―魔界 修練場―
オレはとある目的のために 異世界の魔界 悪魔超人の拠点である城の修練場を訪ね
ツートップであるサンシャインとアシュラマンに協力を要請した
【グォフォフォフォ
それは面白い企みだ
いいだろう 協力を約束しよう】
【ただし 我ら悪魔がただで手を貸すわけにはいかぬがな】
「当然だ オレなりに報酬を用意しよう」
【そういう企みなら人間の手も借りた方がよいな
もちろんこちらの世界のな】
「ああ これからジゼルが世話になっている東女に行くつもりだ」
【ならばワシも付き合おう それとこれを持っていけ
悪魔言語だが お前さんなら問題なかろう】
サンシャインから受け取った本には【正・悪超人レスリング統一規約】とある
「ほう・・・あの祭りでアバンが言っていたやつか」
【ああ その昔 悪魔超人と正義超人の間で結ばれた紳士協定
残虐・完璧と他属性の間にも通じるものだ
お前さんの企みの一助になるはずだ】
「ありがとうサンシャイン
心強い限りだ」
【よーし それじゃあアシュラマン
留守番はお前に頼んだ!】
【まあいい 任せておけ
ハドラーには若いやつらが随分と世話になっている
その程度 骨を折ってやるのもよかろう】
『悪魔は意外と義理堅いですよね』
サンシャイン達は特別だがな
―東京女子プロレス 社長室―
〔なるほど そういうことですか〕
「そのためにジゼルはもちろんだが
数人目端が利くやつに オレ達の世界に来て手を借りたい
準備段階の打ち合わせと 当日に数人ほどだ」
〔それはつまり 異世界転移、ということですか!?
はい!自分が この
【お前さん社長だろう】
〔そういうサンシャインさんだって行くのでしょう
社長として会社の都合を完全に無視するわけにはいきませんが
異世界でのプロレスの歴史のはじまりに関われるなんてチャンス
ガッツリ噛みつくに決まってるじゃないですか
さて そうと決まれば資料を揃えなくては・・・〕
「協力に感謝する」
『こちらの世界は人間も悪魔も理解と順応力が高すぎるような・・・』
―カール城 会議室―
〔あの 社長 異世界でのアドバイザーの面子に何故私が?
ジゼルさんと最も親しく異世界への造詣も深いメアリさん
多くのコラボキャンペーンになり東女でも独特なキャラのくるみさん
そして勢いやノリで動く社長、と誰もが納得するメンバーの中に
陰気で辛気臭い上に口下手でコミュ障の私がいるのはどう考えておかしいですよね
ほかに菊池さんとか、ソニックさん、滝沢さん、・・・
いっそジャスティスXさんみたいな人材まで東女にいるのに 何故私?
後でハドラーさんファンのレスラー達に私がしぼられる未来しか見えないんですけど!?〕
〔いやお前 うちの
それにカース伏久を指名してきたのはハドラーさんだ〕
〔何それ怖い!?
もしかして前の試合でジゼルさんに勝ったから目をつけられてる?!
ジゼルさん相手に手加減したら負けるのはこっちですよ!〕
驚愕と絶望に塗れた顔でオレに振り返るカース伏久
たしかにジゼルが完敗していたが それは関係ない
「ククク それは嬉しい評価だ
だが正確に言えば伏久を気にかけているのは聖母竜でな
お前からはただならぬ気配を感じているようだ」
〔何それもっと怖い!?
ひょっとしてお正月の金箔張ってやった御神体レスラーが
本物の神の使いの怒りを買ってる!?
あれは会社の悪ノリとファンサで恒例化してるけど
新年第一試合以外は私の本意と真逆なんですよ・・・〕
『でも実際神格が芽生えはじめてる気がします
あ これは口外しないでくださいよ』
〔伏久さんしっかりしてくださいなのです!
くるみなんか・・・ ヤングドラゴンになったばかりの
まだ一桁の齢のジゼルちゃんにシングルで負けたこともあるのです!〕
〔くるみさんその自虐フォローで一緒に落ち込まないで!
あのときのジゼルが強かったのはハドラーさんのご褒美衣装バフもあったし
伏久さんもボクのライバルとして尊敬するレスラーなんだから
一緒にがんばろうよ!!〕
震える伏久を両隣のくるみとメアリが慰めていた
あれでリング上では未だにジゼルは歯が立たないのだから
人間とはやはりわからぬものだ
この会議室にいる顔ぶれは・・・
オレが集めたサンシャイン、レックスキング、東、メアリ、伏久、くるみ、ジゼル
そしてこの世界のアバン、ヒュンケル、レオナだ
サンシャイン達から預かった資料をアバン達に渡し読み込んでいる間に
各々の紹介をしつつ オレの企みの全容を語った
語り終えたころにはアバン達も資料を一通り読み終えたようだ
‘・・・・・・なるほど 実に興味深い内容でした
超人同士で行われる超人レスリング
人間同士で行われるプロレス
これらを参考に私たちの世界で興行を行い
そのためにミナカトールと禁呪法を使いたいと・・・’
「そうだ オレはかつてこの世界で魔王として暴れまわり
貴様やダイに敗れながらも、こうしてここにいる
今更いたずらに地上に混乱をもたらす気はないが
人間の目から隠れている気もない
この興行を地上と魔界でやるにあたり、
まわりに被害をもたらすことがないためと
少々本気になっても死人を出さない減衰処置として
強力な結界陣が必要だ」
‘・・・・・・・・・’
゜興行、と言ったな
かつて魔王の本拠地でありオレの故郷・・・
地底魔城には闘技場があった
魔王にとっては娯楽施設であり
わが父バルトスにとっては腕を競う場であり
捕らわれた人間にとっては血塗られた死の舞台だった
今の【ハドラー】はそこで何のために戦うつもりだ゜
「ヒュンケル・・・
お前をマットに這わせてやろう」
゜!!゜
「このジゼルが!」
[はい お任せくださいハドラー様!]
゜なんだと!?゜
「オレが鍛え上げたジゼルが
多くの観衆の前でアバンの使徒に勝つ
その上で宿敵たるアバンをオレの手で倒す
ククク・・・どうだ」
‘なるほど あなたほどの実力者は隠そうとしても存在が知られるでしょうし
あなたに限らず 抜きん出た力を持つ者達が この平和な時代
どこで何をしているか どんな力を持っているか、
といったことをできる限り知ってもらうことが
民衆の不安や差別を減らす一助になる ということですね’
『流石アバン あえて直接口にしなかった
あなたの狙いも読まれていますね』
ふん それはおまえの願望だろう
‘・・・ですがこのやり方に まだ納得できない所もあるのは事実’
〔私は面白そうな試みだと思うけど・・・
実際に興行を行っている方たちのお話を聞かせてもらえますか?〕
そう言うレオナ姫に答えるようにサンシャインから語りだした
【グオッフォフォフォ
超人レスリングの歴史はあのお方が生きた歴史そのもの
何万、何億年も前より地球から始まった
その流れをワシらが受け継ぎ そして次代へ繋いでいるところだ
その歴史において、お前たちが危惧するようなことは何度もあったのは間違いない
ときにいばらの道を行くことあろう・・・ だが!】
ガタッ!!
サンシャインの隣に座っていたレックスキングが立ち上がった
【オレは恐竜の化身超人レックスキングだ
この世界ではどうか知らんがオレ達の世界では恐竜は約6500万年前には絶滅し、
超人となってわずかに生き残った末裔がオレだ
サンシャイン首領に見出され 悪魔超人レスラーとして鍛えられていなければ
オレは飢えか寒さで とっくにくたばっていたのは間違いない
オレにとってリングで正義超人と戦うことは最高のレクリエーションであり
レスラーとして生きることがオレの全てだ】
いつのまにか熱い涙を流しながら熱弁するレックスキングと
もらい泣きしているサンシャイン
『悪魔超人は冷血・冷徹・冷酷を謳う割に
情に厚いですよね』
そういった情、心が生み出す強さが悪魔超人の根底にあるのだ
昔のオレは認めなかったが・・・
この手で処刑する直前のバルトスからの
オレへの最期の忠言はまさにそれだった
ガタッ!!
そんな熱さに感化されたように
その向かいに座っていたメアリも立ち上がった
〔ボクも・・・
リングで戦うヒーローに憧れて海を渡りプロレスラーにならなかったら
故郷で天涯孤独なまま寂しさに震えながらヒーローに助けられるのを
ただ待つだけの日々を いまだに送っていたかもしれない
東女に入って つらいことも くるしいことも 悔しいことも
いっぱい 本当にいっぱいあったけど・・・
親友・ライバル・仲間・マネージャー・後輩・パパもできた
ヒーローが戦う超人レスリングだけじゃない
人間同士のプロレスがあったから今のボクがあるんだ!!!〕
〔くるみも!
東女のレスラー中ではへっぽこで 昔は強くなることすら諦めて
それでも生き残る打算のために仲間を集めました
そんな仲間に支えられて そんな仲間と共に戦えるようになるために
競うことも 追いかけることすら諦めていた同期たち全員に勝つところまでこれたのです!
打算で仲間を利用しようとしていたことを恥じる位には変われたのです!!
悪ノリと勢い任せの社長がプロレスをやってくれたからなのです!!!〕
メアリとくるみが言いたいことを言った 次は任せたとばかりに
間に座っていた伏久に視線を送る
〔ええ・・・・・・
そこで私にふられても困るわ・・・
私に あなたたちのような光り輝く顔でプロレスへの感謝とか
熱い絆とかアピールできないわよ・・・・・・
私は部屋の隅で繁殖するカビのような生き方に憧れていたのだから
・・・・・・でも そうね そんな私でも 本気で、
勝ちたい 負けたくない と感じることがあるのは
リングの上、だけかもしれないわね、ふふふ・・・・・・ぐぇっ!?〕
メアリとくるみに抱きつかれ 伏久の首が締まっていたが
すぐに巧みに抜け出した
〔自分からも・・・
プロレスは超人レスリングに比べれば歴史は浅いですが
自分は社長として 彼女らプロレスラーを雇用し興行を行いながらも
妻が元レスラーであり 現役時代自分はマネージャーでした
そして娘も我が社のレスラーです
自分なりにプロレスとは深く関わってきました
この世界で興行を行っていくのであれば 福利厚生を含め
参考になることがあれば我が社から情報提供や協力をお約束します〕
‘・・・・・・なるほど みなさんの情熱や絆はたしかに感じました
まだまだ課題はありますし
今後も検討が必要なことは多々あるでしょうが
まずは やってみましょうか
この世界にあるレスリングとはまた違う 新たな武術が生まれようとしています
興行を行う前に 名前を つけていただけますか ハドラー’
「名か」
『超人レスリングやプロレスではダメなのですか?』
ただの猿真似ではない この世界でこれから作り上げていくものだ
戦い続けていく道・・・
オレは立ち上がり 命名する
「バトルロード、と名付けよう
その最初の試合は・・・ ジゼル!」
[はい!]
ジゼルも立ち上がりオレを見上げる
「リングにあがれ
オレが直接相手をしてやろう
少々気が早いが プロレス修行の成果・・・
味見をしたくなった!」
[はい♡ ハドラー様]
〔いきなりメインイベント!? いや最初の興行ならこのカードもアリか〕
たとえどんないばらの道であろうと
すべてを整えて このバトルロードを切り開いてくれる
もう3月ですが今年最初の更新のウジョーです
DQ3リメイクプレイしました DQ1・2も期待できる丁寧な作りに拙作も影響受けてます
『勇者アバンと獄炎の魔王』が変わらず面白いのでネタはあるから次こそもっと早く書きたいところです
もう暖かいどころか暑いくらいですが極端な温度変化で体調を崩しやすい今日この頃
お疲れの出ませんように