学園黙示録SCHOOL―LIVE!   作:楠葉遊鳥

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続けての投稿になります。

2話目で胡桃と士の距離がグッと縮まります。




学園生活部

見回りを終えて学園生活部の部室に戻ると、そこには先客がいた。

「よぉ士、見回りどうだった?」

「早いな胡桃、問題なかったよ」

胡桃の前の椅子に腰掛け、腰に巻いたホルスターを机に置きボウガンを棚に掛けた。

「他の3人は?」

「りーさんは屋上にあの2人は…まだ来てない…」

「まぁ時期に来るか…それ乾パン?」

「あぁ食う?」

そう言い乾パンを1つ摘み差し出される。

「貰うよ」

摘まれた乾パンに顔を近づけ乾パンを直接食べる。

「うわ!?」

その行動に思わず手を引っ込めてしまった。

「ん?」

乾パンを食べながら何を驚いているのかわからないと言った顔で首を傾げている。

「ん?じゃねーよ!て、手で受け取ってから食えよ!」

何故だか鼓動が早くなっていくのを感じた。

「ごめんごめんでも」

「でも…何だよ?」

「美味しかったよ」

士の笑顔に何故か更に鼓動が早くなっていく。

(何で…士の笑顔に私はこんなにドキドキしてるんだ?)

「…るみ?くる…?」

「おわっ!?」

我に返ると目の前に士の顔がありオーバーリアクションな程に驚いてしまった。

「な、何だよおどかすなよ!」

「そんなつもりはないけど大丈夫?ぼーっとしてたよ?」

「だ、大丈夫だから顔を近づけるな!」

吐息が掛かってしまいそうな距離にある士の顔を手で押し返し、元の位置に戻した。

「そっか大丈夫ならいいんだ」

そう言いながら立ち上がりホルスターを腰に巻き、ボウガンを持ち学園生活部部室のドアを開けた。

「何処いくんだ?」

「屋上だよ胡桃はどうする?」

「ん〜私はあの2人を待ってるよ」

「分かった…なぁ胡桃?」

通路に少し出た所では足を止め、振り返らずそのまま胡桃と話す。

「今度は何だ?」

それから少しだけ間を開けて口を開いた。

「俺よりも先に死ぬなよ?」

それだけいい残し部室を後にした。

「な、何なんだよ彼奴は…」

顔から湯気でも出そうな程に顔が熱くなって行くのが感じる。

「やっぱりまだ先輩の事を…」

考えをリセットする様に頭を横に振り、再び乾パンを食べ始めた。

 

 

胡桃は同じ部活の先輩に思いを寄せていた。部活に入っていなかった俺は無人になった教室で、2人が楽しそうに話しているのをよく見かけた。俺も胡桃とはよく話すが先輩と話をしている胡桃の笑顔は、俺と話しながら笑った時のとは全く別物だった。彼に向けられる胡桃の笑顔を見ると、彼女は本当に幸せなのだと思った。そんな矢先だったゾンビウイルスのパンデミックにより全てが終わってしまった世界で俺は胡桃の好きな先輩を目の前で殺した。先輩が既にゾンビ化していて、胡桃を襲おうとしていたとしても殺した事には変わりはなかった。胡桃は大丈夫だと言って居るが、ショックは受けているのが解っていて、その時の憧れの先輩の無惨な姿を見ていた胡桃の目が表情がまだ脳裏にべっとりとこびりついている。そんな事を考えているといつの間にか屋上のドアの前に来き、ドアを開けると同じ学園生活部部長の若狭悠里こと、りーさんが土をいじっていた。

「あら士くん早いのね?それに胡桃達は?」

向こうもこちらに気付き首にかけられたタオルで汗を拭きながら、戦艦ランクの胸を揺らしながらこちらに近づいてきた。

「胡桃は由紀達と来るって何か手伝う事はあるかな?」

「ありがとう手伝って欲しい事は有るけど皆が揃ってからにするわ」

「ん、分かった」

多分それは無意識にだったかもしれない、知らず知らずに屋上のあの場所を見ていた。

「まだ…あの事を気にしているの?」

「え?」

「私で良ければ話聞くわよ?」

こちらの顔をのぞき込む様な体制で真剣な表情で見つめられ、思わず後ずさりをしてしまった。

「な、何の事だ?」

じー。

「何の…こと?」

じー。

「なんの…」

じぃー。

「うッ…」

無言の威圧感にこの人からは絶対に逃げられないと察し、胡桃の事を相談してみることにした。

「分かった話すから…」

「話してくれるのね!私嬉しいわ」

「半ば無理やり話させてるんじゃないか」

「何か言ったからかしら?」

彼女は笑っているが彼女から出ているのはオーラ?いや出ているのは殺気に違いなく、それが

「余計なことは言うな」と言わんばかりに漂っている。

「いえ…何でもないです」

「よろしいじゃあ座って話しましょう」

そう言いレンガでできた花壇に腰を下ろすりーさんの隣に渋々腰をかけた。

「やっぱり悩みって胡桃の好きだった先輩を殺めた事?」

頭を掻きむしり流石に誤魔化す気になれず、ありのまま正直に答える事にした。

「あぁそうだよ…あの時の胡桃の顔が頭から離れないんだよ…悲しみに満ちた彼奴の顔が…」

「…確かに貴方は胡桃の大切な人を殺めてしまったわ」

慰めるでもなく優しい言葉を掛けるでもなく、りーさんの口から出たのは自分が犯した罪だった。

「でもね士くん…貴方がああしなければ胡桃は先輩と同じになって私達の誰かが殺らなければならなかったのよ?」

「それはそうだが…」

「それに胡桃心配してたわよ?士の奴がまだ先輩の事を気にしているんじゃないかって、もし気にしてるなら私は士の御陰で助かったんだから気にする必要はないって」

この件で誰よりも悲しんでいる胡桃が俺よりも早く立ち直れていた事と、先輩の件で悩んでいたことを知っている事に驚いた。

「それでも俺は…」

「胡桃が気にする必要ないって言っているならいいんじゃないかしら?でもね胡桃も女の子だし今は胡桃を守ってくれる先輩はいないのよ…だから」

「俺が先輩の代わりになって…胡桃を守る…と?」

りーさんは優しい笑顔で何も言わず首を縦に振った。意外に簡単に答えが出せたのはりーさんに相談に乗ってもらった御陰でだ。

「ありがとうりーさん!何かスッキリしたよ」

「フフッどういたしまして」

「相談ついでに1ついいかな?」

りーさんは少しだけ驚いた表情を見せたが、一瞬で笑顔に戻りまた首を縦に振った。

「えぇ、いいわよ」

「最近胡桃と一緒に居たり話をしていると何かこの辺が苦しいつかギューッてなるんだよ、鼓動も早くなるし」

胸の真ん中辺りに指を指しりーさんに尋ねると、更にりーさんの笑顔が増しているのが分かった。

「そうねぇ、だったら胡桃本人に聞いて見るといいわ、そろそろ来るはずよ?」

入口の方を見つめていると、賑やかな会話が聞こえ始めた。

「りーさん何で分かった?」

「フフッ、女の感かしら?」

何だろ…りーさんが言うとヤケに説得力がある。ドアが開く音が聞こえ胡桃を含め2人の学園生活部が屋上に着き部員が揃った。

「あっ!りーさんにつっくんだ!やふう!!」

頭に突起物2本が生えた帽子を被った丈槍由紀が、こちらを見つけると飛んできて、りーさんと俺で受け止めた。

「おっと、来たないい子にしてたか元気娘?」

「ゆきちゃんいい子にしてた?」

「またまたぁ2人していい子て子供じゃないんだから〜」

「聞いてよ2人共、こいつさー」

「あっ言っちゃダメ」

「今日授業が終わったら帰りそうになったって」

続いて入ってきた胡桃が何かを言うとすると、それを慌てて辞めさせようとした由紀だったが虚しく胡桃に言われてしまった。

「え?そうなの?」

「もう、本当に危なかったんだからね」

「あっめぐねぇさっきぶりー」

最後に入ってきたのはめぐねぇ事我らが学園生活部顧問佐倉慈先生だ。

『めぐねぇこんにちは』

「もう、めぐねぇじゃなくて佐倉先生でしょ?でも今はめぐねぇでいいけど…」

「もう帰ろうとしちゃダメよゆきちゃん?」

由紀のおでこを人差し指で軽く弾く。

「いたっ、副部長副部長〜」

「ん?」

学園生活部は顧問が佐倉慧先生で部長が若狭悠里、副部長が俺祠堂士で無所属に恵飛須沢胡桃と丈槍由紀がはいる。

「ぶ、部長が暴力を〜助けて〜」

「由紀の奴次に権力持ってる士の所に行きやがった!!」

「さ、流石由紀さんね」

呆れる胡桃とめぐねぇをよそに、由紀は俺に助けを求めてきた。

「よしよし〜痛かったねでも大丈夫!」

ビシッと右手をだしデコピンの構えを取ると、由紀がゆっくりと後ずさりをした。

「な、何が大丈夫!?」

「ん?俺のデコピンは6cm程のベニヤ板なら割れるから大丈夫って事」

「う、うっそだぁそんな生物はいないよ〜」

「フッフッフッ、シャコと言う甲殻類の仲間は触腕で貝の殻を割って餌にするんだ、そしてその触腕から繰り出されるパンチの威力は22口径の銃と同じ威力を持つんだ」

「じ、銃…」

ゴクリと生唾を飲み、また数歩後ろに下がった。

「ハイハイ無駄口叩いてないで園芸部のお手伝い終わらせましょう」

りーさんが手をパンパンと叩き話を区切り、ここに来た目的を実行する事にした。

『はーい』

「アイアイサー」

りーさんの支持によりそれぞれの持ち場に着き、作業に入った。りーさんは大きく伸びた苗を棒に括り付け、胡桃は土を耕し由紀はめぐねぇと2人で水の入ったバケツを運び、当の俺は力仕事専門だ。

「士くん此処に腐葉土を持ってきてくれないかしら?」

「了解」

腐葉土の入った袋を3つ殆ど持ち上げ、りーさんのそばに運んだ。

「よっこいしょ」

「ありがとう」

「士〜耕した場所に肥やし蒔いてくれ」

「ほーい」

胡桃が耕した場所に肥やしを蒔き、それを胡桃が混ぜていく。

「こんなもんかな?サンキュー士」

「いえいえ」

「祠堂さんこっちもいいかしら?」

「ん?」

めぐねぇに呼ばれ振り返ると、由紀が何故かダウンしていた。

「えっと…どう言う状況で?」

「見ての通り疲れてダウン中なの…これ重くて1人じゃ到底運べないから手を貸してくれないかしら?」

「1人で持ってぐからいいよ」

水の入った大きなバケツを持ち上げ、指定の場所まで歩き出す。

「いいの?重くない?」

「大丈夫だよ、それにバケツを2人で持ったらめぐねぇ非力だからバケツが斜めって水掛かりそうだし」

「私…非力…役立たず…ショボーン…」

明るかっためぐねぇの表情が一変し曇り顔になり、屋上の隅っこで体育座りしながら落ち込んでしまった。

「あっめ、めぐねぇが凄く落ち込んてる!?つっくん早く謝って!」

「え?あ、あぁすまんめぐねぇバケツが斜めってめぐねぇが濡れたら大変だから俺が持った訳で、決してめぐねぇが役立たずって意味じゃないんだ」

すると先程まで落ち込んでいためぐねぇがゆっくりとこっちに振り返り、じーっとこっちを見つめてきた。

「もう一押しだよ!つっくん!」

「お、おう分かった」

ヒソヒソと由紀に耳打ちされめぐねぇが復活出来る様に煽てる言葉を探し浮かんだ言葉を伝えるため、めぐねぇに近づき手を取った。

「し、祠堂さん?」

「それに、重いものを持って慈の綺麗な手に怪我させたくないから代わりに俺が持ったんだよ」

(ちゃっかりめぐねぇの事呼び捨てにしてたし…)

(金髪にピアス開けてるから今の士くんはめぐねぇを口説いてるホストにしか見えないわ)

「慧は全然役立たずなんかじゃないよ?だから園芸部の手伝いを一緒に頑張ろ」

両手でめぐねぇの手を優しく包み込むように握った。

「祠堂さん…ありがとう私頑張る!」

立ち直っためぐねぇは、テキパキと動き園芸部の仕事を片付けて言った。

「わーいめぐねぇが治った!」

「あんなんでいいねかよめぐねぇ…」

「士くん…恐ろしい子」

何だかんだで園芸部の手伝いも終わりが近づいて来たが、何かに気づいた由紀が校庭に向かい手を降り出した。

「おー野球部がんばってるのう、おーい」

そんな由紀を見かねてか胡桃がゆっくりと背後に近づき、由紀の顔のすぐ側でシャベルを突いた。

「サボってんじゃ…ねぇ!」

「ちょっシャベルは反則反則」

「峰打ちじゃ」

冷や汗を掻きながら不意打ちを避けた由紀が、両手を突き出し思いっきり降るが胡桃はドヤ顔でまたシャベルを構える。

「もーそれなら…これだよ!」

近くにあった水の入ったバケツを取り、胡桃目掛け水をかける。

「うわっ」

胡桃を狙った水は全てとは言えないが半分以上を避け、反撃と言わんばかりに胡桃も水の入ったバケツを手にし由紀目掛け水を蒔いた。

『二人ともーお手伝いはー?』

胡桃と由紀の水の掛け合う激しい攻防戦の中園芸部の手伝い真面目にしている、りーさんとめぐねぇと俺で二人に問いかけるが全く聞く耳を持たれなかった。

「しょうがない…もう少しだし俺達で終わらせようか…」

「そうね…」

「全く…由紀さんたら」

それから数分後ようやく園芸部の手伝いを終わらせると、激しい水の掛け合いも終了していた。勿論勝者は恵飛須沢胡桃だ。

「うー濡れちゃった…」

「そりゃーあんなけ水掛けられれば濡れるわな…」

「りーさん胡桃ちゃんがひどいんだよ」

「ちょっ先にやってきたのおまえだろ!」

「へぶしっ」

苦笑いをしながらりーさんがタオルで濡れた由紀を吹いていると、由紀が俺に向かって大きなくしゃみを1つ。

「…士くんハンカチ使って」

「サンキューめぐねぇ、うぅ…びしょ濡れだな…風引く前に着替えてこいよ元気娘」

顔に着いた投擲物をめぐねぇから借りたハンカチでぬぐいながら、言うと由紀は走って教室に向かった。

「あっ、由紀ちゃんまってー」

それに続いてめぐねぇも後をおった。

「ほら胡桃も濡れてるから…」

「私は大丈夫だ、すぐ乾く」

「じゃあ乾くまでこれ着てろ」

自分の着ているパーカーを胡桃に着せるが、なにぶん身長差があるためパーカーの下は履いてない状態になっている。

「わ、私は大丈夫だって…ん?うわ!!」

胡桃は何かに気づいたらしく自分の胸を見ると、思わずパーカーのファスナーを閉めた。

先程の水の掛け合いで濡れてしまったらしく、下着が透けてしまっていた。

「わ、私だって女の子なんだぞ!」

「知ってるよ」

顔を真っ赤にしている胡桃の頭に手を起き軽く撫でてやる。

「うぅ…パーカーサンキューな」

「風邪引くなよ」(水色とはなんとも胡桃らしいな)

「あのーお二人さん?私先に戻ってるわ」

りーさんの言葉で吾に返り、慌てて胡桃の頭からてをはなした。その時胡桃は少しだけ悲しそうな顔をしていたきがする。

「ご、ごめんりーさん私も行くよ」

「あ、俺」

「そう言えば士くん胡桃に用があるって言っていたわね」

「へ?」

りーさんの言葉に思わず驚いてしまった。

「ん?そうなのか士」

「そうよね?」

胡桃に用事つまりそれはさっきの事を聞けと言う意味だ

「あ、そう胡桃に聞きたいことがあるんだ」

「私先に戻ってるわ」

屋上でりーさんと別れ、手すりに寄りかかりながら胡桃にあの事を話した。胡桃といるとドキドキしたり胸が苦しくなり鼓動も早くなる事を伝えると、胡桃はまた顔を真っ赤にした。

「あ、あのな士?」

「胡桃?」

隣にいる胡桃の右手が俺の右手を握ってきた。

「わ、私も…士と同じだ…」

胡桃と目があってしまったが、お互いに逸らそうとはしなかった。それどころかお互い顔を近づき合い、唇と唇が重なりあっていた。




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