学園黙示録SCHOOL―LIVE! 作:楠葉遊鳥
購買部で各々必要な物資の調達を完了した俺達は、第2の目的地である図書室にきている。
「く暗いね電気つかないかな?」
相変わらずリーさんにくっついている由紀が歩く事に割れた窓ガラスを踏み更に割れ、その音が暗い図書室に響き不気味さをましている。
「そしたら肝試しじゃないでしょ??」
俺の後ろを歩くリーさんは全く怖がっていないようだが、実際は俺のパーカーの裾を握っている事は秘密にしておく。
「俺は入口を見張ってるわ」
「あ、私も士と見張る!」
「わかったわ」
「それじゃあ祠堂さん恵飛須沢さんよろしくね」
図書室の奥に向かっていく3人を見送り、見えなくなったのを確認し口を開いた。
「胡桃もこう言うの苦手だったな」
小さく笑い昼間由紀が肝試しの話を持ちかけた時の事を、思いだしていた。
「うッ五月蝿いなぁ…私だって女の子何だから怖いに決まってるだろ…」
雲に隠れていた月が出てきて優しい光が胡桃の顔を照らし始めると、顔を赤く染めそれを隠すように俺の胸に顔を埋めてきた。
「そうだね…胡桃は女の子何だから怖いのは当たり前だね」
普段は強気にふるまっている胡桃だが実際は皆と同じ女の子であり、幽霊にも怖がったりするのが当たり前だ。
胡桃は強い女の子じゃない、もし何かあったら俺が命に変えても守ろうと決意していた。俺の胸に顔を埋めている胡桃の頭を撫で、強くそして優しく抱きしめた。
入口の見張りのため2人と別れ、隊列の先頭をめぐねぇが歩く事になった。
(2人がいない今顧問の私がしっかりしなきゃ…でも何時も2人に汚れ役をやらせてしまってるわね…)
奴らとの戦闘は何時も士と胡桃にまかせてしまっている。顧問である自分が本当ならやらなければいけないが、自らの非力さを1番良く知っているのも自分だ。
(はぁ…士くんも胡桃ちゃんも凄いわね…それに比べて私は何もかも中途半端だし…マニュアルの件だって士くんに共犯者になって貰っちゃったし…)
「あれ…私って士くんに頼りすぎてる!?」
彼は優しいからついつい頼ってしまいがちになっているが、私は彼に何もしてあげていない事に気づいてしまった。
(私…情けないわ…これじゃあ胡桃ちゃんに勝てないわね…せめて2人がいない今!私が由紀ちゃん達を引っ張っていかないと!)
まずは自分が今出来ること見つけ顧問として部員である2人を安全に肝試しを成功できるように、後ろにいる由紀ちゃんと悠里ちゃんに指示をするため振り返る。
「いい?2人共!士くん達が…ってあれ?」
後ろにいたはずの2人が何時の間にか消えていた。
「え?え?いきなりトラブル発生!?」
行方しれずになった2人を探すべく図書室を走り回った。
「リーさんは何の本をもってくの?」
難しい本が立ち並ぶ本棚を眺めているリーさんに、恐る恐るたずねてみる。
「教科書と問題集と…」
「うっ…リーさん勉強好きだもんね」
「いいえこれは由紀ちゃんの分よ?」
「あうーわ私も本探してくるー」
「あ、由紀ちゃんまって!」
動物的本能でリーさんから出てくるオーラを悟ったのか、漫画の置いてある本棚に[1人]で行ってしまった。
「リーさんどうした?」
大きな声が聞こえたため見張りを胡桃に任せその場所に行ってみると、リーさんが深刻な表情をして佇んでいた。
「士くん!!由紀ちゃんが…」
「うぅ…由紀ちゃん達どこ行っちゃったのかしら…あれ?」
未だに暗い図書室で1人さ迷っていると見覚えのあるシルエットが、本棚の前に立っているのが目にはいった。
「あっ由紀ちゃん!!やっとみつけた…」
「あっめぐねぇいたんだ?」
「そ、存在忘れられてたの…」
「エヘヘごめんなさい…ん?」
「どうしたの由紀ちゃ…ん、!!」
何かに気づいたらしく彼女が見つめている方をみると、それは死臭漂う嘗ての生徒が通路を歩いていた。
「だ、誰?」
「しっ隠れて」
由紀の口を塞ぎ反対側の本棚に移動し、音を建てずに身を潜めた。
「め、めぐねぇ怖いよ…」
「大丈夫よ由紀ちゃん」
怯える由紀を慰めるが実際私も怖かった。でも私がここでしっかりしないと由紀ちゃんを守れないと分かっているお陰で、何とか意識を保つ事ができた。
(きっと士くんや胡桃ちゃんはこれ以上の恐怖を感じているのね…)
余程2人に頼り過ぎていた事を今実感する事になるとは、思っても見なかった。ゆっくり近いてくる足音に由紀は耳を塞いで、私も思わず顔を背け目を瞑った。
「お!やっとみつけた、大丈夫か?二人とも」
「あ!つっくん!」
「え?士くん!?」
奴らかと思っていた足音は彼のものでボウガンをみるとまだリロードがされていない所をみると、彼が奴らを倒してくれたようだ。
「つっくん…怖かったよぉ」
彼の顔を見て安心したのか、何の躊躇もなく胸に飛び込んでいった。
「全く…勝手にはぐれんなよ?」
「ご、ごめんなさーい」
「よしよし分かればよし」
「士くん胡桃ちゃん達は」
「先に帰らせたよ暗がりで全員入って襲われたら大変だからな、今頃リーさんはカンカンだろうな」
由紀ちゃんの頭を撫でながら彼は何時もの笑顔を浮かべている。
「うぅ…」
リーさんのお説教に怯えている由紀の頭をもう一度撫でる彼の仕草が何やら手馴れている気がするが、今はまだ気に止めはしなかった。
「一緒に謝ってやるから大丈夫だよ」
「ありがとうつっくん…」
「さて…帰るか」
『うん!』
肝試し終了後の学園生活部部室にて。
「肝試し楽しかったね!来年もやろう?」
それは多分無意識に言った言葉である。全てが終わってしまった世界で唯一時間が止まり平和な世界を見ている由紀だから言えるのであるが、そんな笑顔をされたら私達の答えは決まっている。
『来年かぁ…約束ね』
「だな」
次回でみーくんが出せたらいいのですが…