真の剣術の師匠は妖夢・・・だと・・・!?
完全な善意です。
そして、自らの糧にしよう、三章での借りを返そうという思いも含まれております。
ふう・・・。
ラブコメ、幽々子様のカリスマ・・・(ボソッ
では、どうぞ!
「け、稽古!?」
「そうです!真さんは見た所剣術が扱えるようですし・・・。私も剣が使えるので、丁度良いかと。」
俺が少し慄くと、妖夢は得意げに胸を反らした。
少し俺が黙っていると、信用が無いのか?と妖夢は思ったようで、ある提案をしてきた。
「・・・むう。じゃあ、少し手合わせしてみますか?」
実を言うと俺も妖夢の強さが気になっていた。
いつも二つの剣を携えているこの少女の戦いを、俺はまだ見た事が無い。
ここは素直にやってみようと思った俺は、緊張してきた口を震わせながら動かした。
「お、お願いします・・・。」
「はい!じゃあどっちの剣を使いますか?」
妖夢は嬉しそうに頷くと、長剣と短剣を俺に差し出してきた。
桜の紋様が刻まれているその剣は、そちらもかなりの業物だと言う事が伺える。
その中で俺は、長剣の方を指さした。
「楼観剣ですね、分かりました。では私は此方の白楼剣を使います。」
楼観剣と呼ばれた長剣を、妖夢は俺に手渡す。
俺の手に渡った瞬間、余りの重さに慌てて両手で持つことになった。
刃が2m、柄が40cm程ありそうなその剣は、華やかな見た目とは裏腹にとてつもない重量、剣自体の殺気を俺の手に乗せる。両手で無ければ持つこともままならない長剣を妖夢はいとも簡単に片手で持って見せた。
「あ、すいませんが場所を変えませんか?ここでは思いっきり振れませんし・・・。」
確かに、辺りは木々に囲まれている。
この剣ならば木を一瞬で真っ二つにする事が出来そうだが、止めておこう。
「うん、変えよっか。」
俺と妖夢は立ち上がり、場所を変えた。
「ここは?」
「あ、良いですね。じゃあ、ここにしましょうか。」
俺と妖夢は地面に剣以外の荷物を置き、剣を腰に装備する。
荷物から数m離れた俺は、改めてその楼観剣を引き抜いた。
シャラン、と言う鈴を鳴らすような綺麗な音と共に、濃密な殺気が刃から溢れ出る。
重たい刀を両手で構え、俺はそのまま手から力を抜いた。
重心を下に置き、膝を軽く曲げる。
「準備は良いですね?」
「うん、大丈夫。」
俺の確認を取った妖夢は、白楼剣の柄に軽く触れる。
浴衣の裾を軽く捲った少女は、蒼い目を俺に向けた。
俺が息を深く吐くと同時に、少女は口を動かす。
「-----行きます。」
その一言が引き金となった。
礼儀正しい少女からは想像も出来ない程の殺気が、辺りを支配する。
一瞬でも気を抜けば潰される、それが冗談として笑えない程、妖夢は己を剣としていた。
しかし、これが序の口。
彼女はまだ、その刀を抜いていない。
鞘に収まった日本刀。
美しく、気高く。
厳かでありながらも、荒々しく。
今まで戦ってきた敵が、霞んで見える。
この時点で俺と妖夢の戦力差は一目瞭然だった。
抜かせない。
その刃を、一瞬たりとも闇夜に晒すな。
俺は恐怖を打ち消しながら、駆け出した。
「・・・ああっ!!」
大剣ではないが、重たい。
まともに振る事も適わないであろうその剣を、俺は体の捻りと体重移動だけで振る。
「中々良い判断ですが、」
妖夢はそこで言葉を斬り、斬撃の線上に自身の手を持っていく。
突如、楼観剣が停止する。
いや、停止させられる。
「威力が弱く、安定していません。このようなことも出来ますね。」
妖夢は、楼観剣を掴んで止めていた。
いくら力を入れてもぶれない。
このままでは終わらないと思ったのか、妖夢はパッと手を離した。
俺は急いで後ろに跳び退り、妖夢と距離を取る。
「さあ、本当の戦いでは考えてる時間はありません。ドンドン次の手を打ちましょう。」
威力・・・よし、なら・・!
俺は次に、体を限界まで捻る。
楼観剣を肩に担ぐようにした俺は、そのまま走り出した。
走る事により勢いが更に付き、重量と共に妖夢に襲い掛かる。
ガァン!!
と大きな音が周りに響き渡り、衝撃が俺の手を揺らした。
ゾク、と俺の背中に悪寒が走り抜ける。
体が段々と震えていき、上手く入らない。
「・・・まあ、さっきよりは良いですね。まだまだですが。」
白楼剣の恐ろしい程透き通った刃が、月光を反射する。
剥き出しになった殺意を、一点まで集中させたような。
心臓に刃が向けられているような錯覚が俺を襲い、一瞬で決着をつけた。
気づけば、白楼剣の白刃が俺の首筋に触れている。
「・・・参りました。」
「ん、よろしい。」
何故かご機嫌な妖夢はキン、と白楼剣を鞘に納めると、一礼。
「ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
俺も楼観剣を鞘に納め、頭を下げた。
妖夢が顔を上げると同時に、辺りを包んでいた緊張感、放たれていた殺気がすうっと消えた。
俺が肩で息をしているのに対し、妖夢はケロッとしている。
「いやー、最後のは結構良かったと思いますよ。ただでさえ楼観剣は重いのに、初めてであそこまで使えるとは!素晴らしいです!」
ニコニコしながら話す妖夢に、楼観剣を手渡す。
やはり片手で受け取った妖夢は、それを腰に装着した。
「さて、真さん。今の戦いを通じて、本当に強くなれると思ったのなら・・・。」
そう言うと妖夢は右手を差し出してくる。
「白玉楼に、来ませんか?」
呼吸も整った俺は、躊躇うことなく右手を差し出す。
妖夢の手を握った俺は、口を開いた。
「・・・宜しく、お願いします。」
月夜に照らされた草原。
涼しい風が吹き抜ける中、俺はついに冥界へと向かう。