ささ、第六章です!
ガンガン飛ばして行きまっしょい!
この章、かなりオリ設定が詰め込まれます。
魂魄家と西行寺家の過去を、作りました。
何でずっと近くに居るのか。
呪われた桜の呪縛を解き放つことは出来ないのか?
紫さんがカリスマァします。
かなりネタバレや・・・。
では、どうぞ!
第一話「焦燥」
居ない。
あの赤と金色の衣を纏った師匠、博麗 幻夢の姿が何処にも無い。
今まで、こんな事は無かった。
白い世界は存在する。
でも、ここは確か”幻夢の魂の居場所”だ。
死にかけた時、初めて干渉出来る世界。
自身の魂が、死者・・・つまり、前の能力者に最も近づいた時に入る事が出来る。
その魂、が無くなっている。
焦りと共に、得体のしれない悪寒が俺の背中を駆け抜けた。
一瞬で辺り一面が黒く染まり、それらは俺を侵食していく。
体を動かそうとしても動けない。
体が徐々に痙攣を起こしていき、ついに首まで黒く染まり始めた。
ドクンッ!!
心臓が高鳴り、景色は森へと戻った。
手は汗でぐっちょり濡れており、服が肌にくっついている。
荒く呼吸をしていると、濡れている背中を何の躊躇いも無く撫でてくれる手。
痙攣が治まり、呼吸が整うと同時に、その少女は話しかけてきた。
「だ、大丈夫ですか!?」
白の髪に蒼い目。
翠の浴衣を纏い、頭に黒いリボンのカチューシャを付けた少女。
顔を上げれば、魂魄 妖夢がそこに居た。
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「ほら、これどうぞ。」
妖夢が俺に手渡してきたのは、ラムネだった。
乾いた喉にこれはありがたい、俺は素直に受け取った。
一気に半分ほど飲み下した俺は、口を開いた。
「あ、ありがとう。助かった。」
「いいえ、お気になさらず。」
そう言った妖夢は、俺の座っている岩にちょこんと腰かけた。
二振りの剣を肩から外し岩に立てかける。
隣合わせになった妖夢は、また何か渡してきた。
「・・・食べます?」
「・・・頂きます。」
たこ焼きだった。
まだ火傷しそうな程熱く、開けると同時にソースの良い香りが辺りに広がる。
これもまた有り難く受け取った俺は、少しづつ食べ始めた。
「・・・・何か、あったんですか?」
俺が食べ終わるのを見計らってか、妖夢が急に話しかけてきた。
話すべきだろうか?
これは、俺一人の問題じゃないだろうか?
「拒否権、無しです。」
「酷くない!?」
悩んでいたところに、妖夢が終止符を打った。
俺はラムネで口を湿らせた後、ゆっくり話し始めた。
「これ、話して良い事か分かんないんだけどさ・・・。俺の中に、初代博麗の巫女が居たんだ。」
「初代!?・・・・・居た、という事は今は居ないんですか?」
「うん、今は居ないんだけど・・・。どうも、可笑しいんだ。初代博麗の巫女は、理由を説明しないでいきなり消えたんだ・・・。断言できる。初代はこんな事をする人じゃ無い。」
「理由が分からない、と。所で、どうやって初代が居なくなった、と分かったんですか?」
「強い能力には、先代所持者の魂が宿ってる、って聞いたことある?」
「はい、そこら辺は熟知してます。」
「じゃあ、細かい事は省くんだけど・・・自分の中に、その魂が宿る場所があるんだ。そこに行ってみたら、居なかった。」
俺がそこまで言うと、妖夢は少し考えた後話し始めた。
「少なくとも、ですけど。初代は・・・初代の魂は、生きてます。何故分かるのか、と言うとですね。まだ自身の中に魂の居場所があるって事は、その魂が存在しているのと同じ事なんですよ。魂が消えたら、そこは必要ありません。なので、無くなります。初代はどこかで生きていますし、まだ繋がりは切れていません。」
「え、じゃあ・・・。」
「はい、恐らく初代は何らかの、それこそ真さんにも言えないような事情があって一人で抜け出したのでしょう。大きな異変か、危険な戦闘か。」
妖夢は笑みを浮かべると、優しく話しかけてきてくれた。
「大丈夫です!・・・何て言って安心する真さんではないですよね。」
「うん・・・。早く、早く助けに行かなきゃ・・・!」
「でもですよ、真さん。魂、つまり能力が消えた貴方は、」
『普通の少年です。何も出来ません』
妖夢の言葉は、俺の胸を抉り取る様に突き刺さった。
やっぱり、自分は誰かの助けが無ければ何も出来ないのか?
前に進むことすら、ままならないのか?
拳を握りしめ、歯を食いしばる俺を妖夢はポス、と叩いた。
「前向きなのに折れるのが早いですね。まだ、策が無いとは言ってません。」
「・・・え?」
「簡単な事です!」
妖夢は立ち上がり、ビシイ!と人差し指を立てた。
「私が貴方に稽古をつけます!それで真さんが強くなれば良いんですよ!」
「・・・えええええ!?」
俺の声は森に響き、残っていたラムネを全て零してしまった。
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白玉楼の主は静かに目を細める。
まるで、全てを見通すかのように。
紫色の、鮮やかな蝶が主を取り囲むように舞い始める。
あたかも桜吹雪のように見えるそれらは、一斉に羽ばたいていく。
それを寂しげに見つめる主は、遥か昔の記憶に導かれてか。
西行寺、魂魄。
呪われし恋歌が、全てを色付ける。