東方夢幻魂歌 完結   作:ラギアz

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第五章第十一話「目覚め」

・・・・・しかし、いつまで経っても衝撃は来ない。

明らかに振り下ろされた拳。

鈍い音。

暴風と勘違いするような風が吹き荒れ、俺の体を撫でた。

眼を閉じていても、そのエネルギーはひしひしと伝わって来ていた。

俺はゆっくりと、眼を開く。

拳の、圧倒的エネルギーの残響。

そして、舞う鮮血、流れる青い、青い、髪。

”器”よりも小さい体は。

全力の拳を、その身に受けていた。

俺を、護る様に。

傷だらけの体を、気にもしない様に。

「・・・テン、シ・・・!?」

俺が声を漏らすと、天子が後ろに倒れ込んだ。

その体を支え、自身の膝に頭を乗せる。

 

「・・・気づいてた?真。貴方ね、」

 

 

「私を殴った時、霊力使って無かったんだよ?」

 

天子は嬉しそうに笑う。

こんな時に、こんな状況で。

「へへ、こんな時になんなんだけどね、嬉しかった。あんな風に言ってても、やっぱり、優しいんだなって。痛かったけどね。死には、しなかった!」

天子は俺の頬に手を触れ、微笑む。

 

「真も。・・・死なないで。私は・・・これ、くらい、しか。」

 

大きな紅い瞳から大粒の滴が零れる。

唇を噛みしめながら、その涙を手で拭う。

それでも、彼女は微笑む。

「出来ないからさ・・・!・・・ごめん。ごめんね。・・・頑張っ、て、ね?」

俺の頬に触れていた手が、地面に落ちる。

少し跳ねた手は、地面に触れた途端動かなくなる。

天子の眼が閉じられ、体から力が抜ける。

腕にかかる重みが強くなり、視界から色が無くなる。

白一色の世界。コマ送りのように過ぎゆく時は、非情にも戻る事は無い。

 

 

 

・・・ふざけんな。

 

頭の中、奥の方から”器”の声が聞こえる。

そんな。目覚めるはずは無い・・・!

 

・・・邪魔、なんだよ。

 

五月蝿い!お前より俺の方が強いじゃないか!

 

・・・人一人護れないのに、強いとか何もねえだろう。

返せ。返せよ。

 

俺は。俺は・・・・!

 

五月蝿い、ウルサイウルサイウルサイーーーーー

 

「ウウウウウウああああああああああああ!!!」

 

 

俺は、天音 真だーーーーーーーーーーーー!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

呑み込まれて、意識が消えた。

目覚めたのは、天子が俺の前に立ちはだかった時だった。

その間、何が起きたのかも。何をしたのかも覚えていない。

ただ一つ。 天子を俺が護れなかった。

これが、事実だ。

 

自分自身が、許せない。

 

俺の眼は、大空の様に。

一点の曇りも無く、ただただ蒼い。

燻る火種の様に、燃え上がろうとしている力、魂を。

俺は、解き放った。

「バーーーーーーストオオオオオオオオオ!!」

 

溢れ出た霊力が、蒼き焔の様に揺らめく。

出力、7%。

限界。

体から雷の様に、霊力が飛び散る。

それを感じながら、俺は姿勢を低くする。

そして、加速。

弾丸の様に気の懐に潜りこんだ俺は、右手をしならせる。

蒼い奔流が渦を巻き、右手を光らせ。

俺は、全力で振りぬいた。

「霊刀!![羅刹]!!」

柄20cm、刃が1mの蒼く光る両刃刀は軌跡を残しながら、気の腹を切り裂いた。

そのまま、俺は右腕に異常な量の霊力を流し始める。

溢れ出る霊力が更に大きく、更に揺らめき、右腕が閃光を放つ。

 

・・・・これで、終わらせる。

 

右の拳を気に当て、俺は激痛を無視しながら更に霊力を流した。

 

 

 

 

「スーパー、ノヴァァァァァァァ!!!!」

 

 

辺り一帯を白い光が包み込み、異常なエネルギーに気は目を見開いた。

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