F-1で怪異に物申す!   作:べっけべけ

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すいません……遅すぎましたね。言い訳すると、検定や勉強、掃除や部活で投稿を後回しにしてました……ごめんなさい。


エンジン始動

「………………はい?」

 

間の抜けた声を思わず出してしまう中佐。

 

(う……やっぱこうなるよな。藪から棒……だよな)

 

一瞬重くなったように感じる空気。そう自分が勝手に思っているだけかもしれないが、こういった雰囲気は苦手だ。胃が締め付けられるような感覚に陥りながらも口を開いた。

 

 

 

「えっと……あの機体のエンジンを動かすためには専用の機材が必要でして……」

 

「と、なると貴方の機体は……」

 

「動きません……何か代わりになる物があればと思ったんですけど……」

 

「それはどういったものか聞いても良いかしら?」

 

「ええ……あの機体は…………」

 

エンジンの始動の仕方を大まかに伝えた。メモが無かったのでどうすればいいのか分からなかったが……貰ったあのタブレットがあった。

 

落書き帳に似たアプリを開き、そこに描いた絵を交えて説明していく。

 

 

 

 

 

 

 

……数分後。

 

「……つまりそこの穴から空気を流し込めればいいのね?」

 

「簡単に言ったらそんな感じ……ですね」

 

「だったら……その問題、解決するかもしれないわ」

 

「…………え?」

 

「空気云々なら適任のウィッチがここの部隊に居るわ。悪いけどちょっとついてきてもらえる?」

 

「はい……」

 

最初に見た驚愕した表情は何処へやら。会話が終わる頃には何時もの微笑んだ中佐に戻っていた。

 

(あぁ……やっと楽になった気がする……)

 

しかしまだ完全な解決策が見つかったわけではない。

 

未だに不安を拭いきれていないからか俺の体は廊下を進む中ずっと鼓動を大音量で全身に響かせていた。

 

 

 

 

 

 

 

途中で執務室に中佐の持っていた書類を置きに行き、話に上がったウィッチのいる部屋へと向かっていく。

 

 

「ここよ」

 

 

他のウィッチの部屋とは何も変わらない扉。どうやら異質なウィッチなどといったものではないらしく、普通にここの部隊のウィッチのようだ。

 

……まぁ魔法が使える時点で俺にとっては異質な存在なわけだが。

 

 

 

「ちょっと待っててね。あの子起こしてくるから」

 

(あの子……?)

 

中佐がノックする。しかし返事が帰ってくることは無く……。

 

「……ハァ。エーリカ?入るわよ」

 

 

 

 

その言葉と同時に開け放たれる扉。その先には……

 

 

 

 

 

なんとも言えない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

床やベッドの上には脱ぎ捨てられた衣類が散乱し、床を覆い尽くしていた。

 

その中には酒類のように思える瓶や食べた後の缶詰め等も混じっており、それらはテーブルの上や周りを中心に占拠していた。

 

 

 

 

 

……ようするにゴミで溢れている状態なのである。

 

あえて言うなればあの黒いG(悪魔)が見当たらないのが救いだろうか?

 

(…………俺、この世界に来る前に部屋片付けておけばよかった……)

 

 

 

 

 

 

ゴミ屋敷

 

もはやこの言葉以外思い付かない。もし現代だったらあと一歩でテレビ番組から取材が来るかもしれないといったところだ。

 

 

 

……パタン

 

 

中佐が室内へと進み、扉が閉じられる。……俺は廊下で待とう。

 

 

「ほら、起きなさい!夜も十分寝てるでしょう?」

 

「ん~……まだ寝る……」

 

 

 

扉越しに二人の会話が聞こえる。このやり取りだけ聞いたら絶対上司と部下の会話ではなく母親と子供の会話に思えるよな……。

 

 

 

そんな事を考えていると突然の怒声。

 

 

「なっ……ちゃ、ちゃんとズボンを履きなさい!」

 

 

 

ここまでなら普通の会話だろうが……問題がある。

 

この世界……女性のパンツ=ズボンという認識なので履くのはたった一枚。紙装甲もいいところだ。で、そのたった一枚を履いていないということは…………そういうことである。

 

 

 

 

今中佐は顔を真っ赤にして叫んでいるんだろうなー……などと思いながら聞き流せるように苦悩する。

 

 

 

……そしてその後十数分間に渡って廊下に一人寂しく二人を待つ俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって格納庫。

 

論より証拠、試して合点ということでF-1のすぐ隣には俺、ヴィルケ中佐、ハルトマン中尉の3人が集まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー……で、私は何をすればいいの?」

 

目を擦りながら中尉が呟く。どう見ても寝惚けているが……大丈夫だろうか

 

「えーと、中尉にはこの……」

 

徐にしゃがみこんだ俺は機体下部にある二つの蓋を拙い手つきで開ける。

 

「ここと……あと、ここから空気を送ってもらいたいのですが……」

 

「はーい」

 

何とも軽い返事と共に中尉がしゃがみこむ。蓋が開いたことによって露になったスターターの接続部分に手をかざすと、梁わりとした光が彼女の手のひらに集束してゆく。

 

(……これが魔法……か)

 

整備班の人達の話では聞かされていたが……実際こんなに近くで目の当たりにするのはこれが初めてだ。まるでアニメや映画のエフェクトをそのまんまにしたような光景が目の前で起こっていた。

 

「あ、なるべく徐々に出力を上げてもらえますか?あと、左側から先にお願いします」

 

「うん。いいよー」

 

「えーと……すいません、ちょっと時間下さい」

 

本人の了承を得たところで俺は急ぎ足で脚立を取りに行く。

 

そして操縦席の真横に設置し、かけ上がる……と、その前に空気取り入れ口の中を確認しておく。

 

異物があったとしても自己修復機能があるので機体の方は大丈夫だが……機体の点検は必須だろう。

 

(見た感じ……大丈夫そうだな)

 

懐中電灯を片手に素人なりに点検を行った後、電灯を胸ポケットに仕舞いつつカンカンと金属音を鳴らしながら上ると操縦席に手を掛ける。

 

 

 

 

「よいしょ……っと」

 

独り言と共に勢い良く座るとボスッと席が音を音をたてて出迎える。心地良い閉塞感に包まれたことに少しホッとしながら、コクピットの電源に手を伸ばした。

 

 

 

 

 

「お願いしまーす!」

 

座席から身を乗り出すようにして左後方に居る中尉にエアーを送るよう頼む。すると数秒後、左エンジンの回転数を示す計器の針がピクリと振れた。

 

空気がエンジン内に送られ始めたのを確認した俺はスタートスイッチをONにすることでイグニッションを作動させる。

 

 

 

 

(……えーと、あとはエンジンの回転数が……へ?)

 

左手に持っていたタブレットに目を通しながら操作していると……そこにはこう表示されていた。

 

《後はエンジンの回転数が10%を超えると》

 

 

タブレットの説明では%表記。……だが目の前に並ぶ計器類のひとつであるエンジンの回転数を見ると……rpmでの表記となっていた。

 

(……マジすか)

 

これまでエンジン系統の計器類に目を通したことなど殆ど無く、どうやらそれが今回仇となったようだ。

 

 

(燃料計と酸素量計は良いとして……燃料流量計と回転数とかには気を配るべきだったか……!?)

 

俺氏、撃沈。そんな表現がピッタリになりそうな感情に埋もれつつ計器に目を通していると……

 

パチッ

 

まるでスイッチが入ったような音と共に、回転数計の上に設けられた複数のランプの内一緑色のランプが点くのが目に入る。

 

 

 

……今ので回転数が約10%になったらしい。

 

 

(で……次はスロットルを……)

 

説明に従いスロットルをIDLEに……しようとするが、固い。

 

動く気配を全く見せないので不思議に思っていると、指先に伝わるある感触がその原因を示していた。

 

 

 

 

 

 

スロットルの付け根の部分に存在する部品。エンジン出力操作においてはかなり重要な役割を果たす……フィンガーリフトがそこにはあったのである。

 

 

(そういえばこれがあったか……ヤベ。忘れてた)

 

最近使ったといえば……この基地に来た際に行った着陸時くらいだ。エンジンをカットオフした時以外に使った記憶を俺は生憎持ち合わせていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

それはさておき。

 

改めて左側のスロットルをOFFからIDLEの位置からへと進める。

 

するとエアーで回っていたであろうタービンの風切り音がより高音で甲高い音へと変わる。エアーに加えて自分でも回りだしたようだ。

 

 

 

 

 

 

操縦席のすぐ近くに立って見ていたヴィルケ中佐に事前に説明しておいた合図を送り、ハルトマン中尉に出力を上げてもらうようにお願いする。

 

 

 

 

……本来なら無線機で俺が中尉に直接言いたいところだが……生憎そういった機材が無かったのである。彼女達ウィッチーズ間では俗に言う《魔力》を主電源とした連絡手段があるのだが、俺にそういった《魔力》とやらは存在しない。

 

……少しだけ魔力があるんじゃないかと期待したとは言ってはいけない。

 

 

 

 

左エンジンの回転数、温度が共に安定し始め……先程の緑色のランプが消える。これで片側は終了だ。

 

また中佐に合図し、今度は右側のエンジンの始動に取りかかる。……といっても先程の行程をそのままもう一回するだけだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンジン始動が完了し、一度機体から降りようと思ってふと周りを見ると……そこには多くの見物人達がズラリと並んでいた。

 

 

 

(そりゃあ……こんな煩いんだから皆見に来るよな)

 

 

 

 

 

普段聞き慣れない音が基地内で流れているのだから不思議に思うのは当たり前だ。ましてやこの時代、ジェットエンジンなんてせいぜいドイツのMe262の物くらいだろう……今どの段階まで開発が進んでいるのかは不明だが。

 

 

 

 

「おいハジメ!この金切り声みてーにうるせぇのはこいつか!?」

 

 

そうして質問攻めになるのはデジャブ。整備班の人達に色々と聞かれ……終わるのは一時間程経過した後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…………」

 

この時俺は自室に戻り、机で頭を抱えていた。

 

今日の出来事でエンジンの問題は解決……なんど、全くできていない。

 

 

まずエンジンを始動させるためには高圧の空気が必要だ。その空気を送るためには?

 

1.今日のようにハルトマン中尉にやってもらう

 

2.誰かに頼んで始動できる機械を作ってもらう

 

3.常時エンジンをかけておく

 

 

容量の少ない頭で頑張って捻り出した結果がこれだ。もっと頭が柔らかければより良い案が浮かんだかもしれないが、俺にはこれが限界だ。

 

1は……もし中尉さえ良ければ手伝ってもらいたい。だがそれだとスクランブルで俺が出る際に中尉が何らかの形で手伝える状況に無かったら?

作戦により不在だったり、負傷、睡眠、色々可能性はあるわけだ。

 

2は……できたら凄い。だが整備班の人達に相談したところ、難しい話らしい。材料も無ければ設計図も無い。もし設計図があるとしても材料の面で厳しいそうだ……何故ならそういった予算は連合軍本部から出ている。そういうわけで現実的では無いとされた。

 

3……実際今現在の状況がこれだ。メリットは俺が何時でも出られるという点……のみ。あとは中尉が手伝わなくても済むぐらいだ。

 

整備班の人達に協力してもらい、空気取り入れ口にはお手製の異物混入防止の柵というか網が現在取り付けられている。……そういった光景はあまり見ないが、安全防止策なのでこの際気にしない。

 

 

 

 

 

 

 

(……今のところはエンジンによる騒音が一番の問題点か。防音の壁とかで囲えれば良いんだけど)

 

 

ブーッブーッ

 

手元で震えるタブレットを見た俺は、直ぐ様出撃の準備に取り掛かる事となった。

 




曖昧なエンジンスタートですみません。もう少し正確な方法がわかり次第編集させていただきます。

……今のところ全てネットが情報源なので、スタート方法が正確ではないのでご了承下さい。
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