最終章最終話
遂に黄昏との決着が着き、何もかもが終わる。
そして、始まりを迎える。
その拳はーーー
何を掴む?
最終章「未来へ」
堂々完結
「・・・フルム。夢、か。」
黄昏は小さく呟き、次に言葉を吐き捨てる。
「下らないっ!ただ弱者が手を組んだだけじゃないか。そうやって・・・時間稼ぎばっかりしてるな!!」
俺を強く睨んだ黄昏は、100%のオーバーレイを全力で使用しながら片足で地面を蹴り飛ばした。
網目状に亀裂が入り、風圧が俺の髪を巻き上げる。
強烈な風切り音が耳を刺し、拳が霊力と同時に握りしめられた。
超高速で俺との間合いを零に詰めた黄昏は、一撃で俺を殺そうと体を捻るがーーー
「・・・塵も積もれば山となる。弱者でも良いさ。だからこそ俺達は手を取り合うんだ」
放出された拳を片手で受け止め、俺は強い意志を瞳に表す。
左右からは様々な色の夢、希望。魂が俺の力となり燃え上がっている。
行き場の無い魂は、全て一つに固まった。
・・・負けられない。いや、負けない。
「たった一人では、全てを覆す事は出来ない!」
黄昏の拳を握りしめたまま、俺はその手に力を込める。
その瞬間、まるで豆腐を砕くかのように脆く、黄昏の手は潰された。
「ッ!?」
「滅壊ノ星撃」
眼を見開き、直ぐに距離を取ろうとした黄昏は無防備。
すかさず俺は内に秘める魂のエネルギーを放出し、右拳で黄昏を吹き飛ばした。
音も無く、奴は洞窟の岩肌に叩きつけられるーーーいや、音が感知できない程の轟音。
鼓膜が震えすぎて、聴覚が狂っているのだった。
「・・・幻夢とか。こーりんとかさ。博麗の巫女とか沢山の人が紡いできた歴史も、お前じゃあ覆せない。」
俺は其の場から動かずに、足から霊力を暁に送る。
”超絶回復”を持つ魂が自ら名乗りを上げ、綺麗な新緑色の輝きを放ちながら地中を駆けていく。
全ての魂、言わば能力が俺の体に眠っているのだ。
「ふざけるな・・・ふざけるな!!僕以外に、誰が出来る!?何も分かって無い小僧が、偉そうに口を聞くな!!!」
「誰も出来ねえよ」
叫び、砕けた右手を気にせず黄昏は大きく口を開いた。
投げかけられたのは乱暴な問い。俺はそれに即答し、一歩踏み出した。
それだけで地鳴りが重く響き、地面が一瞬で無数の欠片に砕け散る。
「過去を?歴史を覆す?変える?出来るわけねえだろ。」
右拳を強く、ただひたすらに強く握り、俺は声を張り上げた。
「俺達が、生きている物が変えられるのは・・・未来だけだ!!!」
洞窟内にその声は鳴り響き、黄昏はその顔を憤怒に歪める。
後ろでは暁が立ち上がり、俺の体の中ではふつふつと無限の魂が煮えたぎっていた。
「・・・この世の霊力を全て無くす程度の能力に変更」
しかし、黄昏は冷静に言葉を紡いだ。
突如俺の体から霊力が霧散し、無限の魂が俺の体に眠ったままになる。
今の俺は、ただの少年。
・・・未来を、変えれるだけの、ただの、少年ーーーーー
「大妖怪である僕と!下級な人間とでは私が勝ー
言葉が言い終わる前に。
体が勝手に動くままに、俺は走りだした。
遅い。バーストに慣れ切った体では、もう通常の走行速度はかなり遅く感じられる。
でも、同じ位の”強さ”が俺の体に秘められていた。
もう何も気負う事は無い。
全ては立ち上がり、過去ではなく未来を向いた。
絶望を、夜を吹き飛ばす。
「うオオオオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
一心不乱に叫びながら、俺は拳を振るった。
骨と骨がぶつかり、黄昏の顔が歪むと同時に鈍い音が響きーーーー
ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンン!!!!!!!!!
強く、強く、黄昏は頬骨を砕かれ宙に吹き飛ばされた。
ただの少年の、未来を変える事くらいしか出来ない小さな拳は。
今、確かに”夢”を掴んだ。