学園黙示録SCHOOL―LIVE! 作:楠葉遊鳥
リバティーシティトロンで二人目の生存者の直樹美紀と共に胡桃達と無事に合流でき、今はめぐねぇが運転するバスに揺られている。美紀は疲れたのか1番後ろの席で凛に膝枕されながら眠っている。俺と胡桃は右側の席に座り、美紀が持っていた生徒手帳の空白のページに書かれた日記を読んでいる。この日記からするとリバティーシティトロンには生存者達が何人もいて、そのうちの1人が奴らになり美紀ともう1人だけ生き残ったらしい。そしてその1人が祠堂圭だと言うことがわかった。
「なぁ士?この祠堂圭って…」
窓側の席に座る胡桃が俺の持つ生徒手帳をのぞき込んで、日記に出てくる俺と同じ苗字の少女が気になったようだ。
「圭は俺の妹だよ…まぁ義理だけどな」
「え?」
俺は胡桃に圭との関係を話した。
俺と圭が出会ったのは、俺が小学生3年生の時だ。母親を病気で亡くしてしまい男手ひとつで育ててくれた親父だったが、母親代わりになる人がいた方がいいという事になり再婚をしたのだった。相手の方も子持ちの為でしかも年下の女の子で一気に母親と妹ができたのだ。それが圭との出会いだった。しかし圭は親父どころか歳の近い俺にすら懐かなかった。それが気になり義母さん(母さん)に尋ねてみると、2人は前の旦那にDVを受けていて酒を飲むと暴行されていた様で、それが原因で離婚したが圭は義母さん以外の人とは親しくなったり話す事をしなくなってしまったのだと言われたのだ。
その話を聞いた親父はあんなに好きだった酒や煙草を辞めたのだった。俺も毎日話しかけていると、親父や俺を信用してくれたのか少しずつ会話が増えていったのだと、圭はも本当に祠堂家の人間に慣れたのだと思えた。
「そんな事があったのか…」
「まぁな」
当時はかなり大変だったが今となってはいい思い出になっている。そんな事を考えていると、無意識に生徒手帳を持つ右手に力が入っていた。
「士の大切な人に私もなりたいな…」
生徒手帳を握る手に胡桃はそっと手を添え、肩に頭を乗せてきた。
「もうなってるよ…胡桃は俺の大切な人だよ」
胡桃の願いに答えるように俺は肩に乗せられた頭に頬を付け、寄り添うような体制でそう答えた。
「ありがとう…凄く嬉しいよ…」
右手に添えられた胡桃の左手が何時も以上に暖かく感じ、大切な家族を失い心に空いた大きな穴は虚しく冷たく広がっている気がした。もう圭はいないのかもしれない。家族を失ってしまった悲しさに押しつぶされそうになるが、俺には帰る場所があり大切な仲間がいる。だから学校に着いたら心から言おう。
(ただいま)と。
漫画の2巻でリバティシティートロンの生存者の1人の酔っ払いに絡まれる美紀を助けたとき圭の「酔っ払いって初めて?」「まともに相手しちゃダメだよ」と酔っ払いの対応になれているセリフをみて、もしかしたら圭は酔った親に暴力を受けていたのでは?と言う勝手な妄想をしました。