学園黙示録SCHOOL―LIVE! 作:楠葉遊鳥
時間としては数十分前からだろうか…私が篭っている部屋の近くで、人の話声がまた聞こえ始めたのは?多分さっきの生存者の声だと思う。
「よかった…生きてたんだ…」
ベッドに横になりそう呟くと目を閉じただ時間が過ぎるのを待とうとした時、走っている足音がこちらに近づいてきている。
「こっちに来てるの?…」
恐る恐るドアに耳を当てて見ると、確かに人が走る足音が聞こえていた。
(生きていればそれでいいの?)
あの子の言葉が頭をよぎる。あの子は安全なこの部屋から出ていってしまった。ここにいれば奴らに襲われる事は無い。ここには水や食料があり、外よりは安全である。しかしこの部屋にある水や食料や水が尽きれば餓死するのが落ちだ。いずれにせよ外にでなければいけなくなる。それにもう孤独には耐えられなくなってきている。
「私も…外に出れるかな…圭」
ドアの向こうにいる生存者に聞こえるような声を出すため息を吸った。
胡桃達と別れてから俺はリバーシティトロンのバックヤードを生存者を探し、走っていた。やはりバリケードが壊れた為かそれとも元から居たのか分からないが、奴らとの遭遇する事が多くなっている。リロードに時間がかかるためボウガンを肩に掛け代わりに警棒を取り出し縦に勢いよく振り、元の数倍に伸ばしゾンビの頭に叩きつける。
「やっぱり…いないのか…」
頭にめり込んだ警棒を引き抜き、やたら長い通路をまた走り出した。実際にいるか分からないが生存者を求めて走る自分が、段々あほらしく思えてきていた。命懸けでこんな所に来てもし何も無かったら無駄足になってしまうし、そもそも生きてここから出られる保証はないのだ。
「はぁ…折角可愛い彼女が出来たのに生きて帰れるかわからないなんて…本当ついてないなぁ…俺…帰ったら胡桃と結婚するんだ」
何気に死亡フラグを立ててみるが、何も起きることなくて胸をなでおろし走り続けた。
「誰かッ!!」
「ん!?…あっ」
人の声に反応し走るのを辞めると通路の多分奴らの血で汚れていた所で足を滑らせ後に転けてしまい、頭を打ち付けてしまった。
「イッテェ…死亡フラグ効果ってやつか?…まぁ死んでねぇけど」
「あ、あの大丈夫ですか?何か凄い音しましたけど…」
上半身だけ起こし鈍い痛みが走る後頭部を摩っていると、後に巡ヶ丘高校の制服を着た先の声の持ち主の少女が心配そうにドアを少し開け覗いていた。
「大丈夫…頭打っただけ…えっと君は見たところ2年生だよね?」
「はい、私は直樹美紀です…貴方は3年生ですよね?」
頭を打ち付けた事に心配してくれたのか、傍に来て手を差し伸べてきた。
「有難う…俺は祠堂士よろしく」
差し伸べられた手を掴み立ち上がり、軽い自己紹介を済ませた。
「美紀1人だけかい?」
「はい…私以外に誰もいません」
妹の圭では無かったが誰もいないよりはマシである。それに圭は死んでしまっていると言う事にようやく向き合える。隠れる場所や水や食料があるここにいないという事は、死んでしまったという事になってしまう。女の子1人でゾンビがそこらじゅうにいる世界で生きていける訳がないからだ。葛城凛の様に武器があるなら生き残れているかもしれないが、俺の妹はそんな知識や技術は持ち合わせていない。俺はもしここに居なければ圭を諦める事にしていたのだ。
「なぁ美紀、外に仲間を待たせているんだ…」
「え?生存者がまだいるんですか!?」
「あぁ、俺以外は女の子だからもし美紀が良ければ一緒にくるか?」
美紀は俯いてしまい数秒の間を開けると、覚悟を決めたらしく顔を上げた。
「はい!行きます」
2人目の生存者である直樹美紀を連れて奴らをを倒しながら、胡桃達が待つバスに向かった。