も居ない。

誰も、手出しができないのだから。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

片方は、黒い閃光となり素手で青年を蹴り壊し、殴り飛ばそうとしている。

片方は、暴れ狂う少年を片手で制している青年。

 

互いの拳がぶつかる度に衝撃波が街を、地面を砕き、嵐が通った後の様に地形を変えていく。

 

荒く肩で息をしている真に対し、爛漸苦は涼しい表情で頬を掻いた。

 

「あれー?・・・ここまで真さんって弱いですっけ?何か拍子抜けですね。ほら、早くかかって来て下さいよ。」

 

にこやかに、友人に話しかける様に爛漸苦は言い放つ。

誰が見ても、余裕である事は分かる。

この荒れ果てた通り、その中で彼のその様子は異質とだった。

 

しかし、その言葉は真に火を付ける事となる。

突如黒い霊力が静まり、少年が長く息を吐いた。

瞬間。

 

少年が、その場から消え去った。

何の痕跡も無く、幻の様にその姿を見えなくした真を見た爛漸苦は、小さく舌打ちをし、言い放つ。

 

「だからつまんねえっつてんだろ。雑魚なんだよ、そのまんまじゃよ!!」

 

混沌が不気味に輝き、魔力と混ざり合う。

紫紺に輝き始めた大鎌は、青年が振り上げると同時に周りの空間をも裂いた。

 

ドグッザアアアア!!!!!

 

確実な手応え、宙に舞い散る鮮血。

・・・そして、胸を切り裂かれ吹き飛ぶ真。

 

「はいはい、早く次の手考えてね。」

 

それを一瞥した爛漸苦は、まるで蚊を潰すかのように平然と真を蹴り飛ばした。

骨と骨がぶつかり、砕ける鈍い音、肉がぐちゃぐちゃに潰れる音を響かせながら、真は大きく地面を転がった。

数々の民家を壊しながら、ぶちぬきながら少年は意識を失う。

静寂が場を包む中、生々しい血痕が惨状を物語っていた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「・・・幻夢・・・?」

「ああ、そうさ。」

 

爛漸苦に吹き飛ばされ、気づけば俺は白い世界に居た。

目の前には幻夢が立っており、デコピンの構えをしている。

 

 

「何で・・・暴走してんだいっ!!」

「あでっ!!」

 

空気が渦巻き、指が霞むほどの速度で放たれたデコピンはパアンと中々に良い音を響かせ、俺を再び吹き飛ばす。

涙目になりながら幻夢を見上げると、幻夢は視線を合わせる様に地面に座った。

 

「・・・勝てないのは分かる。そして、いくら人形でも目が潰され、胃も握りつぶされて、怒るのは分かるさ。でもな、真。それで何であんたは直ぐに壊そうとするんだい?」

 

幻夢の、吐き出すような問いは俺に深く突き刺さる。

何も言い返せない俺に、幻夢は更に追い打ちをかけた。

 

「暴走することが、一番強いと思ってるのか!?」

 

黒い部分が暴走した時。

 

・・・俺は、誰かを助けられたか?敵を、倒すことが出来ていたか?

答えは否だ。

激情に任せて力を振るい、出来た事は何もない。

 

「あのなあ、霊夢とかは今忙しくて来れないよ?・・・でも、一番近くに私が居るじゃないか。」

 

「・・・でも、幻夢が出来るような事は、俺には出来ない・・・!」

 

 

 

 

「なら、借り物の力を自分の物にするんだ!!!」

 

 

絞り出すようにして呟いた声に、幻夢は叫び返す。

その眼は、強く未来を見据えていた。

 

「今のあんたが使っている霊力は、私が持つ能力。いわば、何もかも借りている状態なんだ。・・・でも、もしそれが自分の力に成ったら?戦いに置いて天性の才能を持つあんたが、例え少しだけでも初代博麗の巫女の力を使えたとしたら!?」

 

 

「答えは簡単だ!!!爛漸苦なんか、目じゃない位強くなれる!」

 

 

「・・・それでも。これは可能性だ。爛漸苦が更に強くなったら、互角くらいかもしれない。・・・でも、暴走するよりも。全てを投げ捨てるほど。」

 

幻夢は、強く言い切る。

 

 

「これは、脆くない。」

 

真っ暗闇に、一筋の光が差した気がした。

それは道しるべとなり、終わらない絶望からの抜け道・・・いや、希望に進む為の真っすぐな道と成る。

 

 

「・・・やるかい?真。」

「・・・やらせて、下さい。」

「もう、暴走はしない。守る為に、立ち上がれ。駆け出せ!」

 

幻夢は立ち上がり、青白い霊力をその身に纏う。

俺も立ち上がり、その幻夢の手を取った。

 

「・・・行くよ。私を、あんたで覆え。この大きな力を、あんたが重なり、自分自身をも超越するんだ。」

 

刹那、白く絶大な極光が白い世界を塗りつぶした。

そして、俺は自身の魂がふつふつと煮えたぎる熱い魂を包み込もうとしているのを感じ、それを更に進める。風が渦巻き、白、黒、赤の霊力が奔流となり吸い込まれていく。

 

恐らく、一時的だろうが。

 

・・・・俺と幻夢は一体化し、能力が二人の中で共有される。

借り物の力は今、希望を持って次の代に受け継がれ、その力を増幅させていく。

 

 

 

 

俺は。

 

皆を守る為に、壊す。

壊すために、護る。

全てに関わり、全てを拒絶する。

 

 

全ての矛盾が、一つに定まらなかった思いが、今。

 

ーーーー新たな力の、カギとなるーーーー!!!

 

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

 

右半身からは青白い霊力の、想いの焔が。

左半身からは漆黒の霊力の、想いの焔が。

 

燃え上がり、駆けあがり、世界の理さえも超越した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

幻夢は驚く。

少年が、自分自身の予想を軽く超え、更に上まで上り詰めた事に。

 

 

幻夢は、少年の矛盾した信念こそが暴走のカギとなると思っていた。

だから、邪魔だとも思っていた。

・・・でも、それは覆される。

その矛盾した信念、それこそが少年の希望。全ての、未来へのカギとなる。

幻夢の世界最大規模の霊力を、一部だけだが自分のものにし、更に己を重ねて強化した。

 

 

「・・・やっぱり。あんたと一緒に居て、良かったよ。」

 

 

それ程の力を持ちながら、彼はとても暖かい。

静かに目を閉じた幻夢は、拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は目を見開いた。

数十m先には爛漸苦が歩いており、着実にここに向かってきている。

胸の傷は深く、灼熱の焔に蝕まれているかの様な感覚だ。

でも、俺は立ち上がる。

 

さっきまでとは全然違う、暖かく力強い力。

幻夢の霊力と、自分自身の思いを重ねた最大の信念を。

 

今、解き放つーーーー!!

 

 

「オーバーレイ!!!!」

 

 

 

 

瞬間。

体を半分づつ分ける様に、守護と破壊の焔が燃え上がった。

爛漸苦は目を見張り、続いて顔を歪める。

 

 

天まで届いた二つの力は、幻想郷を揺らがした。

 

 

魂の中で、幻夢が焦ったように話し始める。

 

『真!オーバーレイは、確かに強力な力だ。・・・でも、これを維持するにはかなりの霊力を使う!・・・そしてね、あんたは霊力が常人よりも少ない。だから、使えるのは五分!多くて八分だ!良いね!』

 

「了解!!」

 

俺は威勢よく答え、鋭く息を吸った。

 

「取り敢えず、お返しな。」

 

そう呟いた俺は、破壊を纏った左腕を軽く突き出す。

 

 

・・・・その瞬間、直径3m程の高速で撃ちだされた漆黒の槍が轟音と共に衝撃波と風圧だけで民家を砂塵にし、爛漸苦を消し去った。

 

 




漆黒の槍は、直径3mの円が(軽いマスパ)ぎゅおーんって真っすぐ飛んで行ったイメージです。マッハギリギリくらいで。
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