東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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ラ「ああ・・・。ここまで来たか・・・。」
真「お疲れさん。さて?今日は吉報があるそうじゃないか。」
ラ「あ、そういえば・・・何と!調整平均?が出ました!」
真「評価者が五人になってくれたからだな。本当に有難うございます!」
ラ「おかげさまで総合評価が129ポイント!低いかもですが、本当に嬉しいです!」
真「どうか完結まで付き合って下さい!」
ラ「本当に有難うございました!そしてこれからも宜しくお願いします!」

真・ラ「「では、どうぞ!!」」


第十章最終話「明けない夜は無い」

八岐大蛇の牙が、一瞬だけ止まってしまった俺を貫こうと唾液を振り散らしながら眼前に迫る。音も無く放たれた一撃、大きく広げられた口。大の大人でさえ一飲みできそうな程の口内は、最早絶望しか与えなかった。

 

「纏・雷」

 

棒立ちの俺を救ったのは、雷を纏い雷撃の速さで地を駆け抜けた暁。

俺の右手を掴みながら彼女は一旦八岐大蛇から距離を取り、小太刀を抜刀した。

 

「・・・黄昏様が、動いた。多分、ここで真を殺すつもり・・・!」

「八岐大蛇か・・・、くっそ、厄介な相手を寄越してくれたな!」

 

桜ノ蕾は今手元に無く、八岐大蛇の下敷きとなっている。

恐らく折れてはいないだろうが、あの状態で取るのは不可能だ。

 

「霊大刀[鬼丸]」

 

残されたのは霊力の刃。

黒い破壊の奔流が渦を巻き、俺の右手に一本の巨大な刀を生成した。

八岐大蛇に生半可な攻撃は通用しない。一撃一撃を全力で叩き込まなければ、俺達は瞬く間に一掃される。

 

「月光ノ夜桜!!」

 

暁もそれを理解しているらしく、いきなり小太刀を逆手に構え声を張り上げた。

体の捻りを加えた黒き斬撃は空を切り裂きながら一瞬で大蛇との距離を詰め、一本の首を切り落とそうとするが、一瞬で放出された妖力の砲撃に成す術も無くかき消される。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

しかし、それは百も承知だった。

バーストをフルに使い俺は全力で跳躍。八岐大蛇の真上に飛び出した俺は、両手で構えた鬼丸を振り下ろそうと体を反らしつつ、赤い霊力を体に纏った。

 

再び妖力の砲撃が撃ちだされ、空気を飲み込む様な爆発音が鼓膜を震わせる。

 

「効かねえよ!!」

 

だが、拒絶を纏っている俺にとってそれは最大の反撃。

赤い霊力に当たった瞬間跳ね返された妖力は、八岐大蛇自身に大きなダメージを刻み込んだ。

次いで振り下ろされた鬼丸も、しっかりと八岐大蛇の首に食い込み、鮮血を撒き散らす。

 

反撃が来る前に俺は大きく飛び退り、暁と並んだ。

 

「どうする?このままじゃこっちの分が悪い。」

「・・・うーん。どうする?」

 

バチバチッ!と紫電を散らしながら暁は首を傾げ、眉を顰める。

動作自体は可愛いのだが、纏って居るものと血塗られた小太刀を持っているのがものすごく怖い。

 

・・・小太刀?

・・・雷?

 

・・・あ。

 

「なあ暁、少し強引だけどあいつ倒せるかも。」

「どうやって?」

「・・・取り敢えず、村正に雷を精一杯纏わせてくれ。」

「ん。」

 

鬼丸を宙に散らしながら暁に頼み、暁は直ぐに普段の数倍ほどの雷を村正に纏わせた。

 

「えっと、後は・・・。暁、村正を俺に渡したら直ぐに逃げて。」

「分かった。」

 

その言葉の直後に、暁は村正を俺に手渡し、直ぐに跳躍する。

ここからが正念場。そして、体を張るべき場所。

 

「よし。行くぞ!」

 

そう叫ぶが早いか、俺は妖力で生成されている雷に霊力を流し込みながら地面を蹴り砕いた。

 

散々身をもって体験したが、二つの異質の力が混ざり合おうとするとどちらも拒絶し、大きな力が生まれる代わりに制御が不能になる。

 

妖力+霊力。

 

刀が一度静まり、次の瞬間ーーー

 

 

バヂッ!!バヂバヂバリイイ!!!!

 

紫色の雷撃が、刀から周囲に放たれた。

 

勿論至近距離に居る俺にも当たり、少しだけ体が痺れる。

 

・・・それでも俺は足を止めず、体を回転させながら八岐大蛇の真上に飛び。

 

真っすぐに雷撃を纏った刀を突きさした。

 

一瞬で全ての紫電が八岐大蛇を焼き焦がし、痺れさせ、瀕死のダメージを与える。

俺の頬を一筋の雷撃が駆け抜け鮮血が頬を流れるが、それを無視して俺はよろめいた八岐大蛇の下へと潜り込み。

 

「切り裂けえええええええええええええええええええええ!!!!」

 

避雷針の応用。雷撃を全て吸収した白刃を、俺は全力で斬り上げた。

 

金属は、避雷針にも使われるように電気伝導が非常に高い。

最初に八岐大蛇にぶつけた雷撃はその下にあった金属、桜ノ蕾に吸収され、俺はそれで切り裂いたのだった。

 

絶大な雷撃を二度も喰らい、更には斬撃も喰らった。

 

俺と暁が立ち尽くす目の前で、八岐大蛇は灰になり空へ舞い上がっていく。

灰によって煙幕の様に視界が塞がれ、俺は目や口に入らない様に顔を腕で覆った。

ゴオオ…と風が吹き、灰をさらっていく。足元の焦げてしまった草を揺らし、俺達の肌を冷たく撫でていく。

 

眼を開ければ、丁度夕日が目の前にあった。

 

茜色の太陽と空に、夜の入りを感じさせる藍色の大空。

 

”黄昏”。

 

・・・これは夜の始まりであり、太陽が闇に呑まれる時間帯。

 

”暁”。

 

朝の始まりであり、太陽が闇を振り払って希望を照らし出す時間帯。

 

彼女は言った。

 

私は永遠に明ける事の無い夜なんだと。

 

明けない夜は無い。

 

例えそれがどんなに強く、深い闇であっても。

 

隣を見れば、一緒に希望を追い求めてくれている仲間が居る。

前を向けば、絶対に光は見える。

 

 

踏み出そう。

蹴りを付けにいこう。

 

 

俺はゆっくりと拳を握りしめ、長く息を吐いた。

いつの間にか暁も俺の横に立って居て、そちらを向くと彼女は優しく微笑む。

 

・・・希望と未来は、すぐ目の前に在る。

 

夕日を望みながら、俺と暁は瞬く間にそこから掻き消えた。

 

黄昏も紫も霖之助も幻夢も。

 

過去の因縁が今、紐解かれ。

 

運命の歯車は、いま少し動きを止めた。

 

待ち受けるのは絶望か希望か。

未来か過去か。

 

それは、誰にも分からない。




希望を、未来を掴むために彼らは走り出す。
同時期、別の所でも四人の少女が動き始めていた。

夢幻魂歌から、たった一人の少女から全てが始まった。

運命は複雑に交錯し、何処に向かっているかさえも分からない。

それでも、物語は遂に最終局面へ突入する。


ーーー次回、最終章。
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