ラ「ね。書いてて思った。」
天「はあ。・・・あ、どうも天子です」
ラ「夢幻魂歌の天子は天子じゃないよね。」
天「あんたが書いたんだろうが!」
ラ「まあ、今回は題名通り黄昏側の布石だよ。」
天「ふむ。・・・あれ?もしかして。」
ラ「夢幻魂歌のエネルギーは、×××のおかげで溜まってしまったんだ。」
天「うわあ・・・ラギアってえぐいよね。最後の方も。」
ラ「最後はもう少し詳しく描写したかったな。」
天「そんなに虐めて楽しい?」
ラ「んとね、絶対に不幸な結末にはさせないのが俺のモットーだから、確かに書いてる時は段々と黄昏をぶん殴りたくなるけど・・・その分、結末を書いてる時は楽しいかな。」
天「ふうん。・・・まあ、頑張って。最近つまんないよ。」
ラ「頑張ります!!」
天・・・天子(五章登場)
「・・・妖夢、咲夜は紫を相手しといて。魔理沙は私が相手する。真は西に走って頂戴。」
再びマスタースパークを打とうとしている魔理沙を牽制しながら、霊夢は静かに呟いた。
「霊夢。貴方に魔理沙を任せても大丈夫なの?」
しかし、唯一無二の親友を相手に霊夢は本気で戦えるのか。咲夜さんは静かに問う。余裕そうに紫が扇子をゆらめかせる中、霊夢は大きく息を吐いた。そして、きっぱりと宣言する。
「魔理沙は私に用があるみたいだったしね。・・・本気で行くに決まってるじゃない。」
突如、霊夢の雰囲気が一変する。
その気迫だけで低級妖怪を一掃しそうな程の圧倒的な迫力。震える事さえも許さない修羅の風格。霊力が竜巻の様に吹き荒れ、持っている札が大きく揺らめいた。
「・・・紫様。失礼致します。」
場の空気が固まる中、妖夢がぽつりと呟いた。
それを合図に、全てが動き出す。
咲夜と妖夢が紫を蹴り飛ばし、空中にその体を浮かせた。そこに繰り出される無数の白刃。閃く銀の刃は、前進は愚か抗う事さえも許さない。紫と言えども、少しばかり顔を顰めるほどに。
「そうね、場所を変えましょうか。ここでは私も霊夢にやられそうだしね。」
紫は指を弾きならし、同時に空間を裂いた。そこに自ら飛び込み、追いかける様に咲夜と妖夢も暗い暗い空間に身を投げ込む。
「バースト!」
俺も霊力を体に回し、境内を一瞬で走りぬける。
そして、長い長い階段の頂点から一気に跳躍した。
後ろでは虹色の砲撃が撃ちだされ、虹色の壁がそれを止めている。
どこか、嫌な予感を感じながらも俺は走る。
後ろで砕け散る、霊力を感じながらも。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「魔理沙、何が起きたのか説明してくれる?・・・少なくとも、前のあんたじゃあ私の結界をぶち壊せなかったと思うんだけど。」
「強くなっただけだよ。霊夢よりもな。」
「自我はあるみたいね。・・・じゃあ、その黒い腕の靄は?」
「呪力さ。皮肉なもんだなあ、倒したいと思ってる敵に倒したいと思ってる味方に対しての強さを貰ったんだからな。」
境内の、端っこ。圧倒的な魔力に吹き飛ばされた霊夢は木に背を預けながら、魔理沙に問いかける。
お祓い棒は遠くに弾き飛ばされ、お札は全て結界にした。
しかし、それすらも破られる事となったが。
簡単に言えば、今の霊夢にあるのは己の肉体のみ。
魔理沙は呪力と八卦路、数々のマジックアイテムを携えている。
通常なら、ここで魔理沙の方が有利だと思うだろう。勝つと思うだろう。
しかし、博麗の巫女はそれすらも覆す。
「・・・ああ、つまりあんたは敵に唆されたって事ね?何て言われたの?今なら博麗霊夢を一瞬で倒せます!使うのは呪力のみ!代償?そんなものありません!・・・って?」
よろよろと立ち上がりながら、霊夢は声を張り上げていく。
漆黒の流麗な髪は砂に汚れ、赤と白の巫女服もまた土に汚れていた。
・・・しかし、その眼はまだ輝いている。
「ふざけんじゃないわよ。その程度で私が倒せる訳ないのは・・・・!!」
「私自身と霧雨魔理沙!あんたが一番理解してんでしょうが!!」
瞬間、突風が吹き荒れた。
刹那の出来事。超高速で移動した霊夢はその拳を開き、霊力を全開にしながら掌底を放つ。
パアン!と空気が爆発する様な音と共に、風圧だけで魔理沙が吹き飛んだ。霊夢は当てずに、寸止めしただけ。それだけで人間が吹き飛ぶのだから、やはり霊夢は強いのだろう。
「・・・ごふっ・・・。ああ、そうさ!私も分かってるさ!でもな・・・そういうのに頼らなきゃ霊夢に届かないのも!私は分かってるんだよ!代償?あるに決まってんだろ!!」
「・・・私の、魂・・・ただそれだけだ!」
そして、魔力が撃ちだされた。
何の形も保たず、ただ魔力をぶつけただけの砲撃。
「こんの・・・馬鹿魔理沙あああああああああああ!!!」
それを、霊夢は拳で打ち砕いた。
鮮血が飛び散り、皮が捲れる。霊夢の顔が苦し気に歪むが、それでも霊夢は叫んだ。
「魂が代償?魂全部使いきって!魔理沙が魔理沙じゃなくなったら・・・私が困るでしょうが!!」
一歩、無防備に大きく踏み込む。
「最近少し会う機会が少なくなったわよね。・・・日に日に傷が多くなってるし?」
もう一歩、更に歩みだす。
魔力が再び放出されるが、霊夢はそれを片手で弾き飛ばした。
「私に追いつきたい?嫌味かしら、それ。」
そして、少女は心の内を叫んだ。
「私は・・・魔理沙に、追いつきたいのよ!」
もう、霊夢と魔理沙の距離は2m程だった。
この距離でマスタースパークを撃てば、霊夢と言えども確実に気絶までは持ち込むことが出来るだろう。
それでも、魔理沙は撃てなかった。いや、撃たなかった。
「・・・私より、霊夢の方が強いじゃないか。」
「何も、強さだけが全てじゃないでしょ。」
「でも・・・霊夢の方が、友達は居るし、皆に信頼されてるぜ?」
「魔理沙の方が顔が利くし、直ぐに仲良くなれるし、信頼されてるじゃない。」
「・・・屁理屈だぜ。」
「上等よ。」
霊夢は屈みこみ、魔理沙の右肩に左手を乗せた。
そして、静かに目を閉じる。
「干渉型永久封印・・・行くわよ?」
「・・・ああ。」
虹色の光が輝き、そして、二人を包み込む。
たった一時の、少女たちの思いのぶつけ合い。
お互いがお互いを目標とし、駆け上っていた。
魔理沙は、今自分のやった事が許されることだとは思って居ない。
そして、霊夢も許そうとはしない。
「馬鹿だな、お前は。」
「馬鹿ね、あんたは。」
それは、二人の絆となるから。
「・・・はは・・・いやあ、霧雨魔理沙は良くやってくれたなあ。おかげでかなり溜まったよ。」
黄昏は、魔理沙に呪力を植え付けた本人は愉快そうに呟いた。
「夢幻魂歌まで、本当に後少しだ。・・・さて、ここは・・・あいつでいっか。どうせ捨てるんだし。」
黄昏は、一人の少女を呼び寄せる。
赤いマフラーをたなびかせる、夜明けの少女を。
そして、その胸に手を突き刺した。
急な事に驚いているのか、少女は口から鮮血を噴き出したのみで動こうとはしない。
体内で何かを掴む様に、黄昏は拳を握りしめた。
引き抜けば、その手には煌々と光る白い白いーーーー
暁の、魂があった。
それを恍惚とした表情で眺めた黄昏は、体を跳ねさせ痛みにもがく
「うるせえな。下がってろよ。」
鬱憤を晴らすように、黄昏は更に暁を踏みつぶす。
血反吐が口から吐き出され、手が弱弱しく震えている。
今の暁に、感情は無い。
記憶も無い。
魂の消えた暁は、ただ生命活動を行う人形となった。
少年の事も、覚えていない。
明るさを取り戻し始めていた太陽は、再び夜に塗り潰された。