ハドラー子育て日記 異世界家族旅行編   作:ウジョー

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バトルロード編 ハドラー仕上げる

太陽が最も高く上がる時間が近くなり

ダイとジゼル ポップを連れ一際大きいテントへ移動する

 

「これよりこの現場の作業員全員分の食事を用意する

すでに大鍋2つ分は作ってあるが 追加で届いた食材を調理せねばならん

お前たちの手を借りるぞ」

 

《いっぱい箱があるけどこれ全部!?》

 

「そうだ まずは完成品を食わせてやろう」

 

鍋から皿によそい匙をつけてダイたちに渡すとすぐに食べ始めた

 

[おいしいです!ハドラー様♡]

 

'お 結構イケるな なんて名前なんだこの料理?'

 

「異世界料理のハヤシライスだ

もっとも食材は全てカール王国で一般的に買えるものばかりで

調理法も盛り付けも変えたがな」

 

'それはもう完全に別物じゃねえかよ'

 

[ハヤシライスはハヤシさんが開発した説がありますし

この世界ではハドラー様の名前からとって

ハドラーライスと名付けましょう]

 

『その名前はどうかと思いますが』

 

[ハドライスの方が言いやすいでしょうか?]

 

「料理名は好きによべばいいが

これと オーク達が食べる用の香辛料や塩分を控えたものを作れるようになれ

人面樹から提供された樹液を使ったこの台は魔力を込めると高温になる

オレやジゼルには必要ないが ダイとポップはこれを使え

お前たちならすぐに使いこなせるはずだ」

 

'・・・そういや アバン先生の授業で 

火が効きにくい一部の植物系魔物にはそんな秘密が、

って聞いたことがあるな'

 

《おれの島にもそんなやつがいたなあ》

 

・・・キギロが戦闘中に自慢気に話しそうなことだ

 

‘なるほど 魔物との交流がすすめば

こういった新しい道具の開発の可能性も広がりますね

それをこういった形で示す機会も作れる

これは面白い’

 

《アバン先生!》

 

「また城を抜け出してきたか」

 

‘いえいえ 国内でのイベントですから これも公務ですよ

それはそれとしてこの道具は面白いですね

あなたが考え出したのですか?’

 

「いや これはザボエラの研究室を片づけたときに見つけた本を元に作ったものだ

やつとは魔王時代から取引があった

安くない投資分は回収したといえる」

 

'あの妖怪ジジイのかよ

じゃあ【ザボエラの書】ってとこか'

 

「いや やつは研究の成果を盗まれるのを嫌ってか

経過を記録した様子はなかった

オレとの取引でも成果のみを主張し 完成品しか見せなかった

逆に息子のザムザは ザボエラに見せるためか

研究内容を事細かに記録していた

やつの報告書の筆跡もおぼえている

つまりこれは【ザムザの書】と言うべきだ

オレとジゼルは既に読み込んだが・・・

人間の基準で言えば 禁呪の類いのものも多い

研究自体が禁忌の術だろうが貴様なら使いこなせるか アバン」

 

‘・・・・・・預かっておきましょう

それはそれとして結界の調整がすみました

あなたに直接確認してほしいのですが’

 

「ご苦労 ザムザの書は報酬の手付にとっておけ

先に飯の支度をすませるとして 貴様も手伝え

いい機会だ 興行の前にオレとジゼルの連携を見せてやろう」

 

[お任せくださいハドラー様♡]

 

'おっと おれ達師弟コンビ

いや 師弟トリオのチームワークを見せてやるさ'

 

《おれは料理はあんまり自信ないけど

先にこのハドライスの作り方を聞かないと》

 

「まさかその名前が定着しないだろうな」

 

アバンが加わり 予想以上に早く全員分の料理が出来上がった

人間、魔物や超人達も完食 まあまあの出来といえよう

興行中にも出すことを考えて 味の改良も行い片付けも終えた後

興行の要とも言える リングを囲む予定の結界へ移動した

 

まだリングを設置していない為

地面に輝く魔法陣を中心に結界が出来上がっている

 

‘この結界の中 リングを中心に半径約10mの球状の範囲内では

あらゆる生物の戦闘力 魔力や闘気も含め約10分の1に激減します

例外として この結界を発生させるために協力した

ダイ、ポップ、マァム、ヒュンケル、レオナがアバンのしるしを身に着けた状態のみ

通常の力が発揮できる仕様となっています’

 

《しるしを持った先生はどうなるんですか?》

 

‘いい質問ですねダイ君

私自身は 試した限り力が大きく減衰します

おそらく最初にミナカトールを使ったときに私が入ってなかったからでしょう

ですがミナカトールと氷炎結界禁呪法を組み合わせているので

禁呪担当のハドラーに有効かは試してみないとわからないので

こうして来てもらったわけです’

 

「いいだろう 早速試してやろう」

 

結界の中へ踏み入ると 確かに体に影響を感じる

オレは上空を指差し

 

「メラゾーマ!」

 

・・・・・・

 

『呪文がでませんね』

 

「メラ!」

 

  ボウ!!

 

指先に火球ができた

 

「かなり影響があるが

魔力や闘気が使えないほどではない

たしかに10分の1、といったところか

最悪この体が灰に戻るかと思ったが」

 

『私の力はそれほど影響がなさそうですね』

 

おまえが生物扱いされていないということか

 

『あなたの体を維持するつなぎに

砕けたアバンのしるしを使っているおかげでしょうね』

 

そういうことにしておこう

オレも生物とは言えない体だ

結界が作用するのは力、ということだろう

 

《でも なんでわざわざこんな結界を作ったんだっけ?》

 

「かつておまえとバーンパレスで戦ったときのことは憶えているだろう

魔界に名高い真竜の戦い 高いレベルでの闘気と魔法力のぶつかり合いが生み出す

強力な熱気を持った激闘空間(バトルフィールド)・・・

もし再びあんなものが発生したら興行にならん」

 

《あっ そっか あれ立ってるだけでしんどかったし》

 

'たしかにありゃあ とんでもなかったよな

離れていても熱風がすげえし よく見えねえしで

とんだ興行殺しだよな'

 

これだけ力が落ちれば あれは起こるまい

 

『ジゼルに深刻なダメージが入ることもないでしょうしね』

 

「ふむ

ジゼル おまえも来い この結界の中でその力を振ってみろ」

 

[はい!ハドラー様!!]

 

オレの呼びかけでジゼルが結界に入ると

 

  バチバチバチ!!!

 

[え!?]

 

  バリバリバリバリ

 

「なんだ!?」

 

  ゴゴゴゴゴゴゴ

 

《あ・・・あ・・・まさか・・・・・・!?》

 

ジゼルの姿が変わっていく

背は伸び 肌は竜のうろこに覆われ 黒い翼は大きくなっていく

この姿はまるで・・・

 

『竜の騎士の最強戦闘形態(マックスバトルフォーム)、竜魔人!?』

 

「バランの竜魔人とは細部がかなり違うが 見た目は似ているな」

 

かつてオレを一方的に叩き潰したあの姿に近いが

その特長ともいえる竜闘気や威圧感にはまったく及ばない

結界の影響もあるのだろうが単純にバランに比べて弱いのだろう

 

『そもそも今は別に戦いの場ではないですから戦闘形態ではなく

あなたがかけた人化術の効果も10分の1になったようですね』

 

「だがこれは好都合だ」

 

《どういうこと?》

 

「この国はかつて 魔王であるオレによる侵略と戦い

魔軍司令であったオレの命令を受けた超竜軍団に滅ぼされた

この荒廃した土地はその結果 未だ草木一本生えておらん

その土地で最初の興行がオレと オレの娘であり竜でもあるジゼル」

 

'それで 興行を通して その恐怖を消してやろうと企んでるわけか?'

 

「ポップよ 人間の恐怖がそんな簡単に拭えるものではないことは

おまえが一番よくわかっているだろう

それに人間が興行を見て どう受けて取るかなど そやつの勝手だ

これはあくまで 興味をひくためのきっかけにすぎん」

 

[興行の話題作り 宣伝効果ですね!]

 

'人間姿のジゼルならともかく

トラウマ直撃のあんたが暴れてるところをわざわざ見にくるか?

おれみたいな よわっちいただの人間にはハードル高いぜ'

 

「オレがこの国で料理修行していた頃は特に正体を隠してはいなかった

城下町での炊き出しや買い出しのときも顔も名前も隠してはいない

無論警戒するものいるだろうが 直接非難できるようなものもおらん」

 

『すでに新旧勇者に何度も倒されているという認識なのでしょうね』

 

「・・・それはともかく 竜人のジゼルは多少力が上がるが

姿は翼と小さな角がある程度 人間や獣人とあまり変わらん

元竜の姿では人間の世界の修行で身につけた技術が活かせられぬと思っていたところだ

この状態は好都合と言える

そして・・・・・・」

 

    クワッ

 

オレが呼び寄せた魔物 悪魔の目玉の目が見開いた

 

「こやつを通じ興行の映像を生中継する予定だ

かつては戦場の見張り番として魔王軍で使われた術を強化し

その放送は異世界に及ぶものとなる」

 

'おいおい あんた この興行のためにいくつ術を開発してんだよ

なんでそこまでする?'

 

「ククク どうやらオレの中にかつて捨て去ったはずの

子守をしている内に忘れ去っていた功名心が再び目覚めたようだ」

 

『ジゼルの晴れ姿 できるだけ多くの人に見てもらいたいものですね』

 

「晴れ姿となるかは こやつの健闘次第だ

まあ武闘着は この姿に合わせて新たにつくることになるか」

 

[え♡

それじゃあハドラー様のリングコスチュームは私が作ります!]

 

《本当に働き者だよ

ハドラーじいちゃん 何でもできるんだね》

 

「フッ

お前たちも知っての通り

オレの宿敵であるこの男が何でもできるヤツだからな

オレがヤツに負けっぱなしでいるのはがまんがならんわ」

 

‘ハドラー・・・’

 

'たしかに先生は特別製だからな

文武両道だけじゃねえ あらゆる分野の器用万能だもんな'

 

「今のオレは子守術士

そのために様々な分野のレベルアップが必要だったのもあるが

貴様とオレでは決定的に違うところがある

非凡な能力や才能を隠しあくまで他者のためにのみその力を使う正義の勇者と

己の実力を満天下に示し その力を己の野望の為に振るう魔王

その生き方がな・・・」

 

‘・・・力がありすぎる人間というのは不便なものなのです

超天才の先輩であるマトリフはそのために恐れられたり妬まれたりと

私だってフローラさまやロカがいなければ

世に出ることもなく 牙や爪を隠したままだったかもしれません’

 

「オレはそのような生き方は死んでもごめんだ

ましてや ダイやジゼルが そんな牢獄のような世界で生きるなど

許せるものではない」

 

『そのために あえて力が制限された結界の中で戦うのは

随分と皮肉なものですね』

 

まったくだ

 

その後設営作業は任せて オレとジゼルは戦闘衣装を仕立て始めた

素材はコーセルテルで火竜が正装として使う布を用い 戦闘での火や熱に耐えられるものだ

 

『自消性のある難燃性で耐火性の丈夫な布で

変身してもサイズが合う服 竜の騎士の正装にも用いたいですね』

 

そういえばバランの鎧は竜魔人化のたびに壊れていたな 生身が強すぎて必要ないだろうが

デザインはジゼルの熱望により敢えてほぼ共通のものとなった

一般的な武闘着をさらにシンプルにしたものだが

胸と背中に一文字ずつ互いを表す文字を刻み

遠目からでも分かるように色をオレが黒を

ジゼルは赤を基調としたものとなった

 

・・・・・・今のジゼルは人化術が解けかけ身長が伸び

オレの腰程度にあった頭が 今はオレの胸あたりにある

採寸しながら その成長がただ術の効果だけではなく

修行により筋肉などが発達したことによるものだ

その成果をリングで味わうのが楽しみになってくる

この高揚感はかつて勇者となったばかりのアバンが

魔王だったオレの部下達との闘いを通じてレベルアップをしていた頃を思い出す

・・・この仕立てを済ませれば 興行前の仕込みはあと一つ

もっとも重要でもっとも大がかり もっとも多くの者を巻き込み

そしてもっともこのオレのレベルアップを示すことができる

 

『あなたはこの興行の準備中本当に楽しそうですね』

 

「ククク 驚愕に染まるアバンやダイ ポップやヒュンケル

会場の観客達の顔は見物だ」

 

オレは一枚の紙を聖なる種火で燃やし 武闘着の仕立て作業にもどった

 

・・・・・・・そして 数々の準備を終え 異世界のゲストも招き

興行の当日を迎えた!!




この暑さにへばり気味のウジョーです
結局夏の間に更新できませんでしたが一応ちょっとずつ書いてました

原作終了後 拙作のハドラー様が歩みが形になるのは興行中よりも準備段階かと思いじっくり書くつもりだったとはいえ時間がかかりすぎましたが
ちなみに今回作っているハドラー親子の武闘着のイメージはDQの武闘着よりも
DBの亀仙流道着です 自分がわかりやすいので
さて肝心のハドラー対ジゼルの一戦は秋の間に書ければ、近年の秋は随分短くなった気がしますが
お楽しみいただければ幸いです

日暮れが早くなり朝夕は暑さが幾分和らいでまいりました
未だにコロナの発症を身近に聞くこともあります
ご自愛くださいませ
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