ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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IFストーリー 東方大魔王伝 -mythology of the sun- 第35話 眠れ、オレのもとで

-???-

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《・・・・・・こ・・・ここは・・・天国?

お おれは・・・ようやく死ねたのか・・・?》

 

『いいえ あなたは』『生きています』

 

《あれ あのときの・・・二体いる?》

 

『私たちは聖母竜』『マザードラゴン』

 

『竜の騎士の』『生と死を司る神の使い』

 

《なんでふえてるの?》

 

『私はあなたと融合していた聖母竜』

『私はハドラーと融合していた聖母竜』

 

『今は共に精神体となったあなたに融合しているのです

あなたを救うために・・・!』

 

《おれを・・・?でもおれはもう・・・・・・》

 

     パアアッ

 

《・・・あ・・・ああっ

とっ 父さん・・・!!!》

 

【ダイ すまなかった・・・

私はおまえとつねにいっしょだと言っておきながら

おまえが闇に堕ちていくのを止めることができなかった】

 

『・・・それは私も同じです

本来こういった事態を防ぐ為の神の使いでありながら

あなたを守りきることができなかったのですから』

 

『ですが・・・今なら 今の私たちになら ダイ・・・

あなたを あなたの心と体を助けることが可能なのです』

 

『大魔王を倒すためではなく』

 

【悪を討つためでもない】

 

『『ただ あなたに生きてほしいのです』』

 

《・・・でも・・・おれにはもう・・・》

 

『かつてあなたを生き返らせたことで

さらなる地獄の苦しみを味わわせてしまいました

仲間を失い 守るべき地上を失った絶望と孤独・・・

ですがそれでもあなたは一人ではありません』

 

「オレがいるからな」

 

《・・・ハ・・・ハドラー!!!》

 

「おまえを一度 卵の状態まで戻し

ほぼ一から育て上げる オレとともにな」

 

《そんなことが・・・?》

 

「バラン・・・おまえにとっては複雑だろうが

オレに任せてくれ・・・

ダイはオレが立派に育てて見せる!」

 

【ふふふ ハドラーよ おまえにダイを託すことに

なんら不安はない ・・・何故なら】

 

       ぶあっ

 

《ああっ?! おれの体から 灰が・・・》

 

「なるほど・・・ そこにいたのか オレも」

 

【そう・・・おまえは 灰となってなお

ダイを守るために戦い続けてきた盟友だからな

ダイの体やダイの剣に残っていたおまえの灰

おまえがいたからこそ・・・

こうしてダイの心が消えずにいるのだ】

 

《父さん ハドラー 聖母竜・・・

おれは 生きてもいいの・・・?》

 

【『『「もちろんだ」』』】

 

「オレはおまえをすでに十分しかりつけた

あとは全てを許す

・・・そして よく頑張ったな ダイ」

 

《う、 う・・・》

 

【ゆっくりと 泣くとよい我が子よ

泣き止ますことは苦手だがともにいることはできる

私たちは・・・つねに・・・いっしょだ・・・】

 

「オレが真竜の戦いで生み出した熱気を

火竜術でまとめあげ莫大な生命エネルギーとし

それを使い聖母竜たちがダイの体を卵にする」

 

『ほぼ転生に近いほどの力を使いますが

私達が力を合わせれば・・・』

 

『ええ!

今こそ竜の騎士の生と死を司る神の使いの本分を使い

私達の孫を救ってみせます』

 

「そしてバランよ おまえにはもっとも重要な役目

ダイの心を守って貰う これはおまえにしかできん」

 

【任せておけ

かつては私が一方的に奪ってしまい

そしてこの子の友が命を賭けてとりもどしたもの

この子の力の〝根源〝を我が全精力をもって守る!!】

 

        クオオオッ

 

「さあうけよっ ダイ!!!

われらの力の全てを おまえが生きるために!!!」

 

《うん!》

 

~~~~~~~~~~~

 

-月 ソルパレス「騎士の間」-

 

・・・

・・・・・・

 

 

        カラン

 

〔? あれは 彼が先ほど飲んでいた酒瓶か

ルナ 少しまっていてくれ〕

 

〔ロランさん? なにを・・・〕

 

    ポン トクトクトク・・・

 

〔たとえこのような終わり方となったとしても

あなたはたしかに最後にあの少年の心と体を救った

その身を賭して孫と呼ぶ彼を救うために戦った

あなたこそ 本当の勇者だ

僕にはこうやって あなた達がのこしたこの灰に

酒を注ぐことしかできないが 最大の敬意をもって

あなた達の冥福を祈ろう・・・〕

 

   パアアアアアアーーーー!

 

               ぶわっ

 

〔灰が 巻き上がって・・・!?〕

 

〔人の 形に・・・・!?〕

 

「・・・ふう あぶないところだったな

オレの半分どころかほぼ全ての力をもっていかれた」

 

『ええ あなたの体を維持する力まで使いきったので

あやうく身動きがとれなくなるところでしたよ』

 

仮にもここは敵地だぞ・・・まったく

この借りはずいぶんと高くつきそうだな

トリアエズナマにクシカツと煮込みをつけてもたらんぞ

 

『お菓子もつけましょうか』

 

反省しろ うっかり力を使い果たすな

 

『今回に限って言えば使い果たしたのはあなたもですよね

己の立場を可愛がっている男に真の勝利などない

あなたの考えは 私には隠せないのですよ

・・・おかげで大勝利のようです』

 

〔あの 大丈夫なのですか?

それにあの少年は・・・〕

 

〔ひょっとしてその手に持っている小さな卵は〕

 

「ククク・・・ オレたちの勇者ダイだ

異世界の勇者よ・・・

この小さな勇者の尊厳を汚した大魔王に与える

会心の一撃は譲ってやろう いくがいい」

 

『こちらは孫の卵を守らないといけませんし

あなたがたの武運をお祈りいたします』

 

〔わかりました いこうルナ〕

 

〔はいロランさん!〕

 

先を行く勇者たちの背を見送り・・・

ダイのたまごに声をかけた

 

「竜の保護者ハドラー おまえを守り育てるものとして

改めてその名を呼ぼう『おかえり そしておやすみ ダイ』」

 

    ~12年後~

 

「ゆくのか おまえの世界へ・・・」

 

《うん 今のおれなら融合してる聖母竜ばあちゃんの力で

異世界も渡れるんだろ?

なら 帰るよ・・・

おれも あのときと同じくらいの年になったしさ》

 

ずいぶんとたくましく育ったダイ

その背中にはかつて使っていたダイの剣を装備し

はじめてデルムリン島で会ったときに着ていたものと

同じデザインの オレとジゼルが作った服を着て

顔には昔の溌剌とした表情がもどっていた

 

『本当に行ってしまうのですか?

あなたさえよければこのままハドラー家の二番竜として

いっしょに住み続けましょう

私たちのいた世界でダイの弟として

デルムリン島で暮らすのもよいでしょう

こう言うのは酷かもしれませんが

あなたのいた世界の地上は もう・・・』

 

[ダイ君 私達といっしょにいようよ!]

 

《ありがとう聖母竜ばあちゃん ジゼル姉ちゃん

でも おれいくよ

おれが好きな人達はもういないけど

おれの知っている景色はもうないんだろうけど

やっぱりあそこがおれの世界なんだ

地上がなくなってしまったとしても

父さんやじいちゃん アバン先生

ポップやレオナが愛して・・・

おれたちが守ろうと戦ってきた世界なんだ!》

 

『ダイ・・・』

 

「そうか・・・」

 

過去と向き合うことを決めたダイ

その顔はかつての とんでもないことをやりそうな

オレの好きな顔だった

こいつならどんな世界だろうと誰かに必要とされる存在

太陽となるだろう・・・

 

『・・・それでも 私は心配なのですが』

 

《それにオレには父さんも聖母竜ばあちゃんもいっしょだ

魔界は父さんがヴェルザーと戦って旅したとこだろ

なんにもわからないってこともないよ

ひょっとしたら地上の消滅から生き残っている人だって

いるかもしれない おれはそんな人たちのための勇者なんだ!》

 

「そうか」

 

『そちらの私の力で行き来は自由ですから

いつでも帰ってきてくださいね』

 

「こちらから様子を見に行くこともできるぞ」

 

《へへ 魔王として来たら おれは勇者として迎え撃つよ》

 

「フッ・・・ ハハハハッ!!

たのもしいことだ!」

 

  ス・・・

 

「手を」

 

《あのときみたいだね》

 

笑って握手に応えるダイ

 

「いってこい 勇者ダイ・・・!」

 

かつて・・・オレとの戦いを終え

大魔王バーンとの戦いへ赴いたダイ

これからダイが行く道は大魔王との戦いよりも過酷かもしれん

だがこの握り返すこの手から感じる勇気

さすが勇者・・・ こうでなくてはな!!!

 

《いってきます!》

 

『無理をしないでいつでも帰ってきてください

そちらの私も ダイをよろしく!』

『ええ もう一人の私 また必ず会いましょう』

 

[ダイ君 元気でね 無理をしないでね]

 

《うん じゃあ みんな 元気で!

ルーラ!!》

 

    ビュン!

 

オレたちに手を振り 飛び立っていったダイ

旅立つダイを見送ったブラスもこんな心持ちだったのだろう

 

[う・・・う・・・・]

 

ジゼルが泣きながら手を振り続ける

12年間一緒にいた弟分に随分と情が移ったようだ

 

「泣くなジゼル 勇者の旅立ちに涙はいらん」

 

[ハドラーさま・・・]

 

「・・・せめて涙は拭け 鼻水は 見逃してやる」

 

[ふふ・・・ はいハドラーさま♡]

 

『ダイ あなたの前途に幸多からんことを』

 

 

 

 

 

IFストーリー~完~

 

 

 

 

 




なんかもう色々完結した気がしたウジョーです

もちろん黒太陽さん作の東方大魔王伝 -mythology of the sun-は連載中です
これからがまさにクライマックスの大魔王戦!オススメです!

春の気配が近づいてまいりました 季節の変わり目 年度末の忙しさや温度差で
特に体調を崩しやすいこの時期 お疲れの出ませんように

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