学園黙示録SCHOOL―LIVE! 作:楠葉遊鳥
全てが終わってしまった日から、一体どれだけ時間が過ぎたのだろうか。生ける屍が生者を襲う世界で女の子1人だけで、生きていくのは無理であろう。それでも俺は彼奴が生きている事を望んだ。
雲一つない青空が広がる今日、俺達は部活で使用していたマイクロバスの中で揺られていた。
「めぐねぇ安全運転でな〜」
「し、祠堂さんこ、声をかけないで!」
座席に座りながら体だけ横に乗り出し、このバスの運転手である佐倉慈先生に話しかけと、緊張し裏返った声で注意された。
「わ、私一応MTだけど大型運転したことないの!」
「めぐねぇ…マイクロバスは中型だしMT、ATの前に中型免許ないと運転できないぞ?」
「え?そうなの?」
「士…詳しな…」
俺の席の窓側に座る胡桃が頬杖を付きながら、苦笑いをうかべている。
「俺達もう3年だから将来的に必要になるだろ?免許」
「確かに必要かもしれないけど…」
俺と胡桃はバスの窓から地獄絵図状態の街を、呆然と見つめていた。
因みに何故俺達学園生活部がマイクロバスに乗りわざわざ危険な外に出てきたのかと言うと、それは昨日の夜まで遡る事になる。
事の発端はやはり丈槍由紀の一言「遠足しよ!」から始まったのだが…当の本人は熱を出し、看病の為残ったリーさんと遠足は欠席だ。
「物事には必ずしも理由がある、だからいずれ平和に戻るさ」
「だといいんだけどな…」
地獄と化した街をマイクロバスに乗り走ること数時間後、目的地のリバーシティトロンに到着した。
「周りには…いないわね…」
ショッピングモールの周りには奴らはいないが、いきなり湧いてくるのが奴らの特性だ。
「あぁでも油断禁物だ」
「で?まずどうするんだ?」
「まずは…」
「まず物資の調達それが済んだら1回バスに戻り荷物をおき次は日用品だ、時間はかかるが重い荷物を持ったまま奴らと出くわしたら終わりだからな、さぁ行くぞ!」
「私…顧問…」
『あ、めぐねぇごめん…』
あの子が出ていってから一体どれだけ経ったのだろうか?ゾンビがいる世界で私は平和にいつも通りに暮らしていた。朝起きて水道の水で頭を洗い制服に着替え、非常食の朝食をとる。その後は学校の様に授業をする。1時間目体育、2時間目数学、3時間目英語、4時間目国語を終えて昼休み。
「いただきます」
部屋に虚しく響く私だけの声。もうあの子の声は聞こえない。
5時間目音楽。
(生きてればそれでいいの?)
あの子の言葉が頭から離れない…
「もうやだっ…ねぇっどうして?」
もうあの子はいない。
「数は少ないけどいるな」
今は昼過ぎと言えど中は照明が消えていて暗く、懐中電灯の灯りが頼りだ。
「めぐねぇ胡桃走って突っ切るぞ」
ピアノやカフェの椅子等が置いてあるロビーの柱影で、辺りを見渡すと何とか奴らがいるが進める数だ。
「わかった」
「私走るの苦手なのよね…」
俺の提案に胡桃はシャベルを構えるが、めぐねぇはその場でお決まりのどんより体育座りをしている。
「じゃあ俺がお姫様抱っこでもしようか?」
「そ、それはダメ!」
冗談のつもりだったのだが、異常なまでに反応するめぐねぇの顔が赤いのはなぜだろうか?
「じゃあ走れるな?」
「わ、分かったわよ…」
ため息をしながら渋々立ち上がる。
「先頭は胡桃で次にめぐねぇだ、俺は此処で胡桃達が階段を上がるまで援護する3カウントしたら走れ!」
「分かった」
「分かったわ」
「3」
「2」
「1…いけ!」
柱の後ろから2人が走り出す。その進路付近にいる奴らの頭を射抜いていく。そして階段までもう少しの所で案の定…めぐねぇが転け、その近くに奴らが1匹めぐねぇを襲おうとしていた。
「あいたたたっ…ヒッ」
「危ないめぐねぇ!」
「クソっ」
次回から新キャラ登場です。