ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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バトルロード編 ハドラー建てる

  ―カール王国 郊外 更地―

 

  ミナカトール大破邪呪文!!!!!

  (((((☆)))))

      

「ほう たしかに期待通りの力だ」

 

『私や竜の騎士とも違う 人の神が太古にもたらした大呪文・・・』

 

オレはこの世界で理想のリングを実現するために

アバンにはたらきかけ アバンの使徒5人と大魔道士マトリフを

カール王国の郊外 かつてオレの命令で超竜軍団によって完全に更地となった

今も復旧の手がつけられていないこの地に集め 光の魔法円をつくらせた

 

‘・・・あなたの狙い 理解はできましたが

破邪呪文と禁呪を組み合わせるとは大胆ですが難しい試みですね

相乗効果か反発作用でどんな不具合がおこることか・・・’

 

「だろうな だがそれについてはいくらでも議論しよう

これをオレの禁呪法と組み合わせるには貴様らの協力が必要だ」

 

〔この平和な時代にかつての魔王が 神の置き土産とよばれた

こんな大呪文をひっぱりだしやがってよお

こいつは 冥途の土産話にちょうどいい〕

 

「残念だがおいぼれよ 貴様がガンガディアに会う前に

あの世の全土に生中継する魔術が完成しそうだ」

 

〔なんだと?〕

 

「すでに あの世に文書を送る術がある

これにオレの魔力で映像を送る術をかけ合わせ それをさらに広げる

まだいくつか乗り越える課題があるが

異世界ではすでにある程度実用化されている技術を

この世界で再現すると考えれば・・・」

 

〔なるほど オレがくたばるより先にそいつが完成する方が早そうだ

ロカ(ダチ)・・・カノン(惚れた女)・・・バルゴート(師匠)・・・ガンガディア(好敵手)

あの世で会いたいやつばっかり増えちまったが

まだまだこっちで やることができちまったな〕

 

「あくまで一方通行だが 効果はたしかだ

報酬として教えてやろう」

 

『それはいいのでしょうか?』

 

かまうものか 直接あの世を行き来するわけではない

死者に語り掛けること自体は別に今にはじまったことでもあるまい

このオレの世界を越えた企みがはじまった

 

 

興行に向けて設営作業が始まった

作業監督はサンシャインが務め リングを含め超人レスリングを参考に

資材は全てこの世界にある素材のみで作り

作業もこの近くにいた魔物と人の手で行っている

オレやジゼル ダイ、ポップ、ヒュンケルらも力仕事に精を出していた

太陽が真上にかかった頃合でサンシャインから一斉休憩の声がかかる

 

[ふう ハドラー様 私が地竜術を使えば整地はすぐに済みますけど

ここでも術は使わないのですか?]

 

「ああ この準備段階からできるだけ多くの者を巻き込む必要がある

術であっさりすませるわけにはいかん

それに実際体を動かした方が手順が身につく

いつまでもサンシャイン達の手を借りるわけにいかん」

 

'そんなこと言ってあんたそんなに金持ってんのか?

モンスター達はあんたの命令なら聞くだろうけど

人間はただ働きってわけにはいかねえぞ

アバン先生から人手を借りたのか?'

 

「心配するなポップ 怪物にも人間にも報酬は用意してある

アバンにこれ以上借りを作るつもりもない」

 

'けどよ そんな金 いつ稼いだんだ?'

 

「魔王軍の拠点をいくつか掃除した

後始末を兼ねて集めた財産で この興行を後何度か開催する程度はある」

 

'そいつはリッチな話だな

まあデルムリン島みたいに人目を避けた怪物の巣窟とかになるならいいけど

山賊の根城とかになっちまうと厄介だしな

魔王や魔軍司令だったあんたが責任者として後始末してくれて

ついでにおれの実家の武器屋の不良在庫の【どたまかなづち】や

【おおかなづち】を土木作業用に適正価格で買い取ってもらったから

おれは協力を惜しまねえけどよ

アバン先生はこのイベント まだ渋い顔するんだよなあ'

 

「それでいい

あの男とは元々 根本から相容れないし馴れ合うつもりもない

魔界でこの興行をするならばやつとて文句はないだろうが

今回は この地上でやることに意味がある」

 

『たとえこちらの真意が伝わっていても納得はしないでしょうね』

 

゜・・・・・・この武舞台で、

公衆の面前でジゼルと戦うというのかハドラー・・・・・・・゜

 

ヒュンケルが殺気を抑えた目で睨んでくる

 

「娘とはいえ 女を叩き潰すことに文句があるようだな

バルトス同様 甘いことだ」

 

ヒュンケルがジゼルに視線を移し

 

゜・・・・・・ジゼル自身が覚悟を持って戦うことを望んでいる

闘志に満ちた そんな顔だ それくらいのことはオレにもわかる゜

 

《でも なんでわざわざこんな大がかりなことやるんだ?》

 

「いくつか理由があるが 大きなものとして ・・・これを見ろ」

 

ダイ達に見せるようにひとつの日記帳をとりだした

 

「かつておまえの父ブラスと おまえの子育て日記と交換で受け取ったこの日記帳は

元々はデルムリン島での魔王だったオレが命じた任務の報告用の覚え書きを使いまわしたものでな

オレが勇者アバンに敗れた直後の様子も書いてあった

お前がブラスに拾われる前の話だ」

 

《え!そうなの?!》

 

「オレが倒れ 世界を覆っていた邪気から解き放たれた後

デルムリン島を生き残った魔物たちの楽園にすると

人間の迷惑にならぬように島に世界中の魔物を集め静かに生きていこうという

決意と経緯が書かれている」

 

《じいちゃん・・・》

 

「・・・結果的に見れば

お前を拾い育て上げたことにつながるとはいえ 大きな問題も生まれた

平和な時代にお前を育て そしてこの島で起きた2つの事件の後・・・」

 

オレはブラスの日記帳をめくり ダイに見せた

 

「ここだ オレの復活とともに始まった 大魔王バーンによる魔王軍侵攻

邪気により狂暴化した魔物たちの動き、お前もよく憶えているだろう」

 

《うん 突然狂暴化した島のみんながお互いを攻撃し合ってたんだ

それまで滅多にケンカとかしなかったのに

ブラスじいちゃんは魔王が復活したからって言ってたけど》

 

「それは少し違う

オレの邪気で破壊の衝動に目覚め狂暴化した魔物と

毒蛾の粉で正気を失った魔物は違う

急な邪気で興奮しただけではない、

ではなぜ仲間割れ、同士討ちをはじめたのか?」

 

オレは改めてダイ、ポップ、ヒュンケル そしてジゼルを見る

ブラスなりの答えはこの日記帳に書かれているが

こやつらなりの考えも聞いてみたいと思い 日記帳を閉じた

 

゜・・・たしかに邪気に当てられて狂暴化した魔物は何度も見てきたが

正気を失った状態とは違うものだった

ハドラーとバーンで邪気の性質に多少違いがあるとはいえ

軍として機能する程度に理性があった

ましてや旧魔王軍時代から共にいた仲間内での同士討ち

相当な理由があったはずだ゜

 

'あのときはアバン先生がサクッと解決させたから考えたことなかったな'

 

「甘いなポップ 現状何も解決してはいない

あの島は ただ邪気の影響を受けなくなっただけだ

いずれ形を変えて表面化するだろうが その前に気づけなければ・・・」

 

[あのとき以上の修羅場になると・・・?]

 

《えっ!?そんな!!》

 

魔王や大魔王を倒しただけでは解決しない故郷の危機に

ダイが大きく動揺するが ヒュンケルはすでに気づいたようだ

 

゜オレはかつて 地底魔城からデルムリン島へ出発するブラス老を

父と共に見送ったことがある

そのとき島の概要を聞いたのだが あそこは植物系魔物が増殖しやすい土壌で

数多くあった候補地から訓練場として選ばれ

世界中の多種多様な強豪モンスターが集められたそうだ゜

 

その言葉がヒントになったのかポップとジゼルも気づいた

 

'そうか!

つまり 本来あの島に元々いなかった魔物も移り住み増えていったのか!'

 

[生態系の急激な変化を感じていた中で破壊の衝動に目覚めたことで

限りある資源を求め奪い合うために起きた 生存競争、

ということですね]

 

ブラスが推測していた答えにたどり着いたがダイは考え込んだままだ

 

《そんな・・・

それじゃあ どうすれば・・・・・・》

 

「大魔王バーンは 魔界に太陽を求め 力づくでこの地上を破壊しようとした

あの方なりに自らの故郷魔界の未来のためにやったことが先の大戦といえる

ダイ、すぐに答えを出せとは言わん

だが お前なりに故郷のために考えることをやめるな」

 

《うん、わかった おれの故郷と友達のためだから》

 

『ここであなたの目的の話に戻るわけですね』

 

「あの島に地上全ての魔物がおさまるはずはないが

魔王や大魔王との大戦の記憶が強い状態で

邪気の影響をうけやすい魔物との共存は難しいだろう

オレはかつて魔王を名乗り やつらを従えたものとして

魔物がこの地上でただ肩身を狭くし 滅びを迎えさせるつもりはない」

 

'・・・・・・それでこんな興行をやるのか?

けどよ チウとかならともかく

ハドラーの馬鹿力とか見せても人間がビビるだけで

かえって逆効果なんじゃねえか?'

 

「知ることによる恐怖もあるが

知らないことによる恐怖や警戒もある

多くの人間達にとって勇者と魔王軍の戦いは直接見ることができなかった上に

魔王軍の被害だけはどこにでもある

だからこそ オレたちはあえて姿を 力を見せることで

際限なく膨らむ未知の恐怖を乗り越えることができる」

 

《?どういうこと?》

 

「ダイ お前は今 故郷を脅かす新たな恐怖を知った

オレの経験から言えば その恐怖を越えるために必要なことは

ただ敵を倒す力を得ることや 勝利を祈ることではない

まずは知ることだ

そのためには その目で 耳で 体で感じることだ

その機会をくれてやろう この興行でな」

 

《わかった ありがとうハドラー!》

 

[ハドラー様!私もっと頑張ります!!]

 

『この素直さと純粋さもダイやジゼルのかわいいところですね』

 

休憩を終え 再び作業に戻るジゼル達を見送り オレも作業に戻る

知ること 知らしめること その意義を語りながら

オレは再びこの地上でそれを行うことに 胸の高鳴りを覚えるのだった




花粉症で目が痛いウジョーです

ジゼル嬢の実家 ディアさん作 魔軍司令親衛隊隊長の恋愛!が完結されて寂しくもありますが拙作でもようやくハドラー様とジゼル嬢のまともな一戦が近づいてきました
ハドラー様もちょっとワクワクしてますが 私にそれが書ききれるかは別問題でして・・・

異世界家族旅行の経験から 帰ってきたこの地上でやるべきことが見えてきました
実際問題 大魔王倒して勇者が地上から去るなんて結論をダイが出してしまったら
ハドラー様は納得するわけないので 戦後の勇者の生き方を示すような話になりました

寒い日々から最近急に暑くなってまいりました
汗をかくことに慣れないうちに急な暑さで熱中症のリスクが高まっているようです
お疲れの出ませんように
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