妖「はあ、容姿ですか・・・。うーん、平凡すぎて・・・。」
ラ「そんな事無いよ!可愛いよ!」
妖「いや・・・私なんて、そんな」
ラ「もっと自分に自信を持とうぜ!一応、一応メインヒロインだからさ!」
真「何故一応を二回行ったし」
ラ「大事な事なので二回言いました」
妖「認知度低くないですか!?」
隔「私の事を覚えてる人、居るのかな・・・。」
ラ「・・・悪寒が・・・」ガタガタガタ
青白い極光が世界を塗りつぶし、それ以外の色を無くす。
鼓膜が破けるかと思うほどの轟音、体が潰されると言う錯覚をも覚える衝撃。
全力の霊力の放出。
それを俺は、単なる推進力に使った。
左手を後ろに向けると、体が爆発的な加速感に襲われる。
世界が遅くなり、脳が高速で回り始めた。
霊夢の驚きの表情、すぐさま後退しようとするがーーーー
それよりも先に、俺の右手が霊夢を掴んだ。
「拒絶しろおおおおおおおおおおお!!!!」
赤い霊力が幾筋ものの奔流となって溢れ出し、霊夢の体を叩く。
苦し気に悶える彼女を包み込んだ霊力は突然燃え上がり、輝き始める。
そして流れ込んでくるのは、霊夢の記憶。魂。
幼い霊夢から今までの霊夢までの全てが俺に刻み込まれていく。
「・・・見せろ、記憶を。繋げ、未来に。魂の歌を紡げ、夢幻を叶えんとする為に・・・!!全ては未来!俺たちが掴む未来に在る!!!」
青白い霊力が急に蒼く揺らめきだし、宇宙の様な深みを持ち始める。
世界がノイズに包まれる。
紫は言った。”原点は過去にある”と。
俺は言った。”原点は未来にある”と。
どっちが正しいかなんてものは人によって変わる。
ただそれでも、自分自身の思いを貫こう。
俺がどうなろうが、どうでも良い。
ただ。
皆が、明日を望む事が出来るのならばーーーーーー!!!
「記憶ーーーー」
俺は叫ぶ。
大空が不規則な動きを始め、揺れ始め。
霊夢の眼が、見開かれた。
「[夢幻魂歌]!!!!」
ドクン!と心臓が高鳴り、霊夢の魂が神々しい輝きを放つ。
次の瞬間、俺たちは空の上に居た。
眼下に流れる雲。青く壮大な空。そして全てを照らす太陽。
霊力がドンドン吸い取られていく中、その空に小さな女の子が映った。
赤いリボンを付け、無邪気に笑う少女。
黒い帽子をかぶり、無邪気に笑う少女。
「霊夢と、魔理沙・・・。」
俺は呟く。
二人は全然変わらず、今もその面影を残していた。
霊夢と魔理沙は楽しそうに遊び、手を取り。
たまに喧嘩することもあるが、いつも仲良しだった。
それを見つめている二人の女性。
金色の長い髪を腰まで下げ、薄紫の日傘をさしている人と、今の霊夢と同じような巫女服を纏っている女性。
『紫ー、母さんー、魔理沙と遊んでくるね!』
『ふふ、気を付けなさいね。』
『うん!行ってきます!』
『行ってらっしゃい。』
霊夢が紫に駆け寄り、声を掛ける。
優しく答えた紫は霊夢を見送った後、隣に立って居る女性と微笑みあった。
「何だ。紫、あんたは・・・。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、目を覚ました。
寝っ転がったまま、現状を把握するために頭を回転させる。
・・・ここは・・・自分の中だろうか?勘だけれど。
「えっと・・・そーだ、紫の奴!何か変な術私に掛けやがったのよね!」
むきー!と怒鳴ってから、一度深呼吸。
落ち着いた所で、私は立ち上がった。
そして、気づく。
私は今、幻想郷に居て幻想郷に居ないと言う事を。
「・・・誰かの、魂か精神の中かしら?・・・でも、妙に暖かい。安心する・・・。」
懐かしい、と感じる度に、視界に何かが映り込む。
「・・・紫・・・・。母さん・・・!?魔理沙・・・・・」
そして、最後に映った赤いリボンを付けたーーーー
「わ・・・た、し・・・!?」
間違いない。
これは私の記憶だ。
そうだ、小さい頃魔理沙と裏山でよく遊んだ。
川でずぶ濡れに成ったり、山菜を採ったり。
昔の事が脳裏にフラッシュバックする度に、段々と映像が鮮明になっていく。
「あ・・・ああ・・・・そうだ、私は、私は・・・!!」
心の中で、”博麗霊夢”が燃え上がった。
自分の存在を主張するように。
そして、自身を押さえつけるものを振り払う様に。
強く目を閉じ、精神を統一させる。
パアア、と鈴が鳴るような音と共に赤と白の巫女服が装着され、手にはいつものお祓い棒。
右手に携えたお祓い棒を振ると、金色の軌跡が宙に描かれる。
「・・・これは・・・真、か。さーて、迷惑かけたし。」
真剣な時だろう。
本来ならば私は紫の術式によって恐らくだが操られ、博麗の巫女としての責務を。
・・・いや、私がやるべきことを成し遂げられなかっただろうから。
でも、敢えて私は笑った。
親友の様に。
「直ぐ帰りますか!」
宣言。
そして、私は一つの奥義を唱え始めた。
「八つの御霊を捧げよ。隔世から現世に移るべき魂よ・・・・」
霊力が体中から奔流となって飛び出し、自身の記憶の世界を砕き始める。
それは自身を操っている術式の破壊。
私は私の殻を破って、もう一度世界を望むっ!!
魔理沙に、会うんだーーーーー!!!!
「今その封を解き、太陽を現生させよっ![無想転生]!!!!」
唱えられた博麗の奥義は私の体を、魂を大きく煌めかせ。
私を、破壊した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「がっ・・・あああああああああああ!!」
「霊夢っ!?」
流れる記憶を眺めているうちに、急に霊夢が悶え始めた。
一瞬焦るが、それが霊夢の、己自身の戦いであると直ぐに気づいた。
今、操られている霊夢の体から。
本来の霊夢が持ち合わせる、暖かく優しい霊力が溢れ出しているからだ。
殻が、壊されていく。
本来の霊夢が、取り戻されていく。
夢幻魂歌はエネルギー不足だと、一時だけ魂で世界を塗りつぶす事しか出来ない。
ただ、それだけでも。
ただ一瞬だけでも、霊夢が自分を思い出してくれたら、霊夢は自分自身で操られているのを解くことが出来ると。
だから賭け。
”絶対に成功する賭け”だ。
バギィィッ!!
と、世界にひびが入る。
散っていく欠片は霊夢へと取り込まれていき、霊夢が落ち着きはじめーーーーー
パリイイイン……
と儚く綺麗に、そして大きく世界は砕け散った。