はい、えっと幻夢の生きている頃、彼女は半人半鬼の男の事遊んでいました。
半鬼。やっぱり、角生えてそうですよね。
では、どうぞ!
「はあ、何か妙に晴れてるなあ。」
店の外に出た青年は、木々の隙間から空を見上げ呟いた。真上には青い青い澄み切った空が広がり、白い雲が所々を隠している。最近あまり良くない天気が続いていたためか、やけに今日は気分が良かった。
「・・・もうそろそろ、話すべきかな?でもなあ、これで真君が前進を止めちゃうかもしれないんだよなあ。・・うーん、男心は分からない。あ、僕男だ。」
看板を外に立てかけ、青年は首を捻る。幻想郷のガラクタ達は全てここに集められ、いわゆる物好きや常連客に無償で取られていく。
「商売上がったりだよ。霊夢と魔理沙の所為で・・・。」
青年はため息を大きく吐きだし、再び空を見上げた。
彼の名は森近霖之助。
しがない商店の店長であり、若き博麗幻夢を知る男。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「魂を取られてる・・・!?」
「はい、その可能性が大きいです。」
博麗神社。
俺と霊夢と魔理沙と妖夢と咲夜が集まり、やはりちゃぶ台を囲んでいた。
「魔理沙の魂を取って、自分の部下の魂も取る・・・?許せないわね。」
霊夢がちゃぶ台を叩き、吐き捨てる。ここに居る皆が同じ気持ちで、誰も霊夢を責める様な事はしなかった。
「・・・でも、夢幻魂歌を発動させる前ならチャンスはあります。魂を溜めてある所をぶっ壊せば良いんです。」
「そうですね、それが一番でしょう。私もそろそろ斬りたくなってきました。」
俺が口を開くと、妖夢が刀に手を触れながら賛同する。
しかし、何に魂が溜めてあるのか。何処に、黄昏たちは居るのか。
誰も分からない今、俺達に出来る事は何一つ無い。
「それでも、今の俺達に出来る事はありません。・・・霊夢、少しだけオーバーレイの許可を。」
「良いわよ。・・・どうして?」
「試したいことがある。妖夢、相手してくれ。」
「はい。」
何時もの黒いスーツのまま、俺は境内に立ち妖夢と向かい合った。
彼女は居合の構えを崩さず、一瞬の隙を捉えようと神経を集中させている。
「始めっ!」
霊夢の鋭い声が飛ぶと同時に、俺は叫んだ。
「バースト!」
「ッ!?」
恐らく滅壊ノ星撃を警戒していたのであろう妖夢は、通常のバーストに少しばかり驚く。しかし経験の差か、直ぐに刀を抜刀し体制を整えた。
吹き荒れる霊力が木の葉を散らし、青白い閃光が青空に包みこまれる。
「オーバーレイ」
走りながら、俺は小さく呟いた。
刹那、体の半身からは黒い霊力が、半身からは白い霊力が燃え上がり始める。
そして、俺は呟いた。
待ち受ける現実を。
あの状況で動けなかった自分を。
考えられる最悪の結末を。
・・・拒絶しろ。
「守護ヲ拒絶二。黒キ力ハ破壊シ、赤キ力ハ拒絶スル。・・・オーバーレイ!!」
その詠唱が終わると同時に、右半身から赤い焔が大きく燃え上がる。
全てを拒絶し、跳ね返す。
過去に居た、自分さえも。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よし、話すか。」
霖之助は誰に話しかけるわけでも無く呟き、机の引き出しを開けた。
中に入っているのは一対の勾玉。
赤き勾玉と、青き勾玉。
「幻夢・・・もう君には、渡せなくなってしまったね。」
彼は立ち上がりながら、どこか懐かしむ様に呟いた。
勾玉をそっと握りしめ、彼は店を出る。
風に吹かれ、髪が舞い上がりーーー
彼の髪の間から、何かが折れたような跡が見えた。
・・・分かったかな?