陽『うん・・・。あそこまで堂々と告白するとは。』
咲「ま、まだチャンスはあるわよね(ボソッ」
真「まーいいかー。本人も気づいてそうだし。」
ラ「俺も真と隔のイチャイチャ何て書かないし。」
隔「私も好きな意人が居るし。」
一同「!?」
真「あ、あれ・・・幻聴かな」
真・・・真
陽・・・陽炎
咲・・・咲夜
ラ・・・炉利己ン
隔・・・???
「貸せ、陽炎!」
『ん、了解。』
地面がやっと近づき、後5m程と言う所で俺は霊力を使用し、着地した。
深夜か、辺りには月明かりしか道しるべは無い。
暗闇の中、俺は妖怪の山へ向かう。
残り6秒程度。
俺は両足を全力で伸ばし、大きく跳躍した。
兎の様に高く跳ねた体は、森の上に飛び出た。
そのまま地面に足を着くと同時に、霊力が切れる。
歩いてたら間に合わない。
そう思った俺は、生身のまま走り始めた。
しかし、俺の足は直ぐに止まった。
壊れた笛の様に音を出さない口を、強引に動かす。
「・・・なんで、咲夜さんが居るんですか?」
何とか途切れずに言えた事に安堵する暇も無く、俺は息を整えようとする。
こんな真っ暗でも目立つ、綺麗な赤い眼は俺を真っすぐに射抜いていた。
「なんでって・・・馬鹿ね、普通家族が無茶な事しようとしてたら止めるでしょう?」
「無理です、行きます。」
咲夜さんが懐中時計を取り出しながら首を傾げるが、俺はそれを無視して歩を進める。
今まで凄くお世話になったが、今日これだけは譲れなかった。
「ダメよ。行かせない。」
勿論、一筋縄ではいかない。
一瞬で距離を詰められた俺は、首筋にナイフを当てられる。
「貴方はこの状態から何か出来る?私が少し手を動かせば死ぬ状況で、何か出来るの?出来ないでしょう?いくら妖夢に稽古付けて貰ったからって、いくら能力を手に入れたからってやっぱり貴方は無力な少年。それがまた自分の命を投げ出そうとしているなら、私は真の敵になる。ここから先は行かせない。」
グ、と更に強く首に食い込んだナイフを俺は一瞥し、それでもまだ反論した。
「無理です、行かせてください。」
「無理よ、行かせないわ。」
俺は真っすぐに咲夜さんの眼を睨み、咲夜さんもまた睨み返してきた。
・・・やるしか、ないか?
俺は心の中で呟く。
『うん。まずはナイフの破壊、次に距離を取りな。』
・・・頼むぞ?
『使うのはあんただけどね・・・。行くよ?3,2,1』
俺の眼が陽炎と同じように赤く染まり、体からは抑えきれていない黒い霊力が煙の様に立ち昇った。
首に当たっているナイフを一瞬で塵に返した俺は、大きく後ろに跳び退った。
『ナイフが年を重ねて崩れる・・・以外の選択肢を無くしたか。まあ、簡単に崩れてくれて良かったね。』
うん、まったくだ。
俺が桜ノ蕾に手を当てると、咲夜さんは体を震わせ、叫んだ。
「どうして!?どうして真はいつも勝手に突っ走るの?自分より強い相手に、どうして突っ込んでいくの!?私だって助けて貰って嬉しかった。だからそこは何も言わない!でも・・・どうして、どうして±を考えないの!私達は、真が無事なら、無傷で一緒に過ごせてるなら問題ない!何も!でも、真が傷つくのは嫌だ!絶対に嫌だ!家族としても、十六夜 咲夜としても嫌なのよ!」
半分は、咲夜さんの我儘。
半分は、俺の所為だ。
はっきり言って、嬉しかった。
咲夜さんがそう思ってくれている事も、俺が反省すべき点も言ってくれた。
「±?なんですかそれ。俺はそんなの知りませんよ?」
だから、俺もぶつけよう。
真正面から対立しても、自分の思いを全て吐露しよう。
「確かに勝手に突っ走ってますし、迷惑を掛けてます・・・。反省もします。でも、後悔はしたことが無いです!自分が何も出来なかったから誰かが傷ついた?なら、なら何も出来ないままで終わるより何かやって終わった方が絶対に良い!んな事に、±なんて必要ない!俺だって、咲夜さんや美鈴、レミリア様やフランが傷つくのは嫌ですよ?でもそこで、本当にそれが起きたのならばーーーーー俺は、俺自身を恨むでしょう。」
咲夜さんが息を飲む。
俺もそこで一回切り、そして笑みを浮かべた。
「・・・俺は、隔を助けたい。この世界で可能性があるんだ。運命は、全てが繋がってるんだ。それに。」
深く息を吐いた俺は、空を見上げた。
「・・・好きな女の子一人しか護れないなんて、カッコ悪いじゃないですか。」
これは、全て俺の我儘。意地。
それでも大切な人は居て、護る理由がある。自身が傷つく理由がある。
俺にとっては、それだけで十分だ。
何もせずに逃げてんなら。
何かやって戦う方が良い。
俺の言葉を聞いた咲夜さんは驚いたように眼を見開き、そしてまた笑みを浮かべた。
「・・・そう、そうね。真は、馬鹿だからね・・・。」
「ちょ、酷くないですか!?」
軽口を交わし、お互い少し笑いあう。
一分が経った。
暗雲が月を隠し、完全な闇がその場を支配する。
そして両者は宣言する。
「通させて貰います。」
「通しません。」
咲夜さんが懐中時計を構え、そのボタンを押しーーーー
辺りに、不協和音が鳴り響いた。
「!!」
「!?」
俺は喜びに顔を綻ばせ、咲夜さんは苦虫を噛み潰したような表情になった。
「ぜー・・・ぜー・・・ま、間に合いましたね・・・。」
右手に長い長刀を握り、荒く呼吸をする少女。
急いで着替えたのが誰にでも分かるような乱れた服に、整ってはいるが少しぼさぼさの白髪。
妖夢が、立っていた。
「ぜー・・・悪いですけど・・・真さんは行かなきゃならないんですよ・・・ぜー・・・。」
「何も知らない奴が・・・偉そうに・・・っ!!」
咲夜さんが歯を噛みしめ、ナイフを構える。
それに対し楼観剣を下げたままの妖夢は、にやっと笑った。
「知ってますよ。・・・師匠ですからね!」
かなりの無茶だが、ここは素直に甘えておこう。
『行くぞ』
了解!
俺は妖怪の山の方に向かって、霊力を使いながら駆けていく。
「・・・で?妖夢。はっきり言って貴方に勝ち目はないけれど?」
「何言ってるんですか。咲夜さんが負けるのは明白ですよ?」
二人の少女は火花を散らし、同時に呟く。
「まあ、直ぐに分かる事だわ。愚かな半人前にーーーーー」
「まあ、直ぐに分かりますね。時を止め、逃げ続けている人間をーーーー」
「勝ち目は、無い!」
「斬れぬことなど、絶対に無い!」
今宵、二人の少女の白刃が交差した。
月が現れ、少女たちをスポットライトの様に照らしていく。