ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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超人一等祭 二十本目 決着!!ハドラー対アバンの巻

‘ところで 【どたまかなづち】を知ってますか?’

 

「ああ タルのようなものを頭に装備して攻撃する武器だ

怪物では珍しくはないが・・・

人間が頭突きに特化した攻撃は目立つから憶えている

まさか貴様も使えるのか?」

 

‘アバン流殺法は武芸百般に通じています

もちろん あれでアバンストラッシュも使えますよ

何より見た目だけでウケますからね 

昔、親友たちと使い方を夜通し語り合った思い出深い武器です’

 

『なぜいきなりこんな話を?』

 

わからん だが この男の 他愛のないような言動が

何かの答えに通じている

会話の中身か それとも時間稼ぎか

真意は読めないが・・・いつものことだ

 

『では 無理やり話を切ればよいのでは?』

 

いや ここは適当に話を合わせながら

一度 オレも冷静になり現状を整理する

まずオレは左腕を失ったが体力 魔法力ともにまだ余裕はある

だが肉体の崩壊を止める【魔王のカギ】はあくまで急ごしらえの代物

効果がある間に決着をつける必要がある

右腕一本では極大呪文を使えずヘルズクローもない

対するアバンはこれまでの攻防の手ごたえから

リングに上がる前にバイキルトやスカラなどの補助呪文で強化をし

このリングを含む会場全体に破邪の魔法陣による結界を張り

オレの魔法力を半減させている

リングとルールを使い 追いつめても抜け出す技術はオレよりもはるかに巧みだ

だが、戦闘力という点ではまだオレの方に分がある

勝負の決め手となるマスクは互いに有効打がないが

オレの顔の左半分を覆っている仮面が正面に張り付いているのに対し

アバンのマスクは頭全体を覆う覆面となっている

あの頭頂の角を引っ張れば脱げそうだが 罠の可能性も否定できぬ

 

『角というよりトサカみたいですよね

ひょっとして小さなどたまかなづちを仕込んでいるのでしょうか?』

 

いや、あれでアバンストラッシュを使ってくるかもしれんぞ

 

    バンバン!

 

む?

 

[魔王様!!]

 

{魔王様!!}

 

赤コーナーでマットを叩く音に気づいて振り向けば

ジゼルだけではなく いつのまにかヒムまでいた

そして青コーナーにはミートの面をつけた女王だけではなく

 

'先生!うちの武器屋でも入荷してたぜ!'

 

≪それってパプニカでおススメされたあの武器だよね

本当に強かったんだ あれ≫

 

ダイ、ポップ、マァム その後ろに気配を抑えているヒュンケルもいた

ふう、これほどの猛者達の接近に気付かなかったとは

・・・やはりオレは冷静さを失っていたようだな

さて では改めてまだ喋っているアバンを見ると

やはり厄介なのはやつが装備した氷の刃だ

直接触れるのは危険だがヘルズクローがない状態では防御もままならん

 

『右腕のヘブンズクローでは防げないのですか?』

 

あれは物理攻撃力がまったくない上に暗黒闘気と相性が悪い

魔炎気が纏えないせいで超魔爆炎覇も使えん

 

『火炎呪文を纏わせて炎の爪にするのはどうでしょう?』

 

アバンの二番煎じで対抗するのはかえって・・・

いや、

 

「オレが磨いてきた術はこれで終わりではない

見せてやろう ジゼルの火遊びとは違う地獄の業火を

メ・ラ・ゾー・マ

ぬうううううん!」

 

       ゴオオオ!

 

この破邪の魔法陣の中では同時に操れる炎は4つが限界か

だがこれで十分

 

<あーーーっと 魔王の爪に4つの火が灯った!!>

 

‘む!?’

 

「フィンガー・フレア・ボムズ!」

 

   ゴウ!!        ゴウ!!

 

 

   ゴウ!!        ゴウ!!

 

<なんと炎の爪を全て発射!!

しかもその標的はグレートではなくリングを支える

4つのコーナーだ!!

そしてコーナーとつながれているロープが激しく

燃えあがっております!!>

 

「これぞ地獄めぐりNO.4焦熱地獄だ!!

このファイアーロープ オレならともかく

貴様は 触れただけで ただではすまんぞ」

 

‘なるほど これはまさに地獄

ロープブレイクはできそうにないですね

それでいてリングの外には飛び火して火事になるようなことはない、と

扱いの難しい炎をこれほど精密に制御するとは・・・’

 

だがこの男やはり抜け目がない

試合前に井上にかけておいた耐熱・耐火の火竜術ほどではないが

フバーハによる光のバリアを纏っているのが見える

あれでは直接ロープやコーナーに触れなければダメージにならんか

まあいい

 

「これでこの魔王から逃げることはできん

さあ 貴様との決着のときだ!」

 

‘・・・・・・勝負だ! 魔王!!

あなたに敗れたあの日から心身を鍛え直してきた成果

その新能力を直接見せる時が来た!!’

 

「フフフッ

常に他人のためにその力を使ってきた貴様が

はじめて己の意地のために使うか!」

 

‘それは今のおまえも同じはず!

行くぞ!!’

 

     ダッ!

 

ああーーっと

グレートが氷の刃で斬りかかりにいった!!

 

大地斬?!いや 魔法の気配を感じる

これは!? 

 

‘トラマナ!!’

 

      カアアアアッ

 

「ぬおおおお!!

この光はあの時 キルバーンの炎を消した!?」

 

<あーーーっと光に包まれたことでリングロープの炎が消えた!?>

 

オレはリングを包んだ破邪の光に意識を奪われ

それに紛れるように高まる闘気に一瞬対応が遅れた

 

‘アバンストラッシュ!!!’

 

「ぬううううっ!?」

 

咄嗟に右腕で仮面をかばった

 

    ピシィ!

 

わずかにヒビが入った音がしたが仮面は割れていない

しかも冷気は感じない従来のアバンストラッシュだった

どうやらトラマナで氷の刃の魔力も消し飛んだようだ

防御した右腕もダメージはあったがまだ使える!!」

 

「これならすぐに反撃を!」

 

‘そうはいくかーーーーっ!!

魔王封印!!’

 

         ビシィ

 

<あーーーーっと

元の布に戻ったグレートのハチマキが

魔王の体に巻き付いた!!>

 

「なにぃ!?」

 

右腕ごと巻き込まれた!?

しかしこの程度ひきちぎれば!!

 

    サッ!

 

<なんとグレート 魔王の頭を掴み後頭部に乗った!!>

 

'まさか先生その構えはメガ・・・!?'

 

‘安心してくださいポップ

これは自己犠牲呪文(メガンテ)ではありません

正面から割れないのならば後ろから叩き割るための

テリーマン直伝 テリーファミリーの至宝NO.3’

 

「貴様 どたまかなづちはこの!?」

 

カーフ・ブランディング(子牛の焼き印押し)!!!’

 

リングにカナヅチと化したオレの頭が振り下ろされ

仮面を割るイメージがくっきりと浮かんだ・・・が!

 

「甘い!!」

 

      バッ!!  ピタ  

 

<耐えた!!

後頭部から膝を乗せたキン肉マングレート

渾身のカーフブランディングを魔王が踏ん張って耐える!!>

 

「トラマナやアバンストラッシュまで囮に使い

オレの後頭部をとらえ、この一撃に賭けたようだが

ダイやジゼルはオレの頭上でよく遊んでいてな

貴様一人 どう動こうと揺らぎはせんわ!!」

 

'ダイ おまえ・・・'

 

≪いや 天界でハドラーの世話になってたときは

おれは小さな子供に戻ってたし・・・≫

 

'今でもちっさいガキじゃねえか'

 

≪ム≫

 

     ポカポカポカ!

 

″先生の応援をしなさい!″

 

「なにをやってるのだ あやつらは」

 

リング外でダイとポップがじゃれているのが目に入った

 

‘まだ私の攻撃は終わっていませんよ!

開扉呪文(アバカム)!!’

 

「しまった!?」

 

      パアアッ

 

頭上のアバンの唱えた呪文に応えるように

オレの中から痛恨の音が響く

 

  ガチャ!!  ポン!!

 

<なんと魔王の体からカギがとびだした!!>

 

     ピシ!ピシィ!

 

魔王のカギが外れた途端に体中にヒビが入った

負けるのか!?オレは!また!この男に!!?

 

[ハドラー様!!!]

 

{ハドラー様!!!!}

 

!!

負けたくない 我が子らの前で!

たとえ膝が砕けようと 折るわけにはいかぬ!!

赤コーナーで声を上げるヒムとジゼルだけではない

バルトス!

フレイザード!

アルビナス!

フェンブレン!

シグマ!

ブロック!

魔王の名や魔族の体を捨てても・・・

オレには!!!

 

    ボアア・・・!!

 

‘う うごかない!?

この魂の輝き 今、私にもようやくわかったようです

今のあなたを支えているものを

悔しいですがどうやら私一人の手にはおえないようですね’

 

言葉とは裏腹にオレの頭を掴むやつの手からは

勝負をあきらめる気配を感じない

それどころか・・・!

 

‘と いうわけで

大地に眠る 力強き精霊たちよ・・・

いまこそ我が声に耳を傾けたまえ’

 

「この呪文は!?」

 

重圧呪文(べタン)!!!!’

 

   カッ

 

   ド

   ガ

   ッ

 

「グゥおオオオオオオ!!!!!!」

 

   ドゴゴゴゴゴゴゴ

 

 ビシィ!ギシ!グシュオオオ!!!!

 

すさまじいおもさだ!!

この世界の大地の精霊はこれほど強いのか!?

  

    〝あなた!〝≪先生!!≫'先生!!'″先生!″

 \\\\グレート!!グレート!!!!グレート!!////

 

青コーナーのセコンドたちや観客の声援をうけ

さらに重さが増していくだと!

そんな呪文だったかこれは!?

食いしばる歯も砕けていく重圧の中にいるがそれはアバンとて同じこと

こいつを地面に落とせば逆転する目がある!!

 

‘・・・あなたは本当に強くなりましたね

ですが私も 愛する人のため 支えてくれた友のため

誇りである弟子のため 応援してくれるお客さんのため

共に生きる民のため 生まれてくる子のため

そして 今も強くなり続ける我が宿敵のために

会心の一撃を!!’

 

 ボアアア  カアアアアアーーーーッ

 

「こ!この闘気は!?キン肉マンの!?」

 

‘火事場のぉ!カーフ・ブランディング・べタン!!’

 

    ズガアアアアンン!!!

 

  ピシピシピシ・・・  パリン!!

 

「ガハッ」

 

 

    カンカンカンカンカンカン!

 

<決着―――!!!

キン肉マングレートのカーフ・ブランディング・べタン炸裂!!!

魔王の仮面がコナゴナとなってその素顔が明かされました!!

超人一等祭通天閣リング

魔王対キン肉マングレートⅣ世による一戦は

激しい熱戦の末キン肉マングレートⅣ世に軍配があがった!!>

 

‘ハドラー・・・’

 

   スッ

 

「握手か・・・」

 

<あーーっと グレートからの握手を魔王が拒否!

それどころか魔王の体が灰となって崩れていきます>

 

「・・・ククク 負けたか

だがこれで終わりではないぞ 宿敵」

 

‘・・・ええ 今度は握手をうけてもらいますよ’

 

・・・さて負けることは考えてなかったから幕引きをどうしたものか

サンシャインの体もまだ再生してないようだし

オレもすぐには復活できん

ここは勝者のアバンに任せるか

 

「「では 余がひきうけよう

観戦料としてな」」

 

なに!?

 

     カッ!!

     ブワワワ

 

≪ハドラーの灰が舞い上がって何かの形に・・・≫

 

'あれは!ハドラーじゃねえ!?'

 

‘まさか・・・!?’

 

「「悪魔騎士首領格並びに余の片腕魔王ハドラーを退けたお前たちに 魔界の神たる大魔王バーンの声をきく栄誉を与えよう」」

 

{ゲエーーーー!?

サタンの他にも大魔王が!?}

 

≪おれたちの世界で倒したバーンがなんでここに?!≫

 

'まあそれ言ったらハドラーもだけどな'

 

‘肉体を失っても復活する前例はいくつもあります

どうやらこれは・・・’

 

「「・・・フフフ久しいな勇者ダイとその仲間たちよ お前たちの絆の力をあなどったのが かつての余の敗因のひとつであった この世界でも超人と人間の絆の力 この世界では「友情パワー」「火事場のクソ力」と呼ばれるものがハドラーたちを退けるのを見ていた・・・これでは余の復活は諦めるしかなかろう」」

 

そういえば 今のこの方は太陽から眺めることができたのか

 

「「・・・だが人間たちが平和に慣れ超人との絆を忘れたとき 迫害された正義超人にかわり さらに強力な魔王軍により悪魔の時代がくる 余はそのときを楽しみに待つとしよう」」

 

  \\\\人間なめんな!!そんなときがくるわけねえ!!////

  \\\\そうだ!どんな時代になっても正義超人の熱い戦いは絶対に忘れねえ!!////

 \\\\キン肉マンたち伝説超人(レジェンド)が!!万太郎たち新世代超人(ニュージェネレーション)が誰のために戦ったのかを!!////

   \\\\魔界にけえれ大魔王!!!!////

 \\\\かーーえーーーれ!!かーーーえーーーれ!!!////

 

「「ふっふっふっ・・・ふはははははは はーーーーっはっはっはっ!!!!」」

 

<あーーーっと

大魔王の影が消え まとまりを失った灰が風に乗って

大阪の空へ散っていきました!!>

 

大魔王バーンの語りは想定外だったが、これで長かった祭りも終わりか

後はとりあえず元の姿に戻って片づけを・・・

 

『すみません まだ力がもどってません

このままでは灰が足りなくなる可能性が・・・』

 

おいおい・・・ 

オレの灰がまとまりを失っていくと同時に

・・・意識も・・・薄れていくようだ

 

『流石にそれはまずいです・・・どうにか・・・』

 

いや、聖母竜よお前には、最大の感謝を

・・・ありがとう・・・

・・・・・・上出来だ・・・

我が永遠の好敵手に力の全てを出し合った・・・

出しつくした・・・!

・・・・・・・・・・もはや思い残すことは・・・

 

 

 

 

 

 

      ぶわ・・・・

 

この風は

 

       ブワン

 

[ハドラー様!]

 

ジゼルの風竜術だったのか

どうやらオレの灰が失われないように術で

かき集めることに成功したようだ

 

『火竜術以外の竜術も上達しましたね』

 

[ハドラー様 わたし 強くなりたいです

あのキン肉マングレートに勝ちたい

ハドラー様に勝ち あのお面を叩き割ったあの人に!]

 

「そうか・・・」

 

ジゼルのたしかな成長と決意

それを感じただけでもこの祭りの価値は大きい

そしてオレも 鍛えなおさねばなるまい

さらに強くなるために 我が子とともに




平成の終わりに滑り込めたウジョーです。

もう最終回になりそうなほどつめこみましたがネタがまだでてくるので
まだ続きますが超人一等祭はこれでひとまず終わりバトルも多分これでおしまいです
最後にでてきたバーン様はその場を盛り上げるために適当に言ってるようであり、
そうでもないかもしれないような、まあこの世界で復活する気はないでしょうが・・・
アバン先生には声繋がりでテキサスブロンコだけではなく壁側のいぶし銀やドカベンネタも
放り込もうかと思いましたがバトル中にはちょっと無理でした

さてさて次回は令和に入ってからとっておきの帰郷ネタを投稿予定ですが
ゴールデンウイーク中にできるか・・・

天皇陛下の譲位に改元という時代の節目 こういうときこそ色々おきてしまうもの
心安らかに迎えられますように

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