はい、ここで宣伝です。
第八章第八話「確実に成功する賭け」に伏線が一つ張ってあります。
是非読んでみて下さい!
真「残り二回!!読者様、最後までお付き合い頼むぜ!ではどうぞ!」
殴られ、派手に地面を転がった黄昏は動かなくなった。
それに伴い、俺の体にもう慣れて来た霊力が甦る。
「暁・・・体は?」
「大丈夫。さっきのお姉さんが、治してくれた」
「あの魂、女性だったかのか・・・良いなあ・・・」
「殴られるのと蹴られるのどっちが良い?」
「ドッチモイヤデス」
音も無く暁は俺に近寄ってきていて、もう体の方は大丈夫らしい。
そのまま地面に落ちている、砕け、柄しか残っていない小太刀を彼女は悲し気に鞘に納める。
それでもそれは一瞬で、次には黒く澄み切った瞳を宿していた。
「暁、下の霊夢達の手伝いに行ってくれ。怪我はしてないと思うけど、あの量だから。」
「分かった。・・・真は?」
「まだね、やる事があるんだ」
暁は一度頷き、首を傾げる。
それに俺は笑って返し、暁に桜ノ蕾を手渡した。
「村正が折れちゃったから・・・今はこれを使って。じゃあ、また後で。」
「うん。頑張って」
それを受け取り、暁は腰に桜ノ蕾を括り付ける。
もう一度頷いた彼女はそのまま身を投げ、霊夢の所へと落ちて行く。
その後満月を暫し見つめ、徐に俺は口を開いた。
「・・・紫か」
振り返り、俺は突然現れた八雲紫に視線を向ける。
やはり口元を扇子で隠している彼女は、何故か安心したような、優しい笑みをそっと浮かべた。
「こんばんは。・・・良い月ね。戦っているのがもったいないくらい。」
「そうだな。」
彼女はそう言うと、扇子をパチン、と閉じた。
目を閉じ、少しだけ物思いに耽る姿を俺は静かに見つめ、紫から口を開くのを待った。
「・・・そこで突っ立ってて良いの?倒すべき相手はここに居るのよ?」
数秒後、彼女は静かに呟いた。
しかし俺は首を振り、同じように返す。
「いいや、倒すべき奴はもう倒した。紫、あんたは確かに悪いかもしれない。・・・が、恐らくあんたは誰も殺していない。紫だけでは夢幻魂歌を使えない。でも、あんたしか幻夢を良く知らず、紫しか夢幻魂歌を発動出来ないんだ。それを利用したのは黄昏。勝手に魂を集め始めたんだろう。」
「・・・正解。何で、私が夢幻魂歌を使えないってわかったのかしら?」
紫は全てを見透かしたような瞳で、それでも敢えて聞こうと俺をじっと見つめた。
促されるまま、再び俺は口を開く。
「一回、霊夢の記憶を見たんだ。・・・その中で、紫は幸せそうに笑ってたんだ。心から楽しそうに。そんな奴が過去に戻ってみたいと思うか?俺はそう考えるとは思わない。」
「あら。それだけ?それが演技だったとしたら?」
「それは無いさ。・・・一つ質問だ。何で紫はスペルカードルールって言う、”人も妖怪も平等に”暮らせる、戦えるルールを創ったんだ?夢幻魂歌の発動には、莫大な魂が必要だ。ましてや」
「紫が持つ夢・・・未来へ進みたいと言う思いを否定し、夢を描く夢幻魂歌を発動できるほどの過去に戻りたいって言う思いが必要なんだから。妖怪に人間は対抗できない。普通のな?だから、スペルカードルールなんて創らなければ沢山過去に戻りたいって言う魂が手に入ったろ?」
幻想郷。
博麗幻夢が創りだし、数々の人々がその夢を受け継ぎ未来へと進んだ世界。
現実と同じところに在って、違う所に在る。
古代に隔離されたこの世界でも、夢は同じように紡がれていく。
「・・・ふふ、そこまで見透かされてたのね。そうよ。夢を映し出す夢幻魂歌を使えば、恐らく・・・いいえ、絶対に私の使う夢幻魂歌は未来へと繋げる技になる。それを理解したうえで、黄昏は私を使おうとしたんだもの。」
一瞬驚いたように目を見開き、紫は息を吐いた。
そして上を見上げ、崩れた天井の隙間から黒く大きい夜空を見上げ、そのままもう一度目を閉じる。
「でもね?私は、今更止まれない」
そして、静かに呟いた。
それは確固たる決意であり、鎖に繋がれていた心を解き放つ合図でもあり。
扇子がバッ!! と勢いよく開かれ、夢を再び取り戻した紫は鋭く言葉を放つ。
「さあ、天音真。・・・その拳で、未来を照らして見せなさい!!」
同時に賢者の持つ威圧感、絶大な妖力が波紋の様に広がる。
夜空に響いた声は、溶ける様に吸い込まれ。
長い長い夜を終える、合図となったーーーーー