次回に続きます!
・・・言えない、これでもまだ一部分しか過去の事話てないだなんてッ!!
「あ、どうしたんだぜ?こーりん。」
「ああ魔理沙、ちょっとした男と男の話し合いさ。」
「何言ってんだよ。私は女だぜ?」
「違う違う、魔理沙じゃ無くて真君さ。彼は?」
博麗神社の境内で、やっと階段を上り終えた霖之助とそれを出迎えた魔理沙は話していた。
鳥居に体重を預けながら、魔理沙は頬を掻く。
「あー。真なら今膝枕中だぜ。」
「なん・・・だと・・・!?」
「ちょっと妖夢との模擬戦で気絶してな。慌ててた妖夢に咲夜が膝枕してあげたら?と冗談を言ったら本当に妖夢が膝枕してな。今は少し休憩中だぜ。」
「うらやまけしからんっ!!」
「こーりん、わ、私がしてあげてもいいんだぜ?」
「別に良いです」
「酷く無いか!?」
やはり何の変哲も無く、この二人に流れるのは兄弟の様な茶番である。
風が吹き、魔理沙の長い金髪を揺らす。それと同時に、博麗神社の障子が勢いよく開かれ、二つの影が飛び出して来た。
「ごめんって!謝るから許して妖夢!」
「許しません!起き上がると同時にスカート捲るとかどうやったらできるんですか!?」
「知りません!存じませうおっ!許して!落ち着いてふあっ!?」
青白い軌跡を残しながら走る少年、天音真とそれを追いかける少女、魂魄妖夢である。
真が時々奇声を上げるのは妖夢の斬撃が掠っているからであり、決して彼に変な趣味は無い。
結構本気で逃げている真に対し、霖之助は苦笑しながら呼びかける。
「真君!少し話があるんだ!」
「話しですか?・・・あがっ」
しかし、呼び止められた事により妖夢の峰打ちが真の脳天にヒット。
再び彼は気絶し、霖之助はもう笑うしかなかった。
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意識が覚醒し、俺はまず目を開けた。
妖夢の斬撃により意識を失った俺は妖夢のスカートを不意に捲ってしまい逃走、霖之助さんの言葉に足を止めてしまい再び気絶・・・と言う所か。
視界には木で出来ている天井しか見えず、脳天がいまだに痛む。
頭をさすりながら上体を起こすと、目の前で霖之助さんが本を読んでいた。
「こんにちは、霖之助さん。」
「あ、起きたか。こんにちは、真君。」
取り敢えず挨拶すると、本から顔を上げた霖之助さんがやんわりと微笑む。
栞を本に差し込み、霖之助さんが口を開いた。
「突然悪いね。でも、これはそろそろ話しておくべきだと思ったんだ。」
「何をですか?」
「幻夢の過去さ。幻夢が自分自身の命を使って幻想郷を創ったことを、君は知っているかい?」
「はい、幻夢から教えて貰いました。」
「・・・え?」
「え?」
「嘘だろ!?幻夢が過去の事を話したのかい!?」
「え、ええ。」
「なんてこった・・・。」
「・・・?」
突然霖之助さんが慌てだし、最後に大きいため息を付いた。
「・・・なあ真君。もう少し、詳しく過去の事を聞いてみるつもりは無いか?」
「それは、どうして俺なんかに?」
「この話こそが、紫のやろうとしている事に繋がるんだ。」
「紫の・・・やろうとしている事・・・?」
「ああ。・・・それで、話を聞く気はあるかい?」
「お願いします。」
再度霖之助さんは尋ね、俺は即答する。
紫は、考えてみれば色々妙なところがあった。
この話を聞く事でそれらが解決するならば、聞くしかないだろう。
「・・・そうだね、あれは真夏の、良く晴れた日だったんだ。」
霖之助さんは障子を開け、空を見上げながら縁側に座る。
ぽつり、ぽつりと話されていくそれは。
・・・幻想郷が出来て、幻夢が死んだ日の事だった。
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「幻夢、ちょっといいかしら?」
「ん?どうしたんだい?」
早朝。
博麗幻夢は日課の如く岩を砕き、地面を蹴り砕いていた。
無論近所迷惑に成る為幻夢の独断では無く、新たな建造物を創る為に地面を削っているだけである。
これを一か月続け、最早幻夢もこれを楽しむ様になってきていた。
「・・・妖力、魔力の大規模封印を、今日行う事になったわ。」
「そっか。・・・随分と急だね。」
「寧ろ、私は遅いと思うわよ?七賢者の連中は頭が固くてね。」
「はは、紫もその七賢者じゃないか。」
「あら、忘れてましたわ?」
幻夢と紫はお互いに笑みを漏らし、赤くなって来た空を見上げる。
この世界には今、妖力と魔力、呪力と霊力がある。
一番少ないのが霊力で、まともに扱えるのは博麗幻夢のみ。
今日、人々を苦しめている妖力と魔力を全部封印する。今紫が言ったのはこういう事で、勿論だが軽い話では無い。だからこそ七賢者も悩み、幾夜も悩みやっと決めたのだろう。
青白い霊力を人差し指に集中させ、幻夢はそれでデコピンをする。
瞬間、爆発音と共に粉塵が巻き上がり、地面を数十m抉った。
「そっか。今日か。・・・逆らったら?」
「貴方を捕らえる。・・・何て事は出来ないから、こーりんを拷問する。」
「ああ、そりゃあ逃げれないな。ねえ紫。全てが全て、仲良く暮らす世界ってのは無理なのかな?」
「無理ね。同じ種族でも、同じ生き物でもどうしても力の優劣は生まれてしまう。かといってそれらを無理やり押し付ければ、独裁となり反乱が起きやすくなる。どちらにしろ長くは続かないわ。」
再びデコピンしながら、幻夢は静かに紫へ尋ねた。
扇子で口元を隠しながら紫は答え、轟音に身を竦ませる。
「・・・はは、所詮は夢幻か。全く、こんなに霊力を持ってても出来る事と出来ない事があるのか。」
「そうね。少し娘たちに厳しくして見るとかね。」
「それは出来ない!」
「断言するな!」
儚げに笑う幻夢と、それを茶化す紫。
いつも通りの日常で、霖之助や近辺の人々はここ一か月幻夢のデコピンの音で起きていた。
幻夢はいっつも無茶ばかりしてるけど、最後は笑って終わっている。
・・・だからこの日も、また皆で話せると思ったんだ。
「・・・幻夢を殺したのは、僕だ。醜い醜い、半人半鬼である森近霖之助だよ。」
霖之助は徐に呟き、眼鏡を押し上げる。
そして彼は再び過去を語りだす。
全てを失い、全てが始まったあの瞬間を。
幻夢は僕が殺したんだ。
霖之助の驚愕の言葉、明らかになるあの日の事。
彼女が夢幻だと笑った夢は、三人の少年少女の手によって現実となるのか?
それとも、それは叶わないか?
何も出来ない少年と、全てが出来る少女。
彼らが紡ぎだす、幻想とはーーーー
次回、第十章第十四話「夢幻魂歌」