……ほぼ3ヶ月ておい……
友人が投稿したのでこちらも投稿します。最初に僕が考えて……それを友人に学校で見せて……友人がちょっと変えたりして書いて……それを僕が見て調整して……まぁ長くなりますね。
近付くにつれて段々とハッキリしてくる地上物。まるで横たわる大蛇の如く伸びるモノは遠目で見てもかなりの長さだった。数kmはある長さ……そんなものが並行に二つ並んでいた。
(おいおい、マジかよ……)
アスファルトのように黒っぽい色を基にした道路のようなものに点々と中央に引かれた白い線。遠目でも見ればわかる程に長いそれは紛れもなく滑走路だった。
一つは2km前後、もう一つはその倍以上の長さを誇っておりオープンパラレル方式と呼ばれるものに近い配置の仕方をしていた。2本の平行に引かれた滑走路の間には先程から目にしていた人工物が健在しており、遠目でも見えたのはおそらく管制塔の類いだったらしく、その下には大きめの
RHAWSのディスプレイには地上からのレーダー波とSAMのものであろう多数の反応が表示されている事からここは対空兵器がかなりの数あるらしい。
距離を縮めるにつれてRHAWSの表示の上半分を埋めていく脅威電波の表示と慌ただしく更新される最新の脅威の様子はまるでシューティングゲームかなにかに出てくる敵の大隊のようだった。
あまりにも数が多過ぎて警告音が鳴り止まないので音声のスイッチを切ってしまった。
少しだけ操縦席が静かになったところで前方のF/A-18が数回バンクを振り、編隊から離脱していく。状況的にもあの基地に帰投するという意味合いと捉えていいだろう。
(……俺はどのタイミングで着陸すりゃいいんだ?)
ピッチアウトの合図も何も無いこの状況。
本来なら「頭がおかしい」と表現する際のクルクルパーの手の動きで「ピッチアウト、〇秒後」と表すらしいのだがそういったものは無かった。なのでこちらで勝手に判断しろ、という事なのかもしれない。
そもそも2本の滑走路が離着陸両用とは限らないし、離陸用、着陸用と用途によって別れているのかもしれない。しかし指示が……
(……ん?指示?)
ふと思い計器類に目をやる。
視線の先にはUHF選択チャンネルセレクター。
(……スクランブルの時の周波数ってあるんじゃなかったっけ)
本来ならば国際緊急周波数だとかいう無線の周波数がちゃんとあるらしいのだが、この時俺は全然知らないでいた。というよりはそもそも無線の電源を切っていたのである。理由としてはウィッチ達や仲間との無線機とは交信を上手く行えなかった事と下手に無線を撒き散らして脅威になりえる存在などにこちらの存在を教えたくないからなのだが。
(降りたな。次は俺と考えて良いのかな?)
国籍不明機を1番最後に着陸させるなんていうのもおかしな話になるだろうし……というか強行着陸になるが良いのか?
それはさておき、ひとまず着陸態勢に入る。アプローチの目標は先程
滑走路の端に格納庫らしき建物があるので着陸後そこへ行けるように滑走路付近に何も無い方向から進入していく。無論、あの機体が降りた方向と同じである。
目線が計器類と
滑走路には進入方位などこれといった数字が無かった為に自分の目測だけで方位を合わせていく。
速度は120kt(222km/h程)。高度は300ft(91m程)。
徐々に細かく小さい数値を表していく高度計が0の表記の方へと指針を近づけていく。
滑走路の脇に置かれた紅白の縞模様の吹流しはダラリと真下に垂れており、ほとんど無風である事を指していた。
滑走路がかなり長いので3分の1程過ぎた辺りから接地する。主脚が地面に接地しガクンとそれなりの衝撃が伝わってきた後、上を向いていた機首が水平を向いた瞬間にもう一度衝撃が席を揺らした。
前輪が接地した事を確認しドラッグシュートのハンドルを引っ張った直後、体に感じる速度が明らかに失われキャノピーの外の景色が変わる速度も段々と変わっていく。タイヤのブレーキもあるが、自分には必要以上に滑走路が長いのでおそらくその必要は無いように思えた。
十二分に減速した後に滑走路上をしばらく進んで格納庫や管制塔など施設がある所まで行くと、操縦桿の一番下にある赤いステアリング/マイクスイッチを小指で押しながらペダルを踏む事で機首を急旋回させる。これから自分はどうなるのか、相手は一体何者なのか。不安に駆られながらロックされていたキャノピーを操作するレバーに手を掛けた。
未だに格納庫の中に入るまでは至っていなかった
「───────!!」
F/A-18がある左の方へ視線を向けると、そこには1人の男と思しき人物が銃を持って立っていた。
暗いバイザー越しに見えた彼の姿はイメージでは米軍などに近かった。おそらくM4系統であろう見覚えのあるフォルムの小銃に、MOLLEシステムらしきプラットフォームが目立つプレートキャリアのようなものを装着していた。足下には航空機用のヘルメットと酸素マスク、それと太股などを覆っていたであろう耐Gスーツが脱ぎ捨てられており、独特の丸みとバイザーのカバーの無い航空ヘルメット、そして転がる酸素マスクは正面ではなく片側から伸びたホースがつい最近、もしくはそれに近いものだとわかった。
降りてこい。武器を捨てろ。
このどちらかであろう言葉を叫んでいるようだが、俺の耳には自身の乗るこの機体の甲高い声しか聞こえない。
ようやく体を固定していたハーネスを外し終えると、マスクを外して左コンソールのパネルの上に置いた。キャノピーから身を乗り出すと、ようやく彼の声が耳に届いた。
「エ……ンを……れー!」
必死に叫んでいるところ悪いがエンジンを止めたらそこにあるホーネットと違って自力でのエンジン始動は不可能なんだよなぁ。そんな悪態を心の中で愚痴りながら俺は首を左右に振って拒否の意を示した。
すると小さく聞こえた破裂音。威嚇なのか警告なのかは知らないが彼の上空に向けている銃の先から漏れ出る微かな白煙と
「ハイハイわかりましたよ……」
エンジンの音でどうせ聞こえる事は無いだろうとボソッと呟いた。
若干不機嫌になりながらも両方のスロットルをフィンガーリフトを引きながらOFFの位置へとやる。するとそれまでけたたましく叫んでいたエンジンの高い音とその音量は比例するかのように急激に低くなり沈黙していった。これでもうエンジン始動の為の機材が無い限り再び息を吹き返すことは不可能となった。
(というか……日本語?)
先程彼の叫んでいた言語。あれはハッキリと日本語だった。何故日本人がホーネットを操作していたのか……FX計画辺りから外れたパラレルワールドか何かだろうか?しかしそれでは何故機体にアメリカを示すラウンデルが描かれていたのかが説明できない。
「よいしょっ……いだぁっ」
操縦席から飛び降りると案の定襲ってくる着地の衝撃。未だにフワフワと体が浮いているような感覚と先程の衝撃でビリビリと足に痺れが残る足を黙らせてがひとまずヘルメットを脱いで小脇に抱えると、敬礼。
挨拶。これ大事。
「ええと……武藤です」
普通なら『〇〇飛行隊所属の〇〇です!』なんて名乗るのだろうけど、生憎こちらは自衛隊員でも何でもないただの一般人。何処かの部隊に配属された覚えも無いのでここは正直に行くとしよう。
幸い銃口はこちらを向いていないし日本人なら……撃たないよな?
そんな甘ったるい考えが頭の片隅にはあった。俺の知ってる自衛隊は仲間が撃たれない限り敵を撃つ事すら叶わない。
「─────っ!?」
鼻先を一瞬照らす赤い光。視界に映った発光体に俺は何が起こったのかわからずたじろいだ。
自身の胸に目をやると、そこには今さっき鼻を照らした赤く光る物があった。その正体はレーザーサイトによるものだった。
(一体何処から?)
そう思い顔を上げると……あった。狙うには都合の良い場所、もとい建物が。管制塔である。
するとそこには本当に人影らしきものがふたつ程。
1人の小柄そうな狙撃手は膝立ちの状態で脚らしきものを落下防止の柵の上に立てて銃口とスコープらしきものがしっかりとこちらを向いている。もうひとつの人影は……立射の状態で肩に何かを担いでいた。型はわからないがあの構え方をすると言えばRPG系統、AT4、M72LAW、
目の前には自動小銃、管制塔には狙撃手と何か担いだヤバイ奴。絶望的である。
何か手があるとすれば、救命胴衣のポケットに入ってる照明弾を彼らに直接撃ち込むくらいだろうか。目くらまししか思いつかない。
この状況から形勢逆転を現実にできるというのなら是非ともご教授願いたい。
ブォォォォォォォォ
「……?」
視界には映らないが何処からか聞こえてくるエンジンと思しき唸る声。腹の中を直接揺さぶるような重低音はそこらの車とは違った重機のような音だった。
それらは格納庫の陰から姿を現した。濃緑色の二色迷彩を施した車体にタイヤではなく履帯による走行。特徴的な砲塔から伸びた砲身はこちらを向いたまま近づいてきた。
しかもそれらは1両に留まらず、その後ろから2両目3両目とどんどんとその数を増やしていく。
(うそん……)
90式
俺はその名でこの車両を知っている。前方から見ると傾斜装甲など見られない垂直な前面砲塔には見覚えがあった。
その数5両。……かに思えた。
目の前の戦車の停止の数秒後。走行時の振動が途切れたかと思えたが、その思いはすぐに裏切られる事となった。
ガタガタガタガタガタガタ
硬い
同じく履帯を履いてはいたが、砲塔などの形状は戦車というよりは装甲車だった。
プーマ装甲歩兵戦闘車くらいなら知っているがこの車両の名前は生憎出てこない。90式の砲身よりは小さく短い……おそらく機関砲を備えたソレは同じく5両。荒々しくその姿を現したのだった。
(……マジ?)
89式装甲戦闘車
陸自好きな友人が興奮しながら説明していたのを思い出す。小銃と同じ名前だからか偶然にも覚えていた。
F-1と俺を取り囲む戦車と装甲車。綺麗に円形に並んだそれらの武装が向く方向は案の定俺であり、袋のねずみとなった。
彼らが一斉に射撃でもしようものなら俺らは粉微塵になる事間違い無し。塵一つ残らないであろうオーバーキルである。
「こちらには敵意は無い。こちらへ来てくれ、話を聞ききたい」
全く説得力の無い声は想像よりも高く若い声。もっと軍人らしい
俺は頷いて応えた。もとい、そうする他無かった。彼は敵意は無いと言いつつもこの状況が「どこが?」とさえ思わせる。
(ん?……航空基地に戦車に装甲車?)
ここは大人しく従う中で一つ疑問が浮上した。元の世界で航空自衛隊基地に遊びに入った際には軽装甲機動車辺りしかなかった。履帯で移動するのは作業用の重機ぐらいだ。少なくとも戦車はなかったはず……。
この基地は空軍なのか陸軍なのか。しかしホーネットにはハッキリとNAVYとあったので色々と混ざりあっているのかもしれない。
彼が進む先にいた車両達が一気に後退していき道を開ける。
(なんとまぁ……コンビネーションの良いことで)
この状況の中でもそんな風に内心感動していた。まず戦車のこんな運用の仕方を知らない。まるでコンピュータのように正確で一致した動きを見せる彼らには違和感があった。それこそドローンを幾つも列べて同時に集団行動のように動かす動画のように。
そして誰1人として姿を見せないのだ。車長も操縦手も誰も顔を出していない光景は鉄の怪物という雰囲気を醸し出していた。
ただ車両達のエンジン音だけが
(あの
案内される中でホーネットの前を通り過ぎる。その時見えたのはF-22のように直線的な空気取り入れ口。ステルス性を考慮されたそれはF/A-18Eスーパーホーネットのそれだった。
前面限定ではあるがステルス機であるこいつとヘッドオンしていたからこっちのレーダーに映りづらかったらしい。というか映った瞬間があっただけ儲けもんだろう。
それにF-1は第3世代の支援戦闘機であり、F/A-18Eは第4.5世代のマルチロール機だった筈。初飛行の年で20年もの差が生まれているが、それはとてもじゃないがその差を技量で埋める事は自分には不可能に思えた。
ガチャガチャと俺が騒がしい音を立てながら歩く廊下には俺と彼ともう一人、装備から見てあのウイングマンをしていたと思しき女性……いや、女の子がいた。やはり彼女もかなり若い印象を受けたが、あまり後ろを見ると警戒されるのでぱっとでしか見てないがその腰には拳銃と思しき何かが装着されており、いつでも抜いて俺の事を撃つ事が可能だろう。そして彼女も彼と同様にフライトスーツだけを着ており、その太股にはカイデックス製と思われるホルスターが装着されていた。拳銃の種類は恐らくベレッタのモデル92系統と思われた。
……それにしても人がいない。建物の中に入っても生活感の無い様子だった。新築といえば聞こえが良いかもしれないが、悪く言えば無人の廃墟のような印象だった。白い廊下には擦れた痕ひとつ無く、壁はまるで塗料を塗りたてのようで、本当にそれは新築そのものだった。
どうやら俺は随分と物騒な世界に来てしまったらしい。まあここに来る前の世界も物騒さは負けていないと思う。女の子が銃器振り回しながら空を飛ぶような世界だったし……。
「どうぞ」
口調は礼儀正しいが如何せん手に持っている物が……。
部屋の扉の上には【応接室】とあり、これからO☆HA☆NA☆SHIするようだ。
(俺……これからどうなるんだろ)
カチャリと扉は閉められ、退路は塞がれた。
さぁ、どうなる俺の人生。
(な……何なんだこの状況は……)
室内はまるで中学の頃の校長室。黒い椅子にテーブルを挟んだ状態で俺達は向き合っていた。
「えーと……」
彼は顎に指を当てて悩む素振りを見せると、持っていた小銃が光り輝く。
「───────っ!?」
いきなり何か攻撃手段に出たのかと思い両腕で頭を守る。
光が収まったかと思うと、そこにあった筈の銃は無くなっており……代わりにその手にはお盆があり、三つの湯飲みが載っていた。
これには流石に驚いた。何せ現実世界ではありえない事を今彼は平然とした顔でやってのけたのだから。
「とりあえず、お茶でもどうぞ。込み入った話はその後にしよう」
そう言って彼は微笑んだ。
敵か味方かもわからない人物から渡された緑茶らしき飲み物を飲むフリをして喉を動かす事数分。すっかり飲み干され空になった湯呑みをテーブルに置くと、彼が口を開いた。
「……で、君は一体何者なんだ?」
単刀直入に一言、やはり彼にとって俺は不可思議で奇妙な存在だろう。それもそうだ、今では旧式のとても実戦では使えないような古い機体が領空を飛んでいたのだからそりゃ驚いただろう。ましてやあのシリアルナンバーは存在する筈が無く、製造番号がひとつ多い。
「俺はあんなのを見た事が無いんだ。見た様子日の丸が付いていたようだけど……」
(……あぁ、そっちか……)
何故旧式の機体が飛んでいるのか、ではなく彼にとっては知らない航空機だったらしい。たぶん今のパイロット達が突然
「自分の名前は
緊張して喋り方が変な風になったが伝えたい事は伝わった……筈。
「エフ……ワン?」
「F-2って……わかります?日本の支援戦闘機の」
「ああ、あれなら」
「あれの前任です」
「……?」
F-2は知っているようだが……最近の人なのだろうか?
「退役した機体って事です」
その一言で彼もピンときたのか何も無い虚空からスマホを……
(……すまほ?……え、ここってネット繋がってんの?)
「F-1っと、えーと…………これの中にある?」
そう言って見せてきたスマホの画面にはGoogle検索が掛けられていた。そしてその検索内容は【F-1】の文字があり、案の定軍用機ではなく車の方ばかりが検索結果として表示されたいた。
「それに軍用機って付け足してみれば多分出ます」
「…………あ、ホントだ。へー、こんなのがあったのかぁ」
本当に知らなかったようで、凄く関心した様子で頷いていた。まあF-1と聞いて普通は車の方を思い浮かぶだろう。世界的に見ても軍用機として思い浮かぶのはせいぜいミラージュF-1の方であって三菱F-1と思うのは少数派である。
「そしたら、そのF-1という機体で何処から来て何をしに来たんだい?」
この状況なら当たり前な質問。しかしその【何をしに】の部分は今最も知りたい人は当事者である俺だ。今でも少し混乱しているが一応答えよう。
「言うなれば此処とは違った世界、でしょうか?」
「そうか……君もか」
そう呟いて彼は顎に指を添えた。
(……
「と、いうと……?」
「私達はこの世界とは違う場所から来た異世界人なんです。あの戦闘機に乗っていたならあなたも……そうなんですよね?」
そう口を開いたのは目の前の彼の隣に座る彼女。
この世界とは違う世界からの人間。その事実は予想の斜め上を行くものだった。
「まぁそういう事なんじゃないでしょうか……」
「ところで……君の名前は?俺は
( マ ジ で か )
あろう事か彼は俺よりも二つ年下だった。15歲で異世界転移に加えて戦闘か……そう考えると何か胸に突き刺さるものがあった。
「私は
(魔法……この世界にもあるのか)
「改まして、武藤です。特に能力とかは無いけど……強いて言うならあの機体が能力?歳は17歲になるかな」
「へー、先輩かぁ」
「まぁさっきの空の上では先輩面なんてできないような結果だったけどね……。ところで2人の名字は……双子って事?」
すると2人は急に顔を赤くして顔を見合わせ、微笑む。その初々しく照れる様子には思わず「新婚かっ!」と叫びたい衝動に駆られた。
「「夫婦です////」」
「ホントに新婚じゃねぇかっ!」
声を荒げて思わず机に両方の拳を振り下ろす。
デレデレと照れくさそうにする2人の姿の背景にはピンク色に染まりに染まったお花畑しか俺の目には映らず、猛烈にMk.82かJM117の爆弾を今すぐこの場所に叩き込みたいと思った。ああ、何もかも吹き飛ばしたい。爆ぜろ。
「あ、こっちの世界ではちゃんと合法ですからね?15歲から成人と定められていますし」
「マジかよ……」
思わず項垂れた。
異世界恐るべし。確かに世界が違えば法律も変わってくるだろう。まさかその世界で結婚にまで至るとは……いやはや、凄い。
「ところで2人はこの世界では一体何を?」
「此処へは女神様に連れてこられて……今はこの世界でお世話になっている国を助けています」
(女神……異世界……それに銃……)
【チート】
頭の中ではその結論に至った。
「さっきから出したり消したりしてるソレも能力?」
「ああ、これ?」
そう言いながら彼の手の平の上から光が放たれ、収まったと思うとその手の中には1発のライフル用の実包が握られていた。大きさからして.223弾……メジャーな5.56mmNATO弾かそこらだろう。
「元の世界で俺達の存在が消えちゃったからってフィーリアさん……まぁ神様からのお詫びってとこかな?」
机の上にコトリと立てられた実弾からはまるで今製造されたかのような輝きが放たれていた。
「存在が消える……」
前に見た事がある異世界ファンタジーでは【死亡】か【行方不明】が多かった。しかし彼らは元の世界での自分達が居た全ての証拠がひとつ残らず消え去ってしまっている。それがどういう事なのか、何の意味を示すのか容易には想像できなかった。
もしこの世界でのラスボス的な存在を倒したとする。……その後は?元の世界への帰り道が見つかった所で向こうの世界に自分達の帰りを待つ人はおろか家族や友人でさえ自分の事を知らない。そんな現実はあまりにも酷な気がした。
「ハジメは何処から来たんだ?」
「んーと……こっちに来る前は1943年頃で……その前にいた元の世界では……特に何も無かったかな?」
「1943!?第二次世界大戦じゃないか!」
「まぁそこの人達は殺し合ったりしていないパラレルワールドだったんだけどね」
「へぇー……俺達さ、この世界に来る時なんか普通に授業中でさ…………」
そんな風にたわいもない雑談が続いていった。転移する前の自らの身辺状況などを話すと、どうやら俺と彼らとは転移する前の世界が同じだった可能性が高かった。その時の総理大臣の名前や隣国との国際的な状況などニュースを見ればわかる事が幾つか一致したからだ。
「突然だけど……ハジメ、頼みがあるんだ」
「? 頼みってのは?」
「今俺達はある国と戦争をしている。その国には絶対にあの機体を渡さないで欲しいんだ」
敵側の技術発展。それを阻止しようとすることは敵としてごく普通の事だろう。
「そう言われてもねぇ……この世界じゃ右も左もわからないから何とも言えないなぁ」
どの国とどの国が戦争中なのか、同盟国はどこなのか、根本的な原因は誰にあるのか。そういった事を全く知らない。結局勝てば正義なのだから歴史なんぞ隠蔽工作に情報操作を行えばねじ曲げる事ができるだろう。
そして今は日本人らしく曖昧な答えを出した事に少しだけ緊張と後悔を感じていた。
「その敵国との戦争の原因っていったい何なんだ?」
「……どうしても聞きたいか?」
「まぁ教えてくれるなら」
「今起きている戦争の理由は……」
今1度椅子に座り直し、態度を改めて聞く態勢に入る。戦争が起こる程の事だ、異世界ならではの重い話に違いない。
「向こうの大使が俺の嫁を犯して売ろうとした」
「よし、ちょっと爆撃してくるわ。場所教えてくんない?」
女の子をレ〇ープしようとする輩には〈粛清〉をしなければ。そんな真っ赤な思想に駆られた俺はそいつを
「ちょっとソイツの息の根止めてこなきゃ」
過失致死ならばまだしも、意図的───ましてや拉致監禁と強姦と人身売買なら日本人の俺としては生まれてきたことを後悔させてやるぐらいの事をしてやったらいいと思ってる。
「あ、それには及ばないよ。もうすでに息の根は止めてあるから」
(なん……だと?)
サラッと口にされた吉晴の殺害発言。一瞬身体が硬着してしまったが、その理由は人を殺した事ではなく【目標】が既に達成されていた事からだった。
「後悔……してるか?」
何故そう問いたのかは自分でもわからないが、気づけばそう口にしていた。
「まさか。今後同じようなことは起こさないと決めたし、異世界という物も本当の意味で理解できた。もし今度しようとした輩には50.AE弾で自分の息子が旅立つ瞬間をご覧頂いた後、痛み付けるように22口径拳銃で体の節々を砕いてやるさ。まぁ、あえて言うならあのゴミクズな大使は即死だったが……あれは惜しかったな」
「ならばよし」
まぁ襲われたのが嫁さんだから仕方が無い。少しばかり過激な言葉が聞こえたかもしれないがそこはスルーしておこう。どのみち此処は異世界。法律やなんやかんやあるだろうし、バレなければ犯罪を犯したという認知すらされる事は無い。【バレなきゃ犯罪じゃないんですよぉ】……その言葉通りである。なのでこの世界で彼が歪まない事を祈ろう。
「ところでその、君達が守っているっていうのはどんな国なんだ?」
最初の自己紹介の際に言っていた「今はお世話になっている国を助けています」という発言。この世界で何が起きているのかわからない俺としてはそういった情報はかなり重要だ。助けてくれと言われて助けたら実はソイツが世界を滅ぼそうとする魔王でした、なんて話は洒落にもならない。
「あぁ~それね。んじゃ、観光にでも行こっか」
( ´・ω・`)……ハイ?
まさかの〇〇って国は何?と聞いたら じゃあ行こうか という話になってしまった。
本人の様子からして「百聞は一見にしかず」と悪気も無く言いたいのかもしれないが、俺にはいまだに拭いきれない不安が「強制連行」「軟禁生活」という悪い方向に翻訳していた。
「お、おう……」
断ればどうなる事やら。まだ彼が腹の中で本当の事は何を考えているのかはわからない為、今は普通な態度を装って大人しく従おう。いざという時は多少は弾丸を喰らってでも抵抗するしかない。
「じゃあついて来てくれ」
どうなる事やら。少し胃が酸っぱくなるのを感じながら席を立つと、ちょうど彼の奥さんの結奈さんがドアノブに手を掛けたところだった。
「「「あっ……」」」
まるで漫画か何かのように3人?の女性達が聞き耳を立てていたらしい。何かバツの悪そうな表情をしていた。
「お、お初にお目にかかります……吉晴様の妻、ミーシャリア・トローデスです……」
「初めまして……私も吉晴様の妻のリュミです……」
「私はシヴィよ」
「あれ、いたの?」
突然の自己紹介が始まった事に頭がついていかない。しかし結奈さんよ……アンタ絶対わかってて聞いてるだろ?
「いや、あの……盗み聞きするつもりは無かったんですが……ミーシャさんがどうしてもって」
「わっ!? 私は気になっただけですよ!? 行くって言ったのはシヴィさんですよね!」
「私は行けば良いじゃないって言っただけよ」
何か知らんが責任の擦り付け合いのようなものが始まった。
盗み聞きがバレて誰が悪いか擦り付け合うとか修学旅行で友達が先生の部屋に連れて行かれた時を思い出すな。
……それにしても先程シヴィと名乗った妖精?が気になる。創作物に登場しそうな妖精をそのまま具現化したような外見をしている。2対4枚のトンボのような羽根を背中から生やしており、肩に乗りそうな身長……20cm程だろうか?【THE・妖精】という感じだ。
「3人とも、別に気にしてないからね。それよりも久しぶりにトローデスの王都に行くんだけど……3人はどうする?」
「「「行きます(行く)!」」」
何やら俺の知らないところで話が進んでいる。
「なぁ吉晴……彼女達は?」
「金髪の彼女はトローデス王国の第3王女様で、」
「はぁ!?」
先程【トローデスの王都に行く】と言っていたのに目の前にいる金髪の女性は【トローデス王国の第三王女】だという。
「んで、銀髪の彼女は魔界最強の吸血鬼ヴァンパイア族……族長の一人娘だっけ?実質魔界の姫と、その小っさいのはそのおつきの妖精」
「ちっさいのとは何よ。ちっさいのとは」
軽い口調で説明されるが頭に入って来ない。というか2人は異世界あるあるの人外っ娘のようだ。
「わー、すごーい。たーのしー」
そんな気の抜けた感想しか言えない。
「彼は武藤一だ。詳しくは後で話すけど今のところ一緒に行動することになるよ」
「吉晴様がお認めになったのなら悪い方では無いのでしょう。よろしくお願いいたします」
「あ、こちらこそよろしくお願いします」
頭を下げられればこちらも下げなければなるまい。最敬礼を思わせる程のカクカクさで腰を曲げた。
「それじゃあ…………あ、そうだ」
歩き出した吉晴が何か思い出したようで、唐突に振り向いた。
「ところでハジメは武器は携帯しているのか?」
「銃……まぁ多少と言ったところかな?航空自衛隊の装備って言ったらわかるか?9mmと9mm機関、あとは64式とミニミ。……それにしても武器が必要なのか?」
「これから行くトローデス王国は治安は良い方なんだけど、この世界の文化レベルは中世ヨーロッパか……そうだなモンスター狩人ってゲーム知ってる? あんな感じだよ」
何かメジャーなゲームの題名が聞こえた。
「それに日本みたいに軽犯罪法とか銃刀法も存在しない。町でも多くの人が剣なり弓なりを持ち歩いてる世界なんだ。もしもの時に最低限身を守れる物は必要だよ」
要するに物騒なんですね、わかります。
彼が言うにはアサシンクリードのような町並みに冒険者が多数。異世界ファンタジーでは一番想像がしやすい感じだな。
「その説明の前半はとても面白そうだな。だけど後半はなかなかだな……その、もしもの時が来たときは?」
「迷わず撃て」
はい。射撃許可頂きました。何処ぞの異世界と繋がった自衛隊の2等陸尉の「各自の判断で撃ってよし」みたいだな。
「まぁ、わかった」
俺は未だに人に向けて引き金を引いた事が無い。たった一本の人差し指で人の命を容易く奪う事の出来るこの武器の口から火が吹かない事を祈ろう。
「重い話して悪いね。それじゃあハジメも準備が必要だろうし駐機場にでも行こうか」
「そうしてくれると助かるよ」
さてと、9mmと9mm機関のどちらにしようか。
いくら何でも僕の小説の主人公で友人の小説の世界で生き残るのはキツイっす。ずっとA/B焚きっ放しだったら勝てる可能性が微レ存?否、(勝て)ないです
友人の貼っときますね
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